JP5498195B2 - 金属型および半導体型単層カーボンナノチューブの分離法 - Google Patents

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本発明は、界面活性剤を含有する水溶液中にカーボンナノチューブを分散させたカーボンナノチューブ分散液を、密度勾配を形成した遠心分離用チューブ内に挿入して遠心分離を行うカーボンナノチューブの密度勾配遠心分離法により、金属型カーボンナノチューブと半導体型カーボンナノチューブ、より詳細には金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブを分離する方法に関する。
単層カーボンナノチューブは、1991年にネイチャー(非特許文献1)に発表されて以来、種々の潜在的な応用、例えば1次元細線、触媒、ITOに替わる導電膜、シリコン半導体素材に替わる半導体素材などへの応用が期待される新しい材料として積極的に開発が進められてきた(非特許文献2)。カーボンナノチューブの製造法としては、アーク法、レーザーアブレション法、CVD法、HiPCO法など各種の製造法が知られている。しかし、いずれの製造法においても、目的とするカーボンナノチューブ以外に、ガラス状炭素やアモルファス炭素などの他の炭素物質などが同時に形成される。また、触媒金属が不純物として内包されることもある。したがって、合成後にはこのような不要な炭素物質や不純物を分離、除去する必要がある。さらに、単層カーボンナノチューブについてみても、様々な巻き方、直径のものが存在する。単層カーボンナノチューブは、巻き方によって金属性および半導体性が大きく変化し、金属性を示すものは金属型カーボンナノチューブ、半導体性を示すものは半導体型カーボンナノチューブといわれており、電気的特性が全く異なる。また、直径によっても、バンドギャップエネルギーが変化し、金属性および半導体性が変化する。現状では単層カーボンナノチューブを製造する際、様々な巻き方・直径のものが混在して生成されてしまうことから、単層カーボンナノチューブをデバイス応用する際には、合成後のカーボンナノチューブから金属型と半導体型の単層カーボンナノチューブを分離することが必要とされ、その分離方法について種々の研究、提案がなされている。
このような分離方法の一つとして、近年、金属型カーボンナノチューブと半導体型カーボンナノチューブの分離が、密度勾配遠心分離法によって高精度で可能であることが報告された(非特許文献3)。この方法においては、遠心分離する前に、コール酸ナトリウムおよびドデシル硫酸ナトリウムの混合溶液によりカーボンナノチューブを分散させるとともに、イオデキサノール(iodixanol)により予め密度勾配をかけたコール酸ナトリウムおよびドデシル硫酸ナトリウム含有溶液を遠心分離用チューブ内に形成させることが必要とされる。
本発明者らは、密度勾配遠心分離法を用いて、高純度で金属型カーボンナノチューブと半導体型カーボンナノチューブを分離可能にする技術について研究をすすめた結果、界面活性剤として、これまで使用されていなかったデオキシコール酸ナトリウムを用いることにより分離能を改善し得ること、また密度勾配形成剤として高価なイオデキサノールに代えてスクロースを用いることができることをも見出した(特許文献1参照)。
このように、密度勾配遠心分離法を用いて、高純度で金属型カーボンナノチューブと半導体型カーボンナノチューブとを分離する際には、従来、カーボンナノチューブ分散液および濃度勾配が形成された遠心分離用溶液中に、コール酸ナトリウムおよびドデシル硫酸ナトリウムのような特定の2種以上の界面活性剤を特定の割合、濃度で組み合わせて用いることが必要であると考えられていた(非特許文献2参照)。
特開2008−266112号公報
S. Iijima, Nature, vol.354, pp56-58 (1991) 応用物理、第78巻、第12号(2009)、第1128頁〜第1134頁 Arnold et al., Nature nanotechnology,vol.1, pp60-65 (2006)
本発明者らは、このような状況下、鋭意研究を行ったところ、従来、密度勾配遠心分離法により金属型単層カーボンナノチューブおよび半導体型単層カーボンナノチューブを分離する際、カーボンナノチューブを予め分散する溶液および遠心分離用溶液にそれぞれ2種以上の特定の界面活性剤を特定割合、特定濃度で含有させておくことが必要であると考えられていたにもかかわらず、それぞれの溶液の界面活性剤として1種類の界面活性剤を用いることのみで、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブとを高純度で分離できることを新たに見出し、本発明を成したものである。
