JP5503468B2 - 可変バルブタイミング動弁装置 - Google Patents

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Description

本発明は、バルブタイミングを可変とする動弁装置に関する。
動弁カム軸にスプライン嵌合された可変カム部材が軸方向に摺動して吸排気バルブに作用するカムを変更することでバルブタイミングを可変とする動弁装置は、種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−256833号公報
特許文献1に開示された動弁装置は、カム軸の外周にスプライン嵌合されたカム駒に低速カムと高速カムとが形成され、カム駒を軸方向に摺動することにより吸排気バルブに作用するカムを低速カムと高速カムのいずれかに切り換えることができるものである。
特許文献1において、カム駒を軸方向に摺動するスライダ機構は、カム軸に平行に往復動する駆動ピストンから延出したアームがカム駒の係合部に係合し、駆動ピストンが油圧により移動することにより、アームを介してカム駒が摺動する機構である。
したがって、カム軸の周囲に油圧駆動ピストンによる大掛かりなスライダ機構が構成されるので、部品点数も多く複雑で、可変バルブタイミング動弁装置が大型化し、コスト高となる。
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、部品点数も少なく簡単な構造で、小型化が図れる可変バルブタイミング動弁装置を低コストで供する点にある。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、内燃機関のクランク軸に連動して回転し吸排気の定常カム部位(142)により吸気バルブ(33)および排気バルブ(34)を開閉する動弁カム軸(141)と、前記動弁カム軸(141)の外周にスプライン嵌合し軸方向に摺動変位してバルブタイミングを可変とする可変カム部材(150)と、前記可変カム部材(150)を軸方向に摺動して変位させるスライダ機構(152)とを備えた可変バルブタイミング動弁装置において、
前記スライダ機構(152)は、前記動弁カム軸(141)の中心軸孔(141h)に摺動自在に嵌挿されアクチュエータ(61)の動作を受けて摺動するスライドロッド(153)と、前記動弁カム軸(141)に軸方向に長尺に形成された長孔(141s)を貫通して前記スライドロッド(153)と前記可変カム部材(150)とを連結する連結部材(154)とを備え、前記動弁カム軸(141)の前記長孔(141s)の長尺端に前記連結部材(154)が当接することで、前記可変カム部材(150)の摺動が規制されるように構成され、前記動弁カム軸(141)は、冷間鍛造により、前記定常カム部位(142)と前記スプライン嵌合の部位(141c)が一体に形成されることを特徴とする可変バルブタイミング動弁装置である。
請求項2記載の発明は、内燃機関のクランク軸に連動して回転し吸排気の定常カム部位(142)により吸気バルブ(33)および排気バルブ(34)を開閉する動弁カム軸(141)と、前記動弁カム軸(141)の外周にスプライン嵌合し軸方向に摺動変位してバルブタイミングを可変とする可変カム部材(150)と、前記可変カム部材(150)を軸方向に摺動して変位させるスライダ機構(152)とを備えた可変バルブタイミング動弁装置において、
前記スライダ機構(152)は、前記動弁カム軸(141)の中心軸孔(141h)に摺動自在に嵌挿されアクチュエータ(61)の動作を受けて摺動するスライドロッド(153)と、前記動弁カム軸(141)に軸方向に長尺に形成された長孔(141s)を貫通して前記スライドロッド(153)と前記可変カム部材(150)とを連結する連結部材(154)とを備え、前記可変カム部材(150)は、前記動弁カム軸(141)の外周にスプライン嵌合すると同時にインロー嵌合し、前記動弁カム軸(141)は、冷間鍛造により、前記定常カム部位(142)と前記スプライン嵌合の部位(141c)が一体に形成されることを特徴とする可変バルブタイミング動弁装置である。
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の可変バルブタイミング動弁装置において、前記可変カム部材(50,150)が前記定常カム部位(42,142)と隣り合って配置され、前記可変カム部材(50,150)が前記定常カム部位(42,142)から所定距離以上離れると前記可変カム部材(50,150)がバルブに作用せず、前記可変カム部材(50,150)が前記定常カム部位(42,142)に間隙を存して近接すると前記可変カム部材(50,150)がバルブに作用してバルブタイミングを変えることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の可変バルブタイミング動弁装置において、前記定常カム部位(42,142)は排気カムロブ(42e,142e)を備え、前記可変カム部材(50,150)が前記排気カムロブ(42e,142e)に近接すると前記可変カム部材(50,150)が排気バルブ(34)に作用して排気バルブタイミングを変えることを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項1から請求項のいずれか1項記載の可変バルブタイミング動弁装置において、前記連結部材(54,154)は、棒状をなし、前記スライドロッド(53,153)を垂直に貫通して、両端が前記動弁カム軸(41,141)の互いに対向して設けられた前記長孔(41s,141s)を貫通して前記可変カム部材(50,150)に係合する。
請求項記載の発明は、請求項記載の可変バルブタイミング動弁装置において、前記動弁カム軸(41,141)の軸中心と前記可変カム部材(50,150)のカム山の頂点とを結ぶ直線に対して前記連結部材(54,154)が略90度の角度方向に指向して配設されることを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項1から請求項のいずれか1項記載の可変バルブタイミング動弁装置において、前記動弁カム軸(41,141)と前記可変カム部材(50,150)は、偶数条のスプライン溝条(41cs,141cs)とスプライン突条(50cs,150cs)の嵌合によりスプライン嵌合され、前記連結部材(54,154)は、前記可変カム部材(50,150)のスプライン突条(50cs,150cs)に係合することを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項2記載の可変バルブタイミング動弁装置において、前記連結部材(154)は、前記可変カム部材(150)のインロー内周面部(150i)に係合することを特徴とする。
請求項1記載の可変バルブタイミング動弁装置によれば、スライダ機構(152)が、動弁カム軸(141)の中心軸孔(141h)に摺動自在に嵌挿されアクチュエータ(61)の動作を受けて摺動するスライドロッド(153)と、動弁カム軸(141)に軸方向に長尺に形成された長孔(141s)を貫通してスライドロッド(153)と可変カム部材(150)とを連結する連結部材(154)とを備えているので、動弁カム軸(141)の内部に少ない部品点数で簡単なスライダ機構(152)が構成され、可変バルブタイミング動弁装置の小型化および低コスト化を図ることができる。
動弁カム軸(141)に対して可変カム部材(150)がスプライン嵌合により軸方向に摺動自在に取り付けられるので、動弁カム軸(141)に対する可変カム部材(150)の回転方向の相対位置精度は高く、連結部材(154)が貫通する動弁カム軸(141)の長孔(141s)の周方向幅(回転方向幅)の加工精度を下げることができ、加工性を良好にすることができる。
そして、動弁カム軸(141)の長孔(141s)の長尺端に連結部材(154)が当接することで、可変カム部材(150)の摺動が規制されるので、動弁カム軸(141)に対する可変カム部材(150)の軸方向の位置精度を良好とすることができる。
