JP5516461B2 - 可変圧縮比機構を備える内燃機関 - Google Patents

可変圧縮比機構を備える内燃機関 Download PDF

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Description

本発明は、可変圧縮比機構を備える内燃機関に関する。
圧縮上死点の燃焼室容積を変化させることにより機械圧縮比を可変とする可変圧縮比機構を備える内燃機関が公知である。ところで、機関減速時には、一般的に、燃料消費を低減すると共に大きなエンジンブレーキ力を発生させるために、燃料を供給せずに気筒内での燃焼を中断するフューエルカットが実施される。フューエルカットによって機関回転数は徐々に低下し、復帰回転数となると、燃料が供給されて気筒内での燃焼が再開される。フューエルカットの復帰回転数は低くするほど燃料消費の低減に有利であるが、復帰回転数を過剰に低くすると、燃焼を再開させても機関停止してしまうことがある。
可変圧縮比機構を備える内燃機関において、機械圧縮比に伴い可変となる実圧縮比が高いほど発生トルクが高くなってフューエルカットからの復帰時に機関停止し難くなるために、フューエルカットの復帰回転数をフューエルカット時の実圧縮比が高いほど低くすることが提案されている(特許文献1参照)。
特開2005−030223 特開2004−239147 特開2007−107512 特開2010−255585
実圧縮比を高めるとノッキングが発生し易くなるために実圧縮比は一定とし、圧縮上死点の燃焼室容積を変化させて機械圧縮比に伴って膨張比を可変として熱効率を改善する内燃機関の場合には、前述の考え方が適用されても、実圧縮比は一定であるためにフューエルカットの復帰回転数は一定となり、フューエルカットによる燃料消費をさらに低減することはできない。
従って、本発明の目的は、可変圧縮比機構により機械圧縮比を可変として実圧縮比は一定とする可変圧縮比機構を備える内燃機関において、フューエルカットによる燃料消費をさらに低減可能とすることである。
本発明による請求項1に記載の可変圧縮比機構を備える内燃機関は、可変圧縮比機構により機械圧縮比を可変として実圧縮比は一定とする可変圧縮比機構を備える内燃機関において、フューエルカット時の前記機械圧縮比が低いほど、フューエルカットの復帰回転数は低くされることを特徴とする。
本発明による請求項2に記載の可変圧縮比機構を備える内燃機関は、請求項1に記載の可変圧縮比機構を備える内燃機関において、フューエルカットの復帰時の復帰燃焼空燃比は理論空燃比よりリッチにされ、フューエルカット時の前記機械圧縮比が低いほど、前記復帰燃焼空燃比は小さくされることを特徴とする。
本発明による請求項1に記載の可変圧縮比機構を備える内燃機関によれば、可変圧縮比機構により機械圧縮比を可変として実圧縮比は一定とする可変圧縮比機構を備える内燃機関において、フューエルカット時の機械圧縮比が低いほど、実圧縮比は一定のために、気筒内の吸気量は多くなり、フューエルカットの復帰時に発生トルクが高くなる。それにより、フューエルカット時の機械圧縮比が低いほど、フューエルカットの復帰回転数は低くされるが、機関停止することはなく、フューエルカットによる燃料消費は、復帰回転数を低くした分だけ低減させることができる。
本発明による請求項2に記載の可変圧縮比機構を備える内燃機関によれば、請求項1に記載の可変圧縮比機構を備える内燃機関において、フューエルカットの復帰時の復帰燃焼空燃比は理論空燃比よりリッチにされ、フューエルカット時の機械圧縮比が低いほど、実圧縮比は一定のために、気筒内の吸気量は多くなり、フューエルカットの復帰時に燃焼温度が高くなってNOX生成量が増大し易くなる。それにより、フューエルカット時の機械圧縮比が低いほど、復帰燃焼空燃比は小さくされ、燃焼温度を低下させてNOX生成量の増大を抑制する。
