JP5524640B2 - 粘着シート - Google Patents

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Description

本発明は、高屈折率の透明粘着シートに関するものであり、ITO(Idium Thin Oxide)膜の腐食抑制と過酷環境下における耐久性を有することを特徴とする。
液晶ディスプレイ等の表示パネル、タッチパネル等のモジュールの形成に際して、そのモジュールを形成する偏光板、位相差板、ITO膜等の機能性光学部材と、ガラス、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート及びPET等の表面保護用光学部材とを接着する際に、粘着層を介して積層させ貼り合わせる方法が採用されている。粘着層は作業の簡便性、耐熱性や耐候性等の点からアクリル系を主成分とする粘着層が用いられることが多い。一方、これらアクリル系を主成分とする従来の粘着層では、機能性光学部材および表面保護用光学部材との屈折率差が大きく、全反射を生じる入射角が小さくなり光の有効利用度(画面の明るさ)が低下する問題があった。このため、これら光学部材に近い屈折率を有する接着層を使用し、屈折率差を小さくすることで界面反射を抑制することが有利であると知られている。
しかしながら通例のアクリル系粘着層の屈折率は1.47前後であり、光学部材を形成する材料の屈折率は、例えばガラスで1.52前後、メタクリル系樹脂で1.51前後、ポリカーボネートで1.54前後、PETで1.60前後、ITO膜で1.70前後であり、屈折率の開きが大い。例えばガラス、メタクリル系樹脂、ポリカーボネートからなる表面保護用光学部材とPET、ITO膜を形成する機能性光学部材を接着する際に、従来のアクリル系粘着層からなる粘着シートを用いると、屈折率差が大きく、前記した光の有効利用度(画面の明るさ)が低下する。このため粘着シートには屈折率が1.49〜1.60であることが求められ、この範囲内で調節出来る高屈折率の粘着剤を使用することで、屈折率差に基づく界面反射を低減させ、光の有効利用度(画面の明るさ)を向上させた粘着シートが求められる。
液晶ディスプレイは、薄型液晶テレビを始め、タッチパネル、カーナビゲーション、携帯電話等の様々な用途分野に幅広く浸透している。液晶テレビやカーナビゲーション、タッチパネル等の電極として、ITO膜等の透明導電性膜が良く用いられている。ITO膜は、フィルムやガラス上に真空蒸着等により形成される。
通常、上述の各種表示素子にITO膜が使用される場合、ITO膜への表面には保護フィルムが貼合される。例えば静電容量方式のタッチパネルには、絶縁基板(プラスチックやガラス等)表面に真空蒸着によって形成されたITO膜への表面に保護フィルムが貼合されて使用される。保護フィルムを介してタッチパネル表面に人の指が接触すると、接触部分の電界値が変化する。電界値が変化した部分の座標をITO膜が認識することによって、人の指が接触した部分の位置が特定される仕組みになっている。
屈折率1.49〜1.60を有する透明粘着シートの主成分として、主に芳香族環を含有するモノマーの共重合性ポリマーを使用することが知られている(特許文献1〜5)。しかし、これらの先行文献に記載の透明粘着シートは、粘着力向上のためカルボキシル基を有するモノマーを1重量部以上含有するため、ITO膜に直接貼り合わせ長期使用すると、ITO膜を腐食させる。静電容量方式のタッチパネルにITO膜を使用した場合、腐食により電気電気抵抗値が増大するため感知不良などの誤作動が発生し易くなるという問題がある。また、可塑剤を含有しないため弾性率が高く硬い粘着シートとなり、例えば−40℃のような低温環境下で粘着性が低下し、粘着層がITO膜から浮いたり剥がれたりする問題がある。加えて高温環境下では透過率(透明性)が低下する問題もある。
特開2007−169329 特開2002−173656 特開2003−13029 特表2003−535921 特表2005−53976
屈折率が1.49〜1.60と高く、光の有効利用度(画面の明るさ)を向上できる透明粘着シートを得ることを課題とする。また、高温多湿条件下においてもITO膜への腐食の進行を抑制でき、低温環境下における浮き剥がれを防止し耐久性に優れ、高温環境下における透過率の低下を防止できる透明粘着シートを得ることを課題とする。
芳香族環を含有するアクリル酸変性モノマーの共重合性ポリマーを含む粘着剤組成物を含有し、カルボキシル基を有するモノマーが前記共重合性ポリマー100重量部のうち1.0重量部未満であり、粘着剤組成物中にアジピン酸エステル系の可塑剤が前記共重合性ポリマー100重量部に対して0.5〜10重量部含有させた粘着シートである。
好ましくは、芳香族環を含有するアクリル酸変性モノマーがベンジルアクリレートであり、共重合性ポリマー100重量部のうちベンジルアクリレートの割合が40〜90重量部である粘着シートである。
