JP5499474B2 - 2液硬化型塗料用硬化剤組成物 - Google Patents
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Description
この塗料では、ポリイソシアネートの極性の高さから、一般的に、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素溶剤や、酢酸ブチル等のエステル系溶剤などの強溶剤、すなわち、溶解力の強い溶剤が用いられていた。
例えば、特許文献1(特開平8−198928号公報)には、低極性有機溶剤による希釈性に優れているポリイソシアネートとして、脂環式ジイソシアネートと、低極性有機溶剤による希釈性が100%以上のポリオールとを反応させて得られたポリイソシアネートが開示されている。
1. ポリイソシアネート(A)およびアニリン点が70℃超の有機溶剤(B)を含み、
前記ポリイソシアネート(A)が、脂肪族ジイソシアネートと炭素数11以上のアルキルモノオールとを、オクチル酸錫の存在下で反応させ、アロファネート基およびイソシアヌレート基を実質的に同時に生成させたものを含み、アロファネート基とイソシアヌレート基とを、アロファネート基/イソシアヌレート基=95/5〜65/35(モル比)で含有することを特徴とする2液硬化型塗料用硬化剤組成物、
2. 前記アロファネート基とイソシアヌレート基とを、アロファネート基/イソシアヌレート基=95/5〜68/32(モル比)で含有する1の2液硬化型塗料用硬化剤組成物、
3. 前記アルキルモノオールが、炭素数11〜20のアルキルモノオールである1または2の2液硬化型塗料用硬化剤組成物、
4. 前記脂肪族ジイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネートである1〜3のいずれかの2液硬化型塗料用硬化剤組成物
を提供する。
また、このポリイソシアネート組成物を用いた2液型塗料組成物から得られた塗膜は、耐溶剤性も良好である。
さらに、本発明の2液硬化型塗料用硬化剤組成物を含む2液硬化型塗料は、溶剤として低極性有機溶剤(弱溶剤)を用いることができるから、重ね塗りする際に下地層を侵食することがなく、再コート性に優れている。
本発明に係る2液硬化型塗料用硬化剤組成物は、ポリイソシアネート(A)およびアニリン点が70℃超の有機溶剤(B)を含み、ポリイソシアネート(A)が、脂肪族ジイソシアネートと炭素数11以上のアルキルモノオールとを反応させて得られ、アロファネート基とイソシアヌレート基とを、アロファネート基/イソシアヌレート基=95/5〜65/35(モル比)で含有するものである。
好ましくはアロファネート基/イソシアヌレート基(モル比)=95/5〜68/32、より好ましくは95/5〜70/30である。
なお、上記各官能基のモル比は、1H−NMR測定により算出することができる。
この場合、脂肪族ジイソシアネートとしては、従来公知のものから適宜選択して用いることができ、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等を用いることができる。これらのジイソシアネートは、単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。
これらの中でも、得られる塗膜の耐溶剤性をより高めることを考慮すると、ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
アロファネート化は、ウレタン化と同時に行っても、ウレタン化後に行ってもよい。ウレタン化とアロファネート化とを同時に行う場合、アロファネート化触媒の存在下で反応を行えばよく、ウレタン化後にアロファネート化を行う場合、アロファネート化触媒の非存在下で、所定時間ウレタン化反応を行った後、アロファネート化触媒を添加してアロファネート化反応を行えばよい。
なお、アロファネート化触媒の使用量は、ポリイソシアネートとアルコールとの合計質量に対して0.0005〜1質量%が好ましく、0.001〜0.1質量%がより好ましい。
反応停止後は、薄膜蒸留等の公知の手法により未反応成分を除去して目的とするアロファネート変性ポリイソシアネートを得ることができる。
