JP5530614B2 - 重合体粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、重合体粒子の製造方法に関する。
重合体粒子は、例えば液晶表示装置スペーサ、EL表示装置スペーサ、タッチパネル用スペーサ、各種基板の基板間の距離を均一に保持するためのスペーサ、導電性粒子のコア材等の用途に用いられている。それら用途においては、表示画像の質の低下防止、基板及び配線の損傷防止、耐久性向上等を目的として、より柔軟で圧縮変形させた後の回復性が高い粒子が求められており、それら特性を有する重合体粒子が提案されている(特許文献1及び2参照)。
一方、重合体粒子の製造方法としては、ポリオルガノシロキサン微粒子に単量体を吸収させた後、この単量体を重合させる重合体粒子の製造方法が提案されている(特許文献3〜5参照)。詳述すると、ポリオルガノシロキサン微粒子に対して、乳化状態の単量体を接触させることで、ポリオルガノシロキサン微粒子よりも大きな粒子径を有する粒子を調製する。次いで、その粒子中の単量体を重合させることで、重合体粒子を形成する。こうした製造方法によれば、重合体粒子を所望の粒子径に形成することが容易であるとともに粒子径分布を狭くすることもできるようになる。
特開平09−185069号公報 特開2000−319309号公報 特開平11−199671号公報 特開2004−123454号公報 特開2003−183337号公報
上述したように、柔軟性が高く、且つ、圧縮変形後の回復性が高い粒子が求められている。ところが、特許文献1及び2では、柔軟性を高めた場合、圧縮変形後の回復性が低下することになるため、柔軟性、及び、圧縮変形後の回復性のいずれの性能も高めることは困難であった。特許文献3及び4では、ポリオルガノシロキサン微粒子を形成するオルガノシロキサン、及びポリオルガノシロキサン微粒子に吸収させる単量体が多数列挙されている。特許文献5においては、(メタ)アクリロキシ基を有するポリシロキサン粒子に重合体を複合させている。ところが、特許文献3〜5では、得られる重合体粒子において、柔軟性、及び、圧縮変形後の回復性のいずれの性能も高める構成について何ら考慮されていない。
本発明は、特定のオルガノアルコキシシランの重合体と特定のビニル系単量体の重合体との複合により、柔軟性、及び、圧縮変形後の回復性のいずれの性能も高まることを見出すことでなされたものである。本発明の目的は、柔軟性、及び、圧縮変形後の回復性の高められた重合体粒子の製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために請求項に記載の発明は、オルガノアルコキシシランが含まれる第1単量体を重合させることにより、液滴状態の第1重合体を含む第1粒子を形成する第1粒子形成工程と、前記第1粒子に対して、乳化状態のビニル系単量体を含む第2単量体を接触させることにより、前記第1粒子に前記第2単量体を吸収させた第2粒子を形成する第2粒子形成工程と、前記第2粒子に含まれる前記第2単量体を重合させる重合工程とを含み、前記オルガノアルコキシシランはフェニル基を有するオルガノアルコキシシランを含むとともに、前記ビニル系単量体はアリール基を有するビニル系単量体を含むことを要旨とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の重合体粒子の製造方法において、第1粒子形成工程が、フェニル基を有するジアルコキシシラン及びフェニル基を有するトリアルコキシシランの少なくとも一方のオルガノアルコキシシランを水性溶媒に溶解した後に、触媒を加えて、前記水性溶媒中にて前記第1粒子を形成する工程であることを要旨とする。
請求項に記載の発明は、請求項又は請求項に記載の重合体粒子の製造方法において、前記ビニル系単量体の有するアリール基がフェニル基であることを要旨とする。
請求項に記載の発明は、請求項から請求項のいずれか一項に記載の重合体粒子の製造方法において、前記第1粒子の平均粒子径に対して前記重合体粒子の平均粒子径が3.5倍以上となるように前記第2粒子形成工程を実施することを要旨とする。
請求項に記載の発明は、請求項から請求項のいずれか一項に記載の重合体粒子の製造方法において、前記第1粒子が、前記第2単量体に対して共有結合する官能基を有していないことを要旨とする。
本発明によれば、柔軟性、及び、圧縮変形後の回復性を高めることができる。
以下、本発明を具体化した実施形態について詳細に説明する。
本実施形態における重合体粒子は、オルガノアルコキシシランを含む第1単量体より重合されてなる第1重合体と、ビニル系単量体を含む第2単量体より重合されてなる第2重合体とが複合されてなる。第1単量体には、フェニル基を有するオルガノアルコキシシランが含まれる。第2単量体には、アリール基を有するビニル系単量体が含まれる。重合体粒子における10%圧縮弾性率は、0.5〜2.2GPaの範囲であり、重合体粒子における圧縮変形後の回復率は、70〜100%の範囲である。
まず、第1単量体について説明する。
