JP5519802B2 - 摺動接点及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、炭素繊維束を備える摺動接点及びその製造方法に関する。
下記特許文献1には摺動接点の製造方法に関する発明が開示されている。
特許文献1には、摺動接点を取り扱いやすくするために、炭素繊維束に樹脂を含浸させた摺動子の基部に樹脂モールドによるホルダを設けている。
しかしながら、樹脂モールドによりホルダを設けた構成では、ホルダ成形時にバリが発生しやすく、また高価な成形金型を必要とするために、信頼性や生産性の低下、及びコスト高の問題があった。
また炭素繊維束の延出方向(特許文献1の例えば図1に示す脚部2c,2dの延出方向)と交差する方向への電気抵抗が比較的高いため、交差方向への電気抵抗を低くできる構造が望まれた。
特開2008−276965号公報
そこで本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、特に、従来に比べて、信頼性及び生産性に優れた摺動接点及びその製造方法を提供することを目的としている。
本発明における摺動接点は、
樹脂に覆われた炭素繊維束からなり、板状の基部及び前記基部から延出された接点部を有する摺動子と、摺動子保持体への取付部を備え、前記摺動子の前記基部に貼り付けられた金属板と、を有することを特徴とするものである。
本発明では、摺動子の基部へ金属板を貼り付ける構造で済むため、摺動子の基部に樹脂成形体をモールドした構成と異なってバリの発生がなく、また樹脂モールドのように高価な成形金型を必要としない。更に、摺動子の基部と金属板間に他部材を介した接続構造を必要とせずに、しっかりと摺動子の基部と金属板間を接合することができる。以上により、従来に比べて、信頼性及び生産性に優れた摺動接点にできる。また製造コストを低減できる。また本発明のように金属板を摺動子の基部に貼り付けたことで、基部から接点部への延出方向と交差する方向への電気抵抗を効果的に小さくできる。また金属板に摺動子保持体への取付部を備えた構成であるから、直接且つ安定して、摺動接点を摺動子保持体へ取り付けることができる。
本発明では、前記摺動子の基部と前記金属板とは、前記炭素繊維束を覆う前記樹脂により貼り付けられていることが好ましい。摺動子の基部と金属板間を貼り付ける樹脂と、炭素繊維束を覆う樹脂とが同一であるため、摺動子と金属板間の貼付(接着)強度を高めることができる。
また本発明では、前記取付部は、貫通孔からなる取付孔であり、前記摺動子の前記基部には、前記取付孔と対向する位置に開口が形成されており、前記開口を囲む前記基部が前記金属板に貼り付けられていることが好ましい。これにより、例えば、摺動子保持体に設けた突起を、摺動子の開口と連続して貫通する金属板の取付孔に挿入し、必要に応じて突起をかしめることで簡単且つ確実に摺動接点を摺動子保持体に固定することができる。また、金属板の取付孔及び、摺動子の基部の開口を除く各対向面全体を貼付領域として用いることができるため、広い貼付面積を確保しやすく、金属板と摺動子間の貼付(接着)を確実なものにできる。
また本発明では、前記金属板は弾性を有する金属板からなり、前記取付孔の周囲の少なくとも一部には、前記金属板が平面視にて取付孔内に延出してなるばね片が設けられており、前記摺動子に設けられた前記開口は、前記ばね片を除いた前記取付孔よりも大きく形成されていることが好ましい。ばね片を弾性変形させながら、摺動子保持体に設けた突起を取付孔に挿入することができ、摺動接点を摺動子取付部にしっかりと取り付けることができ、組立性を向上させることができる。また、摺動子の基部に形成した開口を、ばね片を除く取付孔よりも大きく形成したため、摺動子保持体に設けた突起を取付孔に挿入するときに、前記突起が摺動子に形成された開口の周辺部にぶつからず、突起をスムースに挿入でき、また摺動保持体に設けた突起の挿入により、ばね片が弾性変形しても、摺動子と金属板との間に剥がれ方向への力が作用しにくく、摺動子と金属板間の貼付(接着)を安定した状態に維持することが出来る。
また本発明では、前記ばね片は、前記取付孔の周囲の一部に設けられており、前記ばね片が形成されていない前記取付孔の端面に前記摺動子保持体との位置決め部が設けられていることが好ましい。摺動接点を高精度に摺動子保持体に取り付けることができ、例えば本発明の摺動接点を可変抵抗器に適用することで、可変抵抗器の検出精度を向上させることができる。また、位置決め部を取付孔にばね片とともに設けることで、摺動子保持体に設けた突起を取付孔に挿入する簡単な作業により、摺動接点の摺動子保持体への固定と同時に、位置決めを高精度に行うことが出来る。
また本発明では、前記位置決め部を構成する前記端面は、前記接点部の延出方向及び前記延出方向に直交する方向に対して斜めに形成されていることが好ましい。これにより、接点部の延出方向及び前記直交する方向の両方向に対して高精度に摺動接点と摺動子保持体間を位置決めすることができる。
また本発明では、前記金属板には、前記摺動子保持体との位置決め部が設けられていることが好ましい。これにより、摺動接点を高精度に摺動子保持体に取り付けることができ、例えば本発明の摺動接点を可変抵抗器に適用することで、可変抵抗器の検出精度を向上させることができる。なお、この発明では、位置決め部を摺動子保持体への取付部以外の位置に設けることができる。
