JP5517191B2 - 熱伝導性シートの製造方法及び熱伝導性シート - Google Patents

熱伝導性シートの製造方法及び熱伝導性シート Download PDF

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Description

本発明は、発熱する電子部品に固着し、その電子部品の放熱や冷却という熱対策部材として用いられる熱伝導性シートの製造方法及び熱伝導性シートに関する。
電子機器に実装されるICやCPU等は使用中(実行中)に発熱する電子部品であり、このような発熱体の電子部品を冷却するために、電子機器の内部にはヒートシンクやヒートパイプなどの放熱体を装着している。そして発熱体から放熱体への熱伝導を促進するために、発熱体と放熱体との間には熱伝導性シートを介装している。この熱伝導性シートの利用により、発熱体と放熱体との間の伝熱面積が増大し、発熱体から放熱体へと熱を効率良く逃がすことができる。
熱伝導性シートは、発熱体や放熱体などの被着体に対する追従性や密着性を高めることで熱伝導性を高くしている。そのため熱伝導性シートには柔軟性が要求されるが、柔軟性が高くなると粘着性も高まり、粘着性が高まると、熱伝導性シートどうしがくっついたり、被着体への取付作業が困難になったりすることがある。また、肉厚を薄くすれば熱伝導性を高めることができるが、薄肉にすると破れ易くなって取扱い性が悪くなるという欠点もある。
上記のような問題の対策として、例えば、特開平02−196453号公報(特許文献1)には、柔らかく変形し易い第1のシリコーン樹脂層と、取扱いに必要な強度を有する第2のシリコーン樹脂層と、を積層した熱伝導性シート複合体が開示されている。また特開平10−183110号公報(特許文献2)には、熱伝導性充填材を配合したシリコーンゲル層と、ゴム状に硬化した薄膜補強層とを積層した熱伝導性シリコーンゲル成形シートが開示されている。さらに特開平11−307697号公報(特許文献3)には、熱伝導性充填材を含有しショアA硬度が20以上で引張強度、非粘着性、補強性に優れるシリコーン系ゴム層Aと、熱伝導性充填材を含有しアスカーC硬度が30以下のシリコーン系ゴム層Bとを積層した熱伝導性複合シートが開示されている。
こうした熱伝導性シートは、原寸大の熱伝導性シートに比べて大判に形成した熱伝導性シートである大判シート体を樹脂フィルム上に成形した後、被着体の大きさに合わせて一つ一つ所望の大きさに裁断するという製造方法が採用されており、裁断された大判シート体を樹脂フィルム上に載置したままで実装工場に出荷している。
特開平02−196453号公報 特開平10−183110号公報 特開平11−307697号公報
しかしながら、大判シート体は個々の熱伝導性シートに分断されているものの、梱包や運搬時に加圧されることで、隣接する熱伝導性シートの裁断面同士が再接着し易く、実装時に樹脂フィルムから熱伝導性シートを1つずつ取り剥がしにくいという問題がある。さらに熱伝導性シートは薄いため、裁断面同士がくっついたまま樹脂フィルムから剥がし取ろうとすると、伸びて変形してしまったり、千切れてしまったりする問題がある。
以上のような従来技術を背景としてなされたのが本発明である。すなわち、本発明の目的は、裁断された熱伝導性シートの裁断面同士がくっつきにくく、基材フィルムから剥がして実装し易い取扱い性に優れた熱伝導性シートを得ることにある。
上記目的を達成すべく、高分子基材中に熱伝導性充填材が分散する熱伝導性シートの製造方法について、高分子基材に熱伝導性充填材を配合した熱伝導性組成物を所望の大きさより大判のシート状に成形した大判シート体を形成する工程と、皮膜形成剤を塗布した裁断刃を、大判シート体の表面に対して交差方向に入刀し、大判シート体を裁断してその裁断面に皮膜形成剤を付着させる工程と、裁断面に付着した皮膜形成剤を硬化させて、裁断面に非粘着性の弾性皮膜を形成する工程と、を実行し、厚さ方向に沿う側面に非粘着性の弾性皮膜を有する熱伝導性シートを形成することを特徴とした熱伝導性シートの製造方法を提供する。
高分子基材中に熱伝導性充填材が分散する熱伝導性シートの製造方法について、高分子基材に熱伝導性充填材を配合した熱伝導性組成物を所望の大きさより大判のシート状に成形した大判シート体を形成する工程を設けたため、複数の熱伝導性シートを同時に製造することができる。
また、皮膜形成剤を塗布した裁断刃を、大判シート体の表面に対して交差方向に入刀し、大判シート体を裁断してその裁断面に皮膜形成剤を付着させる工程を設けたため、裁断刃を入刀して得られる裁断面に皮膜形成剤を付着させ易く、この裁断面に非粘着性の弾性皮膜を簡単に形成することができる。そして、裁断刃の入刀により、大判シート体の裁断と皮膜形成剤の付着とを同時に行うこともでき、裁断と皮膜形成剤の付着を分けて行うこともできる。さらに、裁断刃で皮膜形成剤を付着するため、大判シート体の裁断面の全面に漏れ無く皮膜形成剤を付着させることができ、また、裁断面に均一に皮膜形成剤を付着させることができる。