第1単量体には、フェニル基を有するオルガノアルコキシシランが含まれる。これにより、重合体粒子の柔軟性、及び圧縮変形後の回復性のいずれの性能も高めることができる。フェニル基を有するオルガノアルコキシシランは、フェニル基を有するジアルコキシシラン、及びフェニル基を有するトリアルコキシシランに分類される。フェニル基を有するジアルコキシシランとしては、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジ−n−プロポキシシラン、ジフェニル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジフェニル−ジ−n−ブトキシシラン、ジフェニル−ジ−sec−ブトキシシラン及びジフェニル−ジ−tert−ブトキシシランから選ばれる少なくとも一種が挙げられる。フェニル基を有するジアルコキシシランの中でも、ジフェニルジメトキシシラン及びジフェニルジエトキシシランから選ばれる少なくとも一種が好ましい。
フェニル基を有するトリアルコキシシランとしては、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニル−トリ−n−プロポキシシラン、フェニル−トリ−iso−プロポキシシラン、フェニル−トリ−n−ブトキシシラン、フェニル−トリ−sec−ブトキシシラン及びフェニル−トリ−tert−ブトキシシランから選ばれる少なくとも一種が挙げられる。フェニル基を有するトリアルコキシシランの中でも、フェニルトリメトキシシラン及びフェニルトリエトキシシランから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
第1単量体は、フェニル基を有するオルガノアルコキシシラン以外のオルガノアルコキシシランを含んでいてもよい。フェニル基を有するオルガノアルコキシシラン以外のオルガノアルコキシシランとしては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン等のアルキルジアルコキシシラン化合物、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン化合物、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメチルシラン等のビニルアルキルシラン化合物、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のグリシドキシ基を有するアルキルシラン化合物、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリロイルオキシ基を有するアルキルシラン化合物、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等のメタクリロイルオキシ基を有するアルキルシラン化合物等が挙げられる。
第1単量体中において、フェニル基を有するオルガノアルコキシシランの含有量は、得られる重合体粒子における10%圧縮弾性率、及び、圧縮変形後の回復率が上記範囲となるように設定される。この点、第1単量体に含まれる単量体全体のモル量に対して、フェニル基を有するオルガノアルコキシシランを50モル%以上含むことが好ましい。
次に、第2単量体について説明する。
第2単量体には、アリール基を有するビニル系単量体が含まれる。これにより、重合体粒子の柔軟性、及び、圧縮変形後の回復性のいずれの性能も高めることができる。アリール基としては、例えば炭素数6〜10のものが挙げられ、具体的にはフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。アリール基を有するビニル系単量体の具体例としては、スチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、パラ−メチルスチレン、ビニルキシレン、ジビニルキシレン、ビニルナフタレン、ジビニルナフタレン、クロルスチレン、フェニルビニルケトン等が挙げられる。これらのアリール基を有するビニル系単量体は、単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。これらのビニル系単量体の中でも、アリール基がフェニル基である単量体が好ましい。フェニル基を有するビニル系単量体としては、スチレン、ジビニルベンゼン、フェニルビニルケトン等が挙げられる。
第2単量体は、アリール基を有するビニル系単量体以外の単量体を含んでいてもよい。アリール基を有するビニル系単量体以外の単量体としては、ラジカル重合性を有する単量体であって、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−アミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、γ−ヒドロキシプロピルアクリレート等のアクリル酸エステル類及びこれらに対応するメタクリル酸エステル類、エチレングリコールジアクリレート、グリセリンジアクリレート、グリセリントリアクリレート等の多価アルコールのアクリレート類、エチレングリコールジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、グリセリントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート等の多価アルコールのメタクリレート類等が挙げられる。
第2単量体中において、アリール基を有するビニル系単量体の含有量は、得られる重合体粒子における10%圧縮弾性率、及び、圧縮変形後の回復率が上記範囲となるように設定される。この点、第2単量体に含まれる単量体全体のモル量に対して、アリール基を有するビニル系単量体を50モル%以上含むことが好ましい。
続いて、重合体粒子について説明する。