また本発明では、前記摺動子は、前記樹脂で覆われた前記炭素繊維束の板状の層が少なくとも3層、積層されており、隣り合う層の前記炭素繊維束の延出方向が交互となるように構成されており、積層方向における前記摺動子の両表層の前記炭素繊維束は、前記接点部の延出方向に沿って延出していることが好ましい。これにより摺動子の強度を高めることができる。また抵抗体等の導電パターンとの摺動性を良好に出来る。
また本発明における摺動接点の製造方法は、
炭素繊維束に樹脂を含浸させる工程と、
前記樹脂を含浸させた前記炭素繊維束を、板状の基部と前記基部から延出した接点部とを有する摺動子の形状に加工する工程と、
前記摺動子の前記基部に摺動子保持体への取付部を備える金属板を重ねた状態で、熱プレスし、このとき、前記樹脂により前記金属板を前記摺動子の前記基部に貼り付ける成形工程と、
を有することを特徴とするものである。このように摺動子の基部と金属板間に例えば別部材による接続構造や、あるいは摺動子の基部と金属板間を接合するために新たな接着剤を用いなくても、炭素繊維束に含浸させた樹脂を利用して、熱プレスによる摺動子の成形工程で、摺動子の基部に金属板を簡単且つ確実に貼り付けることができる。
また本発明では、前記樹脂は熱硬化樹脂であり、前記熱プレスにより、前記熱硬化樹脂の加熱硬化と同時に前記金属板を前記摺動子の前記基部に貼り付けることが好ましい。摺動子の成形加工と、金属板と摺動子の基部間の貼付(接着)との双方を簡単且つ安定して行うことができ、生産性を効果的に向上させることができる。
また本発明では、前記摺動子の基部に金属板を重ね合わせた摺動接点の両表面に離型シートを配置した状態で、前記熱プレスを行うことが好ましい。熱プレスにより樹脂が滲み出ても、プレス金型と摺動接点の間に離型シートが介在するため、プレス金型側に樹脂が付着せず、熱プレス後、適切にプレス金型から摺動接点を取り出すことができ生産性を向上させることができる。
本発明によれば、従来に比べて、信頼性及び生産性に優れた摺動接点にできる。また製造コストを低減できる。さらに基部から接点部への延出方向と交差する方向への電気抵抗を効果的に小さくできる。
また本発明の摺動接点の製造方法によれば、摺動子の基部と金属板間に例えば別部材による接続構造や、あるいは摺動子の基部と金属板間を接合するために新たな接着剤を用いなくても、炭素繊維束に含浸させた樹脂を利用して、熱プレスによる摺動子の成形工程で、摺動子の基部に金属板を簡単且つ確実に貼り付けることができる。
図1(a)は、本発明の実施形態における摺動接点の平面図、図1(b)は、図1(a)に示す摺動接点をA−A線に沿って切断し矢印方向から見た縦断面図、図1(c)は、図1(a)に示す摺動接点をB−B線に沿って切断し矢印方向から見た縦断面図、図1(d)は、図1(a)に示す摺動接点をホルダ(摺動子保持体)に固定した状態を示す図1(c)と同じ位置での切断面を示す縦断面図である。 本実施形態の摺動接点と、第1の導電パターンと第2の導電パターンの斜視図である。 図3(a)(b)は、図1(b)〜(d)の切断面に現れる摺動子の断面構造の一例(部分拡大縦断面図)である。 図4(a)は、図1(a)とは異なる他の実施形態における摺動接点の平面図、図4(b)は、図4(a)を、C−C線に沿って切断し矢印方向から見た摺動接点をホルダ(摺動子保持体)に取り付けた状態の縦断面図、図4(c)は、図4(a)に示す摺動接点の裏側からホルダ(摺動子保持体)を取り付けた状態の平面図である。 図5(a)は、図1(a)、図4(a)とは異なる他の実施形態における摺動接点の平面図、図5(b)は、図5(a)を、D−D線に沿って切断し矢印方向から見た摺動接点をホルダ(摺動子保持体)に取り付けた状態の縦断面図、図5(c)は、図5(a)に示す摺動接点の裏側からホルダを取り付けた状態の平面図である。 本実施形態における摺動接点の製造方法を説明するための工程図(斜視図)である。 図6の次に行われる工程図(斜視図)である。 図7の次に行われる工程図(斜視図)である。 図8の次に行われる工程図(斜視図)である。 図9の次に行われる工程図(斜視図)である。 図10の次に行われる工程図(斜視図)である。 図11の次に行われる工程図(平面図)である。 図12の次に行われる工程図(縦断面図)である。 図13の次に行われる工程図(縦断面図)である。 図14の次に行われる工程図(縦断面図)である。
図1(a)は、本発明の実施形態における摺動接点の平面図、図1(b)は、図1(a)に示す摺動接点をA−A線に沿って切断し矢印方向から見た縦断面図、図1(c)は、図1(a)に示す摺動接点をB−B線に沿って切断し矢印方向から見た縦断面図、図1(d)は、図1(a)に示す摺動接点をホルダ(摺動子保持体)に固定した状態を、図1(c)と同じ位置での切断面で示す縦断面図である。図2は、本実施形態の摺動接点と、第1の導電パターンと第2の導電パターンの斜視図である。図3(a)(b)は、図1(b)〜(d)の切断面に現れる摺動子の断面構造の一例(部分拡大縦断面図)である。
なお平面図とした図1(a)では、図1(b)にも示すように、各接点部2b,2cの先端面2b1,2c1が図示上方向となるように折り曲げられているが、図2に示す使用形態では、図1(a)の摺動接点1を裏返して、すなわち先端面2b1、2c1を下向きとしている。
図1に示す摺動接点1は、摺動子2と、金属板3とを有して構成される。
前記摺動子2は、図3(a)に示すように多数本の炭素繊維6(図3(a)では一本の炭素繊維にのみ符号を付した)の束が樹脂5によって被覆されたものである。樹脂5は隣り合う炭素繊維6間の隙間にも入り込んでいる。
