JP5522450B2 - 金属酸化促進方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水中で金属を酸化させる金属酸化促進方法に関する。
酸化は、対象とする物質が電子を失う化学反応のことである。化学的作用により外見や機能が損なわれた物体やその状態を腐食という。特に金属は化学的な腐食を受けやすく、腐食による生成物は一般的に錆と呼ばれる。金属の腐食は酸化還元反応により表面の金属が電子を失ってイオン化し金属面から脱落していくことで進行する。そのため、腐食は酸化の一種である。酸化(腐食)によって生じたイオンの一部は酸素と結合して酸化物、水酸化物あるいは炭酸塩となり表面に堆積する。
マグネシウムは酸素と結合しやすい(酸化しやすい)金属である。酸化の際には、激しい閃光をともなって燃焼する。例えば、マグネシウム合金の成形品を切削加工する際に生じるマグネシウム合金微粉末(以下、マグネシウム切削屑と称する)は、爆発下限濃度以上の濃度で、空気中に浮遊している状態で着火すると爆発を起こす。また、高温で燃えるマグネシウムが水と反応すれば、以下の反応式に示したように水素が発生して爆発的に燃焼する。
[化1]
Mg+H2O→MgO+H2
そのため、マグネシウム切削屑を処理・保管する際には、マグネシウム切削屑の温度管理および水分管理を厳重にする必要がある。
酸化マグネシウム(MgO)は、化学的・熱的に安定な物質である。そのため、マグネシウム金属の状態ではなく、例えば酸化マグネシウムの状態にすると安全に保管できる。
酸化マグネシウムは、酸化還元反応により表面のマグネシウム金属が電子を失ってマグネシウムイオン化し、金属面から脱落してマグネシウム金属が腐食した後、生じたマグネシウムイオンが酸素と結合して生成される。酸化マグネシウムは、マグネシウムを例えば燃焼させて酸化させることにより生成する。
特許文献1には、マグネシウム切削屑の酸化方法として、マグネシウム切削屑を入れた燃焼炉内に、二酸化炭素ガスを導入してマグネシウム切削屑を安全に酸化させる方法が記載してある。特許文献1に記載の方法では、二酸化炭素ガスの作用により、酸化の反応速度を遅くすることができる。また、この方法では、以下の反応が起こることにより酸化マグネシウムが生成する。
[化2]
Mg+CO2→MgO+CO
この反応で導入した二酸化炭素ガスは、一酸化炭素および酸素に急激には分解しない。そのため、二酸化炭素ガスが存在することによってマグネシウム切削屑を空気と遮断し易くして、マグネシウムの激しい酸化が起きるのを防止することができる。そして、徐々に二酸化炭素ガスが分解することにより発生した酸素とマグネシウムが結合して酸化マグネシウムが生成する。このように、二酸化炭素ガスの作用によりマグネシウム切削屑を安全に酸化させることができる。
特開2003−128414号公報
特許文献1に記載の方法は、燃焼炉を利用した乾式酸化方法である。マグネシウムの酸化は発熱反応である。例えば、1秒あたり2gのマグネシウムの切削屑(含水率50%)が700℃で燃焼する場合、発熱量は約150Wと算出される。このうち水素が燃焼することによって生じた発熱量は127Wである。
一般に、廃棄物の燃焼炉では、常時、炉壁の外部に水を放出することで燃焼炉を冷却している。しかし、マグネシウム燃焼炉では、燃焼しているマグネシウムに水が混入すると発生する水素の量が増加し、爆発的な燃焼を起こして膨大な熱量が発生する。そのため、マグネシウム燃焼炉を水で冷却するのは危険を伴う。さらに、マグネシウム燃焼炉が常に高温に曝されると、燃焼炉の寿命が短くなる。
また、マグネシウム金属屑において、マグネシウム切削屑が多様なサイズを有する場合は、それぞれの切削屑は多様な表面積を有する。そのため、マグネシウム切削屑に付着した水分量が多様になり、これが原因でマグネシウム切削屑が異常燃焼を引き起こす虞がある。このような異常燃焼を未然に防止するため、マグネシウム切削屑に砂を混入させている。しかし、酸化処理後に生成した生成物(酸化マグネシウム)を利用する際に砂を分離する必要があるため、分離設備や分離技術を要することとなり、工業的には現実的ではない。