さらに、裁断面に付着した皮膜形成剤を反応させて、裁断面に非粘着性の弾性皮膜を形成する工程を設けたため、所望の大きさの熱伝導性シートの側面に非粘着性の弾性皮膜を設けることができる。側面に非粘着性の弾性皮膜を有する熱伝導性シートは、隣接する熱伝導性シートの側面同士が再接着しにくく、熱伝導性シートの実装における作業性が向上する。
皮膜形成剤を付着させる工程に、皮膜形成剤を塗布しない裁断刃を大判シート体に入刀する第1次裁断工程と、皮膜形成剤を塗布した裁断刃を同一箇所に入刀して裁断面に皮膜形成剤を付着させる第2次裁断工程と、を含むことができる。
皮膜形成剤を塗布しない裁断刃を大判シート体に入刀する第1次裁断工程と、皮膜形成剤を塗布した裁断刃を同一箇所に入刀して裁断面に皮膜形成剤を付着させる第2次裁断工程と、を設けたため、第1次裁断工程と第2次裁断工程とで、大判シート体の裁断と皮膜形成剤の塗布とを別の工程とすることができる。これにより、裁断面への皮膜形成剤の付着をより精緻に行うことができる。また、第1次裁断工程を完全には裁断せずに切れ目を入れる仮裁断工程とし、第2次裁断工程を大判シート体を完全に裁断する本裁断と裁断面への皮膜形成剤の付着とを行う工程とすることもできる。さらに、第1次裁断工程と第2次裁断工程のそれぞれの工程で用いる裁断刃を同一の裁断刃とすることもできるし、別の裁断刃とすることもできる。同一の裁断刃を用いれば準備する裁断刃の種類が減り効率的であり、また、裁断と皮膜形成剤の塗布を同じ裁断刃でまかなうことができる。一方、別の裁断刃を用いれば、裁断と皮膜形成剤の塗布のそれぞれの工程により適した形状の裁断刃を適宜選択することができる。
そしてまた、高分子基材中に熱伝導性充填材が分散する熱伝導性シートであって、厚さ方向に沿う側面に非粘着性の弾性皮膜を有する熱伝導性シートを提供する。
厚さ方向に沿う側面に非粘着性の弾性皮膜を有する熱伝導性シートとしたため、複数の熱伝導性シートがその側面どうしで接触していても相互にくっつきにくくすることができ、個々の熱伝導性シートの取扱性を容易にすることができる。
また、熱伝導性シート内部が容易に圧縮されるようなゲル状や、粘土質状、ペースト状であっても、シート形状を弾性皮膜を形成した側面で保持することができるため、形状維持性に優れた熱伝導性シートである。
この熱伝導性シートについては、弾性皮膜が、厚さ方向に沿う側面に付着した皮膜形成剤に含まれる硬化剤と前記高分子基材を形成する基剤との反応皮膜である熱伝導性シートとすることができる。
弾性皮膜を厚さ方向に沿う側面に付着した皮膜形成剤に含まれる硬化剤と前記高分子基材を形成する基剤との反応皮膜としたため、熱伝導性シートの側面に形成された非粘着性の弾性皮膜と熱伝導性シート内部の粘着性のある部位との間で明確な界面を形成することなく、側面から内部にかけて漸次性質が変わる熱伝導性シートとすることができる。したがって、弾性皮膜の剥離が起こりにくい。また、側面と内部との間での柔軟性、熱伝導性、その他の性質の急激な変化を抑えることができる。
そして、この熱伝導性シートについては、弾性皮膜が、厚さ方向への圧縮に対する反発力を有する熱伝導性シートとすることができる。
弾性皮膜が、厚さ方向への圧縮に対する反発力(弾性)を有する熱伝導性シートとしたため、熱伝導性シートの内部がゲル状や、粘土質状、ペースト状などであって、圧縮に対する弾性的な復元力を有しない場合であっても、定形性を有し、寸法安定性に優れている。また、一度、圧縮された後も再利用することができる。
さらに、厚さ方向に交差する表面または裏面の少なくとも何れか一方に非粘着性の弾性皮膜を有する熱伝導性シートを提供する。
厚さ方向に交差する表面または裏面の少なくとも何れか一方に非粘着性の弾性皮膜を有するため、厚さ方向に交差する表面または裏面も非粘着性とすることができ、取扱い性が高まる。すなわち、無定形の粘土質状、ペースト状などの柔らかい内部と、有定形のゲル状、ゴム状などの硬い表面または裏面とを組み合わせることができ、表面側を有定形層とし内面側を無定形層とすることで、圧縮荷重が小さく形状保持性に優れ取扱いが容易な熱伝導性シートを実現することができる。
前記何れかの弾性皮膜が、それ以外の弾性皮膜とは硬さが異なる請求項6記載の熱伝導性シートとすることができる。
前記何れかの弾性皮膜が、それ以外の弾性皮膜とは硬さが異なる弾性皮膜としたため、
熱伝導性シートの適用部位に合わせた柔軟な設計をすることができる。すなわち、例えば、表面側は発熱体との接触面積を高めるため柔らかく、裏面側はそれほどの柔らかさは必要ではなく取扱い性の観点から硬さが要求されるような場合に、表面を柔らかく裏面を硬く形成することができる。
熱伝導性シートの側面に設けた非粘着性の弾性皮膜は、側面の全体に設ける場合の他、側面の一部に断続的に形成することもできる。弾性皮膜を形成していない側面部分は、圧縮力を受けると外方へ膨出し易くなるため、側面全面を弾性皮膜とした場合に比べて圧縮荷重を小さくすることができる。