好ましくは、アジピン酸エステル系可塑剤がアジピン酸ジオクチルであり、共重合性ポリマー100重量部に対しシランカップリング剤を0.1〜1.0重量部含有させた粘着シートである。
好ましくは、共重合ポリマー100重量部のうちブチルアクリレートを7〜57重量部含有させた粘着シートである。
屈折率が1.49〜1.60と高く、光の有効利用度(画面の明るさ)を向上できる透明粘着シートを得ることができる。また、高温多湿条件下においてもITO膜への腐食の進行を抑制でき、低温環境下における浮き剥がれを防止し耐久性に優れ、高温環境下における透過率の低下を防止できる透明粘着シートを得ることができる。
粘着シート10の物理的構成を示す断面図である。 タッチパネル11の物理的構成を示す断面図である。
以下、本発明の一実施の形態における粘着シート10について、図面を参照して説明する。なおこれらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成などは、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
図1を参照し、粘着シート10の物理的構成について説明する。図1に示すように、粘着シート10は、粘着層6と、粘着層6を挟み込むようにして粘着層6に貼合される剥離シート5及び剥離シート7とを備えている。粘着層6は、粘着剤、架橋剤、可塑剤を含んでいる。図1に示す例では、剥離シート7の上側に粘着層6が積層し、粘着層6の上側に剥離シート5が配置している。
図2を参照し、粘着シート10(図1参照)の応用例の一例を示す。図2では、静電容量方式のタッチパネル11に粘着シート10が適用された場合を示している。タッチパネル11は、透明プラスチックやガラス、フィルム等の基板4、基板4の表面に形成されたITO膜3、ITO膜3のうち基板4と接する側の面と反対側の面に貼合された粘着シート10の粘着層6、及び、粘着層6によって基板4に貼合された表面保護用光学部材であるフィルム1を備えている。タッチパネル11は、基板4のうちITO膜3が形成されている面と反対側の面(紙面下側)を、表示素子(LCDやEL素子等)に近接させた状態で使用される。
タッチパネル11の作製方法について概説する。図1における粘着シート10のうち剥離シート5が剥がされる。露になった状態の粘着層6を、基板4に形成されたITO膜3の表面に貼合する。その後、剥離シート7が剥がされる。露になった状態の粘着層6に、フィルム1が貼合される。以上のようにして、タッチパネル11が作製される。
粘着層6を構成する粘着剤、架橋剤、及び可塑剤について詳説する。本実施の形態では、(1)粘着剤として主に芳香族環を含有するモノマーの共重合性ポリマーを使用することで屈折率を1.49〜1.60と高屈折にでき、ITO膜に対する屈折率差を小さくでき、界面反射を低減させることが可能である。(2)ITO膜3への腐食防止のため、粘着剤中のアクリル酸含有量を、粘着剤100重量部のうち1.0重量部未満とした。(3)過酷環境下においてもITO膜に対する粘着性を向上させるため、アジピン酸エステル系可塑剤を含有させた。好ましくは(4)粘着剤中に未反応の水酸基を残さないよう、架橋剤の種類および含有量を限定した。
はじめに、粘着剤について説明する。粘着剤としては、従来、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸などが使用されてきた。本実施の形態では、粘着剤として、ITO膜を腐食させて電気抵抗値を増大させる要因として考えられるカルボキシル基を含む粘着剤ではなく、カルボキシル基を含まないアクリル酸変性物を主に用いる。
アクリル酸変性物としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどのアクリルアミド類;(メタ)アクリル酸モノメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノプロピルなどの(メタ)アクリル酸モノアルキルアミノエステル;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)ブチルアクリレート、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。
アクリル酸変性物のうち、芳香族環を含有するアクリル酸変性物を使用すると、高屈折率が得られる。芳香族環を含有するアクリル酸変性物としては、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレンおよびα−メチルスチレン、6−(4,6−ジブロモ−2−イソプロピルフェノキシ)−1−ヘキシルアクリレート、6−(4,6−ジブロモ−2−sec−ブチルフェノキシ)−1−ヘキシルアクリレート、2,6−ジブロモ−4−ノニルフェニルアクリレート、2,6−ジブロモ−4−ドデシルフェニルアクリレート、2−(1−ナフチルオキシ)−1−エチルアクリレート、2−(2−ナフチルオキシ)−1−エチルアクリレート、6−(1−ナフチルオキシ)−1−ヘキシルアクリレート、6−(2−ナフチルオキシ)−1−ヘキシルアクリレート、8−(1−ナフチルオキシ)−1−オクチルアクリレート、8−(2−ナフチルオキシ)−1−オクチルアクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンタン(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、ビニルトルエンが挙げらる。