得られたアロファネート変性ポリイソシアネートは(上述のアロファネート基/イソシアヌレート基の範囲を満たすものである場合)、そのまま用いることができる。
したがって、アロファネート化における[NCO]/[OH]の比などの各種条件を適宜調整することで、得られるポリイソシアネートにおけるアロファネート基とイソシアヌレート基とのモル比を、95/5〜65/35の範囲で適宜調整することができる。
具体的には、酢酸、プロピオン酸、ウンデシル酸、カプリン酸、オクチル酸、ミリスチル酸の錫塩を好適に用いることができ、特に、オクチル酸錫が最適である。
また、市販品として、2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム・オクチル酸塩(DABCO TMR、三共エアープロダクツ(株)製)、オクチル酸カリウム(DABCO K−15、三共エアープロダクツ(株)製)を用いることもできる。
なお、イソシアヌレート化触媒の使用量は、ポリイソシアネートとアルコールとの合計質量に対して0.0005〜1質量%が好ましく、0.001〜0.1質量%がより好ましい。
得られるイソシアヌレート変性ポリイソシアネートにおけるアロファネート基とイソシアヌレート基とのモル比は、イソシアヌレート化反応時間などを適宜調整することで、95/5〜65/35の範囲で調整することができる。
なお、先にアロファネート化して得られたアロファネート変性ポリイソシアネートを、さらにイソシアヌレート化してアロファネート基/イソシアヌレート基のモル比を上記範囲に調節してもよい。
この場合、アロファネート変性ポリイソシアネートとイソシアヌレート変性ポリイソシアネートとを、上述したアロファネート基/イソシアヌレート基のモル比を満たす割合で混合すればよい。
なお、混合物全体として上述したアロファネート基とイソシアヌレート基とのモル比を満たす限り、上記アロファネート基とイソシアヌレート基とのモル比を満たさないポリイソシアネートを一部用いることもできる。
ここで、「アニリン点」とは、等容量のアニリンと試料(有機溶剤)とが均一な混合溶液として存在する最低温度のことである。アニリン点はJIS K 2256に記載のアニリン点試験方法に準じて測定することができる。
また、アニリン点が70℃超の有機溶剤は臭気が少ないという特徴がある。そのため、このような有機溶剤を含有する本発明の硬化剤組成物は、環境性の観点からも優れるものとなる。
さらに、このような有機溶剤は、溶解力が低く下地を侵し難いため、塗料用組成物の重ね塗りが可能となり、補修用の塗料に適している。
ここで、ポリオール化合物としては特に限定されるものではなく、2液硬化型塗料に一般に用いられているポリオール化合物から適宜選択すればよい。
具体例としては、アクリル系ポリオール、フッ素系ポリオール等が挙げられ、これらの中でも、耐候性を考慮するとフッ素系ポリオールが好適であり、耐候性とコスト面のバランスを考慮するとアクリル系ポリオールが好適である。
一方、酸価は、0.1〜5mgKOH/gが好ましく、0.5〜3mgKOH/gがより好ましい。
また、ポリオール化合物の分子量は特に限定されるものではないが、重量平均分子量が2,000〜80,000が好ましく、特に10,000〜50,000が好ましい。重量平均分子量が2,000未満の場合は、塗膜が脆くなる場合がある。80,000を超える場合は、アニリン点70℃超の有機溶剤に溶解しにくくなる場合がある。
なお、重量平均分子量は、示差屈折率計検出によるゲルパーミェーションクロマトグラフィー(GPC)測定による測定値(ポリスチレン換算値)である。
また、乾式建材に塗装を行う場合は、フローコーターまたはロールコーターにより工場等でプレコートしてもよい。
なお、塗料組成物は基材に直接塗布してもよく、目止め、電着や下塗り(プライマー塗布)、中塗り(着色等)の上から塗布してもよい。また、基材が金属の場合、リン酸鉄処理またはリン酸亜鉛処理等の表面処理が施された上に塗布してもよい。