内燃機関の全体図である。 可変圧縮比機構の分解斜視図である。 図解的に表した内燃機関の側面断面図である。 可変バルブタイミング機構を示す図である。 吸気弁および排気弁のリフト量を示す図である。 機械圧縮比、実圧縮比および膨張比を説明するための図である。 理論熱効率と膨張比との関係を示す図である。 通常のサイクルおよび超高膨張比サイクルを説明するための図である。 機関負荷に応じた機械圧縮比等の変化を示す図である。 フューエルカット制御のためのフローチャートである。 フューエルカットの復帰回転数を決定するためのマップである。 フューエルカットの復帰燃焼空燃比を決定するためのマップである。
図1は本発明による可変圧縮比機構を備える内燃機関の側面断面図を示す。図1を参照すると、1はクランクケース、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4はピストン、5は燃焼室、6は燃焼室5の頂面中央部に配置された点火栓、7は吸気弁、8は吸気ポート、9は排気弁、10は排気ポートを夫々示す。吸気ポート8は吸気枝管11を介してサージタンク12に連結され、各吸気枝管11には夫々対応する吸気ポート8内に向けて燃料を噴射するための燃料噴射弁13が配置される。なお、燃料噴射弁13は各吸気枝管11に取付ける代りに各燃焼室5内に配置してもよい。
サージタンク12は吸気ダクト14を介してエアクリーナ15に連結され、吸気ダクト14内にはアクチュエータ16によって駆動されるスロットル弁17と例えば熱線を用いた吸入空気量検出器18とが配置される。一方、排気ポート10は排気マニホルド19を介して例えば三元触媒を内蔵した触媒装置20に連結され、排気マニホルド19内には空燃比センサ21が配置される。
一方、図1に示される実施例ではクランクケース1とシリンダブロック2との連結部にクランクケース1とシリンダブロック2のシリンダ軸線方向の相対位置を変化させることによりピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積を変更可能な可変圧縮比機構Aが設けられており、更に実際の圧縮作用の開始時期を変更可能な実圧縮作用開始時期変更機構Bが設けられている。なお、図1に示される実施例ではこの実圧縮作用開始時期変更機構Bは吸気弁7の閉弁時期を制御可能な可変バルブタイミング機構からなる。
図1に示されるようにクランクケース1とシリンダブロック2にはクランクケース1とシリンダブロック2間の相対位置関係を検出するための相対位置センサ22が取付けられており、この相対位置センサ22からはクランクケース1とシリンダブロック2との間隔の変化を示す出力信号が出力される。また、可変バルブタイミング機構Bには吸気弁7の閉弁時期を示す出力信号を発生するバルブタイミングセンサ23が取付けられており、スロットル弁駆動用のアクチュエータ16にはスロットル弁開度を示す出力信号を発生するスロットル開度センサ24が取付けられている。
電子制御ユニット30はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス31によって互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)32、RAM(ランダムアクセスメモリ)33、CPU(マイクロプロセッサ)34、入力ポート35および出力ポート36を具備する。吸入空気量検出器18、空燃比センサ21、相対位置センサ22、バルブタイミングセンサ23およびスロットル開度センサ24の出力信号は夫々対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。また、アクセルペダル40にはアクセルペダル40の踏込み量Lに比例した出力電圧を発生する負荷センサ41が接続され、負荷センサ41の出力電圧は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。更に入力ポート35にはクランクシャフトが例えば30°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ42が接続される。一方、出力ポート36は対応する駆動回路38を介して点火栓6、燃料噴射弁13、スロットル弁駆動用アクチュエータ16、可変圧縮比機構Aおよび可変バルブタイミング機構Bに接続される。
