JP5508553B2 - 粒子線治療装置 - Google Patents

粒子線治療装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5508553B2
JP5508553B2 JP2012557728A JP2012557728A JP5508553B2 JP 5508553 B2 JP5508553 B2 JP 5508553B2 JP 2012557728 A JP2012557728 A JP 2012557728A JP 2012557728 A JP2012557728 A JP 2012557728A JP 5508553 B2 JP5508553 B2 JP 5508553B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
irradiation
particle beam
charged particle
scanning electromagnet
stop
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012557728A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2012111125A1 (ja
Inventor
高明 岩田
賢悟 菅原
久 原田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Application granted granted Critical
Publication of JP5508553B2 publication Critical patent/JP5508553B2/ja
Publication of JPWO2012111125A1 publication Critical patent/JPWO2012111125A1/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B5/00Measuring for diagnostic purposes; Identification of persons
    • A61B5/48Other medical applications
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61NELECTROTHERAPY; MAGNETOTHERAPY; RADIATION THERAPY; ULTRASOUND THERAPY
    • A61N5/00Radiation therapy
    • A61N5/10X-ray therapy; Gamma-ray therapy; Particle-irradiation therapy
    • A61N5/1042X-ray therapy; Gamma-ray therapy; Particle-irradiation therapy with spatial modulation of the radiation beam within the treatment head
    • A61N5/1043Scanning the radiation beam, e.g. spot scanning or raster scanning
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61NELECTROTHERAPY; MAGNETOTHERAPY; RADIATION THERAPY; ULTRASOUND THERAPY
    • A61N5/00Radiation therapy
    • A61N5/10X-ray therapy; Gamma-ray therapy; Particle-irradiation therapy
    • A61N5/1048Monitoring, verifying, controlling systems and methods
    • A61N2005/1074Details of the control system, e.g. user interfaces
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61NELECTROTHERAPY; MAGNETOTHERAPY; RADIATION THERAPY; ULTRASOUND THERAPY
    • A61N5/00Radiation therapy
    • A61N5/10X-ray therapy; Gamma-ray therapy; Particle-irradiation therapy
    • A61N2005/1085X-ray therapy; Gamma-ray therapy; Particle-irradiation therapy characterised by the type of particles applied to the patient
    • A61N2005/1087Ions; Protons