本発明の熱伝導性シートの製造方法によれば、熱伝導性シートの厚さ方向に沿う側面にもれなく、効率的に皮膜形成剤を塗布することができる。そして、歩留まりの良い高品質の熱伝導性シートを得ることができる。
また、本発明の熱伝導性シートによれば、厚さ方向に沿う側面に非粘着性の弾性皮膜を設けており、熱伝導性シートの側面どうしでくっつきにくく、また、一度くっついても離しやすくすることができる。また、側面が硬く定形性があるため、電子機器への実装において取扱い性に優れている。さらに、内部は柔らかく接触面積を大にすることが可能で熱抵抗が低い。加えて、内部が柔らかく荷重値が低いにもかかわらず反発力を有し定形性(形状保持性)、取扱い性に優れている。
第1実施形態の熱伝導性シートを示す平面図。 図1のSA−SA線断面図。 第1実施形態の熱伝導性シートにおける製造方法であって熱伝導性組成物で大判シート体を形成する際の説明図。 第1実施形態の熱伝導性シートにおける製造方法であって大判シート体を第1次裁断する際の説明図。 第1実施形態の熱伝導性シートにおける製造方法であって大判シート体を第2次裁断する際の説明図。 第1実施形態の熱伝導性シートにおける製造方法であって大判シート体を裁断した後の説明図。 第1実施形態の熱伝導性シートにおける製造方法であって樹脂フィルム上に配列したシートを示す斜視図。 第2実施形態の熱伝導性シートを示す図2相当の断面図。 第2実施形態の熱伝導性シートにおける製造方法であって硬さの高い熱伝導性組成物をシート化する際の説明図。 第2実施形態の熱伝導性シートにおける製造方法であって硬さの低い熱伝導性組成物をシート化して大判シート体を形成する際の説明図。 第3実施形態の熱伝導性シートを示す図2相当の断面図。 第3実施形態の熱伝導性シートにおける製造方法であって硬さの高い熱伝導性組成物をシート化したものを積層して大判シート体を形成する際の説明図。 各実施形態の熱伝導性シートに共通する変形例を示す平面図。
本発明について以下に示す実施形態に基づきさらに詳細に説明する。なお、各実施形態で共通する構成については、同一の符号を付して重複説明を省略する。また、共通する材質、作用、効果等についても重複説明を省略する。
第1実施形態〔図1〜図7〕
本実施形態の熱伝導性シート11とその製造方法を図1〜図7に示す。図1は熱伝導性シート11の平面図であり、図2は熱伝導性シート11のSA−SA線断面図、図3〜図7は熱伝導性シート11の製造方法を示す説明図である。
熱伝導性シート11は、ICやCPUなどの発熱体や、ヒートシンクやヒートパイプなどの放熱体と良好な密着性を有する電子機器用部品であり、図1、図2に示すように、平面視で長方形のシート状に形成された粘着ボディ13の側面に、非粘着性の弾性皮膜14aが形成された熱伝導体12で構成されている。
粘着ボディ13は、発熱体や放熱体との良好な密着性を有し、熱を伝導し易いように、熱伝導性充填材が分散した高分子基材で形成されている。その側面に形成された弾性皮膜(側面弾性皮膜)14aは、粘着ボディ13に比較して弾性があり硬く形成されて非粘着性になっている。
「非粘着性」とは側面弾性皮膜14aどうしを加圧せずに接触させた場合にそれらが付着しにくい性質をいい、作業者の手に触れた際にも粘着しにくい性質をいう。また、加圧されて付着しても剥がれやすい性質をいう。側面弾性皮膜14aが形成されていない粘着ボディ13が、熱伝導性シート11どうしを加圧せずに接触させた際にそれらが付着し合う粘着性を有するのに対し、そうした粘着性が無いことを示す概念である。
熱伝導体12は、発熱体等との間での接触面積が大きい方が放熱面積が広くなるため、発熱体等との間で接触面積が広くなるように柔らかいほど好ましく、また、発熱体等に接触させた際の荷重値が低いほど接触面積を広く取れ、他の電子部品に対する圧迫力を少なくできることから、押圧に対する反発力が小さいほど好ましい。こうした観点から、粘着ボディ13を形成する高分子基材には、荷重を受けた際のJIS K 6253で規定するタイプE硬度(以下、単に「E硬度」という。)が60以下になる材質を用いることが好ましい。E硬度が60を超えると熱伝導体12が柔軟性を失って硬くなり、発熱体等との密着性が悪くなる。そして、熱伝導性シート11と発熱体等との接触面積が狭くなり、十分な熱伝導性を得られなくなるおそれがあるからである。一方で、E硬度が0以下となる低硬度ゲル状、粘土質状、ペースト状の材質は、発熱体等に対する密着性が高まり、熱伝導性能を高めることができて好ましい。また、E硬度が0以下となり得る高分子基材には、JIS K 2220に基づいて1/4円錐を用いて測定する不混和ちょう度が1〜100の材質を用いることができる。
こうした高分子基材には、熱可塑性エラストマーや熱硬化性エラストマーなどの高分子材料を用いることができる。熱可塑性エラストマーとしては、スチレン−ブタジエンブロック共重合体及びその水添ポリマー、スチレン−イソプレンブロック共重合体及びその水添ポリマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。熱硬化性エラストマーとしては、天然ゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ニトリルゴム、水添ニトリルゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレン共重合ゴム、塩素化ポリエチレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴムなどが挙げられる。
