第1の展開形態のマッピング情報通知装置は、上記第1の視点に係るマッピング情報通知装置であることが好ましい。
第2の展開形態のマッピング情報通知装置は、他のマッピング情報通知装置との間で前記対応表を分散して保持するようにしてもよい。
第3の展開形態のマッピング情報通知装置は、送信先IDと送信先ロケータとの間のマッピング情報が変更された場合には、複数のマッピング情報通知装置の間で分散保持された前記対応表を参照して該送信先IDに対応付けられた送信元ロケータを抽出し、該送信元ロケータに含まれるパケット中継装置に該マッピング情報の変更内容を通知するようにしてもよい。
第4の展開形態のマッピング情報通知装置は、パケットを中継するようにしてもよい。
第5の展開形態の通信システムは、上記のマッピング情報通知装置を備えていることが好ましい。
第6の展開形態の通信システムは、パケットの送信元IDと送信先IDの組と該パケットの送信元ロケータとを対応付ける対応表を生成し、該対応表を前記マッピング情報通知装置に送信する対応表生成装置をさらに備えていることが好ましい。
第7の展開形態の通信システムは、前記対応表生成装置がパケットを中継するようにしてもよい。
第8の展開形態のマッピング情報通知方法は、上記第3の視点に係るマッピング情報通知方法であることが好ましい。
第9の展開形態のマッピング情報通知方法は、コンピュータが、他のコンピュータとの間で前記対応表を分散して保持する工程をさらに含んでいてもよい。
第10の展開形態のマッピング情報通知方法は、コンピュータが、送信先IDと送信先ロケータとの間のマッピング情報が変更された場合には、複数のコンピュータの間で分散保持された前記対応表を参照して該送信先IDに対応付けられた送信元ロケータを抽出する工程と、
抽出した送信元ロケータに含まれるパケット中継装置に前記マッピング情報の変更内容を通知する工程とを含んでいてもよい。
第11の展開形態のマッピング情報通知方法は、コンピュータがパケットを中継する工程をさらに含んでいてもよい。
第12の展開形態のマッピング情報通知方法は、コンピュータが、パケットの送信元IDと送信先IDの組と該パケットの送信元ロケータとを対応付ける対応表を生成する工程と、
前記対応表を他のコンピュータに送信する工程とをさらに含むことが好ましい。
第13の展開形態のプログラムは、上記第4の視点に係るプログラムであることが好ましい。
第14の展開形態のプログラムは、他のコンピュータとの間で前記対応表を分散して保持する処理をさらにコンピュータに実行させるようにしてもよい。
第15の展開形態のプログラムは、送信先IDと送信先ロケータとの間のマッピング情報が変更された場合には、複数のコンピュータの間で分散保持された前記対応表を参照して該送信先IDに対応付けられた送信元ロケータを抽出する処理と、
抽出した送信元ロケータに含まれるパケット中継装置に前記マッピング情報の変更内容を通知する処理とをさらにコンピュータに実行させるようにしてもよい。
第16の展開形態のプログラムは、パケットを中継する処理をさらにコンピュータに実行させるようにしてもよい。
第17の展開形態のプログラムは、パケットの送信元IDと送信先IDの組と該パケットの送信元ロケータとを対応付ける対応表を生成する処理と、
前記対応表を他のコンピュータに送信する処理とをさらにコンピュータに実行させることが好ましい。
本発明に係る通信システム、マッピング情報通知装置、マッピング情報通信方法及びプログラムによると、ロケータとIDを分離して扱うロケータID分離ネットワークにおいて、エンド端末又はIDを移動した場合に通信経路の最適化を効率よく行うことができる。パケットの送信元IDと送信先IDの組と該パケットの送信元ロケータとを対応付ける対応表を用いることにより、マッピング情報が変更されたことを通知する必要があるパケット中継装置に対してのみ、当該通知を行うことができるからである。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る通信システムについて、図面を参照して詳細に説明する。第1の実施形態では、送信先IDに対応する送信元ロケータの対応表を生成するルータやサーバなどの対応表生成装置の構成及び処理動作、対応表を保持する対応表保持装置の構成及び処理動作、マッピング変更通知を行うルータやサーバなどのマッピング変更通知装置の構成及び処理動作、対応表生成装置及びマッピング変更通知装置によるマッピング変更通知及び通信経路最適化について述べる。本発明による対応表生成装置の機能は、ルータやサーバなどの中継装置に組み込まれてもよいし、それとは異なる本発明のためのサーバなどの新たな装置によって実現されるようにしてもよい。
なお、本発明は、一般的なロケータID分離ネットワークを実現するアーキテクチャ及びプロトコルから構成されるネットワークに関するものである。以下では、ルータやサーバなどの中継装置がロケータとIDの対応を示すマッピング情報を管理・制御するネットワークを想定して説明する。しかし、本発明は、エンド端末がロケータとIDの対応を示すマッピング情報を管理・制御するネットワークにも適用することができる。例えば、エンド端末が中継装置の機能を備えている場合には、本発明の提供が可能となる。したがって、本発明は、中継装置がマッピング情報を管理・制御するネットワークにのみ限られるものでない。
第1の実施形態に係る通信システムにおいては、対応表生成装置が、自ネットワークのエンド端末と通信を行う送信先端末のIDごとに、パケットの出口となる中継装置のロケータ(送信元ロケータ)の対応表を生成し、対応表保持装置が対応表を保持し、かつ対応表の参照を受け付けることで、マッピング変更通知装置に適切なマッピング通知先ロケータを知らせる。マッピング変更通知装置は、対応表より得た適切なロケータの中継装置に対してマッピング変更を通知することができる。ここで、マッピングの変更とは、マッピング情報の追加及び削除の両方が行われることに加え、マッピング情報の追加又は削除の少なくともいずれかが行われることも示す。
はじめに、送信先IDに対応する送信元ロケータの対応表を生成する装置(対応表生成装置)について図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る通信システムにおける対応表生成装置1Aの構成を一例として示すブロック図である。図1の装置において、各構成要素で関係のある要素間を直線で結んで表示する。矢印線の方向は、本発明における特徴を説明するための、各構成要素間の詳細な制御や参照、情報の流れを示す。