重合体粒子において、第1単量体を重合させてなる第1重合体はアリール基を有しているとともに、第2単量体を重合させてなる第2重合体はフェニル基を有している。こうしたアリール基とフェニル基とにより、第1重合体と第2重合体との相溶性、物理的又は化学的な吸着性等は高められている。このような第1重合体と第2重合体とが複合されることで、柔軟性と圧縮変形後の回復性とのいずれの性能も高めた構成をはじめて実現することができる結果、10%圧縮弾性率、及び、圧縮変形後の回復率は上記範囲とされている。
なお、重合体粒子においては、柔軟性を高めるという観点から、第1重合体と第2重合体とを結合する共有結合を有しないことが好ましい。すなわち、第1重合体と第2重合体とを結合する共有結合を有している場合、10%圧縮弾性率は高まるものの、柔軟性は十分に得られ難くなる。
重合体粒子の10%圧縮弾性率は、0.5〜2.2GPaの範囲であり、好ましくは1.0〜2.1GPaの範囲である。重合体粒子の10%圧縮弾性率が0.5GPa未満の場合、重合体粒子の強度が十分に得られない。一方、重合体粒子の10%圧縮弾性率が2.2GPaを超える場合、重合体粒子の柔軟性が十分に得られない。この点、重合体粒子の圧縮変形後の回復率は、70〜100%の範囲であり、好ましくは85〜100%の範囲である。
また、重合体粒子は、真球状の単分散粒子であって、重合体粒子の平均粒子径は、好ましくは10〜200μmの範囲であり、同重合体粒子のCV値は、好ましくは10%以下の範囲である。CV値(粒度分布の変動係数)は、下式により求められる。
CV値(%)={[粒子径の標準偏差(μm)]/[平均粒子径(μm)]}×100
このようにして得られた重合体粒子は、例えば液晶表示装置スペーサ、EL表示装置スペーサ、タッチパネル用スペーサ、各種基板の基板間の距離を均一に保持するためのスペーサ、導電性粒子のコア材等として好適に用いられる。こうした用途において、重合体粒子の10%圧縮弾性率、及び圧縮変形後の回復率は、上記範囲とされているため、柔軟性、及び、圧縮変形後の回復性に優れる。従って、例えば、表示画像の質の低下防止、基板及び配線の損傷防止、耐久性向上等を図ることができる。しかも、10%圧縮弾性率、及び圧縮変形後の回復率を高めた際においても、圧縮時の破壊荷重が高く維持されるため、圧縮荷重に対して損傷を受け難い。この点、本実施形態における重合体粒子の圧縮破壊荷重は750mN以上とすることが好ましい。また、重合体粒子には、フェニル基及びアリール基が導入されているため、例えば熱的安定性、化学的安定性に優れた性能を発揮することができるようになる。
次に、重合体粒子の製造方法について説明する。
本実施形態の重合体粒子は、液滴状態の第1重合体を含む第1粒子を形成する第1粒子形成工程と、第1粒子に第2単量体を吸収させた第2粒子を形成する第2粒子形成工程と、第2粒子に含まれる第2単量体を重合させる重合工程とを通じて製造される。
第1粒子形成工程では、オルガノアルコキシシランが含まれる第1単量体を重合させる。上述したように、第1単量体には、フェニル基を有するオルガノアルコキシシランが含まれている。具体的には、フェニル基を有するジアルコキシシラン及びフェニル基を有するトリアルコキシシランの少なくとも一方のオルガノアルコキシシランを水性溶媒に溶解した後に、触媒を加えて、水性溶媒中にて第1粒子を形成する。
第1粒子形成工程では、フェニル基を有するオルガノアルコキシシランを水性溶媒に溶解した後に、触媒を加えて、水性溶媒中にてオルガノアルコキシシランを加水分解及び縮合させる。より具体的には、フェニル基を有するジアルコキシシラン及びフェニル基を有するトリアルコキシシランの少なくとも一方のオルガノアルコキシシランを水性溶媒に溶解した後に、触媒を加えて、水性溶媒中にて第1粒子を形成する。
水性溶媒としては、水と水混和性有機溶剤との混合溶媒、又は水が挙げられる。水混和性有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコール類、アセトン、ジメチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル等のエーテル類等が挙げられる。これら水混和性有機溶剤は、単独で水と混合してもよいし、二種以上を組み合わせて水と混合してもよい。
水性溶媒は、フェニル基を有するオルガノアルコキシシランの溶解性を高めるという観点から、水と炭素数1〜3のアルコールとの質量比が1/3〜1/1の範囲の混合溶媒であることが好ましい。
加水分解及び縮合の触媒としては、アンモニア及びアミンの少なくとも一方が挙げられる。アミンとしては、例えばモノメチルアミン、ジメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン等が挙げられる。こうした触媒は、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。触媒の中でも、毒性が少なく、粒子から除去することが容易であり、かつ安価であるという観点から、アンモニアが好適である。
触媒を用いた加水分解及び縮合の反応形態は、混合均一系反応又は二層系反応が挙げられる。混合均一系反応は、フェニル基を有するオルガノアルコキシシラン及び触媒を水性溶媒に溶解した後に、溶液を撹拌しながら、加水分解及び縮合を行う反応である。この混合均一系反応において、反応開始時のpHは、好ましくは9.7〜11.7、より好ましくは9.7〜11.2である。そして、反応開始時のpHよりも例えば0.7〜1.5の範囲で低下するまで、反応を進行させる。反応終了時のpHは、例えば9.0〜11.0の範囲である。混合均一系反応における反応温度は、アルコキシシラン化合物の種類に応じて適宜設定されるが、例えば0〜50℃の範囲であることが好適である。
