JP5527844B2 - 焼成用道具材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アルミナ質又はアルミナ−シリカ質の基材の表面に、ジルコニア又はジルコン酸塩から選択される少なくとも1種を含有する溶射層を有する焼成用道具材及びその製造方法に関する。
電子部品の焼成に用いられる焼成用道具材は、耐熱性や機械的強度とともに、焼成を行う際に、焼成用道具材と被焼成物とが反応しないことが要求される。焼成用道具材と被焼成物とが反応することにより、被焼成物が変色したり、焼成用道具材に融着したりする不具合が生じる場合がある。また、外観からは不具合が認められない場合でも、焼成用道具材と被焼成物とが反応することにより、得られる電子部品の電気特性が変化し、不良品となる場合もある。このようなことから、これまで焼成用道具材としては、耐熱衝撃性、機械的強度などに優れるアルミナ質又はアルミナ−シリカ質の基材の表面に、ジルコニアなどの難反応性の材料からなる溶射層が形成されたものが広く用いられてきた。
ジルコニア及びジルコン酸塩は、被焼成物との反応性が特に低いため、焼成用道具材の溶射層として広く使用されている。しかしながら、これらの溶射層は、アルミナ質又はアルミナ−シリカ質の基材に対する密着性が低かった。溶射層の密着性を高める手段としては、ブラスト処理などを用いて基材表面を粗面化する方法などが知られていた。しかしながら、このような方法は、工程数が増えるため、コスト面で問題があった。
さらに、近年、炉内スペースの効率的使用、迅速な昇温による生産効率の向上又は省エネルギー化などのため、薄肉の焼成用道具材が求められている。薄肉の焼成用道具材は、機械的強度を高める必要がある。機械的強度を高める手段としては、基材の原料として微細粉末を使用することなどが知られていた。しかしながら、微細粉末を用いて作製された基材は表面が非常に平坦であるため、基材とジルコニアなどの溶射層との密着性がさらに低かった。また、基材が微細粉末を用いて作製された機械的強度の高いものである場合には、ブラスト処理により基材表面を粗面化することが難しかった。
特許文献1には、アルミナ質、アルミナ−シリカ質の基材表面にジルコニアを溶射してなる焼成用道具材であって、基材表面に凹凸模様を形成し該面にジルコニアを溶射したことを特徴とする焼成用道具材が記載されている。凹凸模様を形成することにより、基材とジルコニア溶射膜との密着性が高められるとの旨が記載されている。凹凸模様としては、メッシュ状の溝が記載されており、当該溝は、幅及び深さがいずれも3mm以下の溝であり、溝と溝との間隔が10mm以下であると記載されている。このような凹凸模様の作製方法としては、予め可燃性のメッシュを金型に入れておき基材を成形すると同時に溝を形成する方法などが記載されている。実施例には、幅0.3mm、深さ0.3〜0.6mm、溝と溝の間隔1.0mmのメッシュ状の溝が表面に形成されたアルミナ−シリカ質の基材(縦及び横215mm、厚さ7mm)にジルコニアが溶射されてなる焼成用道具材が記載されている。そして、当該焼成用道具材は、繰返し使用しても溶射層の剥離が生じなかったとの旨が記載されている。しかしながら、このような焼成用道具材は、薄肉化した場合には、機械的強度が不十分であった。また、特許文献1には、微細粉末を用いた機械的強度の高い基材については記載されていない。
特開平10−267562号公報
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、優れた機械的強度を有し、かつ、基材と溶射層との密着性が高い焼成用道具材及びその簡便な製造方法を提供することを目的とするものである。
上記課題は、アルミナ質又はアルミナ−シリカ質の基材の表面に、ジルコニア又はジルコン酸塩から選択される少なくとも1種を含有する溶射層を有する焼成用道具材であって、下記式(1)及び(2)を満足し、かつ前記基材の曲げ強さが25MPa以上であることを特徴とする焼成用道具材を提供することによって解決される。
dp≧750 (1)
dv≧0.007 (2)
ここで、dpは、水銀圧入法により測定された前記基材の細孔径分布におけるピーク細孔径(nm)であり、vpは、ピーク細孔径dpにおける差分細孔容積(ml/g)である。
前記基材の厚さが1〜5mmであることが好適である。前記基材中のアルミナとシリカの合計量に対するアルミナの重量比[Al/(Al+SiO)]が0.3〜1であることも好適である。
本発明の課題は、前記焼成用道具材の製造方法であって、前記基材の表面にジルコニア又はジルコン酸塩から選択される少なくとも1種を溶射して、溶射層を形成する工程を有することを特徴とする焼成用道具材の製造方法を提供することによっても解決される。
