JP5503223B2 - 既存建物の改造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、既存建物の改造方法に係り、より詳しくは、中間柱と、該中間柱を平面視で挟む位置に配置され、それぞれ梁によって該中間柱と連結された一対の外側柱とを有する既存建物において、中間柱を撤去する改造方法に関する。
工場や倉庫、オフィスビルなどの大型の建物は、重量鉄骨造や鉄筋コンクリート造でラーメン構造に構築されることが多い。重量鉄骨造や鉄筋コンクリート造は、木造や軽量鉄骨造などに比べて建設コストが高い一方、耐用年数が長いという特徴を有する。しかし、近年、周辺環境の変化に応じて建物の用途を変更したり、同一用途であっても建物に収容する装置や製品が技術の進歩等に伴って大型化したりすることがあり、間仕切り壁や既存床、梁や中間柱を撤去して大きな空間を提供できる建物に改造したいというニーズが高まっている。
ところが、ラーメン構造の建物では、屋根や床を支持する大梁が建物外周に配置された外周柱だけでなく建物内部に配置された中間柱によっても支持されているため、既存建物において何ら補強することなく中間柱を撤去することはできない。そこで、既存建物の中間柱を撤去する改造方法として、外周部架構の耐震補強または免震装置の導入を行った上で、撤去する中間柱の近傍位置で大梁を仮サポートで支持した状態で、中間柱をその頭部で切断して撤去し、大梁の両端における接合部を解体して単純支持状態にした状態で、大梁にケーブルを設置してポストテンションを導入し、その後、大梁の両端部解体箇所を外周部架構に対して剛体接合状態にまで修復する発明が提案されている(特許文献1参照)。この発明によれば、ケーブルによるポストテンションによって大梁の曲げ応力を低減するとともに、外周柱の曲げ応力を低減することができる。
特許第3878900号公報
しかしながら、特許文献1に記載の改造方法では、ケーブルが大梁の両端部で大梁上部に位置し、大梁の長手方向中央部で大梁下部に位置するように、ケーブル定着部材やケーブル方向変更部材を大梁の側面部に設置するため、大梁の梁成以上にケーブルのライズ(高低差)をとることができず、大梁の曲げ応力低減量に対して要するケーブルの緊張力が大きい。そのため、ケーブルの本数が多くなったり、ケーブルの断面寸法が大型化したりするだけでなく、スパン数が多く、必要とされる大梁の曲げ応力低減量が大きい場合、大梁の側面にケーブルを設置しただけでは全ての中間柱を撤去することが不可能となることもある。更に、大きな緊張力をケーブルに付与する必要があるため、ケーブルを緊張する緊張具も大型化し、その取り扱いが困難となって作業性も悪い。
本発明は、このような背景に鑑みなされたもので、ケーブルの本数或いは緊張力を低減し、容易に作業できるとともに、大スパンの大梁にも適用可能な中間柱を撤去する既存建物の改造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、発明は、中間柱(3)と、中間柱(3)を平面視で挟む位置に配置され、それぞれ梁(5)によって中間柱(3)と連結された一対の外側柱(2)とを有し、前記上梁(5)の下方に中間梁(4)を有する多層の既存建物(1)において、中間柱(3)を撤去する改造方法であって、中間柱(3)における梁(5)との接合部よりも低い位置にケーブル(17)による支持に供される被支持手段(13)を設けるステップと、一対の外側柱(2)における被支持手段(13)よりも高い位置にケーブル(17)を張設するための張設手段(16,21)をそれぞれ設けるステップと、被支持手段(13)を通るように一対の張設手段(16,21)間にケーブル(17)を架設するステップと、張設手段(16,21)にケーブル(17)を緊張状態で保持させ、ケーブル(17)に被支持手段(13)を支持させるステップと、ケーブル(17)に被支持手段(13)を支持させる前に、中間柱(3)における被支持手段(13)よりも低い位置に接合する中間梁(4)の一対の外側柱(2)に対する縁を切るステップと、ケーブル(17)に被支持手段(13)を支持させた後に、一対の外側柱(2)に対する縁が切られた中間梁(4)を撤去するステップと、ケーブル(17)に被支持手段(13)を支持させた状態で中間柱(3)における被支持手段(13)よりも下側の部位を撤去するステップとを有することを特徴とする。
