JP5510775B2 - フェライト焼結体およびコイル部品並びにフェライト焼結体の製造方法 - Google Patents

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本発明は、Mn、ZnおよびFeを含むMn系フェライト焼結体およびそれを用いたコイル部品並びにその製造方法に関し、特に絶縁性に優れたフェライト焼結体に関する。
近年、各種電子機器においてLSIの高集積化、多機能化および高速化が進んでおり、それに電力を供給する電源系にも高パワーが要求されてきている。スイッチング電源は、民生機器をはじめOA、産業用機器へと幅広い利用が進んでおり、現在、小型・軽量化とともに、大電流化への対応が図られている。このスイッチング電源、DC/DCコンバータに使用されるトランスには、従来、Mn−Zn系のフェライト焼結体であるフェライトコアが使用されていた。
Mn−Zn系のフェライトコアは、飽和磁束密度および透磁率が高く、また損失(コアロス)が小さいという特徴があり、これまでスイッチング電源やDC/DCコンバータ等のトランスに用いられてきた。しかしながら、抵抗率が数Ω・m程度と比較的低く、コアに直接巻線をすると漏れ電流が発生する。このため、DC/DCコンバータ等のトランス用としてMn−Zn系のフェライトコアを使用する場合、フェライトコアにボビンをかぶせたり、絶縁被膜等の処理を行ってから巻線を行っていた。そのため、製造コストが高く、小型化が難しいという問題があった。
このような問題に対して、例えば特許文献1には、Fe量を50mol%未満とし、CaO、SiO等の副成分を含有させて高抵抗化を図ったMn−Znフェライトが開示されている。また、特許文献2には、冷却時に700〜400℃の範囲の温度から空気を導入することによって、Mn−Zn系酸化物磁性材料の表面の高抵抗化を図る製造方法が開示されている。
特開2000−133510号公報 特開平6−295812号公報
特許文献1に開示されたMn−Znフェライトは、電気抵抗の向上が図られているものの、その水準は3.0×10Ω・m未満であり、絶縁性確保の観点からは十分な水準とはいえなかった。また、特許文献2に開示の製造方法によれば、Mn−Zn系酸化物磁性材料の表面部分の抵抗のみを向上させることができるが、抵抗が高い部分が表面部分のみであるため絶縁性確保の観点からは必ずしも十分とはいえなかった。
本発明は、上記点に鑑み、焼結体全体において絶縁性に優れたMn−Zn系のフェライト焼結体およびそれを用いたコイル部品並びに前記焼結体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明のフェライト焼結体は、MnO、ZnOおよびFeを主成分とするフェライト焼結体であって、前記フェライト焼結体の主成分組成は、Feの比率が50mol%未満のFeプアー組成であるとともに、副成分として、CaO、SiOおよびAlを含有し、前記CaO、SiO およびAl 全体の含有量が前記主成分100重量部に対して2.5重量部以下(0を含まず)であって、組織中に、Mn、Zn、Fe、Al、Oを含むMn−Znフェライト相と、アノーサイトを有し、粒界にCa、Si、Alが濃化しており、抵抗率が10×10 Ω・m以上であることを特徴とする。該構成によれば、フェライト焼結体全体の抵抗率を高め、絶縁性を向上することができる。
さらに、前記フェライト焼結体において、副成分としてMgOを2.0重量部未満(但し0を除く)含有し、抵抗率が35×10 Ω・m以上に高められていることが好ましい。該構成は、フェライト焼結体の抵抗率、絶縁性の向上に好適である。
本発明のコイル部品は、磁性体に導体を巻回して構成したコイル部品であって、前記磁性体として前記いずれかのフェライト焼結体を用いたことを特徴とする。絶縁性に優れる前記フェライト焼結体を用いることで、導体の巻回部分の構成を簡略化し、小型のコイル部品が得られる。
