JP5523170B2 - 蒸気養生薄肉製品用速硬性セメント組成物 - Google Patents
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Description
このような方法では、型枠回転率は1〜3回転/日と、1日に1つの型枠で製品を1〜3体しか製造することができず、納期短縮時や少ない型枠での製造効率拡大時においては、製造効率の改善が望まれている。
さらに、カルシウムアルミネート系の速硬性セメント組成物を用いて型枠回転率を上げる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、カルシウムアルミネート系の速硬性セメント組成物を利用した場合、前記の従来技術よりも多い型枠回転率を得ることが可能となるが、回転率を上げようとして速硬セメントの水和速度を上げすぎると、コンクリート製品の温度上昇が過大となり、脱型後に製品表面と内部温度に差が出て、内部拘束ひび割れが生じる虞があった。このためエトリンガイト等の発熱量の大きいカルシウムアルミネート系水和物の生成速度をある程度抑制してやる必要があるため、4回転/日を超えるような型枠回転率の実現は困難であった。特に、セグメント等の大型コンクリート製品を蒸気養生で製造する場合には、発熱速度の抑制が欠かせず、製品表面と内部温度に差が出ないよう注意する必要があった。
しかしながら、薄肉コンクリート製品用に用いる場合、コンクリートが薄いため、内外の温度差が生じ難く、内部拘束ひび割れの危険性が小さくなる。特に蒸気養生で製品を短時間で回転させようとする場合、脱型時までの発熱量が大きく、脱型後の発熱量が小さくなるように調整した速硬性セメント組成物を用いれば、蒸気養生中の発熱量は大きいが、脱型後の温度変化が小さい結果となるため、速やかに冷却され、ひび割れを生じる虞が小さくなるため好ましいことを見出した。また、この場合、反応速度の大きい速硬性セメント組成物を用いることが可能となるため、常圧蒸気養生時間を大幅に短縮して、型枠の回転率を7回転/日とすることが可能となることを見出し、本発明を完成した。
また、本発明は上記の速硬性セメント組成物と骨材と水を含有することを特徴とする、厚さ40mm以下の蒸気養生薄肉製品用速硬性モルタル又はコンクリート組成物を提供するものである。
さらに、本発明は上記の速硬性モルタル又はコンクリート組成物を厚さ40mm以下となるよう型枠内に打設して蒸気養生を行い、養生終了直後に脱型し、散水することを特徴とする、蒸気養生薄肉製品の製造方法を提供するものである。
40mmを超える厚さを有する製品では、早期に急速に発熱する速硬性セメント組成物を用いた場合、コンクリート製品の温度が上昇し、内部と表面の温度差が大きくなり、内部拘束ひび割れが生じる虞がある。特に、蒸気養生で製品を養生する場合、内外の温度差がさらに激しくなるため、養生終了後の脱型直後にひび割れを生じる虞が高かいので好ましくない。より好ましい蒸気養生薄肉製品の厚さは35mm以下であり、さらに好ましくは30mm以下である。なお、蒸気養生薄肉製品の厚さの下限値は特に限定されないが、3mm以上が好ましい。
本発明を厚さ40mm以下の蒸気養生薄肉製品に適用した場合、コンクリートが薄いため、内外の温度差が生じ難く、内部拘束ひび割れの危険性が小さい。特に蒸気養生で製品を短時間で回転させようとする場合、脱型時までの発熱量が大きく、脱型後の発熱量が小さいよう調整した速硬性セメント組成物を用いれば、蒸気養生中の発熱量は大きいが、脱型後の温度変化が小さい結果となるため、速やかに冷却され、ひび割れを生じる虞が小さくなるため好ましい。また、この場合、反応速度の大きい速硬性セメント組成物を用いることが可能となるため、常圧蒸気養生時間を大幅に短縮して、型枠の回転率を7回転/日とすることが可能となる。