Description

本発明は、医療用や研究用に用いられる粒子線治療装置に関し、特にスポットスキャニングやラスタースキャニングといった走査型の粒子線治療装置に関する。
一般に粒子線治療装置は、荷電粒子ビームを発生するビーム発生装置と、ビーム発生装置につながれ、発生した荷電粒子ビームを加速する加速器と、加速器で設定されたエネルギーまで加速された後に出射される荷電粒子ビームを輸送するビーム輸送系と、ビーム輸送系の下流に設置され、荷電粒子ビームを患者の患部等である照射対象に照射するための粒子線照射装置とを備える。粒子線照射装置には大きく、荷電粒子ビームを散乱体で散乱拡大し、拡大した荷電粒子ビームを照射対象の形状にあわせて照射野を形成するブロード照射方式と、照射対象の形状に合わせるように、細いペンシル状のビームを走査して照射野形成するスキャニング照射方式(スポットスキャニング、ラスタースキャニング等)とがある。
ブロード照射方式は、コリメータやボーラスを用いて患部形状に合う照射野を形成する。患部形状に合う照射野を形成し、正常組織への不要な照射を防いでおり、最も汎用的に用いられている、優れた照射方式である。しかし、患者ごとにボーラスを製作したり、患部に合わせてコリメータを変形させたりする必要がある。
一方、スキャニング照射方式は、コリメータやボーラスが不要といった自由度の高い照射方式である。しかし、患部以外の正常組織への照射を防ぐこれら部品を用いないため、ブロード照射方式以上に高いビーム照射位置精度が要求される。
特許文献1には、荷電粒子ビームを走査する走査電磁石のヒステリシスの影響を低減し、高精度なビーム照射を実現することを目的とし、以下の発明が開示されている。特許文献1の発明は、荷電粒子ビームの目標照射位置座標に基づいて走査電磁石を制御する照射管理装置と、荷電粒子ビームの測定位置座標を測定する位置モニタとを備え、照射管理装置は、走査電磁石の励磁パターンが本照射の計画と同一である事前照射において位置モニタにより測定された測定位置座標及び目標照射位置座標に基づいて生成された補正データと目標照射位置座標とに基づいて走査電磁石への制御入力を出力する指令値生成器を有する。
このことにより特許文献1の発明は、走査電磁石の励磁パターンが事前照射と本照射の計画とで同一にして、事前照射で得られた結果に基づいて走査電磁石への制御入力を予め補正するので、走査電磁石のヒステリシスの影響を排除し、高精度なビーム照射を実現することができるようにしていた。
特許4532606号公報(図1、図2)
特許文献1の発明は、走査電磁石の励磁パターンが本照射の計画と同一である事前照射に基づいて予め補正を行っているので、本照射において高精度なビーム照射を実現するという格別な効果を発揮するものである。たしかに、通常に治療が実施されれば、特許文献1の発明は何ら問題を生じない。しかし、治療現場においては、荷電粒子ビームのサイズが許容範囲を超えたり、患者の具合が悪くなったりする等の不測の事態により、照射を中断しなければならない状況、すなわち粒子線治療装置の非常停止処理を行わなければならない状況が起こりうる。
この場合、非常停止処理が実行され、一旦荷電粒子ビームの照射を停止する。患部の途中まで照射が行われているので、荷電粒子ビームの照射は中断した照射位置から照射を再開し、患部全体が治療計画で計画された線量になるようにする必要がある。この際、単に中断した照射位置から照射を再開したならば、走査電磁石の励磁パターンを途中から行うことになる。この結果、走査電磁石はヒステリシスの影響を受けるので、走査電磁石の状態は照射を中断した場合としない場合とで異なってしまい、走査電磁石の状態が異なったまま本照射が再開され、中断しない場合とは違う位置に照射され、高精度にビームを照射できないという残された課題があった。
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、治療中に非常停止処理がされた場合でも、走査電磁石のヒステリシスの影響を排除し、中断した照射位置から高精度なビーム照射を再開することができる粒子線治療装置を得ることを目的とする。
荷電粒子ビームの目標照射位置座標に基づいて走査電磁石を制御する照射管理装置と、不測の事態が発生した際に荷電粒子ビームの照射を停止するインターロック信号を生成するインターロック情報入力器と、を備える。照射管理装置は、走査電磁石への制御入力を出力する指令値生成器と、インターロック情報入力器からインターロック信号が生成した場合に、荷電粒子ビームの照射が停止した目標照射位置座標に対応した停止ステップを記憶する停止ステップ記憶メモリと、を有する。照射管理装置は、荷電粒子ビームの照射を再開する場合に、停止ステップよりも前のステップであって、本照射の最初の目標照射位置座標に対応した起点ステップとは異なる開始ステップから、荷電粒子ビームを照射しない状態で、停止ステップまで走査電磁石を制御する空運転を実行し、停止ステップに対応した目標照射位置座標から荷電粒子ビームを照射する。
本発明に係る粒子線治療装置は、治療中に非常停止処理がされた場合に、停止ステップよりも前のステップであって、起点ステップとは異なる開始ステップから、走査電磁石への制御入力を含む照射指令データに基づいて空運転し、中断した照射位置からビーム照射を開始するので、走査電磁石のヒステリシスの影響を排除し、中断した照射位置から高精度なビーム照射を再開することができる。
本発明の実施の形態1による粒子線治療装置を示す構成図である。 図1の加速器の概略構成図である。 図1の粒子線照射装置の概略構成図である。 本発明の実施の形態1による粒子線治療装置の制御ブロック図である。 指令電流の補正方法を説明する図である。 本発明の実施の形態1による粒子線治療装置における、ビーム停止及び再開手順を示すフロー図である。 基準呼吸信号及び実呼吸信号を示す図である。 本発明の実施の形態2による粒子線治療装置における、ビームパスに沿って患部にビームが走査されることを示した模式図である。 本発明の実施の形態2による粒子線治療装置の走査電磁石のヒステリシス特性を示した図である。 本発明の実施の形態2による粒子線治療装置における、ビーム停止及び再開手順を示すフロー図である。 本発明の実施の形態2による粒子線治療装置における、他のビーム停止及び再開手順を示すフロー図である。
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1による粒子線治療装置の構成について説明する。図1は本発明の実施の形態1による粒子線治療装置を示す構成図である。図2は加速器の概略構成図であり、図3は粒子線照射装置の概略構成図である。図4は、本発明の実施の形態1における粒子線治療装置の制御ブロック図である。
はじめに、粒子線治療装置の大まかな構成について図1を用いて説明する。粒子線治療装置51は、ビーム発生装置52と、ビーム輸送系59と、粒子線照射装置58a、58bとを備える。ビーム発生装置52は、イオン源(図示せず)と、前段加速器53と、シンクロトロンである円形加速器(以降、単に加速器と称する)54とを有する。粒子線照射装置58bは回転ガントリ(図示せず)に設置される。粒子線照射装置58aは回転ガントリを有しない治療室に設置される。ビーム輸送系59の役割は加速器54と粒子線照射装置58a、58bの連絡にある。ビーム輸送系59の一部は回転ガントリ(図示せず)に設置され、その部分には複数の偏向電磁石55a、55b、55cを有する。ビーム発生装置52、ビーム輸送系59、粒子線照射装置58a、58bは、制御系により連携して制御される。
イオン源で発生した陽子線、炭素線(重粒子線)等の粒子線である荷電粒子ビーム1は、前段加速器53で加速され、加速器54に入射される。荷電粒子ビーム1は、所定のエネルギーまで加速される。加速器54で高周波数の電界で加速し磁石で曲げながら、光速の約70〜80%まで加速される。加速器54から出射された荷電粒子ビーム1は、ビーム輸送系59を経て粒子線照射装置58a、58bに輸送される。ビーム輸送系59では、十分にエネルギーが与えられた荷電粒子ビーム1を、真空ダクトにより作られた通路を、電磁石で必要に応じて軌道を変え、指定された治療室の粒子線照射装置58a、58bへと導く。粒子線照射装置58a、58bは、照射対象15である患者24の患部の大きさや深さに応じて照射野を成形し、荷電粒子ビーム1を照射対象15(図3参照)に照射する。
さて「指定された治療室」と記載したが、粒子線治療装置は治療効率の観点から、一般的に複数の治療室を備える。すなわち、粒子線照射装置58は、治療室の数だけ備える必要がある。このように複数のサブシステムからなる大型で複雑なシステムは、一般的に、各サブシステムを専ら制御するサブ制御器と全体を指揮し制御するメイン制御器からなることが多い。本発明の実施の形態1に示す粒子線治療装置51についても、このメイン制御器とサブ制御器の構成を採用している場合で説明をする。簡単のため、ビーム発生装置52及びビーム輸送系59を有するサブシステムの全てを、ここでは加速器系60とよぶことにする。粒子線照射装置58、回転ガントリを「照射系」とよぶことにする。図1においては、水平照射室とガントリ照射室の2つの治療室がある場合を示した。加速器系と照射系を連携して制御する上記制御器は、粒子線治療装置の制御系である。
