JP5504535B2 - 細胞の分離法および分離装置 - Google Patents
細胞の分離法および分離装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5504535B2 JP5504535B2 JP2010054556A JP2010054556A JP5504535B2 JP 5504535 B2 JP5504535 B2 JP 5504535B2 JP 2010054556 A JP2010054556 A JP 2010054556A JP 2010054556 A JP2010054556 A JP 2010054556A JP 5504535 B2 JP5504535 B2 JP 5504535B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cell
- cells
- needle
- substance
- substrate
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12M—APPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
- C12M47/00—Means for after-treatment of the produced biomass or of the fermentation or metabolic products, e.g. storage of biomass
- C12M47/04—Cell isolation or sorting
Landscapes
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Wood Science & Technology (AREA)
- Zoology (AREA)
- Biotechnology (AREA)
- Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Microbiology (AREA)
- Cell Biology (AREA)
- Sustainable Development (AREA)
- Molecular Biology (AREA)
- Biochemistry (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Genetics & Genomics (AREA)
- Biomedical Technology (AREA)
- Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
Description
しかし、この結果を得た時点では、この手段を標的細胞の分離に応用することは全く着想できなかった。
この図1は、神経幹細胞のマーカーであるネスチンの検出実験において、ネスチンを発現しているP19細胞と発現していないNIH3T3細胞に対し、抗ネスチン抗体を固定化したナノ針を挿入してから抜き去りまでの針状物にかかる力応答を測定した結果を示している。この結果によれば、ネスチン発現細胞と非発現細胞NIH3T3細胞とでは、ナノ針抜き去り時の力応答が明らかに異なり、これにより細胞内標的物質の検出が可能となる。
結合破断力の値は、引き離す動作に依存して変化する力の値である。カンチレバーを具備したAFM探針を用いた場合には、引き離す動作の速度に使用するカンチレバーのバネ定数を乗じた値、負荷速度として表現される。本文で記載された力は全て、バネ定数が0.07 N/mのカンチレバーを用いて、6 μm/secで移動させた場合、すなわち負荷速度が0.4 μN/secの時の値を示している。一方で、接着力、結合力と表現する場合はある結合に固有のエネルギー量であることを示す言葉として定義する。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
マーカー物質が結合したときの上記針状物と細胞の結合力を、基板と細胞の接着力よりも増大させることを特徴とする、細胞の選択的分離方法。
(2)マーカー物質が結合したときの上記針状物と細胞の結合力を基板と細胞の接着力よりも増大させる方法が、マーカー物質が結合したときの上記針状物と細胞との結合力を増大及び/または基板と細胞との接着力を減少させるものであることを特徴とする、上記(1)に記載の細胞の選択的分離方法。
(3)針状物と細胞との結合力の増大が、針状物の形状を細胞内でのマーカー物質と針状物の接触面積を増大させる形状に調整する操作及び/または細胞内のマーカー物質と選択的に結合する物質を固定化した針状物の細胞内滞留時間を調整する操作によるものであることを特徴とする上記(2)に記載の細胞の選択的分離方法。
(4)基板と細胞の接着力の減少が、タンパク質分解酵素による細胞の処理、及び/または接着タンパク質発現阻害剤による細胞の処理によるものであることを特徴とする、上記(2)に記載の細胞の選択的分離方法。