対応表生成装置1Aは、自身の所属するネットワークやネットワーク間で用いられる通信ポリシの情報をもとに、送信先IDに対応する送信元ロケータの対応表を生成し、対応表をデータベースに保存する。
対応表生成装置1Aは、対応表管理部11とポリシ管理部12及び外部接続インターフェース13を含む。また、送信元ロケータ対応表DB6を外部に備えている。以下、対応表生成装置1Aの構成と動作について説明する。
対応表管理部11は、少なくとも対応表生成部111、対応表登録部112を含む。対応表管理部11は、ポリシ管理部12から受け取ったポリシ情報を参考にして送信先IDに対応する送信元ロケータの対応表を生成し、送信元ロケータ対応表DB6に対応表を保存する。対応表生成部111は、ポリシ管理部12よりポリシ情報を受け取り、どの送信先IDに対してはどの送信元ロケータを用いるか、すなわち、送信先IDに対する送信元ロケータは何かを判断し、送信先IDに対する送信元ロケータの対応表を生成する。対応表登録部112は、対応表生成部111にて生成した対応表を、送信元ロケータ対応表DB6に登録することで、対応表の保存を行う。
ポリシ管理部12は、ポリシ受付部121及びポリシ保存部122を含む。ポリシ受付部121は、外部接続インターフェース13を介して外部よりポリシ情報を受け付け、必要な情報を整理する。ポリシ保存部122は、ポリシ受付部121より整理されたポリシ情報を受け取って保存し、必要に応じて対応表管理部11の対応表生成部111にポリシ情報を与える。ここで、ポリシとは、どの送信先IDに対してはどの送信元ロケータを用いるかの情報(送信元ロケータの優先度情報)、IDにおける使用不可能な送信先ロケータや送信元ロケータの情報などの運用方法のことを指す。
外部接続インターフェース13は、外部端末との情報のやりとりを行うインターフェースである。
以上の対応表生成装置1Aにおいて、送信元ロケータ対応表DB6を装置1Aの内部に備えた対応表生成装置1A’(非図示)も考えられる。対応表生成装置1A’の構成と動作は、送信元ロケータ対応表DB6を内部に備えていること以外は、対応表生成装置1Aと同一である。
次に、本実施形態に係る通信システムにおける送信元ロケータ対応表5Aの構成について図2を参照して説明する。図2は、本実施形態による送信元ロケータ対応表5Aの一例である。送信元ロケータ対応表5Aは、送信元ロケータ対応表DB6に保存される。
送信元ロケータ対応表5Aは、送信元ID、送信先ID及び送信元ロケータの情報を含む。送信元ロケータ対応表5Aは、送信元IDから送信先IDへの通信において、送信元側ネットワークの通信の出口として、送信元ロケータの中継装置を用いていることを表す。言い換えると、送信元IDから送信先IDへの通信において、送信元ロケータを出口とする通信が行われる。
次に、本発明による対応表生成装置1A(ないし1A’)の動作について図3を参照して説明する。図3は、本発明による対応表生成装置1A及び1A’の動作の一部を示すフローチャートの一例である。
対応表生成装置1A(ないし1A’)は、対応表の生成要求が発生した場合(ステップS10のYes)、対応表を生成する(ステップS11)。要求がない場合は(ステップS10のNo)、対応表の登録要求の有無を判定する(ステップS12)。
対応表の生成要求がある場合(ステップS10のYes)、対応表管理部11の対応表生成部111にて、ポリシ管理部12のポリシ保存部122から受け取ったポリシ情報を参考に、送信元ロケータ対応表5Aを生成する(ステップS11)
対応表生成装置1A(ないし1A’)は、対応表の登録要求が発生した場合(ステップS12のYes)、送信元ロケータ対応表5Aを登録する(ステップS13)。要求がない場合は(ステップS12のNo)、処理の終了条件を満たしているか否かを判定する(ステップS14)。
対応表の登録要求がある場合(ステップS12のYes)、対応表登録部112は、送信元ロケータ対応表5Aの情報を送信元ロケータ対応表DB6に登録し(ステップS13)、処理を終了する。
処理の終了条件を満たしているか否かを判定し(ステップS14)、満たしていない場合は(ステップS14のNo)、ステップS10へ進み、満たしている場合は(ステップS14のYes)、処理を終了する。
以上の処理動作において、対応表の生成要求及び対応表の登録要求は、対応表生成装置1A(ないし1A’)の内部で発生してもよいし、外部の装置から与えられるようにしてもよい。例えば、送信先IDとの初期通信時や送信先IDのマッピング情報取得時などに、外部装置であるルータ又はサーバから要求が発生することも考えられる。また、ステップS14における処理の終了条件は、対応表生成装置1A(ないし1A’)の運用において任意に設定できる。例えば、対応表生成要求と対応表登録要求の両方がない場合のみ終了するとういう条件、又は、片方の要求がなくても終了するという条件が考えられる。
次に、本発明による対応表生成装置1Aによって生成された対応表を保持する対応表保持装置について図4を参照して説明する。図4は、本実施形態に係る通信システムにおける対応表保持装置2Aの構成を一例として示すブロック図である。図4の装置において、各構成要素で関係のある要素間を直線で結んで表示する。矢印線の方向は、本発明における特徴を説明するための、各構成要素間の詳細な制御や参照、情報の流れを示す。
対応表保持装置2Aは、対応表生成装置1Aなどの外部装置で生成された対応表の情報を受け取り、データベースに登録し、後述のマッピング変更通知装置などからの参照要求に対してデータベースの対応表の情報を応答する。すなわち、対応表生成装置1Aにおいて、対応表管理部11の対応表登録部112は、直接に送信元ロケータ対応表DB6に対応表情報を登録するのではなく、対応表保持装置2Aを介して対応表情報を登録する形態が考えられる。この場合、対応表生成装置1Aの機能は、対応表管理部11の対応表登録部112から外部接続インターフェース13を経て対応表情報を含むメッセージが送信されるように変更される。