二層系反応においては、比重(23℃)が1以下であるフェニル基を有するオルガノアルコキシシランが原料として用いられる。二層系反応は、フェニル基を有するオルガノアルコキシシランと、触媒を溶解した水性溶液とから形成される二層の状態を保持しながら、フェニル基を有するオルガノアルコキシシランと水性溶液との界面においてフェニル基を有するオルガノアルコキシシランを加水分解及び縮合させる。このとき、二層の状態を維持する範囲で撹拌してもよい。触媒の添加量は、特に制限はないが、下層のpHが例えば9.0〜12.0の範囲になる添加量とすることが好ましい。こうした二層系反応により、上層のフェニル基を有するオルガノアルコキシシランが加水分解されて下層に移行し、同下層においてポリオルガノシロキサン微粒子が生成する。二層系反応における反応温度は、フェニル基を有するオルガノアルコキシシランの種類に応じて適宜設定されるが、例えば0〜50℃の範囲が好適である。
以上のように、第1単量体に含まれるオルガノアルコキシシランを加水分解及び縮合させることで、第1粒子の分散液が得られる。第1粒子には液滴状態の第1重合体が含まれている。なお、第1粒子の平均粒子径は、例えば0.1〜100μmの範囲であることが好ましい。
第2粒子形成工程では、第1粒子に対して、乳化状態のビニル系単量体を含む第2単量体を接触させる。上述したように、第2単量体には、アリール基を有するビニル系単量体が含まれている。
ビニル系単量体は、同単量体を乳化剤とともに水性分散媒に分散させる。これにより、ビニル系単量体をO/W型エマルションとして乳化状態とすることができる。ここで、O/W型エマルションの水相を構成する水性分散媒としては、水と水混和性有機溶剤との混合溶媒、又は水が挙げられる。水混和性有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコール類、アセトン、ジメチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル等のエーテル類等が挙げられる。これら水混和性有機溶剤は、単独で水と混合してもよいし、二種以上を組み合わせて水と混合してもよい。
乳化剤としては、単量体の種類等に応じて、O/W型エマルションの形成に適したHLB値に適したものを選択することができる。乳化剤としては、例えば炭素数6〜30のアルキル基を有するアルキル硫酸塩が好適に使用される。アルキル硫酸塩の塩としては、カリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。ここで、重合体粒子を液晶表示装置のスペーサ等の電子部品用途に適用する場合には、カリウムイオン、ナトリウムイオン等は電気的な特性に影響を及ぼすおそれがある。このため、乳化剤としては、アルキル硫酸アンモニウムを用いることが好ましい。乳化剤の配合量は、単量体100質量部に対して、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50重量部以下である。乳化剤の配合量が単量体100質量部に対して100質量部を超える場合、ビニル系単量体が第1粒子に吸収され難くなるおそれがある。
ビニル系単量体は、ラジカル重合を開始するラジカル重合開始剤とともに乳化状態とされる。ラジカル重合開始剤の種類は、特に限定されず、例えば2,2′−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系重合開始剤、過酸化ベンゾイル等の過酸化物が挙げられる。このラジカル重合開始剤の添加量は、単量体1モルに対して、好ましくは0.001〜20モル、より好ましくは0.01〜10モルの範囲である。
O/Wエマルションの調製は、例えばホモジナイザー等の撹拌機を用いて単量体、分散媒、乳化剤、及びラジカル重合開始剤を混合することで得られる。こうして得られたO/Wエマルションと第1粒子とを混合することにより、乳化状態のビニル系単量体を第1粒子に接触させる。第2単量体の使用量は、特に限定されないが、上記アルコキシシランの使用量100質量部に対して、好ましくは0.1〜5000質量部、より好ましくは1〜3000質量部である。
このようにして第1粒子に第2単量体が吸収されることで第2粒子が形成される。すなわち、第1粒子がシード粒子となって第2粒子が成長する。このとき、第1粒子には、フェニル基を有するオルガノアルコキシシランの重合体が含有されている。そして、第2単量体には、アリール基を有するビニル系単量体が含有されている。このため、第1粒子に含まれるアリール基とビニル系単量体の有するアリール基との相互作用により、上記第1粒子に対する上記ビニル系単量体の吸収力が高まると推測される。このようにして得られた第2粒子の分散液では、粒子径測定において、第1粒子よりも粒子径の大きい第2粒子が確認されるようになる。このとき、上記吸収力が高まることで、第2粒子の成長が促進されるため、第2粒子を所望の粒子径まで成長するために要する時間を短縮することができるようになる。
第2粒子形成工程において第2単量体を吸収させる時間は、24時間未満であることが好ましい。吸収させる時間が24時間を超える場合、生産性の低下を招き、かつ、第2粒子の安定性が低下する結果、凝集や粒度分布が多分散になる等の不具合を引き起こすおそれがある。