この中でもベンジルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2−(1−ナフチルオキシ)−1−エチルアクリレートを用いると、高屈折率であり、透過率が高い透明粘着シートが得られるため好ましい。特にベンジルアクリレートを用いると更に高屈折率で透過率が高くなるため好ましい。
アクリル酸変性物と芳香族環を含有するアクリル酸変性物とを併用する場合、芳香族環を含有するアクリル酸変性物の割合は、粘着剤のうち40重量部以上90重量部以下であることが好ましい。40重量部を下回ると、屈折率が1.49未満となる可能性があるため好ましくない。90重量部を超過すると、粘着力が低下しやすく、低温条件下における耐久性が低下しやすいため好ましくない。
更に好ましくは、アクリル酸変性物としてブチルアクリレート、特にn−ブチルアクリレートを用いると粘着力が良好となるため好ましい。n−ブチルアクリレートの含有量は粘着剤の内、7重量部以上57重量部以下であることが好ましい。7重量部未満では粘着力が低下しやすく、57重量部を超過すると、屈折率が1.49未満となる可能性があるため好ましくない。
また、アクリル酸変性物、芳香族環を含有するアクリル酸変性物に加え、カルボキシル基を有するモノマーを併用する場合は、含有量を粘着剤のうち1.0重量部未満とする。上述の通りカルボキシル基を有するモノマーはITO膜を腐食させやすいため、1.0重量部未満であっても含有させることは好ましくなく、含有しないことがより好ましい。本発明はアジピン酸エステル系可塑剤を含有しているため、カルボキシル基を有するモノマーを含有させなくても十分な粘着力を有する粘着シートが得られる。但し、更に粘着力を向上させるためにカルボキシル基を有するモノマーを1.0重量部未満含有させるのであれば、腐食性を抑えるために酸化防止剤と併用することが望ましい。酸化防止剤を併用しない場合は、ITO膜への腐食が進行しやすくなるため望ましくない。
アクリル酸変性物および/または芳香族環を含有するアクリル酸変性物のアクリル系ポリマー(以下、アクリル系ポリマーとする)を得る為の重合方法としては、溶液重合、乳化重合、塊状重合等いずれかの重合方法を用いることができる。本実施の形態における重合開始剤としては、溶液中でラジカルを発生するラジカル重合が好ましく用いられ、過酸化ベンゾイル、アゾジイソブチロニトリル等公知の重合開始剤を用いることができる。本実施の形態においては、アゾジイソブチロニトリル等のアゾ系重合開始剤が好適に用いられる。
ラジカル重合におけるアゾ系重合開始剤の使用量としては、モノマー100重量部に対して、0.005重量部から1.0重量部であることが望ましい。また得られるアクリル系ポリマーの重量平均分子量は50万〜150万が好ましく、70万〜120万であることがより好ましい。重量平均分子量がこの範囲であると、架橋剤との反応により適度な凝集効果が得られるため好ましい。
架橋剤について説明する。架橋剤は一般的に用いられているものを使用することができる。例えば、m−キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネート、ジフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート系化合物;エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、エチレングリコールグリシジルエーテル、ポリエチレンジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;ヘキサメチレンジアミン、トリエチルジアミン、ポリエチレンアミン等のアミン系化合物;アルミニウムに代表される多価金属や金属キレート化合物;N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキサイド)、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキサイド)、トリ−1−アジリジニルホスフィンオキサイド等のアジリジン系化合物が挙げられる。これらのうち、1種類あるいは2種類以上を混合して使用することができる。この中でもm−キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネート、ジフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート系化合物が好ましく、なかでもm−キシリレンジイソシアネートを使用した場合は、特に粘着シートの黄変化を防止しやすく、より高い透明性が得られるため好ましい。また、アクリル系ポリマーを主成分とする粘着剤ポリマーを分子間架橋させやすく、十分な粘着性を維持でき、高温、高温多湿及び低温環境下での耐久性が良好となるため好ましい。
