JP5514489B2 - 分散剤 - Google Patents
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Description
本発明の分散剤は、(メタ)アクリル酸由来の構成単位を含む重合体のアンモニウム塩又はアミン塩と、(メタ)アクリル酸のアンモニウム塩又はアミン塩と、水とを含む。本発明の分散剤は、一つの実施形態として、分散性を向上する有効成分が、(メタ)アクリル酸由来の構成単位を含む重合体のアンモニウム塩又はアミン塩と(メタ)アクリル酸アンモニウム塩又はアミン塩との組合せからなる分散剤であってもよい。
本発明の分散剤は、構成単位がアクリル酸又はメタクリル酸由来である重合体のアンモニウム塩又はアミン塩(以下、「重合体成分」ともいう)を含む。本明細書において、構成単位がアクリル酸又はメタクリル酸由来である重合体とは、重合体における全構成単位の好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上、さらに好ましくは実質的に全てがアクリル酸又はメタクリル酸由来の構成単位であることをいう。また、本明細書において、重合体の構成単位がアクリル酸又はメタクリル酸由来であるとは、該重合体がアクリル酸又はメタクリル酸から製造され得ることをいう。重合体成分の構成単位としては、重合時の重合速度が速いという点から、アクリル酸由来であることが好ましい。
本発明の分散剤は、(メタ)アクリル酸のアンモニウム塩又はアミン塩(以下、「単分子成分」ともいう)を含む。重合体成分に対する単分子成分の重量比((メタ)アクリル酸のアンモニウム塩又はアミン塩/重合体のアンモニウム塩又はアミン塩)は、水系スラリー組成物の粘度低減の観点から、0.031〜0.060であって、0.035〜0.055であることが好ましく、0.038〜0.053であることがより好ましい。また、本発明の分散剤中の単分子成分の含有量は、取り扱い性の点から、1.2〜2.4重量%が好ましく、1.4〜2.2重量%がより好ましく、1.5〜2.1重量%がさらに好ましい。
本発明の分散剤は、(メタ)アクリル酸を重合反応させた後にアクリル酸を添加し、さらに前述した1級、2級もしくは3級アミン、水酸化第4級アンモニウム、アンモニア水などを添加して中和する方法で製造してもよく、あるいは、アクリル酸を重合反応の際に反応温度を下げて未反応のアクリル酸を残留させて同様に中和する方法で製造してもよい。当業者であれば、本明細書を参照して調製できる。
本発明は、その他の態様として、本発明の分散剤を用いて粉体を水系溶媒中で分散させる工程を含む分散方法(以下、「本発明の分散方法」ともいう)を提供しうる。本発明の分散方法により分散させる粉体としては、電子材料用粉体として使用される粉体を含む後述する粉体が挙げられる。また、水系溶媒は、水、あるいは水とエチルアルコール、エチレングリコール等の水溶性有機溶媒との混合溶液が挙げられ、好ましくは水である。水としては、例えば、蒸留水、イオン交換水、超純水等が挙げられる。本発明の分散方法によれば、粘度が低減されたスラリー組成物を製造することができる。
本発明の分散剤を用いれば、水系溶媒に粉体が分散した水系スラリー組成物を得ることができる。したがって、本発明は、さらにその他の態様において、スラリー組成物であって(以下、「本発明のスラリー組成物」ともいう)、水系溶媒、粉体、及び分散剤を含有し、該分散剤が本発明の分散剤であるスラリー組成物を提供できる。本発明のスラリー組成物によれば、粘度の低減を実現できる。本発明のスラリー組成物に分散させる粉体としては、電子材料用粉体として使用される粉体を含む後述する粉体が挙げられる。水系溶媒は、水、あるいは水とエチルアルコール、エチレングリコール等の水溶性有機溶媒との混合溶液が挙げられ、好ましくは水である。水としては、例えば、蒸留水、イオン交換水、超純水等が挙げられる。したがって、本発明は、さらにその他の態様として、スラリー組成物の製造方法であって(以下、「本発明のスラリー組成物の製造方法」ともいう)、粉体、分散剤、及び水系溶媒を合して、該粉体を分散させる工程を含み、該分散剤が、本発明の分散剤であるスラリー組成物の製造方法を提供しうる。