前記フェライト焼結体を製造する方法は、Mn 、ZnOおよびFe の素原料を混合し、得られた混合粉を仮焼する工程と、CaOまたはCaCO 、SiO およびAl の素原料を混合し、得られた混合粉を800〜900℃の温度範囲で熱処理する工程と、前記仮焼する工程を経た原料に前記熱処理する工程を経た原料を添加し、成形した後、大気中で焼成したことを特徴とする。かかる構成によれば、抵抗率の高いフェライト焼結体を提供することができる。
また、前記フェライト焼結体の製造方法において、前記CaO、SiOおよびAlの素原料を混合し、得られた混合粉を800〜900℃の温度範囲で熱処理後、前記原料粉末に添加することは、副成分を焼結体中に均一に分散させるうえで有利である。
本発明によれば、焼結体全体において絶縁性に優れたMn−Zn系のフェライト焼結体およびそれを用いたコイル部品並びに前記焼結体の製造方法を提供することができる。
本発明に係る一実施形態のフェライト焼結体断面のSEM像である。 焼結体のX線回折パターンを示す図である。
以下、本発明を実施例とともに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本発明に係るフェライト焼結体の製造には、特に限定する部分以外は、固相反応法を用いる通常の粉末冶金的方法を適用すればよい。すなわち、MnO、ZnOおよびFeを主成分とする原料粉末を成形後、焼成してフェライト焼結体を得る。Mn−Zn系フェライトの原料となる酸化物として、例えば、Fe、Mn、およびZnOを用いることができる。それらの原料酸化物をボールミル、振動ミル等で混合した後に乾燥し、得られた混合粉末を仮焼成した後、ボールミル、振動ミル、アトライタ等を用いて1μm程度の粒子径となるように粉砕する。粉砕後はバインダを加えてスプレードライヤー等の装置により造粒し、油圧プレスあるいは機械プレス等の成形機を用い、必要な形状に成形する。成形体は抵抗加熱式、マイクロ波加熱式等の雰囲気焼成炉で酸素濃度等の制御された雰囲気下で所望の特性を持つように焼成される。
また、本発明に係るフェライト焼結体はMnO、ZnOおよびFeを主成分とするMn−Zn系のフェライト焼結体である。ただし、フェライト焼結体の主成分組成は、Feの比率が50mol%未満のFeプアー組成とする以外は、その主成分組成は特に限定するものではない。組成は必要とされる特性に応じて選択すればよい。Feの比率が50mol%未満のFeプアー組成とすることで、抵抗率低下の原因となるFe2+の生成が抑制される。例えば、高磁気特性を維持しながら抵抗率の向上を図る観点からは、Fe40mol%以上、かつ50mol%未満、MnO43〜52mol%、残部ZnOを主成分とすればよい。1.0×10Ω・m以上の抵抗率を得る観点からは、Feは40〜45mol%がより好ましい。
本発明に係るフェライト焼結体は、さらに副成分として、アノーサイトを形成可能な範囲のCaO、SiOおよびAlを含有する。特許文献1のように、Alを単独で添加したり、CaOおよびSiOに対するAlの比率が小さい場合には、抵抗率向上の顕著な効果は発揮されない。アノーサイト(CaO・Al・2SiO)を形成可能な範囲のように、CaOに対して多くのSiOおよびAlを含有する場合に抵抗率向上の顕著な効果が得られる。アノーサイトを形成可能な範囲とは、例えばErnest.M.Levin et al.,PHASE DIAGRAMS FOR CERAMISTS, The American Ceramic Society(1964)220.のFig.631に記載された相図の中央部分の、11.6mol%CaO、12.7mol%Al、75.7mol%SiO(点A)、26.3mol%CaO、8.9mol%Al、64.8mol%SiO(点B)、42.5mol%CaO、12.5mol%Al、45.0mol%SiO(点C)、36.1mol%CaO、26.7mol%Al、37.2mol%SiO(点D)、19.8mol%CaO、24.6mol%Al、55.6mol%SiO(点E)の各点に囲まれた略五角形の組成領域である。前記副成分はCaO・Al・2SiOの組成で含有することがより好ましい。アノーサイト(灰長石)は化学式CaAlSiで表わされ、長石の中の斜長石グループに属する三斜晶系の物質である。長石は地殻中に普遍的に存在する鉱物で、ほとんどの岩石に含まれており、一般に抵抗率は1010〜1012Ω・mと高い、絶縁体である。副成分として、アノーサイトを形成可能な範囲のCaO、SiOおよびAlを含有することで抵抗率向上の効果が発揮されるが、前記CaO、SiOおよびAl全体の含有量が前記主成分100重量部に対して2.5重量部以下(0を含まず)であれば、高い透磁率を維持しつつ、より高い抵抗率が得ることができる。なお、アノーサイトを形成可能な範囲のCaO、SiOおよびAlとは、これらの組成比がそのような条件を満たせばよく、必ずしも焼結体においてアノーサイトを確認できなくてもよい趣旨である。