このとき、前記基材が、造粒物を成形した後に、焼成して得られたものであることが好適である。
本発明の焼成用道具材は、優れた機械的強度を有し、かつ、基材と溶射層との密着性が高い。そのため、薄肉にした場合でも、焼成用道具材は十分な機械的強度を有する。さらに、繰返し使用した場合でも、溶射層が剥離しない。また、本発明の製造方法によれば、このような焼成用道具材が簡便に得られる。
実施例1の焼成用道具材における、横軸を細孔径dとし、縦軸を差分細孔容積vとした細孔径分布を示す図である。 実施例8及び比較例5の焼成用道具材における、横軸を細孔径dとし、縦軸を差分細孔容積vとした細孔径分布を示す図である。 実施例1〜8及び比較例1〜5の焼成用道具材における、基材のピーク細孔径dp及びピーク細孔径dpにおける差分細孔容積vpの関係を示す図である。
本発明の焼成用道具材は、アルミナ質又はアルミナ−シリカ質の基材の表面に、ジルコニア又はジルコン酸塩から選択される少なくとも1種を含有する溶射層を有する焼成用道具材であって、下記式(1)及び(2)を満足し、かつ基材の曲げ強さが25MPa以上であるものである。
dp≧750 (1)
dv≧0.007 (2)
ここで、dpは、水銀圧入法により測定された前記基材の細孔径分布におけるピーク細孔径(nm)であり、vpは、ピーク細孔径dpにおける差分細孔容積(ml/g)である。
本発明の焼成用道具材には、アルミナ質又はアルミナ−シリカ質の基材が使用される。アルミナ質の基材とは、アルミナ(Al)を主成分として含有する基材という意味である。アルミナ−シリカ質の基材とは、アルミナ及びシリカ(SiO)を主成分として含有する基材という意味である。このとき、アルミナ及びシリカは、アルミナの結晶、或いは、シリカの結晶として含まれていてもよいし、ムライト(3Al・2SiO)のような複合酸化物の結晶として含まれていてもよい。通常の焼成条件では、基材中のアルミナ及びシリカの含有比が、ムライトにおけるアルミナとシリカの量論比(3:2)に近づくにつれて、基材中のムライトの含有量が多くなることになる。
基材中のアルミナとシリカの合計量に対するアルミナの重量比[Al/(Al+SiO)]は特に制限されないが、0.3〜1であることが好適である。前記重量比が0.3未満の場合には、基材中に存在するシリカが、溶射層に移動拡散した後に、被焼成物と反応して、当該被焼成物に悪影響を与えるおそれがある。前記重量比は、0.5以上であることがより好適であり、0.6以上であることがさらに好適であり、0.7以上であることが特に好適である。一方、耐熱衝撃性の観点からは、ムライトの含有量が多いほうが好適である。ムライトの含有量が多いほど、基材の熱膨張率が小さくなるため、焼成用道具材の耐熱衝撃性がより向上する。前記重量比が0.95を超える場合には、ムライトの含有量が少なくなる。前記重量比は0.95以下であることがより好適であり、0.9以下であることがさらに好適である。
前記基材は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、アルミナ及びシリカ以外の成分を含有してもよい。このような成分は、積極的に導入されるものであってもよいし、不可避的に含有されるものであってもよい。基材中のアルミナ及びシリカ以外の成分の含有量は、5重量%以下であることが好適であり、3重量%以下であることがより好適であり、1重量%以下であることがさらに好適である。被焼成物に対する反応性の観点からは、アルミナ及びシリカ以外の成分は実質的に含有しないことが好適である。
本発明の焼成用道具材の基材は、水銀圧入法により測定された基材の細孔径分布におけるピーク細孔径dpが式(1)(dp≧750)を満足する必要がある。ピーク細孔径dpが750nm未満の場合には、基材と溶射層との密着性が低下する。ピーク細孔径dpは900nm以上であることが好適であり、1100nm以上であることがより好適である。一方、ピーク細孔径dpは、通常、20000nm以下である。ピーク細孔径dpが20000nmを超えた場合には、焼成用道具材の機械的強度が低下するおそれがある。
また、本発明の焼成用道具材の基材は、ピーク細孔径dpにおける差分細孔容積vpが式(2)(vp≧0.007)を満足する必要がある。差分細孔容積vpが0.007ml/g未満の場合には、基材と溶射層との密着性が低下する。差分細孔容積vpは0.008ml/g以上であることが好適であり、0.009ml/g以上であることがより好適である。通常、差分細孔容積vpは0.2ml/g以下である。差分細孔容積vpが0.2ml/gを超えた場合には、焼成用道具材の機械的強度が低下するおそれがある。