また、こうした高分子基材には、混合した後に硬化して前記高分子材料となる主剤と硬化剤のような混合系から生じるものとすることができる。例えば、未架橋ゴムと架橋剤であったり、架橋剤を含む未架橋ゴムと架橋促進剤であったりすることができ、また、その硬化反応も常温硬化であっても熱硬化であっても良い。シリコーンゴムであればシリコーンゴム主剤と硬化剤であってビニル基含有シリコーン生ゴムと過酸化物などが例示できる。また、ポリエステル系熱可塑性エラストマーやポリアミド系熱可塑性エラストマーであれば、ジオールとジカルボン酸とすることができ、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーであれば、ジイソシアネートとジオールとすることができる。なお、ここでは混合前の少なくとも2成分の一方を主剤とし他方を硬化剤と呼ぶものであって、どちらを主剤と定義しても硬化剤と定義しても良いものとする。従って、例えば、混合割合の少ない方、粘度の低い方を主剤としても良い。
更に、前記高分子基材は、こうした主剤と硬化剤のうち、硬化剤を含まない主剤だけであっても良い。
これらの高分子基材、あるいは主剤と硬化剤には、熱伝導性シート11の生産性、耐候性、耐熱性など種々の性質を高める目的で種々の添加材を含んだものを用いることができる。そうした添加材を例示すれば、可塑剤、補強材、着色剤、耐熱向上剤、カップリング剤、難燃剤、粘着剤、触媒、硬化遅延剤、劣化防止剤など、種々の機能性向上剤が挙げられる。
熱伝導体12に熱伝導性を付与するために高分子基材中に分散される熱伝導性充填材には、例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物、炭素繊維などからなる微細粉が挙げられる。金属酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、石英などが挙げられ、金属窒化物としては、窒化ホウ素、及び窒化アルミニウムなどが挙げられる。また、金属炭化物としては、炭化ケイ素が挙げられ、金属水酸化物としては、水酸化アルミニウムが挙げられる。さらに炭素繊維としては、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維、樹脂繊維を炭化処理した繊維、樹脂繊維を黒鉛化処理した繊維などが挙げられる。こうした熱伝導性充填材は、熱伝導体12に対して一定方向に配向させることもでき、配向させた方が熱伝導性が高まる点で好ましい。
側面弾性皮膜14aは、熱伝導体12の一部であるが、側面弾性皮膜14aが形成されていない粘着ボディ13に比べて反発力(弾性)があり、硬い部位である。本実施形態では、熱伝導性シート11の4つの側面に形成されており、熱伝導性シート11内部の粘着性を抑え、硬さを向上させることで、熱伝導性シート11の定形性と取扱い性を高めている。
側面弾性皮膜14aは、粘着ボディ13の側面に付着した皮膜形成剤を硬化させることで得られる。したがって、粘着ボディ13に対する接着性が高く、粘着ボディ13に比べて硬度が高くなる材料を用いることができる。こうした皮膜形成剤には、次のような材料を用いることができる。
(1)接着剤
皮膜形成剤としては、まず、前記高分子基材に対する接着性を有する接着剤を用いることができる。
接着剤は、粘着ボディ13に対する接着性があって、それ自体が硬化する接着剤を用いることができ、例えば、シリコーン系、ウレタン系、エポキシ系、フェノール系、ポリイミド系、熱可塑性系等の一液性硬化型、二液性硬化型、UV硬化型、熱硬化型等の各種接着剤を用いることができる。
(2)主剤と硬化剤の混合組成物
次に、粘着ボディ13の高分子基材となる前記主剤とその主剤と反応して硬化する硬化剤を含む組成物を皮膜形成剤に用いることができる。例えば、熱硬化して高分子基材となる主剤と硬化剤で粘着ボディ13を形成するとともに、この粘着ボディ13の側面に、この主剤と硬化剤の混合組成物である皮膜形成剤を塗布し加熱することで、主剤と硬化剤が架橋硬化した粘着ボディ13を形成するとともに、同様の主剤と硬化剤が架橋硬化した側面弾性皮膜14aを形成することができる。この場合には、粘着ボディ13も側面弾性皮膜14aも同材質であるため、粘着ボディ13と側面弾性皮膜14aとの界面の固着力が強固である。なお、主剤と硬化剤の含有比を粘着ボディ13と側面弾性皮膜14aで比較すると、側面弾性皮膜14aの方が硬化剤の含有比が高くなっている。
(3)硬化剤
さらに、側面弾性皮膜14aは、粘着ボディ13の高分子基材となる前記主剤と反応して硬化する硬化剤そのものとすることができる。