カルシウムアルミネートは、本発明速硬性セメント組成物中に2〜25質量%含有するのが好ましく、5〜20質量%含有するのがより好ましく、5〜18質量%含有するのがさらに好ましい。
尚、本発明における水和発熱量とは、以下の手法にて簡易的な断熱条件下で温度の経時変化を測定し、積算発熱量に換算したものである。
(1)速硬性セメント1000gと水500gを1000rpmのハンドミキサで2分間混合する。
(2)上記(1)の混練物1200gを分取し、魔法瓶中に入れ、熱電対を用いて温度の経時変化を測定する。
また、練混ぜ方法や練混ぜ時間も一般に使用されている任意の方法、時間を適用することができる。
使用した材料を表1に、速硬性セメント組成物の配合と注水後3時間時点と12時間時点の積算発熱量の比を表2に、コンクリート配合を表3に示す。
コンクリートの配合は表3の一定とし、表2の速硬性セメント組成物A〜Mを各々使用し、コンクリート13種類を練混ぜた。尚、コンクリートの練混ぜには、100リットルパン型水平強制練りミキサを使用し、2分間練り混ぜて50リットルのコンクリートを製造した。尚、高性能減水剤は、スランプ10.0±2.5cmとなるよう適宜調整した。
表5に試験結果を示す。本発明の製品にはひび割れや角欠けは無く、問題ないことが確認された。
次に、表5の実施例1〜3で用いた速硬性セメント組成物(表2のB〜D)を用い、実際のコンクリート製品製造設備を用いて、製造試験を行った。
コンクリート製品の成型では、図3及び表6に示すJIS A 5372のケーブルトラフのK164の規格の製品(肉厚23〜25mm)を製造した。
本実験で用いた材料を表7に、コンクリート配合を表8に示す。
常圧蒸気養生パターンは、前記図2と同じとした。尚、型枠脱型はコンクリート打込み成型後1.5時間で実施し、脱型直後に散水を行って製品全体を十分に冷却した後に、試験体のひび割れや角欠けの有無を確認した。少しでも角欠けやひび割れの認められたものは×、角欠けやひび割れの全く認められなかったものを○として評価した。また、製品と同一配合・同一養生条件で製作したφ10cm×h20cmの円柱型試験体を用いて、脱型直後(材齢2時間)と材齢14日での圧縮強度を測定した。尚、脱型後〜材齢14日までの試験体養生条件は、封緘養生とした。
製造作業可使時間は十分に確保でき、型枠への流動性・充填性も問題ないことが確認できた。
材齢2時間での圧縮強度は、本発明の製品では脱型に必要な圧縮強度15N/mm2以上を確保できていることが確認できた。また、材齢14日での圧縮強度も62〜65N/mm2と十分な強度が確保できた。また、本発明の製品ではひび割れや角欠け等が生じることがなく、十分な脱型強度と耐ひび割れ性を有していることが確認できた。
前記実施例6のコンクリート製品に関し、連続製造試験を行った。製造サイクルを図4に示す。尚、蒸気養生条件は図2と同一とした。
常圧蒸気養生時間を大幅に短縮することができたため、型枠の回転率を従来の2〜3倍である7回転/日と、極めて高いコンクリート製品の製造効率を実現できた。また、製造した製品には、ひび割れや角欠けは全く認められず、問題ない事を確認した。
Claims (1)
- 早強ポルトランドセメント50質量%以上、カルシウムアルミネート5〜20質量%、硫酸カルシウム2〜25質量%及び凝結調整剤0.1〜4質量%を含有し、注水後3時間時点と12時間時点の積算発熱量の比が0.65〜0.90である速硬性セメント組成物と骨材を含有する速硬性モルタル又はコンクリート組成物を厚さ3〜30mmとなるよう型枠内に打設して蒸気養生を行い、養生終了直後に脱型し、散水することを特徴とする、蒸気養生薄肉製品の製造方法。
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