本発明の焼成用道具材の基材は、ピーク細孔径dpが上記式(1)を満たし、かつピーク細孔径dpにおける差分細孔容積vpが式(2)を満たすことが必要である。それによって、基材と溶射層との密着性が優れたものになる。焼成用道具材が上記式(1)及び(2)を満たすことにより、基材と溶射層との間に「アンカー効果」が効果的に働くものと考えられる。焼成用道具材の基材が上記式(1)及び(2)を満たす場合には、基材の単位質量中に、細孔径が750nm以上の細孔が一定容積以上含まれることになる。溶射層を形成する際に、溶射されたジルコニア又はジルコン酸塩は、このような細孔径が750nm以上の細孔に入り込み易いと考えられる。溶射されたこジルコニア又はジルコン酸塩がこのような細孔に入り込むことにより、基材と溶射層とが機械的にかみ合い、当該溶射層は優れた密着性を有するものと考えられる。なお、細孔径分布中にピークが複数存在する場合には、少なくとも一つのピークの細孔径dp及び差分細孔容積vpが、上記式(1)及び(2)を満たしていればよい。
本発明の焼成用道具材の基材は、ピーク細孔径dp及びピーク細孔径dpにおける差分細孔容積vpが下記式(3)を満たすことが好適である。
dp×vp≧15 (3)
ピーク細孔径dp及びピーク細孔径dpにおける差分細孔容積vpが上記式(3)を満たさない場合には、基材と溶射層との密着性が低下するおそれがある。
本発明における細孔径分布は、基材の細孔に水銀を圧入したときの、圧力と水銀圧入量から求められる。水銀圧入量の測定及び圧力から細孔径への換算は、JIS R1655に基づいた方法により行う。測定される基材は、焼成用道具材からその表面の溶射層を除去したものとする。このとき、溶射層は研磨により完全に除去する。測定開始圧力は1psiaとし、測定最高圧力は30000psiaとする。測定ポイント数は65点とし、測定間隔は各測定ポイント間における圧力の常用対数値の増加分がほぼ等しくなるようにする。水銀圧入量の測定モードは、「所定圧力での水銀圧入量を測定する」モードとする。圧力から細孔径へ換算するに際して、細孔の形状を直径(細孔径)dの円筒状と仮定する。水銀に加わる圧力がPである場合における、水銀が侵入できる細孔の最小の直径(細孔径)dは、下記式(I)で示される「ウォッシュバーン式」から求められる。
d=−4σ(cosθ)/P (I)
ここで、σは水銀の表面張力であり、θは水銀と基材との接触角である。一方、水銀圧入量は累積細孔容積に相当する。したがって、圧力Pを変化させながら水銀圧入量を測定することにより、圧力Pから換算した細孔径dと、累積細孔容積(水銀圧入量)との関係が求められる。本発明においては、測定ポイント間の累積細孔容積の増加分である差分細孔容積vを細孔径dに対してプロットしたものを細孔径分布とする。
本発明の焼成用道具材の基材の見掛気孔率は特に制限されないが、通常、10〜40%である。本発明において、見掛気孔率は、JIS R2205に基づいて測定する。
前記基材の厚さは特に制限されないが、1〜5mmであることが好適である。本発明の基材は機械的強度が高いため、焼成用道具材を薄肉にすることが可能である。前記基材の厚さは、4mm以下であることがより好適である。一方、前記基材の厚さは、1.5mm以上であることがより好適である。
前記基材の原料は、特に限定されない。通常、セラミックス粉末、バインダー及び水を混合したものが成形に供される。前記セラミックス粉末としてはムライト粉末;アルミナ粉末;シリカ粉末;水酸化アルミニウム粉末;シリマナイト粉末、アンダルサイト粉末、カイヤナイト粉末などのシリマナイト族鉱物粉末及びカオリンなどのアルミナ−シリカ系粘土鉱物粉末などを使用することができる。基材中のアルミナとシリカの重量比は、これらの粉末を組み合わせて適宜調整する。前記バインダーとしては、ポリビニルアルコール(PVA)系バインダー、ポリ酢酸ビニル系バインダー、カルボキシルメチルセルロース(CMC)系バインダー、アクリル樹脂系バインダー及びワックス系バインダーなどが挙げられる。さらに、本発明の効果を阻害しない範囲において、各種添加剤を使用してもよい。添加剤としては、細孔形成剤、分散剤、消泡剤などが挙げられる。
前記基材の原料が、メジアン径が0.01μm以上5μm未満であるセラミックス粉末Aと、メジアン径が5μm以上150μm以下であるセラミックス粉末Bを含有し、セラミックス粉末Aとセラミックス粉末Bの合計量に対するセラミックス粉末Bの重量比[B/(A+B)]が0.05〜0.8であることが好適である。本発明における、セラミックス粉末のメジアン径とは、粒径の重量基準の中央値のことである。メジアン径は、レーザ回折散乱法により測定される。このようなセラミックス粉末Aとセラミックス粉末Bを用いることにより、本発明の焼成用道具材を簡便に製造することができる。この場合には、細孔形成剤を使用しなくてもよい。