(5)さらに、基板上に固定化する細胞接着材料の密度調整、細胞を吸引固定化する場合の吸引圧力調整、及び細胞を保持するセルの接触面積の調整操作のいずれか1以上の操作を伴うことを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の細胞の選択的分離方法。
(6)さらに、針状物の引き上げ速度の調整及び/または細胞への針状物の挿入位置と挿入回数の調整操作を伴うことを特徴とする、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の細胞の選択的分離方法。
(7)上記細胞内のマーカー物質と選択的に結合する物質を固定化した針状物の形状がアスペクト比50以上、直径300 nm以下の円筒形状であることを特徴とする、上記(3)に記載の細胞の選択的分離方法。
(8)上記細胞内のマーカー物質と選択的に結合する物質を固定化した針状物の細胞内滞留時間が1〜10秒であることを特徴とする、上記(3)に記載の細胞の選択的分離方法。
(9)上記細胞内のマーカー物質と選択的に結合する物質を固定化した針状物の引き上げ速度が、1〜500 μm/secであることを特徴とする上記(6)に記載の細胞の選択的分離方法。
(10)上記細胞内のマーカー物質と選択的に結合する物質を固定化した針状物の同一細胞への挿入位置を挿入操作毎に変更し、同一細胞への挿入回数が3〜10回であることを特徴とする上記(6)に記載の方細胞の選択的分離法。
(11)細胞の基板に対する接着力が、負荷速度0.4 μN/secの時に接着破断力が500 pN〜2 nNになる接着力に、調整されていることを特徴とする、上記(1)〜(10)のいずれかに記載の細胞の選択的分離方法。
(12)上記(1)〜(11)に記載の方法により釣り上げた細胞を、基板に接触させて回収する方法であって、細胞の基板に対する接着力を、上記針状物と細胞との接着力よりも増大させることを特徴とする、細胞の回収方法。
(13)基板への接触時間の調整、基板上に固定化する細胞接着材料の密度調整、細胞を吸引固定化する場合の吸引圧力調整、及び細胞を保持するセルの接触面積の調整のいずれか1以上の手段を伴う上記(12)に記載の方法。
(14)上記(1)〜(10)に記載の方法により釣り上げた細胞を、細胞に対する液体の抵抗を増大させることにより、針状物から脱離させ溶液中に細胞を回収する方法であって、溶液中で、釣り上げた細胞を保持した針状物を高速移動させる、及び/または釣り上げた細胞を保持した針状物を流動液体と接触させることを特徴とする細胞の回収方法。
(15)細胞内のマーカー物質と選択的に結合する物質を固定化した針状物を複数配置し、該針状物のそれぞれを各細胞に対し個別に、かつ同時に挿入することを特徴とする、上記(1)〜(14)のいずれかに記載の方法。
(16)細胞内のマーカー物質と選択的に結合する物質を固定化した針状物、並びにその表面に細胞を配置した基板、及び該針状物を基板上に配置した細胞に位置合わせする手段、該針状物を細胞に挿入、保持及び引き上げ操作を行う手段を少なくとも有する細胞の選択的分離装置であって、細胞の基板に対する接着力が、マーカー物質が結合したときの上記針状物と細胞との結合力に比し小さく設定されていることを特徴とする、上記装置。
(17)針状物の形状が、細胞内でのマーカー物質と針状物の接触面積が増大する形状に設定されていることを特徴とする、上記(16)に記載の装置。
(18)マーカー物質と選択的に結合する物質を固定化した針状物の細胞内滞留時間の調整手段、針状物の引き上げ速度の調整手段、細胞への針状物の挿入位置と挿入回数の調整手段のいずれか1以上の手段が設けられていることを特徴とする上記(16)に記載の装置。
(19)さらに、細胞を基板に吸引固定化する手段及び吸引圧力調整手段を有する上記(16)〜(18)のいずれかに記載の装置。
(20)上記細胞内のマーカー物質と選択的に結合する物質を固定化する針状物の形状がアスペクト比50以上、直径300 nm以下の円筒形状であることを特徴とする、上記(17)に記載の装置。
(21)上記細胞内のマーカー物質と選択的に結合する物質を固定化した針状物の細胞内滞留時間を少なくとも1〜10秒の範囲で可変に調整する手段を有することを特徴とする上記(18)に記載の装置。
(22)上記細胞内のマーカー物質と選択的に結合する物質を固定化した針状物の引き上げ速度を、少なくとも1〜500 μm/secの範囲で可変に調整する手段を有することを特徴とする上記(18)に記載の装置。
(23)上記細胞内のマーカー物質と選択的に結合する物質を固定化した針状物の細胞への挿入位置及び/または同一細胞への挿入回数を調整する手段を有する上記(18)に記載の方法。
(24)細胞の基板に対する接着力が、負荷速度0.4 μN/secの時に接着破断力が500 pN〜2 nNになる接着力に、調整されていることを特徴とする、上記(16)〜(23)のいずれかに記載の装置。
(25)分離された細胞の回収手段を有することを特徴とする、上記(16)〜(24)のいずれかに記載の装置。