図2は図1に示す可変圧縮比機構Aの分解斜視図を示しており、図3は図解的に表した内燃機関の側面断面図を示している。図2を参照すると、シリンダブロック2の両側壁の下方には互いに間隔を隔てた複数個の突出部50が形成されており、各突出部50内には夫々断面円形のカム挿入孔51が形成されている。一方、クランクケース1の上壁面上には互いに間隔を隔てて夫々対応する突出部50の間に嵌合せしめられる複数個の突出部52が形成されており、これらの各突出部52内にも夫々断面円形のカム挿入孔53が形成されている。
図2に示されるように一対のカムシャフト54,55が設けられており、各カムシャフト54,55上には一つおきに各カム挿入孔53内に回転可能に挿入される同心部分58が位置している。各同心部分58は各カムシャフト54,55の回転軸線と共軸をなす。一方、各同心部分58の両側には図3に示すように各カムシャフト54,55の回転軸線に対して偏心配置された偏心部57が位置しており、この偏心部57上に別の円形カム56が偏心して回転可能に取付けられている。すなわち、偏心部57は円形カム56に形成された偏心孔に嵌合し、円形カム56は偏心孔を中心として偏心部57回りに回動するようになっている。図2に示されるようにこれら円形カム56は各同心部分58の両側に配置されており、これら円形カム56は対応する各カム挿入孔51内に回転可能に挿入されている。また、図2に示されるようにカムシャフト55にはカムシャフト55の回転角度を表す出力信号を発生するカム回転角度センサ25が取付けられている。
図3(A)に示すような状態から各カムシャフト54,55の同心部分58を図3(A)において矢印で示される如く互いに反対方向に回転させると偏心部57が互いに離れる方向に移動するために円形カム56がカム挿入孔51内において同心部分58とは反対方向に回転し、図3(B)に示されるように偏心部57の位置が高い位置から中間高さ位置となる。次いで更に同心部分58を矢印で示される方向に回転させると図3(C)に示されるように偏心部57は最も低い位置となる。
なお、図3(A)、図3(B)、図3(C)には夫々の状態における同心部分58の中心線(すなわち、カムシャフトの中心線)aと偏心部57の中心線bと円形カム56の中心線cとの位置関係が示されている。
図3(A)から図3(C)とを比較するとわかるようにクランクケース1とシリンダブロック2の相対位置は同心部分58の中心線aと円形カム56の中心線cとの距離によって定まり、同心部分58の中心線aと円形カム56の中心線cとの距離が大きくなるほどシリンダブロック2はクランクケース1から離れる。即ち、可変圧縮比機構Aは回転するカムを用いたクランク機構によりクランクケース1とシリンダブロック2間の相対位置を変化させていることになる。シリンダブロック2がクランクケース1から離れるとピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積は増大し、従って各カムシャフト54,55を回転させることによってピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積を変更することができる。
図2に示されるように各カムシャフト54,55を夫々反対方向に回転させるために駆動モータ59の回転軸には夫々螺旋方向が逆向きの一対のウォーム61,62が取付けられており、これらウォーム61,62と噛合するウォームホイール63,64が夫々各カムシャフト54,55の端部に固定されている。この実施例では駆動モータ59を駆動することによってピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積を広い範囲に亘って変更することができる。