前記基材の原料がセラミックス粉末Aを含有することにより、焼成用道具材の機械的強度を高めることができる。セラミックス粉末Aのメジアン径が0.01μmより小さい場合には、原料コストが高くなるとともに、製造時における取り扱いが難しくなるおそれがある。セラミックス粉末Aのメジアン径は、0.1μm以上であることがより好適である。一方、セラミックス粉末Aのメジアン径が5μmより大きい場合には、得られる焼成用道具材の機械的強度が低下するおそれがある。セラミックス粉末Aのメジアン径は4μm以下であることがより好適である。セラミックス粉末Aは、メジアン径又は化学組成などが異なる複数の粉末からなるものであってもよい。
前記基材の原料がセラミックス粉末Bを含有することにより、基材の細孔径分布を調整することができる。セラミックス粉末Bが5μmより小さい場合には、得られる焼成用道具材が上記式(1)及び(2)を満足しないおそれがあり、その結果、密着性が低下するおそれがある。セラミックス粉末Bのメジアン径は7μm以上であることがより好適であり、10μm以上であることがさらに好適である。一方、セラミックス粉末Bのメジアン径が150μmより大きい場合には、得られる焼成用道具材の機械的強度が低下するおそれがある。セラミックス粉末Bのメジアン径は120μm以下であることがより好適であり、80μm以下であることがさらに好適である。セラミックス粉末Bは、メジアン径又は化学組成などが異なる複数の粉末からなるものであってもよい。
セラミックス粉末Aとセラミックス粉末Bの合計量に対するセラミックス粉末Bの重量比[B/(A+B)]が0.05未満の場合には、焼成用道具材が上記式(1)及び(2)を満足しないおそれがあり、その結果、密着性が低下するおそれがある。当該重量比[B/(A+B)]は、0.15以上であることがより好適であり、0.2以上であることがさらに好適である。一方、当該重量比[B/(A+B)]が0.8を超える場合には、得られる焼成用道具材の機械的強度が低下するおそれがある。当該重量比[B/(A+B)]は、0.75以下であることがより好適であり、0.7以下であることがさらに好適であり、0.6以下であることが特に好適である。
基材の細孔径分布は、セラミックス粉末Bの化学組成によっても変化する。アルミナ粉末は、他のセラミックス粉末、例えばムライト粉末よりも効率的にピーク細孔径dpを大きくさせることができる。したがって、前記重量比[B/(A+B)]が0.05〜0.8であり、かつセラミックス粉末B中のアルミナ粉末BAの重量及びセラミックス粉末B中のムライト粉末BMの重量が下記式(4)を満たすことがより好適である。式中、Aは基材の原料中のセラミックス粉末Aの重量であり、Bは基材の原料中のセラミックス粉末Bの重量であり、BAは基材の原料中のアルミナ粉末BAの重量であり、BMは基材の原料中のムライト粉末BMの重量である。
0.3≦(BA×3+BM)/(A+B) (4)
上記式(4)において、「(BA×3+BM)/(A+B)」が0.3未満の場合には、得られる焼成用道具材が上記式(1)及び(2)を満足しないおそれがあり、その結果、密着性が低下するおそれがある。「(BA×3+BM)/(A+B)」は、0.5以上であることがさらに好適である。
本発明の効果を阻害しない範囲であれば、原料中にセラミックス粉末A及びセラミックス粉末B以外のセラミックス粉末を含有していてもよい。セラミックス粉末A及びセラミックス粉末B以外のセラミックス粉末の含有量は、セラミックス粉末の合計量に対して、50重量%以下であることが好適であり、20重量%以下であることがより好適であり、10重量%以下であることがさらに好適である。
セラミックス粉末A及びセラミックス粉末Bを含有するセラミックス粉末は、通常、バインダーと水を混合してから成形に供される。このとき、本発明の効果を阻害しない範囲において、各種添加剤を加えてもよい。添加剤としては、分散剤又は消泡剤などが挙げられる。
前記基材の原料が、メジアン径が0.01μm以上5μm未満であるセラミックス粉末A及び細孔形成剤を含有することも好適である。前記基材の原料がこれらを含有することにより、本発明の焼成用道具材を簡便に製造することができる。
前記基材の原料がセラミックス粉末Aを含有することにより、焼成用道具材の機械的強度を高めることができる。当該セラミックス粉末Aのメジアン径が5μm以上の場合には、得られる焼成用道具材の機械的強度が低下するおそれがある。当該セラミックス粉末Aのメジアン径は4μm以下であることがより好適である。一方、当該セラミックス粉末Aのメジアン径が0.01μmより小さい場合には、原料コストが高くなるとともに、製造時における取り扱いが難しくなる。セラミックス粉末Aのメジアン径は、0.1μm以上であることがより好適である。当該セラミックス粉末Aは、メジアン径又は化学組成などが異なる複数の粉末からなるものであってもよい。