(26)細胞の回収手段が、分離した細胞を基板に接触させて、細胞の基板に対する接着力を、針状物と細胞との接着力よりも増大させる手段であって、細胞の基板への接触時間の調整手段及び/または細胞を吸引固定化する手段であることを特徴とする上記(25)に記載の装置。
(27)細胞の回収手段が、液中での針状物の高速移動手段あるいは液流発生手段であることを特徴とする、上記(25)に記載の装置。
(1)細胞表面に存在する抗原を標的にする細胞の選択的分離法ではなく、細胞内部に存在する物質を標的に、細胞を分離できる。
(2)細胞にダメージを与えず生きたまま分離できる。
(3)細胞の分離に際して、AFM等における力学測定を本質的には必要とせず、極めて簡便、安価に細胞分離を行うことができる。
(4)針状物を複数設けて、細胞釣り上げ操作を行うことにより、多数の細胞の中から目的とする細胞を短時間、効率的に分離できる。
(5)抗体等の結合分子は針状物表面に固定化されており、分離された細胞内部には外来分子を残さないため、安全な操作である。
本発明において使用する針状物は、細胞への挿入、釣り上げ等の操作において細胞にダメージを与えないものであれば、特に制限されないが、細胞挿入部分の直径が、100〜300 nm程度であり、好ましくは200 nm程度の針状物が好ましい。
一方、針状物の長さは細胞挿入において十分な長さを確保できればよく、5〜100 μm程度であり、好ましくは20 μm程度である。
一方、本発明においては、針状物を基板上の細胞に位置合わせするとともに、該位置において針状物の挿入及び引き上げを行う手段を必要とする。このような手段としては特に限定されるものではない。
針状物の形状としては、先端が円筒状のもの、鉤状のもの、矢尻状のもの、T字状のもの等が挙げられるが、どの形状のものを使用するかは、細胞と基板の接着力、細胞に与えるダメージ等を考慮して適宜選択することができる。
針状物を複数配置する支持体は、位置合わせを行うために透明材料からなることが望ましく、支持体の大きさは、例えば、針状物を100 μm間隔で100×100本配置した場合1 cm角程度の大きさになる。針状物が配置された支持体を細胞培養基板と接近させる手段は、マイクロコンタクトプリントで用いられる装置などが使用できるが、針状物の支持体への固定化部位は細胞培養液に浸漬可能であり、針状物を破損しないために接触圧を検知可能な装置である必要がある。上記の大きさの針状物は接触力1 μN程度で破損に至るので、1万本配置された基板では、1 mN程度の接触圧を測定できることが望ましい。
また、針状物に固定化される、マーカー結合物質としては、各種細胞内タンパク質に対する抗体、糖鎖あるいは糖タンパク質と特異的に結合するレクチン、人工的に設計された核酸からなるアプタマーやペプチド抗体等が挙げられる。
上記のように、本発明においては、上記マーカー結合物質を固定化した針状物を細胞に挿入し、引き上げるが、このとき、細胞の基板に対する接着力が、上記固定化物質を介して結合したマーカー物質が針状物から解離し脱落するまでの破断力、すなわちマーカー物質を保持した針状物と細胞との結合力よりも小さくする。このためには、マーカー物質を保持した針状物と細胞との結合力にもよるが、細胞と基板との接着破断力を500 pN〜2 nNにすることが好ましい。なお、通常のプラスチック基板の場合、細胞と基板との接着破断力は、おおよそ20〜40 nNである。
例えば、タンパク質分解酵素トリプシン処理の場合、細胞の基板との接着に働くタンパク質が分解されることによって付着培養細胞を基板から回収するために一般的に用いられるが、トリプシン処理によって細胞の基板への接着を制御することが可能である。0.01%トリプシン溶液で10分間処理することによって、20 nN以上の基板との接着破断力をおおよそ2 nNまで減少させることができ、接着力の変動係数は20%以下に制御できることから、安定で弱い接着状態を作り出すことが出来る。
一方、細胞の種類あるいはマーカー結合物質の種類等によっては、針状物で機械的に引き上げ分離操作を行う際に発生する針状物と細胞の非特異的吸着力も考慮しなければならないが、この非特異的吸着の破断力は、通常200 pN程度の微弱なものであり、細胞と基板の接着破断力を500 pN以上、好ましくは600 pN以上、さらに好ましくは700 pN以上に調整すれば、マーカー物質を有しない、目的外の細胞の釣り上げを防止できる。
これらの細胞−基板接着力調整手段は、細胞の種類あるいはマーカー結合物質の種類等に応じて予想される上記非特異的吸着に応じて、上記細胞−基板接着力低減化手段と1以上組み合わせてもよい。
一方、上記マーカー結合物質を介して結合したマーカー物質が引き上げ動作により、針状物から解離し、脱落するまでの破断力、すなわちマーカー物質を保持した針状物と細胞との結合力を増大させることも重要であり、上記細胞と基板の接着力の減少手法と組み合わせることで、さらに細胞分離が効率的になる。
また、細胞の釣り上げに成功するか否かは、マーカー結合物質固定化針状物の細胞に対する挿入位置が影響している場合があるので、細胞に対する挿入位置を変えながら複数回挿入、引き上げ操作を行うことも効果的である。