<加速器>
加速器54について、図2を用いて説明する。加速器54は、荷電粒子ビーム1が周回する軌道経路となる真空ダクト61、前段加速器53から供給された荷電粒子ビーム1を真空ダクト61に入射するための入射装置62、荷電粒子ビーム1が真空ダクト61内の周回軌道に沿って周回する荷電粒子ビーム1を形成するように軌道を偏向させるための偏向電磁石63a、63b、63c、63d、周回軌道上に形成された荷電粒子ビーム1が発散しないように収束させる収束用電磁石64a、64b、64c、64d、周回する荷電粒子に同期した高周波電圧を与えて加速する高周波加速空洞65、加速器54内で加速させた荷電粒子ビーム1を加速器54外に取りだし、ビーム輸送系59に出射するための出射装置66、出射装置66から荷電粒子ビーム1を出射させるために荷電粒子ビーム1の周回軌道に共鳴を励起する六極電磁石67を備えている。
なお、偏向電磁石63a、63b、63c、63dには、偏向電磁石63a、63b、63c、63dの励磁電流を制御する偏向電磁石制御装置や、高周波加速空洞65には、高周波加速空洞65に高周波電圧を供給するための高周波源、高周波源を制御するための高周波制御装置というように、各部を制御するための図示しない装置が備えられており、偏向電磁石制御装置、高周波制御装置や収束用電磁石64a、64b、64c、64dなどその他のコンポーネントを制御して加速器全体を制御する加速器制御装置を制御系内に備えている。ただし、本発明の技術思想においては、加速器自体の制御を限定するものではないので、上記構成に限ることなく、安定して荷電粒子ビーム1をビーム輸送系59に出射できるものであれば、種々の変形が許されることはいうまでもない。
<ビーム輸送系>
加速器54により加速された荷電粒子ビーム1は、HEBT(高エネルギービーム輸送:High Energy Beam Transport)系と称されるビーム輸送系59へと出射される。ビーム輸送系59は、荷電粒子ビーム1の輸送経路となる真空ダクトと、荷電粒子ビーム1のビーム軌道を切替える切替装置である切替電磁石68と、ビームを所定角度に偏向する偏向電磁石とを備えている。そして加速器54により十分にエネルギーが与えられ、真空ダクトにより作られた輸送経路内を進む荷電粒子ビーム1を、切替電磁石68で必要に応じて軌道を変え、指定された治療室に設けられた照射装置へと導く。
<照射系>
照射系は、ビーム輸送系59から供給された荷電粒子ビーム1を照射対象15である患者の患部の大きさや深さに応じた照射野に成形して患部へ照射する粒子線照射装置58を備えたものである。一般的に、粒子線治療装置51において照射野成形方法には、散乱体法、ワブラー法、スキャニング法が提案されている。照射系(粒子線照射装置)は、各照射方法に応じて、その構成を異にする。本発明においては、スポットスキャニングやラスタースキャニングに代表されるスキャニング法を採用した粒子線治療装置(「走査型の粒子線治療装置」ともいう)を対象としている。走査型の粒子線治療装置の場合、粒子線照射装置58は、ペンシル状の荷電粒子ビーム1を照射対象15の形状に合わせて走査するための1組の走査電磁石3及び照射位置を測定するための位置モニタ7等を備える。粒子線照射装置58の詳しい構成は、後述する。
<制御系>
制御系について、機能ブロックを示した図4を用いて説明する。ところで、粒子線治療装置51における制御器には、ワークステーションやコンピュータを用いることが一般的である。そのため、制御器を「計算機」という呼び方をする場合も多い。例えば、図4におけるメイン制御器70は、実態は照射系共通計算機と称されることが多いコンピュータ上の機能であるが、ここではある機能を有する制御器として扱う。また、サブ制御器71a、71bは、機器制御計算機と称されることが多いコンピュータ上の機能であるが、ここではある機能を有する制御器として扱う。サブ制御器71a、71bは、患者24を搭載するための治療台及び患部(照射対象15)の位置を撮影するためのX線撮像装置など、治療室の一部の機器をひとつのサブシステムとして、当該サブシステムの制御を行う。
照射系80は、メイン制御器70と、照射操作室81に配置される機器と、治療室82aに配置される機器と、治療室82bに配置される機器とにより構成される。治療室82aには、粒子線照射装置58aの照射機器部31aが配置される。治療室82bには、粒子線照射装置58bの照射機器部31bが配置される。
サブ制御器71a、71bに繋がれた操作卓72a、72b、73a、73b、74a、74bとは、いわゆるキーボードやディスプレイ等、若しくはコントローラボックス等の端末であり、マンマシンインターフェース部である。操作卓72a、72bは照射操作室81設置され、操作卓73a、74aは治療室A(82a)に設置され、操作卓73b、74bは治療室B(82b)に設置される。サブ制御器71a、71bの下位部には、制御盤75a、75bが繋がれる。制御盤75a、75bは、具体的には、制御対象である各種機器76a、76b、77a、77bのドライバ、アンプ及びシーケンサ等である。また、制御盤75a、75bは、メイン制御器70とインターロック情報入力器84a、84b、照射機器部31a、31bとの信号を通過させる。制御盤75a、75bを経由して、さらに下位部には、機器76a、76b、77a、77b、インターロック情報入力器84a、84b及び照射機器部31a、31bが繋がれる。機器76a、76b、77a、77bとは、具体的には治療台の各軸を動かすためのモータや、照射装置内のX線撮像装置を駆動するモータ等である。照射機器部31a、31bそれぞれに備えられた走査電磁石3a、3bへの励磁電流は、走査電磁石電源4から切替回路79を経由して供給される。
さて、前記治療台用のモータやX線撮像装置用のモータは、ビーム照射中には動かさない。すなわち、加速器系60で制御する加速器等の電磁石と同期して制御する必要はない。メイン制御器70とサブ制御器71a、71bとのやり取りは、どの治療室の照射機器部31a、31bが位置決め完了して照射してよい状態かを示すReady信号や、どの治療室の照射機器部31a、31bにビームを照射し、照射が終了したことを知らせる信号等、互いに状態を知らせる目的のものである。簡単に言えば、シーケンシャルなイベントを行っていくイメージである。
ここで、照射系共通計算機(メイン制御器70)と機器制御計算機(サブ制御器71a、71b)との役割について説明する。各治療室82a、82bには、前述したとおりそれぞれ粒子線照射装置58a、58bの照射機器部31a、31bが備えられている。また、前述したとおり、走査型の粒子線治療装置の場合、照射機器部31a、31bには1組の走査電磁石3及び照射位置を測定するための位置モニタ7等が備わっている。ただし、図4に示すように、この走査電磁石3の制御や位置モニタ7からの信号処理は機器制御計算機で行わず、照射系共通計算機(後述する照射管理装置)が行っている。
このことは、2つの理由による。第1の理由は加速器系との同期制御の必要性であり、第2の理由は瞬時性(無駄時間をできるだけなくす必要性)である。治療計画どおりに照射を実現するには、加速器系60と照射系80とを同期して制御をする必要がある。たしかに、サブ制御器71a、71bとメイン制御器70とは、同期信号等を用いて同時期かつ並列的に処理をすることは可能である。しかし、経由する機器が多ければ多いほど、無駄時間が生じてしまい、制御性能を劣化させてしまう。そこで、本発明による粒子線治療装置51では、加速器系60や走査電磁石3などビーム照射中にリアルタイムで制御する必要があるものはメイン制御器70である照射系共通計算機(照射管理装置)が行い、一方、治療台やX線撮像装置など照射中に駆動する必要のないものはサブ制御器71a、71bである機器制御計算機が行うようにしている。
1つのメイン制御器70によって集中管理することにより、無駄時間をできるだけなくすことができ、制御性能を劣化させないで高精度なビーム照射を実現するためである。なお、同様の瞬時性の理由により、インターロック(非常停止処理)として機能するインターロック情報入力器84a、84b等の信号処理もメイン制御器70たる照射系共通計算機(照射管理装置)が行うのがよい。また、照射系共通計算機は、どの治療室が荷電粒子ビーム1を占有するかを管理する、いわゆる「加速器取り合い」機能も備える。
次に、粒子線照射装置58について図3を用いて説明する。粒子線照射装置58は、照射機器部31と、走査電磁石電源4と、インターロック情報入力器84と、照射機器部31やインターロック情報入力器84の制御やデータ取集等を行う照射管理装置32とを備える。インターロック情報入力器84は、後述する患者センサ78を有する。照射機器部31は、ビーム輸送系59から入射された荷電粒子ビーム1を輸送するビーム輸送ダクト2と、荷電粒子ビーム1に垂直な方向であるX方向及びY方向に荷電粒子ビーム1を走査する走査電磁石3x、3yと、位置モニタ7と、位置モニタ7の信号を増幅するプレアンプ9と、位置モニタユニット8と、線量モニタ11と、線量モニタ11の信号を増幅するプレアンプ13と、線量モニタユニット12と、ビーム拡大装置16と、ビーム拡大制御装置17と、ベローズ18と、真空ダクト19と、リップルフィルタ20と、レンジシフタ21と、レンジシフタユニット23とを備える。なお、図3に示したように荷電粒子ビーム1が入射する方向はZ方向である。