前記基材の原料中のセラミックス粉末Aの含有量は、セラミックス粉末の全体量に対して50重量%以上であることが好適である。当該セラミックス粉末Aの含有量が50重量%より少ない場合には、得られる焼成用道具材の機械的強度が低下するおそれがある。当該セラミックス粉末Aの含有量は70重量%以上であることがより好適であり、90重量%以上であることがさらに好適であり、実質的にセラミックス粉末Aのみからなることが特に好適である。
前記基材の原料が細孔形成剤を含有することにより、焼成用道具材の細孔径分布を調整することができる。細孔形成剤の種類は特に限定されず、例えば、樹脂ビーズ、有機繊維などが使用される。
前記細孔形成剤の含有量は、特に限定されず、細孔形成剤の種類などによって、適宜調整される。通常、前記細孔形成剤の含有量は、基材の原料のセラミックス粉末100重量部に対して1〜20重量部である。
前記セラミックス粉末A及び前記細孔形成剤は、通常、バインダーと水を混合してから成形に供される。原料の混合物を造粒して造粒物を形成させる場合には、前記細孔形成剤の添加時期は、造粒前であってもよいし、造粒後であってもよい。本発明の効果を阻害しない範囲において、各種添加剤を加えてもよい。添加剤としては、分散剤、消泡剤などが挙げられる。
基材の原料を混合した後に、得られた混合物を成形する。成形するに際して、当該混合物をそのまま成形してもよいが、いったん造粒し、得られた造粒物を用いて成形することが好適である。このようにして得られる造粒物は、取り扱いが容易であるため、生産性がより向上する。原料の造粒は、例えば、原料を混合して得られたスラリーをスプレードライヤーにより噴霧造粒することにより行うことができる。処理条件は、原料の組成などに応じて、適宜調整する。
成形方法は特に限定されない。一般的な加圧成形などにより行うことができる。成形条件は、原料の組成などに応じて、適宜調整する。
得られた成形体の焼成方法は特に限定されない。一般的に使用される焼成炉を用いて行うことができる。焼成する際の条件は特に限定されないが、通常、焼成時間は、3〜30時間であり、焼成温度は、1400〜1800℃である。
本発明の焼成用道具材は、基材の表面に、ジルコニア又はジルコン酸塩から選択される少なくとも1種を含有する溶射層を有する。これにより、焼成用道具材と被焼成物との反応が抑制される。また、基材と溶射層との密着性が高い。
前記ジルコニアとしては、安定化剤を含有する安定化ジルコニア又は部分安定化ジルコニア、若しくは、未安定化ジルコニアなどが挙げられる。耐剥離性の観点からは、安定化ジルコニアが好適である。安定化ジルコニアは、熱膨張曲線の直線性が高いため、焼成用道具材を繰返し使用しても、溶射層がより剥離しにくい。前記安定化剤としては、イットリア、マグネシア、カルシア又はセリアなどが挙げられる。前記ジルコン酸塩としては、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウム又はジルコン酸ランタンなどが挙げられる。溶射層は、ジルコニア又はジルコン酸塩のどちらか一方を含有していてもよいし、ジルコニア及びジルコン酸塩をともに含有していてもよい。溶射層は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、ジルコニア及びジルコン酸塩以外の成分を含有してもよい。ジルコニア及びジルコン酸塩以外の成分の含有量は、10重量%以下が好適であり、5重量%以下がより好適であり、1重量%以下がさらに好適である。また、溶射層における、全金属原子中のジルコニウムの含有量は25原子%以上であることが好適であり、50原子%以上であることがより好適であり、80原子%以上であることがさらに好適である。
焼成用道具材は、基材の両側の表面に溶射層を有していてもよいし、片側の表面のみに溶射層を有していてもよい。また、焼成用道具材は基材表面の全面に溶射層を有していてもよいし、基材表面の一部に溶射層を有していてもよい。溶射層の厚さは特に限定されないが、通常、10〜500μmである。溶射層の厚さは、10〜300μmであることが好適である。