一方、図4は図1において吸気弁7を駆動するためのカムシャフト70の端部に取付けられた可変バルブタイミング機構Bを示している。図4を参照すると、この可変バルブタイミング機構Bは機関のクランク軸によりタイミングベルトを介して矢印方向に回転せしめられるタイミングプーリ71と、タイミングプーリ71と一緒に回転する円筒状ハウジング72と、吸気弁駆動用カムシャフト70と一緒に回転しかつ円筒状ハウジング72に対して相対回転可能な回転軸73と、円筒状ハウジング72の内周面から回転軸73の外周面まで延びる複数個の仕切壁74と、各仕切壁74の間で回転軸73の外周面から円筒状ハウジング72の内周面まで延びるベーン75とを具備しており、各ベーン75の両側には夫々進角用油圧室76と遅角用油圧室77とが形成されている。
各油圧室76,77への作動油の供給制御は作動油供給制御弁78によって行われる。この作動油供給制御弁78は各油圧室76,77に夫々連結された油圧ポート79,80と、油圧ポンプ81から吐出された作動油の供給ポート82と、一対のドレインポート83,84と、各ポート79,80,82,83,84間の連通遮断制御を行うスプール弁85とを具備している。
吸気弁駆動用カムシャフト70のカムの位相を進角すべきときは図4においてスプール弁85が右方に移動せしめられ、供給ポート82から供給された作動油が油圧ポート79を介して進角用油圧室76に供給されると共に遅角用油圧室77内の作動油がドレインポート84から排出される。このとき回転軸73は円筒状ハウジング72に対して矢印方向に相対回転せしめられる。
これに対し、吸気弁駆動用カムシャフト70のカムの位相を遅角すべきときは図4においてスプール弁85が左方に移動せしめられ、供給ポート82から供給された作動油が油圧ポート80を介して遅角用油圧室77に供給されると共に進角用油圧室76内の作動油がドレインポート83から排出される。このとき回転軸73は円筒状ハウジング72に対して矢印と反対方向に相対回転せしめられる。
回転軸73が円筒状ハウジング72に対して相対回転せしめられているときにスプール弁85が図4に示される中立位置に戻されると回転軸73の相対回転動作は停止せしめられ、回転軸73はそのときの相対回転位置に保持される。従って可変バルブタイミング機構Bによって吸気弁駆動用カムシャフト70のカムの位相を所望の量だけ進角させることができ、遅角させることができることになる。
図5において実線は可変バルブタイミング機構Bによって吸気弁駆動用カムシャフト70のカムの位相が最も進角されているときを示しており、破線は吸気弁駆動用カムシャフト70のカムの位相が最も遅角されているときを示している。従って吸気弁7の開弁期間は図5において実線で示す範囲と破線で示す範囲との間で任意に設定することができ、従って吸気弁7の閉弁時期も図5において矢印Cで示す範囲内の任意のクランク角に設定することができる。
図1および図4に示される可変バルブタイミング機構Bは一例を示すものであって、例えば吸気弁の開弁時期を一定に維持したまま吸気弁の閉弁時期のみを変えることのできる可変バルブタイミング機構等、種々の形式の可変バルブタイミング機構を用いることができる。
次に図6を参照しつつ本願において使用されている用語の意味について説明する。なお、図6の(A),(B),(C)には説明のために燃焼室容積が50mlでピストンの行程容積が500mlであるエンジンが示されており、これら図6の(A),(B),(C)において燃焼室容積とはピストンが圧縮上死点に位置するときの燃焼室の容積を表している。
図6(A)は機械圧縮比について説明している。機械圧縮比は圧縮行程時のピストンの行程容積と燃焼室容積のみから機械的に定まる値であってこの機械圧縮比は(燃焼室容積+行程容積)/燃焼室容積で表される。図6(A)に示される例ではこの機械圧縮比は(50ml+500ml)/50ml=11となる。
図6(B)は実圧縮比について説明している。この実圧縮比は実際に圧縮作用が開始されたときからピストンが上死点に達するまでの実際のピストン行程容積と燃焼室容積から定まる値であってこの実圧縮比は(燃焼室容積+実際の行程容積)/燃焼室容積で表される。即ち、図6(B)に示されるように圧縮行程においてピストンが上昇を開始しても吸気弁が開弁している間は圧縮作用は行われず、吸気弁が閉弁したときから実際の圧縮作用が開始される。従って実圧縮比は実際の行程容積を用いて上記の如く表される。図6(B)に示される例では実圧縮比は(50ml+450ml)/50ml=10となる。