また、動弁カム軸(141)は定常カム部位(142)とスプライン部位(141c)が冷間鍛造により一体に形成されるので、動弁カム軸(141)の加工工数を削減しつつ、定常カム部位((142)のカム位相、リフト量、軸方向位置等の精度を向上させることができる。
請求項2記載の可変バルブタイミング動弁装置によれば、スライダ機構(152)が、動弁カム軸(141)の中心軸孔(41h)に摺動自在に嵌挿されアクチュエータ(161)の動作を受けて摺動するスライドロッド(153)と、動弁カム軸(141)に軸方向に長尺に形成された長孔(141s)を貫通してスライドロッド(153)と可変カム部材(150)とを連結する連結部材(154)とを備えているので、動弁カム軸(141)の内部に少ない部品点数で簡単なスライダ機構(152)が構成され、可変バルブタイミング動弁装置の小型化および低コスト化を図ることができる。
動弁カム軸(141)に対して可変カム部材(150)がスプライン嵌合により軸方向に摺動自在に取り付けられるので、動弁カム軸(141)に対する可変カム部材(150)の回転方向の相対位置精度は高く、連結部材(154)が貫通する動弁カム軸(141)の長孔(141s)の周方向幅(回転方向幅)の加工精度を下げることができ、加工性を良好にすることができる。
そして、可変カム部材(150)は動弁カム軸(141)の外周にスプライン嵌合すると同時にインロー嵌合するので、インロー嵌合で可変カム部材(150)の動弁カム軸(141)に対する同軸性が高い精度で確保されるため、スプライン嵌合では同軸性は考慮せずに可変カム部材(150)の動弁カム軸(141)に対する回転方向の位置決めを確保すればよく、よってスプライン(141cs,150cs)の加工精度をそれ程高く設定する必要がなく、低コスト化を図ることができる。
また、動弁カム軸(141)は定常カム部位(142)とスプライン部位(141c)が冷間鍛造により一体に形成されるので、動弁カム軸(141)の加工工数を削減しつつ、定常カム部位(142)のカム位相、リフト量、軸方向位置等の精度を向上させることができる
請求項3記載の可変バルブタイミング動弁装置によれば、可変カム部材(50)が吸排気の定常カム部位(42,142)と隣り合って配置され、可変カム部材(50,150)が定常カム部位(42,142)から所定距離以上離れると可変カム部材(50,150)がバルブに作用せず、可変カム部材(50,150)が定常カム部位(42,142)に間隙を存して近接すると可変カム部材(50,150)がバルブに作用してバルブタイミングを変えるので、内燃機関の運転状態に応じて可変カム部材(50,150)を定常カム部位(42,142)に近接させてバルブに作用するようにして吸排気のバルブを通常のタイミングとは異なる所定のタイミングで開閉することができる。
可変カム部材(50,150)は定常カム部位(42,142)に間隙を存して近接するので、可変カム部材(50,150)が潤滑油の粘性により定常カム部位(42,142)に貼り付いて円滑な摺動変位が妨げられるのを防止することができる。
請求項4記載の可変バルブタイミング動弁装置によれば、定常カム部位(42,142)は排気カムロブ(42e,142e)を備え、可変カム部材(50)が排気カムロブ(42e,142e)に近接すると可変カム部材(50,150)が排気バルブ(34)に作用して排気カムロブ(42e,142e)による通常の排気バルブタイミングとは異なる所定のタイミングで排気バルブ(34)を開閉することで、排気通路に残留した排気ガスを燃焼室に戻し燃焼に供する所謂EGR(排気再循環)を実現することができる。
このEGR装置を特別専用のEGRバルブやEGRポート等を要せずに簡単な構造で構成することができる。
EGRのための可変カム部材(50,150)のカムのリフト量は小さいので、カム山に作用する力によるスプラインへの負荷は小さく、可変カム部材(50,150)を小型軽量化することができ、可変カム部材(50,150)の摺動をより良好にすることができる。
請求項記載の可変バルブタイミング動弁装置によれば、連結部材(54,154)は、棒状をなし、スライドロッド(53,153)を垂直に貫通して、両端が動弁カム軸(41,141)の互いに対向して設けられた長孔(41s,141s)を貫通して可変カム部材(50,150)に係合するので、スライドロッド(53,153)により連結部材(54,154)を介して可変カム部材(50,150)を軸方向に摺動させる際に、連結部材(54,154)は中央で力を受け両端で可変カム部材(50,150)に均等に作用するため、連結部材(54,154)が傾くのを防止して可変カム部材(50,150)の摺動をより円滑にすることができる。
請求項記載の可変バルブタイミング動弁装置によれば、動弁カム軸(41,141)の軸中心と可変カム部材(50,150)のカム山の頂点とを結ぶ直線に対して棒状をなす連結部材(54,154)が略90度の角度方向に指向して配設されるので、可変カム部材(50,150)の軸方向端部に形成されたカム山がバルブに作用するときの反力を可変カム部材(50,150)に係合する連結部材(54,154)が両端で略均等に受け、連結部材(54,154)の一端の係合部に応力が偏り可変カム部材(50,150)の円滑な摺動を妨げるのを防止することができる。
請求項記載の可変バルブタイミング動弁装置によれば、動弁カム軸(41,141)と可変カム部材(50,150)は、偶数条のスプライン溝条(41cs,141cs)とスプライン突条(50cs,150cs)の嵌合によりスプライン嵌合されるので、スプラインの負荷を均等に分散し、連結部材(54,154)は両端を可変カム部材(50,150)の対向する厚肉のスプライン突条(50cs,150cs)に係合して可変カム部材(50,150)を径方向に大きくすることなく、連結部材(54,154)と可変カム部材(50,150)の係合代を大きくして係合を確実にすることができる。
請求項記載の可変バルブタイミング動弁装置によれば、連結部材(154)は可変カム部材(150)の同軸性が確保されるインロー内周面部(150i)に係合するので、このインロー内周面部(150i)に連結部材(154)を介して力が作用し可変カム部(150)は倒れることなく同軸性を維持したまま円滑に摺動変位することができる。
本発明の一実施形態に係る内燃機関を搭載した自動二輪車の全体側面図である。 同内燃機関の一部省略一部断面とした左側面図である。 同内燃機関のシリンダヘッドおよびその近傍の右断面図である。 同後断面図(図11のIV−IV線断面図)である。 図4および図11のV−V線断面図である。 動弁カム軸,定常カム部材,可変カム部材の分解斜視図である。 スライダ機構等を組み込んだ動弁カム軸と被動カムチェーンスプロケット等の分解断面図である。 図7のVIII−VIII線断面図である。 揺動アームの斜視図である。 動弁機構を組み込んだシリンダヘッドの上面図である。 ヘッドカバーの上面図である。 同ヘッドカバーの裏面図である。 図12のXIII−XIII線断面図である。 図12のXIV−XIV線断面図である。 図12のXV−XV線断面図である。 別の実施の形態に係る可変バルブタイミング動弁装置の動弁カム軸周辺の縦断面図である。 図16のXVII−XVII線断面図である。 動弁カム軸と可変カム部材の分解斜視図である。 動弁カム軸と可変カム部材の分解断面図である。 図19のXX−XX線断面図である。 図19のXXI矢視図である。
以下、本発明に係る一実施の形態について図1ないし図15に基づいて説明する。
本実施の形態に係る内燃機関10は、同内燃機関10の後方に変速機を一体に備えて自動二輪車にクランク軸11を車幅方向である左右方向に指向させて横置きに搭載される。
なお、本実施の形態において、前後左右は、車両を基準としたときの前後左右に一致するものとする。
図1は本発明の一実施形態に係る内燃機関10を搭載した自動二輪車1の全体側面図である。