また、仮に、異常燃焼時の消化のために燃焼炉に開口部を形成した場合には、当該異常燃焼時に炎が放出する虞があり、危険である。一方、このような開口部を設けない場合は、異常燃焼時に炉内の圧力が増大して、燃焼炉が爆発する虞がある。
さらに、酸化処理後の生成物を取り出す際に、未酸化のマグネシウムが残存していると、マグネシウム酸化物の純度が低くなり、完全な安定化マグネシウム酸化物とみなすことができない。そのため、酸化処理中のマグネシウムの状況を検出する管理技術が必要となるため、燃焼炉の設備が複雑となる。
このように、特許文献1の方法のように燃焼炉を使用してマグネシウムを使用すると、発生熱量の多さゆえに爆発や異常燃焼など多くの不都合があるうえ、燃焼炉などの大掛かりな設備が必要であった。さらに特許文献1の方法では、二酸化炭素ガスを使用することで酸化の反応速度を遅らせてマグネシウム切削屑を安全に酸化させている。しかし、安全上、マグネシウム切削屑におけるマグネシウムから酸化マグネシウムの状態への移行は、できるだけ迅速であるのが望ましい。
従って、本発明の目的は、より安全、簡便かつ迅速に金属を酸化させることができる金属酸化促進方法を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る金属酸化促進方法の第一特徴構成は、水より低電位の金属を水溶液に接触させて酸化させる金属酸化促進方法において、前記水溶液に、白金・金のうち少なくとも1つの貴金属を組成に有する酸化促進剤を添加した点にある。
水より低電位の金属を水に接触させると容易にイオン化する。本発明のように水より低電位の金属を水に接触させると、水中にて当該金属を迅速に酸化させることができる。
本発明では、安全対策を講じる必要がある燃焼炉を使用した乾式酸化処理ではなく、水中で行う湿式酸化であり燃焼炉などの大掛かりな装置を要しないため、簡便に金属の酸化処理を行うことができる。このように本発明では水中で酸化処理を行うため、酸化に伴って発生する熱量を水に吸収させることができるため、酸化処理時の安全性は向上する。
酸化処理時の安全上、前記金属の酸化処理はできるだけ迅速に行なうのが望ましい。即ち、所望量の金属を酸化させる場合、単位時間あたりの金属の酸化量を増大できればよい。
本発明者らは、前記金属の酸化処理を促進する物質を鋭意検討したところ、本発明のように白金・金のうち少なくとも1つの貴金属を組成に有する酸化促進剤を添加すれば、前記金属の酸化を大幅に促進できることを見出した。後述の実施例1で示したように、当該酸化促進剤の添加の有無で当該金属の酸化量を比較したところ、当該酸化促進剤を添加すれば前記金属の酸化効率が約4.4倍程度にまで向上することが判明している。即ち、本発明の金属酸化促進方法によれば、単位時間あたりの金属の酸化量を大幅に増大させることができる。
本発明に係る金属酸化促進方法の第二特徴構成は、前記水溶液に、二酸化炭素ガスを通気する点にある。
本構成によれば、二酸化炭素ガスの通気によって金属の酸化をより促進して、単位時間あたりの金属の酸化量をより増大させることができる。後述の実施例2によれば、二酸化炭素の通気の有無で当該金属の酸化量を比較したところ、当該二酸化炭素を通気すれば前記金属の酸化効率が約3.5倍程度にまで向上することが判明している。即ち、本構成によれば、単位時間あたりの金属の酸化量をさらに増大させることができる。
また、後述の実施例4に示したように、二酸化炭素ガスを通気させた反応液では、酸化促進剤を含有する反応液を繰り返し使用して前記金属を酸化させた場合であっても、何れも所定量以上の金属を酸化することが判明している。