図6(C)は膨張比について説明している。膨張比は膨張行程時のピストンの行程容積と燃焼室容積から定まる値であってこの膨張比は(燃焼室容積+行程容積)/燃焼室容積で表される。図6(C)に示される例ではこの膨張比は(50ml+500ml)/50ml=11となる。
次に図7および図8を参照しつつ本発明において用いられている超膨張比サイクルについて説明する。なお、図7は理論熱効率と膨張比との関係を示しており、図8は本発明において負荷に応じ使い分けられている通常のサイクルと超高膨張比サイクルとの比較を示している。
図8(A)は吸気弁が下死点近傍で閉弁し、ほぼ吸気下死点付近からピストンによる圧縮作用が開始される場合の通常のサイクルを示している。この図8(A)に示す例でも図6の(A),(B),(C)に示す例と同様に燃焼室容積が50mlとされ、ピストンの行程容積が500mlとされている。図8(A)からわかるように通常のサイクルでは機械圧縮比は(50ml+500ml)/50ml=11であり、実圧縮比もほぼ11であり、膨張比も(50ml+500ml)/50ml=11となる。即ち、通常の内燃機関では機械圧縮比と実圧縮比と膨張比とがほぼ等しくなる。
図7における実線は実圧縮比と膨張比とがほぼ等しい場合の、即ち通常のサイクルにおける理論熱効率の変化を示している。この場合には膨張比が大きくなるほど、即ち実圧縮比が高くなるほど理論熱効率が高くなることがわかる。従って通常のサイクルにおいて理論熱効率を高めるには実圧縮比を高くすればよいことになる。しかしながら機関高負荷運転時におけるノッキングの発生の制約により実圧縮比は最大でも12程度までしか高くすることができず、斯くして通常のサイクルにおいては理論熱効率を十分に高くすることはできない。
一方、このような状況下で機械圧縮比と実圧縮比とを厳密に区分しつつ理論熱効率を高めることが検討され、その結果理論熱効率は膨張比が支配し、理論熱効率に対して実圧縮比はほとんど影響を与えないことが見い出されたのである。即ち、実圧縮比を高くすると爆発力は高まるが圧縮するために大きなエネルギーが必要となり、斯くして実圧縮比を高めても理論熱効率はほとんど高くならない。
これに対し、膨張比を大きくすると膨張行程時にピストンに対し押下げ力が作用する期間が長くなり、斯くしてピストンがクランクシャフトに回転力を与えている期間が長くなる。従って膨張比は大きくすれば大きくするほど理論熱効率が高くなる。図7の破線ε=10は実圧縮比を10に固定した状態で膨張比を高くしていった場合の理論熱効率を示している。このように実圧縮比εを低い値に維持した状態で膨張比を高くしたときの理論熱効率の上昇量と、図7の実線で示す如く実圧縮比も膨張比と共に増大せしめられる場合の理論熱効率の上昇量とは大きな差がないことがわかる。
このように実圧縮比が低い値に維持されているとノッキングが発生することがなく、従って実圧縮比を低い値に維持した状態で膨張比を高くするとノッキングの発生を阻止しつつ理論熱効率を大巾に高めることができる。図8(B)は可変圧縮比機構Aおよび可変バルブタイミング機構Bを用いて、実圧縮比を低い値に維持しつつ膨張比を高めるようにした場合の一例を示している。
図8(B)を参照すると、この例では可変圧縮比機構Aにより燃焼室容積が50mlから20mlまで減少せしめられる。一方、可変バルブタイミング機構Bによって実際のピストン行程容積が500mlから200mlになるまで吸気弁の閉弁時期が遅らされる。その結果、この例では実圧縮比は(20ml+200ml)/20ml=11となり、膨張比は(20ml+500ml)/20ml=26となる。図8(A)に示される通常のサイクルでは前述したように実圧縮比がほぼ11で膨張比が11であり、この場合に比べると図8(B)に示される場合には膨張比のみが26まで高められていることがわかる。これが超高膨張比サイクルと称される所以である。