本自動二輪車1の車体フレーム2は、ヘッドパイプ2hから後方へ左右一対のメインフレーム2m,2mが若干下向きに延出した後にさらに下方に屈曲して急傾斜部2ma,2maを形成して下端部に至っている。
またヘッドパイプ2hから斜め急角度に下方へ左右一対のダウンフレーム2d,2dが、側面視でメインフレーム2mの急傾斜部2maに略平行に延出している。
メインフレーム2m,2mの急傾斜部2ma,2maの上部からはガセット2g,2gを介してシートレール2s,2sが後方に延出し、同シートレール2s,2sの中央部と急傾斜部2ma,2maの下部とを連結したバックステー2b,2bがシートレール2s,2sを支持している。
以上のような車体フレームにおいて、ヘッドパイプ2hにはフロントフォーク3が枢支され、その下端に前輪Fwが軸支され、メインフレーム2m,2mの急傾斜部2ma,2maの下部に前端を軸支されたリヤフォーク4が後方へ延出し、その後端に後輪Rwが軸支され、リヤフォーク4と車体フレーム2の前記ガセット2gとの間にリヤクッション5が介装されている。
メインフレーム2m,2mの前部には燃料タンク6が架設され、燃料タンク6の後方にシート7がシートレール2s,2sに支持されて設けられている。
メインフレーム2m2mとダウンフレーム2d,2dに懸架される内燃機関10は、SOHC型の空冷式単気筒4サイクル内燃機関であり、車体に対してクランク軸11を車体幅方向に指向させ、シリンダを若干前傾させてシリンダブロック14,シリンダヘッド15,ヘッドカバー16が起立した姿勢で懸架される。
内燃機関10の若干前傾したシリンダの上部のヘッドカバー16の上方を燃料タンク6が覆う位置関係にある。
内燃機関10のシリンダヘッド15からは後方に吸気管8が延出しスロットルボディを介してエアクリーナ8aに至っており、シリンダヘッド15から前方に排気管9が延出し、下方に屈曲して内燃機関10の下方を後方に延び、後輪Rwの右側のマフラー9mに至っている。
図2を参照して、内燃機関10は、クランク軸11を軸支するクランクケース13は、クランク軸11が配置されるクランク室13Cの後方に変速機を収容するミッション室13Mが形成され、後半のミッション室13Mからは変速機の出力軸12が左外方に突出していて、パワーユニットを構成している。
クランク室13Cの下方には底壁が幾らか下方に膨出してオイルを貯留するオイル溜め13Pが一体に形成される。
クランク室13C,ミッション室13M,オイル溜め13Pを形成するクランクケース13は、左右割り構造をしている。
クランクケース13の前側のクランク室13Cの上には、1本のシリンダ14aを有するシリンダブロック14と、シリンダブロック14の上にガスケットを介してシリンダヘッド15が重ねられ、ヘッドボルト17によりカムシャフトホルダ16とともにシリンダヘッド15,シリンダブロック14がクランクケース13に一体に締結され、シリンダヘッド15の上方を弾性シール部材18を介してヘッドカバー20が覆っている(図3,図4参照)。
クランクケース13の上に重ねられるシリンダブロック14,シリンダヘッド15およびヘッドカバー20は、クランクケース13から若干前傾した姿勢で上方に延出している(図2参照)。
シリンダブロック14のシリンダ14a内にピストン31が往復摺動自在に嵌合され(図3参照)、同ピストン31とクランク軸11がコンロッド32により連接されてクランク機構が構成されている。
シリンダヘッド15には、シリンダ14aに対応して、シリンダ軸線方向でピストン31に対向して燃焼室15zが形成され、該燃焼室15zから後方に吸気ポート15iが延出し、燃焼室60から前方に排気ポート15eが延出しており(図3参照)、燃焼室15zの天井壁には点火栓19が先端を燃焼室15zに臨ませて取り付けられる(図4参照)。
図3に示すように、シリンダヘッド13に一体に嵌着された弁ガイドにそれぞれ摺動可能に支持される吸気バルブ33および排気バルブ34は、内燃機関10に備えられる動弁機構40により駆動されて、吸気ポート15iの吸気開口および排気ポート15eの排気開口をクランク軸11の回転に同期して開閉する。
図3および図4を参照して、動弁機構40は、シリンダヘッド15の上に固定されたカムシャフトホルダ16に1本の動弁カム軸41が左右方向に指向して軸支されたSOHC型の動弁機構であり、動弁カム軸41の斜め前後上方にロッカアームシャフト43e,43iがカムシャフトホルダ16に支持され、後方のロッカアームシャフト43iに吸気ロッカアーム44iが揺動自在に中央を軸支され、前方のロッカアームシャフト43eに排気ロッカアーム44eが揺動自在に中央を軸支されている。
動弁カム軸41には、外周面に吸気カムロブ42iと排気カムロブ42eが並んで形成された円筒状の定常カム部材42が圧入して、動弁カム軸41に定常カム部材42が一体に外嵌されている。
そして、吸気ロッカアーム43iは、一端のローラ43irが定常カム部材42の吸気カムロブ42iに接し、他端が吸気バルブ33のバルブステムの上端に接し、他方の排気ロッカアーム44eは一端のローラ44erが定常カム部材42の排気カムロブ42eに接し、他端が排気バルブ34のバルブステムの上端に接しており、動弁カム軸41とともに定常カム部材42(吸気カムロブ42i,排気カムロブ42e)の回転により吸気ロッカアーム44iと排気ロッカアーム44eが所定のタイミングで揺動して吸気バルブ33と排気バルブ34を開閉駆動する。
動弁カム軸41は、左軸端部に被動カムチェーンスプロケット36が固着されている(図4参照)。
一方、クランク軸11には駆動カムチェーンスプロケット35が嵌着されており、同駆動カムチェーンスプロケット35とその上方の前記被動カムチェーンスプロケット36との間にカムチェーン37が架渡され(図2参照)、クランク軸11の回転動力がカムチェーン37を介して動弁カム軸41の回転にクランク軸11の1/2の回転数で伝達され、クランク軸11に同期して吸気ロッカアーム44iと排気ロッカアーム44eを揺動して吸気バルブ33と排気バルブ34がそれぞれ所要のタイミングで開閉駆動する。
なお、シリンダブロック14,シリンダヘッド15,ヘッドカバー20の左側部にはカムチェーン室14c,15c,20cが1つの空洞として形成されており(図4参照)、同カムチェーン室14c,15c,20c内において、図2に示すように、駆動カムチェーンスプロケット36と上方の被動カムチェーンスプロケット36との間に架渡されたカムチェーン37の前側部分を僅かに湾曲して上下に長尺に延びたチェーンガイド38がガイドし、他方後方の後側部分を弓形に湾曲したテンションスリッパ39が押さえるように接して、カムチェーン37に適度な緊張を維持している。
テンションスリッパ39は背後をテンショナリフタ39tにより押圧されている。
カムシャフトホルダ16に左右方向に指向して軸支される動弁カム軸41および定常カム部材42,可変カム部材50の分解斜視図を図6に示す。
該動弁カム軸41は、中心軸孔41hを有する円筒状部材であり、軸方向中央に最大外径のスプライン形成部41cが6条のスプライン溝条41csを有して形成されており、スプライン形成部41cの右方に段部を経て縮径されたカム固定部41rが形成され、右端はさらに縮径されたジャーナル部41jを形成している。
一方、スプライン形成部41cの左方は、若干縮径した左側円筒部41lが形成されている。
そして、動弁カム軸41のスプライン形成部41cには、対称位置のスプライン溝条41cs,41csに軸方向に長尺の長孔41s,41sが対称位置に一対形成されている。
一対の長孔41s,41sは動弁カム軸41の軸方向所定位置に所定長さで形成される。
なお、動弁カム軸41の左端にはキー溝41kが形成されている。
該動弁カム軸41は、冷間鍛造により精度良く成形される。
例えば、スプライン溝条41csは、冷間鍛造により形成され、後加工は不要とすることができる。
動弁カム軸41のカム固定部41rには定常カム部材42が所定の相対角度で圧入固定される。
定常カム部材42は、排気カムロブ42eを左側に、吸気カムロブ42iを右側にして、動弁カム軸41のカム固定部41rに、右側からスプライン形成部41cに接するまで圧入されるので、排気カムロブ42eがスプライン形成部41cに隣接して一体化する。