前記樹脂5には、熱硬化性樹脂として、トリフェニルグリシジルエーテルメタン(Tri−PGEM)、クレゾールノボラックエポキシ、テトラグリシジルジアミノフェニルメタン(Tet−GDDM)、テトラフェニルグリシジルエーテルエタン(Tet−PGEE)のうち少なくともいずれか1種と、ビスフェノールエポキシ樹脂、ダイマー酸型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシの少なくとも1種の柔軟性エポキシと、硬化剤としてジアミノジフェニルスルフォン(DDS)、酸無水物、ジシアンジアミド(DICY)のうち少なくともいずれか1種とを用いることが好適である。
ただし樹脂5は、熱硬化性樹脂に限定されず、熱可塑性樹脂であってもよい。
また、1000〜15000本程度の炭素繊維6の束が用いられ、各炭素繊維6の直径は数μm〜数10μmの範囲であることが好適である。
図1に示す摺動子2は板状で形成され、先端と後述するばね片11〜14を除いて表面が平らである。図1(a)に示すように摺動子2は、板状の基部2aと、基部2aからY1−Y2方向に間隔を空けてX1方向に延出する第1の接点部2bと第2の接点部2cとを有して構成される。
図1(a)(b)に示すように、各接点部2b,2cの先端は所定角度に折り曲げられている。図1(a)(b)に示す先端面2b1,2c1は、切断面であり、この先端面2b1,2c1からは前記樹脂5とともに炭素繊維6の表面が露出している。なお図1(a)(b)では、各接点部2b,2cの先端のみを折り曲げているが、各接点部2b,2cの根元付近から折り曲げてもよいし、どのような形状に折り曲げるかは使用形態により種々変更可能である。
金属板3は弾性を有する平板状の金属板であることが好適である。金属板3にはリン青銅やステンレス等を用いることが好適である。
図1に示すように、金属板3には、高さ方向(金属板3の厚さ方向)に貫通する取付孔10が設けられている。取付孔10は例えば金属板3の略中央に設けられる。図1(a)(c)に示すように、取付孔10内には金属板3を切り起こして斜め上方に折り曲げた4つのばね片11〜14が設けられている。この実施形態では、各ばね片11〜14の折り曲げ方向と、各接点部2b,2cの先端の折り曲げ方向とを同じにしている。各ばね片11〜14は、弾性変形可能である。図1(a)(c)に示すように、取付孔10のX1側にばね片11、Y1側にばね片12、X2側にばね片13及びY2側にばね片14が夫々、設けられている。図1(a)に示すように、金属板3の平面部3a(X−Y平面;取付孔10及び各ばね片11〜14を除く部分)とばね片11との境界部(折り曲げ端部)11a、及び平面部3aとばね片13との境界部13aは、Y1−Y2方向に平行に延びており、金属板3の平面部3aとばね片12との境界部12a、及び平面部3aとばね片14との境界部14aは、X1−X2方向に平行に延びている。よって、この実施形態では、4つの各境界部11a〜14aにより囲まれた形状は正方形や矩形状である。
なお図1(a)に示すように、金属板3には貫通する位置決め孔23,23が設けられている。各位置決め孔23,23は後述する製造工程で、金属板3と摺動子2間の位置決めを行うときに使用されるものである。
図1(a)(c)に示すように、摺動子2の基部2aには、取付孔10と高さ方向で対向する位置に、開口15が形成されている。そして、開口15の大きさは、各ばね片11〜14を除いた取付孔10、すなわち各境界部11a〜14aにより囲まれた形状よりも大きく形成される。よって、摺動子2に形成された開口15の各端面15a〜15dは、各境界部11a〜14aより外側に広がって形成されている。なお摺動子2の基部2aには金属板3に形成された位置決め孔23,23と対向する位置に貫通する位置決め孔19,19が形成されている。
摺動子2の基部2aに形成された開口15は、各ばね片11〜14を除いた取付孔10よりもやや大きい相似形状であることが好適であるが、各ばね片11〜14を除いた取付孔10と異なる形状とすることもできる。例えば図1(a)において、摺動子2の基部2aに形成された開口15を円形状とすることも可能である。ただし、摺動子2の基部2aに形成された開口15を、各ばね片11〜14を除いた取付孔10よりもやや大きい相似形状とすることで、摺動子2の基部2aと金属板3間の貼付領域(接着領域)を効果的に広げることができ好ましい。
図1(b)(c)に示すように、金属板3の摺動子2との対向面3b、及び、摺動子2の金属板3との対向面2dは夫々、平面状である。金属板3の対向面3bと摺動子2の対向面2dとが重ねられ、金属板3は摺動子2の基部2aに貼り付けられている。
本実施形態では、金属板3を、摺動子2を構成する樹脂5(図3参照)により貼り付けることが可能である。
図1(d)に示すように、ホルダ(摺動子保持体)17の表面に設けられた突起18は摺動接点1の裏面側(摺動子2側)から、摺動子2の開口15と連続して貫通する金属板3の取付孔10に挿入される。ホルダ17を例えば樹脂成形体で形成できる。
本実施形態では、取付孔10内に複数のばね片11〜14を設けた構成であるため、各ばね片11〜14を弾性変形させながら突起18を取付孔10内に挿入できる。突起18のX−Y平面での大きさは、各ばね片11〜14を除いた取付孔10の大きさ(図1(a)の各境界部11a〜14aにより囲まれた大きさ)より小さいが、図1(a)(c)の突起未挿入時における取付孔10の開口面積α(図1(a)に斜線で示す)よりやや大きく調整される。これにより、突起18を取付孔10に挿入すると各ばね片11〜14を弾性変形させることができ、各ばね片11〜14の弾性力が突起18に作用する。よって、摺動接点1をしっかりとホルダ17に取り付けることができる。