前記溶射層は、前記基材の表面にジルコニア又はジルコン酸塩から選択される少なくとも1種の粉末を溶射して形成することが好適である。溶射層の形成に用いられる原料の粉末は特に限定されない。通常、メジアン径が10〜200μmの粉末が使用される。ジルコニア粉末としては、安定化剤を含有する安定化ジルコニア粉末又は部分安定化ジルコニア粉末、若しくは、未安定化ジルコニア粉末などが挙げられる。安定化剤としては、イットリア、マグネシア、カルシア、セリアなどが挙げられる。ジルコン酸塩の粉末としては、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウム又はジルコン酸ランタンなどが挙げられる。これらのジルコニア粉末及びジルコン酸塩粉末は、単独で使用してもよく、複数を混合して使用してもよい。また、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、ジルコニア粉末及びジルコン酸塩粉末以外の粉末を含有していてもよい。原料の粉末における、ジルコニア粉末及びジルコン酸塩粉末以外の粉末の含有量は、10重量%以下が好適であり、5重量%以下がより好適であり、1重量%以下がさらに好適である。溶射方法は、特に限定されず、通常のセラミックス溶射に用いられる方法を用いることができる。なかでも、プラズマ溶射が好適である。プラズマ溶射のなかでも水プラズマ溶射が好適である。
本発明の焼成用道具材の基材は、曲げ強さが25MPa以上であることが必要である。曲げ強さが25MPa未満の場合には、焼成用道具材を薄肉にした場合において、実用上必要な耐荷重が確保されない。曲げ強さは40MPa以上であることが好適であり、50MPa以上であることがより好適であり、60MPa以上であることがさらに好適である。一方、基材の曲げ強さは、通常、150MPa以下である。
本発明における、基材の曲げ強さの測定方法を説明する。測定は、試験片が規定のものと異なること以外はJIS R1601「ファインセラミックスの室温曲げ強さ試験方法」に基づいた、3点曲げ強さの試験方法により行う。試験片は、平行研磨機(砥粒の番手:#120)により溶射層が完全に除去されるまで研磨した、厚さ3mmの焼成用道具材を、幅15mm、長さ36mm以上45mm未満に成形したものとする。試験片の側面は、前記平行研磨機により研磨されたものとする。稜の丸め又は面取りは行わない。試験に使用する治具は回転形3点曲げ試験ジグを使用し、外部支点間距離は30mmとする。溶射層を除去した後の焼成用道具材の厚さが3mm以下の場合には、JIS R1601に記載された3点曲げ強さを算出する計算式に当該焼成用道具材の厚さを代入して計算される値を曲げ強さとする。こうして得られた値を本発明における曲げ強さとする。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
[基材の組成分析]
基材の組成分析には、リガク社製の蛍光X線分析装置「RIX3000」を使用した。焼成用道具材の表面の溶射層を平行研磨機により、溶射層が完全に除去されるまで研磨した基材を測定した。あらかじめ粉砕した当該基材を、1000℃で加熱して、揮発分を除去した後にガラスビード法にてガラスビードを作成し、蛍光X線にて測定した。得られた生データを、標準試料を用いて作成した検量線により補正して基材の化学組成を得た。
[細孔径分布の測定]
水銀圧入量の測定及び圧力から細孔径への換算は、JIS R1655に基づいた方法により行った。細孔径分布の測定には、株式会社島津製作所製の自動ポロシメータ「オートポアIV9510」を使用した。焼成用道具材の両側の表面の溶射層を平行研磨機(砥粒の番手:#120、平均粒径:120μm)により、溶射層が完全に除去されるまで研磨した。溶射層を除去した焼成用道具材(厚さ約3mm)を縦約1cm、横約1cmの大きさに切り出した小片を試験片とした。得られた試験片をセルに封入し、室温下、50μmHg以下に減圧して5分間脱気した。圧力を1psiaに調整した後、水銀を導入した。圧力を1psiaから30000psiaまで段階的に昇圧させながら水銀圧入量を測定した。昇圧時の測定ポイントは65点とした。このときの各測定ポイントにおける圧力を表1に示す。各ステップにおいて、5秒間圧力を保持した後に、水銀圧入量を測定した。このとき、水銀圧入量の補正は行わなかった。当該測定により水銀圧入曲線を得た。さらに、下記式(I)を用い、圧力Pを細孔径dに換算した。
d=−4σ(cosθ)/P (I)
ここで、水銀の表面張力σは485dyn/cmとし、水銀と基材との接触角θは130°とした。測定ポイント間の累積細孔容積(水銀圧入量)の増加分である差分細孔容積vを細孔径dに対してプロットした細孔径分布を作成した。
Figure 0005527844
[見掛気孔率の測定]
基材の見掛気孔率の測定は、試験片が規定のものと異なること以外は、JIS R2205に基づいて測定した。焼成用道具材の両側の表面の溶射層を平行研磨機(砥粒の番手:#120、平均粒径:120μm)により、溶射層が完全に除去されるまで研磨した。溶射層を除去した焼成用道具材(厚さ約3mm)を縦約180mm、横約20mmの大きさに切り出した小片を試験片とした。飽水は真空法により行い、媒液には、水を使用した。