すなわち、本発明の目的は、密度勾配遠心分離法により、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブとの分離を、簡単な操作により高純度で行うことのできる方法を提供することである。
本発明は、以下に示すとおりの金属型および半導体型単層カーボンナノチューブの分離方法に関する。
(1)界面活性剤含有水溶液にカーボンナノチューブを分散させたカーボンナノチューブ分散水溶液を、界面活性剤含有遠心分離用溶液が密度勾配をつけて充填されている遠心分離用チューブ内に挿入し、遠心分離により金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブを分離する方法において、カーボンナノチューブを分散させる水溶液に含有される界面活性剤が、カーボンナノチューブを単分散することのできる界面活性剤であるデオキシコール酸アルカリ金属塩、コール酸アルカリ金属塩、またはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1種のみからなり、遠心分離用溶液に含有される界面活性剤が、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブとで異なる凝集特性を示す界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウムのみからなることを特徴とする金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブの分離方法。
)前記カーボンナノチューブ分散水溶液のカーボンナノチューブを単分散することのできる界面活性剤が、デオキシコール酸ナトリウムまたはコール酸ナトリウムであり、前記遠心分離用溶液の界面活性剤がドデシル硫酸ナトリウムであることを特徴とする上記(1)に記載の金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブの分離方法。
)前記カーボンナノチューブ分散水溶液のカーボンナノチューブを単分散することのできる界面活性剤の濃度が0.4重量%〜3重量%であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブの分離方法。
)前記遠心分離用溶液の界面活性剤の濃度が、0.4重量%〜3重量%であり、かつカーボンナノチューブ分散水溶液のカーボンナノチューブを単分散することのできる界面活性剤の濃度以上の濃度であることを特徴とする上記(1)〜()のいずれかに記載の金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブの分離方法。
)前記カーボンナノチューブ分散水溶液が、遠心分離用チューブに挿入される前に、遠心分離用溶液で用いられる密度勾配形成剤と界面活性剤とを含む水溶液と混合され、その後この混合液が遠心分離用チューブに挿入されることを特徴とする上記(1)〜()のいずれかに記載の金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブの分離方法。
本発明においては、カーボンナノチューブ分散水溶液および遠心分離用水溶液には各1種の界面活性剤を用いればよいことから、従来のように2種あるいは2種以上の界面活性剤の選択やその濃度、使用割合を厳密に調整する必要がない。したがって、簡単な操作で金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブの分離を行うことができる。
図面代用写真であり、実施例1における遠心前の遠心分離用チューブの写真である。 図面代用写真であり、実施例1によって得られた遠心後の遠心分離用チューブの写真である。 実施例1で得られた単層カーボンナノチューブバンドの上層部(金属型)と下層部(半導体型)の光吸収スペクトル図である。