架橋剤含有量は、粘着剤ポリマー100重量部に対して固形分換算で0.1重量部以上20重量部以下が好ましい。より好ましくは粘着剤ポリマー100重量部に対して0.1重量部以上10重量部以下である。0.1重量部未満であると、粘着剤ポリマーに未反応の水酸基が残り、ITO膜への腐食を促進させる要因となる。また、凝集力不足により粘着性が低下し、浮き剥がれ等の問題が発生しやすいとともに粘着シートをタッチパネルに積層する際に粘着剤のはみ出しが発生しやすく、また粘着剤が軟らかい為スリット加工する際に刃に粘着剤が付着する等、作業性が大きく低下する可能性があるため好ましくない。20重量部を超えると、ITO膜への腐食防止につながり、耐久性は向上するものの粘着力が低下し、表面保護用光学部材(機能性フィルム)との積層が困難となる可能性があるため好ましくない。
芳香族環を含有するアクリル酸変性物としてベンジルアクリレートを用い、更には、アクリル酸変性物としてn−ブチルアクリレートを用いると、高屈折率でありながら更に粘着力が良好となり、かつ電気抵抗値の増大を抑制することができ、ITO膜への腐食をより防止できる。加えて、架橋剤としてイソシアネート系化合物を用い、架橋剤添加量は、粘着剤ポリマー100重量部に対して固形分換算で0.1重量部以上20重量部以下、より好ましくは1重量部以上10重量部以下とすることにより、更に十分な粘着性を維持しながら、電気抵抗値の増大を抑制することができ、ITO膜への腐食をより防止しやすくなる。
可塑剤について説明する。可塑剤としてはアジピン酸エステル系化合物を含有する。アジピン酸エステル系化合物以外の可塑剤では、ITO膜に対する接着力や腐食性、高温環境下に晒した後の透明性、低温環境下における耐久性に劣り、目的とする粘着シートを得ることができない。
但し、本発明の効果を阻害しない範囲内で、従来一般に使用されている可塑剤を併用することができる。このような可塑剤としては、例えばフタル酸エステル系化合物、リン酸エステル系化合物、トリメリット酸エステル系化合物、セバシン酸エステル系化合物、クエン酸系エステル系化合物、エポキシ系脂肪酸エステル化合物、ポリエステル系化合物、等が挙げられる。具体的な化合物としては、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソニル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジブチル、トリメリット酸トリオクチル、低分子ポリエステル、リン酸トリクレシル、アセチルクエン酸トリブチル、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、セバシン酸ジオクチル、が挙げられ、これらを1種類あるいは2種類以上を併用しても良い。
可塑剤としてアジピン酸エステル系化合物を用いることで、透過率が高く、粘着力が良好であり、高温多湿環境下におけるITO膜の腐食防止性があり、低温条件下においても浮き剥がれが発生せず耐久性に優れ、高温環境下においても透過率が高く透明性が良好な粘着シートが得られる。アジピン酸エステル系化合物以外の可塑剤では、均一に混合できず、粘着剤溶液を調合できなかったり、透過率が低下したり、粘着力が低下したり、高温多湿環境下においてITO膜の腐食が進行したり、低温条件下において浮き剥がれが発生し耐久性が低下したり、高温環境下において透過率が低く透明性が悪化する。
本発明は上述のとおり、モノマーとして芳香族環を含有するアクリル酸変性モノマーを用いて高屈折率の透明粘着シートを得るだけでなく、カルボキシル基を有するモノマーを共重合性ポリマー100重量部のうち1.0重量部未満に抑えることで腐食を防止することができ、かつアジピン酸エステル系の可塑剤を用いることで粘着シートに対して十分な柔軟性を付与しながらも十分な粘着性を付与できたものである。この組み合わせを有することで初めて、屈折率が高く腐食性が抑制でき、かつ異なる過酷環境下におけるITO膜に対する腐食性、透過性、浮き剥がれ(耐久性)などが良好で、実使用に耐ええる粘着シートが得られることを見出し、本発明に至ったものである。アジピン酸エステル系可塑剤以外の可塑剤では、このような相乗効果を得ることはできない。
アジピン酸エステル系化合物としては、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソニルがあり、この中でもアジピン酸ジオクチルを用いると透過率が高く、粘着力が良好であり、高温多湿環境下におけるITO膜の腐食防止性があり、低温条件下においても浮き剥がれが発生せず耐久性に優れるため、好ましい。
