JP5505394B2 - シリコーンゴムの親水性付与方法 - Google Patents
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Description
なお、本発明に関連する従来技術として、下記文献が挙げられる。
そこで、本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、シリコーンゴムを親水化させる手段としてメタンと酸素を含む混合気体を用いるプラズマ重合によって行うことが有効であることを知見した。この方法は、接触角は酸素プラズマのように急激に上昇するわけではなく、ゆっくりと上昇していくが、分岐構造を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン(分子中にRSiO3/2単位(Rは水素原子又は脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の1価炭化水素基)及び/又はSiO2単位を有し、分子中にケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン)を用いて架橋させた付加硬化型シリコーンゴムにおいては、この接触角の上昇を抑制可能とし、長期間に亘って親水性を保持できることを見出したものである。
<1> 分岐構造を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを含む付加硬化型シリコーンゴム組成物の硬化物であるシリコーンゴム表面の全面又は一部をメタン及び酸素を含む混合気体存在下でプラズマ重合することにより親水性を付与することを特徴とするシリコーンゴムの親水性付与方法。
<2> 付加硬化型シリコーンゴム組成物が、
(A)下記式
Xo−SiR1 pO−(SiR1 2O)n−(SiR1(X)O)m−SiR1 p−Xo (1)
(式中、R1は独立に脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、Xはアルケニル基であり、oとpはそれぞれ0〜3までの整数でありかつo+pは3、mは0又は1以上の整数、nは0又は1以上の整数である。但し、oが0の場合、mは2以上の整数である。)
で表される1分子中に2個以上のアルケニル基を含有するジオルガノポリシロキサン
50〜100質量部、
(B)分子中に、式:R2 3SiO1/2(R2は同一又は異なっていてもよく、炭素数1〜10の1価炭化水素基)で示されるシロキサン単位と式SiO4/2で示されるシロキサン単位を有する1分子中に2個以上のアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンレジン 50〜0質量部、
(但し、(A)成分と(B)成分の合計は100質量部である。)
(C)R3 2(H)SiO1/2単位とSiO4/2単位からなり、任意にR3 3SiO1/2単位、R3 2SiO2/2単位、R3(H)SiO2/2単位、(H)SiO3/2単位又はR3SiO3/2単位を含み得る、分子中にケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン(R3は独立に脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の1価炭化水素基)
(A)成分と(B)成分のアルケニル基の合計に対して
ケイ素原子に結合した水素原子の割合が0.3〜10となる量、
(D)ヒドロシリル化反応触媒 触媒量
を含有する付加硬化型シリコーンゴム組成物である<1>記載の親水性付与方法。
<3> 付加硬化型シリコーンゴム組成物が、更に(E)硬化制御剤を含有する<2>記載の親水性付与方法。
<4> メタン及び酸素を含む混合気体が、メタンと空気の混合物又はメタンと酸素の混合物であることを特徴とする<1>、<2>又は<3>記載の親水性付与方法。
<5> <1>〜<4>のいずれかに記載の方法により表面の全面又は一部が親水性付与されたシリコーンゴム。
この場合、付加硬化型シリコーンゴム組成物としては、架橋剤のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとして分岐構造を有するものが配合され、ヒドロシリル化反応で硬化するものであれば、いずれのものであってもよいが、特には下記(A)〜(D)成分を含有し、必要により(E)成分やその他の成分を含む付加硬化型シリコーンゴム組成物が好ましい。
このオルガノポリシロキサンはこの組成物の主剤であり、1分子中に平均2個以上のアルケニル基を含有し下記式で表される。
Xo−SiR1 pO−(SiR1 2O)n−(SiR1(X)O)m−SiR1 p−Xo (1)
(式中、R1は独立に脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、Xはアルケニル基であり、oとpはそれぞれ0〜3までの整数であり、かつo+pは、必ず3となり、mは0又は1以上の整数、nは0又は1以上の整数である。但し、oが0の場合、mは2以上の整数である。)