図1(d)の摺動接点1及びホルダ17をひっくり返した状態が図2である。本実施形態における摺動接点1を例えば可変抵抗器に用いることができる。
図2に示す第1の導電パターン20は抵抗体で、第2の導電パターン21は良導電体から成る。第1の導電パターン20は、例えば、カーボンブラックあるいは粉砕したカーボンファイバと、バインダー樹脂としてフェノール樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を有する抵抗体塗膜により形成される。第2の導電パターン21は、例えば銀粉とバインダー樹脂としての熱硬化性樹脂を有する導電塗膜により形成される。なお、導電塗膜上には保護用のカーボン塗膜が設けられている。
図2に示す本実施形態の摺動接点1では、第1の接点部2bの先端面2b1及び第2の接点部2cの先端面2c1が夫々、導電パターン20,21上を相対的に摺動する。このとき、第1の接点部2bの先端面2b1の摺動位置に応じて、第1の導電パターン20に印加されている入力電圧が分圧され、第2の導電パターン21に接続されている出力端子22から出力される電圧を測定することで、摺動接点1の位置を検出することが出来る。摺動接点1が移動側で、導電パターン20,21が形成された基板(図示せず)が固定される形態でもよいし、あるいは、導電パターン20,21が形成された基板が移動側で、摺動接点1が固定される形態でもよい。
図2に示す形態では、第1の導電パターン20,及び第2の導電パターン21を一定の幅寸法の真っ直ぐな帯状で形成しているが、第1の導電パターン20,第2の導電パターン21の形態を限定するものではない。例えば、第1の導電パターン20及び第2の導電パターン21は、リング状で形成され(このとき、一方を内側に他方を外側に形成する)、これにより回転センサを構成できる。
本実施形態における摺動接点1は、樹脂5に覆われた炭素繊維6の束からなり、板状の基部2a及び基部2aから延出された接点部2b,2cを有する摺動子2と、ホルダ(摺動子保持体)17への取付部(取付孔10)を備え、摺動子2の基部2aに貼り付けられた金属板3と、を有するものである。
このように本実施形態では、摺動子2の基部2aへ金属板3を貼り付ける構造で済むので、摺動子2の基部2aに樹脂成形体をモールドした構成と異なってバリの発生がなく、また樹脂モールドのように高価な成形金型を必要としない。更に、摺動子2の基部2aと金属板3間に、他部材を介した接続構造を必要とせずに、しっかりと摺動子2の基部2aと金属板3間を接合することができる。以上により、従来に比べて、信頼性及び生産性に優れた摺動接点1にできる。また製造コストを低減できる。
また本実施形態のように導電性を有する金属板3を貼り付けたことで、基部2aから接点部2b,2cへの延出方向(X1−X2)と交差する方向(Y1−Y2)への電気抵抗を効果的に小さくできる。図2に示すように、炭素繊維6の延出方向は、接点部2cの延出方向に沿っている(接点部2bについても同様)。そして各接点部2b,2cを接続する基部2a(図1(a)参照)においても、炭素繊維6の延出方向は接点部2b,2cの延出方向である。
このため、電流が接点部2cから基部2a及び接点部2bに向けて流れるとき、各接点部2b,2cでの電流の流れ方向は炭素繊維6の延出方向(X1−X2)に一致しているが、基部2aでの電流の流れ方向は、炭素繊維6の延出方向に対して交差する。よって、本実施形態と異なって金属板3を設けないと、基部2aでの電気抵抗が高くなり、第1の接点部2bの先端面2b1と第2の接点部2cの先端面2c1との間の導通抵抗が高く、検出精度の低下を招きやすい。これに対して本実施形態では、基部2aに導電性の金属板3を貼り合わせているためY1−Y2への電気抵抗を小さくでき、先端面2b1,2c1が夫々、摺接する位置における導電パターン20,21との間での導通抵抗を低減でき、検出精度を向上させることが可能である。
また本実施形態では、金属板3にホルダ(摺動子保持体)17への取付部(取付孔10)を備えた構成であるから(図1参照)、直接且つ安定して、摺動接点1をホルダ17へ取り付けることができる。さらに、摺動子2に金属板3を貼り付けたことで、摺動子2単体に比べて強度不足を補うことができ、搬送時等に、摺動子2に対する破損が生じにくい構成にできる。
本実施形態では、摺動子2の基部2aと金属板3とは、炭素繊維6の束を覆う樹脂5(図3参照)により貼り付けられていることが好適である。これにより、摺動子2の基部2aと金属板3間を貼り付ける樹脂5と、炭素繊維6の束を覆う樹脂5とが同一であるため、摺動子2と金属板3間の貼付(接着)強度を高めることができる。
また本実施形態では、図1に示すように金属板3に設けられたホルダ(摺動子保持体)17に対する取付部は、貫通孔からなる取付孔10であり、摺動子2の基部2aには、取付孔10と対向する開口15が形成されており、開口15を囲む基部2aが金属板3に貼り付けられている。これにより、ホルダ(摺動子保持体)17に設けた突起18を、摺動子2の開口15から連続して貫通する金属板3の取付孔10へ適切に挿入でき、簡単且つ確実に突起18を取付孔10にて固定することができる。なお、摺動接点1をホルダ17に、いっそう確実に取り付けるために、突起18の長さを長く形成し、金属板3の取付孔10から突出した突起18を変形させて(つぶして)かしめるようにしてもよい。また、金属板3の取付孔10及び、摺動子2の基部2aの開口15を除く各対向面2d,3b全体を貼付領域として用いることができるため、広い貼付面積を確保しやすく、金属板3と摺動子2との貼付(接着)を確実なものにできる。