本発明の分散剤で分散させる粉体の窒素吸着法により測定されるBET比表面積は、スラリー組成物の粘度低減の観点から、650〜1000m2/gであることが好ましく、より好ましくは670〜900m2/gであり、さらに好ましくは700〜800m2/gである。また、本発明の分散剤で分散させる粉体の走査型電子顕微鏡(SEM)で測定される一次粒径としては、スラリー組成物の粘度低減の観点から、10nm以上60nm未満が好ましく、より好ましくは15〜55nmであり、さらに好ましくは20〜50nmである。
分散剤における重合体成分の重量平均分子量及び数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により、下記条件で測定した。
カラム:TSK PWXL+G4000PWXL+G2500PWXL(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
検出器:RI又はUV(210nm)
溶離液:0.2mol/L リン酸緩衝液/アセトニトリル(9/1)
流速:1.0mL/min
注入量:0.1mL
標準:ポリエチレングリコール
分散剤の固形分量は、マイクロウェーブ水分計(SMART 5 SYSTEM、CEM社製)により、下記条件で測定した。
分散剤測定条件; 温度 105℃、マイクロウェーブパワー 80重量%
1.グラスファイバーサンプルパッド(Reorder part #200150)2枚を水分計にセットし、Tareを押し、サンプルパッドの水分を除去する。
2.サンプルパッドの間にて分散剤を約2g計る(天秤内蔵)。
3.水分計のカバーを閉め、Startを押し、測定を開始する。水分(重量%)が出力される。
4.1〜3の操作を3回行い、水分(重量%)の平均値を算出する。
固形分量(重量%)=100−水分(重量%)平均値
分散剤の単分子成分の量は、分散剤中の固形分量の測定方法により求めた固形分量から、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により、下記条件で測定した。
HPLC:Lachrom L−7100/L−7200/L−7300/L−7400(日立社製)
カラム:ODS−80TS(東ソー社製)
溶離液:0.02mol/L リン酸緩衝液
注入量:20μL
下記表1に示す分散剤(実施例1〜10、比較例1〜11)を、後述のとおり調製した。
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備えた反応容器にイオン交換水221.6gを仕込み、窒素気流下で100℃に加熱後、この温度を維持しながら、80重量%アクリル酸水溶液549.8g、2−メルカプトエタノール214.5g及び3重量%過硫酸アンモニウム水溶液111.36gをそれぞれ別の滴下ロートから3.5時間かけて滴下し重合反応を行った。滴下終了後、100℃で3時間熟成し(熟成開始15分後に3重量%過硫酸アンモニウム水溶液27.8gを添加)重合反応を完結させた。反応終了後、100℃で35重量%過酸化水素水溶液400.1gを滴下し、脱臭処理を行った。その後冷却し、約40℃を保持しながらアクリル酸を所定量加えた後、pHが6〜8となるように28重量%アンモニア水溶液349.0gを滴下して中和し、重合体及びアクリル酸のアンモニウム塩を含む固形分濃度40重量%の分散剤を得た。
実施例1におけるアクリル酸水溶液及び2−メルカプトエタノールの量を下記表2に示す量の(メタ)アクリル酸水溶液及び2−メルカプトエタノールとした他は、実施例1と同様にして分散剤(実施例2−10、比較例5〜11)を調製した。
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備えた反応容器にマレイン酸無水物78.5g及びイオン交換水80.0gを仕込み、窒素気流下で55℃に加熱後、28重量%アンモニア水溶液24.3gを滴下し、マレイン酸アンモニウム水溶液とした。次に窒素気流下で100℃まで加熱した後、この温度を維持しながら、80重量%アクリル酸水溶液360.5g及び35重量%過酸化水素水溶液153.9gをそれぞれ別の滴下ロートから3.5時間かけて滴下し重合反応を行った。滴下終了後、100℃で10時間熟成し重合反応を完結させた。反応終了後、冷却し、約40℃を保持しながら28重量%アンモニア水溶液230.0gを滴下してpHが6〜8に調整し、アクリル酸−マレイン酸共重合体及びアクリル酸のアンモニウム塩を含む固形分濃度40重量%の分散剤を得た。