一般的に言って内燃機関では機関負荷が低いほど熱効率が悪くなり、従って機関運転時における熱効率を向上させるためには、即ち燃費を向上させるには機関負荷が低いときの熱効率を向上させることが必要となる。一方、図8(B)に示される超高膨張比サイクルでは圧縮行程時の実際のピストン行程容積が小さくされるために燃焼室5内に吸入しうる吸入空気量は少なくなり、従ってこの超高膨張比サイクルは機関負荷が比較的低いときにしか採用できないことになる。従って本発明では機関負荷が比較的低いときには図8(B)に示す超高膨張比サイクルとし、機関高負荷運転時には図8(A)に示す通常のサイクルとするようにしている。
次に図9を参照しつつ運転制御全般について概略的に説明する。図9には或る機関回転数における機関負荷に応じた吸入空気量、吸気弁閉弁時期、機械圧縮比、膨張比、実圧縮比およびスロットル弁17の開度の各変化が示されている。なお、図9は、触媒装置20内の三元触媒によって排気ガス中の未燃HC,COおよびNOXを同時に低減しうるように燃焼室5内における平均空燃比が空燃比センサ21の出力信号に基いて理論空燃比にフィードバック制御されている場合を示している。
さて、前述したように機関高負荷運転時には図8(A)に示される通常のサイクルが実行される。従って図9に示されるようにこのときには機械圧縮比は低くされるために膨張比は低く、図9において実線で示されるように吸気弁7の閉弁時期は図5において実線で示される如く早められている。また、このときには吸入空気量は多く、このときスロットル弁17の開度は全開に保持されているのでポンピング損失は零となっている。
一方、図9において実線で示されるように機関負荷が低くなるとそれに伴って吸入空気量を減少すべく吸気弁7の閉弁時期が遅くされる。またこのときには実圧縮比がほぼ一定に保持されるように図9に示される如く機関負荷が低くなるにつれて機械圧縮比が増大され、従って機関負荷が低くなるにつれて膨張比も増大される。なお、このときにもスロットル弁17は全開状態に保持されており、従って燃焼室5内に供給される吸入空気量はスロットル弁17によらずに吸気弁7の閉弁時期を変えることによって制御されている。
このように機関高負荷運転状態から機関負荷が低くなるときには実圧縮比がほぼ一定のもとで吸入空気量が減少するにつれて機械圧縮比が増大せしめられる。即ち、吸入空気量の減少に比例してピストン4が圧縮上死点に達したときの燃焼室5の容積が減少せしめられる。従ってピストン4が圧縮上死点に達したときの燃焼室5の容積は吸入空気量に比例して変化していることになる。なお、このとき図9に示される例では燃焼室5内の空燃比は理論空燃比となっているのでピストン4が圧縮上死点に達したときの燃焼室5の容積は燃料量に比例して変化していることになる。
機関負荷が更に低くなると機械圧縮比は更に増大せしめられ、機関負荷がやや低負荷寄りの中負荷L1まで低下すると機械圧縮比は燃焼室5の構造上限界となる限界機械圧縮比(上限機械圧縮比)に達する。機械圧縮比が限界機械圧縮比に達すると、機械圧縮比が限界機械圧縮比に達したときの機関負荷L1よりも負荷の低い領域では機械圧縮比が限界機械圧縮比に保持される。従って低負荷側の機関中負荷運転時および機関低負荷運転時には即ち、機関低負荷運転側では機械圧縮比は最大となり、膨張比も最大となる。別の言い方をすると機関低負荷運転側では最大の膨張比が得られるように機械圧縮比が最大にされる。
一方、図9に示される実施例では機関負荷がL1まで低下すると吸気弁7の閉弁時期が燃焼室5内に供給される吸入空気量を制御しうる限界閉弁時期となる。吸気弁7の閉弁時期が限界閉弁時期に達すると吸気弁7の閉弁時期が限界閉弁時期に達したときの機関負荷L1よりも負荷の低い領域では吸気弁7の閉弁時期が限界閉弁時期に保持される。
吸気弁7の閉弁時期が限界閉弁時期に保持されるともはや吸気弁7の閉弁時期の変化によっては吸入空気量を制御することができない。図9に示される実施例ではこのとき、即ち吸気弁7の閉弁時期が限界閉弁時期に達したときの機関負荷L1よりも負荷の低い領域ではスロットル弁17によって燃焼室5内に供給される吸入空気量が制御され、機関負荷が低くなるほどスロットル弁17の開度は小さくされる。