(B)成分は、分子中に、式:R2 3SiO1/2(R2は同一又は異なっていてもよく、炭素数1〜10の1価炭化水素基)で示されるシロキサン単位と式SiO4/2で示されるシロキサン単位を有する1分子中に2個以上のアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンレジンである。
R2としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、ビニル基等のアルケニル基が例示され、メチル基、フェニル基、ビニル基が好ましく、メチル基、ビニル基が特に好ましい。
上記オルガノポリシロキサンレジンは、上記R2 3SiO1/2単位、SiO4/2単位に加えて、レジンの50モル%以下、特に30モル%以下の割合でR2SiO3/2単位やR2 2SiO2/2単位を含んでも差し支えない。
(B)成分は、固体状でも液状でもよいが、固体状のものを用いる場合は、(A)成分に溶解させて使用することが好ましい。
本発明においては、架橋剤として分岐構造を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用することが重要である。分岐構造を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、分子中にRSiO3/2単位(Rは水素原子又はR1と同様の基)及び/又はSiO4/2単位を有し、分子中にケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を2つ以上有するものであれば何ら制限されない。
(C)成分の配合量は、(A)成分と(B)成分のアルケニル基の合計に対してケイ素原子に結合した水素原子の割合が0.3〜10、好ましくは0.5〜5となる量である。
白金族金属系触媒は、前記の(A)成分及び(B)成分に含まれるアルケニル基と、(C)成分に含まれるケイ素原子に結合する水素原子との付加(ヒドロシリル化)反応を促進するための触媒であり、ヒドロシリル化反応に用いられる触媒として周知の白金系、ロジウム系、パラジウム系触媒が挙げられる。その具体例としては、例えば、白金(白金黒を含む)、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体;H2PtCl4・nH2O、H2PtCl6・nH2O、NaHPtCl6・nH2O、KHPtCl6・nH2O、Na2PtCl6・nH2O、K2PtCl4・nH2O、PtCl4・nH2O、PtCl2、Na2HPtCl4・nH2O(但し、式中、nは0〜6の整数であり、好ましくは0又は6である)等の塩化白金、塩化白金酸及び塩化白金酸塩;アルコール変性塩化白金酸(米国特許第3,220,972号明細書参照);塩化白金酸とオレフィンとのコンプレックス(米国特許第3,159,601号明細書、同第3,159,662号明細書、同第3,775,452号明細書参照);白金黒、パラジウム等の白金族金属をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させたもの;ロジウム−オレフィンコンプレックス;クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒);塩化白金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサン、特にビニル基含有環状シロキサンとのコンプレックス等が挙げられる。
本発明は、このようにして得られたシリコーンゴム表面を、親水性を付与するためメタン及び酸素を含む混合気体存在下でプラズマ重合する。
この場合、メタン及び酸素を含む混合気体としてはメタンと空気の混合物又はメタンと酸素の混合物を用いることができる。メタンと空気を混合させる割合は、1容量のメタンに対して、空気は0.01〜5容量が好ましく、より好ましくは0.05〜3容量、特に好ましくは0.1〜2容量である。また、メタンと酸素を混合させる割合は、1容量のメタンに対して、0.01〜3容量が好ましく、より好ましくは0.05〜2容量、特に好ましくは0.1〜1.5容量である。メタンに対する酸素の割合が多すぎても少なすぎても親水性の付与が不十分となることがある。
なお、プラズマ重合装置としては市販のものを使用することができる。
なお、プラズマ重合には、神港精機株式会社製「プラズマ重合装置」を用いた。プラズマ処理を施すシリコーンエラストマーをベルジャー内(反応容器:容積105L)に入れ、ベルジャー内を0.1Pa程度まで真空にしたあと10分程度保持する。次に反応性ガス(メタン及び酸素の混合気体)を流し続け、所定圧力になるように反応性ガスを真空ポンプによって引いた。
また下記例において、粘度は、(A)成分及びその相当成分は回転粘度計、(C)成分及びその相当成分はオストワルド粘度計により測定した。
下記成分を用いて付加硬化型シリコーンゴム組成物を調製した。
(A)一分子中に少なくとも2個以上のアルケニル基を含有するジオルガノポリシロキサン100質量部
Vi(Me)2Si−(OSiMe2)n−OSi(Me)2Vi
(式中、Meはメチルであり、Viはビニル基であり、nは該シロキサンの25℃における粘度が5,000mPa・sとなるような数である。)
で表されるビニル基含有の直鎖状オルガノポリシロキサン。