[粉末のメジアン径の測定]
原料のセラミックス粉末のメジアン径の測定には、レーザ回折散乱法粒子径分布測定装置(堀場製作所社製「LA−920」)を使用した。溶媒として0.2%ヘキサメタ燐酸ナトリウム水溶液を用いた。前記水溶液と測定試料との屈折率は装置付属の対照表の値を用いた。試料の分散を促進するために超音波を照射しながら、照射時間に対する粒度分布の変化がなくなったところでメジアン径を評価した。
[曲げ強さ測定]
基材の曲げ強さの測定には、島津製作所製の材料試験機「AG−IS」を使用した。測定は、試験片が規定のものと異なること以外はJIS R1601「ファインセラミックスの室温曲げ強さ試験方法」に基づいた、3点曲げ強さの試験方法により常温で行った。試験片は、以下のようにして作製した。平行研磨機(砥粒の番手:#120、平均粒径:120μm)により焼成用道具材の両側表面を溶射層が完全に除去されるまで研磨した。このとき、溶射層が除去された基材の厚さは3mmになるように調整した。当該基材を切り出した後、前記平行研磨機により側面を研磨して、厚さ3mm、幅15mm、長さ36mm以上45mm未満の試験片を得た。なお、稜の丸め又は面取りは行わなかった。試験に使用する治具は回転形3点曲げ試験ジグを使用し、外部支点間距離は30mmとした。
[溶射層の剥離試験]
作製した試験片の加熱と冷却を5回繰り返し、溶射層の剥離の有無を目視にて観察した。加熱温度は1200℃、1300℃又は1400℃とし、各加熱温度における溶射層の剥離の有無を測定した。
実施例1
基材の原料の、電融ムライト粉末40重量部(メジアン径2.6μm:25重量部、メジアン径14μm:15重量部)、アルミナ粉末35重量部(メジアン径1μm:5重量部、メジアン径14μm:30重量部)、シリカ粉末5重量部(メジアン径3μm)、カオリン粉末20重量部(メジアン径0.7μm)、PVA系バインダー9重量部、シリコーン系消泡剤0.3重量部、ポリカルボン酸塩系分散剤1重量部及び水66.7重量部を混合した。得られた混合物をスプレードライヤー(大川原化工機製、「FOC−16」)を用いて造粒した。得られた造粒物を成型用の金型に充填し、加圧成形を行った。得られた成形体を焼成炉に入れて焼成し、基材を得た。得られた基材は、縦約180mm、横約20mm、厚さ約3mmであった。
得られた基材の両側表面にジルコニアをプラズマ溶射した。原料として、イットリア安定化ジルコニア粉末を用いた。形成されたジルコニア溶射層の膜厚は100μmであった。
こうして得られた焼成用道具材の細孔径分布測定、組成分析(基材)、見掛気孔率測定、曲げ強さ測定及び溶射層の剥離試験を行った。横軸を細孔径dとし、縦軸を差分細孔容積vとした細孔径分布を図1に示す。細孔径分布の測定により得られた基材のピーク細孔径dp及びピーク細孔径dpにおける差分細孔容積vpを表4及び図3に示す。また、組成分析(基材)、曲げ強さ測定、見掛気孔率測定及び溶射層の剥離試験の結果を表4に示す。
実施例2〜7、比較例1及び2
基材の原料を表2に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして焼成用道具材を作製した。なお、比較例2の焼成用道具材を作製する場合には、細孔形成剤を造粒後の造粒物に添加した。得られた焼成用道具材の細孔径分布測定、組成分析(基材)、見掛気孔率測定、曲げ強さ測定及び溶射層の剥離試験を行った。細孔径分布の測定により得られた基材のピーク細孔径dp及びピーク細孔径dpにおける差分細孔容積vpを表4及び図3に示す。また、組成分析(基材)、曲げ強さ測定、見掛気孔率測定及び溶射層の剥離試験の結果を表4に示す。
Figure 0005527844
比較例3及び4
基材の原料を表3に示すように変更したことと、造粒を行わず、原料を混合した後に、そのまま加圧成形したこと以外は実施例1と同様にして焼成用道具材を作製し、得られた焼成用道具材の細孔径分布測定、組成分析(基材)、見掛気孔率測定、曲げ強さ測定及び溶射層の剥離試験を行った。細孔径分布の測定により得られた基材のピーク細孔径dp及びピーク細孔径dpにおける差分細孔容積vpを表4及び図3に示す。また、組成分析(基材)、曲げ強さ測定、見掛気孔率測定及び溶射層の剥離試験の結果を表4に示す。
Figure 0005527844
Figure 0005527844