従って、本構成のように二酸化炭素を通気することで酸化促進剤の効果が維持され、前記金属の酸化の際に使用する酸化促進剤に要する量を低減できるため、金属を酸化させるコストを抑制することができる。
本発明に係る金属酸化促進方法の第三特徴構成は、前記酸化促進剤を白金および塩素を含有する組成物とした点にある。
本構成によれば、触媒能の高い白金、および腐食性の強い塩素を含有する酸化促進剤を使用するため、効率よく前記金属を酸化することができる。
本発明に係る金属酸化促進方法の第四特徴構成は、前記酸化促進剤を塩化白金酸とした点にある。
本構成で使用する塩化白金酸は水に容易に溶解し易いため、湿式酸化処理を行う本発明において、水溶性の酸化促進剤として利用できる。このように水溶性の酸化促進剤とすれば、当該酸化促進剤を水中に均一に分散させることができるため、水中において均一な条件で前記金属の酸化反応を行なうことができる。
また、本構成のように白金および塩素を含有する組成物のうち特に塩化白金酸を使用することで、例えば前記金属の表面に形成された酸化膜を侵食することができる。侵食された部位は再び酸化膜が形成されることとなるが、当該酸化膜は再び塩化白金酸によって侵食される。この過程を繰り返すことで、単位時間あたりの金属の酸化量を増大させることができる。
本発明に係る金属酸化促進方法の第五特徴構成は、前記塩化白金酸を塩化白金酸六水和物とした点にある。
本構成によれば、入手の容易な塩化白金酸六水和物を使用して前記金属の酸化を促進させることができるため、本発明の金属酸化促進方法を容易に実施することができる。
本発明に係る金属酸化促進方法の第六特徴構成は、前記塩化白金酸六水和物の濃度を0.001mol/L以上とした点にある。
本構成の濃度では、上述したように、当該酸化促進剤の添加の有無で当該金属の酸化量を比較した場合に、当該酸化促進剤を添加すれば前記金属の酸化効率が約4.4倍程度にまで向上する。よって、本構成で設定した酸化促進剤の濃度で酸化処理を行えば、高い酸化効率を維持することができる。
本発明に係る金属酸化促進方法の第七特徴構成は、前記金属をマグネシウムとした点にある。
例えばマグネシウム合金の成形品を切削加工する際に生じるマグネシウム切削屑を処理・保管する際には、マグネシウム切削屑の温度管理および水分管理が重要である。
本発明で使用する金属がマグネシウムである場合、迅速かつ安全に酸化させることができる。例えば、マグネシウム切削屑は、切削加工現場においてドラム缶に入れて貯蔵されることがある。このような場合、単に、水および本発明の酸化促進剤を当該ドラム缶に投入するだけで、マグネシウムを酸化することができるため、安全、簡便かつ迅速にな酸化方法となる。
本発明の金属酸化促進方法の実施手順を示す図である。 実施例1の結果を示す図である。 実施例2の結果を示す図である。 実施例3の結果を示す図である。 実施例4の結果を示す図である。 実施例5の結果を示す図である。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
本発明の金属酸化促進方法は、水より低電位の金属を迅速に酸化させる方法であり、水溶液に、白金・金のうち少なくとも1つの貴金属を組成に有する酸化促進剤を添加し、好ましくは、水溶液に二酸化炭素ガスを通気する。
当該金属酸化促進方法は、例えば図1に示したように、水より低電位の金属を水に接触させる金属接触工程と、酸化促進剤を添加する酸化促進剤添加工程と、二酸化炭素ガスを通気する通気工程を行う。
尚、これら各工程を実施する順番については、この順に限られるものではない。
本発明で使用できる金属は、水より低電位の金属(低電位金属)、即ち、マグネシウム、鉄、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、シリコン、コバルト、カドニウム、クロム等である。さらに、これら金属を含有する合金であってもよい。合金の場合、これら金属のうち少なくとも二種類を含む態様でもよい。