このような手段によりマーカー物質を保持する針状物と細胞に対する結合破断力は、2 nN以上に増大させることができ、マーカー物質を内部に有する細胞を効果的に釣り上げることができる。
本発明の細胞分離装置は、例えば、細胞をその表面に有する基板を載置する2次元ステージ(3)を設けた細胞観察装置(2)とマイクロコンタクト装置(1)からなり、2次元ステージ上には、マイクロコンタクト装置(1)に搭載された針状物アレイ支持体(4)が位置するよう配置され、これら針状物には、分離する対象細胞に特有の細胞内マーカー結合物質が、充分な量固定化されている。これらの固定化針状物は、マイクロコンタクト装置(1)の針状物アレイ支持体(4)の移動手段及び位置制御手段(いずれも図示せず)により、上下に移動可能に構成され(図3)、上記位置制御手段は、上下移動速度調節可能であり、下降位置での位置保持時間調整手段を含む。なお、針状物アレイ支持体にかかる力はマイクロコンタクト装置(1)で検知し、針状物の破損を防ぐ。
本装置を用いた細胞の識別分離操作は図3中、イ〜ヘに示される。なお図中の灰色部分は液体を表す。本発明においては、例えば、まず、液体で満たされた基板収容容器(5)内に、細胞をその表面に有する細胞アレイ基板(6)を細胞回収基板(7)と隣接させて配置し、上記装置の2次元ステージ上(3)に該基板収容容器を載置する。次いで細胞観察装置(2)でモニターしながら、針状物アレイ支持体(4)の針状物が、基板上の細胞の真上にくるように2次元ステージを操作しで位置あわせを行い、針状物アレイ支持体(4)の接触圧をモニターしながら、針状物アレイ支持体(4)と細胞アレイ基板(6)を徐々に接近させて、該針状物アレイ支持体(4)を細胞アレイ基板(6)に接触させ、針状物を細胞に挿入した後、上記保持時間調整手段により、この状態で所定時間保持され、針状物に固定化されたマーカー物質と結合する物質と標的マーカー物質の結合反応を行う。
この細胞回収基板(7)としては、例えば、上記した30 nN以上の細胞接着破断力を示す分子密度に調整されたBAM固定化基板あるいは吸引圧力調整手段を有する小孔アレイ基板が挙げられ、図3中、イ〜ホは、上記密度調整したBAM固定化基板を用いた場合の操作の概略を表したものであり、吸引圧力調整手段を有する小孔アレイ基板は、図3中、ヘに示される。
これらのBAM固定化基板あるいは吸引圧力調整手段を有する小孔アレイ基板は細胞回収基板としてのみ用いられるのではなく、はじめに針状物による分離するための細胞を配置する基板としても用いることができる。このような基板は、トリプシン処理等により細胞の基板に対する接着力が低下しすぎ、細胞液中を浮遊状態になり、針状物の位置あわせが困難になる恐れがある場合等に有効である。
前者は、釣り上げた細胞を保持する針状物を、上記基板収容容器中の細胞回収位置に移動させ、液体中で高速に移動させることにより、細胞を針状物から脱離させるものであり、針状物の移動方向に特に限定はないが、針状物アレイ支持体(4)は、上記したように、細胞釣り上げ時の上下移動速度が調節可能であり、この手段を利用して、高速で針状物を上昇させることができる。この場合、該移動速度を上記細胞釣り上げ速度1〜500 μm/secを超える範囲で調節可能にしても良い。
また、後者は、釣り上げた細胞を流動化された液体と接触させて細胞を脱離させるものであり、図4、ホ〜チに示されるように、例えば、細胞回収位置で上方から下方に向かう液流を発生させ、液流に細胞を釣り上げた針状物を接触させることにより、細胞を針状物から脱離させる。この液流の速度も適宜調節可能にしても良い。
本実施例では、直径200 nmにエッチングしたAFM探針(ATEC-CONT、NanoWord)に抗ネスチン抗体を固定化し、この抗体固定化ナノ針を用いて、ネスチン陽性細胞であるマウス胚性腫瘍細胞P19を機械的に分離した例を示す。図1に示すようなAFM探針、AFM装置を使用しているために、針状物は1本での実施例である。
鈎型に加工したAFM探針を用いて垂直方向に細胞を基板から引き剥がす際に必要な接着破断力を測定した。通常のプラスチックシャーレ上に培養したP19細胞の接着破断力は、25±5 nNであった。ネスチン陰性細胞として用いたマウス繊維芽細胞NIH3T3の基板との接着破断力も同様であった。マウスP19細胞を神経細胞に分化誘導する為に10% FBS、GA、グルタマックス、1 μM レチノイン酸を含有したα-MEM 10 mlに1×105個のP19細胞を懸濁させ、4日間浮遊培養した。自然沈降によって回収した細胞をトリプシン/EDTAによって解離し、0.02% polyethylenimineを室温1時間反応させたガラスベースディッシュに播種し5-10日間培養した細胞を実験に用いた。
抗ネスチン抗体または抗neurofilament抗体固定化ナノ針の挿入の動作あるいは細胞釣り上げの動作はNanowizardI(JPK instruments)を用いて行った。ナノ針の挿入速度は6 μm/sec(負荷速度0.4 μN/sec)、滞留時間は1秒、1細胞あたり10回の挿入操作を行った。