走査電磁石3xは荷電粒子ビーム1をX方向に走査するX方向走査電磁石であり、走査電磁石3yは荷電粒子ビーム1をY方向に走査するY方向走査電磁石である。位置モニタ7は走査電磁石3x、3yで偏向された荷電粒子ビーム1が通過する通過位置(重心位置)及びビームサイズを検出する。プレアンプ9は位置モニタ7で検出した通過位置及びビームサイズのアナログデータを増幅する。ここで、ビームサイズは荷電粒子ビーム1のZ方向に垂直なXY面を通過する面積である。位置モニタユニット8は、位置モニタ7で検出した通過位置及びビームサイズをプレアンプ9を介して受け取り、その通過位置及びビームサイズをデジタルデータに変換し、測定位置座標Ps及び測定ビームサイズSsを生成する。
線量モニタ11は荷電粒子ビーム1の線量を検出する。プレアンプ13は線量モニタ11で検出した線量のアナログデータを増幅する。線量モニタユニット12は、線量モニタ11で検出した線量をプレアンプ13を介して受け取り、その線量をデジタルデータに変換し、測定線量Dsを生成する。
ビーム拡大装置16は必要に応じて荷電粒子ビーム1のビームサイズを拡大する。真空ダクト19は荷電粒子ビーム1を通過する真空領域を確保する。ベローズ18はビーム輸送ダクト2と真空ダクト19を伸縮自在に接続し、真空領域を照射対象15へ延長する。リップルフィルタ20はリッジフィルタとも呼ばれ、凸形の形状をしている。リップルフィルタ20は、加速器54から送られてくるほぼ単一のエネルギーを有する単色ビームである荷電粒子ビーム1にエネルギーロスをさせ、エネルギーに幅を持たせる。
照射対象15における深さ方向(Z方向)の位置座標の制御は、加速器54の加速エネルギーを変更して荷電粒子ビーム1のエネルギーを変更すること及びレンジシフタ21により荷電粒子ビーム1のエネルギーを変更することにより行う。レンジシフタ21は荷電粒子ビーム1の飛程を小刻みに調整する。大幅な荷電粒子ビーム1の飛程変更は加速器54の加速エネルギーの変更で行い、小幅な荷電粒子ビーム1の飛程変更はレンジシフタ21の設定変更で行う。
照射管理装置32は、治療計画装置により作成された治療計画データF0を読み出し、照射線量を制御するために分割された照射単位である照射スポットの照射順番に並べ変えた設定データFiを生成する。すなわち設定データFiはシーケンス化された治療計画データ(後述するシーケンシャルなデータ)である。照射管理装置32は、設定データFiに基づいて各機器への指令である設定データFoを出力する。
設定データFiの要素は目標照射位置座標Pi、目標線量Di、目標ビームサイズSi、目標加速器設定Bi、レンジシフタ挿入量Riであり、設定データFiの各要素はそれぞれ治療計画データF0の要素である目標照射位置座標Pi0、目標線量Di0、目標ビームサイズSi0、目標加速器設定Bi0、レンジシフタ挿入量Ri0がシーケンス化されたデータである。設定データFoは、加速器設定指令Bo、レンジシフタ指令Ro、指令電流Io(補正をしていない指令電流)、指令電流Ir(指令電流Ioを補正した指令電流)、ビームサイズ指令So、目標線量Doである。
照射管理装置32は、患者24がいない状態で行う事前照射における測定位置座標Ps、測定線量Ds、測定ビームサイズSs等の照射記録を受信し、照射記録の評価を行う。照射管理装置32は、測定位置座標Psに基づいて、指令電流Ioを補正した指令電流Irを生成し、走査電磁石電源4に指令電流Ioまたは指令電流Irを送信する。また、照射管理装置32は、患者24に実際に照射した本照射における測定位置座標Ps、測定線量Ds、測定ビームサイズSs等の照射記録を受信し、本照射における照射記録を患者ファイルサーバに記憶する。
照射管理装置32は、各機器にトリガ信号、カウント開始信号、ビーム供給指令、ビーム停止指令を出力し、照射対象15における照射スポット及び照射線量を制御する。照射スポットは、Z方向に分割した層であり、荷電粒子ビーム1の運動エネルギーに応じた層であるスライスと、各スライスにおけるXY方向に分割される。ここでは、スライスを変更する際に荷電粒子ビーム1を停止し、同一スライス内を照射する際には荷電粒子ビーム1を照射し続ける照射方法で説明する。照射管理装置32は、照射対象15を運動エネルギーに応じた層であるスライス毎に荷電粒子ビーム1を走査する。照射管理装置32は、トリガ信号により各照射スポットに対する各機器の設定を変更し、カウント開始信号により照射スポットの照射線量の測定を開始し、測定線量Dsが目標線量Doに達すると次の照射スポットに対する制御を行い、照射対象15を複数に分割された照射区分(スライス)のそれぞれに対する照射が終了すると、加速器系60に対してビーム停止指令を出力し、荷電粒子ビーム1を停止させる。次に、照射管理装置32は、トリガ信号を出力し、補正された指令電流Ir、ビームサイズ指令So、加速器設定指令Bo、レンジシフタ指令Roを順次変更し、照射対象15の全スライスに照射が終了するまで荷電粒子ビーム1の照射を行う。
走査電磁石電源4は照射管理装置32から出力された走査電磁石3への制御入力である指令電流Io(Ir)に基づいて走査電磁石3x、3yの設定電流を変化させる。ビーム拡大制御装置17はビーム拡大装置16に位置モニタ7におけるビームサイズを設定するビームサイズ指令Soを出力する。レンジシフタユニット23はレンジシフタ21に荷電粒子ビーム1のエネルギーを変更するレンジシフタ指令Roを出力する。
患者センサ78は、患者24の動きを検出し、患者24の動きを反映した患者信号を出力する。患者センサ78は、患者の動きが所定の範囲を超えた場合に照射を停止するため、すなわち粒子線治療装置の非常停止処理を行うためのものである。患者センサ78は、次のものが考えられる。具体的には、フローセンサによる呼気の流れを検出したり、吸気に伴う鼻腔付近の温度変化をサーミスタや赤外線カメラによる画像処理を用いて計測したり、患者の腹部の動きを腹部に取り付けたレーザ光源をポジションセンシティブディテクタ(位置センサ)で検出したり、レーザ変位計により患者の腹部の動きを信号化したりする方式が考えられる。なお、患者センサ78は、粒子線治療装置51の呼吸同期照射に用いられる呼吸センサを兼用してもよい。いずれも、患者24の動きを検出する目的で使用するものであるためである。
次に、本発明の基礎となる特許文献1に記載の技術について、簡単に説明する。特許文献1に記載する発明は、加速器54により加速され、走査電磁石3で走査された荷電粒子ビーム1を照射対象15に照射する粒子線治療装置51についてなされたものであって、次の特徴をもつ。(A)荷電粒子ビーム1の目標照射位置座標Piに基づいて走査電磁石3を制御する照射管理装置32を備える。(B)荷電粒子ビーム1の測定位置座標Psを測定する位置モニタ7を備える。(C)照射管理装置32は、走査電磁石3の励磁パターンが本照射の計画と同一である事前照射において位置モニタ7により測定された測定位置座標Ps及び目標照射位置座標Piに基づいて生成された補正データIaと目標照射位置座標Piとに基づいて走査電磁石3への制御入力Io(Ir)を出力する指令値生成器を有する。
電流補正データIaを生成する方法を説明する。図5は指令電流の補正方法を説明する図である。走査電磁石電源4への指令電流Ioにより走査電磁石3に出力される電流Iに対するBL積を測定する。BL積は磁場の強さBと走査電磁石3の磁極の有効長Lとの積である。飽和磁束密度を通る最大ヒステリシス曲線αを描かせる。最大ヒステリシス曲線αの電流増加方向と電流減少方向の平均を取り、ヒステリシスループの中心線βを求める。
指令電流Ioにより設定される電流値I(id)は、照射予定位置である目標照射位置座標Pi、ヒステリシスループの中心線β、荷電粒子ビーム1のエネルギー、走査電磁石3の設置位置から照射位置までの距離により求まる。荷電粒子ビーム1に働くローレンツ力を考慮して、荷電粒子ビーム1の位置座標からBL積の値を求めることができる。指令電流Ioは、目標照射位置座標Piから算出される理想のBL積の値BL(id)とヒステリシスループの中心線βとの交点P´(図示せず)における電流I(id)に対応する指令値である。このBL(id)は測定するBL積の値の期待値BL(ex)となる。
測定された測定位置座標PsからBL積の値BL(me)を算出する。図5のP点が実測値である。測定されたBL積の値BL(me)は期待値BL(ex)からΔBLだけずれが生じている場合を考える。指令電流Ioを求めた交点P´における接線の傾きKを持つ直線を用いてΔBLだけずらして電流を補正する。補正はBL積がBL(ex)となる電流値I1を求めればよい。電流値I1が求まれば、BL(id)となる電流値I1に設定する指令電流Irを生成できる。このような方法によって、走査電磁石3のヒステリシスの影響による荷電粒子ビーム1の位置ずれを許容範囲内にすることができる。
一点鎖線の直線γは電流値I(id)における中心線βの接線と同じ傾きKの直線である。傾きKは(1)式のように表わせ、補正後の電流値I1は(2)式のように表わせる。
Figure 0005508553