表4から分かるように、実施例1及び4〜7の焼成用道具材は1200℃、1300℃及び1400℃のいずれの温度で剥離試験を行った場合でも、ジルコニア溶射層は剥離せず、基材と溶射層との密着性が優れていた。一方、ピーク気孔径dpが比較的小さい実施例2(ピーク細孔径dp:839nm)及び実施例3(ピーク細孔径dp:1062nm)の焼成用道具材は加熱温度が高い場合には、ジルコニア溶射層が剥離した。さらに、基材のピーク細孔径dpが750未満の比較例1(ピーク細孔径dp:680nm、差分細孔容積vp:0.039)の焼成用道具材は、いずれの温度で剥離試験を行った場合でも、ジルコニア溶射層が剥離した。このとき、差分細孔容積vpが0.007以上であってもジルコニア溶射層の密着性が悪かった。また、ピーク細孔径dpが750以上であっても、差分細孔容積vpが0.007未満である場合(比較例2、ピーク気孔径dp:1721、差分細孔容積vp:0.004)には、いずれの温度で剥離試験を行った場合でも、溶射層は剥離した。一方、見掛気孔率と密着性との間には、相関関係が見られなかった。
焼成用道具材の機械的強度については、実施例1〜7の焼成用道具材は、優れた曲げ強さを有していた。一方、粗大なセラミックス粉末を主に使用して作成された比較例3及び4の焼成用道具材は曲げ強さが低かった。
実施例8
表2に示す基材の原料の、セラミックス粉末、PVA系バインダー、シリコーン系消泡剤、ポリカルボン酸塩分散剤及び水を混合した。得られた混合物をスプレードライヤー(大川原化工機製、「FOC−16」)を用いて造粒した。得られた造粒物に細孔形成剤を添加した後、当該造粒物を成型用の金型に充填し、加圧成形を行った。得られた成形体を焼成炉に入れて焼成し、基材を得た。得られた基材は、縦約180mm、横約20mm、厚さ約3mmであった。
得られた基材の両側表面に実施例1と同様にしてジルコニア溶射層を形成した。形成されたジルコニア溶射層の厚さは100μmであった。
得られた焼成用道具材の細孔径分布測定、組成分析(基材)、見掛気孔率測定、曲げ強さ測定及び溶射層の剥離試験を行った。横軸を細孔径dとし、縦軸を差分細孔容積vとした細孔径分布を図2に示す。細孔径分布の測定により得られた基材のピーク細孔径dp及びピーク細孔径dpにおける差分細孔容積vpを表4及び図3に示す。また、組成分析(基材)、曲げ強さ測定、見掛気孔率測定及び溶射層の剥離試験の結果を表4に示す。
比較例5
細孔形成剤の含有量が表2に示す含有量であったこと以外は、実施例8と同様にして、焼成用道具材を作製し、得られた焼成用道具材の細孔径分布測定、組成分析(基材)、見掛気孔率測定、曲げ強さ測定及び溶射層の剥離試験を行った。横軸を細孔径dとし、縦軸を差分細孔容積vとした細孔径分布を図2に示す。細孔径分布の測定により得られた基材のピーク細孔径dp及びピーク細孔径dpにおける差分細孔容積vpを表4及び図3に示す。また、組成分析(基材)、曲げ強さ測定、見掛気孔率測定及び溶射層の剥離試験の結果を表4に示す。
図2に示すように、実施例8の焼成用道具材は、細孔径分布中に2つのピークを有しており、そのうちの右側のピークのみが上記式(1)及び(2)を満足していた。表4から分かるように、実施例8は基材と溶射層との密着性が優れていた。一方、細孔径分布中に2つのピークを有しており、それらのピークが式(1)(dp≧750)及び(2)(vp≧0.007)を満足しない比較例5の焼成用道具材は、基材と溶射層との密着性が悪かった。

Claims (5)

  1. アルミナ質又はアルミナ−シリカ質の基材の表面に、ジルコニア又はジルコン酸塩から選択される少なくとも1種を含有する溶射層を有する焼成用道具材であって、下記式(1)及び(2)を満足し、かつ前記基材の曲げ強さが25MPa以上であることを特徴とする焼成用道具材。
    dp≧750 (1)
    vp≧0.007 (2)
    ここで、dpは、水銀圧入法により測定された前記基材の細孔径分布におけるピーク細孔径(nm)であり、vpは、ピーク細孔径dpにおける差分細孔容積(ml/g)である。
  2. 前記基材の厚さが1〜5mmである請求項1に記載の焼成用道具材。
  3. 前記基材中のアルミナとシリカの合計量に対するアルミナの重量比[Al/(Al+SiO)]が0.3〜1である請求項1又は2に記載の焼成用道具材。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の焼成用道具材の製造方法であって、前記基材の表面にジルコニア又はジルコン酸塩から選択される少なくとも1種を溶射して溶射層を形成する工程を有することを特徴とする焼成用道具材の製造方法。
  5. 前記基材が、造粒物を成形した後に、焼成して得られたものである請求項4に記載の焼成用道具材の製造方法。
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