当該低電位金属を水中に投入するなどにより水に接触させることで、金属表面で酸化還元反応により表面の金属が電子を失ってイオン化し金属面から金属イオンが溶出する。
本実施形態では、前記金属としてマグネシウムを使用した場合について説明する。
マグネシウムは酸素と結合しやすい(酸化しやすい)金属である。酸化の際には、激しい閃光を伴って燃焼する。また、例えばマグネシウム合金を切削加工して成形する際に発生したマグネシウム切削屑は、水と反応して水素を発生する。このように、マグネシウムは金属単体で取り扱うには危険が伴うため、マグネシウム単体よりも化学的・熱的に安定な酸化マグネシウムとして取り扱うのがよい。また、酸化処理時の安全上、マグネシウム切削屑から酸化マグネシウムの状態への移行は、できるだけ迅速であるのが望ましい。
マグネシウムは、マグネシウム単体、マグネシウム切削屑およびマグネシウム合金など、マグネシウムを含有する態様であれば、金属以外の物質が混入している場合であっても本発明で使用できる。切削加工に伴って発生したマグネシウム切削屑は、ある程度の水分および油分が付着している。以下、マグネシウムとしてマグネシウム切削屑を使用する場合について説明する。
金属(マグネシウム切削屑)を水と接触させる金属接触工程は、例えばビーカーなどのガラス瓶容器やドラム缶など、液体を収容できる容器内で行なう。このとき、マグネシウム切削屑が爆発的に水と反応しない温度で本工程を行なう。当該温度は、水の沸騰温度以下(100℃以下)とすればよい。このような温度条件を維持するため、必要に応じて当該容器内の温度を制御できる制御装置を使用する。
マグネシウム切削屑と水との接触割合は特に限定されないが、効率よくマグネシウム切削屑を酸化させるために、例えばマグネシウム切削屑が水中に完全に浸漬するようにすればよい。
本発明では、白金・金のうち少なくとも1つの貴金属を組成に有する酸化促進剤を使用する。例えば白金を組成に有する酸化促進剤として、白金および塩素を含有し、水中で金属の酸化を促進させる金属酸化促進組成物とすればよい。当該金属酸化促進組成物は、例えば塩化白金(IV)酸(H2PtCl6)が挙げられる。この塩化白金酸のうち、特に
塩化白金酸六水和物(H2PtCl6・6H2O)が好ましく使用できる。
金を組成に有する酸化促進剤は、金および塩素を含有する金属酸化促進組成物とすればよい。当該金属酸化促進組成物は、例えば塩化金(III)酸(HAuCl4)が挙げら
れる。この塩化金酸のうち、特に塩化金酸四水和物(HAuCl4・4H2O)が好ましく使用できる。
これら酸化促進剤は、単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
このような酸化促進剤を添加する酸化促進剤添加工程は、前記金属接触工程を行なった容器内で行なうとよい。酸化促進剤添加工程を行なう温度は、前記金属接触工程を行なったときの温度条件をそのまま維持すればよい。
通気工程では、マグネシウム切削屑および酸化促進剤が浸漬した水中に二酸化炭素ガスを導入する。二酸化炭素ガスは、石灰石に希塩酸を加える、或いは炭酸水素ナトリウムを加熱する等、公知の手法により発生させる。発生した二酸化炭素は、ガラス管などによって前記水中に導入する。
本発明の金属酸化促進方法では、水より低電位の金属を水に接触させるため、当該金属は容易にイオン化して酸化する。本方法は、例えば燃焼炉を使用しない湿式酸化であるため、水中にて安全かつ簡便にマグネシウムなどの金属を酸化させることができる。本発明の方法では白金・金のうち少なくとも1つの貴金属を組成に有する酸化促進剤を添加しているため、マグネシウムなどの金属をより迅速に酸化させることができる。さらに、二酸化炭素を導入することで、当該金属の酸化をさらに迅速に行なうことができる。
