JP5499998B2 - 駆動力伝達装置 - Google Patents
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Description
本発明は、車両駆動系に適用され、駆動力の伝達を断接する乾式クラッチが密閉空間内に配置された駆動力伝達装置に関する。
従来、ハイブリッド駆動力伝達装置としては、エンジンとモータ&クラッチユニットと変速機ユニットとが連結接続されたものが知られている。このうちモータ&クラッチユニットは、電動モータの内側に多板乾式クラッチを配置している。すなわち、エンジンの出力軸に連結したクラッチハブと、電動モータのロータが固定されると共に変速機の入力軸に連結したクラッチドラムと、クラッチハブとクラッチドラムの間に介装した多板乾式クラッチと、を備えている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、従来のハイブリッド駆動力伝達装置にあっては、ユニットハウジングにより覆われ、シール部材により密閉されたドライ空間に多板乾式クラッチが収納されている。このため、ドライブプレートに設けられた摩擦フェーシングがクラッチ締結とクラッチ開放を繰り返すと、摩耗粉が外部に排出されることなく摩擦面間に溜まることで、ドライブプレートとドリブンプレートの間で引き摺りが生じ、多板乾式クラッチが締結/開放不良になる、という問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、摩擦フェーシングを介して圧接するクラッチプレート間での摩耗粉による引き摺りを抑え、乾式クラッチが締結/開放不良になるのを防止することができる駆動力伝達装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明では、駆動力の伝達を断接する乾式クラッチが密閉空間内に配置された駆動力伝達装置において、
前記乾式クラッチは、第1クラッチプレートと、第2クラッチプレートと、摩擦フェーシングと、カバー部材と、を備える手段とした。
前記第1クラッチプレートは、クラッチハブにスプライン結合され、前記クラッチハブとのスプライン結合部に、軸方向に流れる気流を通す通気穴を有する。
前記第2クラッチプレートは、クラッチドラムにスプライン結合される。
前記摩擦フェーシングは、前記第1クラッチプレートと前記第2クラッチプレートのうち一方のプレートに設けられ、クラッチ締結時に摩擦面が他方のプレート面に圧接する。
前記カバー部材は、前記密閉空間内に外気を取り込む外気吸入穴と、前記密閉空間内からの気流を外気へ排出する外気排出穴と、を有する。
前記乾式クラッチは、第1クラッチプレートと、第2クラッチプレートと、摩擦フェーシングと、カバー部材と、を備える手段とした。
前記第1クラッチプレートは、クラッチハブにスプライン結合され、前記クラッチハブとのスプライン結合部に、軸方向に流れる気流を通す通気穴を有する。
前記第2クラッチプレートは、クラッチドラムにスプライン結合される。
前記摩擦フェーシングは、前記第1クラッチプレートと前記第2クラッチプレートのうち一方のプレートに設けられ、クラッチ締結時に摩擦面が他方のプレート面に圧接する。
前記カバー部材は、前記密閉空間内に外気を取り込む外気吸入穴と、前記密閉空間内からの気流を外気へ排出する外気排出穴と、を有する。
上記のように、乾式クラッチは、外気吸入穴と、外気排出穴と、第1クラッチプレートに設けられ、軸方向に流れる気流を通す通気穴と、を備えた構成とされる。
このため、クラッチ回転軸を中心とする回転による遠心圧効果により、クラッチハブ側からクラッチドラム側へ空気が送られ、クラッチドラム側の気圧が高まり、クラッチハブ側の気圧が低下し、径方向に空気が移動する径方向気流が発生する。この径方向気流の発生により、クラッチハブ側の気圧が低下するため、外気吸入穴と通気穴を経過して外気が流れ込む内径側軸方向気流が発生する。さらに、第2クラッチプレートの隙間余裕を持つスプライン結合部は通気抵抗が低いため、内径側軸方向から径方向に向きを変えてクラッチドラム側に流れ込んできた気流を、スプライン結合部から外気排出穴を経過して外気へ排出する外径側軸方向気流が発生する。
この気流発生作用により、外気→内径側軸方向→径方向→外径側軸方向→外気という流線を描く気流の流れが生成されるため、摩擦フェーシングからの摩耗粉が、この気流の流れに乗って移動し、外部に排出される。
この結果、摩擦フェーシングを介して圧接するクラッチプレート間での摩耗粉による引き摺りを抑え、乾式クラッチが締結/開放不良になるのを防止することができる。
このため、クラッチ回転軸を中心とする回転による遠心圧効果により、クラッチハブ側からクラッチドラム側へ空気が送られ、クラッチドラム側の気圧が高まり、クラッチハブ側の気圧が低下し、径方向に空気が移動する径方向気流が発生する。この径方向気流の発生により、クラッチハブ側の気圧が低下するため、外気吸入穴と通気穴を経過して外気が流れ込む内径側軸方向気流が発生する。さらに、第2クラッチプレートの隙間余裕を持つスプライン結合部は通気抵抗が低いため、内径側軸方向から径方向に向きを変えてクラッチドラム側に流れ込んできた気流を、スプライン結合部から外気排出穴を経過して外気へ排出する外径側軸方向気流が発生する。
この気流発生作用により、外気→内径側軸方向→径方向→外径側軸方向→外気という流線を描く気流の流れが生成されるため、摩擦フェーシングからの摩耗粉が、この気流の流れに乗って移動し、外部に排出される。
この結果、摩擦フェーシングを介して圧接するクラッチプレート間での摩耗粉による引き摺りを抑え、乾式クラッチが締結/開放不良になるのを防止することができる。