また本実施形態では、金属板3は弾性を有する金属板からなり、図1(a)(c)に示すように、取付孔10内には、複数のばね片11〜14が設けられていることが好ましい。そして、摺動子2の基部2aに形成された開口15は、各ばね片11〜14を除いた取付孔10よりも大きく(図1(a)の各境界部11a〜14aにより囲まれた大きさよりも大きく)形成されていることが好ましい。これにより、各ばね片11〜14を弾性変形させながら、ホルダ(摺動子保持体)17に設けた突起18を取付孔10に簡単且つ適切に挿入することができ、そして摺動接点1をホルダ17にしっかりと取り付けることができ、組立性を向上させることができる。また、摺動子2の基部2aに形成した開口15を、各ばね片11〜14を除いた取付孔10よりも大きく形成することで、ホルダ17に設けた突起18を取付孔10に挿入するときに、前記突起18が摺動子2に形成された開口15の周辺部にぶつからず、突起18をスムースに挿入でき、またホルダ17に設けた突起18の挿入により、各ばね片11〜14が弾性変形しても、摺動子2と金属板3との間に剥がれ方向への力が作用にしにくく、摺動子2と金属板3間の貼付(接着)を安定した状態に維持することが出来る。
図1(a)に示す実施形態では、取付孔10の周囲が4つのばね片11〜14により囲まれた形状であるが、以下に説明する図4、図5の形態とすることもできる。
図4(a)は、図1(a)とは異なる他の実施形態における摺動接点の平面図、図4(b)は、図4(a)を、C−C線に沿って切断し矢印方向から見た摺動接点をホルダに取り付けた状態の縦断面図、図4(c)は、図4(a)に示す摺動接点の裏側からホルダを取り付けた状態の平面図である。なお図4において図1と同じ部分については同じ符号を付す。
図4(a)の実施形態においても、金属板3が摺動子2の基部2aに貼り付けられている。図4(a)に示す実施形態では、図1(a)と同様に取付孔33の周囲の三辺に3つのばね片11,12,14が設けられている。一方、図4(a)に示す実施形態では、図1(a)と異なって、ばね片13は設けられておらず、その位置での取付孔33の端面33a,33bは2辺で構成される。図4(a)に示すように、各端面33a,33bが、接点部2b、2cの延出方向(X1−X2)及び延出方向に直交する方向(Y1−Y2)に対して夫々、斜めに形成されて、取付孔33の内方向に略三角形状で突き出す位置決め部25を構成している。位置決め部25は、ホルダ17との位置決めのために設けられたものである。なお、位置決め部25は、接点部2b,2cの延出方向における取付孔33の図示X2側に設けているが、これとは逆に、取付孔33のX1側に位置決め部を設けるようにしてもよい。
図4(b)(c)に示すように、ホルダ17の表面に設けられた突起34を摺動子2の基部2aの開口36に連続して貫通する金属板3の取付孔33に挿入する。このとき、図4(c)に示すように突起34の平面形状は、取付孔33の形状の相似状、つまり四角形状から位置決め部25の部分を切り欠いた形状である。突起34を取付孔33内に挿入すると、取付孔33の周囲に設けられた各ばね片11,12,14が弾性変形して、各ばね片11,12,14の弾性力が突起34に作用する。このときばね片11から突起34を位置決め部25の方向へ押す弾性力F1(図4(b)参照)が作用するため、ホルダ17の突起34を位置決め部25を構成する各端面33a,33bに押し付けることができ、ホルダ17と摺動接点1間を正確に位置決めすることができる。
よって例えば、本実施形態の摺動接点1を図2に示す可変抵抗器に適用することで、可変抵抗器の検出精度を向上させることができる。また位置決め部25を取付孔33以外の位置に設けることも可能であるが、本実施形態のように、位置決め部25を取付孔33にばね片11,12,14とともに設けることで、ホルダ17に設けた突起34を取付孔33に挿入する簡単な作業により、摺動接点1のホルダ17への保持と同時に、高精度な位置決めを実行することが可能である。
図4(a)に示すように、位置決め部25を構成する各端面33a,33bを、接点部2b,2cの延出方向(X1−X2)及び延出方向に直交する方向(Y1−Y2)に対して斜めに形成しているが、これにより、接点部2b,2cの延出方向(X1−X2)及び直交方向(Y1−Y2)の両方向に対して、ホルダ17と摺動接点1間を高精度に位置決めすることができる。
図5(a)は、図1(a)、図4(a)とは異なる他の実施形態における摺動接点の平面図、図5(b)は、図5(a)を、D−D線に沿って切断し矢印方向から見た摺動接点をホルダに取り付けた状態の縦断面図、図5(c)は、図5(a)に示す摺動接点の裏側からホルダを取り付けた状態の平面図である。なお図5において図1,図4と同じ部分については同じ符号を付す。また図5(a)に示すD−D線は、取付孔26の中心よりもややY2側として、図5(b)の断面にばね片28が現れるようにしている。
図5(a)に示す実施形態では、図1(a)や図4(a)と異なって、取付孔26を略ひし形状に形成しており、取付孔26の接点部2b,2cの延出方向(X1−X2)における一方側(X1側)に位置して隣り合う二辺にばね片27,28を設け、他方側(X2側)に位置して隣り合う端面26a,26bにて位置決め部29を構成している。なお一方側(X1側)に隣り合う端面(位置決め部)を設け、他方側(X2側)にばね片を設けた構成としてもよい。