本方法によってマグネシウム切削屑を酸化させると、マグネシウムイオンが溶出する。このマグネシウムイオン溶出液は、二酸化炭素吸収溶液として利用できる。例えば、マグネシウムイオン溶出液に、車などから排出される排気ガスを導入すれば、当該排気ガスに含まれる二酸化炭素ガスがマグネシウムイオン溶出液に吸収される。
近年の地球環境の温暖化の進行をできるだけ防ぐためには、大気中に放出される二酸化炭素の量を抑制することが重要である。本発明の金属酸化促進方法によれば、二酸化炭素を液中に吸収できるため、二酸化炭素固定技術の一つとして利用できる。
〔実施例1〕
水500mLに、マグネシウム切削屑2gを投入した。マグネシウム切削屑はマグネシウム製品の切削屑(およそ5mm角)であり、切削油が50%程度付着していた。上記溶液に塩化白金酸として塩化白金酸六水和物を0.3g添加した。
マグネシウム切削屑を投入した後、0.5、1、3、15、30、60分経過後にマグネシウム溶出液を10mL採取し、公知のキレート滴定により、マグネシウムイオン濃度を測定した(本発明実施例1)。
比較例として、上記実施例1の溶液において、塩化白金酸を添加しない実施例(比較例1)、上記形態1の溶液において塩化白金酸に換えて過酸化水素(酸化剤)を投入した実施例(比較例2)についても同様にマグネシウムイオン濃度を測定した。
結果を図2に示した。
本発明の実施例1および比較例1,2を比較すると、60分経過後のマグネシウムイオン濃度は、酸化促進剤である塩化白金酸を添加した実施例1の方が高くなった。
実施例1では、60分経過後のマグネシウムイオン濃度は0.011mol/Lであった。一方、比較例1(酸化促進剤なし)のマグネシウムイオン濃度は、0.0025mol/Lであった。即ち、本発明の方法によれば、酸化促進剤を添加することによりマグネシウムイオン濃度が4.4倍程度まで増加するものと認められた。よって、本発明の方法によって単位時間あたりの溶出イオン濃度が増大しているため、迅速に金属をイオン化(酸化)することが判明した。
また、比較例2(過酸化水素添加)では、60分経過後のマグネシウムイオン濃度は0.010mol/Lであった。
過酸化水素を添加した比較例2に比べて、塩化白金酸を添加した実施例1の方がマグネシウムイオン濃度が高いのは、過酸化水素は酸化剤として作用するためマグネシウム表面に酸化膜を形成するためマグネシウム腐食が抑制されるが、塩化白金酸は一旦形成された酸化膜を侵食する作用があるためマグネシウム表面の腐食が進行するためであると考えられる。
〔実施例2〕
実施例2として、水中にマグネシウム切削屑、塩化白金酸を添加し、さらに二酸化炭素ガス(10vol%CO2、90vol%N2)を1L/分の割合で導入した。
二酸化炭素ガスの導入後、0.5、1、3、15、30、60分経過後にマグネシウム溶出液を10mL採取し、公知のキレート滴定により、マグネシウムイオン濃度を測定した(本発明実施例2)。実施例1および実施例2のマグネシウムイオン濃度の測定結果を比較した(図3)。
実施例2のように水中に二酸化炭素ガスを通気した場合の60分経過後のマグネシウムイオン濃度は0.038mol/Lであった。実施例1のように酸化促進剤を添加して酸化したさせた場合、マグネシウムイオンの溶出量は0.011mol/Lであるため、二酸化炭素ガスの通気によって、約3.5倍(0.011/0.038)の効率でマグネシウムイオンを溶出させることができると認められた。
〔実施例3〕
水500mLに、マグネシウム切削屑を大気中で燃焼したマグネシウム燃焼生成物(MgO)2gを水に投入し(比較例3)、実施例1と同様にマグネシウムイオン濃度を測定した。実施例2および比較例3のマグネシウムイオン濃度の測定結果を比較した(図4)。