主剤を含まない硬化剤単独を皮膜形成剤として側面弾性皮膜14aを形成すると、粘着ボディ13と側面弾性皮膜14aとの間で明確な境界ができず、内部から側面に向かって徐々に硬くなる熱伝導体12を得ることができる。そのため、粘着ボディ13と側面弾性皮膜14aとの境界部分が、上記(1)の接着剤を用いた場合は異種材料に基づく境界面、上記(2)の主剤と硬化剤の混合組成物を用いた場合は同種材料ではあるが硬度の相違に基づく境界面、がそれぞれ生じていることと異なる。
即ち、皮膜形成剤に硬化剤を用いると、硬化剤が粘着ボディ13に浸透して側面弾性皮膜14aを形成することから、粘着ボディ13と側面弾性皮膜14aとの間で境界部分が無く両者が一体となるので側面部分が剥がれにくい。換言すれば、外縁から内方へ徐々に粘着性を発現する傾斜材料となることから、側面弾性皮膜14aも粘着ボディ13の一部となる。こうした点で、硬化剤を皮膜形成剤とすることは好ましい。
したがって、図面の記載を補足すれば、図1や図2において、弾性皮膜14aと粘着ボディ13との間に界面があるように実線で表示しているが、粘着ボディ13の基剤と反応する硬化剤でなる皮膜形成剤で弾性皮膜14aを形成する上記(3)の場合には、こうした明確な界面は実際には存在しない。
上記(2)や(3)の場合は、粘着ボディ13に添加する硬化剤量と粘着ボディ13の側面に付着させる硬化剤量、あるいはこれらの硬化剤の種類、場合により皮膜形成剤に含まれる主剤量を調整することで、粘着ボディ13と側面弾性皮膜14aの硬さや反発力を調整することができる。
皮膜形成剤の付着量は、その厚さで5μm〜20μmとすることが好ましい。5μm〜20μmの範囲とすると、粘着ボディ13の側面に比較的均一な厚さの側面弾性皮膜14aを設けることができ、また、側面弾性皮膜14aを適度な硬度にすることができるからである。
粘着ボディ13の不混和ちょう度を35程度とし、側面弾性皮膜14aの硬さをE硬度で50程度とすることは好ましい態様である。
熱伝導性シート11の製造方法を次に例示する。
先ず、高分子基材(混合後に高分子基材となる主剤と硬化剤であっても良い)と熱伝導性充填材を攪拌機で混合して熱伝導性組成物17を用意する。混合時には空気の混入を防ぐために真空下により攪拌、混練することが好ましい。そして、図3で示すように、コンベアー1面にフィルムシート2を敷き、このフィルムシート2上にバーコーター3を用いて熱伝導性組成物17を塗布し、熱伝導性組成物17をシート状に成形して、製品として所望する熱伝導性シート11の大きさより大判の大判シート体18を形成する。厚さが均一に塗布された大判シート体18はコンベアー1上を矢示方向に移動して、裁断工程へ搬送される。
次に、図4で示すように、大判シート体18の表面に対して交差方向(矢示方向)に裁断刃を入刀する(第1次裁断工程)。それから、図5で示すように、皮膜形成剤16を塗布した裁断刃4を、大判シート体18の第1次裁断で形成された窪み12eに再度侵入させて裁断面に皮膜形成剤16を付着させる(第2次裁断工程)。
これらの裁断工程は、縦方向と横方向の双方で行い、また、皮膜形成剤を反応させて硬化することで、図6で示すような裁断線CLによって所望の大きさに分割され、分割された側面に非粘着性の側面弾性皮膜14aが形成された熱伝導体12を得る。
最後に不要な部分を取り除いて、図7で示すように、フィルムシート2上に配列載置した複数の熱伝導体12を得ることができ、所望の大きさの個々の熱伝導体12を熱伝導性シート11として用いることができる。
上記第1次裁断工程と第2次裁断工程では、第1次工程について大判シート体18を完全に裁断する本裁断工程とし、第2次裁断工程については裁断を行わず裁断面への皮膜形成剤の付着を行う工程とすることができる。第2次裁断工程では実質的な裁断は行わないため、皮膜形成剤の塗布に適した形状の裁断刃に代えることができる。そのため、第2次裁断工程では、皮膜形成剤の塗布を所望の塗布厚に塗布し易い。
また、第1次裁断工程について大判シート体18を完全には裁断せずに切れ目を入れる仮裁断工程とし、第2次裁断工程を大判シート体を完全に裁断する本裁断と裁断面への皮膜形成剤の付着とを行う工程とすることができる。仮裁断工程を行った後、本裁断工程を行うため、裁断面が整った熱伝導体12を得ることがで、形状の整った熱伝導体12を得ることができる。そして、これらの工程は2段階の入刀工程があるため、側面と交差する表面または裏面に皮膜形成剤を付着させることが少ないため好ましい。
第1次裁断工程と第2次裁断工程のそれぞれの工程で用いる裁断刃を同一の裁断刃とすると、第2裁断工程での裁断刃の形状が第1裁断工程で裁断された裁断面に一致するため、裁断面にもれなく皮膜形成剤を付着させることができる。一方、別の裁断刃とすると、第1次裁断工程では大判シート体18の裁断に適した裁断刃を採用し、第2次裁断工程では皮膜形成剤の塗布に適した裁断刃にすることで、機能ごとに裁断刃を分けることができる。例えば、第1次裁断工程に用いる裁断刃はV字形状の金属製とし第2次裁断工程に用いる裁断刃は平板状のプラスチック製とすることができる。したがって、裁断刃にはその名称に拘わらず、押切り刃やせん断刃などの刃物の他、プラスチックプレートなどを適宜用いることができる。
