JP5522821B2 - 耐火二層管継手およびその製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、合成樹脂管は、耐火性に劣り、火災時に延焼するとともに、焼失して、配水管等のために穿孔された耐火壁等を通じて、さらなる延焼等を起こす危険性がある。
このため、建築材として、ポリ塩化ビニル管の外周を繊維含有モルタルで被覆した耐火二層管が一般に使用されている。
このため、前記継手内に直管を挿入して接続する際は、該継手内径を拡げるように強く押し込む必要がある。その際、ポリ塩化ビニル管は弾力性があるため割れることはないが、脆性の外管(モルタル)には亀裂が入ることがある。
また、直管を強く押し込むため、例えば、継手の枝管部に直管を接続する際、該継手の枝管部の反対側を叩く等の衝撃を加えることがあり、その衝撃で外管(モルタル)亀裂が入ることがある。
しかしながら、これらの方法は、熱膨張による亀裂や継手の内径と直管の外径の差による亀裂防止には効果があるとしても、上記のような衝撃による亀裂に対しては効果が得られない。
このため、内管と外管の間に間隙を設けるべく、種々の提案がなされている。
[1] 合成樹脂内管継手の外周を耐火水硬性材料で被覆した耐火二層管継手であって、前記合成樹脂内管継手の受け口部の外周と前記耐火水硬性材料の間に、前記耐火水硬性材料が不織布の表面に含浸されて、表面部分が前記耐火水硬性材料と接着して一体化した不織布層が設けられていることを特徴とする耐火二層管継手、
[3]前記不織布層が、前記合成樹脂内管継手の受け口部の外周、または、外周と段差部に設けられていることを特徴とする上記[1]または[2]に記載の耐火二層管継手、
[4]前記不織布層が、厚さ0.1〜5mmであることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載の耐火二層管継手、
[5]前記合成樹脂内管継手が、受け口部を2つ有する直線状であり、前記不織布層が、前記合成樹脂内管継手の受け口部の外周面にヒートシール、ヒートセットまたは複数の点溶着で接着固定されていることを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれかに記載の耐火二層管継手、
[7]前記不織布がヒートシール性を有するものであることを特徴とする上記[6]に記載の耐火二層管継手の製造方法、
[8]前記不織布を予め筒状とし、該不織布を前記合成樹脂内管継手の受け口部に被せることにより、該受け口部の外周を被覆することを特徴とする上記[6]または[7]に記載の耐火二層管継手の製造方法、
[9]前記不織布がテープ状またはシート状であり、該不織布を前記合成樹脂内管継手の受け口部の外周に巻き付けて、ヒートシール、ヒートセットまたは複数の点溶着することにより、該受け口部の外周を被覆することを特徴とする上記[6]〜[8]のいずれかに記載の耐火二層管継手の製造方法、および
また、本発明に係る耐火二層管継手によれば、従来、耐火二層管の課題であった受け口部の外管(モルタル)の補強も可能となり、さらに、内管全体を不織布層で覆う場合には、合成樹脂内管の振動が外管へ伝達することを妨げ、防音効果にも寄与し得る。
本発明に係る耐火二層管継手は、合成樹脂内管継手の外周を耐火水硬性材料で被覆した耐火二層管継手であって、前記合成樹脂内管継手の受け口部の外周と耐火水硬性材料の間に、不織布層が設けられているものである。そして、前記不織布層は、好ましくは、表面部分が前記耐火水硬性材料と一体化し、また、熱可塑性材料を含み、ヒートシール性を有するものである。
また、本発明に係る耐火二層管継手の製造方法は、耐火二層管継手の生産性を大きく改善し、さらに、モルタルを不織布の表面に含浸させ、不織布層によりモルタルを補強することにより、モルタルが破損した場合にも、破片の剥離、脱落を防止することができる製造方法を提供するものである。
前記耐火二層管の内管には、主として、ポリ塩化ビニル管が用いられ、耐火性、耐熱性を付与するために、その表面は、耐火水硬性材料、例えば、モルタル等で形成される外管により被覆される。このとき、前記耐火二層管およびその継手は、通常、接続施工の際の加工のために、内管と外管の間にわずかの間隙を設けることが必要とされる。
本発明は、各受け口部径が、同径であっても、異径であっても、適用可能である。
前記耐火水硬性材料で形成される外管の厚さは、内管径によって異なり、必要な強度、耐火性を有するように適宜設定される。
前記不織布の厚さは、内管の外周とモルタルとの間の十分な隙間の形成等の本発明の効果を得る観点から、0.1〜5mmであることが好ましく、より好ましくは、0.2〜3mmである。
このように、前記不織布が、熱可塑性材料を含み、ヒートシール性またはヒートセット性を有していれば、ポリ塩化ビニル管等の合成樹脂内管に、コテや高周波等を用いて、直接、ヒートセット、ヒートシールまたは点溶着することができる。