アジピン酸エステル系化合物の含有量としては、粘着剤100重量部に対し、0.5〜10重量部が好ましく、1〜5重量部がより好ましい。0.5重量部を下回ると、低温条件下において浮き剥がれが発生し、耐久性が低下する。10重量部を超過すると粘着シートが硬くなり十分な粘着性が得られない。加えて高温環境下に晒した後の透過率が低下して実用に耐えないだけでなく、屈折率が低下しやすく、加えてITO膜も腐食しやすいため好ましくない。また、アジピン酸エステル系化合物を1〜10重量部含有させる場合は、粘着力が低下する傾向があるためシランカップリング剤を併用し、粘着力を向上させることが好ましい。特に被着体がITO膜である場合、粘着シートが剥がれやすいため可塑剤を0.5〜10重量部含有させ、かつシランカップリング剤を0.1〜1.0重量部含有させることで、低温環境下におけるITO膜に対する耐久性を更に高めることができるため好ましい。
芳香族環を含有するアクリル酸変性物に加えて、可塑剤としてアジピン酸エステル系化合物を併用すると、高屈折率であり、透過率が高く、粘着力が良好であり、高温多湿環境下におけるITO膜の腐食防止性があり、低温条件下においても浮き剥がれが発生せず耐久性に優れる透明粘着シートが得られるため、好ましい。特に芳香族環を含有するアクリル酸変性物としてベンジルアクリレートを用い、更には、アジピン酸エステル系化合物として、アジピン酸ジオクチルを用いると、更に高屈折率であり、透過率が高く、粘着力が良好であり、高温多湿環境下におけるITO膜の腐食防止性があり、低温条件下においても浮き剥がれが発生せず耐久性に優れる透明粘着シートが得られるため、好ましい。
酸化防止剤について説明する。酸化防止剤としては、フェノール系化合物、サリチル酸系化合物、チオエーテル系化合物、ヒドラジン系化合物、リン系化合物、硫黄系化合物等が挙げられる。具体的な化合物としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミチン酸塩、没食子酸プロピルの混合物、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、及びクエン酸の混合物、ブチル化ヒドロキシトルエン、t−ブチルヒドロキノン、天然のトコフェロール、ブチル化ヒドロキシアニソール、没食子酸ドデシル等があるが、本発明においては酸化防止剤としてフェノール系化合物を用いることが好ましい。酸化防止剤を添加することにより、アクリル酸などのカルボキシル基によるITO膜の腐食を防止しやすく、電気抵抗値の増大を抑制しやすいため好ましい。但し、カルボキシル基を有するモノマーの含有量が粘着剤のうち1.0重量部を超過すると、酸化防止剤を含有させたとしてもITO膜の腐食を防止できない。酸化防止剤は1種類あるいは2種類以上を混合して使用することができる。
シランカップリング剤について説明する。シランカップリング剤としては、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、メルカプト系化合物、アミノ系化合物、カルボキシル系化合物、アルコキシ系化合物等があるが、本発明においてはシランカップリング剤としてメルカプト系化合物を用いることが好ましい。メルカプト系化合物を用いると粘着力が良好となり、高温多湿環境下におけるITO膜の腐食防止性があり、低温条件下においても浮き剥がれが発生せず耐久性に優れる透明粘着シートが得られるため、好ましい。シランカップリング剤の含有量は0.1部以上1.0部以下が好ましい。シランカップリング剤の含有量が1.0重量部を超過すると、−40℃の低温環境下での耐久性が低下するため、好ましくない。
粘着剤としてアクリル酸変性物及び芳香族環を含有するアクリル酸変性物を用い、架橋剤としてイソシアネート系化合物および可塑剤としてアジピン酸エステル系化合物、好ましくはアジピン酸ジオクチルを用いることで、ITO膜に対して屈折率差に基づく界面反射を低減させることが可能であり、かつITO膜への電気抵抗値上昇を抑えることができ、ITO膜への腐食を防止した粘着シートとなり、過酷環境下におけるITO膜への耐久性を有する透明粘着シートが得られるために好ましい。さらに架橋剤としてm−キシリレンジイソシアネートを用い、架橋剤添加量を粘着剤100重量部に対して0.1重量部以上20重量部以下とし、可塑剤添加量は粘着剤100重量部に対して0.5重量部以上10重量部以下とし、好ましくは、酸化防止剤を0.1重量部以上10重量部以下添加することで、高い粘着性を維持しながら、ITO膜への電気抵抗値上昇を抑えることができ、ITO膜への腐食を更に防止しやすいため好ましい。加えて、架橋剤添加量を粘着剤100重量部に対して0.1重量部以上10重量部以下とすると、更に粘着性を向上できる。加えて可塑剤添加量は粘着剤100重量部に対して、より好ましくは1.0重量部以上5.0重量部以下とすることによって、高屈折率であり、透過率が高く、粘着力が良好であり、高温多湿環境下におけるITO膜の腐食防止性があり、低温条件下においても浮き剥がれが発生せず耐久性に優れる透明粘着シートが得られるため、好ましい。