このように、動弁カム軸41には、カム固定部41rに定常カム部材42が一体に外嵌されるとともに、スプライン形成部41cに可変カム部材50がスプライン嵌合される。
図6を参照して、可変カム部材50は、内周面に動弁カム軸41のスプライン形成部41cの6条のスプライン溝条41csに嵌合する6条のスプライン突条50csが形成されており、外周面には可変カムロブ50eが右側部に形成されている。
可変カムロブ50eは、大部分の外周が排気カムロブ42eの基礎円と同径または若干小径の基礎円をなし、一部に僅かなリフト量の小さいカム山が突出している。
可変カム部材50の可変カムロブ50e以外の円筒部に、中心軸に直交してピン孔50p,50pが対称位置の厚肉のスプライン突条50cs,50csに対称に一対形成され、一対のピン孔50p,50pの外側開口を通る外周溝50vが外周面に形成されている。
ピン孔50p,50pは可変カムロブ50eのカム山と約90度の位相角度を有する(図8参照)。
この可変カム部材50を、動弁カム軸41のスプライン形成部41cに左側から可変カムロブ50eを右側にして所定の相対角度でスプライン嵌合すると、可変カム部材50のピン孔50p,50pが動弁カム軸41の長孔41s,41sに一致する。
図7を参照して、動弁カム軸41における定常カム部材42が圧入されたカム固定部41rの右側に突出した右端のジャーナル部41jにはベアリング46が嵌合され、可変カム部材50がスプライン嵌合されたスプライン形成部41cの左側の左側円筒部41lにはベアリング45が嵌挿され、さらにフランジ部材47がキー49を介して所定の相対角度で圧入されてベアリング45をスプライン形成部41cとの間で挟みつける。
フランジ部材47は、円筒部の左側部分が遠心方向に対称に膨出してフランジ部47f,47fを形成しており、軸方向視でひし形をした一対のフランジ部47f,47fのそれぞれに、ねじ孔47h,47hが穿孔されている。
前記被動カムチェーンスプロケット36は、中央の円孔36cを動弁カム軸41のフランジ部材47より左側に露出した左端に嵌合し、対称位置に設けられた取付孔36h,36hをフランジ部材47のねじ孔47h,47hに合せてねじ48,48を貫通し螺合してフランジ部材47に固着する(図4参照)。
そして、動弁カム軸41の中心軸孔41hには、前記可変カム部材50を摺動変位させるスライダ機構52のスライドロッド53が左右軸方向に摺動自在に嵌挿される。
スライドロッド53は、中央大径部53cの両側がそれぞれ僅かに縮径しており、中央大径部に軸方向に直交してピン孔53pが穿孔されている(図7参照)。
動弁カム軸41の中心軸孔41hにスライドロッド53を挿入し、ピン孔53pを動弁カム軸41の長孔41s,41sおよび可変カム部材50のピン孔50p,50pに合致させて、合致したピン孔50p,50p、長孔41s,41s、ピン孔53pに1本の連結ピン54を嵌挿させる。
連結ピン54は、可変カム部材50の外周溝50vの内径より短く、外周溝50vに嵌合される止め輪55により抜け止めされ、連結ピン54の両端が可変カム部材50のピン孔50p,50pに係合して可変カム部材50と一体に移動する。
したがって、スライドロッド53を中心軸孔41h内で左右軸方向に摺動すると、一緒に連結ピン54が動弁カム軸41の長孔41s,41sに案内されて移動し、連結ピン54と一体に可変カム部材50が軸方向に移動して変位する。
動弁カム軸41が定常カム部材42を別体で備えているので、動弁カム軸41の可変カム部材50が摺動自在に嵌合されるスプライン形成部41cのスプライン溝41csを定常カム部材42が配置される直前まで加工形成することができ、可変カム部材(50)のスプライン嵌合による摺動を円滑にすることができる。
動弁カム軸41の軸方向所定位置に形成された長孔41s,41sの軸方向の左右長尺端間を連結ピン54が移動可能であるので、動弁カム軸41に対する可変カム部材50の軸方向の摺動変位は、長孔41s,41sによって規制される。
スライドロッド53により連結ピン54を介して可変カム部材50を軸方向に摺動させる際に、連結ピン54は中央で力を受け両端で可変カム部材50に均等に作用するため、連結ピン54が傾くのを防止して可変カム部材50の摺動を円滑にすることができる。
連結ピン54は両端を可変カム部材50の偶数条(6条)の厚肉のスプライン突条50csの対向するスプライン突条50csに係合し、可変カム部材50を径方向に大きくすることなく、連結ピン54と可変カム部材50の係合におけるスプライン突条50csでの係合代を大きくして係合を確実にすることができる。
図8を参照して、動弁カム軸41の軸中心と可変カム部材50のカム山の頂点とを結ぶ直線に対する可変カム部材50のピン孔50p,50pに両端を係合する連結ピン54の指向する方向の相対位相角度θが略90度である。
したがって、可変カム部材50の軸方向端部に形成されたカム山がバルブに作用するときの反力を可変カム部材50に係合する連結ピン54が両端で略均等に受け、連結ピン54の一端の係合部に応力が偏り可変カム部材50の円滑な摺動を妨げるようなことを防止することができる。
なお、EGR用の可変カムロブ50eは、リフト量が小さくカム山が小さいので、カム山に作用する力によるスプラインへの負荷は小さく、可変カム部材50を小型軽量化することができ、可変カム部材50の摺動をより良好にすることができる。
動弁カム軸41の中心軸孔41hの右端内周面は雌ねじが刻設され、同中心軸孔41hに右方からコイルスプリング56が挿入され、フランジ付きボルト57が雌ねじに螺合すると、コイルスプリング56はスライドロッド53の中央大径部53cとフランジ付きボルト57との間に挟まれてスライドロッド53を左方に付勢し、連結ピン54が長孔41sの左側長尺端に当接した位置にスライドロッド53は規制され、スライドロッド53の左端は動弁カム軸41より左方に突出している。
こうして、可変カム部材50を軸方向に変位させるスライダ機構52が構成される。
動弁カム軸41に対して可変カム部材50は、6条のスプライン溝条41csとスプライン突条50csとのスプライン嵌合により回転方向の相対位置精度は極めて高い。
このように、スプライン嵌合により動弁カム軸41に対する可変カム部材50の回転方向の相対位置精度は高いので、連結ピン54が貫通する動弁カム軸41の長孔41sの周方向幅(回転方向幅)の加工精度を下げることができ、加工性を良好にすることができる。
また、動弁カム軸41に対する可変カム部材50の軸方向位置は、連結ピン54が動弁カム軸41の長孔41sの左右長尺端で精度良く規制され、可変カム部材(50)の軸方向の位置精度を良好とすることができる。
以上のように、動弁カム軸41の中心軸孔41hにスライダ機構52を構成し、動弁カム軸41の外周に定常カム部材42,可変カム部材50,被動カムチェーンスプロケット36およびベアリング45,46を外嵌した小組み状態で、カムシャフトホルダ16の左右に相対向して突出する左右軸受壁16L,16Rの軸孔に左側から挿入され、右側のベアリング46が右軸受壁16Rの軸孔に嵌合し、左側のベアリング45が左軸受壁16Lの軸孔に嵌合して、動弁カム軸41はカムシャフトホルダ16にベアリング45,46を介して回転自在に軸支され、定常カム部材42と一体に、可変カム部材50とともに回転する(図4,図10参照)。
なお、右側のベアリング46は、右軸受壁16Rの段部に当接して位置決めされ、左側のベアリング45は左軸受壁16Lにボルト58により固定される止め板59により左方を位置決めされて抜け落ちが防止されている(図4参照)。
図4を参照して、コイルスプリング56により左方に付勢されたスライドロッド53が、コイルスプリング56の付勢力に抗して右方に押されると、図4に実線で示すように、連結ピン54を介して可変カム部材50が右方に摺動変位し、連結ピン54が長孔41sの右側長尺端に当接した位置に可変カム部材50は規制され、このとき可変カム部材50は定常カム部材42の左側の排気カムロブ42eに僅かな間隙を存して近接し、排気ロッカアーム44eのローラ44erが排気カムロブ42eと可変カムロブ50eの双方に跨るようにして接するので、排気カムロブ42eによる排気バルブ34の通常の開閉タイミングとは別に、可変カムロブ50eによる排気バルブ34の開閉がある。