本発明は、密度勾配遠心分離法により、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブとを分離する方法に関するものである。本発明の密度勾配遠心分離法は、具体的には、まず、水に単層カーボンナノチューブをでき得る限り単分散させ、このでき得る限り単分散されたカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ分散水溶液を、密度勾配をつけた遠心分離用チューブの遠心分離用溶液上に挿入し、該遠心分離用チューブを遠心分離機に入れ、遠心を行う。これにより、カーボンナノチューブ分散水溶液から単層カーボンナノチューブが遠心分離用溶液に移行し、遠心分離用溶液に含まれる界面活性剤により金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブで異なる凝集状態が形成され、凝集状態の違いによる密度差により金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブとの分離が行われるものである。こうして分離されたカーボンナノチューブを分画、回収することにより、高純度の、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブが得られる。以下、さらに本発明の金属型および半導体型単層カーボンナノチューブの分離方法を詳細に説明する。
まず、カーボンナノチューブ分散水溶液は、以下のような方法により作製される。すなわち、カーボンナノチューブを単分散させることのできる界面活性剤を含有する水溶液に、カーボンナノチューブを入れた後、例えば超音波分散やホモジナイザーにより分散させることにより、でき得る限り単分散されたカーボンナノチューブ分散水溶液を作製する。もちろん、界面活性剤を含有する水溶液に、カーボンナノチューブを入れるのではなく、カーボンナノチューブに界面活性剤含有水溶液を加えてもよい。純度の高い単層カーボンナノチューブ分散液を調製するには、さらにこの分散液を超遠心処理し、上澄み液を回収し、この液をカーボンナノチューブ分散液として利用することが望ましい。このときの超遠心処理での遠心力としては、特に限定されるものではないが、例えば100,000g〜700,000g程度とすることが好ましい。また、遠心処理時間も特に限定されるものではないが、例えば10分〜1時間程度行えばよい。
カーボンナノチューブ分散水溶液を調製する際に用いられる、カーボンナノチューブを単分散させることのできる界面活性剤としては、カーボンナノチューブをでき得る限り単分散させることのできる界面活性剤であればよく、特に限定されるものではないが、例えばデオキシコール酸アルカリ金属塩、コール酸アルカリ金属塩、高級アルキルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩などが挙げられ、単分散性の観点から、デオキシコール酸アルカリ金属塩およびコール酸アルカリ金属塩が好ましいものである。アルカリ金属塩としてはナトリウム塩が好ましいことから、本発明においては、カーボンナノチューブを単分散させることのできる界面活性剤としては、デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウムがより好ましいものである。
カーボンナノチューブを単分散させることのできる界面活性剤の濃度は、使用される界面活性剤の種類、分散されるカーボンナノチューブの量により異なるものの、通常0.4〜3重量%程度の濃度であることが好ましく、臨界ミセル濃度より大きくする必要がある理由から1重量%程度以上であることがより好ましい。また、カーボンナノチューブを単分散させることのできる界面活性剤の濃度は、遠心処理用溶液における界面活性剤濃度以下であることが好ましい。一方、カーボンナノチューブの量は任意でよいが、通常、界面活性剤水溶液100ml当たり、1〜100mg程度の量とされる。超音波分散は、カーボンナノチューブの均一分散が行われる限り、従来公知あるいは周知の任意の超音波分散装置やホモジナイザーなどを適宜用いることができ、分散処理時間は任意でよい。一例としては、バス型超音波分散器により0.5〜1時間カーボンナノチューブの予備的分散を行った後、1〜20時間かけてホモジナイザーを用い分散を行う方法が挙げられる。
次に、このカーボンナノチューブ分散水溶液は、密度勾配をつけられた遠心分離用チューブに挿入されるが、挿入前に、密度調整のため密度勾配形成剤含有水溶液と混合され、その後この混合された混合液が遠心分離用チューブに挿入されて、遠心処理にかけられる。このときの密度勾配形成剤としては、イオデキサノールなど、従来公知あるいは周知の密度勾配形成剤を用いることができる。このとき用いられる密度勾配形成剤は、遠心分離用チューブ内の密度勾配を形成するよう充填された遠心分離用溶液に用いられる密度勾配形成剤と同一のものを用いることが好ましい。