JP5529641B2 - 容器 - Google Patents

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本発明は、容器に関するものであり、例えば金属または合金の溶湯等を内部に収容することが可能な容器に関する。
鋳造法は、製品への形状付与が容易であるという特徴を有し、自動車用をはじめとする多くの機械部品を製作する上での基盤技術となっている。一般の鋳造処理工程には、鋳造材料(原料)の溶解、溶解材料(溶湯)の容器への注入、鋳造装置への容器の運搬、および溶湯を用いた鋳造装置による鋳造の各ステップが含まれる。
ここで、通常の場合、溶湯の運搬に使用される容器には、放熱ロスの問題が絶えず存在する。すなわち、容器中に注入された溶湯の熱は、容器の内表面〜容器の外面を介して、外部に放出される。従って、容器の運搬の間に、容器内の溶湯の温度が低下し、鋳造開始時に、所望の温度の溶湯が得られなくなってしまうという問題が生じ得る。またそのような放熱ロスは、エネルギーロスの観点から、鋳造工程全体のエネルギー効率に大きな影響を及ぼす。このような場合、鋳造開始時に、所定の温度の溶湯を得るためには、容器に注入される溶湯の温度を予め過剰に高い温度にまで加熱しておく必要が生じる。しかしながら、このような対処では、工程全体のエネルギー消費量が著しく増大してしまうからである。
そこでそのような容器からの放熱ロスを抑制するため、容器の内表面を構成する壁面を実質的に球形の形状とし、前記壁面を、耐熱材料で構成された複数の中空セグメント部材で構成することが提案されている(特許文献1)。
特開2009−233744号公報
しかしながら、内部に溶湯のような高温物体が収容される容器に対しては、放熱ロスの低減に対する要望が恒久的に存在する。特に、近年は、省エネルギーの観点から、より長い時間軸に対して、容器からの放熱ロスを少なくすることが必要となってきている。従って、特許文献1に記載の容器においても、放熱ロスの低減の程度は、未だ十分であるとは言い難い。
本発明は、このような背景の下なされたものであり、本発明では、放熱ロスをよりいっそう抑制することが可能な容器を提供することを目的とする。
本発明では、内表面により形成された内部室に、高温の物体を収容することが可能な容器であって、
前記内表面は、セラミックスで構成された複数の中空のセグメント部材で構成され、
各セグメント部材は、前記内表面の一部を構成する第1の面と、該第1の面と空間を介して対向する第2の面と、前記第1および第2の面をつなぐ側面とを有し、
前記第2の面および/または前記側面は、伝熱面積を抑制する形状を有することを特徴とする容器が提供される。
本発明による容器において、前記第2の面および/または前記側面は、少なくとも一つの貫通孔を有しても良い。
また、本発明では、内表面により形成された内部室に、高温の物体を収容することが可能な容器であって、
前記内表面は、セラミックスで構成された複数の中空のセグメント部材で構成され、
各セグメント部材は、前記内表面の一部を構成する第1の面と、該第1の面と空間を介して対向する第2の面と、前記第1および第2の面をつなぐ側面とを有し、
各セグメント部材は、空気よりも比熱の高い材料を含む蓄熱部を有することを特徴とする容器が提供される。
当該容器において、前記第1の面は、前記内部室側の第1の表面と、前記空間側の第2の表面とを有し、
前記蓄熱部は、前記第1の面の前記第2の表面と接するように設置されても良い。
また、当該容器において、前記蓄熱部は、前記セグメント部材を構成する材料よりも比熱が高い材料を有しても良い。
また、当該容器において、前記蓄熱部は、アルミニウムおよび/またはBC(炭化ホウ素)を有しても良い。
また、当該容器において、前記蓄熱部の前記材料は、耐熱性のある固定材によって、前記蓄熱部に保持されていても良い。
また、当該容器において、前記固定材は、キャスタブルであっても良い。
さらに、本発明では、内表面により形成された内部室に、高温の物体を収容することが可能な容器であって、
前記内表面は、セラミックスで構成された複数の中空のセグメント部材で構成され、
各セグメント部材は、前記内表面の一部を構成する第1の面と、該第1の面と空間を介して対向する第2の面と、前記第1および第2の面をつなぐ側面とを有し、
前記第2の面および/または前記側面は、伝熱面積を抑制する形状を有し、
各セグメント部材は、空気よりも比熱の高い材料を含む蓄熱部を有することを特徴とする容器が提供される。
本発明による容器において、前記セラミックスは、チタン酸アルミニウム、スピネル、窒化珪素、炭化珪素、およびサイアロンの群から選定された1または2以上の材料で構成されても良い。
また、本発明による容器において、各セグメント部材同士の間には、無機充填材料が設置されていても良い。
また、本発明による容器において、前記高温の物体は、溶融金属であっても良い。
本発明では、放熱ロスをよりいっそう抑制することが可能な容器を提供することができる。
従来の容器の概略的な断面図である。 従来の容器の内表面を構成するセグメント部材の形状を示した図である。 本発明の容器の一例の概略的な断面図である。 図3に示した容器の内表面を構成するセグメント部材の形状の一例を概略的に示した図である。 本発明による容器の概略的な断面拡大図である。 別のセグメント部材の形態の一例を概略的に示した断面図である。
本発明による容器の特徴的構成をより良く理解するため、まず、図1および図2を参照して、従来の容器の構成について、簡単に説明する。
図1には、特許文献1に記載の従来の容器1の断面図を示す。また、図2には、従来の容器1を構成するセグメント部材10の形状を示す。
図1に示すように、従来の容器1は、例えば金属で構成された筐体5を有する。該筐体5の内面には、無機充填材7を介して、複数のセグメント部材10が配列配置されており、これらのセグメント部材10により、容器1の内表面30が形成される。容器1の内表面30は、容器の内部室35を定形する。
さらに、容器1は、溶湯を容器1の内部室35に注入することを可能にするため、上蓋50を有する。上蓋50は、容器1のその他の部分と同様に、筐体5、無機充填材7およびセグメント部材10で構成される。上蓋50は、公知のヒンジ機構52等により、開閉自在に設けられ、上蓋の閉止時には、内部室35が密閉される。
セグメント部材10は、中空状のセラミックスで構成されている。また、各セグメント部材10は、内表面30が実質的に球形となるように相互に配置される。
各セグメント部材10は、図2に示す形状を有する。ここで、図2(a)は、セグメント部材10の上面図であり、(b)は、矢印P1(図2(a)参照)の方向から見たときのセグメント部材10の側面図であり、(c)は、セグメント部材10の底面図である。
図2に示すように、セグメント部材10は、相互に平行な上面11および底面12と、側面13(13A〜13E)とを有する柱状の形状を有する。
前述のように、セグメント部材10は、中空構造となっている。すなわち、セグメント部材10の上面11と底面12の間は、空洞となっている。別の言い方をすれば、5つの側面13A〜13Eで仕切られた内側部分は、空洞になっている。
上面11および底面12は、図2(b)に示すように、図の上側に向かって湾曲しており、上方に対して凸面状になっている。この面の曲率は、複数の同一形状のセグメント部材10を配列して、容器の内表面30を構成した場合に、該内表面が実質的に球面となるように設計されている。また、上面11は、図2(a)に示すように、五角形状となっており、長さの等しい3つの短辺LU1〜LU3と、長さの等しい2つの長辺LU4、LU5とを有する。2つの長辺LU4、LU5の間の角度θは、67.45゜であり、その他の辺の間の角度θは、全て118.14゜である。また、長辺と短辺の長さの比は、1:1.75である。同様に、底面12は、五角形状となっており、長さの等しい3つの短辺LD1〜LD3と、長さの等しい2つの長辺LD4、LD5とを有する。これらの各辺とその成す角度の関係は、上面11の場合と同様である。ただし、図2からわかるように、底面12は、上面11との相似形を維持したまま縮小した形状なっており、このため、セグメント部材10の5つの側面13は、図2(b)に示すように、上面11から底面12に向かって傾斜している。側面13の鉛直方向の高さは、Gで表されている。
図2(b)において、各側面13A〜13Eの稜線と鉛直線との成す角度θは、約10゜前後である。ただし、これは一例であって、角度θは、2つのセグメント部材を干渉なく隣接して配置することが可能であれば、他の角度であっても良い。
このような形状のセグメント部材10を、60個、相互に縦横に配列させることにより、実質的に球面状の、容器1の内表面30を形成することができる。
このような容器1では、内部室35の容積に対して、内表面30の表面積を比較的小さくすることができる。ここで、内表面30の表面積が小さくなると、内部室35に収容された溶湯と容器1が接する部分の面積が小さくなり、この部分を介して伝達する熱量も小さくなる。従って、このような容器1では、略角柱状または略円柱状の内部室を有する容器に比べて、容器からの放熱ロスを有意に抑制することができる。
しかしながら、前述のように、溶湯のような高温物体が収容される容器に対しては、放熱ロスのさらなる低減に関する要望が恒久的に存在する。特に、近年は、省エネルギーの観点から、より長い時間軸に対して、放熱ロスを小さくすることが必要となってきており、容器には、今まで以上の放熱ロスの低減が求められている。
従って、容器1においても、放熱ロスの抑制効果は、未だ十分であるとは言い難い。
このような背景の下、本願発明者らは、鋭意研究開発を推進し、容器からの放熱ロスをよりいっそう抑制して、省エネ効果を高めるためには、「保温性」に着目した新たな容器の設計が重要であることを見出し、本願発明に至った。
なお、「保温性」とは、容器の、該容器内に収容された高温物体の高温を維持する能力を表す一つの指標であり、「保温性」が高い容器ほど、容器内に収容された高温物体の温度の時間に対する低下率を小さく維持することができる。
また、「保温性」は、容器からの熱エネルギーの逸散のし易さを表す指標ともなり、「保温性」が高ければ高いほど、その容器は、熱エネルギーを逃がし難く、すなわち、放熱ロスが少なく、高い省エネ効果を発揮すると言うことができる。
簡単のため、容器を図2に示したような中空のセグメント部材のみで構成されると仮定した場合、容器の「保温性」は、便宜的に、以下の式で表すことができる:

「保温性」=1/ΔT 式(1)

ここで、ΔT(K)は、高温物体と接する面、すなわち、セグメント部材の底面(容器の内表面)の単位時間当たりの温度変化量であり、時間t(sec)でのセグメント部材の底面の温度をT(K)とし、時間t(sec)(t>t)でのセグメント部材の底面の温度をT(K)としたとき、

ΔT=T−T 式(2)

で表すことができる。

一方、セグメント部材の底面の温度変化量ΔTは、

ΔT=ΔQ/(c+c) 式(3)

として表すことができる。ここで、ΔQは、セグメント部材からの放熱量(J)であり、cは、セグメント部材の比熱(J/kg/K)であり、Mは、セグメント部材の質量(kg)であり、cは、高温物体の比熱(J/kg/K)であり、Mは、高温物体の質量(kg)である。

なお、放熱量ΔQは、

ΔQ=k・S・t(Tin−Tout) 式(4)

で表すことができる。ここでkは、セグメント部材を通る熱通過率(W/m/K)であり、δをセグメント部材の側面の高さ(m)(おおよそ図2(b)における長さG・cosθに相当する)とし、λをセグメント部材の熱伝導率(W/m/K)としたとき、

k=λ/δ 式(5)

で表される。
また、式(4)において、Sは、セグメント部材の伝熱面積(m)であり、tは、時間(sec)であり、Tinは、セグメント部材の底面の温度(K)であり、Toutは、セグメント部材の上面の温度(K)である。
伝熱面積Sは、図2に示すような形状のセグメント部材10の場合、

S=S11+S12+S13 式(6)