この可変カムロブ50eによる排気バルブ34の開閉は、EGR(排気再循環)を実行するものである。
一方、スライドロッド53がコイルスプリング56により左方に移動すると、図4に2点鎖線で示すように、連結ピン54を介して可変カム部材50が左方に摺動変位して定常カム部材42から離れ、所定距離以上離れると、排気ロッカアーム44eのローラ44erは可変カムロブ50eには接することなく、排気カムロブ42eのみに接して、排気バルブ34は通常の排気バルブタイミングで開閉することになる。
動弁カム軸41より左側に突出し、コイルスプリング56により左方に付勢されたスライドロッド53の左端を右方に押圧してスライダ機構52を駆動する可変バルブタイミング駆動機構60が被動カムチェーンスプロケット36の左側に設けられている(図4参照)。
可変バルブタイミング駆動機構60は、アクチュエータとしての電磁ソレノイド61と同電磁ソレノイド61の駆動をスライダ機構52に伝達する揺動アーム65からなり、電磁ソレノイド61はヘッドカバー20の天井壁20uの上方に固定され、揺動アーム65はヘッドカバー20のカムチェーン室20cに揺動自在に枢支される。
ヘッドカバー20は、天井壁20uと矩形筒状の周壁20sとで概ね矩形椀状をなし、天井壁20uのカムチェーン室20cを覆う部分の前後方向中央部が上方に厚肉に突出して中央突出部21を形成しており、その中央突出部21の前後両側に連続して突出ボス部22,22が突出形成されている。
中央突出部21には、前後方向中央部に所定幅の中央空隙21cがカムチェーン室20c側から穿設されており、中央突出部21の右側面から左方に穿孔された円孔21hが中央空隙21cまで達している。
突出ボス部22,22には、右側面から雌ねじが刻設されている。
電磁ソレノイド61の円柱状をなす本体の1端面から突出した取付円筒部62bからプランジャ61pが出没自在に突出している。
電磁ソレノイド61の本体からは前後に取付フランジ部62f,62fが延出している。
この電磁ソレノイド61は、プランジャ61pを左側にして、中央突出部21に右側から取り付けられる。
その際、図11を参照して、電磁ソレノイド61の取付円筒部62bが中央突出部21の円孔21hに嵌入され、電磁ソレノイド61の本体からは前後に延出した取付フランジ部62f,62fが突出ボス部22,22に当接されて、ボルト63,63が取付フランジ部62f,62fを貫通して突出ボス部22,22の雌ねじに螺合して電磁ソレノイド61がヘッドカバー20の天井壁20uの上方に固定される。
こうして取り付けられた電磁ソレノイド61は、プランジャ61pの移動する軸線方向が、動弁カム軸41およびその中心軸孔41h内のスライドロッド53の摺動する軸線方向と平行である。
そして、電磁ソレノイド61のプランジャ61pは、スライドロッド53をシリンダ14aの中心軸線であるシリンダ軸線方向に平行移動した位置にある。
ヘッドカバー20の内面には、図12に示すように、複数リブが形成されており、中央突出部21に穿設された中央空隙21cの前後両側に対称的に一対のガイド壁23,23が下方に延出して形成されている。
図13の断面図を参照して、ガイド壁23,23は、中央空隙21cを挟んで相対面する前後側面21a,21aに沿って端面23a,23aを有して前後方向に延びて途中で斜め左方に屈曲して展開している。
中央空隙21cを構成する前後側面21a,21aと前後ガイド壁23,23の端面23a,23aは、同一面をなす。
そして、中央空隙21cを構成する前後側面21a,21aには所定位置に枢軸孔21b,21bが同軸に形成されている。
一方、揺動アーム65は、図9に図示するように、相対向する長尺同形状の側板部65b,65bを長尺の連結板部65aが連結した断面コ字状をなす直線棒状のアーム部材であり、シリンダ軸線方向と略平行に(略上下方向に)指向させてヘッドカバー20のカムチェーン室20cに配設されるが、その略上下方向に指向した側板部65b,65bは、中央より上部に片寄った位置に同軸に軸支孔65bh,65bhを備え、軸支孔65bh,65bhの部位より上下方向にそれぞれ先細に形成されている。
この揺動アーム65は、シリンダ軸線方向と略平行に指向させ連結板部65aを右方に開口を左方に向けてカムチェーン室20cに被動カムチェーンスプロケット36の左面に沿って配設されるが、その際、揺動アーム65の略上半部は中央突出部21の中央空隙21cに挿入され、軸支孔65bh,65bhを中央空隙21cの前後側面21a,21aに形成された枢軸孔21b,21bと一致させて、前側の突出ボス部22から枢軸孔21bへ螺入された枢軸ボルト64が揺動アーム65の軸支孔65bh,65bhを貫通して後側の突出ボス部22の枢軸孔21bに架設されて、揺動アーム65が揺動自在に枢軸ボルト64に枢支される。
揺動アーム65は、上半部が中央空隙21cを構成する前後側面21a,21aに挟まれるようにして揺動し、下半部が前後側面21a,21aと同一面の前後ガイド壁23,23の端面23a,23aに挟まれるようにしてガイドされて、ねじれ方向の倒れを生じることなく円滑に揺動する。
図4を参照して、動弁カム軸41の中心軸孔41h内を摺動するスライドロッド53は、ヘッドカバー20とシリンダヘッド15との合せ面S(弾性シール部材18の下面とする)と略同一面上にあり、揺動アーム65の下端はヘッドカバー20とシリンダヘッド15との合せ面Sより下方に若干突出している。
揺動アーム65は、中央より上部に片寄った位置を枢軸ボルト64により軸支されるので、枢軸ボルト64より上側部分に比べて下側部分が長尺であり、図4に示すように、揺動アーム65の支点Pとなる枢軸ボルト64は、動弁カム軸41に固着された被動カムチェーンスプロケット36よりも上方に位置に位置し、枢軸ボルト64より上側端部の連結板部65aにヘッドカバー20の天井壁20uの上方に固定された電磁ソレノイド61の取付円筒部62bより左方に突出したプランジャ61pが当接し、枢軸ボルト64より下側端部の連結板部65aに動弁カム軸41より左方に突出しコイルスプリング56により付勢されたスライドロッド53が当接する。
図4を参照して、直線棒状の揺動アーム65は、揺動アーム65の枢軸ボルト64による揺動中心を支点Pとすると、電磁ソレノイド61のプランジャ61pが当接する上端の点が力点Qであり、スライドロッド53に当接する下端の点が作用点Rであり、揺動アーム65は電磁ソレノイド61の励磁駆動で左方に突出したプランジャ61pを上端の力点Qで受け、揺動して下端の作用点Rでスライドロッド53に作用してコイルスプリング56の付勢力に抗してスライドロッド53を右方に摺動する。
電磁ソレノイド61が消磁すると、コイルスプリング56の付勢力によりスライドロッド53が左方に摺動し、揺動アーム65を揺動してプランジャ61pが右方に押し込まれる。
すなわち、電磁ソレノイド61が消磁しているときは、コイルスプリング56の付勢力によりスライドロッド53は左方に摺動し、図4に2点鎖線で示すように、連結ピン54を介して可変カム部材50が左方に摺動変位して定常カム部材42から離れ、排気バルブ34は通常の排気バルブタイミングで開閉する。
そして、電磁ソレノイド61を励磁すると、プランジャ61pが左方に突出して揺動アーム65を連結ピン54が動弁カム軸41の長孔41sの右側長尺端に当接するまで揺動し、スライドロッド53をコイルスプリング56の付勢力に抗して右方に摺動し、図4に実線で示すように、連結ピン54を介して可変カム部材50が右方に摺動変位して定常カム部材42の左側の排気カムロブ42eに近接し、排気カムロブ42eによる排気バルブ34の通常の開閉タイミングとは別に、可変カムロブ50eによる排気バルブ34の開閉がある。