密度勾配形成剤の濃度は、20〜50重量%程度が好ましく、この密度勾配形成剤含有水溶液を前記カーボンナノチューブ分散水溶液と混合することにより、一般的には10〜25重量%程度の密度勾配形成剤を含有するカーボンナノチューブ分散液として使用されることが好ましいが、混合しなくてもよい。カーボンナノチューブ分散水溶液と密度勾配形成剤含有水溶液の混合割合は、密度勾配形成剤が最終的に前記濃度となるような割合で混ぜ合わされればよく、特に限定されるものではないが、通常1:1程度の割合とされる。また、必要であれば、密度勾配形成剤含有水溶液には、ドデシル硫酸ナトリウムなど遠心分離用溶液で用いられる凝集用界面活性剤などの界面活性剤が含まれていてもよい。またその濃度は、カーボンナノチューブ分散水溶液と混合された後の混合水溶液中での濃度が、遠心分離用溶液中の凝集用界面活性剤の濃度より少なくなるような濃度であることが好ましい。例えば、密度勾配形成剤含有水溶液中の界面活性剤の濃度を、遠心分離用溶液中の凝集用界面活性剤の濃度と同程度の濃度としておけば、カーボンナノチューブ分散水溶液と密度勾配形成剤含有水溶液との混合により得られた混合液中の界面活性剤の濃度は、遠心分離用溶液の凝集用界面活性剤の濃度より低い濃度となる。
一方、遠心分離用チューブには、密度勾配形成剤の含有量により密度が変えられた界面活性剤含有水溶液が密度の高いものから順次チューブ底部より層状に充填されて密度勾配が形成され、遠心分離用溶液が形成される。密度勾配形成剤としては、従来公知あるいは周知の密度勾配形成剤であれば良く特に限定されるものではないが、イオデキサノールなどが好ましいものとして挙げられる。遠心分離用溶液の密度は重要であり、カーボンナノチューブ分散溶液に用いられる分散用界面活性剤および遠心分離用溶液で用いられる凝集用界面活性剤の種類などによって異なるが、例えばカーボンナノチューブ分散溶液の分散用界面活性剤としてデオキシコール酸ナトリウムを用い、遠心分離用溶液の凝集用界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウムを用いる場合、その濃度によっても異なるものの、一般的には密度1.1〜1.2g/mlにおいて金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブの分離がなされる。密度勾配形成剤の濃度は、このような密度を含む密度勾配が形成されるような濃度とされればよく、一例としては後述する実施例で挙げられているように、イオデキサノール濃度が35重量%、32.5重量%、30重量%、27.5重量%、25重量%である5種類の濃度の溶液を用意し、これに凝集用界面活性剤をこれら溶液間で同濃度となるよう含有させ、遠心分離用チューブ中に濃度の大きい順に下層から層状に注入して遠心分離用溶液(以下、「凝縮層」ということもある。)が形成される。なお、これら密度勾配形成剤含有溶液の密度勾配形成剤の濃度および数が上記具体的に例示されたものに限定されないことは言うまでもないことである。
また、この凝縮層に含有される凝集用界面活性剤としては、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブとにおいて異なる凝集状態を形成することのできる界面活性剤であれば何れのものでも良いが、高級アルキルスルホン酸アルカリ金属塩が好ましいものとして挙げられ、高級アルキルスルホン酸アルカリ金属塩の中では、ドデシル硫酸ナトリウムが好ましい。本発明においては、カーボンナノチューブ分散水溶液中で単層カーボンナノチューブ表面に吸着したカーボンナノチューブ分散用界面活性剤と、凝縮層で用いられる凝集用界面活性剤との置換が起こり、これにより金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブとで異なった凝集状態が形成され、この凝集状態の違いにより金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブの密度が異なったものとなり、この密度の違いにより遠心処理により金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブが分離すると考えられることから、凝縮層における凝集用界面活性剤の濃度は、カーボンナノチューブ分散用界面活性剤との置換が起こり、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブにおいて凝集状態が異なったものとなり、密度の違いが起こるような濃度とされる必要がある。通常、凝縮層中の凝集用界面活性剤の濃度が、カーボンナノチューブ分散液中の分散用界面活性剤の濃度以上であることが好ましい。凝縮層で用いられる凝集用界面活性剤の濃度は、使用される界面活性剤により異なるものの、通常0.4〜3重量%程度の濃度が好ましく、臨界ミセル濃度より大きくする必要がある理由から1重量%程度以上であることがより好ましい。