また、前記主成分100重量部に対して、副成分として2.0重量部未満(但し0を除く)のMgOを含有することが好ましい。かかる構成により抵抗率がさらに向上する。より高い抵抗率を得る観点からは、MgOの含有量は1.0〜1.5重量部であることがより好ましい。なお、粒界または粒内の高抵抗化を図るために、TiO、SnO、Ta、Nbなどの副成分をさらに含有してもよい。
上述のフェライト焼結体は、MnO、ZnOおよびFeを主成分とする原料粉末を成形後、焼成して得られる。ここで、フェライト焼結体の主成分組成は、Feの比率が50mol%未満のFeプアー組成であるとともに、副成分として、アノーサイトを形成可能な範囲のCaO、SiOおよびAlを含有させる。副成分は、仮焼前に添加してもよいし、仮焼後の粉砕時に添加してもよい。また、CaO、SiOおよびAlはそれぞれ素原料のまま添加してもよいが、以下のように添加することがより好ましい。すなわち、CaO、SiOおよびAlの素原料を混合し、得られた混合粉を800〜900℃の温度範囲で熱処理後、前記原料粉末に添加する。かかる熱処理を施した後に添加することで、焼成時の各副成分の共存状態の改善に寄与する。熱処理後の解砕を容易にするため、かかる熱処理はCaO、SiOおよびAlの混合粉が、強固に固化しない程度の温度、時間に制御する。かかる工程を備えることは副成分を焼結体中に均一に分散させるうえで有利である。
上述のフェライト焼結体をコアに用いてトランス、チョークコイル、インダクタ等のコイル部品を構成することができる。すなわち、磁性体として上記本発明に係るフェライト焼結体を用い、該磁性体に導体を巻回してコイル部品を構成する。本発明に係るフェライト焼結体は絶縁性に優れるため、他の絶縁体を介さずにフェライト焼結体に直接導体を形成することができる。すなわち、前記フェライト焼結体を用いることで、導体の巻回部分の構成を簡略化し、小型のコイル部品が得られる。導体は、ワイヤでもよいし、印刷や薄膜形成手段によって形成した電極パターンでもよい。
(実施例1)
Mn−Zn系フェライトの主成分の原料となる酸化物として、Fe、MnおよびZnOを用い、それぞれ49mol%Fe、44mol%MnO、および7mol%ZnOの組成となるように秤量を行ない、ボールミルで混合した後に乾燥し混合粉末を得た。得られた混合粉末を900℃で仮焼した後、ボールミルを用いて1μmの平均粒子径となるように粉砕した。粉砕して得られたスラリーを乾燥した後に、アノーサイトの代表組成である25mol%CaO、50mol%SiO2、および25mol%AlとなるようにCaCO、SiOおよびAlを配合したもの(以下CASともいう。)を大気中850℃で熱処理後、主成分100重量部に対して表1に示す比率になるように添加した。また、比較のためにCASを添加していない試料(No1)も作製した。さらに、得られた粉末に1%のPVA(ポリビニールアルコール)をバインダとして加え、造粒を行なった。造粒さした粉末を外径7.8mm、内径3.8mm、厚さ3mmのリング形状に成形した。成形体はマイクロ波焼成炉を用い、空気中1300℃で焼成し、Nガス雰囲気下で冷却した。得られた焼成体の10kHzでの比透磁率μは、YOKOGAWA・HEWLETT・PACKARD製 4194A IMPEDANCE/GAIN−PHASE ANALYZERを用いて測定したインダクタンスより求めた。また、焼結体の密度は水中置換法により求めた。抵抗率は、リング形状の焼結体を二等分に切断し、得られた半リング形状の焼結体の二つの切断面に銀ペーストを塗布し、二端子法によって求めた。