続いて、重合工程においては、第2粒子の分散液をラジカル重合開始剤の種類に応じて所定の温度まで加熱することでビニル系単量体のラジカル重合反応を開始させる。こうしたラジカル重合反応により、重合体粒子の分散液が得られる。
次に、重合体粒子を洗浄する洗浄工程が実施される。この洗浄工程においては、重合体粒子分散液から重合体粒子を分離した後に、その重合体粒子を水性分散媒等により洗浄することで効率的に洗浄することができる。洗浄された重合体粒子は、分散媒に再分散することで、重合体粒子の分散液として得ることができる。また、洗浄された重合体粒子は、乾燥されることで粉体として得ることができる。
ここで、本実施形態の製造方法では、上記第2粒子形成工程において第1粒子に対してビニル系単量体の吸収力が高まることから、重合体粒子は第1粒子に対してより大きく形成することができることを利点としている。この点、重合体粒子の平均粒子径が、第1粒子の平均粒子径に対して3.5倍以上となるように、上記第2粒子形成工程を実施することが好適である。このようにして、第1粒子から重合体粒子を製造するに際して、本実施形態の製造方法は、製造効率を高める上で極めて有効である。
以上詳述した本実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
(1)本実施形態の重合体粒子では、上記第1単量体より重合されてなる第1重合体と、上記第2単量体より重合されてなる第2重合体とが複合されている。この重合体粒子では、10%圧縮弾性率が0.5〜2.2GPaの範囲であり、圧縮変形後の回復率が70〜100%の範囲である。したがって、柔軟性、及び、圧縮変形後の回復性の高められた重合体粒子が提供される。しかも、そうした性能を高めた際においても、破壊荷重が高く維持されるため、圧縮荷重に対して損傷を受け難い。
(2)10%圧縮弾性率が、1.0〜2.1GPaの範囲であり、圧縮変形後の回復率が85〜100%の範囲であることにより、柔軟性、及び、圧縮変形後の回復性に優れる重合体粒子が提供される。
(3)ビニル系単量体の有するアリール基がフェニル基であることで、10%圧縮弾性率、及び圧縮変形後の回復率は上記範囲とすることが容易である。
(4)また、第1重合体の体積に対する第2重合体の体積が、40倍以上であることで、10%圧縮弾性率、及び圧縮変形後の回復率を上記範囲とすることが容易である。
(5)また、重合体粒子においては、第1重合体と第2重合体とを結合する共有結合を有しない構成とすることで、10%圧縮弾性率、及び圧縮変形後の回復率は上記範囲とすることが容易である。
(6)また、重合体粒子においては、平均粒子径が10〜200μmの範囲であり、CV値が10%以下の範囲とした場合、例えば液晶表示装置スペーサ、EL表示装置スペーサ、タッチパネル用スペーサ、各種基板の基板間の距離を均一に保持するためのスペーサ、導電性粒子のコア材等として、柔軟性、及び、圧縮変形後の回復性を十分に発揮させることができる。
(7)本実施形態の重合体粒子の製造方法では、オルガノアルコキシシランはフェニル基を有するオルガノアルコキシシランを含むとともに、ビニル系単量体はアリール基を有するビニル系単量体を含んでいる。この製造方法によれば、柔軟性、及び、圧縮変形後の回復性の高められた重合体粒子の製造方法が提供される。
(8)第1粒子形成工程では、フェニル基を有するジアルコキシシラン及びフェニル基を有するトリアルコキシシランの少なくとも一方のオルガノアルコキシシランを水性溶媒に溶解した後に、触媒を加えて、水性溶媒中にて第1粒子を形成することで、第1粒子を容易に形成することができる。
(9)本実施形態の重合体粒子の製造方法では、ビニル系単量体の有するアリール基がフェニル基であることにより、第2粒子形成工程において、第1粒子に対する第2単量体の吸収力が高められる。これにより、第2粒子の成長が促進される結果、第2粒子を所望の粒子径まで成長するために要する時間を短縮することができるようになる。従って、所望の粒子径を有する重合体粒子を効率的に得ることが容易となる。
(10)上述したように第2粒子の成長が促進されるため、第1粒子の平均粒子径に対して重合体粒子の平均粒子径が3.5倍以上となるように第2粒子形成工程を実施する際に特に有効である。
(11)第1粒子は、第2単量体に対して共有結合する官能基を有していないことで、柔軟性、及び、圧縮変形後の回復性をさらに高めることが容易である。
なお、前記実施形態を次のように変更して構成してもよい。
・第1単量体又は第2単量体に、分散剤、着色剤等の添加剤を含有させてもよい。すなわち、第1重合体又は第2重合体に、添加剤が含有されていてもよい。
・前記重合体粒子をコアとして、その粒子表面に、各種表面処理を施してもよい。また、重合体粒子に各種コーティング剤をコーティングしてもよい。
上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
・前記第2単量体は、アルキル硫酸アンモニウムを乳化剤として乳化状態とされる重合体粒子の製造方法。この場合、例えば電子部品用途に適用するに際して、重合体粒子に残留した乳化剤が電子部品の電気的な特性に影響を及ぼすことを低減することができる。
・前記乳化状態が、O/W型エマルションである重合体粒子の製造方法。
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