比較例3(MgO投入)における60分経過後のマグネシウムイオン濃度は0.027mol/Lであった。実施例2のように水中に二酸化炭素ガスを通気した場合の60分経過後のマグネシウムイオン濃度は0.038mol/Lである。これより、本発明のように二酸化炭素を通気してマグネシウムを酸化することにより、MgOから溶出するマグネシウムイオン濃度に比べて、約1.4倍程度(0.027/0.038)の効率でマグネシウムイオンを溶出させることができると認められた。
〔実施例4〕
実施例2のように水中に二酸化炭素ガスを通気した場合、30分経過後、マグネシウムイオン濃度を測定したところ、0.027mol/Lであった(一回目測定)。その後、直ちに溶液を50℃で加熱した。このとき、炭酸マグネシウムの溶解度が減少して炭酸マグネシウムが析出した。その後、析出した炭酸マグネシウムを濾紙(No.5、ADVANTEC東洋社製)にて濾過して溶液と分離した。炭酸マグネシウムを分離した濾液に、マグネシウム切削屑2gを投入し、同様の条件で二酸化炭素ガスを導入した。30分後、マグネシウムイオン濃度を測定したところ、0.025mol/Lであった(二回目測定)。このようにしてマグネシウムイオン濃度の測定を五回行なった結果を図5に示す。
この結果、二酸化炭素ガスを通気させた溶出液では、マグネシウムイオン濃度が常に0.025mol/L以上溶解していることから、酸化促進剤の効果が維持されることが判明した。これより、本発明のように酸化促進剤を使用することで、マグネシウムイオンの溶出液が再利用できるものと認められた。
〔実施例5〕
マグネシウムを酸化するに際し、最適な酸化促進剤(塩化白金酸:塩化白金酸六水和物)の濃度を調べた。実施例1のように水中にマグネシウム切削屑を加えて塩化白金酸六水和物を添加した後、二酸化炭素を導入した。このとき塩化白金酸六水和物の濃度を種々変更し、60分経過時のマグネシウムイオン濃度を測定した。
この結果、塩化白金酸六水和物が0.001mol/L以上であれば、マグネシウムイオン濃度が0.011mol/L以上となることが判明した(図6)。このマグネシウムイオン濃度は、当該酸化促進剤を添加せずに酸化させた場合(比較例1)のマグネシウムイオン濃度の約4.4倍程度の値を示している(実施例1参照)。従って、本発明で使用する酸化促進剤の濃度を0.001mol/L以上とすることにより、高い酸化効率を維持して迅速にマグネシウムを酸化できる。
また、塩化白金酸六水和物の濃度が0.0012〜0.002mol/Lであれば、マグネシウムイオン濃度は0.013〜0.015mol/Lの高い濃度範囲となった。これは、比較例1(酸化促進剤なし)のマグネシウムイオン濃度(0.0025mol/L)と比べて、5.2〜6倍もの高い濃度であるため、この酸化促進剤の濃度範囲であれば、単位時間あたりのマグネシウムの酸化量をより一層増大させることができる。
本発明の金属酸化促進方法は、水より低電位の金属を迅速に酸化させるために利用することができる。

Claims (7)

  1. 水より低電位の金属を水溶液に接触させて酸化させる金属酸化促進方法において、
    前記水溶液に、白金・金のうち少なくとも1つの貴金属を組成に有する酸化促進剤を添加してある金属酸化促進方法。
  2. 前記水溶液に、二酸化炭素ガスを通気する請求項1に記載の金属酸化促進方法。
  3. 前記酸化促進剤が白金および塩素を含有する組成物である請求項1又は2に記載の金属酸化促進方法。
  4. 前記酸化促進剤が塩化白金酸である請求項3に記載の金属酸化促進方法。
  5. 前記塩化白金酸が塩化白金酸六水和物である請求項4に記載の金属酸化促進方法。
  6. 前記塩化白金酸六水和物の濃度が0.001mol/L以上である請求項5に記載の金属酸化促進方法。
  7. 前記金属がマグネシウムである請求項1〜6の何れか一項に記載の金属酸化促進方法。
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