また、芳香族環を含有しないアクリル酸変性物を10重量部以上60重量部以下、芳香族環を含有するアクリル酸変性物を40重量部以上90重量部以下、イソシアネート系化合物を0.1重量部以上20重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上10重量部以下、アジピン酸ジオクチルを0.5重量部以上10重量部以下、より好ましくは1重量部以上5重量部以下とすることで、更に高い粘着性を維持しながら、ITO膜への腐食による電気抵抗値の増大を更に抑制しやすい。特に好ましくは、芳香族環を含有しないアクリル酸変性物としてn−ブチルアクリレートを7重量部以上57重量部以下、芳香族環を含有するアクリル酸変性物としてベンジルアクリレートを40重量部以上90重量部以下とを用い、可塑剤としてアジピン酸ジオクチルを用いると、高い粘着性を維持し、かつ過酷環境下におけるITO膜への耐久性を有する透明粘着シートが得られやすい。なお、上記の割合は全て固形分換算での割合である。
粘着層6の形成方法について説明する。粘着層6は、剥離処理を施した剥離シート7に、粘着剤、架橋剤、可塑剤、好ましくは酸化防止剤、シランカップリング剤を調合したものを塗工し、乾燥及び架橋させて粘着層6を設けた後、粘着層6の上に別の剥離シート5を貼り付ける。この時、粘着層6を形成する方法については特に限定される事は無く、グラビア印刷法、スプレー法、ロールコーター法、ダイコーター法等の公知の方法を使用することができる。
粘着層の厚さについては特に限定されないが、10μm以上である事が好ましく、15μm以上が特に好ましい。10μm未満では粘着力不足により光学部材や基材の剥がれが発生しやすい。逆に100μmを超える場合は、粘着剤中の溶剤成分が残留したり、加工時の粘着層の切断面積が大きくなり、スリット刃に粘着剤が付着したり、スリット刃の刃圧による端面の変形の恐れがある。
本実施の形態における粘着シート10の剥離シート5,7としては、粘着剤組成物と接着せず、剥離できるフィルム状のものであれば特に限定されるものではない。例えば、紙、合成樹脂フィルムに剥離剤を塗工したものを挙げることができる。剥離剤を使用する場合には適宜、剥離力を調整し、粘着層の層間剥離などを防止することが好ましい。
以上説明したように、本実施の形態の粘着シート10では、粘着層6が、一以上の芳香族環を含有するアクリル酸変性物を含む粘着剤と、アジピン酸エステル系可塑剤とを少なくとも含んでいる。このような構成とすることによって、粘着層6を使用してITO膜3の表面にフィルム1を貼合させた場合に、ITO膜3の腐食の進行を抑制し、かつ過酷環境下におけるITO膜への耐久性を有するために好ましい。従って、例えば静電容量方式のタッチパネル11に使用されるITO膜3に適用された場合、電気抵抗値の上昇を抑えることで、感知不良などの誤作動を軽減でき、かつ過酷環境下におけるITO膜への耐久性を有するため浮き剥がれが発生しない、安定した品質のタッチパネル11を供給する事が出来る。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上述の実施の形態では、タッチパネル11に粘着シート10が適用される場合を想定して説明したが、本発明はこの例に限定されない。従って粘着シート10は他の応用例に適用されてもかまわない。
本発明の粘着シートを、以下に具体的に実施例に従って説明する。しかしながら、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下、(1)試料作製、(2)評価内容、(3)評価結果、の順に説明する。
(1)試料作製
組成の異なる27種類(実施例1〜14、比較例1〜16)の粘着層6からなる粘着シート10を作製した。粘着剤として、芳香族環を有する共重合性ポリマー(ベンジルアクリレートポリマー(BZA)、2−フェノキシエチルアクリレートポリマー、2−(1−ナフチルオキシ)−1−エチルアクリレートポリマー)及び芳香族環を有さない共重合性ポリマー(n−ブチルアクリレートポリマー(BA)、アクリル酸2−ヒドロキシエチルポリマー、アクリル酸ポリマー(AA))を使用した。これらの粘着剤を、表1及び表2の割合で混合した。この粘着剤25重量部を溶媒75重量部(トルエン22重量部と酢酸エチル42重量部、MEK11重量部を混合した溶媒)に溶解し、固形分25重量部の粘着剤溶液を得た。粘着剤溶液100重量部に対して、溶媒(酢酸エチル)5重量部を用意し、この中に表1に記載の架橋剤および可塑剤、シランカップリング剤、酸化防止剤を、表1に記載の割合で溶かした後、粘着剤溶液に添加した。記載の割合は全て固形分換算での重量割合である。
なお、粘着剤としてAAを使用した場合(実施例17,18、比較例11,12)、AAと反応し易いエポキシ系の架橋剤をイソシアネート系の架橋剤と併用して使用した。理由は、イソシアネート系の架橋剤はAAと混合することによって黄変し、また水分の影響で性能のばらつきが起こりやすいという特性があるためである。一方、AAを使用しない場合(実施例1〜16、19,20、比較例1〜10,13)は、粘着剤とエポキシ系の架橋剤とが反応し難いため、イソシアネート系架橋剤のみを使用した。