この通常の排気タイミングとは異なる排気バルブ34の開閉タイミングは、吸気バルブ33の開弁タイミングに重なる所定のタイミングで実行され、この排気バルブ34の開弁で排気通路に残留した排気ガスを燃焼室15zに戻し燃焼に供する所謂EGR(排気再循環)を実現することができる。
すなわち、可変バルブタイミング駆動機構60,スライダ機構52,可変カム部材50によりEGR装置が構成されており、このEGR装置は特別専用のEGRバルブやEGRポート等を要せずに簡単な構造で構成することができる。
スライダ機構52が、動弁カム軸41の中心軸孔41hに摺動自在に嵌挿され電磁ソレノイド61の駆動で摺動するスライドロッド53と、動弁カム軸41に軸方向に長尺に形成された長孔41sを貫通してスライドロッド53と可変カム部材50とを連結する連結ピン54とを備えているので、動弁カム軸(41)の内部に少ない部品点数で簡単なスライダ機構52が構成され、可変バルブタイミング動弁装置の小型化および低コスト化を図ることができる。
揺動アーム65は、支点Pから力点Qまでの距離PQより支点Pから作用点Rまでの距離PRが長尺であり、レバーとして距離PQに対する距離PRの比であるレバー比r(=PR/PQ)は大きい。
揺動アーム65は長尺方向がシリンダ軸線方向と略平行に(略上下方向に)指向して配設され、同揺動アーム65の支点Pが動弁カム軸41に固着された被動カムチェーンスプロケット36よりも上方に位置するので、レバー比rを大きく構成しながら揺動アーム65を動弁装置にコンパクトに組み込むことができる。
ヘッドカバー20が、揺動軸64を支持するとともに一対のガイド壁23,23を一体に形成するので、部品点数を削減した簡素な構造とすることができる。
この概ね矩形椀状をなすヘッドカバー20は、天井壁20uの前後にそれぞれ互いに左右に片寄ってヘッドカバー20をシリンダヘッド15にフランジ付きボルト70により取り付けるための取付けボス部20b,20bが形成され(図11,図12参照)、ヘッドカバー20の裏面には、図12に示すように、周壁20sの端面に、弾性シール部材18が嵌め込まれる溝条20vが形成され、天井壁20uの裏面には、前後にノック穴20n,20nが形成されている。
なお、シリンダヘッド15の上面には、図10に示すように、ヘッドカバー20の取付けボス部20b,20bおよびノック穴20n,20nに対応する取付けボルト孔15b,15bおよびノック穴15n,15nが形成されている。
また、ヘッドカバー20には、天井壁20uの裏面に若干に右寄り位置を前後方向若干斜めに直線状に延びた突条25が内部にオイル通路26を有して形成されている。
突条25の後端は周壁20sに達しており、オイル通路26は前端が天井壁20uの前半部中央辺りに至っており、突条25の所定4箇所にオイル通路26に連通する噴射孔27が下方に向けて穿設されている。
図10に示すように、上面のノック穴15n,15nに円筒状のノック部材72を嵌合したシリンダヘッド15に、周壁20sの端面の溝条20vに弾性シール部材18を嵌め込んだヘッドカバー20を被せ、その際、ヘッドカバー20のノック穴20n,20nにノック部材72が嵌合するようにして(図12参照)ヘッドカバー20を位置決めして重ね合せ、同軸となった取付けボルト孔15bと取付けボス部20bにフランジ付きボルト70を貫通し弾性部材71を介して締め付けて(図3参照)、ヘッドカバー20をシリンダヘッド15の上に取り付ける。
したがって、ヘッドカバー20はシリンダヘッド15に弾性シール部材18および弾性部材71を介して弾性支持される。
ヘッドカバー20はシリンダヘッド15に弾性支持され、かつノック部材72によってシリンダ軸線に直交する方向のずれは規制されるので、ヘッドカバー20側に軸支される揺動アーム65の揺動に影響するような内燃機関本体側の振動は弾性支持によって吸収するとともに、揺動アーム65とこれに当接するスライドロッド53との相対位置関係のずれはノック部材によるずれ規制で防止することができる。
したがって、揺動アーム65の揺動をスライドロッド53にずれることなく安定して伝達することができ、電磁ソレノイド61の駆動による可変カム部材50の摺動変位を常に正確に行い、EGRの実行タイミングを精度良く実行することができる。
なお、シリンダヘッド15の後側のノック穴15nはシリンダブロック14側から延出するオイル供給路と連通しており、図14に示すように、ヘッドカバー20の対応するノック穴20nもオイル供給路28を介して前記オイル通路26に連通しているので、円筒状のノック部材72によりシリンダヘッド15側のオイル供給路15aがヘッドカバー20のオイル通路26に連通してオイルがオイル通路26に供給される。
なお、ノック部材72は、オイル連結部のシールも兼ねている。
図10に仮想線(2点鎖線)で示すように、オイル通路26は吸気ロッカアーム44iと排気ロッカアーム44eの上方を斜め前後方向に延びており、その途中に穿設された4つの噴射孔27から噴射されたオイルが吸気ロッカアーム44iと排気ロッカアーム44eの上に散布されて動弁機構40の潤滑に供される。
ヘッドカバー20をシリンダヘッド15に被せ取り付けるときは、シリンダヘッド15に可変バルブタイミング駆動機構60の揺動アーム65を組み込んだ小組み状態で行う。
ヘッドカバー20に揺動アーム65を小組みした状態で、揺動アーム65の下端がヘッドカバー20より下方に突出しているので、シリンダヘッド15の上にヘッドカバー20を上方から被せるときに、揺動アーム65の下端がシリンダヘッド15側に設けられた動弁カム軸41から左方に突出したスライドロッド53に上から当接しないように、側方から揺動アーム65の下端の位置を確認しながら容易に組付けることができ、組付け性が良好である。
その後、ヘッドカバー20の天井壁20uの上方でヘッドカバー20の中央突出部21に電磁ソレノイド61を右側から取り付ける。
電磁ソレノイド61の取付円筒部62bが中央突出部21の円孔21hに嵌入されると、電磁ソレノイド61の消磁状態で後退したプランジャ61pが揺動アーム65の上端に当接して押し、揺動した揺動アーム65の下端は、コイルスプリング56により付勢されたスライドロッド53の左端に当接して若干押した図4に2点鎖線で示した状態となる。
すなわち、揺動アーム65は、下端がスライドロッド53を介してコイルスプリング56により付勢された状態にあり、自由に揺動しないようになっている。
したがって、電磁ソレノイド61の駆動でプランジャ61pが進退しても、プランジャ61pと揺動アーム65の上端とは常に当接状態が維持され、揺動アーム65の下端とスライドロッド53も常に当接状態が維持された状態で、スライドロッド53に動力が伝達されるので、衝接による音の発生はなく、騒音を防止することができる。
シリンダヘッド15にヘッドカバー20がフランジ付きボルト70の螺合により取り付けられると、コイルスプリング56により左方に付勢されたスライドロッド53の左端が揺動アーム65の下端に当接して押圧し、揺動アーム65の上端が電磁ソレノイド61の引込んだ状態のプランジャ61pの左端に当接している(図4の2点鎖線参照)。
このとき、図4に2点鎖線で示すように、スライドロッド53は左方に摺動して連結ピン54を介して可変カム部材50を左方に変位させて定常カム部材42から離れて排気ロッカアーム44eのローラ44erは排気カムロブ42eのみに接して、排気バルブ34は通常の排気バルブタイミングで開閉する。
電磁ソレノイド61が駆動してプランジャ61pが左方に突出すると、図4に実線で示すように、揺動アーム65は上端の力点Qで力を受けて揺動して、下端の作用点Rでスライドロッド53をコイルスプリング56の付勢力に抗して右方に押し込み、連結ピン54を介して可変カム部材50が右方に摺動変位して定常カム部材42の左側の排気カムロブ42eに近接し、排気ロッカアーム44eのローラ44erは排気カムロブ42eと可変カムロブ50eの双方に跨るようにして接して、排気カムロブ42eによる排気バルブ34の通常の開閉タイミングとは別に、可変カムロブ50eによる排気バルブ34の開閉で、EGR(排気再循環)が実行される。