ここでΔBLはBL(me)−BL(ex)である。電流補正データIaにより設定される補正電流値ΔIはΔBL/Kである。
次に、粒子線治療装置51の非常停止処理を行う場合を考える。上述したように非常停止処理は不測の事態により、照射を中断する処理である。非常停止処理を行わなければならない状況は、例えば、位置モニタ7により検出した荷電粒子ビーム1の測定位置座標Psや測定ビームサイズSsが許容値を超えた場合や、患者24の具合が悪くなったりする等の不測の事態が起こった状況である。実施の形態1の粒子線照射装置58は、図3では患者の動きを検出する患者センサ78を備えた場合を示したが、具合が悪くなったことを患者24自らが知らせる患者コールボタン(図示せず)や、緊急時に、医者・技師等が操作により照射を停止することができるための照射停止ボタン(図示せず)を備えている。患者センサ78、患者コールボタン、照射停止ボタン、位置モニタ7は、不測の事態の場合にビーム照射を停止し、安全を確保するためのインターロック機能を働かせるインターロック信号を生成するためのインターロック情報入力器84となる。インターロック情報入力器84は、患者センサ78、患者コールボタン、照射停止ボタン、位置モニタ7から出力された信号からインターロック信号を生成する信号生成器を有している。
前述したとおりインターロック処理(非常停止処理)は瞬時性が求められるので、この信号処理は、メイン制御器70たる照射系共通計算機(照射管理装置32)が行うようにするのがよい。本発明の実施の形態1によるメイン制御器70たる照射管理装置32は、以下の特徴を備える。
患者センサ78で検出した信号(患者信号)から、患者24の動きが所定の範囲を超えた場合に、照射を停止すると判断する。位置モニタ7が検出した荷電粒子ビーム1の測定位置座標Psや測定ビームサイズSsが所定の範囲(許容値)を超えた場合(荷電粒子ビーム1の品質が悪くなる場合に相当する)に、照射を停止すると判断する。また、緊急時に患者24が患者コールボタンの操作によって不具合の意志を表した場合や、緊急時に医者・技師等が照射停止ボタンのボタン操作によって照射停止の意志を表した場合、同様に照射を停止すると判断する。メイン制御器70たる照射管理装置32は、加速器系60(加速器54、ビーム輸送系59)をも制御しているため、照射の停止を判断した場合に、加速器系60を制御し、荷電粒子ビーム1のビーム照射の停止をすることができる。なお、患者センサ78により検出する患者24の動きにおける所定の範囲とは、患者24の通常の呼吸を行っている際の移動範囲に相当する検出値にマージンを追加したものである。患者24の動きを検出し、所定の範囲を超えたか否かを判定する方法は、後述する。
実施の形態1による照射管理装置32は、さらに以下の特徴を備える。前述のとおり照射管理装置32は、事前照射に基づいて生成した補正データIaと走査電磁石3への制御入力を出力する指令値生成器を有する。すなわち、照射管理装置32は、指令値生成器により予め補正された制御入力を、シーケンシャルなデータとして保有していることになる。シーケンシャルなデータとは、ステップ(所定の時間に実行される個別処理)ごとに実行する形式のデータをいう。目標照射位置座標Piがシーケンシャルなデータとして与えられているため、その目標照射位置座標Piに対応した走査電磁石3への制御入力も、シーケンシャルなデータとして必要である。照射管理装置32は、インターロック情報入力器により生成されたインターロック信号に基づいて、前記照射停止を判断し、照射停止をした場合、このときの目標照射位置座標Pi(すなわち停止位置座標)に対応したステップ(停止ステップ)を、内蔵する停止ステップ記憶メモリに記憶する。例えば、あるスライスにおける目標照射位置座標Piに対応した制御入力を、出力したステップ番号nを記憶する(停止ステップ記憶手順)。なお、停止ステップ記憶メモリは、照射管理装置32の内部にある場合に限らず、外部にあっても構わない。
実施の形態1による照射管理装置32は、さらに以下の特徴を備える。粒子線治療の1回の治療時間は30分ほどであり、そのうちの照射時間も数分程度である。このような時間中、患者24の気分が悪くなる、咳き込んでしまう、あるいは荷電粒子ビーム1の品質が悪くなる等、不測の事態がないとは言い切れない。位置モニタ7が検出した荷電粒子ビーム1の測定位置座標Psや測定ビームサイズSsが所定の範囲(許容値)を超えた場合は、荷電粒子ビーム1の品質が悪くなる場合に相当する。この場合、センサによるセンシングもしくはボタン等の操作により照射を停止し、治療を中断する。前記不測の事態が解消し、照射を再開する場合、照射管理装置32は、ビームを照射しない状態で、例えば、スライスにおける最初のステップから走査電磁石3を制御する(空運転手順)。このビームを照射しないで走査電磁石3を制御することを、ここでは「空運転する」とよぶことにする。また、空運転を開始するステップを開始ステップとよぶことにする。
これは、単に中断した照射位置から照射を再開したならば、走査電磁石3の励磁パターンを途中から行うことになってしまうが、スライスにおける最初のステップから走査電磁石3を制御すれば、事前照射のときと同一の励磁パターンで制御が実施されるためである。もちろん、ここでビームを照射してしまっては、重複的な照射となってしまうため、空運転することに意味がある。このことにより、事前照射に基づいた補正が有効となり、中断がなかったときと同レベルに高精度なビーム照射が実現できるようになる。
前記空運転は、再現性の観点からスライスにおける最初のステップから行うのが望ましいが、経験的に所定のステップ前(所定のスポット数前)から行うのでも、相応の効果が得られることがわかっている。そこで、実施の形態1においては、開始ステップをスライスにおける最初のステップ又は停止位置に対応したステップよりもあらかじめ設定された所定ステップ前に選択するにしている。すなわち、スライスにおける最初のステップから空運転するか、停止位置に対応したステップよりもあらかじめ設定された所定ステップ前から空運転するか、医者・技師等の操作者が選べられるようにしている。
ここで、どのくらいの所定ステップ前がよいか、その決定方法について説明する。有効な空運転のステップ数は、もっぱら走査電磁石3の規模や性能に依存するところが大きい。そこで、実際に中断状況を意図的に再現し、実験によって異なるステップ数でその効果を確認し、決定するのがよい。場合によっては、前のスライスの途中から空運転が行われることもあり得る。このように、スライスにおける最初のステップを超えた前のステップから空運転をする場合であっても構わない。
最後に、照射管理装置32は、中断によって未照射となった部分を照射するように粒子線照射装置58を制御しなければならない。そこで、照射管理装置32は、空運転が前記停止位置に対応したステップまで実行された後、停止ステップの次の再開ステップからビーム照射を開始するよう加速器系60(加速器54、ビーム輸送系59)を制御して、残りのステップを実行できるようにしている(照射開始手順)。スライスを変更する際に荷電粒子ビーム1を停止し、同一スライス内を照射する際には荷電粒子ビーム1を照射し続ける照射方法の場合は、照射位置、その照射位置における照射線量もシーケンシャルな時間管理(ステップ管理)で再現できる。すなわち、中断した停止位置である照射スポットの照射線量が目標線量Doに達しいていない場合でも、途中の照射線量から再開し、その照射スポットの照射線量が目標線量Doに達してから次の照射スポットに移ることができる。
照射管理装置32の特徴を説明したが、粒子線治療装置51の非常停止処理の流れを、図6を用いてまとめる。図6は、実施の形態1による粒子線治療装置における、ビーム停止及び再開手順を示すフロー図である。治療中に、患者24の気分が悪くなる、咳き込んでしまう、あるいは荷電粒子ビーム1の品質が悪くなる等、不測の事態が発生すると、照射管理装置32は、インターロック情報入力器により生成されたインターロック信号に基づいて、前記照射停止を判断し、照射停止を行う。照射管理装置32は、照射停止をした場合、このときの目標照射位置座標Pi(すなわち停止位置座標)に対応したステップを記憶する。例えば、あるスライスにおける目標照射位置座標Piに対応した制御入力を、出力したステップ番号nを記憶する(ステップS1、停止ステップ記憶手順)。前記不測の事態が解消し、照射を再開する場合、照射管理装置32は、所定の開始ステップから停止ステップまでビーム照射を行わずに走査電磁石電源4を作動させ、走査電磁石3の磁場励磁のみを行う(ステップS2、空運転手順)。照射管理装置32は、空運転が前記停止位置に対応したステップまで実行された後、停止ステップの次の再開ステップから加速器系60(加速器54、ビーム輸送系59)を制御して、ビーム照射を再開する(ステップS3、照射開始手順)。
以上により、実施の形態1による粒子線治療装置51では、患者の具合が悪くなる等の不測の事態が起きた場合でも、センサ又はボタン等の操作によって照射を中断することができ、ビームを照射しない状態でスライスにおける最初のステップ又は所定のステップ前(開始ステップ)から走査電磁石3を制御するため、走査電磁石3の励磁パターンを事前照射と同じにでき、事前照射に基づいた補正(すなわち事前照射で得た情報)を有効にでき、もって高精度なビーム照射を実現することができる。したがって、治療中に非常停止処理がされた場合でも、走査電磁石3のヒステリシスの影響を排除し、中断した照射位置から高精度なビーム照射を再開することができる。
患者24の動きを検出し、所定の範囲を超えたか否かを判定する方法について説明する。前述した患者センサ78により、平常時の呼吸によって生じる変化を呼吸信号として測定し、基準となる呼吸信号(基準呼吸信号)の時間変化波形である基準患者状態波形を予め取得しておく。本照射の際に患者センサ78により測定する呼吸信号(実呼吸信号)から生成した実患者状態波形を基準患者状態波形と比較して、この実患者状態波形と基準患者状態波形との差が所定の範囲を超えた否かを判定する。基準呼吸信号を測定する際の患者センサ78は、治療時の呼吸信号を測定する患者センサ78と同じタイプ(測定原理が同じもの)のものを使用する。
基準呼吸信号は、きれいな三角関数であることはないが、ほぼ一定周期の信号なので、最も近い三角関数に変換してゲイン(三角関数の振幅)および位相を算出することを考える。基準呼吸信号Rtj(t)を例えば、式(3)に示すようにフーリエ級数展開した場合に展開される0次項からn次項のうち、式(4)に示すように、その一次項に相当する対をなす三角関数の係数a、bを算出し、算出した係数a、bを呼吸信号の状態を示す記述関数として規定する。つまり、基準呼吸信号のうち、定数項と高周波成分をのぞいた基本波形成分を構成する余弦関数と正弦関数の係数a、bを計算する。図7(a)に、基準呼吸信号Rtj(t)と、式(2)で得られたa、bからなる記述関数を波形表示した。
Figure 0005508553
上記のように抽出した記述関数を構成するa、bから、式(5)に示すようにゲインGresを、式(6)に示すように位相φresを得ることができる。
Figure 0005508553
図7は基準呼吸信号及び実呼吸信号を示す図である。図7(a)は基準呼吸信号を示す図であり、図7(b)は実呼吸信号を示す図である。横軸は時間であり、縦軸は呼吸信号R(t)の信号値である。基準呼吸信号Rtj(t)の周期はTresであり、実呼吸信号Rrl(t)の周期はTres1である。BLは基準呼吸信号Rtj(t)や実呼吸信号Rrl(t)のベースラインである。実呼吸信号Rrl(t)は、不規則な信号である。しかし、例えば、基準呼吸信号Rtj(t)の周期Tresに基づいた正弦波信号や、基準呼吸信号Rtj(t)に基づいて呼吸誘導を行うと、実呼吸信号Rrl(t)も基準呼吸信号Rtj(t)と同じ周期を有する周期関数になる。その呼吸特性を利用することにより、実呼吸信号Rrl(t)についても、基準呼吸信号Rtj(t)と同様に、式(4)に示すようにフーリエ級数展開をした場合の一次項に相当する対をなす三角関数の係数a、bからなる記述関数を計算することができる。
患者24の動きを検出し、所定の範囲を超えたか否かを判定する場合には、実呼吸信号Rrl(t)の周期Tres1は、基準呼吸信号Rtj(t)の周期Tresにほぼ一致していればよい。ゲインGres及び位相φresに所定の範囲を設け、このゲインGresや位相φresの範囲を所定の範囲とすることができる。例えば患者が咳き込んだ場合、実呼吸信号のゲインと位相は、急激に変動するので、ゲインGres及び位相φresが所定の範囲を超え、患者が咳き込んだ動きを検出することができる。また、患者が睡眠状態に陥ると、実呼吸信号のゲインは段々と小さくなり、また実呼吸信号の位相は基準呼吸信号の位相と相関がなくなってくる。この場合もゲインGres及び位相φresに適切な範囲を設けることで、患者が睡眠状態に陥ったことや、睡眠状態になろうとする兆候を検出することができる。