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入管、および滴下装置を備えた反応器に、IPソルベント1620(アニリン点81℃、出光興産(株)製)715部を仕込み、撹拌しながら115℃まで昇温した。そこに、t−ブチルメタクリレート710部、ラウリルメタクリレート250部、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート40部、重合開始剤であるカヤエステル−O(t−ブチル−ペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、化薬アクゾ(株)製)10部、およびIPソルベント1620 100部からなる混合物を4時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で1時間反応させた後、さらにカヤエステル−O 10部およびIPソルベント1620 205部からなる混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で3時間反応させ、固形分50質量%、粘度7,000mPa・s(25℃)、重量平均分子量40,000、水酸基価7.6mgKOH/g、ガラス転移温度39℃の透明な水酸基含有アクリルポリオールR−1を得た。
[実施例1]変性ポリイソシアネートS−1の合成
撹拌機、温度計、冷却器、および窒素ガス導入管を備えた容量1リットルの四つ口フラスコに、ヘキサメチレンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製、NCO含量:49.9質量%、以下HDIという)880g、およびトリデカノール120gを仕込み、これらを撹拌しながら85℃に加熱し、2時間ウレタン化反応を行った。
その後、この反応液中にイソシアヌレート化触媒であるオクチル酸錫(日本化学産業(株)製)0.15gを添加し、110℃にて反応させ、所定のNCO含量に達した時点で反応停止剤である酸性リン酸エステル(JP−508、城北化学工業(株)製)0.4gを添加し、50℃で1時間停止反応を行った。
この反応生成物から、薄膜蒸留(条件:140℃,0.04kPa)により過剰のHDIを除去し、NCO含量15.8質量%、粘度(25℃)330mPa・s、遊離のHDI含量0.3質量%の変性ポリイソシアネートS−1を得た。
表1に示す停止NCO含量まで反応させた以外は、実施例1と同様にして変性ポリイソシアネートS−2を得た。
表1に示す停止NCO含量まで反応させた以外は、実施例1と同様にして変性ポリイソシアネートH−1を得た。
撹拌機、温度計、冷却器、および窒素ガス導入管を備えた容量1リットルの四つ口フラスコに、HDI910g、および2−エチルヘキサノール90gを仕込み、これらを撹拌しながら85℃に加熱し、2時間ウレタン化反応を行った。
その後、この反応液中にイソシアヌレート化触媒であるオクチル酸錫(日本化学産業(株)製)0.25gを添加し、110℃にて反応させ、所定のNCO含量に達した時点で反応停止剤である酸性リン酸エステル(JP−508、城北化学工業(株)製)0.6gを添加し、50℃で1時間停止反応を行った。
この反応生成物から、薄膜蒸留(条件:140℃,0.04kPa)により過剰のHDIを除去し、NCO含量17.6質量%、粘度(25℃)360mPa・s、遊離のHDI含量0.3質量%の変性ポリイソシアネートH−2を得た。
撹拌機、温度計、冷却器、および窒素ガス導入管を備えた容量1リットルの四つ口フラスコに、HDI880g、およびトリデカノール120gを仕込み、これらを撹拌しながら85℃に加熱し、2時間ウレタン化反応を行った。
その後、この反応液中にアロファネート化触媒であるオクチル酸ジルコニウム(第一稀元素化学工業(株)製)0.15gを添加し、110℃にて反応させ、所定のNCO含量に達した時点で反応停止剤である酸性リン酸エステル(JP−508、城北化学工業(株)製)0.2gを添加し、50℃で1時間停止反応を行った。
この反応生成物から、薄膜蒸留(条件:140℃,0.04kPa)により過剰のHDIを除去し、NCO含量14.8質量%、粘度(25℃)130mPa・s、遊離のHDI含量0.3質量%の変性ポリイソシアネートH−3を得た。
撹拌機、温度計、冷却器、および窒素ガス導入管を備えた容量1リットルの四つ口フラスコに、HDI910g、および2−エチルヘキサノール90gを仕込み、これらを撹拌しながら85℃に加熱し、2時間ウレタン化反応を行った。