で表され、ここで、S11は、セグメント部材の上面11の面積(図2(a)において、辺LU1〜辺LU5で囲まれた領域の面積)であり、S12は、セグメント部材の底面12の面積である(図2(c)において、辺LD1〜辺LD5で囲まれた領域の面積)。また、S13は、セグメント部材の側面13A〜13Eの伝熱面積を表し、これは、図2(a)に示す5つの各側面13A〜13Eについて、水平方向における断面の面積を、底面12側から上面11側まで(すなわち長さGにわたって)積分することにより、得ることができる。
式(3)において、分子の放熱量ΔQは、「断熱性」を表す指標となり、放熱量ΔQが小さいほど、その容器の断熱性は大きくなる。一方、分母の(c+c)のうちのcは、容器の「蓄熱性」を表す指標となり、cが大きいほど、その容器の蓄熱性は、大きくなる。
式(1)と同様に、便宜的に、「断熱性」=1/ΔQ、「蓄熱性」=(c+c)と表すと、式(3)は、「保温性」=「断熱性」×「蓄熱性」と表すことができる。
従って、式(3)より、容器の「断熱性」を高め、および/または容器の「蓄熱性」を高めることにより、容器の温度変化量ΔTを小さくすることができ、すなわち、容器の「保温性」を向上することができると言える。また、これにより、容器の放熱ロスを抑制して、省エネ効果を高めることができると考えられる。
ここで、容器の「断熱性」に関しては、放熱量ΔQを表す式(4)、および式(5)から、セグメント部材の熱伝導率λを小さくし、側面の高さδを大きくし、および/またはセグメント部材の伝熱面積Sを小さくすることにより、放熱量ΔQを小さくして、容器の「断熱性」を高めることができる。ただし、セグメント部材の側面の高さδを大きくすると、容器が大型化してしまい、運搬効率やハンドリング性の面で好ましくない。従って、容器の「断熱性」を高めるには、セグメント部材の伝熱面積Sをできる限り小さくすることが好ましい。
また、一般に、セグメント部材の底面12の伝熱面積S12は、容器の内表面の形状によって一義的に定まるため、あまり変化させることはできない。そこで、式(6)から、容器の「断熱性」を高めるには、セグメント部材の、特に、上面の伝熱面積S11および/または側面の伝熱面積S13をできる限り小さくすることが好ましいと言える。
一方、容器の「蓄熱性」を表す式(3)の分母の項(c+c)に関して、容器に収容される高温物体の比熱cおよび質量Mは、一定であると仮定することができるため、容器の「蓄熱性」は、セグメント部材の比熱cおよび質量Mを大きくすることにより、大きくすることができると考えられる。
このような観点から、本願では、
内表面により形成された内部室に、高温の物体を収容することが可能な容器であって、
前記内表面は、セラミックスで構成された複数の中空のセグメント部材で構成され、
各セグメント部材は、前記内表面の一部を構成する第1の面と、該第1の面と空間を介して対向する第2の面と、前記第1および第2の面をつなぐ側面とを有し、
前記第2の面および/または前記側面は、伝熱面積を抑制する形状を有することを特徴とする容器が提供される(第1の発明)。
この構成では、式(3)における放熱量ΔQを低減し、すなわち容器の「断熱性」を高めることができ、結果的に、容器の放熱ロスを抑制して、省エネ効果を高めることができる。
また、本願では、
内表面により形成された内部室に、高温の物体を収容することが可能な容器であって、
前記内表面は、セラミックスで構成された複数の中空のセグメント部材で構成され、
各セグメント部材は、前記内表面の一部を構成する第1の面と、該第1の面と空間を介して対向する第2の面と、前記第1および第2の面をつなぐ側面とを有し、
前記第2の面および/または前記側面は、伝熱面積を抑制する形状を有し、
各セグメント部材は、空気よりも比熱の高い材料を含む蓄熱部を有することを特徴とする容器が提供される(第2の発明)。
この構成では、容器の「断熱性」を高めることができるとともに、式(3)の分母の項(c+c)、すなわち容器の「蓄熱性」を高めることができ、結果的に、容器の放熱ロスを抑制して、省エネ効果を高めることができる。
さらに、本願では、
内表面により形成された内部室に、高温の物体を収容することが可能な容器であって、
前記内表面は、セラミックスで構成された複数の中空のセグメント部材で構成され、
各セグメント部材は、前記内表面の一部を構成する第1の面と、該第1の面と空間を介して対向する第2の面と、前記第1および第2の面をつなぐ側面とを有し、
各セグメント部材は、空気よりも比熱の高い材料を含む蓄熱部を有することを特徴とする容器が提供される(第3の発明)。
この構成では、容器の「蓄熱性」を高めることができ、結果的に、容器の「保温性」を高め、省エネ効果を高めることができる。
以下、図面を参照して、各発明の構成をより詳しく説明する。
(第1の発明)
図3には、高温物体を収容することが可能な本発明による第1の容器100の概略的な断面図の一例を示す。
ここで、容器に収容される高温物体は、液体であっても固体であっても良い。例えば、容器内に収容された高温物体は、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、および鉄等の金属または合金の溶湯であっても良い。なお、以下の説明では、そのような溶湯が容器に収容される場合を例に説明する。
容器100は、例えばステンレス鋼のような金属で構成された筐体105を有する。該筐体105の内面には、無機充填材107を介して、以降に詳細を示す複数のセグメント部材110が配列配置されている。これらのセグメント部材110により、容器100の内表面130が形成される。ただし、無機充填材107は、必ずしも必要ではない。
容器100の内表面130は、容器の内部室135を形成する。従って、内表面130は、容器100に収容される溶湯と直接接する。逆に筐体105は、これらのセグメント部材110および無機充填材107のため、溶湯とは直接接しない。なお、セグメント部材110は、中空のセラミックスで構成されている。
ここで、本願において、「セラミックス」という用語は、金属のみからなる材料および有機物のみからなる材料を除く全ての無機材料を含む材料、すなわちファインセラミックス、無機材料を含む複合材料、ならびに耐火レンガ等を含む、広い概念であることに有意する必要がある。
また、「中空」という用語は、前述のように、セグメント部材の上面と底面(これらは、仮想の面であっても良い)の間に、空洞を有する構造、あるいは複数の側面(これらは、仮想の面であっても良い)で仕切られた内側部分に空洞を有する構造を意味する。
また、図には示していないが、筐体105と無機充填材107の間、および/または無機充填材107とセグメント部材110の間には、無機繊維層等の、さらに別の層が設置されても良い。ただしそのような層は、当業者に公知であるので、ここではこれ以上説明しない。
この他、本発明の本質的な特徴ではないが、さらに容器100は、溶湯を容器100の内部室135に注入することを可能にするため、上蓋150を有する。上蓋150は、容器100のその他の部分と同様に、筐体105、無機充填材107およびセグメント部材110で構成される。上蓋150は、例えば、公知のヒンジ機構152等により、開閉自在に設けられ、上蓋の閉止時には、内部室135が密閉される。別の言い方をすれば、上蓋150を閉止した際に、容器の内表面130が連続的に構成される。