以上のように実施の形態1の粒子線治療装置によれば、荷電粒子ビーム1の目標照射位置座標Piに基づいて走査電磁石3を制御する照射管理装置32と、荷電粒子ビーム1の測定位置座標Psを測定する位置モニタ7と、不測の事態が発生した際に荷電粒子ビーム1の照射を停止するインターロック信号を生成するインターロック情報入力器84と、を備え、照射管理装置32は、走査電磁石3の励磁パターンが本照射の計画と同一である事前照射において位置モニタ7により測定された測定位置座標Ps及び目標照射位置座標Piに基づいて生成された補正データIaと目標照射位置座標Piとに基づいて走査電磁石3への制御入力Io(Ir)を出力する指令値生成器と、インターロック情報入力器84からインターロック信号が生成した場合に、荷電粒子ビーム1の照射が停止した目標照射位置座標Piに対応した停止ステップを記憶する停止ステップ記憶メモリと、を有し、照射管理装置32は、荷電粒子ビーム1の照射を再開する場合に、停止ステップよりも前のステップであって、本照射の最初の目標照射位置座標に対応した起点ステップとは異なる開始ステップから、荷電粒子ビーム1を照射しない状態で、停止ステップまで走査電磁石3を制御する空運転を実行し、停止ステップに対応した目標照射位置座標Piから荷電粒子ビーム1を照射するので、治療中に非常停止処理がされた場合に、停止ステップよりも前のステップであって、起点ステップとは異なる開始ステップから、走査電磁石3への制御入力を含む照射指令データに基づいて空運転し、中断した照射位置からビーム照射を開始するので、走査電磁石3のヒステリシスの影響を排除し、中断した照射位置から高精度なビーム照射を再開することができる。
実施の形態2.
実施の形態1では、治療中断後の再開時の走査電磁石3の空運転にについて述べたが、実施の形態2では、走査電磁石3の空運転の前の電磁石の初期化方法に関して述べる。
図8は、本発明の実施の形態2による粒子線治療装置における、ビームパスに沿って患部にビームが走査されることを示した模式図である。走査電磁石3によって走査された荷電粒子ビーム1が、照射対象15である癌等の患部の各層(スライス)に対して照射経路14(ビームパスともいう)に沿って照射される。走査型の粒子線治療装置51においては、各層ごとの前記ビームパス14は治療計画装置を用いて作成される。治療計画装置では、癌患部をできるだけ最短経路でかつ、正常組織への不要な照射がないように最適な治療計画を立案する。治療計画装置には最適化を実施する計算機が組み込まれており、最適な経路は計算機によって求められる。求まった経路に対してそれが適切であるかどうかは、最終的には、治療の主体(責任者)である医師が判断する。作成されたビームパス14に沿って荷電粒子ビーム1が走査されるよう、X方向走査電磁石3xとY方向走査電磁石3yは、照射管理装置32により制御され、走査電磁石電源4(パターン電源ともいう)より駆動電流(指令電流)が供給される。
図9は、実施の形態2による粒子線治療装置の走査電磁石のヒステリシス特性を示した図である。図9(a)はX方向走査電磁石3xのヒステリシス特性を示し、図9(b)はY方向走査電磁石3yのヒステリシス特性を示している。図9に示すように、走査電磁石の材料である磁性材料がヒステリシス特性を有している。図9において、横軸は、入力された指令電流により発生する磁場強度Hを表し、縦軸は磁束密度Bを表す。αxはX方向走査電磁石3xの最大ヒステリシス曲線であり、αyはY方向走査電磁石3yの最大ヒステリシス曲線である。ヒステリシス特性とは、図9に示したように、磁場強度Hが決まってもそれだけでは磁束密度Bが一意に決まらない関係をいう。走査電磁石3においては、患部毎に最適化されたビームパス14を実現するため、患部毎に異なるパターンで励磁される。そのため、走査電磁石3がたどるBH平面上のBH履歴曲線は、ビームパス毎に異なる。
例えば、あるパターンで励磁した場合には、走査電磁石3は図9における細い実線26a、27aのようなBH履歴曲線をたどる。粒子線治療装置51は、人体を対象とした治療装置であるため、不測の事態が発生した場合には、照射を停止する。照射を停止した停止位置(停止スポット)におけるヒステリシス曲線上の点は、P1x、P1yである。その後、安全を確認した後に照射を再開する。再開した際には、停止する前の走査電磁石3の状態を再現した上で、再開を行う必要がある。走査電磁石3の状態を再現するためには、そのときの、磁束密度Bと、磁場強度Hと、磁場時間勾配dH/dtを同一とする必要がある。そのため、荷電粒子ビーム1の照射を開始する前には、例えばB=0、H=0、dH/dt=0など、走査電磁石3が常に同じ状態から照射が開始されるよう、すなわち走査電磁石3の状態をBH平面で表したときに常に同じ点P1x、P1yからBH履歴曲線が開始されるよう、走査電磁石3の初期化を行うことが有効である。破線26b、27bは照射を止めずに走査電磁石3を制御した場合のBH履歴曲線である。走査電磁石3の初期化と実施の形態1で説明した空運転により、BH平面で表したときに常に同じ点P1x、P1yからBH履歴曲線が開始することができる。
走査電磁石3の初期化は、例えば走査電磁石3に対して、仕様の範囲内である+H方向の最大値に励磁し、その後−H方向の最大値に励磁するなど、所定の励磁パターンを与える。このように最大値で励磁することによって、走査電磁石3の材料である磁性材料にある残留磁場をなくすことが期待できる。なお、走査電磁石3の初期化は、B=0、H=0、dH/dt=0に限らず、再現性が確保できればよいので、オフセットがあってもよい。
実施の形態1では、空運転前に走査電磁石3の初期化を行わない例で説明した。実施の形態1では、まれではあるが、空運転でも走査電磁石3のヒステリシスの影響を排除が十分でない場合も起こり得る。走査電磁石3のヒステリシスの影響を排除が十分でない場合には、ビーム照射の位置精度が多少落ちる場合がある。しかし、実施の形態2では、空運転の前に走査電磁石3の初期化を行うので、走査電磁石3のヒステリシスの影響を十分に排除することができる。
なお、走査電磁石3の状態を調整する方法として、補助コイルを用いることも考えられる。走査電磁石3への指令値が0の場合、すなわち、走査電磁石電源4からの駆動電流がなく走査電磁石3が励磁されていない場合、本来磁束密度Bは0とならなければならない。しかし図9に示したとおりに、ヒステリシス特性によって磁束密度Bは0とならない場合がある。このときに、走査電磁石3内に設けた補助コイルに電流を送り制御して、残留磁場を打ち消すように磁束密度Bを0にすることができる。このような方法によっても、走査電磁石3の状態を、常に同じ(例えば、BH平面内における原点や、図9における停止位置P1x、P1y)にして、ビーム照射を開始することができる。空運転の前の走査電磁石3の初期化は、上述したしたように磁束密度Bを0にすることに限らず、再現性が確保できればよいので、オフセットがあってもよい。
図10を用いてビーム停止及び再開手順を説明する。図10は、実施の形態2による粒子線治療装置における、ビーム停止及び再開手順を示すフロー図である。実施の形態2のビーム停止及び再開手順は、実施の形態1のビーム停止及び再開手順とは、走査電磁石3を初期化する手順(ステップS10)が追加され、空運転の開始点が本照射における最初のステップ、すなわち最初のスライスにおける最初のステップから走査電磁石3を制御する(ステップS11、空運転手順)点で異なる。
治療中に、不測の事態が発生すると、照射管理装置32は、インターロック情報入力器により生成されたインターロック信号に基づいて、前記照射停止を判断し、照射停止を行う。照射管理装置32は、中断ステップを記憶する(ステップS1、停止ステップ記憶手順)。照射管理装置32は、走査電磁石3の初期化を行う(ステップS10、磁場初期化手順)。走査電磁石3の初期化は、上述した方法を用いることができる。磁場初期化のあとに、照射管理装置32は、本照射における最初のステップから停止ステップまでビーム照射を行わずに走査電磁石電源4を作動させ、走査電磁石3の磁場励磁のみを行う(ステップS11、空運転手順)。実施の形態1と同様に、ビーム照射を再開する(ステップS3、照射開始手順)。
磁場初期化のあとに空運転を行うことで、照射再開の状態(すなわちBH平面におけるBH履歴曲線)、B=B、H=H、dH/dt=H’を再現できる。ただし、Bは照射中断前の磁束密度であり、Hは照射中断前の磁場強度であり、H’は照射中断前の磁場時間勾配である。
このシーケンスを採用した場合の効果は、照射の途中で中断を行ったとしても、同一のBH履歴曲線をたどった同一の走査電磁石3の状態で照射を再開でき、照射スポットの位置ずれを最小限に抑えることが可能である。なお、ここでは照射中断前の状態B=B、H=H、dH/dt=H‘を再現するための例として、最大励磁してから最小励磁する方法や補助コイルを用いる例を示したが、B=B、H=H、dH/dt=H’を治療再開時に再現可能な走査電磁石3の初期化方法は同様に効果を持ち、本発明を限定することを意図したものではない。
以上のように実施の形態2の粒子線治療装置51は、空運転を行う前に磁場初期化を行うので、実施の形態1よりも走査電磁石3のヒステリシスの影響を十分に排除することができる。
なお、スライスを変更する際に荷電粒子ビーム1を停止し、同一スライス内を照射する際には荷電粒子ビーム1を照射し続ける照射方法の場合は、走査電磁石3に磁場センサを設け、各スライスにおけるビーム照射前に磁場センサにより残留磁場を測定することもできる。残量磁場を測定しておけば、空運転を行う前にスライスにおける最初のステップに戻った際に、その残量磁場の測定値に基づいて走査電磁石3の初期化を行うことができる。また、空運転を行う前に、空運転を開始するスライスにおける最初のステップの残量磁場の測定値に基づいて走査電磁石3の初期化を行うことができる。また、空運転を行う前に走査電磁石3の初期化を行うことができるので、ビーム照射を中断したスライスにおける最初のステップ又は所定のステップ前から運転を行うことができる。この場合のビーム停止及び再開手順を図11に示す。
図11は、実施の形態2による粒子線治療装置における、他のビーム停止及び再開手順を示すフロー図である。図11は、図10とはステップS11が実施の形態1で説明したステップS2に変更された点で異なる。走査電磁石3は、スライスのそれぞれにおいて、その最初の目標照射位置座標Piにおける磁場が磁場センサにより測定される。照射管理装置32は、空運転を開始するスライスにおける最初の目標照射位置座標Piにおける磁場の測定値に基づいて、走査電磁石3の初期化処理を行う。この方法によれば、照射対象15が大きく、照射ステップ数が多い場合に、最後の方のスライスで照射の中断が生じても、本照射の最初のステップから空運転せずに、中断したスライスにおける最初のステップから空運転を行うので、空運転の時間を短縮することができる。
実施の形態1では、空運転の開始ステップとして、再現性の観点からスライスにおける最初のステップから行うのが望ましいが、実験的に確認した所定のステップ前(所定のスポット数前)から行う場合でも、相応の効果が得られることを説明した。この方法を適用すると、スライスにおける最初の目標照射位置座標Piにおける磁場の測定値に基づいて、走査電磁石3の初期化処理を行う場合に限らず、例えばB=0、H=0、dH/dt=0などの所定の初期化条件にて走査電磁石3の初期化処理を行う場合でも、走査電磁石3のヒステリシスの影響を十分に排除することができ、照***度を範囲内にすることができる。
なお、実施の形態1及び2では、スライスを変更する際に荷電粒子ビーム1を停止し、同一スライス内を照射する際には荷電粒子ビーム1を照射し続ける照射方法で説明したが、これに限定されることなく、照射スポット毎に荷電粒子ビーム1の停止するスポットスキャニングや、ラスタースキャニング等の他の照射方法にも適用できる。
1…荷電粒子ビーム、3、3a、3b、3x、3y…走査電磁石、7…位置モニタ、15…照射対象、24…患者、32…照射管理装置、51…粒子線治療装置、54…加速器、78…患者センサ、84、84a、84b…インターロック情報入力器、Ia…電流補正データ、Io、Ir…指令電流Pi…目標照射位置座標、Ps…測定位置座標。