以下、本発明の駆動力伝達装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1および実施例2に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は、実施例1のハイブリッド駆動力伝達装置(駆動力伝達装置の一例)を示す全体概略図である。以下、図1に基づき装置の全体構成を説明する。
図1は、実施例1のハイブリッド駆動力伝達装置(駆動力伝達装置の一例)を示す全体概略図である。以下、図1に基づき装置の全体構成を説明する。
実施例1のハイブリッド駆動力伝達装置は、図1に示すように、エンジンEngと、モータ&クラッチユニットM/Cと、変速機ユニットT/Mと、エンジン出力軸1と、クラッチハブ軸2と、クラッチハブ3と、クラッチドラム軸4と、変速機入力軸5と、クラッチドラム6と、多板乾式クラッチ7(乾式クラッチ)と、スレーブシリンダー8と、モータ/ジェネレータ9と、を備えている。なお、多板乾式クラッチ7の締結・開放を油圧制御するスレーブシリンダー8は、一般に「CSC(Concentric Slave Cylinderの略)」と呼ばれる。
実施例1のハイブリッド駆動力伝達装置は、ノーマルオープンである多板乾式クラッチ7を開放したとき、モータ/ジェネレータ9と変速機入力軸5を、クラッチドラム6とクラッチドラム軸4を介して連結し、「電気自動車走行モード」とする。そして、多板乾式クラッチ7をスレーブシリンダー8により油圧締結したとき、エンジンEngとモータ/ジェネレータ9を、エンジン出力軸1とクラッチハブ軸2を、ダンパー21を介して連結する。そして、クラッチハブ3とクラッチドラム6を締結された多板乾式クラッチ7を介して連結し、「ハイブリッド車走行モード」とする。
前記モータ&クラッチユニットM/Cは、多板乾式クラッチ7と、スレーブシリンダー8と、モータ/ジェネレータ9と、を有する。多板乾式クラッチ7は、エンジンEngに連結接続され、エンジンEngからの駆動力伝達を断接する。スレーブシリンダー8は、多板乾式クラッチ7の締結・開放を油圧制御する。モータ/ジェネレータ9は、多板乾式クラッチ7のクラッチドラム6の外周位置に配置され、変速機入力軸5との間で動力の伝達をする。
このモータ&クラッチユニットM/Cには、スレーブシリンダー8への第1クラッチ圧油路85を有するシリンダーハウジング81が、O−リング10によりシール性を保ちながら設けられている。
このモータ&クラッチユニットM/Cには、スレーブシリンダー8への第1クラッチ圧油路85を有するシリンダーハウジング81が、O−リング10によりシール性を保ちながら設けられている。
前記モータ/ジェネレータ9は、同期型交流電動機であり、クラッチドラム6と一体に設けたロータ支持フレーム91と、ロータ支持フレーム91に支持固定され、永久磁石が埋め込まれたロータ92と、を有する。そして、ロータ92にエアギャップ93を介して配置され、シリンダーハウジング81に固定されたステータ94と、ステータ94に巻き付けられたステータコイル95と、を有する。なお、シリンダーハウジング81には、冷却水を流通させるウォータジャケット96が形成されている。
前記変速機ユニットT/Mは、モータ&クラッチユニットM/Cに連結接続され、変速機ハウジング41と、Vベルト式無段変速機機構42と、オイルポンプO/Pと、を有する。Vベルト式無段変速機機構42は、変速機ハウジング41に内蔵され、2つのプーリ間にVベルトを掛け渡し、ベルト接触径を変化させることにより無段階の変速比を得る。オイルポンプO/Pは、必要部位への油圧を作る油圧源であり、オイルポンプ圧を元圧とし、プーリ室への変速油圧やクラッチ・ブレーキ油圧、等を調圧する図外のコントロールバルブからの油圧を必要部位へ導く。この変速機ユニットT/Mには、さらに前後進切換機構43と、オイルタンク44と、エンドプレート45と、が設けられている。エンドプレート45は、第2クラッチ圧油路47(図2)を有する。
前記オイルポンプO/Pは、変速機入力軸5の回転駆動トルクを、チェーン駆動機構を介して伝達することでポンプ駆動する。チェーン駆動機構は、変速機入力軸5の回転駆動に伴って回転する駆動側スプロケット51と、ポンプ軸57を回転駆動させる被動側スプロケット52と、両スプロケット51,52に掛け渡されたチェーン53と、を有する。駆動側スプロケット51は、変速機入力軸5とエンドプレート45との間に介装され、変速機ハウジング41に固定されたステータシャフト54に対し、ブッシュ55を介して回転可能に支持されている。そして、変速機入力軸5にスプライン嵌合すると共に、駆動側スプロケット51に対して爪嵌合する第1アダプタ56を介し、変速機入力軸5からの回転駆動トルクを伝達する。
図2は、実施例1のハイブリッド駆動力伝達装置におけるモータ&クラッチユニットの多板乾式クラッチ7の構成を示す要部断面図である。図3〜図6は、多板乾式クラッチ7の各構成部材を示す図である。以下、図2〜図6に基づき、モータ&クラッチユニットM/Cの多板乾式クラッチ7の構成を説明する。
前記クラッチハブ3は、エンジンEngのエンジン出力軸1に連結される。このクラッチハブ3には、図2に示すように、多板乾式クラッチ7のドライブプレート71(第1クラッチプレート)がスプライン結合により保持される。
前記クラッチドラム6は、変速機ユニットT/Mの変速機入力軸5に連結される。このクラッチドラム6には、図2に示すように、多板乾式クラッチ7のドリブンプレート72(第2クラッチプレート)がスプライン結合により保持される。