上記粘着剤溶液を2時間静置した。次いで、剥離処理を施した剥離シート7にダイコーターで厚み25μmとなるよう粘着剤溶液を塗工し、80〜110℃で2分間乾燥及び架橋させた。これによって、剥離シート7の上に粘着層6を形成させた。次いで、粘着層6の上に別の剥離シート5を貼り付け、粘着シート10を作製した。
なお、用いた架橋剤、可塑剤、シランカップリング剤、酸化防止剤は以下のとおりである。
イソシアネート系架橋剤としてm−キシリレンジイソシアネート(綜研化学製、品番TD−75)を使用した。エポキシ系架橋剤としてグリセリンジグリシジルエーテル(綜研化学製、品番E−5XM)を使用した。
アジピン酸エステル系可塑剤としてアジピン酸ジオクチル(DOA)(和光純薬工業製、特級)を使用した。フタル酸エステル系可塑剤としてフタル酸ジブチル(DBP)(和光純薬工業製、特級)を使用した。リン酸エステル系可塑剤としてリン酸トリクレシル(TCP)(ジェイ・プラス製、品名TCP)を使用した。トリメリット酸エステル系可塑剤としてトリメリット酸トリオクチル(ジェイ・プラス製、品名TOTM)使用した。セバシン酸エステル系可塑剤としてセバシン酸ジオクチル(DOS)(純正化学製、品名デカン二酸ビス(2−エチルヘキシル))を使用した。クエン酸エステル系可塑剤としてアセチルクエン酸トリブチル(ジェイ・プラス製、品名ATBC)を使用した。エポキシ系可塑剤としてエポキシ化脂肪酸エステル(ESBO)(旭電化工業製、品名エポキシ化亜麻仁油)を使用した。ポリエステル系可塑剤として1,2−ブクンジオール系ポリエステル可塑剤(ジェイ・プラス製、品名D620)を使用した。
シランカップリング剤としてメルカプト系化合物(綜研化学化学製、品番C−50)、エポキシ系化合物(綜研化学化学製、品番A−50)、イソシアネート系化合物(綜研化学化学製、品番H−50)を使用した。
酸化防止剤としてBHT(ナカライテスク製、品番2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)を使用した。
Figure 0005524640
Figure 0005524640
(2)評価
(a)屈折率
作製した粘着シート10を使用し、屈折率を評価した。屈折率評価は、粘着層6のみの589nmにおける屈折率を屈折率計(アタゴ製、型番DR−M4)で測定した。屈折率が1.54以上であれば屈折率に優れ、光学部材間の界面反射のロスを十分に低減することができ、光の有効利用度(画面の明るさ)を特に向上できる。1.49以上であれば屈折率が良く、光学部材間の界面反射のロスを低減することができ、光の有効利用度(画面の明るさ)を向上できる。屈折率が1.49未満であれば低屈折率であり、光学部材間の界面反射のロスを低減することができず、光の有効利用度(画面の明るさ)が低下する。
(b)ITO粘着力
作製した粘着シート10を使用し、粘着力を評価した。支持体として東洋紡績株式会社製A4100に粘着剤層6を貼り合わせ、粘着剤層6のもう片方の面にITO膜3が形成された状態の基材4を貼合させて、23℃・50%環境下で30分放置した後に、支持体および粘着剤層6からITO膜3が形成された状態の基材4を剥がす際の剥離強度をオートグラフ(島津製作所製、型番AGS500NG)を使用して、25mm巾における貼合24時間後の粘着力を剥離角度180°、剥離速度300mm/分で評価した。
粘着力が5.0N/25mm以上は、粘着力が十分にあり製品として十分に使用できるレベルであることを示している。粘着力が5.0N/25mm未満3.0N/25mm以上は粘着力がやや劣るが、製品として使用可能なレベルであることを示している。粘着力が3.0N/25mm未満1.0N/25mm以上は更に粘着力が劣り、製品としては使用できる下限レベルであることを示している。粘着力が1.0N/25mm未満は、粘着力が低く、製品として使用できないレベルであることを示している。
(c)透過率
作製した粘着シート10を使用し、透過率を評価した。フィルム1として東洋紡績株式会社製A4100に粘着層6を貼付し、次いで、フィルム1を貼合した側とは逆側の露になっている状態の粘着層6の面に、支持体として1mm厚のソーダライムガラスの片面に貼り合わせた。その後、85℃・0%RHの環境下に投入して1000時間放置し、取り出し後、UV可視光分光光度計(島津製作所製、型番UV−3150)を使用して、380nm〜780nmにおける光線透過率(D65光源、視野角2°)を測定した。透過率が88.5%以上であれば透明性に優れており、透過率が87.5%以上であれば透明性が良好である。透過率が87.5%未満では透明性が低く、光学部材の貼り合わせ用途として使用することができない。
(d)ITO腐食性(電気抵抗値)