また、第1次裁断工程で入刀する粘着ボディ13は粘着性を有するため、裁断刃に粘着ボディ13がくっつきにくいよう、裁断刃や大判シート体18を冷却して第1次裁断工程を行うことは好ましい。
第1次裁断工程と第2次裁断工程は、大判シート体18を移動させながら、大判シート体18の端から、順次第1次裁断工程と第2次裁断工程とを行えば、流れ作業で両裁断工程を行えるため、作業時間短縮の観点から好ましい。また、裁断刃や大判シート体18を冷却して第1次裁断工程を実行するような場合には、大判シート体18全体の第1次裁断工程を完了した後、第2次裁断工程に移行するようにしても良い。
本実施形態では、裁断工程を第1次裁断工程と第2次裁断工程の2工程としているが、両工程を併せて1工程で行うこともできる。この場合には、裁断刃に皮膜形成剤を塗っておき、大判シート体18の裁断と、裁断面への皮膜形成剤の塗布とを同時に行う。裁断回数を減らすことで、リードタイムを短縮して製造コストを圧縮することができる。
また、大判シート体18の形成には、バーコーターを用いる方法に代えて、ドクターブレード法や、カレンダー成形法、Tダイを用いた押出成形法などを行うこともできる。
側面弾性皮膜14aとなる皮膜形成剤に粘着ボディ13に含まれる主剤と反応して硬化する硬化剤を含む場合にも、硬化剤の硬化反応を促進する加熱工程等を適宜行うが、大判シート体18の成形後、皮膜形成剤の塗布後に、粘着ボディ13とともに皮膜形成剤を硬化させることが好ましい。皮膜形成剤の塗布前に粘着ボディ13だけを加熱すると、粘着ボディ13中の基剤と硬化剤とが硬化反応を起こし、皮膜形成剤中の硬化剤との硬化反応が起きにくいからである。
熱伝導性シート11によれば、フィルムシート2上に配列する複数の熱伝導体12が梱包や運搬過程でその側面どうしが接触しても、くっつきにくく取り外しやすい。そのため、熱伝導性シート11を発熱体等に実装する場合の取扱い性が向上する。
また、粘着ボディ13に粘性があり弾性が無い材料を用いても、側面弾性皮膜14aに弾性を付与することができ、側面を側面弾性皮膜14aで覆うことで熱伝導性シート11の形状を保持することができる。
第2実施形態〔図8〜図10〕
本実施形態の熱伝導性シート21とその製造方法を図8〜図10に示す。図8は熱伝導性シート21の断面図であり、図9、図10は熱伝導性シート21の製造方法を示す説明図である。
本実施形態の熱伝導性シート21は、先の実施形態の熱伝導性シート11と異なり、発熱体や放熱体の何れか一方と密着させる面にも弾性皮膜14bを設けている。
具体的には、熱伝導性シート21を形成する熱伝導体22は、粘着ボディ13とその厚さ方向に沿う四方の側面に非粘着性の側面弾性皮膜14aが形成されているほか、厚さ方向に交差する一方の表面(以下説明の便宜上図面の上下方向に合わせて“裏面”という)にも裏面弾性皮膜14bが形成されている。この裏面弾性皮膜14bは、側面に形成される側面弾性皮膜14aと同様に粘着ボディ13より硬く、反発力(弾性)を有する部位である。
裏面弾性皮膜14bは、側面に形成された側面弾性皮膜14aと同材質でも良いが、別材質とすることもできる。
熱伝導性シート21の製造例を次に示す。先ず本実施形態では、高分子基材(混合後に高分子基材となる主剤と硬化剤であっても良い)と熱伝導性充填材を攪拌機で混合して、粘着ボディ23を形成する軟質用熱伝導性組成物27aを用意する。その一方で、軟質用熱伝導性組成物27aと同じ高分子基材に、硬化剤の添加量を軟質用熱伝導性組成物27aよりも多くした硬質用熱伝導性組成物27bを用意する。この硬質用熱伝導性組成物27bは裏面に形成する裏面弾性皮膜14bの形成に用いる。
次に、コンベアー1に載置するフィルムシート2に、硬質用熱伝導性組成物27bを塗布し(図9参照)、その上に硬化剤を塗布する(図示せず)。そして、さらにその上に軟質用熱伝導性組成物27aを塗布すると(図10参照)、硬質用熱伝導性組成物27bと軟質用熱伝導性組成物27aが積層する大判シート体28が得られる。大判シート体28は、コンベアー1で矢示方向に移動して、裁断工程へ搬送する。
その後、先の実施形態で示した方法と同様にして裁断工程を実行し、側面に皮膜形成剤が付着した所望の大きさの熱伝導体22を得る。最後に皮膜形成剤を硬化させて熱伝導性シート21を得る。
本実施形態でも大判シート体28の成形後、側面への皮膜形成剤の塗布後に、粘着ボディ13とともに皮膜形成剤を硬化させることが好ましいが、硬質用熱伝導性組成物27bの柔らかさに起因するなどして大判シート体28自体の形成がしにくいときなどは、適当な加熱工程を組み込んで、裏面弾性皮膜14bを適度な硬度にしておくことも可能である。
裏面に形成する裏面弾性皮膜14bは、硬質用熱伝導性組成物27bを塗布する替わりにそれ自体で硬化する接着剤や、主剤を含まない硬化剤をフィルムシート2上に塗布形成して得ることができる。また、硬質用熱伝導性組成物27bの塗布後であって軟質用熱伝導性組成物27aの塗布前に塗布する硬化剤は、その塗布を省略することもできる。