対応表保持装置2Aは、対応表DB変更処理部21、対応表情報送受信部22、外部接続インターフェース23を含む。また、送信元ロケータ対応表DB6を外部に備えている。以下、対応表保持装置2Aの構成と動作について説明する。また、対応表の構成は送信元ロケータ対応表5Aに従い、対応表情報とは、送信元ロケータ対応表5Aを構成する情報の全てあるいは一部を示す。
対応表DB変更処理部21は、対応表DB変更部211及び対応表DB参照部212を含む。対応表DB変更処理部21は、外部から対応表情報を受け取りデータベースに登録する。また、外部からの対応表情報の参照を受け付け、データベースに保持している対応表情報を返す。対応表DB変更部211は、対応表情報送受信部22の対応表情報受信部221から対応表情報を受け取り、送信元ロケータ対応表DB6の対応表を変更する。対応表DB参照部212は、外部からの対応表の参照要求を受け付け、送信元ロケータ対応表DB6から該当する対応表情報を入手する。入手後、対応表情報送信部222に対して、入手した対応表情報を返信するように指示する。
対応表情報送受信部22は、対応表情報受信部221及び対応表情報送信部222を含む。対応表情報送受信部22は、対応表情報の送受信の処理を行う。対応表情報受信部221は、外部からの対応表情報を受信し、対応表保持装置2Aの扱うフォーマットに変換し、対応表DB変更部211に渡す。対応表情報送信部222は、対応表DB参照部212から受け取った対応表情報を外部への送信フォーマットに変換し、送信処理を行う。
外部接続インターフェース23は、外部端末との情報のやりとりを行うインターフェースである。
以上において、送信元ロケータ対応表DB6の対応表の変更とは、対応表への情報の追加、対応表からの情報の削除のいずれの動作をも示す。
以上の対応表保持装置2Aにおいて、送信元ロケータ対応表DB6を内部に備えた対応表保持装置2A’(非図示)も考えられる。対応表保持装置2A’の構成と動作は、送信元ロケータ対応表DB6を内部に備えていること以外は、対応表保持装置2Aと同一である。
次に、本発明による対応表保持装置2Aの動作について図5を参照して説明する。図5は、本実施形態に係る通信システムにおける対応表保持装置2Aの動作の一部を示すフローチャートの例である。
対応表保持装置2A(ないし2A’)は、外部装置より対応表情報を受信した場合(ステップS20のYes)、受信した情報を送信元ロケータ対応表DB6に登録する(ステップS21)。それ以外の場合には(ステップS20のNo)、対応表情報の参照要求を受け取ったか否かを判定する(ステップS22)。
対応表情報を受信した場合(ステップS20のYes)、対応表DB変更処理部21の対応表DB変更部211は、受け取った対応表情報に基づき送信元ロケータ対応表DB6の情報を変更する(ステップS21)。
対応表情報の参照要求を外部装置より受け取った場合(ステップS22のYes)、参照に対応する情報を入手する(ステップS23)。それ以外の場合には(ステップS22のNo)、処理を終了するか否かを判定する(ステップS25)。
対応表情報の参照要求を受け取った場合(ステップS22のYes)、対応表DB参照部212にて、参照対象の対応表情報を送信元ロケータ対応表DB6より入手する(ステップS23)。
対応表DB参照部212は、入手した対応表情報を対応表情報送受信部22の対応表情報送信部222へ渡し、対応表情報送信部222は、外部装置に対応表情報を送信する(ステップS24)。
処理の終了条件を満たしているか否かを判定し(ステップS25)、満たしていない場合には(ステップS25のNo)、ステップS20に進み、満たしている場合には(ステップS25のYes)、処理を終了する。
以上の処理において、ステップS25における処理の終了条件は、対応表生成装置2Aの運用において任意に設定することができる。例えば、対応表情報の受信と対応表情報の送信の両方がない場合のみ終了するという条件、片方の要求がなくても終了するという条件が考えられる。
次に、中継装置へマッピング変更通知を行う装置(マッピング変更通知装置)について図6を参照して説明する。図6は、本実施形態に係る通信システムにおけるマッピング変更通知装置3Aの構成を一例として示すブロック図である。図6の装置において、各構成要素で関係のある要素間を直線で結んで表示する。矢印線の方向は、本発明における特徴を説明するための、各構成要素間の詳細な制御や参照、情報の流れを示す。
マッピング変更通知装置3Aは、通信経路の最適化において、対応表保持装置2A(ないし2A’)又は対応表生成装置1A(ないし1A’)が備えている送信元ロケータ対応表DB6からマッピング変更通知の送信先ロケータ、すなわちマッピング変更通知先中継装置のロケータを得る。そして、入手したロケータの中継装置に、マッピングの変更を通知する。
マッピング変更通知装置3Aは、ロケータ情報取得部31とマッピング変更通知部32、パケット送受信部33、外部接続インターフェース34を含む。以下、マッピング変更通知装置3Aの構成と動作について説明する。
図6を参照すると、ロケータ情報取得部31は、該当ロケータ参照要求部311及び該当ロケータ情報取得部312を含む。ロケータ情報取得部31は、該当ロケータ参照要求部311にて参照対象のID(「参照対象ID」)と参照対象のIDへのメッセージ送信元ID(「参照対象送信元ID」)の組に対するロケータ情報を外部装置に要求し、該当ロケータ情報取得部312にて、外部装置より参照対象IDと参照対象送信元IDの組に対するロケータ情報(「該当ロケータ情報」)を受け取る。
ここで、「参照対象ID」とは、端末やIDの移動によってロケータが切り替わったために、マッピングの変更が必要となるIDのことである。また、「参照対象送信元ID」とは、参照対象IDと通信を行っている送信元のIDである。
該当ロケータ参照要求部311は、パケット送受信部33のパケット送信部332へ参照対象IDと参照対象送信元IDとの組に対応するロケータ情報を要求するメッセージの送信を指示する。該当ロケータ情報取得部312は、パケット受信部331から該当ロケータ情報を含むメッセージを受け取り、参照対象IDと参照対象送信元IDの組に対する該当ロケータ情報を入手する。そして、マッピング変更通知部32に対して該当ロケータ宛のマッピング変更メッセージの生成を指示する。