前記多板乾式クラッチ7は、クラッチハブ3とクラッチドラム6の間に、両面に摩擦フェーシング73,73を貼り付けたドライブプレート71と、ドリブンプレート72と、を交互に複数枚配列することで介装される。つまり、多板乾式クラッチ7を締結することで、クラッチハブ3とクラッチドラム6の間でトルク伝達可能とし、多板乾式クラッチ7を開放することで、クラッチハブ3とクラッチドラム6の間でのトルク伝達を遮断する。
前記スレーブシリンダー8は、多板乾式クラッチ7の締結・開放を制御する油圧アクチュエータであり、変速機ユニットT/M側とクラッチドラム6の間の位置に配置される。このスレーブシリンダー8は、図2に示すように、シリンダーハウジング81のシリンダー孔80に摺動可能に設けたピストン82と、シリンダーハウジング81に形成し、変速機ユニットT/Mにより作り出したクラッチ圧を導く第1クラッチ圧油路85と、第1クラッチ圧油路85に連通するシリンダー油室86と、を有する。ピストン82と多板乾式クラッチ7との間には、図2に示すように、ニードルベアリング87と、ピストンアーム83と、リターンスプリング84と、アーム圧入プレート88と、が介装されている。
前記ピストンアーム83は、スレーブシリンダー8からの押圧力により多板乾式クラッチ7の押し付け力を発生させるもので、クラッチドラム6に形成した貫通孔61に摺動可能に設けている。リターンスプリング84は、ピストンアーム83とクラッチドラム6の間に介装されている。ニードルベアリング87は、ピストン82とピストンアーム83との間に介装され、ピストン82がピストンアーム83の回転に伴って連れ回るのを抑えている。アーム圧入プレート88は、蛇腹弾性支持部材89,89と一体に設けられ、蛇腹弾性支持部材89,89の内周部と外周部がクラッチドラム6に圧入固定されている。このアーム圧入プレート88と蛇腹弾性支持部材89,89により、ピストンアーム83側からのリーク油が多板乾式クラッチ7へ流れ込むのを遮断する。つまり、クラッチドラム6のピストンアーム取り付け位置に密封固定されたアーム圧入プレート88および蛇腹弾性支持部材89により、スレーブシリンダー8を配置したウェット空間と、多板乾式クラッチ7を配置したドライ空間を分ける仕切り機能を持たせている。
前記ピストンアーム83は、図3および図4に示すように、リング状に形成したアームボディ83aと、該アームボディ83aから4箇所で突設させたアーム突条83bと、によって構成されている。
前記リターンスプリング84は、図3および図4に示すように、リング状に形成したスプリング支持プレート84aと、該スプリング支持プレート84aに固定した複数個のコイルスプリング84bと、により構成されている。
前記アーム圧入プレート88は、図2に示すように、ピストンアーム83のアーム突条83bに圧入固定される。そして、図3および図4に示すように、アーム圧入プレート88の内側と外側に蛇腹弾性支持部材89,89を一体に有する。
実施例1のリーク油回収油路は、図2に示すように、第1ベアリング12と、第1シール部材31と、リーク油路32と、第1回収油路33と、第2回収油路34と、を備えている。すなわち、ピストン82の摺動部からのリーク油を、第1シール部材31により密封された第1回収油路33および第2回収油路34を経過し、変速機ユニットT/Mに戻す回路である。これに加えて、ピストンアーム83の摺動部からのリーク油を、仕切り弾性部材(アーム圧入プレート88、蛇腹弾性支持部材89,89)により密封されたリーク油路32と、第1シール部材31により密封された第1回収油路33および第2回収油路34を経過し、変速機ユニットT/Mに戻す回路である。
実施例1のベアリング潤滑油路は、図2に示すように、ニードルベアリング20と、第2シール部材14と、第1軸心油路19と、第2軸心油路18と、潤滑油路16と、隙間17と、を備えている。このベアリング潤滑油路は、変速機ユニットT/Mからのベアリング潤滑油を、ニードルベアリング20と、シリンダーハウジング81に対しクラッチドラム6を回転可能に支持する第1ベアリング12と、ピストン82とピストンアーム83との間に介装されたニードルベアリング87と、を通過し、変速機ユニットT/Mへ戻す経路によりベアリング潤滑を行う。
前記第2シール部材14は、図2に示すように、クラッチハブ3とクラッチドラム6の間に介装している。この第2シール部材14により、スレーブシリンダー8を配置したウェット空間から、多板乾式クラッチ7を配置したドライ空間へとベアリング潤滑油が流れ込むのをシールしている。
次に、図2、図5、図6に基づき、モータ&クラッチユニットM/Cの多板乾式クラッチ7の詳しい構成を説明する。
エンジンEngからの駆動力の伝達を断接する実施例1の多板乾式クラッチ7は、図2に示すように、クラッチハブ3とクラッチカバー6とハウジングカバー60(カバー部材)により囲まれた密閉空間によるクラッチ室64内に配置されている。
前記ハウジングカバー60は、シリンダーハウジング81に対して一体に固定され、モータ/ジェネレータ9と多板乾式クラッチ7を覆う。このハウジングカバー60およびシリンダーハウジング81を覆うことにより形成される内部空間のうち、クラッチ回転軸CL(=ロータ軸)側空間を、多板乾式クラッチ7を収容するクラッチ室64とし、クラッチ室64の外側空間を、モータ/ジェネレータ9を収容するモータ室65とする。そして、ダストシール部材62により分割されるクラッチ室64とモータ室65は、油が入り込むのを遮断したドライ空間である。
なお、シリンダーハウジング81は、クラッチドラム軸4に対し第1ベアリング12により支持された静止部材であり、ハウジングカバー60は、クラッチハブ軸2に対し第2ベアリング13により支持されると共に、カバーシール15により密封された静止部材である。