Claims (27)
- 細胞内のマーカー物質と選択的に結合する物質を固定化した針状物を基板上の各細胞に挿入して、上記マーカー物質と選択的に結合する物質を介して細胞内のマーカー物質を針状物に結合させた後、該針状物を引き上げて、上記マーカー物質を含有する細胞のみを選択して釣り上げ分離する方法であって、マーカー物質が結合したときの上記針状物と細胞の結合力を、基板と細胞の接着力よりも増大させることを特徴とする、細胞の選択的分離方法。
- マーカー物質が結合したときの上記針状物と細胞の結合力を基板と細胞の接着力よりも増大させる方法が、マーカー物質が結合したときの上記針状物と細胞との結合力を増大及び/または基板と細胞との接着力を減少させるものであることを特徴とする、請求項1に記載の細胞の選択的分離方法。
- 針状物と細胞との結合力の増大が、針状物の形状を細胞内でのマーカー物質と針状物の接触面積を増大させる形状に調整する操作及び/または細胞内のマーカー物質と選択的に結合する物質を固定化した針状物の細胞内滞留時間を調整する操作によるものであることを特徴とする請求項2に記載の細胞の選択的分離方法。
- 基板と細胞の接着力の減少が、タンパク質分解酵素による細胞の処理、及び/または接着タンパク質発現阻害剤による細胞の処理によるものであることを特徴とする、請求項2に記載の細胞の選択的分離方法。
- さらに、基板上に固定化する細胞接着材料の密度調整、細胞を吸引固定化する場合の吸引圧力調整、及び細胞を保持するセルの接触面積の調整操作のいずれか1以上の操作を伴うことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の細胞の選択的分離方法。
- さらに、針状物の引き上げ速度の調整及び/または細胞への針状物の挿入位置と挿入回数の調整操作を伴うことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の細胞の選択的分離方法。
- 上記細胞内のマーカー物質と選択的に結合する物質を固定化した針状物の形状がアスペクト比50以上、直径300 nm以下の円筒形状であることを特徴とする、請求項3に記載の細胞の選択的分離方法。
- 上記細胞内のマーカー物質と選択的に結合する物質を固定化した針状物の細胞内滞留時間が1〜10秒であることを特徴とする、請求項3に記載の細胞の選択的分離方法。
- 上記細胞内のマーカー物質と選択的に結合する物質を固定化した針状物の引き上げ速度が、1〜500 μm/secであることを特徴とする請求項6に記載の細胞の選択的分離方法。
- 上記細胞内のマーカー物質と選択的に結合する物質を固定化した針状物の同一細胞への挿入位置を挿入操作毎に変更し、同一細胞への挿入回数が3〜10回であることを特徴とする請求項6に記載の方細胞の選択的分離法。
- 細胞の基板に対する接着力が、負荷速度0.4 μN/secの時に接着破断力が500 pN〜2 nNになる接着力に、調整されていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の細胞の選択的分離方法。
- 請求項1〜11に記載の方法により釣り上げた細胞を、基板に接触させて回収する方法であって、細胞の基板に対する接着力を、上記針状物と細胞との接着力よりも増大させることを特徴とする、細胞の回収方法。
- 基板への接触時間の調整、基板上に固定化する細胞接着材料の密度調整、細胞を吸引固定化する場合の吸引圧力調整、及び細胞を保持するセルの接触面積の調整のいずれか1以上の手段を伴う請求項12に記載の方法。
- 請求項1〜10に記載の方法により釣り上げた細胞を、細胞に対する液体の抵抗を増大させることにより、針状物から脱離させ溶液中に細胞を回収する方法であって、溶液中で、釣り上げた細胞を保持した針状物を高速移動させるか、及び/または釣り上げた細胞を保持した針状物を流動液体と接触させることを特徴とする細胞の回収方法。
- 細胞内のマーカー物質と選択的に結合する物質を固定化した針状物を複数配置し、該針状物のそれぞれを各細胞に対し個別に、かつ同時に挿入することを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
- 細胞内のマーカー物質と選択的に結合する物質を固定化した針状物、並びにその表面に細胞を配置した基板、及び該針状物を基板上に配置した細胞に位置合わせする手段、該針状物を細胞に挿入、保持及び引き上げ操作を行う手段を少なくとも有する細胞の選択的分離装置であって、細胞の基板に対する接着力が、マーカー物質が結合したときの上記針状物と細胞との結合力に比し小さく設定されていることを特徴とする、上記装置。
- 針状物の形状が、細胞内でのマーカー物質と針状物の接触面積が増大する形状に設定されていることを特徴とする、請求項16に記載の装置。
- マーカー物質と選択的に結合する物質を固定化した針状物の細胞内滞留時間の調整手段、針状物の引き上げ速度の調整手段、細胞への針状物の挿入位置と挿入回数の調整手段のいずれか1以上の手段が設けられていることを特徴とする請求項16に記載の装置。