また、図3に示した容器100の例では、容器100内の溶湯は、上蓋150を開いた状態で、開放部から外部に排出される。ただし、容器100の適当な部位に、溶湯を外部に排出することが可能な排出口を設け、この排出口を介して、溶湯を外部に排出しても良い。
また、容器100の設置状態を安定化させるため、容器100の底面に、台座を設けても良い。
ここで、本発明による容器100では、セグメント部材110は、容器100の内表面130の一部を構成する底面と、該底面と空間を介して対向する上面と、底面および上面をつなぐ側面とを有する。また、セグメント部材110の上面および/または側面は、伝熱面積を抑制することが可能な形態を有するという特徴を有する。
以下、図4を参照して、このようなセグメント部材110の特徴的構成の一例について詳しく説明する。
図4には、容器100の内表面130の構成に使用されるセグメント部材110の一形状を概略的に示す。図4(a)は、セグメント部材110の上面図であり、(b)は、矢印P2(図4(a)参照)の方向から見たときのセグメント部材110の側面図であり、(c)は、矢印P3(図4(a)参照)の方向から見たときのセグメント部材110の側面図であり、(d)は、セグメント部材110の底面図である。
図4に示すように、セグメント部材110は、上面111と、底面112と、側面113(113A〜113E)とを有し、前述の図2に示したセグメント部材10と同様の柱状の形状を有する。
ただし、このセグメント部材110は、前述のセグメント部材10とは、側面および上面の形態が大きく異なっている。
すなわち、セグメント部材110の上面111は、貫通孔120を有し、このため、セグメント部材110の上面111は、図2に示すセグメント部材10に比べて、上面の表面積が減少している。同様に、セグメント部材110の側面113は、貫通孔125、128を有し、このため、セグメント部材110の側面113は、図2に示すセグメント部材10に比べて、側面の表面積が減少している。
なお、図4において、セグメント部材110の側面113を、側面113A(短辺LU1、LD1を含む側面)、113B(短辺LU2、LD2を含む側面)、113C(短辺LU3、LD3を含む側面)、113D(長辺LU4、LD4を含む側面)、および113E(長辺LU5、LD5を含む側面)とすると、側面113A〜113Cは、それぞれ、2つの同一の寸法形状の貫通孔125を有する(図4(b)参照)。また、側面113Dおよび113Eは、それぞれ、6つの同一の寸法形状の貫通孔128を有する(図4(c)参照)。
図4のようなセグメント部材110の構造では、前述の式(6)において、S11+S13の部分を小さくすることができ、伝熱面積Sを抑制することができる。従って、この図4に示した構造のセグメント部材210を組み合わせて容器を形成した場合、式(4)より、従来の容器1に比べて容器の放熱量ΔQが有意に低下し、容器の「断熱性」を高めることができる。また、その結果、式(3)より、容器の「保温性」が高まり、容器の放熱ロスを抑制して、省エネ効果を高めることが可能となる。
なお、図4の例では、セグメント部材110の上面111は、中央部分に、断面が円形の大きな単一の貫通孔120を有する。しかしながら、上面111に形成される貫通孔の数、寸法、形状、および配置は、特に限られない。同様に、セグメント部材110の側面113A〜113Cは、縦方向に配列された、断面が円形の同一形状の2つの貫通孔125を有し、側面113D、113Eは、断面が円形の、同一形状の6つの貫通孔128を有する。しかしながら、側面113A〜113Eに形成される貫通孔の数、寸法、形状、および配置は、特に限られない。すなわち、本発明において重要なことは、図2のようなセグメント部材10に比べて、セグメント部材110の上面111および側面113の表面積が減少していることであり、これが満たされる限り、貫通孔の仕様は、特に限られない。
さらに言えば、本発明において、セグメント部材110の上面111および側面113における貫通孔120、125は、必ずしも必要ではない。すなわち、本発明では、セグメント部材110の上面111および側面113に、伝熱面積を抑制する手段が講じられていれば良い。例えば、側面113を「面」形状ではなく、「柱」構造としても良い。この場合、上面111と底面112とは、複数の柱によって接続されることになる。柱の数や、太さ(断面積)、および位置は、強度的に成立する限り、特に限られない。例えば、柱の数は、上面111および/または底面112の頂点の数と同じであっても良く(すなわち図4の例では、5つ)、あるいは異なっていても良い。さらに、この場合、各「柱」の材質は、同一であっても、異なっていても良い。
また、例えば、側面113の空間部には、断熱性の高い材料が充填されていても良い。
同様に、もし強度構造上可能であるならば、セグメント部材110の上面111は、存在しなくても良い。この場合、式(6)においてS11=0とすることができる。
なお、発明者らによれば、セグメント部材110の最低強度を維持した状態において、セグメント部材110の上面111および側面113の総伝熱面積は、図2に示したセグメント部材10の上面11および側面13の総伝熱面積に比べて、1%〜50%程度低減させることができることが試算されている。ここで、側面113の伝熱面積は、側壁の体積に比例し、該側壁の体積は、側壁の面積に比例する。従って、ここでは、側面113の伝熱面積の指標として、側壁の面積を使用した。
例えば、図4(a)の構成では、断面が円形の貫通孔120の寸法(直径)を適正に選定することにより、上面111の伝熱面積を10%〜60%程度(例えば12%)減少させることができる。また、図4(b)、(c)の構成では、断面が円形の貫通孔125、128の寸法(直径)を適正に選定することにより、側面113A〜113Eの伝熱面積を5%〜25%程度(例えば24%)減少させることができる。これにより、上面111と側面113の全体で、20%〜40%程度(例えば20%)の伝熱面積抑制効果が得られる。
図5には、筐体105の内面に、前述のセグメント部材110を配列させることにより構成された容器100の一部の断面拡大図を示す。ただし、この図において、セグメント部材110の上面111および側面113の貫通孔120、125、128は、明確化のため示されていない。この図の例では、筐体105と各セグメント部材110の間、および各セグメント部材110同士の間の隙間には、無機充填材107が設置されている。このようなセグメント部材の配置により、実質的に球形の内表面130が形成される。
以下、本発明による容器を構成する各部材の仕様について、詳しく説明する。
(セグメント部材110)
図4に示したセグメント部材110では、上面111および底面112は、曲面形状を有する。しかしながら、この曲面形状は、必ずしも必要ではなく、両面は、平坦な表面であっても良い。ただし、上面または底面(特に、底面112)を図4に示すような曲面を有する形態とした場合、セグメント部材を配置することにより構成される容器の内表面130の容積を、より大きくすることができる。一方、セグメント部材110において、上面111および底面112が曲面ではなく平坦な面を有する場合、実質的に五角六十面体の形状の内表面130が形成される。また、セグメント部材110は、複数の異なる形状のセグメント部材を組み合わせて、略球状、または略準正多面体の形状の内表面130を形成しても良い。
さらに、本発明の容器100において、内表面130の形状は、必ずしも球形または略球形である必要はない。例えば、容器の内表面130の形状は、円柱状および角柱状であっても良い。
容器100を溶湯の収容に使用する場合、セグメント部材110において、少なくとも底面112は、溶湯と接した際に、化学的に安定な材料で構成されることが好ましい。これにより、溶湯とセグメント部材の相互反応により、溶湯中に不純物が混入して、溶湯の品質が低下するという問題を抑制することができる。また、化学的劣化による容器の破損等の問題を軽減することができる。
また、セグメント部材110の肉厚は、伝熱面積低減の観点からは、できる限り薄いことが好ましい。
一方、セグメント部材の極端な減肉化は、部材そのものの機械的強度が低下するため、問題である。従って、セグメント部材の肉厚は、約1mm〜約10mm程度の範囲にあることが好ましく、約3mm〜約8mm程度の範囲にあることがより好ましい。
セグメント部材用のセラミック材料としては、例えば、チタン酸アルミニウム、スピネル(MgAl等)、窒化珪素、アルミナ、炭化珪素、サイアロン、およびホウ素化合物等が挙げられる(以下、これらのセラミックスを「非耐火レンガ系のセラミックス」と称する)。特に、チタン酸アルミニウム、窒化珪素は、アルミニウム溶湯に対して比較的安定であるため、容器がこの溶湯の収容に使用される場合、これらの材料を使用することが好ましい。
あるいは、セグメント部材用のセラミック材料として、例えば、アルミナ、マグネシア、クロミア、シリカ、炭化珪素、窒化珪素およびカルシアからなる群から選定された1または2以上の材料を含む耐火レンガを使用しても良い。ただし、耐火レンガを使用する場合、少なくとも、容器の内表面130を構成する底面112には、「非耐火レンガ系のセラミックス」を設置することが好ましい。一般に耐火レンガは強度が弱く、部分的に欠け等が生じやすいという欠点を有する。しかしながら、そのような構成とすることにより、セグメント部材の強度が向上し、例えば、脱落物により、容器の内部空間に収容した液体が汚染されるという問題を回避することができる。
(無機充填材107)
無機充填材107は、容器の筐体105と各セグメント部材110の間、および/または各セグメント部材110同士の間の隙間に設置される。
無機充填材107は、例えば、アルミナ−シリカ系の無機材料(例えばキャスタブル)であっても良い。
なお、無機充填材107の代わりに、無機繊維を含むシート材を使用しても良い。無機繊維を含むシート材は、一般に低弾性で柔軟性があるため、そのようなシート材を使用した場合、セグメント部材110をシート材に対して押し付けることにより、セグメント部材110をシート材に機械的に密着(係合)させることができる。また、キャスタブル等の不定形無機充填材を用いた場合に比べて、厚さがより均一になるため、設計容器形状との寸法誤差を小さくすることが可能となる。さらに、セグメント部材が破損した場合、そのセグメント部材は、シート材から引き抜くことにより、容易に取り外すことができる。従って、この形態では、隙間に無機充填材107を使用した場合に比べて、セグメント部材の交換が容易となる。なお、セグメント部材110をシート材に対して押し付けた状態では、十分な密着性が得られない場合、両者の間に無機接着材を使用しても良い。
シート材に含まれる無機繊維の材質は、特に限られず、無機繊維は、例えば、アルミナ、シリカ、またはこれらの混合物等を含んでも良い。また、シート材の形態は、特に限られず、シート材は、無機繊維からなるマット状の形態、あるいは不織布の形態など、様々な形態であっても良い。
(筐体105)
筐体105は、様々な態様で使用し得る。例えば、筐体105の外形は、図3に示すような球形に限られるものではなく、筐体は、角形等の他の外形輪郭を有しても良い。また、筐体105は、二重壁構造にして2つの壁の間に空気層、減圧層または真空層を設けても良い。あるいは、2つの壁の間に、断熱材層、または熱反射層を設けても良い。また、筐体の材料としては、ステンレス鋼の他、ニッケル基合金等を使用しても良い。
(第2の発明)
次に、本発明による第2の容器の構成について説明する。なお、第2の容器の全体的な構成は、前述の図3に示した容器100の構成とおおよそ等しいので、第2の容器を表す図面そのものは、特に示さない。代わりに、必要な場合、前述の図3を代用して、説明を行うことにする。この場合、第2の容器を構成する各部材を、図3の容器を構成する各部材と区別するため、第2の容器を構成する各部材には、図3の各構成部材の参照符号に100を加えた参照符号を使用するものとする。従って、例えば、第2の容器のセグメント部材は、210となり、第2の容器の内表面は、230となる。また、第2の容器は、参照符号を200とする。
図6には、本発明による第2の容器200の内表面230を構成する際に使用されるセグメント部材210の一例を概略的に示す。
図6に示すように、セグメント部材210は、図4に示したセグメント部材110と同様の構成を有する。すなわち、セグメント部材210は、中空構造となっており、相互に平行な上面211および底面212と、側面213A〜213Eとを有し、柱状の形状を有する。また、伝熱面積を抑制するための手段として、セグメント部材210の上面211には、貫通孔220が設けられ、側面213A〜213Eには、貫通孔225、228が設けられている。
しかしながら、このセグメント部材210は、前述のセグメント部材110とは異なり、内部に蓄熱部240を有するという特徴を有する。蓄熱部240は、蓄熱材250を有する。
図6のようなセグメント部材210の構造では、前述の式(6)において、S11+S13の部分を小さくすることができ、伝熱面積Sを抑制することができる。従って、この場合、式(4)より、従来の容器1に比べて容器の放熱量ΔQを有意に低下することができ、容器の「断熱性」を高めることができる。さらに、セグメント部材210の場合、蓄熱材250の存在により、式(3)において、分母の項(c+c)の中のセグメント部材210の比熱cを大きくすることができ、これにより、容器の「蓄熱性」を高めることができる。
その結果、式(3)より、容器の「保温性」が高まり、セグメント部材110を使用した容器に比べて、さらに容器の放熱ロスを抑制して、省エネ効果を高めることができる。
ここで、「蓄熱材」250とは、空気よりも比熱の大きな材料の総称であることに留意する必要がある。「蓄熱材」250は、例えば、金属(合金を含む)、およびセラミックス等であっても良い。
「蓄熱材」250を金属で構成する場合、そのような金属は、アルミニウム、鋳鉄、鋼(合金)、マグネシウム、またはリチウム等であっても良い。また、「蓄熱材」250をセラミックスで構成する場合、そのようなセラミックスは、炭化ホウ素(BC)、アルミナ(Al)、炭化珪素(SiC)、窒化珪素(Si)、カルシア(CaO)、マグネシア(MgO)等であっても良い。
また、「蓄熱材」250は、セグメント部材210を構成する材料と同じ材料であっても良い。そのような場合でも、式(3)において、セグメント部材210の重量Mが増加し、容器の「蓄熱性」を高めることができるからである。しかしながら、蓄熱材250は、セグメント部材210を構成する材料よりも比熱が高い材料から選定されることがより好ましい。
また、このような蓄熱材250の蓄熱部240への設置、固定方法は、特に限られない。例えば、蓄熱材250は、耐熱性を有する保持材に保持、担持、または埋設させることにより、蓄熱部240に固定しても良い。耐熱性を有する保持材としては、例えば、蓄熱材を保持する際には、流動性を有し、蓄熱材の位置を定めた後に固化するような高温用ペースト、セメント、または高温用接着材等を使用することができる。そのような保持材の一例は、キャスタブル等である。
ところで、図6の例では、蓄熱部240は、セグメント部材210の底面212の内側(すなわち上面211側)全面に設置されている。しかしながら、蓄熱部240は、セグメント部材210の底面212の内側の一部に設置されても良い。さらに、蓄熱部240は、セグメント部材210の内部のいかなる位置に設けられても良い。ただし、通常の場合、蓄熱部240を底面212の内側(すなわち上面211側)に設置した場合、最も効果的にセグメント部材の蓄熱効果を高めることができる。また、蓄熱部240は、セグメント部材210の内部の他、セグメント部材210の側面213の貫通孔225、228内に設置しても良い。これにより、セグメント部材210の上面211側への伝熱をより抑制することができる。
また、蓄熱部240に設置される蓄熱材250の量は、特に限られない。蓄熱材250の設置量は、蓄熱材250を設置することによる「蓄熱性」の向上効果と蓄熱材250を設置することによる断熱性低下(による弊害)および/または容器全体の総重量の上昇による弊害との兼ね合いで定められる。
なお、蓄熱材250は、黒色であることが好ましい。これに対して、セグメント部材210の上面および/または側面213の内側面は、銀白色であることが好ましい。
(第3の発明)
本発明による第3の発明においても、容器(第3の容器)の構成は、前述の第1の容器100および第2の容器200の場合と同様である。また、第3の容器を構成するセグメント部材の構成は、図6に示したセグメント部材210と同様である。
より具体的には、第3の容器のセグメント部材は、内部に蓄熱部を有し、これにより、容器の蓄熱性を高める効果が得られる。
ただし、第3の容器では、セグメント部材は、図6の上面211および側面213の貫通孔220、225、228のような、伝熱面積低減手段を有していない。すなわち、第3の容器のセグメント部材は、容器の断熱性を高める手段を有さない。
セグメント部材がこのような構成であっても、セグメント部材には、容器の蓄熱性を高める手段が適用されているため、従来に比べて、容器の保温性をより高めることができることは当業者には明らかであろう。
以下、本発明の実施例について説明する。
(比較例1)
珪素粉末(平均粒径約1μm)と、窒化珪素粉末(平均粒径約1μm)と、ムライト粉末(平均粒径0.5μm)と、を重量比で60:30:10となるように秤量し、これらの粉末を十分に混合した。この混合粉末に、混合粉末の重量に対して1Wt%となるように、アクリル系バインダを加え、さらに混合粉末の重量に対して25Wt%の水を加えた。この混合液体をボールミルにより混合し、スラリーを得た。
得られたスラリーを石膏型に注入し、成形体を作製した。石膏型は、上蓋付きのものであり、図2に示す形状の成形体が得られるように定形されている。また、上蓋には、未固化スラリーを排出するための排出口が設けられている。所定の肉厚に着肉後、未固化スラリーを一部排出し、排出口を石膏栓で封じ、さらに型内に残留した未固化スラリーを石膏栓に着肉させることにより、内部が中空の成形体を得ることができる。この石膏型を用いて肉厚が約3mmであり、内部が中空の成形体を得た。
得られた成形体を乾燥後、窒素雰囲気下、最高1440℃で焼成することにより、図2に示す形状のセグメント部材が得られた。
なお、得られたセグメント部材において、第1の主表面の長辺(図2のLU4およびLU5)の長さは、55mmであり、短辺(図2のLU1〜LU3)の長さは、33mmであった。第2の主表面の長辺(図2のLD4およびLD5)の長さは、40mmであり、短辺(図2のLD1〜LD3)の長さは、24mmであった。また、肉厚は約3mmであり、高さ(図2の長さG)は、33mmであった。
このようにして得られたセグメント部材を「比較例1」に係るセグメント部材と称する。
比較例1に係るセグメント部材から、厚さ2mm、直径10mmとなるようにサンプルを切り出した。このサンプルを用いて、レーザーフラッシュ法により熱伝導率を測定した(測定装置:真空理工製TC−7000)。サンプルの熱伝導率は、8W/m・K程度であった。さらに、実験の結果、この材質は、アルミニウム溶湯に濡れ難く、また、必要な強度を十分有することがわかった。
(実施例1)
前述の比較例1と同様の方法により、実施例1に係るセグメント部材を製作した。ただし、実施例1では、セグメント部材の側面の伝熱面積(S13)を低減するため、セグメント部材の側面(底面および上面を除く5面)に、φ2〜20mmの貫通孔を一箇所または複数箇所に設置した。
(実施例2)
前述の比較例1と同様の方法により、実施例2に係るセグメント部材を製作した。ただし、実施例2では、セグメント部材の側面の伝熱面積(S13)を低減するため、セグメント部材の側面(底面および上面を除く5面)を、輪郭部分(幅約5mm)を残して貫通孔とした。このため、セグメント部材の側面は、実質的に底面と上面を連結する柱形状となった。
(実施例3)
前述の比較例1と同様の方法により、実施例3に係るセグメント部材を製作した。ただし、実施例3では、セグメント部材の上面の伝熱面積(S11)を低減するため、比較例1で得られたセグメント部材の上面に、加工により、φ20〜φ40の貫通孔を一箇所に設置した。
(実施例4)
前述の比較例1と同様の方法により、実施例4に係るセグメント部材を製作した。ただし、実施例4では、セグメント部材の上面の伝熱面積(S11)を低減するため、比較例1で得られたセグメント部材において、上面の輪郭部分(幅約5mm)を残して貫通孔とし、実質的に上面(S11)の無いセグメント部材を作製した。
(実施例5)
実施例1に係るセグメント部材の内部空間に、蓄熱材を充填して、実施例5に係るセグメント部材を作製した。より具体的には、炭化珪素を主成分とするキャスタブルを水で混練し、実施例1で得られたセグメント部材の内部空間に、底面の第2の内表面に近接するように、キャスタブルを所定量を流し込み、蓄熱材を形成した。この際、側面の貫通孔からキャスタブルが流れ出ないようにする必要がある。そこで、予め貫通孔内の底面側半分にキャスタブルを充填した。これにより、蓄熱材をより強固に固定することができた。