図6を参照すると、マッピング変更通知部32は、変更通知メッセージ生成部321を含む。変更通知メッセージ生成部321は、ロケータ情報取得部31の該当ロケータ情報取得部312より受け取った該当ロケータ情報及び参照対象IDの情報から、マッピングの変更通知メッセージを生成する。該当ロケータ宛のマッピング変更通知メッセージを生成し、マッピング変更対象のID(「マッピング変更ID」)として参照対象IDを含める。また、マッピング変更IDの新たなロケータ情報として、参照対象IDの移動先のロケータ情報を含める。
マッピング変更通知メッセージのフォーマットは、例えば、図20のマッピング変更通知メッセージ4Aに従う。すなわち、該当ロケータは送信先ロケータ(D−loc)41に、参照対象IDはマッピング変更ID43に、参照対象IDの移動先のロケータ情報は対応ロケータ群44に与えられる。また、送信元ロケータ(S−loc)42は、基本的にはマッピング変更通知装置3Aの持つロケータが入るが、ロケータID分離ネットワークのプロトコルによっては参照対象IDの移動先の装置のロケータなどの他のロケータ情報が入るかもしれない。また、変更通知メッセージ生成部321は、生成したマッピング変更通知メッセージを、パケット送受信部33のパケット送信部332に渡す。
図6を参照すると、パケット送受信部33は、パケット受信部331及びパケット送信部332を含む。パケット受信部331は、外部接続インターフェース34を経由してパケットを受信し、ロケータ情報取得部31の該当ロケータ情報取得部312へ該当ロケータ情報を含むメッセージを渡す。パケット送信部332は、該当ロケータ参照要求部311から受け取った参照対象IDと参照対象送信元IDとの組に対応する該当ロケータを要求する内容を含むメッセージを、対応表を持つ外部装置(対応表保持装置2A、2A’や対応表生成装置1A、1A’)に送信する。また、マッピング変更通知部32の変更通知メッセージ生成部321からマッピング変更通知メッセージのパケットを受け取り、外部接続インターフェース34を経由して外部の中継装置にパケットを送信する。
外部接続インターフェース34は、外部端末とのパケットの送受信を行うためのインターフェースである。
次に、本発明によるマッピング変更通知装置3Aの処理動作について図7を参照して説明する。図7は、本発明によるマッピング変更通知装置3Aの動作の一部を示すフローチャートの一例である。
マッピング変更通知装置3Aは、参照対象IDに対するロケータの参照要求が発生した場合(ステップS30のYes)、該当ロケータの参照要求メッセージを送信する(ステップS31)。参照要求発生していない場合(ステップS30のNo)、いずれかの参照対象IDと参照対象送信元IDに対する該当ロケータを含むメッセージを受信しているか否かを判定する(ステップS32)。
ロケータ情報取得部31の該当ロケータ参照要求部311は、参照対象IDと参照対象送信元IDに対するロケータを参照する要求のメッセージを生成し、パケット送受信部33のパケット送信部332に送信を指示する。パケット送信部332は、メッセージを対応表保持装置2A(ないし2A’)又は対応表生成装置1A(ないし1A’)の外部装置に送信する(ステップS31)。
マッピング変更通知装置3Aは、過去に参照要求を出した参照対象IDと参照対象送信元IDに対するロケータ情報を含んだ応答メッセージを受信した場合(ステップS32のYes)、該当ロケータ情報取得部312にてメッセージの情報を取得し、マッピング変更メッセージを生成する(ステップS33)。受信していない場合(ステップS32のNo)、処理の終了条件を満たしているか否かを判定する(ステップS35)。
マッピング変更通知部32の変更通知メッセージ生成部321は、受信したメッセージに含まれる該当ロケータ宛のマッピング変更通知メッセージを生成する(ステップS33)。メッセージは、少なくとも、該当ロケータを送信先ロケータ(D−loc)41、該当ロケータの参照対象IDをマッピング変更ID43、参照対象IDの移動先のロケータ情報を対応ロケータ群44として生成される。
変更通知メッセージ生成部321からの指示にしたがい、パケット送信部332は生成されたマッピング変更通知メッセージを送信する(ステップS34)。
処理の終了条件を満たしているか否かを判定し(ステップS35)、満たしていない場合には(ステップS35のNo)、ステップS30に進み、満たしている場合には(ステップS35のYes)、処理を終了する。
以上の処理において、ステップS35における処理の終了条件は、対応表生成装置3Aの運用において任意に設定できる。例えば、該当ロケータ情報を含むメッセージの受信と参照要求メッセージの送信の両方がない場合のみ終了するという条件、前記の送信及び受信の処理の片方がなくても終了するという条件が考えられる。
次に、本発明による対応表生成装置1A(ないし1A’)から対応表保持装置2A(ないし2A’)に送信される場合、対応表生成装置1A(ないし1A’)又は対応表保持装置2A(ないし2A’)からマッピング変更通知装置3Aに送信される場合、マッピング変更通知装置3Aから対応表生成装置1A(ないし1A’)又は対応表保持装置2A(ないし2A’)に送信される場合において、本発明において一般的に用いられる対応表情報を含む対応表情報メッセージ7Aの構成を、図8を参照して説明する。図8は、本発明による対応表情報メッセージ7Aのフォーマットを一例として示す。
対応表情報メッセージ7Aは、メッセージタイプ71、送信先ID72、送信元ID73及び送信元ロケータ群74を含む。
メッセージタイプ71は、このメッセージがどの装置からどの装置へのメッセージであるか、メッセージが対応表情報の要求であるか対応表情報の応答であるか、対応表情報の登録であるかなどを識別するために用いられる。メッセージタイプには、これらを識別するための値が入る。例えば、対応表情報の登録を行うメッセージである対応表生成装置1A(ないし1A’)から対応表保持装置2A(ないし2A’)へのメッセージをタイプ1とし、対応表情報の要求を行うメッセージであるマッピング変更通知装置3Aから対応表生成装置1A(ないし1A’)又は対応表保持装置2A(ないし2A’)へのメッセージをタイプ2とし、対応表情報の応答を行うメッセージである対応表生成装置1A(ないし1A’)又は対応表保持装置2A(ないし2A’)からマッピング変更通知装置3Aへのメッセージをタイプ3とすることによって、メッセージの種類を識別する。