ここで、外側柱とは、建物外周に配置された外周柱だけでなく、1列に2本以上の中間柱を有する建物においては、撤去する中間柱に隣接する中間柱を含むものであり、撤去する中間柱の建物外周側に隣接する柱を意味するものである。また、梁とは、屋根や屋上スラブを支持する最上部のものに限られず、中間階や最上階のスラブを支持するものも含むものである。そして、既存建物は、一階建ての平屋に限られるものではなく、複数の階層を有する多層建物も含み、撤去する中間柱は1列につき1本に限られるものではなく、1階層の中間柱に限られるものでもない。また、被支持手段を支持させるとは、被支持手段に加わる荷重および自重を合計した全荷重を支持する形態に限られず、その一部を支持する形態も含む。
この発明によれば、中間柱における梁との接合部よりも低い位置に被支持手段を設け、一対の外側柱における被支持手段よりも高い位置に張設手段を設けたため、一対の張設手段間に張設されるケーブルのライズを大きくすることができる。そのため、梁の曲げ応力低減量に対するケーブルの緊張力が小さくなり、ケーブルの本数低減、或いはケーブルの断面寸法の縮小化を図ることができる。また、既存の中間柱をその上部を残して束として利用するため、寸法の大きな束部材を別途用意して梁に堅固に固定する必要がない。また、被支持手段等を設ける位置を変更することで梁の曲げ応力低減量に対するケーブルの緊張力を小さくすることが可能なため、スパン数が多く、必要とされる大梁の曲げ応力低減量が大きい場合であっても、比較的小さな緊張力で全ての中間柱を撤去することも可能である。加えて、ケーブルに印加する緊張力が小さいため、小型の緊張具で施工することができ、作業性も良い。
また、この発明によれば、および中間梁或いはこれと共に床を複数層有する多層建物において、中間柱だけでなく、ケーブルで補強された梁の下方に位置する中間梁(或いは中間梁および床)をも撤去する場合に、ケーブルに被支持手段を支持させると、その緊張力によって外側柱に応力が発生し、その影響で下側の中間梁と外側柱との接合部および下側の中間梁にも応力が発生するため、複雑な応力計算が必要になるだけでなく、応力が発生した危険な状態で下側の中間梁を切断する必要が生じるが、ケーブルに被支持手段を支持させる前に下側の中間梁と外側柱との縁を切っておくことで、このような応力の発生しない安全な状態で下側の中間梁を切断することができる。したがって、中間梁の撤去作業の安全性を確保できるとともに、応力計算も簡単になり施工計画も容易である。また、下側の中間梁(或いは中間梁および床)を撤去することで、階高の大きな空間を提供できるだけでなく、既存建物自体の荷重が小さくなるため、地震耐力の向上或いは、外側柱を補強する必要がある場合にはその補強規模の低減を図ることができる。
また、本発明の一側面によれば、上記既存建物(1)の改造方法において、中間梁(4)の一対の外側柱(2)に対する縁を切る前に、外側柱(2)の近傍に仮柱(11)を建て込んで中間梁(4)を支持させるステップを更に有することを特徴とする。
また、本発明の一側面によれば上記既存建物(1)の改造方法において、中間柱(3)における被支持手段(13)設置部位に荷重迂回手段(仮支持架台14,仮支持ピース18)を設けるステップと、荷重迂回手段(14,18)に、被支持手段(13)設置部位に伝達する伝達荷重を迂回させるステップと、荷重迂回手段(14,18)に伝達荷重を迂回させた状態で、或いは荷重迂回手段(14,18)に伝達荷重を迂回させつつ、被支持手段(13)の下端近傍で中間柱(3)を切断するステップとを、ケーブル(17)に被支持手段(13)を支持させるステップの前に更に有し、ケーブル(17)に被支持手段(13)を支持させるステップでは、荷重迂回手段(14)が支持する荷重を確認しながらケーブル(17)を緊張することを特徴とする。この発明によれば、撤去する中間柱が負担する荷重を荷重迂回手段によって被支持部材設置部位を通らないように迂回させ、荷重が加わってない安全な状態で撤去すべき中間柱を切断することができる。また、ケーブルを緊張しながら荷重迂回手段の伝達荷重を確認することで、荷重迂回手段による支持荷重を徐々にケーブルに移行させることができ、中間柱を撤去する前にケーブルに所期の支持力を発揮させることができる。したがって、改造作業の安全性が向上する。
この発明によれば、撤去する中間柱が負担する荷重を荷重迂回手段によって被支持部材設置部位を通らないように迂回させ、荷重が加わってない安全な状態で撤去すべき中間柱を切断することができる。また、ケーブルを緊張しながら荷重迂回手段の伝達荷重を確認することで、荷重迂回手段による支持荷重を徐々にケーブルに移行させることができ、中間柱を撤去する前にケーブルに所期の支持力を発揮させることができる。したがって、改造作業の安全性が向上する。
また、本発明の一側面によれば上記既存建物(1)の改造方法において、張設手段(21)を外側柱(2)における梁(5)との接合部よりも高い位置に設けたことを特徴とする。
上記したように、被支持手段の設置位置を梁との接合部から下方に離すほど、ケーブルのライズがとれるようになって梁の曲げ応力を小さくすることができるが、被支持手段が梁よりも下方に突出するほどその階の最低天井高が小さくなる。この発明によれば、被支持手段の設置位置を下げるのではなく、逆に張設手段を梁との接合部よりも高い位置に移すことでケーブルのライズを確保し、下方に形成される空間の最低天井高を大きくして空間の有効利用を図ることができる。
このように本発明によれば、ケーブルの本数或いは緊張力を低減し、容易に作業できるとともに、大スパンの大梁にも適用可能な中間柱を撤去する既存建物の改造方法を提供することができる。
第1実施形態に係る既存建物の改造前の概略断面図 第1実施形態に係る既存建物の改造後の概略断面図 第1実施形態に係る既存建物の改造手順を示す説明図 第1実施形態に係る既存建物の改造手順を示す説明図 第2実施形態に係る既存建物の改造手順を示す説明図 第2実施形態に係る既存建物の改造手順を示す説明図 第3実施形態に係る既存建物の概略断面図 第3実施形態に係る既存建物の要部平面図
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
≪第1実施形態≫
図1に示すように、第1実施形態に係る改造前の既存建物1は、鉄骨造2階建ての工場であり、建物外周に配置された一対の外周柱2と、外周柱2間に等間隔且つ一列に配置された2本の中間柱3と、これら柱2,3をその中間高さ位置において水平且つ直線状に連結する中間梁4と、これら柱2,3の上端部を平面視で直線状に連結する上梁5とをその一断面に有している。既存建物1は、水平な地盤G上に構築され、2本の外周柱2および2本の中間柱3はそれぞれ同一地上長さとされ、且つ外周柱2の地上長さが中間柱3の地上長さよりも幾分短くされている。したがって、上梁5は、中間柱3同士を連結する部位では水平に延在するが、中間柱3と外周柱2とを連結する部位では外周柱2に向かって下り勾配の傾斜状態に延在している。なお、中間梁4上にはスラブ6(図3参照)が構築され、上梁5上には屋根(図示省略)が架設され、外周柱2には既存建物1の外周に沿う外壁(図示省略)が接続されている。
図2に示すように、改造後の既存建物1は、2階部分のスラブ6(図3参照)を支持する中間梁4が撤去されるとともに2本の中間柱3(図1参照)が撤去され、外周柱2(およびこれに接続する図示しない外壁)および上梁5(およびこれに接続する図示しない屋根)によって画成された1つの大きな空間が形成されている。なお、詳細は後に説明するが、2本の中間柱3は、上梁5が接合する接合部およびその下方に延出する延出部(以下、総称して頭部3aと称する)がそれぞれ存置されている。そして、各頭部3aの最下部にケーブル17による支持に供される被支持ブロック13が取り付けられるとともに、各外周柱2の最上部にケーブル17を張設するための張設ブロック16が取り付けられ、両張設ブロック16間に架け渡されたケーブル17が被支持ブロック13を支持している。
次に、図3および図4を参照しながら本実施形態に係る既存建物1の改造方法について説明する。先ず、図3(A)に示すように、地盤G上の外周柱2の近傍に仮柱11を建て込んで中間梁4を支持させる。具体的には、仮柱11に、撤去する中間梁4の建物外側の切断部近傍を支持させる。
次に、(B)に示すように、外周柱2を適宜な補強部材12を用いて補強するとともに、撤去する各中間柱3に対し、頭部3aの最下部に被支持ブロック13を取り付ける。なお、補強部材12は、中間柱3の撤去により増大する支持荷重を外周柱2が支持し得るようにするものであれば如何なる形態でもよい。なお、図示は省略するが、本実施形態では補強部材12は、スラブ6の一部を撤去した後に、外周柱2の基礎と中間梁4との間および、中間梁4と上梁5との間の2箇所にI型鋼からなる補強柱を設置し、この補強柱を外周柱2、中間梁4および上梁5にそれぞれ接合するとともに、I型鋼からなる中間梁4のフランジ間に連結板を溶接して上下両補強柱のフランジを連結している。一方、被支持ブロック13は、H型鋼からなる中間柱3を挟み込む一対の鋼製の部材からなり、各部材は断面円形の貫通孔或いは下方に開口する溝等、ケーブル17を挿通或いは受容してケーブル17による上方向への荷重を受ける荷重受け部を備え、通しボルトによって中間柱3に摩擦接合される。
次に、(C)に示すように、中間梁4の外周柱2との縁を切る、即ち中間梁4を補強部材12の建物内側の面に沿って切断して中間柱3側の部位と外周柱2の一部となった端部とに分割する。また、中間梁4に支持されたスラブ6上に、支持荷重可変手段としての油圧ジャッキ15が組み込まれ、被支持ブロック13を仮支持するための仮支持架台14を設置した上で、油圧ジャッキ15を駆動してその支持荷重を増大させて中間柱3における被支持ブロック13設置部位に伝達する荷重、即ち中間柱3が支持する上梁5や屋根等の荷重並びに、中間柱3の頭部3aおよび被支持ブロック13の荷重を支持させる。なお、仮支持架台14は、中間柱3の被支持ブロック13設置部位に伝達する荷重を、後に切断する頭部3aの下端部に伝達させることなく迂回させ、中間梁4、即ち被支持ブロック13の直下の梁に伝達するものである。迂回した荷重はその殆どが中間梁4を介して元の中間柱3に再び伝達する。
そして、図4(D)に示すように、両外周柱2の上端部建物外側にケーブル17を張設するための張設ブロック16をそれぞれ接合する。なお、張設ブロック16は、被支持ブロック13よりも高い位置に設置される。その後、ケーブル17を、被支持ブロック13の荷重受け部を通るように両張設ブロック16間に架け渡す。なお、本実施形態では、ケーブル17は被支持ブロック13に対応して2本架設されるが、2本に限定されないことは言うまでもない。そして、ポストテンション用ジャッキ等、適宜な緊張具を用いてケーブル17に引張力を加える。この際、仮支持架台14が支持する荷重を計測する手段として油圧ジャッキ15に設けられた油圧計で支持荷重を確認しながらその値が略0になるまでケーブル17の引張力を徐々に上げてゆく。そして、仮支持架台14による支持荷重が略0になった状態、即ち被支持ブロック13に伝達する全荷重がケーブル17によって支持された状態で、張設ブロック16にケーブル17を保持させる。なお、張設ブロック16によるケーブル17の保持は、楔状の定着具等を用いることで容易且つ確実に行うことができる。
次に、(E)に示すように、中間柱3を頭部3aの下端、即ち被支持ブロック13の下端面に沿って切断する。なお、この状態では、中間柱3の切断部位の応力(特に鉛直荷重による圧縮応力)は実質的に0になっているため、切断作業を安全に行うことができる。中間柱3を切断して頭部3aとそれ以外の下側部位とに分割した後、中間柱3の2階部分を撤去するとともに、仮支持架台14を撤去する。
最後に、2階のスラブ6、中間梁4、中間柱3の1階部分および仮柱11を撤去して、2階部分の中間梁4および2本の中間柱3を撤去する改造が完了する。
このように、頭部3aの下端に被支持ブロック13を設けることにより、張設ブロック16が被支持ブロック13よりも高い位置に配置され、ケーブル17のライズを大きくとることができるようになり、比較的小さな引張力で上梁5の曲げ応力を大幅に低減可能となっている。
また、上記実施形態のように、中間柱3を2本撤去して3スパン分の上梁5を1スパンにする場合、従来のプレストレスを加える技術では不可能なこともあり得たが、頭部3aの長さ(束の長さ)を調整することで同じ引張力でもケーブル17による支持力を大きくすることが可能であるため、本発明によれば中間柱3を撤去する改造方法の適用範囲が格段に広がる。
また、撤去する中間柱3が負担する支持荷重を一旦仮支持架台14に支持させ、ケーブル17の引張力を徐々に高めて支持荷重を仮支持架台14からケーブル17に移行させ、油圧ジャッキ15の支持荷重を油圧計で確認することで、ケーブル17に所期の支持力を発揮させることができ、中間柱3の撤去すべき下側部位に鉛直荷重が加わってない安全な状態で中間柱3を切断することができる。したがって、中間柱3の撤去作業を安全に行うことができる。なお、本実施形態では、先ず頭部3aの下端で中間柱3を切断しているが、中間柱3の切断は中間柱3の撤去すべき下側部位のいずれの位置で行ってもよい。
そして、2階スラブ6を支持する中間梁4をも撤去する上記実施形態では、ケーブル17に被支持ブロック13を支持させると、その応力変化によって外周柱2にも応力が発生し、その影響で中間梁4と外周柱2との接合部および中間梁4にも応力が発生するため、複雑な応力計算が必要になるが、ケーブル17に被支持ブロック13を支持させる前に中間梁4と外周柱2との縁を切っておくことで、このような応力のない安全な状態で中間梁4を切断することができる。したがって、中間梁4の撤去作業を安全に行うことができるとともに、応力計算も簡単になり施工計画も容易である。
≪第2実施形態≫
次に、本発明に係る第2実施形態について図5および図6を参照しながら説明する。なお、図5(A)、図6(F)に示す手順は、第1実施形態の図3(A)、図4(F)を参照した手順と同一であるため、説明を省略する。重複する詳細な説明も省略し、第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付す。
本実施形態では、図5(B)に示すように、外周柱2を適宜な補強部材12を用いて補強するとともに、撤去する各中間柱3に対し、頭部3aと下側撤去部位との境界を上下に跨ぐように仮支持ピース18を取り付ける。本実施形態の仮支持ピース18は、略コ字状を呈する一対の鋼材であり、被支持ブロック13の取り付けに支障を来さない範囲で可能な限り上下寸法が小さくされており、その上端部および下端部が中間柱3に溶接される。そして、仮支持ピース18は、後述するように、上端部で受けた中間柱3の荷重を迂回させて下端部で再び中間柱3に伝達する荷重迂回機能を果たす。
その後、(C)に示すように、中間梁4の外周柱2との縁を切る。また、中間柱3を頭部3aの下端部で切断するとともに、頭部3aの最下部に被支持ブロック13を取り付ける。中間柱3を切断する際には、仮支持ピース18が中間柱3の荷重を迂回させておらず、切断部に上梁5等の荷重による圧縮応力が発生しているが、仮支持ピース18はその上下寸法が小さいため、荷重印加に伴う圧縮歪みが非常に小さくなる。したがって、中間柱3の切断作業の進行に伴って中間柱3を伝達する荷重が徐々に仮支持ピース18に加わり、中間柱3の切断完了時に中間柱3の全ての荷重が仮支持ピース18に伝達し(迂回し)、伝達荷重の全てが仮支持ピース18の下端部から再び中間柱3に伝達する。即ち、中間柱3を切断する作業が仮支持ピース18に伝達荷重を迂回させる作業となる。
そして、図6(D)に示すように、両外周柱2の上端部建物外側に張設ブロック16をそれぞれ接合し、ケーブル17を、被支持ブロック13の荷重受け部を通るように両張設ブロック16間に架け渡す。そして、適宜な緊張具を用いてケーブル17に引張力を加え、中間柱3における被支持ブロック13設置部位に伝達する全荷重をケーブル17に支持させた状態で、張設ブロック16にケーブル17を保持させる。なお、仮支持ピース18を迂回する中間柱3の全荷重がケーブル17に支持されたか否かを判断するために、仮支持ピース18を中間柱3に溶接した後に、伝達荷重を計測する手段としての歪みを仮支持ピース18の鉛直部に設け、中間柱3切断前の歪み量になったことを確認してもよい。
その後、(E)に示すように、仮支持ピース18を撤去し、最後に(F)に示すように、中間柱3の2階部分を撤去するとともに、2階のスラブ6、中間梁4、中間柱3の1階部分および仮柱11を撤去して、2階部分の中間梁4および2本の中間柱3を撤去する改造が完了する。
なお、本実施形態では、仮支持ピース18を鋼材のみで構成しているが、設置時に鉛直に延在する中間部分に第1実施形態と同様に油圧ジャッキを設けてもよい。
≪第3実施形態≫
次に、本発明に係る第3実施形態について図7および図8を参照しながら説明する。なお、第1実施形態と重複する手順についての説明は省略し、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。また、第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
本実施形態で第1実施形態と異なる点は、張設ブロック21の設置位置および形状である。第1実施形態の張設ブロック16は、外周柱2の上端部、即ち外周柱2における上梁5との接合部に設置されている。これは、ケーブル17の引張荷重が外周柱2に作用するため、上梁5との接合から離れた位置に張設ブロック16が設置されると、ケーブル17の引張力が外周柱に大きな曲げモーメントとして作用するからである。一方、張設ブロック16は、ケーブル17のライズを大きくする観点からは可能な限り高い位置に設けられることが望まれる。そのため、第1実施形態では、外周柱2に曲げ応力が作用しないようにし且つケーブル17のライズを確保するためには、中間柱3の頭部3aを長く(束を大きく)する必要があった。
そこで、本実施形態では、張設ブロック21を外周柱2における上梁5との接合部よりも高い位置に設けている。これにより、中間柱3の頭部3aを短く(束を小さく)する或いは、ケーブル引張力に対する梁の曲げ応力低減量を大きくすることができる。そして、外周柱2の上方に延出するように設けられた張設ブロック21は、ケーブル17の引張力に耐え得るように、ケーブル17の延在方向に長い形状とされ、外周柱2から張り出した部位が上梁5に荷重を伝達するようになっている。
また、図8に示すように、中間柱3を挟むように配置された2本のケーブル17は、中間柱3間では平行に延在し、中間柱3と外周柱2との間では、平面視で外周柱2に向かって開くように延在している。これにより、2本のケーブル17は、上梁5に対して上下方向の曲げ応力を低減するだけでなく、水平方向のたわみを抑制するようになっている。
以上で具体的実施形態についての説明を終えるが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、2階建ての既存建物について本発明を適用したが、1階建てや3階建て以上の既存建物についても適用可能である。なお、既存建物が3階建て以上であり、2階よりも上の中間梁およびスラブを全て撤去するとともに、中間柱も全階にわたって撤去する場合には、以下のような撤去方法を採ればよい。即ち、中間柱3が撤去される梁(上梁5、中間梁4)ごとに、被支持ブロック13と張設ブロック16または21とを設けてケーブル17を架設する。そして、仮支持架台14または仮支持ピース18を設けて中間柱3を支持させ、ケーブル17に被支持ブロック13を支持させた状態で中間柱3における被支持ブロック13よりも下側の部位を撤去する作業を、上層階から下層階へ向けて繰り返し行う。このように、上層階から順に中間柱を撤去することで、荷重迂回手段を、第1実施形態に示した被支持ブロック13の直下の中間梁4に荷重を伝達する仮支持架台14、または第2実施形態に示した中間柱3における被支持ブロック13が設けられた部位よりも下側の部位に荷重を伝達する仮支持ピース18のような簡易な構成とし、2階よりも上の中間梁4およびスラブ6の全て、および全階にわたる中間柱3を撤去することができる。また、複数層の梁を有する既存建物において、1層おきに梁を撤去したり、3層ごとに2層ずつ梁を撤去したりする形態等も可能である。
また、上記実施形態では、一断面に2本の中間柱がある既存建物について本発明を適用したが、中間柱が1本または3本以上ある既存建物についても当然に適用可能である。なお、中間柱が一断面に複数本ある既存建物にあっては、全ての中間柱を撤去する形態も可能であるが、そのうちの数本のみを撤去する形態、例えば、2本あるうちの1本のみ撤去する形態や、5本あるうち、中央の1本を残して他の4本を撤去する形態等も可能である。この場合、撤去する中間柱に隣接する中間柱が本発明で云う外側柱に相当する。更に、上記実施形態では、中間柱を撤去する方法に関し、既存建物の一断面について説明したが、中間柱3が複数列ある場合には、各列に対して上記手順で作業を施せばよい。また、上記実施形態は、ケーブルを1方向にのみ張設する形態であるが、ケーブルを直交する2方向に張設することも可能である。
また、上記実施形態では、荷重迂回手段として仮支持架台14または18を設置し、中間柱3の荷重を迂回させた後に中間柱3を切断したが、荷重迂回手段を設けることなく直ちにケーブル17で中間柱を支持し、被支持ブロック13よりも下方に伝達する荷重を十分小さくした上で中間柱3を切断してもよい。この場合にも、中間柱3における被支持ブロック13が設けられた位置よりも下方の位置に歪み計を設置する等して切断部の残留応力を推定するとよい。
また、上記実施形態では、ラーメン構造を有する鉄骨造の既存建物に本発明を適用したが、鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造の既存建物についても適用可能である。これら変更の他、被支持手段や張設手段の具体的形状等、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更可能である。
1 既存建物
2 外周柱(外側柱)
3 中間柱
3a 頭部
4 中間梁
5 上梁
6 スラブ
11 仮柱
12 補強部材
13 被支持ブロック
14 仮支持架台(荷重迂回手段)
15 油圧ジャッキ
16 張設ブロック
17 ケーブル
18 仮支持ピース(荷重迂回手段)
21 張設ブロック
G 地盤

Claims (4)

  1. 中間柱と、該中間柱を平面視で挟む位置に配置され、それぞれ梁によって該中間柱と連結された一対の外側柱とを有し、前記上梁の下方に中間梁を有する多層の既存建物において、前記中間柱を撤去する改造方法であって、
    前記中間柱における前記梁との接合部よりも低い位置にケーブルによる支持に供される被支持手段を設けるステップと、
    前記一対の外側柱における前記被支持手段よりも高い位置にケーブルを張設するための張設手段をそれぞれ設けるステップと、
    前記被支持手段を通るように前記一対の張設手段間にケーブルを架設するステップと、
    前記張設手段に前記ケーブルを緊張状態で保持させ、該ケーブルに前記被支持手段を支持させるステップと、
    前記ケーブルに前記被支持手段を支持させる前に、前記中間柱における前記被支持手段よりも低い位置に接合する中間梁の前記一対の外側柱に対する縁を切るステップと、
    前記ケーブルに前記被支持手段を支持させた後に、前記一対の外側柱に対する縁が切られた中間梁を撤去するステップと、
    前記ケーブルに前記被支持手段を支持させた状態で前記中間柱における前記被支持手段よりも下側の部位を撤去するステップと
    を有することを特徴とする既存建物の改造方法。
  2. 前記中間梁の前記一対の外側柱に対する縁を切る前に、前記外側柱の近傍に仮柱を建て込んで前記中間梁を支持させるステップを更に有することを特徴とする、請求項1に記載の既存建物の改造方法。
  3. 前記中間柱における前記被支持手段設置部位に荷重迂回手段を設けるステップと、
    前記荷重迂回手段に、前記被支持手段設置部位に伝達する伝達荷重を迂回させるステップと、
    前記荷重迂回手段に前記伝達荷重を迂回させた状態で、或いは前記荷重迂回手段に前記伝達荷重を迂回させつつ、前記被支持手段の下端近傍で前記中間柱を切断するステップとを、
    前記ケーブルに前記被支持手段を支持させるステップの前に更に有し、
    前記ケーブルに前記被支持手段を支持させるステップでは、前記荷重迂回手段が支持する荷重を確認しながら前記ケーブルを緊張することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の既存建物の改造方法。
  4. 前記張設手段を前記外側柱における前記梁との接合部よりも高い位置に設けたことを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の既存建物の改造方法。
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