(CH3)3SiO1/2単位と(CH2=CH)(CH3)2SiO1/2単位とSiO4/2単位からなるレジンであり、(CH3)3SiO1/2単位と(CH2=CH)(CH3)2SiO1/2単位とSiO4/2単位のモル比が7:1:10であり、ビニル基を0.085モル/100g有する固体状のレジン
(C−1)
1つのSiO4/2単位(Q)に対して、(CH3)2(H)SiO1/2単位(MH)の個数が1.5個を含む、つまりMH 4.5Q3を構造中に有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン(粘度35mm2/g)
1つのSiO4/2単位に対して、(CH3)2(H)SiO1/2単位の個数が1.2個を含む、つまりMH 4.8Q4を構造中に有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン(粘度60mm2/g)
1つのSiO4/2単位に対して、(CH3)2(H)SiO1/2単位の個数が1.8個を含む、つまりMH 6Q3.3を構造中に有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン(粘度40mm2/g)
(C’−1)
M−DH 25−D75−M
(C’−2)
M−D18−DH 20−M
但し、M :(CH3)3SiO1/2
DH:(CH3)(H)SiO2/2
D :(CH3)2SiO2/2
白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体/トルエン溶液
白金元素含有量0.5質量%
1,3,5,7−テトラメチルテトラビニルシクロシロキサン
上記の原料を用いてシリコーンゴム組成物を製造した。(A)成分、(B)成分、(D)成分を混合・攪拌してから、(E)成分を添加・攪拌し、最後に(C)成分を添加・攪拌した。これを真空脱泡機に入れて完全に泡を無くしてから、プレス成形(150℃/30分)にて厚さ1mmのシリコーンゴムを成形した。
条件(1):メタンと空気の組み合わせ
処理圧力を4Paとし、ベルジャー内に投入する混合気体はメタン2ml/min、空気1ml/minとした。周波数を15kHzとし、消費電力は32Wとした。
条件(2):メタンと酸素の組み合わせ
処理圧力を4Paとし、ベルジャー内に投入する混合気体はメタン2ml/min、空気0.51ml/minとした。周波数を15kHzとし、消費電力は32Wとした。
Claims (5)
- 分岐構造を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを含む付加硬化型シリコーンゴム組成物の硬化物であるシリコーンゴム表面の全面又は一部をメタン及び酸素を含む混合気体存在下でプラズマ重合することにより親水性を付与することを特徴とするシリコーンゴムの親水性付与方法。
- 付加硬化型シリコーンゴム組成物が、
(A)下記式
Xo−SiR1 pO−(SiR1 2O)n−(SiR1(X)O)m−SiR1 p−Xo (1)
(式中、R1は独立に脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、Xはアルケニル基であり、oとpはそれぞれ0〜3までの整数でありかつo+pは3、mは0又は1以上の整数、nは0又は1以上の整数である。但し、oが0の場合、mは2以上の整数である。)
で表される1分子中に2個以上のアルケニル基を含有するジオルガノポリシロキサン
50〜100質量部、
(B)分子中に、式:R2 3SiO1/2(R2は同一又は異なっていてもよく、炭素数1〜10の1価炭化水素基)で示されるシロキサン単位と式SiO4/2で示されるシロキサン単位を有する1分子中に2個以上のアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンレジン 50〜0質量部、
(但し、(A)成分と(B)成分の合計は100質量部である。)
(C)R3 2(H)SiO1/2単位とSiO4/2単位からなり、任意にR3 3SiO1/2単位、R3 2SiO2/2単位、R3(H)SiO2/2単位、(H)SiO3/2単位又はR3SiO3/2単位を含み得る、分子中にケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン(R3は独立に脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の1価炭化水素基)
(A)成分と(B)成分のアルケニル基の合計に対して
ケイ素原子に結合した水素原子の割合が0.3〜10となる量、
(D)ヒドロシリル化反応触媒 触媒量
を含有する付加硬化型シリコーンゴム組成物である請求項1記載の親水性付与方法。 - 付加硬化型シリコーンゴム組成物が、更に(E)硬化制御剤を含有する請求項2記載の親水性付与方法。
- メタン及び酸素を含む混合気体が、メタンと空気の混合物又はメタンと酸素の混合物であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の親水性付与方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の方法により表面の全面又は一部が親水性付与されたシリコーンゴム。
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