裏面弾性皮膜14bや粘着ボディ13の形成も、バーコーターを用いる方法以外の上述の方法を行うことができるが、裏面弾性皮膜14b用材料(硬質用熱伝導性組成物27b)と粘着ボディ13用材料(軟質用熱伝導性組成物27a)を同時に押出成形する二色成形を行うと、生産効率が高くなる点、寸法精度が高くなる点で好ましい。
熱伝導性シート21は、熱伝導体22の裏面(発熱体または放熱体と密着させる何れか一方側の表面)に裏面弾性皮膜14bを設けたため、熱伝導性シート21の幅方向に向かう引き裂き力に対して抵抗性が増大し、より定形性を高めることができる。また、フィルムシート2に対する粘着性が弱まるため、フィルムシート2から剥がし易くなり、発熱体や放熱体への実装作業における作業性が向上する。
また、側面に形成される側面弾性皮膜14aと裏面に形成される裏面弾性皮膜14bを、ともに同一の皮膜形成剤を用いて形成すると、両弾性皮膜14a,14b間にも一体化されて明確な界面が表れないため、両弾性皮膜14a,14bともに剥がれにくく、定形維持性がより高まる。
第3実施形態〔図11,図12〕
本実施形態の熱伝導性シート31とその製造方法を図11、図12に示す。図11は熱伝導性シート31の断面図であり、図12は熱伝導性シート31の製造方法を示す説明図である。
本実施形態の熱伝導性シート31は、発熱体や放熱体と密着させる表裏両面に弾性皮膜14b、14cを設けている。
具体的には、熱伝導性シート31を形成する熱伝導体32は、粘着ボディ13とその厚さ方向に沿う四方の側面に非粘着性の側面弾性皮膜14aが形成されているほか、厚さ方向に交差する一方側の表面(便宜上、図面の上下方向に合わせて“裏面”という)に裏面弾性皮膜14bが、他方側の表面(便宜上、図面の上下方向に合わせて“表面”という)に表面弾性皮膜14cがそれぞれ形成されている。これらの弾性皮膜14b,14cも、側面に形成される側面弾性皮膜14aと同様に粘着ボディ13より硬く、反発力(弾性)を有する部位である。したがって、これらの弾性皮膜14b,14cも側面に形成された側面弾性皮膜14aと同材質でも良いが、別材質とすることもできる。さらに、それぞれの弾性皮膜14a,14b,14cは、同じ硬さでも良く、また異なる硬さであっても良い。
熱伝導性シート31の製造は、先の実施形態と同様にして、フィルムシート2上に、裏面弾性皮膜14b用の熱伝導性組成物と、粘着ボディ13用の熱伝導性組成物とを積層(図10参照)し積層体を形成しておく。また、これとは別に表面弾性皮膜14cとなる熱伝導性組成物を調製しシート状に形成して表面弾性皮膜14cを準備しておく。この表面弾性皮膜14cに硬化剤を塗布して(図示せず)、その塗布面を先の積層体の上に載せてラミネートする(図12)。そして、その後は先の実施形態と同様にして側面に側面弾性皮膜14aを形成する。
あるいはまた、それぞれ裏面弾性皮膜14b、粘着ボディ13、表面弾性皮膜14cとなる熱伝導性組成物を形成しておき、各部位が積層するように各熱伝導性組成物を射出成形することができる。
予めシート状に形成した表裏両弾性皮膜14b,14cを用い、その表面に硬化剤を塗布して粘着ボディ13と固着した場合は、各部材を同時に射出して固着する場合と比べると、粘着ボディ13と弾性皮膜14b,14cの境界部分の厚さを変えることができ、製造方法を変化させることで、得られる熱伝導性シート31の性質を変えることができる。
熱伝導性シート31は、熱伝導体32の表裏両面(発熱体と密着させる面および放熱体と密着させる面の双方)に弾性皮膜14b,14cを設けたため、熱伝導性シート21の幅方向に向かう引き裂き力に対してさらに抵抗性が増大し、熱伝導性シート21よりもさらに定形性を高めることができる。また、発熱体や放熱体への実装時に、熱伝導性シート31を把持する指や取扱具に対する粘着性が弱まるため、取扱い性が向上し、実装作業における作業性が向上する。
また、熱伝導体32の側面および表裏両面が弾性皮膜14a,14b,14cで覆われるため、定形性が向上して実装作業時における実装ミスを減らすことができる。そのため、余分な在庫(蓄え分)を減らすことができる。また、粘着ボディ13をほとんど粘性変形しか示さない材料で形成しても、弾性皮膜14a,14b,14cで囲うことで定形性を持たせることができる。
さらに、表面と裏面の硬度を変えることで、大きさ、密着面積、押圧荷重などの密着させるべき発熱体や放熱体の特徴に併せて適宜硬度を修正することができる。
本実施形態において、一方表面側の裏面弾性皮膜14bの厚さを0.2mm程度、その硬さをE硬度で50程度とし、もう一方表面側の表面弾性皮膜14cの厚さを0.2mm程度、その硬さをE硬度で70程度とし、粘性ボディ13の不混和ちょう度を35程度とすることは好ましい実施態様である。
変形例〔図13〕