<第1粒子形成工程>
1リットル容量のガラス製セパラブルフラスコにイオン交換水100g及びメタノール200gからなる水性溶媒を入れた後に、そのセパラブルフラスコを20℃に調整した恒温槽内に設置した。次に、水性溶媒を撹拌羽根により撹拌しながら、フェニル基を有するオルガノアルコキシシラン(第1単量体)としてのフェニルトリメトキシシラン50gを加えて2時間撹拌した。続いて、25質量%のアンモニア水0.5mlを触媒として加えた後に、更に1時間撹拌することにより、第1粒子分散液を得た。なお、第1粒子分散液は、混合均一系反応によって調製されている。得られた第1粒子の平均粒子径をベックマンコールター社製のコールターカウンター、商品名“マルチサイザーIII”にて測定した結果、8.75μmであった。また、得られた第1粒子のCV値は、6.0%であった。
<第2粒子形成工程>
第2単量体を乳化状態とした乳化液(O/W型エマルション)を調製した。この乳化液は、2リットル容量のガラス製セパラブルフラスコにイオン交換水375gを入れた後、アリール基を有するビニル系単量体(第2単量体)としての55質量%ジビニルベンゼン125gに、ラジカル重合開始剤としての2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)1.3gを溶解させた溶液と、乳化剤としての20質量%ドデシル硫酸アンモニウム水溶液4.2gとを加え、ホモジナイザーにて3分間撹拌することにより調製した。次に、乳化液の入った上記セパラブルフラスコを、30℃に調整した恒温槽内に設置した後、乳化液を撹拌羽根により撹拌しながら、同乳化液に上記第1粒子分散液30gを加えた。これにより、第1粒子にはジビニルベンゼンが吸収されることで、第1粒子の膨潤とともに第2粒子の形成が開始される。そして恒温槽を30℃に保持した状態で3時間撹拌することにより、第2粒子分散液を得た。同第2粒子分散液中の第2粒子を光学顕微鏡にて観察したところ、その粒子径は約30μmであった。なお、第2粒子分散液の撹拌は、乳化液に第1粒子分散液30gを加えてから17時間後まで継続した。
<重合工程>
第2粒子分散液の撹拌を継続した状態で、恒温槽を70℃に昇温することにより、第2粒子に含まれるジビニルベンゼンのラジカル重合反応を開始した。恒温槽を70℃に保持するとともに5時間撹拌を継続することにより、重合体粒子分散液を得た。次に、撹拌を停止するとともに恒温槽による加温を停止することで、ラジカル重合反応を停止した。
<洗浄工程>
洗浄工程においては、得られた重合体粒子と分散媒とを遠心分離機によって分離した後、上澄みを捨て、さらにメタノールを加えることにより重合体粒子を再分散させた。この操作を3回繰り返すことにより、重合体粒子の洗浄を行い、最後にメタノールを除去した。次に、重合体粒子をオーブンで120℃にて1時間乾燥処理を行うことにより、重合体粒子を粉体として得た。得られた重合体粒子の平均粒子径をベックマンコールター社製のコールターカウンター、商品名“マルチサイザーIII”にて測定したところ、39.40μmであった。また、得られた重合体粒子のCV値は、5.4%であった。
ここで、第1粒子の平均粒子径d1に対する重合体粒子の平均粒子径d2の比率R1(比率R1=重合体粒子の平均粒子径d2/第1粒子の平均粒子径d1)は、39.40μm/8.75μm≒4.5であった。
また、第1重合体の体積V1に対する第2重合体の体積V2の比率R2(比率R2=第2重合体の体積V2/第1重合体の体積V1)は、91であった。なお、第1重合体の体積V1は、第1粒子の平均粒子径d1及び比重から算出されるとともに、第2重合体の体積V2は、第1重合体の体積V1、重合体粒子の平均粒子径d2及び第2重合体の比重から算出される。
<重合工程及び洗浄工程>
重合工程及び洗浄工程は、実施例1と同様にして行った。得られた重合体粒子の平均粒子径は49.36μmであり、CV値は2.57%であった。また、上記比率R1は約3.0であり、上記比率R2は約27であった。
(比較例1)
<第1粒子形成工程>
1リットル容量のガラス製セパラブルフラスコにイオン交換水400gを入れた後に、そのセパラブルフラスコを25℃に調整した恒温槽内に設置した。次に、水性溶媒を撹拌羽根により撹拌しながら、第1単量体としてのビニルトリメトキシシラン30gを加えて1時間撹拌した。続いて、1モル/リットルのアンモニア水0.05mlを触媒として加えた後に、更に1時間30分撹拌することにより、第1粒子分散液を得た。なお、第1粒子分散液は、混合均一系反応によって調製されている。得られた第1粒子の平均粒子径は4.360μmであり、CV値は2.65%であった。
<第2粒子形成工程>
第2単量体を乳化状態とした乳化液(O/W型エマルション)を調製した。この乳化液は、1リットル容量のガラス製セパラブルフラスコにイオン交換水150gを入れた後、第2単量体としてのエチレングリコールジメタアクリレート50gに、ラジカル重合開始剤としての2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)0.5gを溶解させた溶液と、乳化剤としての20質量%ドデシル硫酸アンモニウム水溶液1.7gとを加え、ホモジナイザーにて3分間撹拌することにより調製した。次に、乳化液の入った上記セパラブルフラスコを、30℃に調整した恒温槽内に設置した後、乳化液を撹拌羽根により撹拌しながら、上記第1粒子分散液5gを加えた。これにより、第1粒子には、エチレングリコールジメタアクリレートが吸収されることで、第1粒子の膨潤とともに第2粒子の形成が開始される。そして恒温槽を30℃に保持した状態で3時間撹拌することにより、第2粒子分散液を得た。