- さらに、細胞を基板に吸引固定化する手段及び吸引圧力調整手段を有する請求項16〜18のいずれかに記載の装置。
- 上記細胞内のマーカー物質と選択的に結合する物質を固定化する針状物の形状がアスペクト比50以上、直径300 nm以下の円筒形状であることを特徴とする、請求項17に記載の装置。
- 上記細胞内のマーカー物質と選択的に結合する物質を固定化した針状物の細胞内滞留時間を少なくとも1〜10秒の範囲で可変に調整する手段を有することを特徴とする請求項18に記載の装置。
- 上記細胞内のマーカー物質と選択的に結合する物質を固定化した針状物の引き上げ速度を、少なくとも1〜500 μm/secの範囲で可変に調整する手段を有することを請求項18に記載の装置。
- 上記細胞内のマーカー物質と選択的に結合する物質を固定化した針状物の細胞への挿入位置及び/または同一細胞への挿入回数を調整する手段を有する請求項18に記載の方法。
- 細胞の基板に対する接着力が、負荷速度0.4 μN/secの時に接着破断力が500 pN〜2 nNになる接着力に、調整されていることを特徴とする、請求項16〜23のいずれかに記載の装置。
- 分離された細胞の回収手段を有することを特徴とする、請求項16〜24のいずれかに記載の装置。
- 細胞の回収手段が、分離した細胞を基板に接触させて、細胞の基板に対する接着力を、針状物と細胞との接着力よりも増大させる手段であって、細胞の基板への接触時間の調整手段及び/または細胞を吸引固定化する手段であることを特徴とする請求項25に記載の装置。
- 細胞の回収手段が、液中での針状物の高速移動手段あるいは液流発生手段であることを特徴とする請求項25に記載の装置。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010054556A JP5504535B2 (ja) | 2010-03-11 | 2010-03-11 | 細胞の分離法および分離装置 |
EP11753398.4A EP2546328A4 (en) | 2010-03-11 | 2011-03-09 | Method of separating cells and separation apparatus |
PCT/JP2011/055501 WO2011111740A1 (ja) | 2010-03-11 | 2011-03-09 | 細胞の分離法および分離装置 |
US13/583,746 US9175255B2 (en) | 2010-03-11 | 2011-03-09 | Method of separating cells and separation apparatus |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010054556A JP5504535B2 (ja) | 2010-03-11 | 2010-03-11 | 細胞の分離法および分離装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011182761A JP2011182761A (ja) | 2011-09-22 |
JP5504535B2 true JP5504535B2 (ja) | 2014-05-28 |
Family
ID=44563541
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010054556A Active JP5504535B2 (ja) | 2010-03-11 | 2010-03-11 | 細胞の分離法および分離装置 |
Country Status (4)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US9175255B2 (ja) |
EP (1) | EP2546328A4 (ja) |
JP (1) | JP5504535B2 (ja) |
WO (1) | WO2011111740A1 (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20130171722A1 (en) * | 2012-01-03 | 2013-07-04 | City University Of Hong Kong | Method and apparatus for delivery of molecules to cells |
US9394547B2 (en) | 2012-01-03 | 2016-07-19 | City University Of Hong Kong | Method and apparatus for delivery of molecules to cells |
JP5846436B2 (ja) * | 2012-02-27 | 2016-01-20 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | 細胞分離用接着基板 |