なお、電磁ソレノイド61が駆動して揺動アーム65の揺動を介してスライドロッド53が右方に押し込まれたとき、スライドロッド53とともに可変カム部材50の移動は連結ピン54が動弁カム軸41の長孔41sの右側長尺端に当接して規制されることで、可変カム部材50は定常カム部材42から僅かに離れた近接した位置に停止する。
前記したヘッドカバー20の天井壁20uに形成された潤滑系のオイル通路26の噴射孔27から動弁機構40に散布されたオイルは可変カム部材50が摺動する動弁カム軸41とのスプライン嵌合部も潤滑するので、可変カム部材50が定常カム部材42に近接したときの両者の間隙にもオイルは浸入するが、可変カム部材50が定常カム部材42に当接しているのではなく間隙を有している。
可変カム部材50が定常カム部材42に当接していると、オイルの粘性により可変カム部材50が定常カム部材42に貼り付き、可変カム部材50が定常カム部材42から離れEGRを解除するときに、可変カム部材50の移動が遅れるような不具合が生じるが、連結ピン54が動弁カム軸41の長孔41sの右側長尺端に当接して移動を規制されることで、可変カム部材50が定常カム部材42に間隙を存して近接するため、このような不具合はなく、EGRの実行タイミングの精度を良好に維持することができる。
なお、スライドロッド53と一体の連結ピン54が動弁カム軸41に形成された長孔41sの長尺端に当接することで、可変カム部材50の摺動を規制するほかに、揺動アーム65の揺動を規制することで、可変カム部材50を定常カム部材42に間隙を存して近接停止させるようにしてもよい。
さらには、円筒状の可変カム部材50の定常カム部材42に対向する右端面のうち軸孔周縁部のみを軸方向に若干突出させて、この突出した軸孔周縁部が定常カム部材42に当接して可変カム部材50の移動が規制されるようにしてもよい。
この場合、可変カムロブ50eが定常カム部材42に当接すると、軸孔周縁部のみが定常カム部材42に接して接触面積が小さく、オイルの粘性による可変カム部材50の定常カム部材42への貼り付きが弱く、可変カム部材50が定常カム部材42から離れEGRを解除するときに、可変カム部材50の移動が遅れるような不具合は生じない。
ヘッドカバー20の天井壁20uにおけるオイル通路26の噴射孔27から動弁機構40に散布されたオイルやカムチェーン37により掻き揚げられたオイルは、動弁カム軸41の回転に伴うロッカアーム44i,44eの揺動および被動カムチェーンスプロケット36の回転やカムチェーン37の回動により跳ね上げられ飛散して、揺動アーム65の揺動を両側から挟むようにしてガイドするガイド壁23,23の被動カムチェーンスプロケット36側の右壁面および揺動アーム65の連結板部65aの外板面(右板面)にも付着してガイド壁23,23の右壁面と揺動アーム65の右板面に沿って流れ落ちる。
このオイルは、揺動アーム65の揺動部分とガイド壁23,23との間隙にも浸入するので、揺動アーム65の揺動を滑らかにする。
図4および図5に示すように、ガイド壁23,23は、揺動アーム65側に下端があり、その下端がスライドロッド53より上方で、揺動アーム65の作用点Rの移動する軸方向範囲内にあるので、ガイド壁23,23の右壁面を流れ落ちるオイルは、ガイド壁23,23の下端に沿って揺動アーム65の方に案内されて両者の間隙を渡って揺動アーム65に移り、元々揺動アーム65に沿って流れ落ちていたオイルとともに、さらに下方の揺動アーム65の下端に至るので、揺動アーム65の作用点Rすなわちスライドロッド53の当接部に供給されて、揺動アーム65の押圧作用点の摩耗を防止することができる。
次に別の実施の形態に係る可変バルブタイミング動弁装置について図16ないし図21に基づいて説明する。
本可変バルブタイミング動弁装置の動弁カム軸141は、前記実施の形態の動弁カム軸41と概ね同じく中心軸孔141hを有する円筒状部材であるが、定常カム部位142が一体に形成される点と可変カム部材150がスプライン嵌合すると同時にインロー嵌合するスプライン形成部141cとインロー外周部141iが形成されている点が異なる。
すなわち、図18および図19を参照して、本動弁カム軸141は、軸方向中央にスプライン形成部141cとインロー外周面部141iが左右に並んで形成され、インロー外周面部141iの右側に定常カム部位142が一体に形成されている。
そして、動弁カム軸141は、定常カム部位142の右側に縮径されたジャーナル部141jが突出し、一方、スプライン形成部141cの左方は、若干縮径した左側円筒部141lが形成されている。
動弁カム軸141のスプライン形成部141cには4条の幅広のスプライン溝条141csが形成され、インロー外周面部141iはスプライン形成部141cの最大外径より若干大きい外径の円周面が形成されている。
動弁カム軸141の定常カム部位142は、前記定常カム部材42と同じカム形状をしており、左側に排気カムロブ142e、右側に吸気カムロブ142iが形成されている。
そして、スプライン形成部141cの幅広のスプライン溝条141csからインロー外周面部141iにかけて所定位置に軸方向に直交して長孔141sが貫通して穿孔されている。
長孔141sは幅広のスプライン溝条141csの幅より若干小さい幅広の周方向幅を有する。
なお、動弁カム軸41の左端にはキー溝141kが形成されている。
この動弁カム軸141は定常カム部位142を含め冷間鍛造により精度良く一体に形成される。
動弁カム軸141に摺動自在に嵌合する可変カム部材150は、内周面に動弁カム軸41のインロー外周面部141iとスプライン形成部141cの4条のスプライン溝条141csに対応するインロー内周面部150iと4条のスプライン突条150csが形成されている。
可変カム部材150の外周面には、右側部に可変カムロブ150eが形成されており、可変カムロブ150eはEGR用のカムロブで大部分が排気カムロブ142eの基礎円と同径または若干小径の基礎円をなし、一部に僅かなリフト量の小さいカム山が突出している。
可変カム部材150の軸方向でインロー内周面部150iであって周方向でスプライン突条150csがある位相角度に中心軸に直交して対称位置にピン孔150p,150pが一対形成され、一対のピン孔150p,150pの外側開口を通る外周溝150vが外周面に形成されている。
この可変カム部材150を動弁カム軸141に左側から嵌挿し、動弁カム軸141のインロー外周面部141iとスプライン形成部141cにインロー嵌合すると同時にスプライン嵌合する。
所定の相対角度で4条のスプライン溝条141csに4条のスプライン突条150csがスプライン嵌合すると、可変カム部材150のピン孔150p,150pが動弁カム軸141の長孔141sに一致する。
ただし、ピン孔150pの内径より長孔141sの周方向幅は大きい。
図16を参照して、動弁カム軸141の右端ジャーナル部141jにはベアリング146が嵌合され、可変カム部材が嵌合されたスプライン形成部141cの左側の左側円筒部141lにはベアリング145が嵌挿され、さらにフランジ部材147がキー149を介して所定の相対角度で圧入されてベアリング145をスプライン形成部141cとの間で挟みつけ、フランジ部材147に被動カムチェーンスプロケット136がねじ148,148により固着される。
そして、動弁カム軸141の中心軸孔141hには、前記可変カム部材150を摺動変位させるスライダ機構152のスライドロッド153が左右軸方向に摺動自在に嵌挿される。
スライドロッド53は、中央大径部153cの両側がそれぞれ僅かに縮径しており、中央大径部に軸方向に直交してピン孔153pが穿孔されている(図16参照)。
動弁カム軸141の中心軸孔141hにスライドロッド153を挿入し、ピン孔153pを動弁カム軸141の長孔141sおよび可変カム部材150のピン孔150p,150pに合致させて、合致したピン孔150p,150p、長孔141s,141s、ピン孔153pに1本の連結ピン154を嵌挿させる。