一方、図9において破線で示すように機関負荷が低くなるにつれて吸気弁7の閉弁時期を早めることによってもスロットル弁17によらずに吸入空気量を制御することができる。従って、図9において実線で示される場合と破線で示される場合とをいずれも包含しうるように表現すると、本発明による実施例では吸気弁7の閉弁時期は、機関負荷が低くなるにつれて、燃焼室内に供給される吸入空気量を制御しうる限界閉弁時期L1まで吸気下死点BDCから離れる方向に移動せしめられることになる。このように吸入空気量は吸気弁7の閉弁時期を図9において実線で示すように変化させても制御することができるし、破線に示すように変化させても制御することができる。
前述したように図8(B)に示す超高膨張比サイクルでは膨張比が26とされる。この膨張比は高いほど好ましいが図7からわかるように実用上使用可能な下限実圧縮比ε=5に対しても20以上であればかなり高い理論熱効率を得ることができる。従って本実施例では膨張比が20以上となるように可変圧縮比機構Aが形成されている。
ところで、機関減速時には、一般的に、燃料消費を低減すると共に大きなエンジンブレーキ力を発生させるために、燃料を供給せずに気筒内での燃焼を中断するフューエルカットが実施される。フューエルカットによって機関回転数は徐々に低下し、フューエルカットを中止する復帰回転数となると、燃料が供給されて気筒内での燃焼が再開される。フューエルカットの復帰回転数は低くするほど燃料消費の低減に有利であるが、復帰回転数を過剰に低くすると、各気筒の燃焼間隔が非常に長くなるために、各気筒の燃焼を再開させても、機関回転数の低下を止めることができず、そのまま機関停止してしまうことがある。
実圧縮比が高いほど各気筒の発生トルクは高くなるために、実圧縮比が高いほどフューエルカットの復帰回転数を低くして各気筒の燃焼間隔を長くしても、フューエルカットの復帰時に機関停止することはない。しかしながら、本実施例の内燃機関では、可変圧縮比機構Aにより機械圧縮比は可変とされるが、可変バルブタイミング機構Bにより実圧縮比は一定とされている。
図10は、本実施例の内燃機関におけるフューエルカット制御を示すフローチャートであり、電子制御ユニット30により実施される。先ず、ステップ101において、機関減速時などにおいて、フューエルカットの要求があるか否かが判断される。この判断が否定されるときにはそのまま終了する。しかしながら、フューエルカットの要求があるときには、ステップ102において、相対位置センサ22の出力から推定される現在の機械圧縮比Eに基づきフューエルカットの復帰回転数N1が決定される。
次いで、ステップ103において、燃料供給を停止して各気筒の燃焼を中止しフューエルカットが実施される。フューエルカットにより機関回転数は徐々に低下し、ステップ104では、クランク角センサ42により検出される現在の機関回転数Nがステップ102において決定された復帰回転数N1まで低下したか否かが判断される。この判断が肯定されるまで、フューエルカットは継続され、機関回転数Nが復帰回転数N1まで低下すると、ステップ104の判断が肯定され、ステップ105において、燃料供給を開始して各気筒の燃焼を再開する。
本フューエルカット制御では、ステップ102において、復帰回転数N1は、フューエルカット開始時の機械圧縮比Eに基づき図11に示すマップを使用して設定され、機械圧縮比Eが低いほど低くされる。フューエルカット開始時の機械圧縮比Eは、フューエルカット中は維持され、復帰時の機械圧縮比となる。ここで、実圧縮比は一定とされるために、機械圧縮比Eが低いほど、吸気弁の閉弁時期が進角されることとなり、気筒内の吸気量が多くなる。特に、フューエルカットからの復帰時の最初の各気筒の燃焼においては、機械圧縮比Eが低いほど圧縮上死点と共に吸気上死点の燃焼室容積が大きくなり、その燃焼室容積の全てが新気で満たされるために、気筒内の新気量は非常に多くなる。