図5(b)(c)に示すように、ホルダ17に設けられた突起35を摺動子2の基部2aの開口15に連続して貫通する金属板3の取付孔26に挿入する。このとき、図5(c)に示すように突起35の平面形状は、取付孔26の形状の相似状、つまり略ひし形状である。突起35を取付孔26に挿入すると、取付孔26の周囲に設けられた各ばね片27,28が弾性変形して、各ばね片27,28の弾性力が突起35に作用する。このときばね片27,28から突起35を位置決め部29の方向へ押す弾性力が作用するため、ホルダ17の突起35を位置決め部29を構成する各端面26a,26bに押し付けることができ、ホルダ17と摺動接点1間を正確に位置決めすることができる。
また図5(a)でも、図4(a)と同様に、位置決め部29を構成する各端面26a,26bを、接点部2b,2cの延出方向(X1−X2)及び延出方向に直交する方向(Y1−Y2)に対して斜めに形成しているので、これにより、接点部2b,2cの延出方向(X1−X2)及び直交方向(Y1−Y2)の両方向に対して、ホルダ17と摺動接点1間を高精度に位置決めすることができる。
なお図1、図4、図5を用いて説明した上記各実施形態においては、ホルダ(摺動子保持体)17への取付部として、ばね片(11〜14,27,28)が設けられた取付孔(10,26,33)により構成されたものとしたが、本実施形態は、これらに限定されるものではない。例えば、金属板3に、ばね片が設けられていない貫通孔からなる取付孔を形成し、この取付孔を取付部としてもよい。この場合には、樹脂成形体からなるホルダ17に、前記取付孔に挿通される突起を設けておき、取付孔に挿通されて突出した突起の先端部を金属板3側にかしめつける(塑性変形させる)ことにより、ホルダ17に摺動接点1を取り付けることができる。また、取付孔の形状や数も上記実施形態に限定されず、円形状や他の形状をなした取付孔でもよく、複数の取付孔を金属板3に設けてもよい。さらに、取付孔は貫通孔に限られず、例えば、金属板3に取付孔としての切欠きを形成し、この切欠き内にホルダに設けた突起を位置させて、この突起をかしめつけてもよい。また、ホルダに複数の突出部を設けておき、これらの突出部間に、取付部として機能する金属板の外形端面を圧入させることにより、摺動接点1をホルダに取り付けることも可能である。
また上記では摺動子2を構成する炭素繊維6の束は、X1−X2方向のみに延出した単層構造であったが、例えば、図3(b)に示すように、樹脂5で覆われた板状の炭素繊維6の束の層30,31,32が3枚積層された構成にもできる。この構成では、摺動子2の積層方向の両表層30,32に設けられた炭素繊維6の束の延出方向は、前記接点部の延出方向(X1−X2)に沿っており、中央に位置する層31の炭素繊維6の束の延出方向は、前記延出方向(X1−X2)と直交する方向(Y1−Y2)に向けられている。なお、隣り合う各層30,31,32の間にも樹脂5が設けられており、この樹脂5により3つの層は一体化されたものとなっている。
摺動子2を構成する樹脂5で覆われた炭素繊維6の束の層を3層より多くすることも可能であるが、奇数層にして、摺動子2の両表層に設けられた炭素繊維6の束の延出方向は、前記接点部の延出方向(X1−X2)に一致させることが好適である。このように複数層を積層して摺動子2を構成することで、摺動子2の強度を向上させることができるとともに、摺動子2の両表面に位置する炭素繊維6の束の延出方向が、前記接点部の延出方向(X1−X2)に沿うことで、図2に示す導電パターン20,21との摺動性を良好にできる。
図6ないし図15を用いて本実施形態における摺動接点1(図1の形状の摺動接点。ただし摺動子は図3(b)に示す3層構造とした摺動接点)の製造方法を説明する。図6〜図11は斜視図、図12は平面図、図13は、縦断面図である。
図6の工程では、例えば1000〜15000本程度の炭素繊維が束となった炭素繊維束40を支持板、例えば、アルミ箔41上に設置する。
次に図7の工程では、炭素繊維束40の表面に熱硬化性樹脂の溶液42を含浸させる。例えば、熱硬化性樹脂の溶液42を噴霧したり、溶液中に炭素繊維束40を浸漬する方法がある。図7は、熱硬化性樹脂の溶液42を、噴霧している図であり、炭素繊維束40に満遍なく滴下する(プリプレグの作製)。
本実施形態では、図7の工程では、熱硬化性樹脂として、トリフェニルグリシジルエーテルメタン(Tri−PGEM)、クレゾールノボラックエポキシ、テトラグリシジルジアミノフェニルメタン(Tet−GDDM)、テトラフェニルグリシジルエーテルエタン(Tet−PGEE)のうち少なくともいずれか1種と、ビスフェノールエポキシ樹脂、ダイマー酸型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシの少なくとも1種の柔軟性エポキシと、硬化剤としてジアミノジフェニルスルフォン(DDS)、酸無水物、ジシアンジアミド(DICY)のうち少なくともいずれか1種とを用いることが好適である。特に、トリフェリルグリシジルエーテルメタン(Tri−PGEM)に、潜在型硬化剤としてジアミノジフェニルスルフォン(DDS)を例えば、カビトールアセテート中に分散させた溶液42を用いることが好ましい。
次に図8の工程では、黄銅板などの薄い金属の板43の平滑性に優れた端面43aを炭素繊維束40に軽く押し付けた状態で、炭素繊維束40の延出方向(X1−X2)に対して直交する方向(Y1−Y2)に板43を細かく振動させながら(図8の符号E参照)、板43を炭素繊維束40の延出方向(X1−X2)に移動させる(図8の符号F及び点線の符号43を参照)。