なお、シリンダーハウジング81は、クラッチドラム軸4に対し第1ベアリング12により支持された静止部材であり、ハウジングカバー60は、クラッチハブ軸2に対し第2ベアリング13により支持されると共に、カバーシール15により密封された静止部材である。
前記多板乾式クラッチ7は、図2に示すように、ドライブプレート71(第1クラッチプレート)と、ドリブンプレート72(第2クラッチプレート)と、摩擦フェーシング73と、ハウジングカバー60(カバー部材)と、を備える。
前記ドライブプレート71は、クラッチハブ3にスプライン結合され、クラッチハブ3とのスプライン結合部に、軸方向に流れる気流を通す通気穴74を有する。このドライブプレート71は、図5に示すように、クラッチハブ3のスプライン部に噛み合うスプライン歯のうち、内径側に突出するスプライン歯突部75の位置であり、かつ、摩擦フェーシング73に形成されたフェーシング溝76の内側位置に、通気穴74を有する。そして、ドライブプレート71は、図2に示すように、複数枚(実施例1では4枚)の通気穴74が軸方向に連通する設定としている。
前記ドリブンプレート72は、クラッチドラム6にスプライン結合され、クラッチドラム6とのスプライン結合部に、軸方向に流れる気流を通す通気開口77を有する。この通気開口77は、図6に示すように、外径側に突出するスプライン歯突部の中央位置に凹部78を形成し、クラッチドラム6のスプライン歯と結合させたときに開口する空間により設定している。
前記摩擦フェーシング73は、ドライブプレート71の両面に設けられ、クラッチ締結時に摩擦面がドリブンプレート72のプレート面に圧接する。この摩擦フェーシング73は、図5に示すように、環状のプレート部材であり、内径位置から外径位置に向かう径方向の放射直線にて形成されたフェーシング溝76を有する。このフェーシング溝76は、フェーシング摩耗がある程度進行しても凹溝形状を保つ深さを持たせている。
前記ハウジングカバー60は、図2に示すように、密閉空間によるクラッチ室64内に外気を取り込む外気吸入穴66と、密閉空間によるクラッチ室64内からの気流を外気へ排出する外気排出穴67と、を有する。
外気吸入穴66は、図2に示すように、通気穴74の軸方向位置に対応し、通気穴74に向かって外気を取り込む内径側位置に有する。
外気排出穴67は、図2に示すように、ドリブンプレート72のスプライン結合部を移動する気流を、外気吸入穴66へ向かう流れをラビリンス構造により抑えながら外気へ排出する外径側位置に有する。
ここで、前記ラビリンス構造を説明する。まず、クラッチドラム6側は、その先端部を軸方向に延長して軸方向先端部6aを形成する。一方、ハウジングカバー60側は、クラッチドラム6の軸方向先端部6aが入り込む位置に内壁凹部60aを形成すると共に、内壁凹部60aよりも径方向外側位置に内壁突起部60bを形成する。そして、クラッチドラム6より径方向外側位置であって、ダストシール部材62より径方向内側位置に、外気排出穴67を設定することで、外気吸入穴66へ向かう流れを抑える構造(ラビリンス構造)としている。
外気吸入穴66は、図2に示すように、通気穴74の軸方向位置に対応し、通気穴74に向かって外気を取り込む内径側位置に有する。
外気排出穴67は、図2に示すように、ドリブンプレート72のスプライン結合部を移動する気流を、外気吸入穴66へ向かう流れをラビリンス構造により抑えながら外気へ排出する外径側位置に有する。
ここで、前記ラビリンス構造を説明する。まず、クラッチドラム6側は、その先端部を軸方向に延長して軸方向先端部6aを形成する。一方、ハウジングカバー60側は、クラッチドラム6の軸方向先端部6aが入り込む位置に内壁凹部60aを形成すると共に、内壁凹部60aよりも径方向外側位置に内壁突起部60bを形成する。そして、クラッチドラム6より径方向外側位置であって、ダストシール部材62より径方向内側位置に、外気排出穴67を設定することで、外気吸入穴66へ向かう流れを抑える構造(ラビリンス構造)としている。
次に、作用を説明する。
実施例1のハイブリッド駆動力伝達装置における作用を、「スレーブシリンダーによるクラッチ締結/開放作用」と「多板乾式クラッチの摩耗粉排出作用」に分けて説明する。
実施例1のハイブリッド駆動力伝達装置における作用を、「スレーブシリンダーによるクラッチ締結/開放作用」と「多板乾式クラッチの摩耗粉排出作用」に分けて説明する。
[スレーブシリンダーによるクラッチ締結/開放作用]
以下、図2を用いてスレーブシリンダー8により多板乾式クラッチ7を締結・開放するクラッチ締結/開放作用を説明する。
以下、図2を用いてスレーブシリンダー8により多板乾式クラッチ7を締結・開放するクラッチ締結/開放作用を説明する。
スレーブシリンダー8による多板乾式クラッチ7を締結するときには、変速機ユニットT/Mにて作り出したクラッチ油圧を、シリンダーハウジング81に形成した第1クラッチ圧油路85を経過してシリンダー油室86に供給する。これにより、油圧と受圧面積を掛け合わせた油圧力がピストン82に作用し、ピストンアーム83とクラッチドラム6の間に介装されたリターンスプリング84による付勢力に抗して、ピストン82を図2の右方向にストロークさせる。そして、油圧力と付勢力の差による締結力は、ピストン82→ニードルベアリング87→ピストンアーム83→アーム圧入プレート88へと伝達され、ドライブプレート71とドリブンプレート72を押し付け、多板乾式クラッチ7が締結される。
締結状態の多板乾式クラッチ7を開放するときは、シリンダー油室86に供給されている作動油を、クラッチ圧油路85を経過して変速機ユニットT/Mへ抜き、ピストン82に作用する油圧力を低下させると、リターンスプリング84による付勢力が油圧力を上回り、一体に構成されたピストンアーム83とアーム圧入プレート88を図2の左方向にストロークさせる。これによりアーム圧入プレート88へ伝達されていた締結力が解除され、多板乾式クラッチ7が開放される。
[多板乾式クラッチの摩耗粉排出作用]
図7は、実施例1のハイブリッド駆動力伝達装置における摩耗粉排出作用を示す作用説明図である。以下、図7に基づき、多板乾式クラッチ7からの摩耗粉を排出する摩耗粉排出作用を説明する。
図7は、実施例1のハイブリッド駆動力伝達装置における摩耗粉排出作用を示す作用説明図である。以下、図7に基づき、多板乾式クラッチ7からの摩耗粉を排出する摩耗粉排出作用を説明する。
クラッチハブ3とクラッチドラム6のうち、少なくとも一方が、クラッチ回転軸CLを中心とする回転すると、摩擦フェーシング73にフェーシング溝76を有するため、両面に摩擦フェーシング73を有するクラッチハブ3を翼とする遠心ファン効果が生じる。
この遠心ファン効果により、図7に示すように、クラッチハブ3側のB領域からクラッチドラム6側のC領域へ径方向に空気が送られ、クラッチドラム6側の気圧が高まり、クラッチハブ3側の気圧が低下する。この気圧差により、クラッチハブ3側からクラッチドラム6側へと径方向に空気が移動する径方向気流Eが発生する。
この径方向気流Eの発生により、クラッチハブ3側の気圧が低下するため、気圧の高い外気との間で気圧差を生じる。したがって、図7に示すように、外気吸入穴66から取り込まれる外気が、各通気穴74を経過し、気圧が低下しているクラッチハブ3側に流れ込む内径側軸方向気流Fが発生する。
さらに、ドリブンプレート72のスプライン結合部は、プレート移動を確保するために隙間余裕を持つことで通気抵抗が低い。加えて、ドリブンプレート72とクラッチドラム6とのスプライン結合部には、軸方向に流れる気流を通す通気開口77を有するため、通気抵抗はさらに低くなる。そして、径方向気流Eの発生により、クラッチドラム6側の気圧が高くなるため、外気との間で気圧差を生じる。したがって、図7に示すように、内径側軸方向から径方向に向きを変えてクラッチドラム6側に流れ込んできた気流を、スプライン結合部の通気開口77から外気排出穴67を経過して外気へ排出する外径側軸方向気流Gが発生する。
この気流発生作用により、図7の矢印に示すように、外気→内径側軸方向→径方向→外径側軸方向→外気という流線を描く気流の流れ(F→E→G)が生成される。ここで、図7には、最もピストン側となる径方向気流Eだけを記載しているが、各フェーシング溝76を有する箇所で複数の径方向気流Eが生じる。このため、クラッチ断接の繰り返しにより摩擦フェーシング73の表面から剥がれた摩耗粉が、この気流の流れ(F→E→G)に乗って移動し、外部に排出される。
上記のように、実施例1の多板乾式クラッチ7は、気圧差により気流の流れ(F→E→G)を生じさせるように、外気吸入穴66と、外気排出穴67と、ドライブプレート71に設けられ、軸方向に流れる気流を通す通気穴74と、を備えた構成を採用した(図7)。
したがって、ドライブプレート71とドリブンプレート72の間での摩耗粉による引き摺りが抑えられ、多板乾式クラッチ7が締結/開放不良になるのが防止される。
したがって、ドライブプレート71とドリブンプレート72の間での摩耗粉による引き摺りが抑えられ、多板乾式クラッチ7が締結/開放不良になるのが防止される。
実施例1のドライブプレート71は、クラッチハブ3のスプライン部に噛み合うスプライン歯のうち、内径側に突出するスプライン歯突部75の位置に通気穴74を有する構成とした(図5)。
したがって、スプライン歯凹部に穴を開ける場合に比べ、通気穴74の開口面積が広く確保されることで、整然とした流れによる内径側軸方向気流Fが発生する。
したがって、スプライン歯凹部に穴を開ける場合に比べ、通気穴74の開口面積が広く確保されることで、整然とした流れによる内径側軸方向気流Fが発生する。
実施例1の摩擦フェーシング73は、内径位置から外径位置に向かう径方向に形成されたフェーシング溝76を有し、ドライブプレート71は、フェーシング溝76の内側位置に通気穴74を有する構成とした(図5)。
したがって、通気穴74を出た気流がフェーシング溝76に流入するときの通気抵抗が低く抑えられ、内径側軸方向気流Fから径方向気流Eへの気流の方向変更がスムーズに行われる。
したがって、通気穴74を出た気流がフェーシング溝76に流入するときの通気抵抗が低く抑えられ、内径側軸方向気流Fから径方向気流Eへの気流の方向変更がスムーズに行われる。
実施例1のドリブンプレート72は、クラッチドラム6とのスプライン結合部に、軸方向に流れる気流を通す通気開口77を有する構成とした(図6)。
したがって、フェーシング溝76から出た気流がクラッチドラム6とのスプライン結合部に沿って流れるときの通気抵抗が低く抑えられることで、整然とした流れによる外径側軸方向気流Gが発生する。
したがって、フェーシング溝76から出た気流がクラッチドラム6とのスプライン結合部に沿って流れるときの通気抵抗が低く抑えられることで、整然とした流れによる外径側軸方向気流Gが発生する。
実施例1のハウジングカバー60は、通気穴74の軸方向位置に対応し、通気穴74に向かって外気を取り込む内径側位置に外気吸入穴66を有する。そして、ドリブンプレート72のスプライン結合部を移動する気流を、外気吸入穴66へ向かう流れをラビリンス構造により抑えながら外気へ排出する外径側位置に外気排出穴67を有する構成とした(図5)。
したがって、クラッチ室64内を循環しようとする気流の流れがラビリンス構造により抑えられることで、外気→内径側軸方向→径方向→外径側軸方向→外気という流線を描く気流の流れが整然と生成される。
したがって、クラッチ室64内を循環しようとする気流の流れがラビリンス構造により抑えられることで、外気→内径側軸方向→径方向→外径側軸方向→外気という流線を描く気流の流れが整然と生成される。
次に、効果を説明する。
実施例1のハイブリッド駆動力伝達装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
実施例1のハイブリッド駆動力伝達装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) 駆動力の伝達を断接する乾式クラッチ(多板乾式クラッチ7)が密閉空間(クラッチ室64)内に配置された駆動力伝達装置において、
前記乾式クラッチ(多板乾式クラッチ7)は、
クラッチハブ3にスプライン結合され、前記クラッチハブ3とのスプライン結合部に、軸方向に流れる気流を通す通気穴74を有する第1クラッチプレート(ドライブプレート71)と、
クラッチドラム6にスプライン結合される第2クラッチプレート(ドリブンプレート72)と、
前記第1クラッチプレート(ドライブプレート71)と前記第2クラッチプレート(ドリブンプレート72)のうち一方のプレートに設けられ、クラッチ締結時に摩擦面が他方のプレート面に圧接する摩擦フェーシング73と、
前記密閉空間(クラッチ室64)内に外気を取り込む外気吸入穴66と、前記密閉空間(クラッチ室64)内からの気流を外気へ排出する外気排出穴67と、を有するカバー部材(ハウジングカバー60)と、
を備える(図2、図7)。
このため、摩擦フェーシング73を介して圧接するクラッチプレート(ドライブプレート71、ドリブンプレート72)間での摩耗粉による引き摺りを抑え、乾式クラッチ(多板乾式クラッチ7)が締結/開放不良になるのを防止することができる。
前記乾式クラッチ(多板乾式クラッチ7)は、
クラッチハブ3にスプライン結合され、前記クラッチハブ3とのスプライン結合部に、軸方向に流れる気流を通す通気穴74を有する第1クラッチプレート(ドライブプレート71)と、
クラッチドラム6にスプライン結合される第2クラッチプレート(ドリブンプレート72)と、
前記第1クラッチプレート(ドライブプレート71)と前記第2クラッチプレート(ドリブンプレート72)のうち一方のプレートに設けられ、クラッチ締結時に摩擦面が他方のプレート面に圧接する摩擦フェーシング73と、
前記密閉空間(クラッチ室64)内に外気を取り込む外気吸入穴66と、前記密閉空間(クラッチ室64)内からの気流を外気へ排出する外気排出穴67と、を有するカバー部材(ハウジングカバー60)と、
を備える(図2、図7)。
このため、摩擦フェーシング73を介して圧接するクラッチプレート(ドライブプレート71、ドリブンプレート72)間での摩耗粉による引き摺りを抑え、乾式クラッチ(多板乾式クラッチ7)が締結/開放不良になるのを防止することができる。
(2) 前記第1クラッチプレート(ドライブプレート71)は、前記クラッチハブ3のスプライン部に噛み合うスプライン歯のうち、内径側に突出するスプライン歯突部75の位置に前記通気穴74を有する(図5)。
このため、上記(1)の効果に加え、スプライン歯凹部に穴を開ける場合に比べ、通気穴74の開口面積が広く確保されることで、内径側軸方向気流Fを整然とした流れにすることができる。
このため、上記(1)の効果に加え、スプライン歯凹部に穴を開ける場合に比べ、通気穴74の開口面積が広く確保されることで、内径側軸方向気流Fを整然とした流れにすることができる。
(3) 前記摩擦フェーシング73は、環状のプレート部材であり、内径位置から外径位置に向かう径方向に形成されたフェーシング溝76を有し、
前記第1クラッチプレート(ドライブプレート71)は、前記フェーシング溝76の内側位置に前記通気穴74を有する(図5)。
このため、上記(1)または(2)の効果に加え、通気穴74を出た気流がフェーシング溝76に流入するときの通気抵抗が低く抑えられ、内径側軸方向気流Fから径方向気流Eへの気流の方向変更をスムーズに行うことができる。
前記第1クラッチプレート(ドライブプレート71)は、前記フェーシング溝76の内側位置に前記通気穴74を有する(図5)。
このため、上記(1)または(2)の効果に加え、通気穴74を出た気流がフェーシング溝76に流入するときの通気抵抗が低く抑えられ、内径側軸方向気流Fから径方向気流Eへの気流の方向変更をスムーズに行うことができる。
(4) 前記第2クラッチプレート(ドリブンプレート72)は、前記クラッチドラム6とのスプライン結合部に、軸方向に流れる気流を通す通気開口77を有する(図6)。
このため、上記(1)〜(3)の効果に加え、フェーシング溝76から出た気流がクラッチドラム6とのスプライン結合部に沿って流れるときの通気抵抗が低く抑えられ、外径側軸方向気流Gを整然とした流れにすることができる。
このため、上記(1)〜(3)の効果に加え、フェーシング溝76から出た気流がクラッチドラム6とのスプライン結合部に沿って流れるときの通気抵抗が低く抑えられ、外径側軸方向気流Gを整然とした流れにすることができる。
(5) 前記カバー部材(ハウジングカバー60)は、前記通気穴74の軸方向位置に対応し、前記通気穴74に向かって外気を取り込む内径側位置に前記外気吸入穴66を有し、第2クラッチプレート(ドリブンプレート72)のスプライン結合部を移動する気流を、前記外気吸入穴66へ向かう流れをラビリンス構造により抑えながら外気へ排出する外径側位置に前記外気排出穴67を有する(図5)。