結果を表1に示す。表より明らかなように副成分として、アノーサイトを形成可能な範囲のCaO、SiOおよびAl(CAS)を含有したもの(No2〜4)は、これらを含有しない場合(No1)に比べて、焼結体の密度および抵抗率が向上していることがわかる。さらにCASが2.5重量部以下(0を含まず)ではCAS無添加の場合と同等以上の比透磁率を発現しつつ、抵抗率が大幅に向上しており、CAS量が1.25〜2.5重量部ではCAS無添加の場合の1.5倍以上、4.0×10Ω・m以上の抵抗率が得られている。また、CAS量が1.25〜2.5重量部の範囲では焼結体の密度も4.8×10kg/m以上に向上している。
また、No3の試料について焼結体の断面を研磨し、SEM/EDXによって組織観察および組成分析を行った。SEM写真を図1に示す。EDXによって分析した結果、主相であるMn−Znフェライト相1のMn、Zn、Fe、Ca、Si、Al、Oは22.2wt%、5.4wt%、49.8wt%、0wt%、0wt%、1.0wt%、21.7wt%、粒界(三重点)2のMn、Zn、Fe、Ca、Si、Al、Oは5.0wt%、0.4wt%、10.7wt%、17.9wt%、27.7wt%、4.6wt%、33.9wt%、であった。すなわち、Ca、Si、Alは粒界(三重点)に濃化しているとともに、Alの一部が主相であるスピネル相に含まれていることがわかった。また、CASを添加した場合の焼結体の構成相を調べるため、CAS量を25重量部に増やした焼結体を作製し、X線回折を行った。X線回折のピークパターンを図2に示す。図2においてアノーサイトのピークが確認できる。すなわち、添加したCaCO、SiOおよびAlの少なくとも一部はアノーサイトを形成していることがわかる。
(実施例2)
Mn−Zn系フェライトの原料となる酸化物として、Fe、MnおよびZnOを用い、それぞれ40〜50mol%Fe、51.8〜43.1mol%MnO、および8.2〜6.9mol%ZnOの組成となるように秤量を行ない、ボールミルで混合した後に乾燥し、混合粉末を得た。得られた混合粉末を900℃で仮焼した後、ボールミルを用いて1μmの平均粒子径となるように粉砕した。粉砕して得られたスラリーを乾燥した後に、実施例1におけるものと同じ組成を有するようにCaCO、SiOおよびAlを配合したもの(CAS)を大気中850℃で熱処理後、主成分100重量部に対して2.5重量部の比率となるように添加した。さらに、得られた粉末に1%のPVAをバインダとして加え、造粒を行なった。造粒した粉末を外径7.8mm、内径3.8mm、厚さ3mmのリング形状に成形した。成形体は抵抗加熱式の雰囲気焼成炉を用い、空気中1200℃で焼成し、Arガス雰囲気下で冷却した。実施例1と同様にして比透磁率、抵抗率および密度を評価した。結果を表2に示す。また、上記CASを添加しないで作製した試料の評価結果を表3に示す。
表3から明らかなように、単純にFe量を低減するだけでは大幅な抵抗率の向上は達成できていない。これに対して表2に示すように、アノーサイトを形成可能な範囲のCaO、SiOおよびAl(CAS)を含有させることで、かかる含有による抵抗率向上のみならず、Fe量の低減に伴い抵抗率の大幅な向上が実現できることがわかる。また、CASを含有させることで、Fe量を低減しても、透磁率を大幅に低下させることなく、抵抗率を向上させることができる。例えば、フェライト焼結体の主成分組成が、Fe量が50mol%未満のFeプアー組成であれば10×10Ω・m以上の抵抗率を得ることが可能である。Fe量が40〜45mol%では抵抗率は3.0×10Ω・m以上に達する。また、比透磁率に関してもCASを有する場合には、より高い値が安定して得られる。
(実施例3)