攪拌式オートクレーブにトリエチルアミン(1モル)、炭酸ジメチル(1.5モル)及び溶媒としてメタノール(2.0モル)を仕込み、反応温度110℃にて12時間反応させ、メチルトリエチルアンモニウムメチルカーボネートのメタノール溶液を得た。アクリル酸/マレイン酸共重合体(モル比77/23、Mw5000)の40重量%水溶液250.0gに、前記メチルトリエチルアンモニウムメチルカーボネートのメタノール溶液300.0gを加えpHが7.0に調整した。炭酸ガス及びメタノールを除き、水を加えることでアクリル酸/マレイン酸共重合体・メチルトリエチルアンモニウム塩を含む固形分濃度40重量%の分散剤を得た。
耐圧反応容器にイソプロピルアルコール420部、水120部を仕込み、窒素置換後密閉し、100℃に昇温した。攪拌下アクリル酸77部と、アクリル酸228部と連鎖移動剤(トリエチレンジグリコールメルカプタン)4部と次亜リン酸ナトリウム(2水和物)2部と塩化第1鉄(4水和物)0.7部との均一混合物と、過硫酸ナトリウム6%水溶液50部とを、別々の容器からそれぞれ3時間、1時間後から2時間、3.5時間かけて滴下した。滴下終了後、35%過酸化水素水溶液3部を投入し、同温度で1時間保持し、重合体を得た(Mw10000)。水酸化ナトリウム30%水溶液158部、トリエチルメチルアンモニウムメチルカーボネートのメタノール60%溶液27部で中和した後、イソプロピルアルコール、メチルアルコールを留去して、ポリアクリル酸混合塩を含む固形分濃度40重量%の分散剤を得た。
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備えた反応容器にマレイン酸無水物39.2g及びイオン交換水55.2gを仕込み、窒素気流下で55℃に加熱後、30重量%水酸化ナトリウム水溶液106.7gを滴下し、マレイン酸ナトリウム水溶液とした。次に窒素気流下で100℃まで加熱した後、この温度を維持しながら、100重量%メタアクリル酸メチルポリオキシ(EO23モル)エチレン889.6g及び35重量%過酸化水素水溶液15.9gをそれぞれ別の滴下ロートから3.5時間かけて滴下し重合反応を行った。滴下終了後、100℃で10時間熟成し重合反応を完結させた。反応終了後、冷却し、約40℃を保持しながら、pHが6〜8となるように48重量%水酸化ナトリウム水溶液を87.7.g添加して中和し、マレイン酸−メタアクリル酸メチルポリオキシ(EO23モル)エチレン共重合体ナトリウム塩を含む固形分濃度40重量%の分散剤を得た。
実施例1〜10、比較例1〜11の分散剤を3つの含有量で含むスラリー組成物を下記のようにして調製し、得られたスラリー組成物それぞれについて25℃におけるB粘度を下記のように測定した。その結果を下記表3に示す。また、実施例1〜10、比較例5,8,11の重合体成分の重量平均分子量とスラリー組成物の粘度をプロットしたグラフを図1に示す。
Claims (6)
- アクリル酸又はメタクリル酸由来の構成単位からなる重合体のアンモニウム塩又はアミン塩、(メタ)アクリル酸のアンモニウム塩又はアミン塩、及び水を含む分散剤であって、
前記重合体の塩の重量平均分子量が300以上1000未満であり、
前記重合体の塩に対する前記(メタ)アクリル酸塩の重量比((メタ)アクリル酸塩/重合体の塩)が、0.031〜0.060である、分散剤。 - 前記重合体の塩の含有量が20〜55重量%であり、前記(メタ)アクリル酸塩の含有量が1.2〜2.4重量%である、請求項1記載の分散剤。
- 請求項1又は2に記載の分散剤を用いて水系溶媒中に粉体を分散させることを含む、分散方法。
- 粉体が、炭酸塩、リン酸塩、チタン酸塩、珪酸塩、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、カーボンブラック及び炭化珪素から選ばれる少なくとも1種である、請求項3記載の分散方法。
- 粉体の比表面積が650〜1000m2/gであり、粉体の一次粒径が10nm以上60
nm未満である、請求項3又は4に記載の分散方法。 - 請求項1又は2に記載の分散剤、粉体、及び水系溶媒を合して、前記粉体を分散させる工程を有する、スラリー組成物の製造方法。
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