(実施例6)
実施例1に係るセグメント部材の内部空間に、蓄熱材を充填して、実施例6に係るセグメント部材を作製した。より具体的には、実施例1で得られたセグメント部材の内部空間において、底面の第2の内表面に近接するようにアルミニウム製ペレット(径5mm)を敷き詰め、蓄熱材とした。さらに、実施例5と同様の方法で調製したキャスタブルをペレットを覆うように流し込み、ペレットをセグメント部材の底面の第2の内表面に固定した。
(実施例7)
実施例6と同様の手法により、内部に蓄熱材を有する、実施例7に係るセグメント部材を作製した。ただし、実施例7では、アルミニウム製ペレットの代わりに、銅ペレットを底面の第2の内表面に設置し、蓄熱材とした。
(実施例8)
実施例6と同様の手法により、内部に蓄熱材を有する、実施例8に係るセグメント部材を作製した。ただし、実施例8では、アルミニウム製ペレットの代わりに、鋼ペレットを底面の第2の内表面に設置し、蓄熱材とした。
(実施例9)
実施例5と同様の手法により、内部に蓄熱材を有する、実施例9に係るセグメント部材を作製した。ただし、実施例9では、キャスタブルに、さらに粒状および/または粉状のBC(炭化ホウ素)原料を混合した。調製したキャスタブルを、実施例1で得られたセグメント部材の内部空間に流し込み、底面の第2の内表面に近接する蓄熱材を形成した。
(実施例10)
実施例5と同様の手法により、内部に蓄熱材を有する、実施例10に係るセグメント部材を作製した。ただし、実施例10では、キャスタブルの代わりに、水とアルミナの混合液を使用した。この混合液を、実施例1で得られたセグメント部材の内部空間に、底面の第2の内表面に近接するように流し込んだ。これにより、セグメント部材の底面の第2の内表面に、蓄熱材としてアルミナが設置された。
(実施例11)
実施例5において得られたセグメント部材において、蓄熱材で充填されていない内部空間部分に、無機断熱繊維およびアルミニウム板を充填した。これにより、蓄熱体と接するセグメント部材の底面から、セグメント部材の上面側への放射および対流による伝熱を抑制することが可能となり、蓄熱効率を高めることができるとともに、セグメント部材の断熱性を向上させることができる。
(セグメント部材の評価)
以上の方法で作製された各セグメント部材を用いて、断熱性および保温性の評価を行った。
断熱性の評価は、以下のように実施した。
まず、各セグメント部材の側面(底面および上面を除く5面)を断熱材で被覆する。次に、セグメント部材の底面の周囲、および上面の周囲を断熱材で取り囲む。これにより、セグメント部材を外界から熱的に遮断する。この状態で、セグメント部材の底面を電熱ヒータで直接加熱してから、加熱を停止したときの、セグメント部材の底面温度(Tin)、上面温度(Tout)の変化を測定した。
ここで、単位時間当たりにセグメント部材を通過する熱量Qは、kを熱通過率、Sを面積として、Q=kS(Tin−Tout)で表される。すなわち、セグメント部材の熱通過率kは、k=Q/S(Tin−Tout)で表される。
ここで、面積Sは、セグメント部材の所定形状により一定である。よってこの式は、通過熱量Qが一定であれば、(Tin−Tout)が大きいほど、熱通過率kが小さくなること、すなわち断熱性が高いことを示している。
さらに、通過熱量Qは、電熱ヒータの消費電力から算定することができるため、これからセグメント部材の熱通過率kを算出することができる。
そこで、セグメント部材の熱通過率kを断熱性の指標とした。
また、断熱性の評価は、比較例1に係るセグメント部材の熱通過率値を100としたときの、各実施例に係るセグメント部材の熱通過率の割合(以下、「熱通過率比k」という)として算出した。
一方、保温性の評価は、以下のように実施した。
各セグメント部材を底面側から加熱し、加熱を停止したときの、セグメント部材の底面温度(Tin)を測定し、底面温度(Tin)の低下速度を算出することにより、セグメント部材の「保温性」の評価を行なった。
また、保温性の評価は、比較例1に係るセグメント部材の底面温度(Tin)の低下速度を100としたときの、各実施例に係るセグメント部材の底面温度(Tin)の低下速度の割合(以下、「温度低下比T」という)として算出した。
その結果、実施例1〜11に係るセグメント部材の熱通過率比kは、いずれも70〜95の範囲となった。このことから、本発明によるセグメント部材では、従来のセグメント部材に比べて、断熱性が向上することがわかった。
また、実施例1〜11に係るセグメント部材の温度低下比Tは、いずれも90〜95の範囲となった。このことから、本発明によるセグメント部材では、従来のセグメント部材に比べて、保温性が向上することがわかった。
(実施例12)
図3に示す実質的に球形状の容器を試作した。容器の外側(筐体)は、厚さ4mmのステンレス鋼で構成した。なお、筐体は分割式とした。組立後のステンレス鋼筐体の寸法は、外径258mm、内径250mmである。
この筐体の内面に、アルミナ、シリカを主成分とする無機繊維シートを配して、さらにシートの内面に実施例1〜11で作製した各セグメント部材を、図3に示す形態で配列配置して、容器の内表面を形成した。なお、各セグメント部材同士の間に形成される隙間にも、厚さ約1mmの該無機繊維シートを設置した。
このようにして構成された容器の内表面を球と想定した場合、球の半径は、約90mmであった。この容器では、約7kgのアルミニウム溶湯を収容することができる。
得られた容器の保温性を評価した。
保温性の評価は、容器中に、初期温度約750℃のアルミニウム溶湯を約7kg注入し密閉した時間をゼロとし、各時間経過後の溶湯の温度を測定することにより行った。
保温性の評価の結果、比較例1に係るセグメント部材で内表面を構成した容器では、1時間経過後に、アルミニウム溶湯の温度は、670℃〜680℃まで低下することがわかった。これに対して、実施例1〜11に係るセグメント部材で内表面を構成した容器では、いずれの場合も、1時間後のアルミニウム溶湯の温度は、700℃〜710℃の間であった。このことから、本発明によるセグメント部材を使用することにより、従来の容器に比べて、容器の保温性が向上することがわかった。
本発明は、例えば金属または合金の溶湯等を収容するための容器に利用することができる。また、本発明は、溶融金属に限らず、高温の粉体やペレット等を収容する容器にも適用することができる。
1 従来の容器
5 筐体
7 無機充填材
10 セグメント部材
11 上面
12 底面
13 側面
30 内表面
35 内部室
50 上蓋
52 ヒンジ機構
100 本発明の容器
105 筐体
107 無機充填材
110 セグメント部材
111 上面
112 底面
113 側面
120 上面の貫通孔
125、128 側面の貫通孔
130 内表面
135 内部室
150 上蓋
152 ヒンジ機構
210 別のセグメント部材
211 上面
212 底面
213A〜213E 側面
220 上面の貫通孔
225、228 側面の貫通孔
240 蓄熱部
250 蓄熱材。