実施例2と同様にして、Mn−Zn系フェライトの原料となる酸化物として、Fe、MnおよびZnOを用い、それぞれが45mol%Fe、47.4mol%MnO、および7.6mol%ZnOの組成となるように秤量を行ない、ボールミルで混合した後に乾燥し、混合粉末を得た。得られた混合粉末を900℃で仮焼した後、ボールミルを用いて1μmの平均粒子径となるように粉砕した。粉砕して得られたスラリーを乾燥した後に、実施例1におけるものと同じ組成を有するようにCaCO、SiOおよびAlを配合したものを大気中850℃で熱処理後、前記主成分100重量部に対して2.5重量部となるように添加した。さらにMgOを前記主成分100重量部に対して表4に示す比率になるように添加した。また、比較のためにMgOを添加していない試料も作製した。得られた粉末に1%のPVAをバインダとして加え、造粒を行なった。造粒された粉末を外径7.8mm、内径3.8mm、厚さ3mmのリング形状に成形した。成形体は抵抗加熱式の雰囲気焼成炉を用い空気中1200℃で焼成し、Arガス雰囲気下で冷却した。実施例1と同様にして比透磁率、抵抗率および密度を評価した。結果を表4に示す。
表4に示すように2.0重量部未満(但し0を除く)のMgOを含ませることによって抵抗率がさらに向上することがわかる。MgO量が1.0〜1.5重量部では比透磁率は200以上、抵抗率は35×10Ω・m以上である。すなわち、比透磁率の低下を抑えつつ、MgO無添加に比べて10%以上、抵抗率が向上している。
(実施例4)
実施例2のNo6のCASをCaCO、SiOおよびAlとして混合の後、850℃で熱処理後する代りに、以下のようにして添加した試料を作製した。すなわち、CaO、SiOおよびAlの素原料を混合し、得られた混合粉を熱処理することなく、主成分100重量部に対して2.5重量部となるように添加した。それ以外の条件はNo6の試料と同様である。CASを上記のように熱処理することなく添加した場合でも、No6の試料と比較して比透磁率は同等で、抵抗率は20×10Ω・m以上を示した。すなわち、上記のようにしてアノーサイトを形成可能な範囲のCaO、SiOおよびAl(CAS)を含有させることでも抵抗率の大幅な向上が実現できる。なお、抵抗率はNo6の方が20%程度高く、CASは熱処理を施した後に添加する方がより効果的であることがわかった。
(比較例)
実施例2のNo6のCASの代りに、アノーサイトを形成しない組成である31.0mol%CaO、62.1mol%SiO2、および6.9mol%AlとなるようにCaCO、SiOおよびAlを配合したものを熱処理することなく、主成分100重量部に対して2.5重量部添加した試料を作製して評価した。得られた試料では、No6の試料に比べて抵抗率は約1/4に、比透磁率は約2/3に低下した。
1:Mn−Znフェライト相 2:粒界(三重点)

Claims (4)

  1. MnO、ZnOおよびFeを主成分とするフェライト焼結体であって、
    前記フェライト焼結体の主成分組成は、Feの比率が50mol%未満のFeプアー組成であるとともに、
    副成分として、CaO、SiOおよびAlを含有し、
    前記CaO、SiO およびAl 全体の含有量が前記主成分100重量部に対して2.5重量部以下(0を含まず)であって、
    組織中に、Mn、Zn、Fe、Al、Oを含むMn−Znフェライト相と、アノーサイトを有し、粒界にCa、Si、Alが濃化しており、
    抵抗率が10×10 Ω・m以上であることを特徴とするフェライト焼結体。
  2. 前記主成分100重量部に対して、副成分として2.0重量部未満(但し0を除く)のMgOを含有し、抵抗率が35×10 Ω・m以上であることを特徴とする請求項1に記載のフェライト焼結体。
  3. 磁性体に導体を巻回して構成したコイル部品であって、前記磁性体として請求項1又は2に記載のフェライト焼結体を用いたことを特徴とするコイル部品。
  4. 請求項1または2に記載のフェライト焼結体を製造する方法であって、
    Mn 、ZnOおよびFe の素原料を混合し、得られた混合粉を仮焼する工程と、
    CaOまたはCaCO 、SiO およびAl の素原料を混合し、得られた混合粉を800〜900℃の温度範囲で熱処理する工程と、
    前記仮焼する工程を経た原料に前記熱処理する工程を経た原料を添加し、成形した後、大気中で焼成したことを特徴とするフェライト焼結体の製造方法。
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