連結ピン154は、可変カム部材150の外周溝150vの内径より短く、外周溝150vに嵌合される止め輪155により抜け止めされ、連結ピン154の両端が可変カム部材150のピン孔150p,150pに係合して可変カム部材150と一体に移動する。
したがって、スライドロッド153を中心軸孔141h内で左右軸方向に摺動すると、一緒に連結ピン154が動弁カム軸41の長孔141s,141sに規制されて移動し、連結ピン154と一体に可変カム部材150が軸方向に移動して変位する。
前記電磁ソレノイド61が駆動すると、揺動アーム65の揺動を介してスライドロッド53を摺動し、連結ピン154を介して可変カム部材150が右方に摺動変位して排気カムロブ142eに近接し、排気カムロブ142eによる排気バルブ34の通常の開閉タイミングとは別に、可変カムロブ150eによる排気バルブ34の開閉があり、EGR(排気再循環)が実行される。
本動弁カム軸141は冷間鍛造により定常カム部位142とスプライン部位141cが一体に形成されるので、動弁カム軸141の加工工数を削減しつつ、定常カム部位142のカム位相、リフト量、軸方向位置等の精度を向上させることができる。
可変カム部材150は動弁カム軸141の外周にスプライン嵌合すると同時にインロー嵌合するので、インロー嵌合で可変カム部材150の動弁カム軸141に対する同軸性が高い精度で確保されるため、スプライン嵌合では同軸性は考慮せずに可変カム部材150の動弁カム軸141に対する回転方向の位置決めを確保すればよく、よってスプライン溝条41cs,スプライン突条50csの加工精度をそれ程高く設定する必要がなく、低コスト化を図ることができる。
連結ピン154は可変カム部材150の同軸性が確保されるインロー内周面部150iに係合するので、このインロー内周面部150iに連結ピン154を介して力が作用し可変カム部150は倒れることなく同軸性を維持したまま円滑に摺動変位することができる。
40…動弁機構、41…動弁カム軸、41s…長孔、41h…中心軸孔、41cs…スプライン溝条、42…定常カム部材、42i…吸気カムロブ、42e…排気カムロブ、44i…吸気ロッカアーム、44e…排気ロッカアーム、43ir,44er…ローラ、50…可変カム部材、50cs…スプライン突条、52…スライダ機構、53…スライドロッド、54…連結ピン、56…コイルスプリング、
60…可変バルブタイミング駆動機構、61…電磁ソレノイド、62b…取付円筒部、62f…取付フランジ部、63…ボルト、64…枢軸ボルト、65…揺動アーム、
141…動弁カム軸、141s…長孔、141i…インロー外周面部、141cs…スプライン溝条、142…定常カム部位、142i…吸気カムロブ、142e…排気カムロブ、
150…可変カム部材、150i…インロー内周面部、150cs…スプライン突条、152…スライダ機構、153…スライドロッド、154…連結ピン、156…コイルスプリング。

Claims (8)

  1. 内燃機関のクランク軸に連動して回転し吸排気の定常カム部位(142)により吸気バルブ(33)および排気バルブ(34)を開閉する動弁カム軸(141)と、
    前記動弁カム軸(141)の外周にスプライン嵌合し軸方向に摺動変位してバルブタイミングを可変とする可変カム部材(150)と、
    前記可変カム部材(150)を軸方向に摺動して変位させるスライダ機構(152)とを備えた可変バルブタイミング動弁装置において、
    前記スライダ機構(152)は、
    前記動弁カム軸(141)の中心軸孔(141h)に摺動自在に嵌挿されアクチュエータ(61)の動作を受けて摺動するスライドロッド(153)と、
    前記動弁カム軸(141)に軸方向に長尺に形成された長孔(141s)を貫通して前記スライドロッド(153)と前記可変カム部材(150)とを連結する連結部材(154)とを備え、
    前記動弁カム軸(141)の前記長孔(141s)の長尺端に前記連結部材(154)が当接することで、前記可変カム部材(150)の摺動が規制されるように構成され、
    前記動弁カム軸(141)は、冷間鍛造により、前記定常カム部位(142)と前記スプライン嵌合の部位(141c)が一体に形成されることを特徴とする可変バルブタイミング動弁装置。
  2. 内燃機関のクランク軸に連動して回転し吸排気の定常カム部位(142)により吸気バルブ(33)および排気バルブ(34)を開閉する動弁カム軸(141)と、
    前記動弁カム軸(141)の外周にスプライン嵌合し軸方向に摺動変位してバルブタイミングを可変とする可変カム部材(150)と、
    前記可変カム部材(150)を軸方向に摺動して変位させるスライダ機構(152)とを備えた可変バルブタイミング動弁装置において、
    前記スライダ機構(152)は、
    前記動弁カム軸(141)の中心軸孔(141h)に摺動自在に嵌挿されアクチュエータ(61)の動作を受けて摺動するスライドロッド(153)と、
    前記動弁カム軸(141)に軸方向に長尺に形成された長孔(141s)を貫通して前記スライドロッド(153)と前記可変カム部材(150)とを連結する連結部材(154)とを備え、
    前記可変カム部材(150)は、前記動弁カム軸(141)の外周にスプライン嵌合すると同時にインロー嵌合し、
    前記動弁カム軸(141)は、冷間鍛造により、前記定常カム部位(142)と前記スプライン嵌合の部位(141c)が一体に形成されることを特徴とする可変バルブタイミング動弁装置。
  3. 前記可変カム部材(50,150)が前記定常カム部位(42,142)と隣り合って配置され、
    前記可変カム部材(50,150)が前記定常カム部位(42,142)から所定距離以上離れると前記可変カム部材(50,150)がバルブに作用せず、前記可変カム部材(50,150)が前記定常カム部位(42,142)に間隙を存して近接すると前記可変カム部材(50,150)がバルブに作用してバルブタイミングを変えるように構成されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の可変バルブタイミング動弁装置。
  4. 前記定常カム部位(42,142)は排気カムロブ(42e,142e)を備え、
    前記可変カム部材(50,150)が前記排気カムロブ(42e,142e)に近接すると前記可変カム部材(50,150)が排気バルブ(34)に作用して排気バルブタイミングを変えるように構成されることを特徴とする請求項3記載の可変バルブタイミング動弁装置。
  5. 前記連結部材(54,154)は、棒状をなし、前記スライドロッド(53,153)を垂直に貫通して、両端が前記動弁カム軸(41,141)の互いに対向して設けられた前記長孔(41s,141s)を貫通して前記可変カム部材(50,150)に係合することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項記載の可変バルブタイミング動弁装置。
  6. 前記動弁カム軸(41,141)の軸中心と前記可変カム部材(50,150)のカム山の頂点とを結ぶ直線に対して前記連結部材(54,154)が略90度の角度方向に指向して配設されることを特徴とする請求項記載の可変バルブタイミング動弁装置。
  7. 前記動弁カム軸(41,141)と前記可変カム部材(50,150)は、偶数条のスプライン溝条(41cs,141cs)とスプライン突条(50cs,150cs)の嵌合によりスプライン嵌合され、
    前記連結部材(54,154)は、前記可変カム部材(50,150)のスプライン突条(50cs,150cs)に係合することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項記載の可変バルブタイミング動弁装置。
  8. 前記連結部材(154)は、前記可変カム部材(150)のインロー内周面部(150i)に係合することを特徴とする請求項2記載の可変バルブタイミング動弁装置。
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