図8の工程により炭素繊維束40は徐々にY1−Y2方向に広がるとともに厚さが薄くなり、炭素繊維間をほぐすことができる。これにより炭素繊維束40を平板状にできる。
次に図9に示す工程では、樹脂(溶剤含む)を含浸した炭素繊維束40をホットプレート44上に設置し、乾燥させる。温度は100℃前後、時間は数分から数十分程度である。
図6ないし図9の工程を経た炭素繊維束40を例えば3つ作製する(残りの炭素繊維束の符号を45,46とした)。なお炭素繊維束45,46については乾燥後、直ぐに炭素繊維束45,46からアルミ箔41を引き剥がす。そのうち、一つの炭素繊維束45を、炭素繊維束45の延出方向に対して直交する方向から切断して図10に示すように、複数個の炭素繊維束片45a〜45cを作製する。このとき各炭素繊維束片45a〜45cの長さL1(炭素繊維束の延出方向への長さ。炭素繊維束45に対する切断長さ)は、残りの炭素繊維束40,46の幅T1(炭素繊維束の延出方向に対して直交方向への幅)と略同一となるように調整することが好ましい。
図10に示すように、炭素繊維束40の上に各炭素繊維束片45a〜45cを並べるが、このとき、各炭素繊維束片45a〜45cにおける炭素繊維の延出方向を、炭素繊維束40の延出方向(X1−X2)と直交させる。
図10に示すように、更に各炭素繊維束片45a〜45cの上に炭素繊維束の延出方向が各炭素繊維束片45a〜45cと直交する炭素繊維束46を重ね合わせる。
このように各炭素繊維束の層を積層した炭素繊維束積層体(プリプレグ)47を図11に示すように、ホットプレート44上で乾燥させる。この乾燥により各炭素繊維束40,45,46に含浸させた樹脂により各層間を分離しないように接合(接着)することができる。温度は100℃前後、時間は数分から数十分程度である。
乾燥後、直ちに炭素繊維束積層体47をアルミ箔41から引き剥がす。
続いて図12の工程では、例えばYAGレーザLを用いて、炭素繊維束積層体(プリプレグ)47を所定形状に切り出す。YAGレーザLは特に、FAYbと呼ばれる、イッテリビウムによってレーザを増幅させる方式によるものであることが好ましい。
図12では、炭素繊維束積層体(プリプレグ)47を3つの摺動子2の形状に外形加工している。各摺動子2の間には連結部50を残しており、各摺動子2がばらばらにならないようにされているが、連結部50の部分を残しておいて最後に切断してもよいし、図12の工程時に連結部50の部分も切断して、各摺動子2に分離してもよい。
図12に示すように、各摺動子2の外形を基部2aと基部2aから延出する接点部2b,2cの形状に切り出す。また基部2aに開口15や位置決め孔19を形成する。
続く図13の工程では、図12により得られた摺動子2(なお図13では、図12の連結部50を切断して、各摺動子2に分離した状態にされている)を、プレス金型51内にセットする。
なお図13に示す摺動子2は、図12に示す切断線Gに沿って切断して現れる摺動子2の断面形状である。摺動子2上に重ねられる金属板3についても同様である。
図13に示すようにプレス金型51の下型52には位置決め突起52aが設けられており、この位置決め突起52aを図12の工程で摺動子2に形成された位置決め孔19に通す。
このとき図13に示すように、下型52と摺動子2との間に離型シート53を介在させる。なお離型シート53に形成された穴に位置決め突起52aを通して、摺動子2の下面に離型シート53を配置する。
また図13に示すように摺動子2の基部2a上に例えば図1(a)(c)に示す取付孔10、斜め上方に折り曲げられた各ばね片11〜14及び位置決め孔23を備える金属板3を設置する。このとき、金属板3に形成された位置決め孔23に位置決め突起52aを通して金属板3を摺動子2の基部2a上に設置する。
さらに図13に示すように、摺動子2及び金属板3の上に離型シート54を対向させる。この離型シート54にも、離型シート53と同様に位置決め突起52aを通す貫通した穴54aが形成されている。離型シート53,54には例えば、透明で耐熱性に優れたフッ素樹脂フィルム(例えば旭硝子株式会社のアフレックス(登録商標))を用いることができる。
そして熱プレス装置としてのプレス金型51の上型55をセットし、摺動子2と金属板3からなる摺動接点1の上下に離型シート53,54を配置した状態にて、図14の工程で熱プレスする。
この図14工程での熱プレスの加熱温度(熱処理温度)は、図9や図11に示す乾燥工程での乾燥温度よりも高く、数百度程度(例えば180℃〜250℃)である。また、加熱時間は数十分程度(例えば20分〜50分)である。図14工程の熱プレスにより、摺動子2の各接点部2b,2cを立体成形し、このとき未硬化の熱硬化性樹脂が加熱硬化される。この熱硬化性樹脂の加熱硬化に伴い、各炭素繊維束40,45,46は硬化した樹脂により完全に接合(本接着)されて一体化される。
本実施形態では、金属板3を摺動子2の板状の基部2aに重ねた状態で熱プレスする。これにより、熱硬化樹脂の加熱硬化と同時に、摺動子2を構成する炭素繊維束に含浸された樹脂により、金属板3を摺動子2の基部2aに接着して適切に貼り付けることができる。
また図14のように、摺動接点1とプレス金型51との間に離型シート53,54を介在させているので、未硬化の熱硬化性樹脂がプレス金型51に付着しない。よって図15に示すように、摺動接点1をプレス金型51から適切に取り出すことができる。
そして、離型シート53,54を摺動接点1から剥離する。