送信先ID72は、送信元ID73からのパケットの送信先IDであり、送信元ロケータ対応表5Aにおいては送信先IDを示す。送信元ID73は、送信先ID72へパケットを送信する送信元IDであり、送信元ロケータ対応表5Aにおいては送信元IDを示す。送信元ロケータ群74は、送信元ID73が送信先ID72への通信を行う際に用いる送信元ロケータ、すなわち送信元ロケータの集合であり、送信元ロケータ対応表5Aにおいては送信元ロケータを示す。
上記例におけるメッセージタイプの識別によると、タイプ1のメッセージには、送信先ID72、送信元ID73、送信元ロケータ群74の全ての情報が含まれる。すなわち、送信元ID側のネットワークにおいて、送信元ID73から送信先ID72への通信においてどの送信元ロケータ群74を用いるかを登録するメッセージとなる。
また、タイプ2のメッセージには、少なくとも送信先ID72、送信元ID73の情報が含まれる。送信先ID72には前述の参照対象IDの値が入り、送信元ID73には前述の参照対象送信元IDが入る。すなわち、マッピングの変更が必要となった参照対象IDと通信を行っている参照対象送信元IDの送信元ロケータを要求するメッセージとなる。
また、タイプ3のメッセージには、送信先ID72、送信元ID73、送信元ロケータ群74の全ての情報が含まれる。タイプ2と同様に、送信先ID72には前述の参照対象IDの値が入り、送信元ID73には前述の参照対象送信元IDが入る。異なる点は、参照対象送信元IDから参照対象IDへの通信における送信元ロケータの値が、送信元ロケータ群74に含まれていることである。すなわち、参照対象送信元IDから参照対象IDへの通信においてどの送信元ロケータを用いているかを応答するメッセージとなる。
次に、図9を参照して、対応表情報生成装置1A(ないし1A’)と対応表保持装置2A(ないし2A’)による対応表の登録について、対応表保持装置2A(ないし2A’)とマッピング変更通知装置3Aによる対応表の要求と応答について、マッピング変更通知装置3Aによる通信経路最適化について説明する。図9では、ロケータloc−aの中継装置が対応表情報生成装置1Aの機能を備えるとし、またロケータloc−bの中継装置がマッピング変更通知装置3Aの機能を備えるとする。また、対応表保持装置として対応表保持装置2Aを用いるものの、対応表保持装置は対応表保持装置2A’であってもよい。
ロケータloc−aの中継装置1Aは、自身のネットワークのポリシより、ID ID−1からID ID−2宛てのパケットの送信元ロケータとしてロケータloc−aを用いるため、メッセージタイプ71に登録の識別子を与え、送信先ID72をID ID−2、送信元ID73をID ID−1、送信元ロケータ群74をロケータloc−aとした対応表情報メッセージ701を対応表情報装置2Aに送信する。
登録タイプの対応表メッセージ701を受け取った対応表情報装置2Aは、受け取った情報から送信元ロケータ対応表DB6を変更する。
ロケータloc−bの中継装置3Aは、自身のネットワークからID ID−2の端末がロケータloc−cのネットワークへ移動したために、ID ID−2のマッピング情報が「ID ID−2はロケータloc−b」から「ID ID−2はロケータloc−c」へと変わったことを知る。ここで、ロケータloc−bの中継装置はロケータloc−cの中継装置よりID ID−2の移動を知らされるなどして、マッピング情報の変更をID ID−2の移動前のネットワークのロケータloc−bの中継装置及び移動後のロケータloc−cの中継装置間で共有することが考えられる。このとき、ロケータloc−bの中継装置は、ID ID−2の端末と通信を行っているID ID−1の端末との通信経路の最適化を行うために、マッピング変更通知メッセージの送信先を調べる。ロケータloc−bの中継装置は、マッピング変更通知メッセージの送信先を調べるために、メッセージタイプに要求の識別子を与え、送信先ID72をID ID−2、送信元ID73をID ID−1とした対応表情報メッセージ702を対応表情報装置2Aへ送信する。
ロケータloc−bの中継装置より、要求タイプの対応表情報メッセージ702を受け取った対応表情報装置2Aは、送信元ロケータ対応表DB6から、送信元IDがID ID−1であり、送信先IDがID ID−2である場合の送信元ロケータであるロケータloc−aを入手する。そして、メッセージタイプに応答の識別子を与え、送信先ID72をID ID−2、送信元ID73をID ID−1、送信元ロケータ群74をロケータloc−aとした対応表情報メッセージ703をロケータloc−bの中継装置に送信する。
対応表情報装置2Aからマッピング変更通知メッセージの送信先を得たマッピング変更通知装置3Aは、送信先ロケータ(D−loc)41を送信元ロケータであるロケータloc−aとし、送信元ロケータ(S−loc)42を自身のロケータであるロケータloc−bとし、マッピング変更ID43を移動した端末のID ID−2とし、対応ロケータ44をIDの移動先のロケータであるロケータloc−cとした、マッピング変更通知メッセージ401を生成し、ロケータloc−aの中継装置へ送信する。
マッピング変更通知メッセージ401を受け取ったロケータloc−aの中継装置は、ID ID−2のマッピング情報を「ID ID−2はロケータloc−b」から「ID ID−2はロケータloc−c」に変更し、以降ID ID−1からID ID−2宛てのパケットの送信先ロケータをロケータloc−cとして送信する。このとき、通信は図中の線91のような通信経路にて行われる。一方で、ID ID−2からID ID−1宛てのパケットは、図中の線92の通信経路で行われる。
上記の通り、ルータやサーバなどの中継装置、または本発明のためのサーバなどの装置が、送信元IDと送信先IDに対する送信元ロケータの対応表を生成し、かつ対応表を保持することで、エンド端末やIDの移動によって移動IDの対応するロケータ情報が変更された場合に、通信の最適化を行うためにマッピングの変更を通知するにあたって、保持された対応表から適切なマッピングの変更通知先である送信元ロケータを知ることができきる。したがって、マッピングの変更通知をおこなう中継装置が、通信の最適化において、適切な中継装置にマッピング変更通知メッセージを送信することができる。
本実施形態の通信シスステムによると、ロケータID分離ネットワークにおいて、エンド端末やIDの移動に伴う通信経路の最適化をスケーラブルかつ効率的に行うことができる。また、対応表を生成する側のネットワークにおいて、希望する送信元ロケータに対してマッピング変更通知メッセージを送信させることができる。したがって、ロケータID分離ネットワークにおけるエンド端末やIDの移動した場合に、マッピング変更通知を受ける側のネットワークのポリシを考慮しつつ、通信の遅延を削減し、広帯域な通信帯域を確保し(通信帯域を有効活用し)、通信セッションの接続を継続することができる。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る通信システムについて、図面を参照して説明する。第2の実施形態に係る通信システムにおいては、対応表を保持する対応表保持装置が複数存在し、対応表保持装置間で対応表を分散保持する。すなわち、本実施形態の通信システムでは、対応表を生成する対応表生成装置によって生成された対応表を、複数の対応表保持装置が分散して保持する。以下では、対応表保持装置の構成及び動作について述べる。
はじめに、本発明による対応表生成装置1Aによって生成された対応表を保持する対応表保持装置について図10を参照して説明する。図10は、本実施形態に係る通信システムにおける対応表保持装置2Bの構成を一例として示すブロック図である。図10の装置において、各構成要素で関係のある要素間を直線で結んで表示する。矢印線の方向は、本発明における特徴を説明するための、各構成要素間の詳細な制御や参照、情報の流れを示す。
対応表保持装置2Bは、対応表生成装置1Aなどの外部装置で生成された対応表の情報を受け取り、対応表保持装置2B間で分散してデータベースに登録し、後述のマッピング変更通知装置などからの参照要求に対してデータベースの対応表の情報を対応表保持装置間で検索し、応答する。対応表保持装置2Bは、対応表保持装置2Aの構成に加え、対応表DB構成処理部24を含む。また、対応表保持装置2Aの各部において機能の追加と変更が加えられる。以下、対応表保持装置2Bの構成と動作について説明する。
対応表DB変更処理部21は、対応表DB変更部211と、対応表保持装置2Aにおける対応表参照部212の代わりとして対応表DB検索部213を含む。対応表DB変更処理部21は、外部から対応表情報を受け取りデータベースに登録する。また、外部からの対応表情報の参照を受け付け、データベースに保持している対応表情報を検索し、返す。対応表DB変更部211は、基本的に対応表保持装置2Aの機能と同じである。対応表DB検索部213は、マッピング変更通知装置などの外部装置からの対応表参照の要求に対して、対応表DB構成処理部24からのデータベースの構成情報を参考に、自分の管理する送信元ロケータ対応表DB6も含めて、どのデータベースに要求された情報が存在するか検索し、最終的に入手した対応表情報を外部装置に送信する。
対応表DB構成処理部24は、対応表DB構成計算部241、対応表DBポリシ管理部242を含む。対応表DB構成処理部24は、運用及び構成ポリシ(構成方式など)にしたがって複数のデータベースで対応表情報を分散して保持する。対応表DB構成計算部241は、対応表DBポリシ管理部242より与えられる構成方式などの運用及び構成ポリシにしたがって、実際に複数のデータベース間で対応表情報をどのように保持するかを計算する。また、計算した結果を対応表DB変更処理部21の対応表DB変更部211に通知し、自対応表保持装置2Bの管理する送信元ロケータ対応表DB6の情報を変更し、新たに他の対応表保持装置2Bの送信元ロケータ対応表DB6に変更に関する対応表情報を保持するように、変更に関する対応表情報を送信させる。対応表DBポリシ管理部242は、構成方式などの運用及び構成ポリシを管理し、必要に応じて対応表DB構成計算部241にポリシ情報を渡す。これらのポリシ情報は、外部より与えられてもよいし、運用者の指示によって対応表DBポリシ管理部242の保持及び管理するポリシを変更するようにしてもよい。
上の対応表保持装置2Bにおいて、送信元ロケータ対応表DB6を内部に備えた対応表保持装置2B’(非図示)も考えられる。対応表保持装置2B’の構成と動作は、送信元ロケータ対応表DB6を内部に備えること以外、対応表保持装置2Bと同一である。
次に、本発明による対応表保持装置2B’(ないし2B’)の動作について図11、図12を参照して説明する。図11、図12は、本発明による対応表保持装置2B(ないし2B’)の動作の一部を示すフローチャートの例であり、基本的に並列動作する。
はじめに、図11について説明する。図11は、対応表保持装置2B(ないし2B’)の対応表情報の登録処理方法及び対応表情報の検索処理方法を示している。
対応表保持装置2B(ないし2B’)は、外部装置から対応表情報を受信した場合(ステップS40のYes)、受信した情報を送信元ロケータ対応表DB6に登録する(ステップS41)。それ以外の場合には(ステップS40のNo)、対応表情報の参照要求を受け取ったか否かを判定する(ステップS42)。
対応表情報を受信した場合(ステップS40のYes)、対応表DB変更処理部21の対応表DB変更部211は、受け取った対応表情報に基づいて送信元ロケータ対応表DB6の情報を変更する(ステップS41)。
対応表情報の参照要求を外部装置より受け取った場合(ステップS42のYes)、参照に対応する情報を入手する(ステップS43)。それ以外の場合には(ステップS42のNo)、処理を終了するか否かを判定する(ステップS47)。
対応表情報の参照要求を受け取った場合(ステップS42のYes)、対応表DB構成処理部24の対応表DB構成計算部241により計算されたデータベースの構成情報及び送信元ロケータ対応表DB6の情報より、参照要求された情報を入手するためのアクセス先を得る(ステップS43)。アクセス先は、対応表保持装置2B(ないし2B’)、2A(ないし2A’)、対応表生成装置1A(ないし1A’)、又は送信元ロケータ対応表DB6などである。
対応表DB検索部213は、参照要求された情報を入手するためのアクセス先が自分の管理する送信元ロケータ対応表DB6である場合には(ステップS44のYes)、情報を入手する(ステップS45)。アクセス先が他の装置である場合には(ステップS44のNo)、新たに対応表の参照要求を送信する(ステップS46)。