その後、この反応液中にアロファネート化触媒であるオクチル酸ジルコニウム(第一稀元素化学工業(株)製)0.15gを添加し、110℃にて反応させ、所定のNCO含量に達した時点で反応停止剤である酸性リン酸エステル(JP−508、城北化学工業(株)製)0.2gを添加し、50℃で1時間停止反応を行った。
この反応生成物から、薄膜蒸留(条件:140℃,0.04kPa)により過剰のHDIを除去し、NCO含量16.7質量%、粘度(25℃)130mPa・s、遊離のHDI含量0.3質量%の変性ポリイソシアネートH−4を得た。
撹拌機、温度計、冷却器、および窒素ガス導入管を備えた容量0.5リットルの四つ口フラスコに、実施例1で得られた変性ポリイソシアネートS−1 15g、および比較例3で得られた変性ポリイソシアネートH−3 85gを仕込み、1時間撹拌混合し、NCO含量15.0質量%、粘度(25℃)160mPa・s、遊離のHDI含量0.2質量%の変性ポリイソシアネートS−3を得た。
表1に示す仕込み量に変更した以外は、実施例3と同様にして変性ポリイソシアネートS−4を得た。
[測定法]
1H−NMR(ECX400M、日本電子(株)製)を用いて、8.5ppm付近のアロファネート基の窒素原子に結合した水素原子のシグナルと、3.7ppm付近のイソシアヌレート基の窒素原子に隣接したメチレン基の水素原子のシグナルと、7.0ppm付近のウレタン基の窒素原子に結合した水素原子のシグナルの面積比から求めた。具体的な測定条件は以下のとおりである。
測定温度:23℃
試料濃度:0.02g/1ml
積算回数:32回
緩和時間:5秒
溶媒:重水素ジメチルスルホキシド
化学シフト基準:重水素ジメチルスルホキシド中のメチル基の水素原子のシグナル(2.5ppm)
[測定法]
変性ポリイソシアネート1gを量り取り、ここへIPソルベント1620を加えていき、濁ったところを終点とし、その時点のIPソルベント1620の添加量(g)を求めた。
この添加量を用い、下記式からトレランスを算出した。
トレランス=有機溶剤の所要量(g)/サンプル量(1g)
[実施例5〜8,比較例5,6]
実施例1〜4および比較例3,4で得られた変性ポリイソシアネートS−1〜S−4およびH−3,H−4を、表2に示される量のIPソルベント1620で希釈した後、合成例1で得られたアクリルポリオールR−1と表2に示される割合で配合し、2液硬化型塗料組成物を調製した。
なお、比較例1,2で得られた変性ポリイソシアネートH−1,H−2については、IPソルベント1620に溶解しなかったため、塗膜試験は実施しなかった。
塗膜表面にミネラルスピリットA(新日本石油(株)製)を滴下し、1分後にガーゼで拭き取り、塗膜の溶解状態を確認し、下記基準にて評価した。
○:溶解しない(滴下前と外観がほとんど変化しない)
△:少し溶解する(塗膜表面が粗くなり白く濁る)
×:塗膜が溶解する(ガラス表面が露出する)
一方、比較例5,6の塗料組成物から得られた塗膜は耐溶剤性に劣ることがわかる。
Claims (4)
- ポリイソシアネート(A)およびアニリン点が70℃超の有機溶剤(B)を含み、
前記ポリイソシアネート(A)が、脂肪族ジイソシアネートと炭素数11以上のアルキルモノオールとを、オクチル酸錫の存在下で反応させ、アロファネート基およびイソシアヌレート基を実質的に同時に生成させたものを含み、アロファネート基とイソシアヌレート基とを、アロファネート基/イソシアヌレート基=95/5〜65/35(モル比)で含有することを特徴とする2液硬化型塗料用硬化剤組成物。 - 前記アロファネート基とイソシアヌレート基とを、アロファネート基/イソシアヌレート基=95/5〜68/32(モル比)で含有する請求項1記載の2液硬化型塗料用硬化剤組成物。
- 前記アルキルモノオールが、炭素数11〜20のアルキルモノオールである請求項1または2記載の2液硬化型塗料用硬化剤組成物。
- 前記脂肪族ジイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネートである請求項1〜3のいずれか1項記載の2液硬化型塗料用硬化剤組成物。
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