Claims (12)

  1. 内表面により形成された内部室に、高温の物体を収容することが可能な容器であって、
    前記内表面は、セラミックスで構成された複数の中空のセグメント部材で構成され、
    各セグメント部材は、前記内表面の一部を構成する第1の面と、該第1の面と空間を介して対向する第2の面と、前記第1および第2の面をつなぐ側面とを有し、
    前記第2の面および/または前記側面は、伝熱面積を抑制する形状を有することを特徴とする容器。
  2. 前記第2の面および/または前記側面は、少なくとも一つの貫通孔を有することを特徴とする請求項1に記載の容器。
  3. 内表面により形成された内部室に、高温の物体を収容することが可能な容器であって、
    前記内表面は、セラミックスで構成された複数の中空のセグメント部材で構成され、
    各セグメント部材は、前記内表面の一部を構成する第1の面と、該第1の面と空間を介して対向する第2の面と、前記第1および第2の面をつなぐ側面とを有し、
    各セグメント部材は、空気よりも比熱の高い材料を含む蓄熱部を有することを特徴とする容器。
  4. 前記第1の面は、前記内部室側の第1の表面と、前記空間側の第2の表面とを有し、
    前記蓄熱部は、前記第1の面の前記第2の表面と接するように設置されることを特徴とする請求項3に記載の容器。
  5. 前記蓄熱部は、前記セグメント部材を構成する材料よりも比熱が高い材料を有することを特徴とする請求項3または4に記載の容器。
  6. 前記蓄熱部は、アルミニウムおよび/またはBC(炭化ホウ素)を有することを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一つに記載の容器。
  7. 前記蓄熱部の前記材料は、耐熱性のある固定材によって、前記蓄熱部に保持されていることを特徴とする請求項3乃至6のいずれか一つに記載の容器。
  8. 前記固定材は、キャスタブルであることを特徴とする請求項7に記載の容器。
  9. 内表面により形成された内部室に、高温の物体を収容することが可能な容器であって、
    前記内表面は、セラミックスで構成された複数の中空のセグメント部材で構成され、
    各セグメント部材は、前記内表面の一部を構成する第1の面と、該第1の面と空間を介して対向する第2の面と、前記第1および第2の面をつなぐ側面とを有し、
    前記第2の面および/または前記側面は、伝熱面積を抑制する形状を有し、
    各セグメント部材は、空気よりも比熱の高い材料を含む蓄熱部を有することを特徴とする容器。
  10. 前記セラミックスは、チタン酸アルミニウム、スピネル、窒化珪素、炭化珪素、およびサイアロンの群から選定された1または2以上の材料で構成されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一つに記載の容器。
  11. 各セグメント部材同士の間には、無機充填材料が設置されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一つに記載の容器。
  12. 前記高温の物体は、溶融金属であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一つに記載の容器。
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