対応表DB検索部213は、自分の管理する送信元ロケータ対応表DB6から参照要求された情報を入手し、入手した対応表情報を対応表情報送受信部22の対応表情報送信部222に渡し、対応表情報送信部222は、外部装置に対応表情報を送信する(ステップS45)。
対応表DB検索部213は、他の装置に対して改めて参照要求を送信するために、対応表情報の参照要求メッセージ(例えば要求タイプの対応表情報メッセージ)を生成し、アクセス先の装置に対して生成したメッセージを送信する(ステップS46)。
処理の終了条件を満たしているか否かを判定し(ステップS47)、満たしていない場合には(ステップS47のNo)、ステップS40に進み、満たしている場合には(ステップS47のYes)、処理を終了する。
以上の処理において、ステップS47における処理の終了条件は、対応表生成装置2B及び2B’の運用において任意に設定できる。例えば、対応表情報の受信と対応表情報の送信の両方がない場合のみ終了するという条件、片方の要求がなくても終了するという条件が考えられる。
次に、図12について説明する。図12は、対応表保持装置2B(ないし2B’)の対応表情報の分散配置を行う処理方法を示している。
対応表保持装置2B(ないし2B’)は、データベースへの対応表の分散配置の構成要求が発生した場合(ステップS50のYes)、対応表を各データベースで分散配置する(ステップS51)。要求が発生していない場合(ステップS50のNo)、処理を終了する。
対応表DB構成処理部24の対応表DB構成計算部241は、対応表DB構成ポリシ管理部242から構成方式の運用及び構成ポリシを受け取り、送信元ロケータ対応表DB6より現状の自身のデータベースの対応表情報を得る(ステップS51)。
ステップS51で入手した情報より、構成方式の手段にしたがって、自身の送信元ロケータ対応表DB6で保持するべき対応表情報や他の装置にて保持するべき対応表情報などを計算し、実際の対応表情報の分散配置を計算する(ステップS52)。
ステップS52で計算した結果に基づいて、自身が管理する送信元ロケータ対応表DB6の対応表情報を変更する(ステップS53)。
ステップS52で計算した結果及びステップS53で変更した対応表情報に基づいて、他の装置にて保持する対応表情報の対応表情報メッセージ(登録タイプ)を生成、送信を行い他の装置へ対応表情報の変更を指示する(ステップS54)。
以上のように、対応表保持装置2B(ないし2B’)を中心に、各装置に対応表を分散配置する。分散配置は、対応表保持装置2B(ないし2B’)のみで実現してもよく、対応表保持装置2A(ないし2A’)、対応表生成装置1A(ないし1A’)、送信元ロケータ対応表DB6との組み合わせによって実現してもよい。すなわち、少なくとも1台の対応表保持装置2B(ないし2B’)が存在すれば対応表の分散配置が可能となる。また、分散配置の方法は、例えばDHTなどのようにP2P的に対応表保持装置2B(ないし2B’)がお互いに自律する中で配置情報をやりとりする方法も可能であり、DNSなどのように対応表保持装置2B(ないし2B’)を階層化配置することで対応表の分散配置をする方法も可能である。また、一部の対応表保持装置2B(ないし2B’)が中心となり、対応表の分散配置を計算し、他の装置に対応表の保持を指示するような集中型の方法も可能である。これらの方法のいずれかを選択するかは、対応表の分散配置の運用ポリシに従うため、対応表保持装置2B(ないし2B’)の対応表DB構成処理部24の対応表DB構成ポリシ管理部242に与えられる。
また、対応表保持装置2B(ないし2B’)によって構成される対応表情報の分散配置システムの外側から見た、対応表生成装置1A(ないし1A’)からの対応表情報登録や、マッピング変更通知装置3Aからの対応表情報要求及び同装置への対応表情報応答などの一連の動作は図9に示すものと同様である。すなわち、図9においては、対応表保持装置2Aが対応表保持装置2B(ないし2B’)によって構成される分散配置システムに置き換わるだけであり、ロケータloc−aの対応表生成装置1Aやロケータloc−bのマッピング変更通知装置3Aからみた701、702、703などのメッセージの処理方法は同じである。
本実施形態に係る通信システムによると、ルータやサーバなどの中継装置、または本発明のためのサーバなどの装置が、送信元IDと送信先IDに対する送信元ロケータの対応表を生成し、かつ生成した対応表を複数の装置間で分散して保持することで、膨大な情報になりえる対応表の情報を効率よくスケーラブルに保持することができる。すなわち、インターネットなどの巨大なネットワークに本発明を適応するためのスケーラビリティを実現するため、巨大なネットワークにおいて、エンド端末やIDの移動によって移動IDの対応するロケータ情報が変更された場合に、通信経路の最適化を行うためにマッピングの変更を通知するにあたって、保持された対応表から適切なマッピングの変更通知先である送信元ロケータを知ることができる。したがって、マッピングの変更通知をおこなう中継装置が通信の最適化にとって適切な中継装置にマッピング変更通知メッセージを送信することができる。
本実施形態に係る通信システムによると、ロケータID分離ネットワークにおいて、エンド端末やIDの移動に伴う通信経路の最適化をスケーラブルに効率的に行うことを実現することができる。また、巨大なネットワークを実現する通信事業者が自身のネットワークを運用管理する上で、希望する送信元ロケータに対してマッピング変更通知メッセージを送信させることができる。したがって、ロケータID分離ネットワークにおけるエンド端末やIDの移動した場合に、マッピング変更通知を受ける側のネットワークのポリシを考慮しつつ、通信の遅延を削減し、広帯域な通信帯域を確保し(通信帯域を有効活用し)、通信セッションの接続を継続することができる。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る通信システムについて、図面を参照して説明する。第3の実施形態に係る通信システムにおいては、対応表保持装置2A、2A’、2B、2B’の機能を中継装置が備えている。本実施形態においては、対応表保持装置の機能を中継装置が備えることで、マッピング変更通知装置が、中継装置とのやり取りのみで適切なマッピング変更通知先にマッピング変更通知を送信することができる。