作製した粘着シート10を使用し、ITO腐食性(電気抵抗値)を評価した。フィルム1として東洋紡績株式会社製A4100に粘着層6を貼付し、次いで、フィルム1を貼合した側とは逆側の露になっている状態の粘着層6の面に、ITO膜3が形成された状態の基材4(40mm×40mm)を全面貼り合わせた。その後、60℃・95%RHの環境下に投入して1000時間放置した。取り出してフィルム1および粘着層6を剥がしてITO膜3を露出させた。そして、ITO膜3が形成された基材4の対角線上2点の角の間の電気抵抗値を、カイセ(株)製絶縁抵抗計「SK−300」を用いて測定した。ITO膜の初期電気抵抗値は800Ω以上1,000Ω未満である。表3のうち、ITO電気抵抗値が800Ω以上〜1,500Ω未満であれば製品として十分に使用できるレベルであることを示している。ITO電気抵抗値が1,500Ω以上2,000Ω未満であれば製品として使用可能なレベルであることを示している。ITO電気抵抗値が2,000Ω以上3,000Ω未満であれば製品として使用できる下限レベルであることを示している。ITO電気抵抗値が3,000Ω以上であれば製品として使用できないレベルであることを示している。
(e)ITO耐久性
作製した粘着シート10を使用して、ITO耐久性を評価した。フィルム1として東洋紡績株式会社製A4100に粘着層6を貼付し、次いで、フィルム1を貼合した側とは逆側の露になっている状態の粘着層6の面に、ITO膜3が形成された状態の基材4(40mm×40mm)を全面貼り合わせた。その後、低温環境(−40℃)に1,000時間放置した後、粘着層のITO膜からの浮き剥がれの程度を評価した。表3のうち、「◎」はITO膜に対して粘着層の浮き剥がれが全くなく、十分に使用できるレベルであることを示している。「○」は「◎」と比較して、端部における浮き剥がれが若干見られるが、製品として使用可能なレベルであることを示している。「△」は「○」よりも更に端部における浮き剥がれが大きく見られ、製品として使用できる下限レベルであることを示している。「×」は端部における浮き剥がれが大きく、製品として使用できないレベルであることを示している。
Figure 0005524640
(3)評価結果
実施例の透明粘着シートはいずれも、芳香族環を含有するアクリル酸変性モノマーの共重合性ポリマーを含んでおり、カルボキシル基を有するモノマーが共重合性ポリマー100重量部のうち1.0重量部未満であり、粘着剤組成物中にアジピン酸エステル系の可塑剤が共重合性ポリマー100重量部に対して0.5〜10重量部含有しているため、屈折率が1.49〜1.60と高く、ITOに対する粘着力が高く、高温環境下においても透過率が高く、高温多湿環境下でもITOを腐食しにくく、低温環境下でも浮き剥がれが発生しにくい透明粘着シートである。
これに対して比較例の透明粘着シートは、芳香族環を含有するアクリル酸変性モノマーの共重合性ポリマーを含んでいないか、カルボキシル基を有するモノマーが共重合性ポリマー100重量部のうち1.0重量部未満でないか、粘着剤組成物中にアジピン酸エステル系の可塑剤が共重合性ポリマー100重量部に対して0.5〜10重量部含有していないため、屈折率が低く、ITOに対する粘着力が低く、高温環境下において透過率が低下し、高温多湿環境下でITOを腐食し、低温環境下で浮き剥がれが発生しやすいなど、これら項目のうち1つまたは複数の項目に劣り、本発明の課題を解決できない透明粘着シートである。
屈折率が1.49〜1.60と高く、光の有効利用度(画面の明るさ)を向上できる透明粘着シートを得ることができる。また、高温多湿条件下においてもITO膜への腐食の進行を抑制でき、低温環境下における浮き剥がれを防止し耐久性に優れ、高温環境下における透過率の低下を防止できる透明粘着シートを得ることができる。
1 フィルム
3 ITO膜
4 基板
5,7 剥離シート
6 粘着層
10 粘着シート
11 タッチパネル

Claims (4)

  1. 芳香族環を含有するアクリル酸変性モノマーの共重合性ポリマーを含む粘着剤組成物を含有し、カルボキシル基を有するモノマーが前記共重合性ポリマー100重量部のうち1.0重量部未満であり、粘着剤組成物中にアジピン酸エステル系の可塑剤が前記共重合性ポリマー100重量部に対して0.5〜10重量部含有することを特徴とする粘着シート。
  2. 前記芳香族環を含有するアクリル酸変性モノマーがベンジルアクリレートであり、前記共重合性ポリマー100重量部のうち前記ベンジルアクリレートの割合が40〜90重量部であることを特徴とする、請求項1に記載の粘着シート。
  3. 前記アジピン酸エステル系可塑剤がアジピン酸ジオクチルであり、前記共重合性ポリマー100重量部に対しシランカップリング剤を0.1〜1.0重量部含有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の粘着シート。
  4. 前記共重合ポリマー100重量部のうちブチルアクリレートを7〜57重量部含有することを特徴とする、請求項1〜3いずれか1項に記載の粘着シート。
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