前記不織布に含まれる熱可塑性材料としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル等の繊維が好適に使用される。
テープ状またはシート状であれば、合成樹脂内管継手に巻き付けるか、または、包む等により被覆した後、不織布同士をヒートセットするか、または、前記合成樹脂内管継手にヒートシールまたは点溶接することにより、固定化することができる。
前記固定化は、具体的には、溶着ローラーシール機、ヒートシール機、高周波溶接機等を用いて、点溶着、ライン溶着等をすることにより行う。
なお、ヒートシール、ヒートセット、点溶接およびシュリンクによる固定化は、後のモルタルの圧入の際に、不織布がめくれないようにするため、内管継手の奥の方(開口部の反対側)の適切な箇所を選択して行うことが好ましい。
これにより、不織布の表面の起毛または凹凸部にモルタルが入り込み、不織布とモルタルとが一体化する。
このとき、モルタルは不織布の表面に含浸させるが、不織布の密度および厚さ、モルタル圧入の圧力を調整することにより、前記内管継手の外周表面にまでは浸透しないようにすることが好ましい。
加熱養生の温度が高いときは、短時間で硬化が終了するが、合成樹脂内管継手がポリ塩化ビニル製である場合、可使温度の上限である60℃程度を加熱養生の最高温度とすると、モルタル(セメントモルタル)の硬化は、約3時間で終了する。
この加熱養生において、合成樹脂内管継手とモルタルの熱膨張係数の差により、内管と外管のモルタル(実際には、モルタルが接着した不織布層の内面)の間に間隙が形成される。
このため、不織布層を介在させずに外管をモルタル単独で形成した場合に比べて、耐衝撃性が著しく改善されており、万一、破損しても、ひびが入るのみで、破片の剥離、脱落が生じることはない。
これに対して、紙層を介在させた場合には、紙自体にヒートシール性、ヒートセット性がないため、固定化等における施工がより煩雑となり、しかも、紙の表面は不織布に比べて平滑であるため、モルタルとの一体化が十分に図られず、また、紙自体の強度も低いため、モルタルの補強効果に劣る。
そして、前記直管をDSソケットの継手に挿入する際は、直管の外管を保持して内管を挿入する。
これに対して、本発明においては、DSソケットの長さに適合する不織布の筒状体に内管継手を挿入し、必要な強度に応じて、ヒートシール等によりDSソケットに固定するか、または、内管継手をその長さの幅のシートで被覆してヒートシールし、その中央部もしくは接続の妨げとならない箇所で、ヒートシール等により固定した後、その表面部に必要な厚さのモルタルを塗布すればよいため、製造工程が極めて容易になる。
図1は、耐火二層管継手1および耐火二層管直管の挿入部2の断面図であり、接続前の状態を示すものである。
また、図2は、図1の耐火二層管継手1および耐火二層管直管2を接続した状態を示す断面図である。
耐火二層管継手1は、受け口部が二層管直管2の内管を挿入できるように、他の部分より拡径している。継手1の受け口部は、表面から順に、モルタル外管11、不織布層12、隙間13、合成樹脂内管14の4層からなる。
なお、図1においては、継手1の受け口部(拡径部)と段差部にも、不織布層12が形成されている。内管14外周のその他の部分には、不織布層12が形成されていないが、形成されていても、形成されていなくても、本発明の効果が得られる。
一方、耐火二層管直管2には、不織布層が形成されていないが、本発明は、耐火二層管継手1に関するものであるため、これにより、本発明の効果が左右されるものではない。
なお、DSソケット3は、外管11を保持し、内管14に圧力を加えても、外管11と内管14の位置関係が変化しないように、不織布層12と内管14を固定しておくことが好ましい。
[実施例1]
呼び径100mmのDSソケット(管内径:99.8mm、管外径:113.6mm、D1=140mm)に、内径115mm、幅95mm、筒状のスパンボンド(スパンボンド不織布「エルタス(登録商標)」エステルE01050;旭化成せんい(株)製)を被せて、220℃のローラーシール機により、縦方向90°毎、横方向3本の割合で均一にDSソケットに溶着した。
これを金型にセットし、モルタルをスラリー圧力50kg/cm2で注入成型し、60℃で3時間スチーム養生した後、50℃で2時間乾燥養生し、耐火二層管DSソケット(ソケットの外管外径:150mm)を製造した。
そして、1週間経過後、10点について、下記の評価および試験を行った。これらの結果を表1に示す。
(1)拡径隙間:0.35mm以上が良好
(2)両側にポリ塩化ビニル管接続、挿入圧力45〜46kg(モルタルの破損評価)
(3)両側にポリ塩化ビニル管接続後40℃、2時間保持(モルタルの破損評価)
(4)両側にポリ塩化ビニル管接続後60℃、2時間保持(モルタルの破損評価)