<重合工程及び洗浄工程>
重合工程及び洗浄工程は、実施例1と同様にして行った。得られた重合体粒子の平均粒子径は、31.08μmであり、CV値は1.87%であった。また、上記比率R1は約7.13であり、上記比率R2は約362であった。
(比較例2)
<第1粒子形成工程>
1リットル容量のガラス製セパラブルフラスコにイオン交換水300gを入れた後に、そのセパラブルフラスコを30℃に調整した恒温槽内に設置した。次に、水性溶媒を撹拌羽根により撹拌しながら、第1単量体としてのγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン40gを加えて3時間撹拌した。続いて、1モル/リットルのアンモニア水0.1mlを触媒として加えた後に、更に2時間撹拌することにより、第1粒子分散液を得た。なお、第1粒子分散液は、混合均一系反応によって調製されている。得られた第1粒子の平均粒子径は10.23μmであり、CV値は2.93%であった。
<第2粒子形成工程>
第2単量体を乳化状態とした乳化液(O/W型エマルション)を調製した。乳化液は、2リットル容量のガラス製セパラブルフラスコにイオン交換水375gを入れた後、第2単量体としてのエチレングリコールジメタアクリレート125gに、ラジカル重合開始剤としての2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)1.3gを溶解させた溶液と、乳化剤としての20質量%ドデシル硫酸アンモニウム水溶液4.2gとを加え、ホモジナイザーにて3分間撹拌することにより調製した。次に、乳化液の入った上記セパラブルフラスコを、30℃に調整した恒温槽内に設置した後、乳化液を撹拌羽根により撹拌しながら、上記第1粒子分散液120gを加えた。これにより、第1粒子には、エチレングリコールジメタアクリレートが吸収されることで、第1粒子の膨潤とともに第2粒子の形成が開始される。そして恒温槽を30℃に保持した状態で3時間撹拌することにより、第2粒子分散液を得た。
<重合工程及び洗浄工程>
重合工程及び洗浄工程は、実施例1と同様にして行った。得られた重合体粒子の平均粒子径は、23.82μmであり、CV値3.25%であった。また、上記比率R1は約2.23であり、上記比率R2は約13であった。
(比較例3)
<第1粒子形成工程>
1リットル容量のガラス製セパラブルフラスコにイオン交換水300gを入れた後に、そのセパラブルフラスコを30℃に調整した恒温槽内に設置した。次に、水性溶媒を撹拌羽根により撹拌しながら、第1単量体としてのγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン40gを加えて3時間撹拌した。続いて、1モル/リットルのアンモニア水0.1mlを触媒として加えた後に、更に2時間撹拌することにより、第1粒子分散液を得た。なお、第1粒子分散液は、混合均一系反応によって調製されている。得られた第1粒子の平均粒子径は11.56μmであり、CV値は3.16%であった。
<第2粒子形成工程>
第2単量体を乳化状態とした乳化液(O/W型エマルション)を調製した。乳化液は、2リットル容量のガラス製セパラブルフラスコにイオン交換水750gを入れた後、第2単量体としてのエチレングリコールジメタアクリレート250gに、ラジカル重合開始剤としての2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)2.5gを溶解させた溶液と、乳化剤としての20質量%ドデシル硫酸アンモニウム水溶液8.4gとを加え、ホモジナイザーにて3分間撹拌することにより調製した。次に、乳化液の入った上記セパラブルフラスコを、30℃に調整した恒温槽内に設置した後、乳化液を撹拌羽根により撹拌しながら、上記第1粒子分散液50gを加えた。これにより、第1粒子には、エチレングリコールジメタアクリレートが吸収されることで、第1粒子の膨潤とともに第2粒子の形成が開始される。そして恒温槽を30℃に保持した状態で3時間撹拌することにより、第2粒子分散液を得た。
<重合工程及び洗浄工程>
重合工程及び洗浄工程は、実施例1と同様にして行った。得られた重合体粒子の平均粒子径は、48.91μmであり、CV値は2.25%であった。また、上記比率R1は約4.23であり、上記比率R2は約76であった。
(比較例4)
<第1粒子形成工程>
1リットル容量のガラス製セパラブルフラスコにイオン交換水300gを入れた後に、そのセパラブルフラスコを30℃に調整した恒温槽内に設置した。次に、イオン交換水を撹拌羽根により撹拌しながら、第1単量体としてのγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン40gを加えて2時間撹拌した。続いて、1モル/リットルのアンモニア水0.1mlを触媒として加えた後に、更に1時間撹拌することにより、第1粒子分散液を得た。なお、第1粒子分散液は、混合均一系反応によって調製されている。得られた第1粒子の平均粒子径は11.38μmであり、CV値は3.23%であった。
<第2粒子形成工程>