中継装置が対応表保持装置の機能を備えるネットワーク例を図13に示す。図13を参照すると、対応表生成装置1Aの機能を備えたロケータloc−aの中継装置が、対応表保持装置2Aの機能を備えたロケータloc−dの中継装置に対して対応表情報を保持させ、マッピング変更通知装置3Aの機能を備えたロケータloc−bの中継装置がロケータloc−dの中継装置に対して対応表情報の参照要求を行い、応答をもらう様子を示している。
ロケータloc−aの中継装置は、送信元IDがID ID−1、送信先IDがID ID−2の送信元ロケータloc−aを表す対応表情報をロケータloc−dの中継装置に対して登録するように、登録タイプの対応表情報メッセージを送信(図13の704)し、ロケータloc−dの中継装置は受け取った対応表情報を保持する。このとき、ロケータloc−aの中継装置は、他のネットワークに対してID ID−1のマッピング情報を「ID ID−1はロケータloc−a、loc−dであり、ロケータloc−dを優先する」として広告していることを知っているとする。すなわち、ロケータloc−aの中継装置は、送信元IDがID ID−1である対応表の情報を、ID ID−1の対応ロケータとしてマッピング情報を広告しているロケータloc−dの中継装置に対して登録するように指示する。
ロケータloc−bの中継装置は、ID ID−2の移動に関してID ID−1との通信経路を最適化する場合、自身が保持するマッピング情報82を参考にロケータloc−dの中継装置に対して、マッピング変更通知メッセージの送信先を求める要求タイプの対応表情報メッセージを送信する(図13の705)。
ロケータloc−dの中継装置は、要求に対して、保持している対応表情報から、該当するロケータである送信元ロケータloc−aの情報を含む応答タイプの対応表情報メッセージをロケータloc−bの中継装置に送信する(図13の706)。
ID ID−1の送信元ロケータ情報を得たロケータloc−bの中継装置は、ロケータloc−aの中継装置に対してマッピング変更通知メッセージを送信する(図13の401)。
マッピング変更通知メッセージを受信したロケータloc−aの中継装置は、ID ID−2に関するマッピング情報を「ID ID−2はロケータloc−b」から「ID ID−2はロケータloc−c」に変更する。
以上の通信動作において、704のメッセージに含まれる対応表情報は図9の701のメッセージと同一であり、705のメッセージに含まれる対応表情報は図9の702のメッセージと同一であり、706のメッセージに含まれる対応表情報は図9の703のメッセージと同一である。異なる点は、メッセージの送信先及び送信元である。また、ロケータloc−dの中継装置は、中継装置2B(ないし2B’)を中心に構成される対応表の分散保持システムの中の一装置であってもよい。
以上の通信動作例において、ロケータloc−dの中継装置が、ロケータloc−bの中継装置より要求タイプの対応表情報メッセージ705ではなく、マッピング変更通知メッセージを受け取った場合、マッピング変更通知メッセージの情報より対応表情報を検索及び参照し、入手した対応表情報を用いて適切なマッピング変更通知メッセージの送信先中継措置であるロケータloc−aの中継装置にマッピング変更メッセージを転送するようにしてもよい。すなわち、送信先ロケータ(D−loc)41をロケータloc−d、送信元ロケータ(S−loc)42をロケータloc−b、マッピング変更ID43をID ID−2、対応ロケータ44をロケータloc−cとしたマッピング変更通知メッセージを受け取った場合、対応表から送信先IDがID ID−2であるあらゆる送信元IDとの組み合わせに対応するロケータを入手し、送信先ロケータ(D−loc)41を入手したロケータに、変更した同マッピング変更通知メッセージを送信する。このとき、ロケータloc−aの中継装置に対してマッピング変更通知メッセージが転送される。
この場合、送信先ID ID−2を持つあらゆる送信元IDとの組み合わせに対応するロケータにマッピング変更通知メッセージを転送するため、ID ID−1に関する送信元ロケータの中継装置にのみ送信することはできない。一方、ロケータloc−dの中継装置が、ロケータloc−bの中継装置から、マッピング変更通知メッセージに加えて要求タイプの対応表情報メッセージ705も受信した場合、マッピング変更通知メッセージの情報より、マッピングの変更が生じたID(ID ID−2)と変更後のロケータ情報(ロケータloc−c)が分かり、対応表情報メッセージ705よりマッピング変更通知メッセージの対象となる送信元ID(ID ID−1)の情報が分かる。したがって、ロケータloc−dの保持する対応表情報より、ロケータloc−dの中継装置が直接にロケータloc−aの中継装置にマッピングの変更通知を行うことができる。
上記の通り、ルータやサーバなどの中継装置が本発明による対応表を保持することで、マッピング変更通知装置は、中継装置とのみメッセージのやりとりをすることで適切なマッピング変更通知メッセージの送信先を得ることができる。また、対応表を登録する中継装置をネットワークに広告しているマッピング情報と対応した中継装置にすることで、マッピング変更通知メッセージが自身のマッピング情報をもとに対応表情報から適切なマッピング変更通知メッセージの送信先を得ることができる。
本実施形態に係る通信システムによると、ロケータID分離ネットワークにおけるマッピング情報が非対称なネットワークにおいても、エンド端末やIDの移動に伴う通信経路の最適化をスケーラブルに効率的に行うことを実現することができる。また、本実施形態に係る通信システムによると、対応表を生成する側のネットワークにおいて希望する送信元ロケータに対して、マッピング変更通知メッセージを送信させることができる。したがって、ロケータID分離ネットワークにおけるエンド端末やIDの移動した場合に、マッピング変更通知を受ける側のネットワークのポリシを考慮しつつ、通信の遅延を削減し、広帯域な通信帯域を確保し(通信帯域を有効活用し)、通信セッションの接続を継続することができる。
以上の記載は実施形態に基づいて行ったが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更を加えることができる。