(5)50cm高さから3回の落下試験(モルタル破片の剥離評価)
呼び径100mmのDSソケットに、被覆をせずに、直接、モルタルをスラリー圧力50kg/cm2で注入成型し、それ以外については、実施例1と同様にして耐火二層管ソケットを製造した。
この耐火二層管ソケットについて、実施例1と同様にして評価およびテストを行った。これらの結果を表1に併せて示す。
実施例1において、スパンボンドに代えてボール紙(0.5mm厚、幅45mm)を、DSソケット中央部に巻き付けた以外は、実施例と同様にして、耐火二層管ソケットを製造した。
この耐火二層管ソケットについて、実施例1と同様にして評価および試験を行った。これらの結果を表1に併せて示す。
実施例1と同様にして、DSソケットを製造し、養生後1週間経過後、直径113.6mmの空孔を有する鉄製の台上にスパンボンド−モルタル被覆部分のみを載せ、DSソケット部分のみに押しコマを乗せて、ポリ塩化ビニル管のみを押し下げ、コマがズレ始める時点での押圧を測定し、溶着強度を評価した。測定は5回行った。この測定結果を表2に示す。
実施例1と同じDSソケットに、幅95mmのスパンボンドを巻き付け、セロファンテープで止めた以外は、実施例1と同様にして、モルタル注入成型、養生を行い、耐火二層管DSソケットを製造した。その後1週間経過後、実施例2と同様にして、溶着強度の評価を行った。この結果を表2に併せて示す。
このため、不織布の固定をヒートシールやヒートセット等で行うことができるため、製造工程が極めて簡略化される。さらに、製造された耐火二層管継手は、配管施工の際の直管の圧入またはその際の叩き込み等の衝撃により内管が膨出変形した場合であっても、外管(モルタル)の破損等によるモルタル破片の剥離、脱落防止の点で改善される。
したがって、防火区画を貫通する耐火二層管用の継手として有用である。
2 耐火二層管直管
3 DSソケット
11 モルタル外管
12 不織布層
13 隙間
14 合成樹脂内管
15 段差部
16 耐火目地リング
Claims (10)
- 合成樹脂内管継手の外周を耐火水硬性材料で被覆した耐火二層管継手であって、前記合成樹脂内管継手の受け口部の外周と前記耐火水硬性材料の間に、前記耐火水硬性材料が不織布の表面に含浸されて、表面部分が前記耐火水硬性材料と接着して一体化した不織布層が設けられていることを特徴とする耐火二層管継手。
- 前記不織布が、熱可塑性材料を含むフェルトまたはスパンボンドであり、ヒートシール性またはヒートセット性を有していることを特徴とする請求項1記載の耐火二層管継手。
- 前記不織布層が、前記合成樹脂内管継手の受け口部の外周、または、外周と段差部に設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の耐火二層管継手。
- 前記不織布層が、厚さ0.1〜5mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の耐火二層管継手。
- 前記合成樹脂内管継手が、受け口部を2つ有する直線状であり、前記不織布層が、前記合成樹脂内管継手の受け口部の外周面にヒートシール、ヒートセットまたは複数の点溶着で接着固定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の耐火二層管継手。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の耐火二層管継手を製造する方法であって、
合成樹脂内管継手の受け口部の外周を、熱可塑性材料を含む不織布で被覆した後、該合成樹脂内管継手を割型の金型内にセットし、前記金型注入口から未硬化の耐火水硬性材料を注入し、前記不織布の表面に含浸させた後、脱型し、硬化させ、不織布層の表面と前記耐火水硬性材料を一体化させることを特徴とする耐火二層管継手の製造方法。 - 前記不織布がヒートシール性を有するものであることを特徴とする請求項6記載の耐火二層管継手の製造方法。
- 前記不織布を予め筒状とし、該不織布を前記合成樹脂内管継手の受け口部に被せることにより、該受け口部の外周を被覆することを特徴とする請求項6または7記載の耐火二層管継手の製造方法。
- 前記不織布が、テープ状またはシート状であり、該不織布を前記合成樹脂内管継手の受け口部の外周に巻き付けて、ヒートシール、ヒートセットまたは複数の点溶着することにより、該受け口部の外周を被覆することを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の耐火二層管継手の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の耐火二層管継手を用いて施工されたことを特徴とする耐火性配管。
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