Claims (8)

  1. 加速器により加速され、走査電磁石で走査された荷電粒子ビームを患者の患部に照射する粒子線治療装置であって、
    前記荷電粒子ビームの目標照射位置座標に基づいて前記走査電磁石を制御する照射管理装置と、
    測の事態が発生した際に前記荷電粒子ビームの照射を停止するインターロック信号を生成するインターロック情報入力器と、を備え、
    前記照射管理装置は、前記走査電磁石への制御入力を出力する指令値生成器と、
    前記インターロック情報入力器から前記インターロック信号が生成した場合に、前記荷電粒子ビームの照射が停止した前記目標照射位置座標に対応した停止ステップを記憶する停止ステップ記憶メモリと、を有し、
    前記照射管理装置は、前記荷電粒子ビームの照射を再開する場合に、前記荷電粒子ビームを照射しない状態で、前記停止ステップよりも前のステップであって、本照射の最初の前記目標照射位置座標に対応した起点ステップとは異なる開始ステップから、前記停止ステップまで前記走査電磁石を制御する空運転を実行し、前記停止ステップに対応した前記目標照射位置座標から前記荷電粒子ビームを照射することを特徴とする粒子線治療装置。
  2. 前記照射管理装置は、前記患部を運動エネルギーに応じた層であるスライス毎に前記荷電粒子ビームを走査し、
    前記開始ステップは、前記荷電粒子ビームの照射が停止した前記スライスにおける最初の前記目標照射位置座標に対応したステップであることを特徴とする請求項1記載の粒子線治療装置。
  3. 前記照射管理装置は、前記患部を運動エネルギーに応じた層であるスライス毎に前記荷電粒子ビームを走査し、
    前記開始ステップは、前記荷電粒子ビームの照射が停止した前記スライスにおけるステップであって、かつ前記停止ステップから所定のステップ数だけ前のステップであることを特徴とする請求項1記載の粒子線治療装置。
  4. 加速器により加速され、走査電磁石で走査された荷電粒子ビームを患者の患部に照射する粒子線治療装置であって、
    前記荷電粒子ビームの目標照射位置座標に基づいて前記走査電磁石を制御する照射管理装置と、
    測の事態が発生した際に前記荷電粒子ビームの照射を停止するインターロック信号を生成するインターロック情報入力器と、を備え、
    前記照射管理装置は、前記患部を運動エネルギーに応じた層であるスライス毎に前記荷電粒子ビームを走査し、
    前記照射管理装置は、前記走査電磁石への制御入力を出力する指令値生成器と、
    前記インターロック情報入力器から前記インターロック信号が生成した場合に、前記荷電粒子ビームの照射が停止した前記目標照射位置座標に対応した停止ステップを記憶する停止ステップ記憶メモリと、を有し、
    前記照射管理装置は、前記荷電粒子ビームの照射を再開する場合に、前記荷電粒子ビームを照射しない状態で、前記荷電粒子ビームの照射が停止した前記スライスにおける最初の前記目標照射位置座標に対応したステップである開始ステップから、前記停止ステップまで前記走査電磁石を制御する空運転を実行し、前記停止ステップに対応した前記目標照射位置座標から前記荷電粒子ビームを照射することを特徴とする粒子線治療装置。
  5. 前記インターロック情報入力器は、前記患者の動きを検出する患者センサと、
    前記患者センサからの検出信号が所定の範囲を超えた場合に、前記インターロック信号を生成する信号生成器と、を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の粒子線治療装置。
  6. 前記インターロック情報入力器は、不測の事態が発生した際に押される照射停止ボタンと、
    前記照射停止ボタンからの信号に基づいて、前記インターロック信号を生成する信号生成器と、を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の粒子線治療装置。
  7. 前記照射管理装置は、前記荷電粒子ビームの照射を再開する場合に、前記空運転の前に前記走査電磁石の初期化処理を行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の粒子線治療装置。
  8. 前記走査電磁石の磁場を測定する磁場センサを備え、
    前記照射管理装置は、前記患部を運動エネルギーに応じた層であるスライス毎に前記荷電粒子ビームを走査し、
    前記走査電磁石は、前記スライスのそれぞれにおいて、その最初の前記目標照射位置座標における磁場が前記磁場センサにより測定され、
    前記照射管理装置は、前記空運転を開始する前記スライスにおける最初の前記目標照射位置座標における磁場の測定値に基づいて、前記走査電磁石の初期化処理を行うことを特徴とする請求項7記載の粒子線治療装置。
JP2012557728A 2011-02-17 2011-02-17 粒子線治療装置 Active JP5508553B2 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2011/053367 WO2012111125A1 (ja) 2011-02-17 2011-02-17 粒子線治療装置