第2単量体としてのジビニルベンゼンを乳化状態とした乳化液を実施例1と同様にして調製した。次に、乳化液の入った上記セパラブルフラスコを、30℃に調整した恒温槽内に設置した後、乳化液を撹拌羽根により撹拌しながら、上記第1粒子分散液30gを加えた。恒温槽を30℃に保持した状態で3時間撹拌した後、形成した第2粒子を光学顕微鏡にて観察したところ、第2粒子の粒子径は約12μmであった。この結果から、比較例4の第1粒子は、実施例1の第1粒子よりもジビニルベンゼンが吸収され難いことがわかる。なお、第2粒子分散液の撹拌は、乳化液にポリオルガノシロキサン微粒子分散液30gを加えてから17時間後まで継続することにより、第2粒子分散液を得た。
<重合工程及び洗浄工程>
重合工程及び洗浄工程は、実施例1と同様にして行った。得られた重合体粒子の平均粒子径は、27.55μmであり、CV値は3.35%であった。また、上記比率R1は約2.4であり、上記比率R2は約14であった。
(圧縮特性の測定)
各例の重合体粒子について、以下に示される項目の測定を行った。なお、各測定は、温度25℃の条件で、n=10として実施し、得られた測定値の平均値を求めた。各例の結果を表1に示している。
(1)10%圧縮弾性率(E値)
微小圧縮試験機(島津製作所社製、MCTE−200)を用いて測定した。同試験機の鋼板製試料台上に、重合体粒子を散布した後、その中の重合体粒子1個について、直径50μmのダイヤモンド製の円柱体からなる平面圧子により、重合体粒子の中心方向に一定の負荷速度で荷重をかけた。負荷速度は、0.284mN/秒(0.029gf/秒)にて行った。このときの荷重−圧縮変位を測定することにより、粒子径の10%変位時における荷重を求めた。この荷重と重合体粒子の圧縮変位及び粒子径を次式に代入し、10%圧縮弾性率を算出した。
E=[3×P10×(1−K)]/[20.5×S1.5×R0.5
ただし、Eは圧縮弾性率(MPa)、P10は圧縮荷重(N)、Kは粒子のポアソン比、Sは圧縮変位(mm)、Rは粒子の半径(mm)を示す。なお、実施例1では、重合体粒子がスチレン系であることから、上記ポアソン比Kを0.34とし、比較例1〜4では、重合体粒子がアクリル系であることから、上記ポアソン比Kを0.35とした。
(2)圧縮変形後の回復率
上記測定機を用いて、同様に試料台上に散布した粒子1個について、粒子の中心方向に、反転荷重値(9.81mN=1.0gf)となるまで負荷を与え、その後、原点用荷重値(0.20mN=0.02gf)となるまで徐荷を行った。負荷速度は、1.422mN/秒(0.145gf/秒)とした。このときの荷重−圧縮変位を測定し、原点用荷重値から反転荷重値までの変位をL1とし、原点用荷重値から、反転荷重徐荷後の原点用荷重値までの変位をL2とし、下記式に代入して、回復率を求めた。
圧縮変形後の回復率(%)=[(L1−L2)/L1]×100
(3)破壊荷重
上記測定機を用いて、同様に試料台上に散布した粒子1個について、粒子中心方向に、負荷を与え、圧縮破壊荷重を測定した。
表1中、PTMSはフェニルトリメトキシシラン、VTMSはビニルトリメトキシシラン、DVBはジビニルベンゼン、EGDMAはエチレングリコールジメタクリレート、及びMPTMSはγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを示している。
表1の結果から明らかなように、実施例1における10%圧縮弾性率は、各比較例における10%圧縮弾性率よりも低い値を示している。ここで、各比較例の中でも、10%圧縮弾性率が最も低い値を示している例は、比較例2及び4である。これら比較例2及び4における圧縮変形後の回復率と、実施例1における圧縮変形後の回復率とを比較すると、実施例1では比較例2及び4よりも圧縮変形後の回復率が高いことがわかる。しかも、実施例1における圧縮破壊荷重は、比較例2及び4における圧縮破壊荷重よりも高いことがわかる。

Claims (5)

  1. オルガノアルコキシシランが含まれる第1単量体を重合させることにより、液滴状態の第1重合体を含む第1粒子を形成する第1粒子形成工程と、
    前記第1粒子に対して、乳化状態のビニル系単量体を含む第2単量体を接触させることにより、前記第1粒子に前記第2単量体を吸収させた第2粒子を形成する第2粒子形成工程と、
    前記第2粒子に含まれる前記第2単量体を重合させる重合工程とを含み、
    前記オルガノアルコキシシランはフェニル基を有するオルガノアルコキシシランを含むとともに、前記ビニル系単量体はアリール基を有するビニル系単量体を含むことを特徴とする重合体粒子の製造方法。
  2. 第1粒子形成工程が、フェニル基を有するジアルコキシシラン及びフェニル基を有するトリアルコキシシランの少なくとも一方のオルガノアルコキシシランを水性溶媒に溶解した後に、触媒を加えて、前記水性溶媒中にて前記第1粒子を形成する工程であることを特徴とする請求項に記載の重合体粒子の製造方法。
  3. 前記ビニル系単量体の有するアリール基がフェニル基であることを特徴とする請求項又は請求項に記載の重合体粒子の製造方法。
  4. 前記第1粒子の平均粒子径に対して前記重合体粒子の平均粒子径が3.5倍以上となるように前記第2粒子形成工程を実施することを特徴とする請求項から請求項のいずれか一項に記載の重合体粒子の製造方法。
  5. 前記第1粒子が、前記第2単量体に対して共有結合する官能基を有していないことを特徴とする請求項から請求項のいずれか一項に記載の重合体粒子の製造方法。
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