こうして形成された遠心分離用チューブ内の凝縮層の最上層上に、前記するようにして調製されたカーボンナノチューブ分散水溶液が挿入され(図1参照)、超遠心機を用いて遠心が行われる。遠心条件は、使用する遠心機、ローターの種類、使用する界面活性剤およびその濃度などにより異なり、特に限定されるものではないが、通常200,000g〜450,000g程度の遠心を、3〜20時間程度行えばよい。例えば、日立工機製P40STをローターとして用い、遠心機として日立工機製CP100WXを用いる場合、294,000g(最大遠心加速度)で20時間遠心を行えばよい。
遠心処理の結果、遠心分離用チューブ内に上層部(金属型単層カーボンナノチューブ)と下層部(半導体型単層カーボンナノチューブ)で色相の異なる単層カーボンナノチューブバンドが形成される(図2参照)。これを分画することにより、金属型および半導体型が選択的に含まれる溶液が得られ、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブの高純度での分離、精製を行うことができる。
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の例では、特に断りのない限り、%は重量%を示す。
実施例1
(単層カーボンナノチューブ分散液の調整)
デオキシコール酸ナトリウムを1%濃度に調製した20ml水溶液に、単層カーボンナノチューブを20mg入れ、同溶液をバス型超音波洗浄器で30分間分散処理を行い、更にブランソン社製超音波ホモジナイザー(出力17W)で2時間分散処理を行った。その後、同分散液を超遠心機(日立工機製CP100WX、ローターP40ST)を用いて294,000gで15分間遠心を行い、上澄み液のみを回収し、この溶液を単層カーボンナノチューブ分散液として利用した。
(凝縮層の調製)
密度勾配形成剤としてイオデキサノールを利用し、イオデキサノール濃度35%、32.5%、30%、27.5%、25%の5種類の溶液を用意し、それぞれにドデシル硫酸ナトリウムを3%になるように界面活性剤濃度を調整した。その後、遠心分離用チューブ(12PAtube,329606A)の中に、各溶液をイオデキサノール濃度の大きい順に下層より約2mlずつ層状に注入した。
(金属型・半導体型単層カーボンナノチューブの分離)
上記で作成した単層カーボンナノチューブ分散水溶液と、イオデキサノール濃度40%ドデシル硫酸ナトリウム3%水溶液とを1対1で混ぜ、その結果イオデキサノール濃度20%の分散溶液を作製した。これを前述の遠心分離用チューブの最上部に約1ml挿入し分散層を形成し(図1参照)、超遠心機(日立工機CP100WX、ローターP40ST)を用いて、294,000gで20時間遠心を行った。20時間遠心後の遠心分離用チューブの写真を図2に示す。図2から、上層に金属型単層カーボンナノチューブが、また下層に半導体型単層カーボンナノチューブが分離した。金属型単層カーボンナノチューブ上部領域の密度は1.13であり、半導体型単層カーボンナノチューブ下部領域の密度は1.16であった。
上記金属型単層カーボンナノチューブ層から抽出した溶液(Metal)と、半導体型単層カーボンナノチューブ層から抽出した溶液(Semi)の光吸収スペクトルを図3に示す。図3から、金属型単層カーボンナノチューブ層ではM11バンドに高い吸収が、一方半導体型単層カーボンナノチューブ層ではS22バンドに高い吸収がみられる。
以上のことから、超遠心分離により、デオキシコール酸ナトリウムが多く含まれる挿入部の最上部層の分散層から、ドデシル硫酸ナトリウムが多く含まれる凝縮層へ単層カーボンナノチューブが移動し、この単層カーボンナノチューブの移動の結果、凝縮層中のドデシル硫酸ナトリウムの存在により単層カーボンナノチューブが凝集し、その際、金属型と半導体型での凝集状態が違うことから、金属型と半導体型の間に密度の違いが生じ、その結果として、金属型・半導体型を分離することが可能となったことが分かる。
実施例2および3
単層カーボンナノチューブ分散液の調製の際に、デオキシコール酸ナトリウム濃度を2%(実施例2)および3%(実施例3)に調製することを除き実施例1と同様にして、単層カーボンナノチューブの超遠心分離を行ったところ、何れの例においても実施例1と同様の結果が得られた。
実施例4