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014057705A Division JP5925233B2 (ja) 2014-03-20 2014-03-20 患者呼吸評価装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP5508553B2 true JP5508553B2 (ja) 2014-06-04
JPWO2012111125A1 JPWO2012111125A1 (ja) 2014-07-03

Family

ID=46651983

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012557728A Active JP5508553B2 (ja) 2011-02-17 2011-02-17 粒子線治療装置

Country Status (5)

Country Link
US (2) US8466441B2 (ja)
EP (2) EP2845623B1 (ja)
JP (1) JP5508553B2 (ja)
TW (1) TWI418380B (ja)
WO (1) WO2012111125A1 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018166934A (ja) * 2017-03-30 2018-11-01 住友重機械工業株式会社 荷電粒子線治療装置、及び電源装置
JP2019170869A (ja) * 2018-03-29 2019-10-10 住友重機械工業株式会社 荷電粒子線治療装置

Families Citing this family (39)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
ES2654328T3 (es) 2004-07-21 2018-02-13 Mevion Medical Systems, Inc. Generador en forma de onda de radio frecuencia programable para un sincrociclotrón
CN101361156B (zh) 2005-11-18 2012-12-12 梅维昂医疗***股份有限公司 用于实施放射治疗的设备
US8003964B2 (en) 2007-10-11 2011-08-23 Still River Systems Incorporated Applying a particle beam to a patient
US8581523B2 (en) 2007-11-30 2013-11-12 Mevion Medical Systems, Inc. Interrupted particle source
US8933650B2 (en) 2007-11-30 2015-01-13 Mevion Medical Systems, Inc. Matching a resonant frequency of a resonant cavity to a frequency of an input voltage
US8743408B2 (en) 2009-09-11 2014-06-03 Global Graphics Software Limited Selecting a binder file displayed on a GUI for storage of documents
CN102985137B (zh) * 2010-11-16 2015-10-21 三菱电机株式会社 呼吸引导装置、呼吸引导程序及粒子射线治疗装置
EP2845623B1 (en) * 2011-02-17 2016-12-21 Mitsubishi Electric Corporation Particle beam therapy system
WO2014052734A1 (en) 2012-09-28 2014-04-03 Mevion Medical Systems, Inc. Controlling particle therapy
TW201422278A (zh) 2012-09-28 2014-06-16 Mevion Medical Systems Inc 粒子加速器之控制系統
EP2901822B1 (en) 2012-09-28 2020-04-08 Mevion Medical Systems, Inc. Focusing a particle beam
US10254739B2 (en) 2012-09-28 2019-04-09 Mevion Medical Systems, Inc. Coil positioning system
WO2014052708A2 (en) 2012-09-28 2014-04-03 Mevion Medical Systems, Inc. Magnetic shims to alter magnetic fields
JP6367201B2 (ja) 2012-09-28 2018-08-01 メビオン・メディカル・システムズ・インコーポレーテッド 粒子ビームの強度の制御
JP6254600B2 (ja) 2012-09-28 2017-12-27 メビオン・メディカル・システムズ・インコーポレーテッド 粒子加速器
EP2900325B1 (en) 2012-09-28 2018-01-03 Mevion Medical Systems, Inc. Adjusting energy of a particle beam
US9622335B2 (en) 2012-09-28 2017-04-11 Mevion Medical Systems, Inc. Magnetic field regenerator
CN103068145A (zh) * 2013-01-04 2013-04-24 中国原子能科学研究院 一种电磁铁磁场波形合成方法及其装置
US8791656B1 (en) 2013-05-31 2014-07-29 Mevion Medical Systems, Inc. Active return system
US9730308B2 (en) 2013-06-12 2017-08-08 Mevion Medical Systems, Inc. Particle accelerator that produces charged particles having variable energies
CN110237447B (zh) 2013-09-27 2021-11-02 梅维昂医疗***股份有限公司 粒子治疗***
US9962560B2 (en) 2013-12-20 2018-05-08 Mevion Medical Systems, Inc. Collimator and energy degrader
US10675487B2 (en) 2013-12-20 2020-06-09 Mevion Medical Systems, Inc. Energy degrader enabling high-speed energy switching
US9661736B2 (en) 2014-02-20 2017-05-23 Mevion Medical Systems, Inc. Scanning system for a particle therapy system
US9950194B2 (en) 2014-09-09 2018-04-24 Mevion Medical Systems, Inc. Patient positioning system
CN107004453B (zh) * 2014-12-04 2019-07-19 株式会社东芝 粒子线束调整装置以及方法、粒子线治疗装置
KR102472651B1 (ko) * 2015-05-11 2022-11-30 가부시키가이샤 에바라 세이사꾸쇼 전자석 장치, 전자석 제어 장치, 전자석 제어 방법 및 전자석 시스템
US10786689B2 (en) 2015-11-10 2020-09-29 Mevion Medical Systems, Inc. Adaptive aperture
JP6091730B1 (ja) * 2016-06-23 2017-03-08 三菱電機株式会社 粒子線治療装置
EP3481503B1 (en) 2016-07-08 2021-04-21 Mevion Medical Systems, Inc. Treatment planning
JP6728028B2 (ja) * 2016-12-15 2020-07-22 株式会社日立製作所 粒子線治療装置
JP6328279B2 (ja) * 2017-01-18 2018-05-23 三菱電機株式会社 治療計画装置、粒子線治療装置、および荷電粒子ビームの走査経路の決定方法
US11103730B2 (en) 2017-02-23 2021-08-31 Mevion Medical Systems, Inc. Automated treatment in particle therapy
WO2019006253A1 (en) 2017-06-30 2019-01-03 Mevion Medical Systems, Inc. CONFIGURABLE COLLIMATOR CONTROLLED BY LINEAR MOTORS
JP6901381B2 (ja) * 2017-11-20 2021-07-14 株式会社日立製作所 加速器および粒子線治療システム
KR20200140278A (ko) * 2018-04-12 2020-12-15 스미도모쥬기가이고교 가부시키가이샤 하전입자선치료장치
WO2020185543A1 (en) 2019-03-08 2020-09-17 Mevion Medical Systems, Inc. Collimator and energy degrader for a particle therapy system
JP7430044B2 (ja) * 2019-09-17 2024-02-09 住友重機械工業株式会社 放射線治療装置
CN115414569B (zh) * 2022-09-30 2023-07-18 长三角一体化示范区(上海)菏芯医疗技术有限公司 一种非穿戴的抑郁症治疗设备

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2857598B2 (ja) * 1995-04-26 1999-02-17 株式会社日立製作所 加速器の運転方法
JP2002058750A (ja) * 2000-08-21 2002-02-26 Toshiba Corp 荷電ビーム照射方法および装置、ならびにコンピュータが読取り可能な記憶媒体
JP2007132902A (ja) * 2005-11-14 2007-05-31 Hitachi Ltd 粒子線照射システム
JP4532606B1 (ja) * 2010-01-28 2010-08-25 三菱電機株式会社 粒子線治療装置

Family Cites Families (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5167610A (en) * 1989-05-25 1992-12-01 Matsushita Electric Works, Ltd. Sleep inducing system
JP3458481B2 (ja) * 1994-09-29 2003-10-20 株式会社日立製作所 自動焦点合わせ装置
US6937696B1 (en) * 1998-10-23 2005-08-30 Varian Medical Systems Technologies, Inc. Method and system for predictive physiological gating
CA2414888A1 (en) 2000-08-17 2002-02-21 Radiological Imaging Technology, Inc. Interrupted radiation treatment quality assurance
JP4494848B2 (ja) * 2004-04-08 2010-06-30 株式会社日立製作所 粒子線治療装置
JP3806723B2 (ja) * 2004-11-16 2006-08-09 株式会社日立製作所 粒子線照射システム
JP4158931B2 (ja) * 2005-04-13 2008-10-01 三菱電機株式会社 粒子線治療装置
EP1906826A4 (en) * 2005-07-22 2009-10-21 Tomotherapy Inc SYSTEM AND METHOD FOR DETECTING A RESPIRATORY CYCLE IN A PATIENT RECEIVING RADIOTHERAPY TREATMENT
JP4696965B2 (ja) * 2006-02-24 2011-06-08 株式会社日立製作所 荷電粒子ビーム照射システム及び荷電粒子ビーム出射方法
GB2441550A (en) * 2006-09-05 2008-03-12 Vision Rt Ltd Surface-imaging breathing monitor
US8594769B2 (en) * 2007-09-28 2013-11-26 Varian Medical Systems, Inc. Systems and methods for associating physiological data with image data
US8481979B2 (en) * 2010-09-09 2013-07-09 Mitsubishi Electric Company Particle beam therapy system with respiratory synchronization control
CN102985137B (zh) * 2010-11-16 2015-10-21 三菱电机株式会社 呼吸引导装置、呼吸引导程序及粒子射线治疗装置
EP2845623B1 (en) * 2011-02-17 2016-12-21 Mitsubishi Electric Corporation Particle beam therapy system

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2857598B2 (ja) * 1995-04-26 1999-02-17 株式会社日立製作所 加速器の運転方法
JP2002058750A (ja) * 2000-08-21 2002-02-26 Toshiba Corp 荷電ビーム照射方法および装置、ならびにコンピュータが読取り可能な記憶媒体
JP2007132902A (ja) * 2005-11-14 2007-05-31 Hitachi Ltd 粒子線照射システム
JP4532606B1 (ja) * 2010-01-28 2010-08-25 三菱電機株式会社 粒子線治療装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018166934A (ja) * 2017-03-30 2018-11-01 住友重機械工業株式会社 荷電粒子線治療装置、及び電源装置
JP2019170869A (ja) * 2018-03-29 2019-10-10 住友重機械工業株式会社 荷電粒子線治療装置
JP7090451B2 (ja) 2018-03-29 2022-06-24 住友重機械工業株式会社 荷電粒子線治療装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2012111125A1 (ja) 2014-07-03
EP2653191B1 (en) 2015-08-19
EP2653191A1 (en) 2013-10-23
US20130253845A1 (en) 2013-09-26
EP2845623B1 (en) 2016-12-21
US8466441B2 (en) 2013-06-18
WO2012111125A1 (ja) 2012-08-23
US20120211667A1 (en) 2012-08-23
EP2845623A1 (en) 2015-03-11
TWI418380B (zh) 2013-12-11
EP2653191A4 (en) 2014-08-06
TW201235068A (en) 2012-09-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5508553B2 (ja) 粒子線治療装置
JP4532606B1 (ja) 粒子線治療装置
JP3737098B2 (ja) 粒子線出射装置、及び粒子線出射方法
JP5954826B2 (ja) 粒子線治療装置
JP4494848B2 (ja) 粒子線治療装置
JP5496414B2 (ja) 粒子線治療装置
TWI418379B (zh) 粒子束照射裝置、粒子束治療裝置及記錄資料顯示程式之記錄媒體
WO2011121762A1 (ja) 粒子線照射装置及び粒子線治療装置
TW201332517A (zh) 粒子射線治療裝置、以及決定分時照射對象的治療室之方法
TWI420538B (zh) 粒子線照射裝置及粒子線治療裝置
JP5925233B2 (ja) 患者呼吸評価装置
JP2011156340A (ja) 粒子線治療装置
JP5788100B2 (ja) 走査電磁石用制御装置および粒子線治療装置
JP5421870B2 (ja) 粒子線照射装置及び粒子線治療装置
JP6728028B2 (ja) 粒子線治療装置
TWI604869B (zh) 粒子射線治療裝置及粒子射線治療裝置之掃描次數決定方法
JP6582128B2 (ja) 粒子線治療システム
JP2019150254A (ja) 荷電粒子線治療装置及び荷電粒子線治療装置の作動方法
JP2016155019A (ja) 粒子線治療装置

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140225

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140320

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5508553

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350