EP3263693A4 (en) | 2015-02-27 | 2018-02-21 | Toppan Printing Co., Ltd. | Method for separating cells, and device therefor |
KR20200043369A (ko) * | 2017-06-16 | 2020-04-27 | 님 싸이언티픽 인코포레이티드 | 나노 니들 및 관련된 기기 및 방법 |
JP2019180360A (ja) * | 2018-04-17 | 2019-10-24 | Stemcell株式会社 | 細胞播種装置および細胞培養装置、並びに、細胞播種方法および細胞培養方法 |
WO2023002890A1 (ja) * | 2021-07-20 | 2023-01-26 | 東洋製罐グループホールディングス株式会社 | 針状体を利用した細胞内反応の制御手段 |
Family Cites Families (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS61164993A (ja) | 1985-01-04 | 1986-07-25 | 出光興産株式会社 | 油槽所用出荷管理装置 |
JP4051440B2 (ja) | 2002-03-06 | 2008-02-27 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | 細胞操作装置及び方法 |
US7776584B2 (en) * | 2003-08-01 | 2010-08-17 | Genetix Limited | Animal cell colony picking apparatus and method |
JP4625925B2 (ja) * | 2004-12-10 | 2011-02-02 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | 細胞に対して物質を導入する方法 |
JP4517074B2 (ja) * | 2005-03-09 | 2010-08-04 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | 免疫力学測定による生細胞タンパク質の検出方法 |
JP4831543B2 (ja) * | 2006-06-20 | 2011-12-07 | セイコーインスツル株式会社 | 細胞剥離方法 |
US8132611B2 (en) * | 2007-06-01 | 2012-03-13 | University Of Louisville Research Foundation, Inc. | Metallic nanostructures self-assembly, and testing methods |
EP2229441B1 (en) * | 2007-12-12 | 2014-10-01 | The Board of Trustees of The Leland Stanford Junior University | Method and apparatus for magnetic separation of cells |
-
2010
- 2010-03-11 JP JP2010054556A patent/JP5504535B2/ja active Active
-
2011
- 2011-03-09 EP EP11753398.4A patent/EP2546328A4/en not_active Withdrawn
- 2011-03-09 WO PCT/JP2011/055501 patent/WO2011111740A1/ja active Application Filing
- 2011-03-09 US US13/583,746 patent/US9175255B2/en active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
US9175255B2 (en) | 2015-11-03 |
EP2546328A1 (en) | 2013-01-16 |
WO2011111740A1 (ja) | 2011-09-15 |
US20130005038A1 (en) | 2013-01-03 |
WO2011111740A9 (ja) | 2011-11-03 |
EP2546328A4 (en) | 2017-04-12 |
JP2011182761A (ja) | 2011-09-22 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5504535B2 (ja) | 細胞の分離法および分離装置 | |
Chang et al. | Magnetic tweezers‐based 3D microchannel electroporation for high‐throughput gene transfection in living cells | |