単層カーボンナノチューブ分散水溶液の調製の際に、デオキシコール酸ナトリウムに代えてコール酸ナトリウムを用いることを除き実施例1と同様にして、単層カーボンナノチューブの超遠心分離を行った。その結果、実施例1と同様に、金属型・半導体型の分離を行うことができた。
実施例5
単層カーボンナノチューブ分散液の調製の際に、デオキシコール酸ナトリウムに代えてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを用いることを除き実施例1と同様にして、単層カーボンナノチューブの超遠心分離を行った。その結果、実施例1に比べ分離純度は落ちるものの、金属型・半導体型の分離を行うことができた。
実施例
実施例1と同様にして、デオキシコール酸ナトリウム1%溶液に分散させた単層カーボンナノチューブ分散水溶液を作製し、これをそのまま、遠心分離用チューブの最上部に分散層として約1ml挿入した。このとき、遠心分離用チューブ内の凝縮層としては、密度勾配形成剤としてイオデキサノールを利用し、イオデキサノール濃度40%、35%、32.5%、30%、27.5%、25%の6種類の溶液を用意し、それぞれにドデシル硫酸ナトリウムを3%になるように界面活性剤濃度を調整したものを用い、遠心分離用チューブ(12PAtube,345320A)の中に、各溶液をイオデキサノール濃度の大きい順に下層より約2mlずつ層状に注入した。この分散層の挿入された遠心分離用チューブを、超遠心機(日立工機CP100WX、ローターP65VT3)を用いて、402,000gで6時間遠心を行った。その結果、上層に金属型単層カーボンナノチューブが、また下層に半導体型単層カーボンナノチューブが多く含まれる溶液を得ることができた。


Claims (5)

  1. 界面活性剤含有水溶液にカーボンナノチューブを分散させたカーボンナノチューブ分散水溶液を、界面活性剤含有遠心分離用溶液が密度勾配をつけて充填されている遠心分離用チューブ内に挿入し、遠心分離により金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブを分離する方法において、
    カーボンナノチューブを分散させる水溶液に含有される界面活性剤が、カーボンナノチューブを単分散することのできる界面活性剤であるデオキシコール酸アルカリ金属塩、コール酸アルカリ金属塩、またはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1種のみからなり
    遠心分離用溶液に含有される界面活性剤が、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブとで異なる凝集特性を示す界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウムのみからなることを特徴とする金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブの分離方法。
  2. 前記カーボンナノチューブ分散水溶液のカーボンナノチューブを単分散することのできる界面活性剤が、デオキシコール酸ナトリウムまたはコール酸ナトリウムであり、前記遠心分離用溶液の界面活性剤がドデシル硫酸ナトリウムであることを特徴とする請求項1に記載の金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブの分離方法。
  3. 前記カーボンナノチューブ分散水溶液のカーボンナノチューブを単分散することのできる界面活性剤の濃度が0.4重量%〜3重量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブの分離方法。
  4. 前記遠心分離用溶液の界面活性剤の濃度が、0.4重量%〜3重量%であり、かつカーボンナノチューブ分散水溶液のカーボンナノチューブを単分散することのできる界面活性剤の濃度以上の濃度であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブの分離方法。
  5. 前記カーボンナノチューブ分散水溶液が、遠心分離用チューブに挿入される前に、遠心分離用溶液で用いられる密度勾配形成剤と界面活性剤とを含む水溶液と混合され、その後この混合液が遠心分離用チューブに挿入されることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブの分離方法。
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