このため、上記(1)〜(4)の効果に加え、クラッチ室64内を循環しようとする気流の流れがラビリンス構造により抑えられ、密閉空間(クラッチ室64)内に配置された乾式クラッチ(多板乾式クラッチ7)に対し、外気→内径側軸方向→径方向→外径側軸方向→外気という流線を描く気流の流れを整然と生成することができる。
このため、上記(1)〜(4)の効果に加え、クラッチ室64内を循環しようとする気流の流れがラビリンス構造により抑えられ、密閉空間(クラッチ室64)内に配置された乾式クラッチ(多板乾式クラッチ7)に対し、外気→内径側軸方向→径方向→外径側軸方向→外気という流線を描く気流の流れを整然と生成することができる。
(6) 前記乾式クラッチは、ハイブリッド駆動系のエンジンEngとモータ(モータ/ジェネレータ9)の間に介装された多板乾式クラッチ7であり、
前記第1クラッチプレート(ドライブプレート71)は、複数枚の前記通気穴74が軸方向に連通する設定とした(図1,図2)。
このため、上記(1)〜(5)の効果に加え、複数の摩擦面からの摩耗粉を外部に排出することで、溜まった摩耗粉の介在による異常摩耗を防止できると共に、複数の摩擦面での引き摺りによる燃費の悪化を防止することができる。
前記第1クラッチプレート(ドライブプレート71)は、複数枚の前記通気穴74が軸方向に連通する設定とした(図1,図2)。
このため、上記(1)〜(5)の効果に加え、複数の摩擦面からの摩耗粉を外部に排出することで、溜まった摩耗粉の介在による異常摩耗を防止できると共に、複数の摩擦面での引き摺りによる燃費の悪化を防止することができる。
実施例2は、摩擦フェーシングに形成されたフェーシング溝の形状を実施例1とは異ならせた例である。
まず、構成を説明する。
図8は、実施例2のハイブリッド駆動力伝達装置における多板乾式クラッチのドライブプレートを示す正面図である。
図8は、実施例2のハイブリッド駆動力伝達装置における多板乾式クラッチのドライブプレートを示す正面図である。
実施例2の摩擦フェーシング73は、ドライブプレート71の両面に設けられ、クラッチ締結時に摩擦面がドリブンプレート72のプレート面に圧接する。この摩擦フェーシング73は、図8に示すように、環状のプレート部材であり、内径をD1とし、外径をD2としたとき、内径位置の接線に対する流入角β1より外径位置の接線に対する流出角β2が大きく、流入側から流出側に向かって徐々に角度を変化させた曲線(例えば、トロコイド曲線)によるフェーシング溝76'を有する。なお、他の構成については、実施例1と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
次に、作用を説明する。
実施例2では、摩擦フェーシング73のフェーシング溝76'を、内径位置の接線に対する流入角β1より外径位置の接線に対する流出角β2が大きく、流入側から流出側に向かって徐々に角度を変化させた曲線とした。
したがって、図8の矢印に示す方向にドライブプレート71が回転すると、回転に伴う流線の向き変化に対応するフェーシング溝76'の溝形状であることで、実施例1のような放射直線状のフェーシング溝76に比べ、気流の流れが受ける溝抵抗が少なくなる。これにより、流入側から流出側にスムーズに抜ける径方向気流Eが生成されることになる。
なお、他の作用は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
実施例2では、摩擦フェーシング73のフェーシング溝76'を、内径位置の接線に対する流入角β1より外径位置の接線に対する流出角β2が大きく、流入側から流出側に向かって徐々に角度を変化させた曲線とした。
したがって、図8の矢印に示す方向にドライブプレート71が回転すると、回転に伴う流線の向き変化に対応するフェーシング溝76'の溝形状であることで、実施例1のような放射直線状のフェーシング溝76に比べ、気流の流れが受ける溝抵抗が少なくなる。これにより、流入側から流出側にスムーズに抜ける径方向気流Eが生成されることになる。
なお、他の作用は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
次に、効果を説明する。
実施例2のハイブリッド駆動力伝達装置にあっては、実施例1の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
実施例2のハイブリッド駆動力伝達装置にあっては、実施例1の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
(7) 摩擦フェーシング73は、内径位置の接線に対する流入角β1より外径位置の接線に対する流出角β2が大きく、流入側から流出側に向かって徐々に角度を変化させた曲線によるフェーシング溝76'を有する(図8)。
このため、密閉空間(クラッチ室64)内に配置された乾式クラッチ(多板乾式クラッチ7)に対し、クラッチハブ3側からクラッチドラム6側にスムーズに抜ける径方向気流Eを生成することができる。
このため、密閉空間(クラッチ室64)内に配置された乾式クラッチ(多板乾式クラッチ7)に対し、クラッチハブ3側からクラッチドラム6側にスムーズに抜ける径方向気流Eを生成することができる。
以上、本発明の駆動力伝達装置を実施例1および実施例2に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1,2では、乾式クラッチとして、多板乾式クラッチを用いた例を示したが、単板乾式クラッチ等を用いた例であっても良い。
実施例1,2では、ノーマルオープンによる乾式クラッチの例を示した。しかし、ダイアフラムスプリング等を用いたノーマルクローズによる乾式クラッチの例としても良い。
実施例1,2では、ドライブプレート71をクラッチハブ3にスプライン結合し、ドリブンプレート72をクラッチドラム6にスプライン結合する例を示した。しかし、ドライブプレートをクラッチドラムにスプライン結合し、ドリブンプレートをクラッチハブにスプライン結合するような例としても良い。
実施例1,2では、ドライブプレート71に摩擦フェーシング73を有する例を示した。しかし、ドリブンプレートに摩擦フェーシングを有する例としても良い。
実施例1,2では、通気開口77を、外径側に突出するスプライン歯突部の中央位置に凹部78を形成し、クラッチドラム6のスプライン歯と結合させたときに開口する空間により設定する例を示した。しかし、例えば、クラッチドラムにスプライン結合するクラッチプレートのスプライン歯を一つおきに抜くような例としても良い。さらに、スプライン結合部のスプライン溝を深くし、それに係合するスプライン歯の高さを低くし、スプライン結合状態で両者に空間を形成するような例としても良い。
実施例1,2では、エンジンとモータ/ジェネレータを搭載し、乾式クラッチを走行モード遷移クラッチとするハイブリッド駆動力伝達装置への適用例を示した。しかし、エンジン車のように、駆動源としてエンジンのみを搭載し、乾式クラッチを発進クラッチとするエンジン駆動力伝達装置に対しても適用することができる。さらに、電気自動車や燃料電池車、等のように、駆動源としてモータ/ジェネレータのみを搭載し、乾式クラッチを発進クラッチとするモータ駆動力伝達装置に対しても適用することができる。
Eng エンジン
3 クラッチハブ
6 クラッチドラム
60 ハウジングカバー(カバー部材)
64 クラッチ室(密閉空間)
66 外気吸入穴
67 外気排出穴
9 モータ/ジェネレータ(モータ)
7 多板乾式クラッチ(乾式クラッチ)
71 ドライブプレート(第1クラッチプレート)
72 ドリブンプレート(第2クラッチプレート)
73 摩擦フェーシング
74 通気穴
75 スプライン歯突部
76,76' フェーシング溝
77 通気開口
E 径方向気流
F 内径側軸方向気流
G 外径側軸方向気流
3 クラッチハブ
6 クラッチドラム
60 ハウジングカバー(カバー部材)
64 クラッチ室(密閉空間)
66 外気吸入穴
67 外気排出穴
9 モータ/ジェネレータ(モータ)
7 多板乾式クラッチ(乾式クラッチ)
71 ドライブプレート(第1クラッチプレート)
72 ドリブンプレート(第2クラッチプレート)
73 摩擦フェーシング
74 通気穴
75 スプライン歯突部
76,76' フェーシング溝
77 通気開口
E 径方向気流
F 内径側軸方向気流
G 外径側軸方向気流
Claims (7)
- 駆動力の伝達を断接する乾式クラッチが密閉空間内に配置された駆動力伝達装置において、
前記乾式クラッチは、
クラッチハブにスプライン結合され、前記クラッチハブとのスプライン結合部に、軸方向に流れる気流を通す通気穴を有する第1クラッチプレートと、
クラッチドラムにスプライン結合される第2クラッチプレートと、
前記第1クラッチプレートと前記第2クラッチプレートのうち一方のプレートに設けられ、クラッチ締結時に摩擦面が他方のプレート面に圧接する摩擦フェーシングと、
前記密閉空間内に外気を取り込む外気吸入穴と、前記密閉空間内からの気流を外気へ排出する外気排出穴と、を有するカバー部材と、
を備えることを特徴とする駆動力伝達装置。 - 請求項1に記載された駆動力伝達装置において、
前記第1クラッチプレートは、前記クラッチハブのスプライン部に噛み合うスプライン歯のうち、内径側に突出するスプライン歯突部の位置に前記通気穴を有することを特徴とする駆動力伝達装置。 - 請求項1または請求項2に記載された駆動力伝達装置において、
前記摩擦フェーシングは、環状のプレート部材であり、内径位置から外径位置に向かう径方向に形成されたフェーシング溝を有し、
前記第1クラッチプレートは、前記フェーシング溝の内側位置に前記通気穴を有することを特徴とする駆動力伝達装置。 - 請求項1から請求項3までの何れか1項に記載された駆動力伝達装置において、
前記第2クラッチプレートは、前記クラッチドラムとのスプライン結合部に、軸方向に流れる気流を通す通気開口を有することを特徴とする駆動力伝達装置。 - 請求項1から請求項4までの何れか1項に記載された駆動力伝達装置において、
前記カバー部材は、前記通気穴の軸方向位置に対応し、前記通気穴に向かって外気を取り込む内径側位置に前記外気吸入穴を有し、第2クラッチプレートのスプライン結合部を移動する気流を、前記外気吸入穴へ向かう流れをラビリンス構造により抑えながら外気へ排出する外径側位置に前記外気排出穴を有することを特徴とする駆動力伝達装置。 - 請求項3から請求項5までの何れか1項に記載された駆動力伝達装置において、
前記摩擦フェーシングは、内径位置の接線に対する流入角より外径位置の接線に対する流出角が大きく、流入側から流出側に向かって徐々に角度を変化させた曲線によるフェーシング溝を有することを特徴とする駆動力伝達装置。 - 請求項1から請求項6までの何れか1項に記載された駆動力伝達装置において、
前記乾式クラッチは、ハイブリッド駆動系のエンジンとモータの間に介装された多板乾式クラッチであり、
前記第1クラッチプレートは、複数枚の前記通気穴が軸方向に連通する設定としたことを特徴とする駆動力伝達装置。
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