熱伝導性シート11,21,31の側面に形成する側面弾性皮膜14aは、その側面の全面(全部)に形成せずとも、側面の一部に形成することができる。例えば、図13(A)で示す熱伝導性シート41では、対向する2組の側面のうちの一方に側面弾性皮膜14aを形成している。また、図13(B)で示す熱伝導性シート51では、各側面の中央付近を除いて側面弾性皮膜14aを形成している。さらに、図13(C)で示す熱伝導性シート61では、対向する1組の側面では中央付近のみに側面弾性皮膜14aを形成し、もう1組の側面では中央付近を除いて側面弾性皮膜14aを形成している。こうした熱伝導性シート41,51,61は、裁断刃に付着させる皮膜形成剤14の位置を調整することで製造することができる。熱伝導性シート41,51,61では、圧縮時に側面弾性皮膜14aを形成していない側面部分が外方へ膨出し易いため、側面全面に側面弾性皮膜14aを形成する場合に比較して潰れやすく、圧縮荷重を小さくすることができる。
実験例
側面に側面弾性皮膜(14a)が設けられた試料と設けられていない試料を作製し、荷重測定器を用いて圧縮試験を行った。
試料は、厚さ2.4mm、幅10mm四方とし、4つの側面全面に側面弾性皮膜14aを有する熱伝導性シート(11)を試料1とし、4つの側面のいずれにも側面弾性皮膜(14a)が形成されていないものを試料2とした。これらの試料1及び試料2は、何れも粘着ボディ(13)の部分の硬度はE硬度が0(不混和ちょう度が35)である。
さらに比較のために、4つの側面のいずれにも側面弾性皮膜(14a)が形成されず、粘着ボディ(13)の部分の硬度がE硬度10である試料3を作製した。
圧縮試験では、厚さ2.4mmの試料を徐々に圧縮していき、所定の圧縮率になった際の荷重値を測定した。その結果を表1に示す。
側面弾性皮膜(14a)を形成した試料1では、圧縮率が大きくても小さくても何れの圧縮率においても側面弾性皮膜(14a)を形成していない試料2に比べて荷重が若干大きくなるが、側面弾性皮膜(14a)の存在でシート体の厚さ方向に対する抵抗力(反発力)を有することが分かる。また、試料1は、E硬度が10である試料3に比べれば、側面弾性皮膜(14a)が形成されているにもかかわらず、荷重が低くなっていることが分かる。
Figure 0005517191
1 コンベアー
2 フィルムシート
3 バーコーター
4 裁断刃
5 ローラー
11 熱伝導性シート(第1実施形態)
12 熱伝導体
12e 窪み
13 粘着ボディ
14 弾性皮膜
14a 側面弾性皮膜
14b 裏面弾性皮膜
14c 表面弾性皮膜
16 皮膜形成剤
17 熱伝導性組成物
18 大判シート体
21 熱伝導性シート(第2実施形態)
22 熱伝導体
27a 軟質用熱伝導性組成物
27b 硬質用熱伝導性組成物
28 大判シート体
31 熱伝導性シート(第3実施形態)
32 熱伝導体
38 大判シート体
41 熱伝導性シート(第1変形例)
42 熱伝導体
51 熱伝導性シート(第2変形例)
52 熱伝導体
61 熱伝導性シート(第3変形例)
62 熱伝導体
CL 裁断線

Claims (7)

  1. 高分子基材中に熱伝導性充填材が分散する熱伝導性シートの製造方法において、
    高分子基材に熱伝導性充填材を配合した熱伝導性組成物を所望の大きさより大判のシート状に成形した大判シート体を形成する工程と、
    皮膜形成剤を塗布した裁断刃を、大判シート体の表面に対して交差方向に入刀し、大判シート体を裁断してその裁断面に皮膜形成剤を付着させる工程と、
    裁断面に付着した皮膜形成剤に含まれる硬化剤と前記高分子基材を形成する基剤とを硬化させて、その反応皮膜である非粘着性の弾性皮膜をこの裁断面に形成する工程と、
    を実行し、厚さ方向に沿う側面に非粘着性の弾性皮膜を有する熱伝導性シートを形成することを特徴とした熱伝導性シートの製造方法。
  2. 皮膜形成剤を付着させる工程に、皮膜形成剤を塗布しない裁断刃を大判シート体に入刀する第1次裁断工程と、皮膜形成剤を塗布した裁断刃を同一箇所に入刀して裁断面に皮膜形成剤を付着させる第2次裁断工程と、を含む請求項1記載の熱伝導性シートの製造方法。
  3. 高分子基材中に熱伝導性充填材が分散する熱伝導性シートであって、厚さ方向に沿う側面に付着した皮膜形成剤に含まれる硬化剤と高分子基材を形成する基剤との反応皮膜である非粘着性の弾性皮膜を厚さ方向に沿う側面に有し、柔らかな内部と硬い側面とが境界なく一体となっており、前記厚さ方向への圧縮に対する反発力を有する熱伝導性シート。
  4. 弾性皮膜が、前記厚さ方向への圧縮に対する反発力を有する請求項3記載の熱伝導性シート。
  5. 前記厚さ方向に交差する表面または裏面の少なくとも何れか一方に非粘着性の弾性皮膜を有する請求項3または請求項4記載の熱伝導性シート。
  6. 前記何れかの弾性皮膜が、それ以外の弾性皮膜とは硬さが異なる請求項記載の熱伝導性シート。
  7. 請求項3〜請求項何れか1項記載の熱伝導性シートをフィルムシート上に複数個配列載置した熱伝導性シート付きフィルムシート。
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