それにより、機械圧縮比Eが低いほど、フューエルカットからの復帰時の各気筒の発生トルクは高くなり、復帰回転数N1を低くして各気筒の燃焼間隔が長くなっても、各気筒の燃焼を再開すれば、機関回転数を確実に高めることができ、機関停止することはない。こうして、復帰回転数を低くした分だけフューエルカット時間が長くなり、燃料消費を低減させることができる。
フューエルカット中において、各気筒からは吸気がそのまま排気系へ排出されるために、三元触媒装置20は、O2ストレージ能力によって多量の酸素を貯蔵してしまう。それにより、三元触媒装置20の酸化作用は活発となるが、還元作用は不活発となり、フューエルカットからの復帰時において燃焼が再開されると、三元触媒装置20において、排気ガス中のHC及びCOは良好に酸化させることができるが、排気ガス中のNOXは良好に還元させることができない。
こうして、フューエルカットからの復帰時において、数サイクルの間は、燃焼空燃比を理論空燃比よりリッチにしてHC及びCOの生成量は増加してもNOXの生成量を減少させることが好ましい。また、NOXは燃焼温度が高くなると生成量が増大する。それにより、フューエルカットからの復帰時の機械圧縮比Eが低いほど、吸気量が多く、そのままでは燃焼温度が高くなってしまうために、フューエルカットからの復帰時の目標燃焼空燃比AFtは、図12に示すように、理論空燃比Sよりリッチの範囲において、機械圧縮比Eが低いほど小さくすることが好ましい。理論空燃比よりリッチの範囲において燃焼空燃比を小さくするほど燃焼温度を低下させることができる。それにより、フューエルカットからの復帰時において、機械圧縮比Eが高く吸気量が多いほど、復帰燃焼空燃比は小さくされ、燃焼温度が高くなることによるNOXの生成量の増加を抑制することができる。
フューエルカットからの復帰において、各気筒の一回目の燃焼は、前述したように吸気上死点の燃焼室全体が新気で満たされているために、特に、燃焼温度が高くなり易い。それにより、復帰時の各気筒の一回目の燃焼における目標燃焼空燃比AFtは、図12のMAP1により決定され、各機械圧縮比Eにおいて、理論空燃比Sよりかなり小さくされ、燃焼温度が高くなってNOXの生成量が増加することを抑制している。
また、復帰時の各気筒の二回目の燃焼は、各気筒において一回目の燃焼により吸気上死点の燃焼室全体がほぼ排気ガスにより満たされ、こうして気筒内に残留する排気ガスによって一回目の燃焼より燃焼温度が低下するために、各気筒の二回目の燃焼における目標燃焼空燃比AFtは、図12のMAP2により決定され、各機械圧縮比Eにおいて、一回目の燃焼における目標燃焼空燃比AFtより大きくされる。それにより、不必要に燃料を消費することなく燃焼温度が高くなってNOXの生成量が増加することを抑制している。
図12のMAP2により決定される目標燃焼空燃比AFtは、フューエルカットの復帰から三回目以降の各気筒の燃焼に適用しても良い。こうして、フューエルカットからの復帰時において、数サイクルは、各気筒において理論空燃比よりリッチな燃焼空燃比での燃焼が実施され、三元触媒装置20においてO2ストレージ能力により貯蔵される酸素が限界量の半分程度まで減少すれば、各気筒の目標燃焼空燃比AFtは徐々に理論空燃比Sとされる。この数サイクルの間は、機械圧縮比はフューエルカット開始時の機械圧縮比に維持することが好ましい。
1 クランクケース
2 シリンダブロック
A 可変圧縮比機構
B 可変バルブタイミング機構

Claims (2)

  1. 可変圧縮比機構により機械圧縮比を可変として実圧縮比は一定とする可変圧縮比機構を備える内燃機関において、フューエルカット時の前記機械圧縮比が低いほど、フューエルカットの復帰回転数は低くされることを特徴とする可変圧縮比機構を備える内燃機関。
  2. フューエルカットの復帰時の復帰燃焼空燃比は理論空燃比よりリッチにされ、フューエルカット時の前記機械圧縮比が低いほど、前記復帰燃焼空燃比は小さくされることを特徴とする請求項1に記載の可変圧縮比機構を備える内燃機関。
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