このように本実施形態の摺動接点の製造方法によれば、摺動子2の基部2aと金属板3間に例えば別部材による接続構造や、あるいは摺動子2の基部2aと金属板3間を接合するための新たな接着剤を用いなくても、炭素繊維束に含浸させた樹脂を利用して、熱プレスによる摺動子2の成形工程で、摺動子2の基部2aに金属板3を簡単且つ確実に貼り付けることができる。
なお図12のように、各摺動子2を連結部50を介して接続した摺動子接続体を、金型内に、各摺動子2に対応する金属板3及び離型シート(例えば、離型シートは摺動子接続体の上下に一枚ずつ配置)をセットし、一度に、各摺動子2に対して立体成形と金属板3の貼り付けとを行うこともできる。
また図7の工程で炭素繊維束40に含浸させる樹脂は、熱硬化性樹脂に限定されず、熱可塑性樹脂であってもよい。樹脂として、熱可塑性樹脂を用いる場合には、図7工程の熱硬化性樹脂の溶液42に代えて、熱可塑性樹脂を加熱することにより液状とした溶融樹脂とすればよく、図9,図11の乾燥工程を省くことが出来る。また図14の熱プレスによる成形工程は、炭素繊維束に熱可塑性樹脂を含浸させてなる摺動子(プリプレグ)2における樹脂(熱可塑性樹脂)を加熱変形させる工程となることから、短時間で熱プレスによる成形加工を行うことができるが、摺動子2に対する金属板3の貼り付け(接着)を考慮して、加熱温度や加熱時間が調整される。熱可塑性樹脂としては、ポリアミド樹脂、PPS樹脂、PBT樹脂等を例示することが出来る。
なお安定した摺動子2と金属板3間の貼り付け(接着)を実行するには熱硬化性樹脂を用いたほうが望ましい。
1 摺動接点
2 摺動子
2a 基部
2b、2c 接点部
3 金属板
5 樹脂
6 炭素繊維
10、26、33 取付孔
11〜14、27、28 ばね片
15、36 開口
17 ホルダ(摺動子保持体)
18、34、35 突起
20、21 導電パターン
25、29 位置決め部
26a、26b、33a、33b 端面
40、45、46 炭素繊維束
47 炭素繊維束積層体
50 連結部
51 プレス金型
53、54 離型シート

Claims (11)

  1. 樹脂に覆われた炭素繊維束からなり、板状の基部及び前記基部から延出された接点部を有する摺動子と、摺動子保持体への取付部を備え、前記摺動子の前記基部に貼り付けられた金属板と、を有し、
    前記摺動子は、前記樹脂で覆われた前記炭素繊維束の板状の層が少なくとも3層、積層されており、隣り合う層の前記炭素繊維束の延出方向が交互となるように構成されており、積層方向における前記摺動子の両表層の前記炭素繊維束は、前記接点部の延出方向に沿って延出していることを特徴とする摺動接点。
  2. 前記取付部は、貫通孔からなる取付孔であり、前記摺動子の前記基部には、前記取付孔と対向する位置に開口が形成されており、前記開口を囲む前記基部が前記金属板に貼り付けられている請求項1に記載の摺動接点。
  3. 前記金属板は弾性を有する金属板からなり、前記取付孔の周囲の少なくとも一部には、前記金属板が平面視にて前記取付孔内に延出してなるばね片が設けられており、前記摺動子に設けられた前記開口は、前記ばね片を除いた前記取付孔よりも大きく形成されている請求項記載の摺動接点。
  4. 樹脂に覆われた炭素繊維束からなり、板状の基部及び前記基部から延出された接点部を有する摺動子と、摺動子保持体への取付部を備え、前記摺動子の前記基部に貼り付けられた金属板と、を有し、
    前記取付部は、貫通孔からなる取付孔であり、前記摺動子の前記基部には、前記取付孔と対向する位置に開口が形成されており、前記開口を囲む前記基部が前記金属板に貼り付けられ、
    前記金属板は弾性を有する金属板からなり、前記取付孔の周囲の少なくとも一部には、前記金属板が平面視にて前記取付孔内に延出してなるばね片が設けられており、前記摺動子に設けられた前記開口は、前記ばね片を除いた前記取付孔よりも大きく形成されていることを特徴とする摺動接点。
  5. 前記摺動子の前記基部と前記金属板とは、前記炭素繊維束を覆う前記樹脂により貼り付けられている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の摺動接点。
  6. 前記ばね片は、前記取付孔の周囲の一部に設けられており、前記ばね片が形成されていない前記取付孔の端面に、前記摺動子保持体との位置決め部が設けられている請求項3又は4に記載の摺動接点。
  7. 前記位置決め部を構成する前記端面は、前記接点部の延出方向及び前記延出方向に直交する方向に対して斜めに形成されている請求項記載の摺動接点。
  8. 前記金属板には、前記摺動子保持体との位置決め部が設けられている請求項1ないしのいずれか1項に記載の摺動接点。
  9. 炭素繊維束に樹脂を含浸させる工程と、
    前記樹脂を含浸させた前記炭素繊維束を、板状の基部と前記基部から延出した接点部とを有する摺動子の形状に加工する工程と、
    前記摺動子の前記基部に摺動子保持体への取付部を備える金属板を重ねた状態で、熱プレスし、このとき、前記樹脂により前記金属板を前記摺動子の前記基部に貼り付ける成形工程と、
    を有することを特徴とする摺動接点の製造方法。
  10. 前記樹脂は熱硬化樹脂であり、前記熱プレスにより、前記熱硬化樹脂の加熱硬化と同時に前記金属板を前記摺動子の前記基部に貼り付ける請求項記載の摺動接点の製造方法。
  11. 前記摺動子の基部に金属板を重ね合わせた摺動接点の両表面に離型シートを配置した状態で、前記熱プレスを行う請求項又は10に記載の摺動接点の製造方法。
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