Kwak et al. | Interfacing inorganic nanowire arrays and living cells for cellular function analysis | |
KR20100122953A (ko) | 세포선별장치 및 그것을 이용한 세포선별방법 | |
WO2004092369A1 (ja) | マイクロインジェクション方法および装置 | |
US9568403B2 (en) | Particle processing | |
US20030228695A1 (en) | Cell-manipulating apparatus and method of using the same | |
WO1997047969A1 (en) | Fine substance hold-back carrier, suspension system for the same, fine substance manipulating apparatus and method of controlling position of fine substance | |
Kawamura et al. | A new cell separation method based on antibody-immobilized nanoneedle arrays for the detection of intracellular markers | |
Kawamura et al. | Controlled cell adhesion using a biocompatible anchor for membrane-conjugated bovine serum albumin/bovine serum albumin mixed layer | |
US20060201811A1 (en) | Apparatus for transport and analysis of particles using dielectrophoresis | |
Binan et al. | Opto-magnetic capture of individual cells based on visual phenotypes | |
JP4517074B2 (ja) | 免疫力学測定による生細胞タンパク質の検出方法 | |
EP3693452A1 (en) | Cell culture container, method for acquiring cells, and method for culturing cells | |
McNamee et al. | Parameters affecting the adhesion strength between a living cell and a colloid probe when measured by the atomic force microscope | |
JP6686361B2 (ja) | 細胞回収のための標本作製方法 | |
JP2013183706A (ja) | ナノニードルアレイ | |
CN103415775B (zh) | 用于化验过程的双槽凹坑 | |
JPWO2014065192A1 (ja) | 核酸抽出用デバイス及び該デバイスの製造方法、並びに核酸抽出方法及び核酸配列解析方法 | |
Durán et al. | Silicon-nanowire based attachment of silicon chips for mouse embryo labelling | |
Binan et al. | Opto-magnetic selection and isolation of single cells | |
WO2018025636A1 (ja) | 生体試料分析方法及び生体試料分析装置 | |
Quek et al. | Nanoscale Methods for Longitudinal Extraction of Intracellular Contents | |
JP6198186B2 (ja) | 目的細胞の分離方法 | |
WO2023002890A1 (ja) | 針状体を利用した細胞内反応の制御手段 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20120705 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20120827 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20140225 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20140228 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5504535 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |