JP5492691B2 - MgB2超電導多芯線材の製造方法 - Google Patents

MgB2超電導多芯線材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、二硼化マグネシウム(以下、MgB2と略す)超電導多芯線材に関し、特に多芯線材を構成する各素線の形状変形が少なく均質な長尺線材を製造する方法およびそれによって製造されたMgB2超電導多芯線材に関するものである。
MgB2超電導体は、金属系超電導体として最も高い臨界温度(39 K)を有し、例えば液体ヘリウムフリー(例えば10〜20 K)で運転する超電導磁石を実現する超電導材料として期待されている。超電導磁石を構成する超電導線材としては、自身が発生する高磁界中でも高い電流密度を維持し、かつ均質な長尺線材が必要となる。
MgB2超電導線材の作製は、原料粉末を金属シース管に充填し伸線加工する方法(いわゆるpowder in tube (PIT)法)で一般的に行われる。このとき、原料粉末としてMg(マグネシウム)粉末とB(硼素)粉末との混合粉末を用い金属シース内でMgB2を生成させる方法(いわゆるin-situ法)と、原料粉末として予めMgB2に化合させた粉末を用いて充填し伸線加工する方法(いわゆるex-situ法)とがある。
一方、実用超電導線材として使われているNbTiやNb3Snは、該超電導体の原材料が加工性に優れた(優れた延性を有する)金属材料もしくは合金であることから、従前の伸線加工が比較的容易であり均質な長尺線材が得られている。これに対し、MgB2超電導線材では、原材料であるMg、BおよびMgB2のいずれもが延性に乏しいことからPIT法を採用しており、伸線加工の難しさから主に単芯線材を対象とした製造方法の確立およびそれによる超電導特性の向上を目的とした様々な研究開発が行われている(例えば、特許文献1、2参照)。
また、実用超電導線材では、熱的安定性の向上や交流損失の低減の観点から、細い超電導単芯線材が多数組み込まれた多芯線材として利用されることが一般的である。従来から多芯線材の製造加工は、適当な外径まで伸線加工した単芯線材を多数本束ねて組み込み用パイプに組み込み、全体を一括して伸線加工することにより行われている。MgB2超電導線材においても、実用化するにあたり多芯線材化することは必須であると考えられている。
特開2008−288124号公報 特開2009−134969号公報
しかしながら、前述したように、MgB2超電導単芯線材は延性に乏しい原材料を用いたPIT法で作製するため、従前の方法で多芯線材を作製しようとすると、伸線加工過程における材料変形(例えば、多芯組み込み時の空隙に流れ込む材料流れ)に対して追従しきれない場合があり、線材横断面内における超電導コア部(フィラメントとも言う)形状の異常変形や、線材長手方向におけるフィラメント寸法のばらつき(いわゆるソーセージング現象)が発生しやすい問題がある。さらに、こうして生じたフィラメント形状・寸法の不均一性は、伸線加工の進行とともに拡大する傾向があり、最悪の場合にはフィラメントがところどころで断線することも起こりえる。
超電導多芯線材の電流容量は、各フィラメントの電流容量の総和であり、フィラメントの電流容量は、線材長手方向におけるフィラメント断面積のもっとも小さい部分で制限される。さらに、線材長手方向のフィラメント断面積の分布は一般には統計分布に従い、線材が長くなればなるほどフィラメント断面積が最小の部分に遭遇しやすくなる。言い換えると、フィラメント形状・寸法に不均一性が存在する線材は、長くなればなるほど超電導線材の電流容量が小さくなる傾向にあるという問題があった。
従って、本発明の目的は、MgB2超電導多芯線材に組み込む単芯線材をPIT法で作製した場合であっても、各フィラメントの形状・寸法の不均一性が抑制された多芯線材を具現化することができるMgB2超電導多芯線材の製造方法およびそれによるMgB2超電導多芯線材を提供することにある。
本発明の1つの態様は、上記目的を達成するため次のような特徴を有する。
MgB2超電導多芯線材の製造方法であって、所望する最終フィラメント径の1.01倍以上1.2倍以下のフィラメント径を有する単芯線材を用意する単芯線材製造工程と、複数本の前記単芯線材が所望の配置となるように撚り合わされた複合線材を形成する撚線工程と、前記複合線材の外周に安定化材となるアルミニウム、アルミニウム合金、銅または銅合金をコンフォーム押出により被覆して被覆線材を形成する安定化材被覆工程と、前記被覆線材に対して600℃以上の温度で加圧焼成することによって少なくとも前記安定化材の含浸を行う加圧熱処理工程とを含むことを特徴とする。
また、本発明の他の態様は、上記目的を達成するため次のような特徴を有する。
上記の本発明に係る製造方法によって製造されたMgB2超電導多芯線材であって、前記多芯線材の各フィラメントの断面積の偏差が平均値に対して±5%以内であることを特徴とする。
また、本発明の更に他の態様は、上記目的を達成するため次のような特徴を有する。
上記の本発明に係る製造方法によって製造されたMgB2超電導多芯線材であって、前記多芯線材の長手方向10 m毎の電流容量の偏差が平均値に対して±5%以内であることを特徴とする。
本発明によれば、MgB2超電導多芯線材に組み込む単芯線材をPIT法で作製した場合であっても、各フィラメントの形状・寸法の不均一性が抑制された多芯線材を具現化することができるMgB2超電導多芯線材の製造方法およびそれによるMgB2超電導多芯線材を提供することができる。
本発明に係る製造方法により製造したMgB2超電導多芯線材の構造例を示す横断面模式図である。 本発明に係るMgB2超電導多芯線材の製造方法における「撚線工程」から「加圧熱処理工程」の概略を示した模式図である。 撚線における撚り方向を説明する模式図(S方向撚り、Z方向撚り)である。 本発明に係るMgB2超電導多芯線材の中間段階である被覆線材の構造例を示す横断面模式図である。 本発明に係る製造方法により製造したMgB2超電導多芯線材の他の構造例を示す横断面模式図である。 本発明に係る製造方法により製造したMgB2超電導多芯線材の他の構造例を示す横断面模式図である。 本発明に係る製造方法により製造したMgB2超電導多芯線材の他の構造例を示す横断面模式図である。
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はここで取り上げた実施形態に限定されることはなく、要旨を変更しない範囲で適宜組み合わせや改良が可能である。
前述したように、本発明に係るMgB2超電導多芯線材の製造方法は、所望する最終フィラメント径の1.01倍以上1.2倍以下のフィラメント径を有する単芯線材を用意する単芯線材製造工程と、複数本の前記単芯線材が所望の配置となるように撚り合わされた複合線材を形成する撚線工程と、前記複合線材の外周に安定化材となるアルミニウム、アルミニウム合金、銅または銅合金をコンフォーム押出により被覆して被覆線材を形成する安定化材被覆工程と、前記被覆線材に対して600℃以上の温度で加圧焼成することによって少なくとも前記安定化材の含浸を行う加圧熱処理工程とを含むことを特徴とする。なお、本明細書において「フィラメント」とは、超電導コア部または最終的に超電導コア部となる領域を意味するものとする。
本発明は、超電導多芯線材に組み込む単芯線材を略最終フィラメント径となるまで伸線加工を施した後、該単芯線材を複数本撚り合せて一体化し、さらに安定化材金属を被せて固着させるものである。略最終フィラメント径まで伸線加工された単芯線材を用いることから、各フィラメント形状にバラツキがなく線材長手方向に均一な電気的特性を有する超電導多芯線材を得ることができる。
また、本発明は、上記の発明に係るMgB2超電導多芯線材の製造方法において、以下のような改良や変更を加えることができる。
(1)前記撚線工程における前記所望の配置は、前記複合線材の横断面を見た時に該複合線材の中心から略等しい距離に位置し該中心に対して回転対称性を有する1群の前記単芯線材からなる層が複数層形成された配置であり、
前記撚線工程における撚り方向は、前記複数層の単芯線材群の内の少なくとも1層の撚り方向が他の層と異なっている。
(2)前記撚線工程における撚りピッチは、前記複数層の単芯線材群の内の少なくとも1層の撚りピッチが他の層と異なっている。
(3)前記撚線工程における前記所望の配置は、前記複合線材の横断面を見た時に前記単芯線材が最密充填配置となっている。
(4)前記安定化材被覆工程におけるコンフォーム押出が550℃未満の温度条件で行われる。
(5)前記最終フィラメント径が0.3 mm以下である。
(6)前記単芯線材のフィラメントの横断面形状を該フィラメントに外接する楕円で近似させた時に、前記楕円の短軸長が0.2 mm以下である。
(7)前記単芯線材製造工程は、Mg粉末とB粉末との混合粉末または、該混合粉末に第三元素を更に添加した混合粉末を金属シース管に充填し伸線加工する工程である。
(8)前記単芯線材製造工程は、予め合成したMgB2粉末または、該MgB2粉末に第三元素を更に添加した混合粉末を金属シース管に充填し伸線加工する工程である。
(9)前記単芯線材製造工程は、前記伸線加工の後に、更に600℃以上の温度で加圧焼成を施す工程である。
(10)前記金属シース管が、鉄もしくはステンレスの1重管、または内側にニオブ、タンタル、鉄もしくはステンレスが内張りされた多重管である。
(11)前記単芯線材製造工程と前記撚線工程との間に、前記安定化材よりも低融点の金属または合金から成る充填金属材を前記単芯線材の外周に被覆する充填金属材被覆工程を更に含む。
(12)前記撚線工程は、前記複合線材を形成するにあたって、前記安定化材よりも低融点の金属または合金から成りかつ前記単芯線材よりも小さい外径を有する充填金属線材を前記単芯線材同士の隙間に入れるように一緒に撚り合わせる工程である。
(13)上記の製造方法によって製造されたMgB2超電導多芯線材であって、前記複数本の単芯線材は、各単芯線材のインダクタンスの偏差が平均値に対して計算上±10%以内となるように該多芯線材内に配置されている。なお、該配置とは、前記複数本の単芯線材が撚り合わされている状態(例えば、後述するS方向撚りやZ方向撚り)または転位されている状態を意味するものとする。
(14)上記の製造方法によって製造されたMgB2超電導多芯線材であって、前記多芯線材の各フィラメントの断面積の偏差が平均値に対して±5%以内である。
(15)上記の製造方法によって製造されたMgB2超電導多芯線材であって、前記多芯線材の長手方向10 m毎の電流容量の偏差が平均値に対して±5%以内である。
(16)前記安定化材よりも低融点の金属または合金からなる充填金属材が、前記複数本の単芯線材の間に配置されているMgB2超電導多芯線材である。
本発明をより具体的に説明する。図1は、本発明に係る製造方法により製造したMgB2超電導多芯線材の構造例を示す横断面模式図である。図1に示すように、MgB2超電導多芯線材13は、複数本の単芯線材1(各単芯線材1はフィラメント(超電導コア部)2と金属シース部3とからなる)が中心線材4の周りに撚り合わされた複合線材11と、該複合線材11の空隙を埋める安定化材5とからなる構造を有している。
図1においては、金属シース部3として、鉄もしくはステンレスの1重管からなる場合を示したが、内側にニオブ、タンタル、鉄もしくはステンレスが内張りされた多重管であってもよい。また、安定化材5としては、アルミニウム、アルミニウム合金、銅または銅合金を好適に用いることができる。なお、本発明はこれに限定されるものではなく、必要に応じて他の従来技術と組み合わせることができる。
図2は、本発明に係るMgB2超電導多芯線材の製造方法における「撚線工程」から「加圧熱処理工程」の概略を示した模式図である。以下、本発明の1つの実施例を製造手順に沿って説明する。
(単芯線材製造工程)
はじめに、原料粉末となるMg粉末とB粉末とをMgB2の化学量論組成となるように秤量し、遊星ボールミル装置を用いて混合粉末を調合した。次に、金属シース管(外径20 mm、内径16 mmの純鉄パイプ)に前記混合粉末を充填し、金属シース管の端末を封止した。なお、原料粉末調合、金属シース管への充填および端末の封止作業は、原料粉末の酸化や水分の吸着を防止するためにアルゴンガス雰囲気中で実施した。ここではin-situ法を主例として説明するが、ex-situ法であってもよい。また、MgB2超電導体の超電導特性を向上させるため、原料粉末に第三元素(例えば炭素)を添加してもよい。
次に、原料粉末が充填された金属シース管に対して従前の方法で伸線加工を行い、仕上り外径が0.2 mmの単芯線材1を作製した。なお、伸線パススケジュールの中で、必要に応じで適宜中間焼鈍を実施した。また、伸線加工の方法に特段の制限はなく、通常の引抜ダイスの他、細線化の際の断線リスクを低減するためのカセットローラーダイスや、超音波を利用して引抜力を低減するダイスを利用することができる。なお、ex-situ法による場合は、伸線加工の後に更に600℃以上の温度で加圧焼成(例えば、熱間静水圧プレス)を施すことは好ましい。それにより電流輸送特性が向上する。
作製した単芯線材1のフィラメント2の形状を調査したところ、フィラメント径(超電導コア部の直径)が約0.16 mmであり、単芯線材1全体に対するフィラメント2の断面積比率(単芯線材コア比とも言う)が約64%であり、線材長手方向のフィラメント断面積の偏差が平均値に対して±5%以内であった。すなわち、長手方向で十分に均質な線材であることが確認された。これは、単芯線材の伸線加工においては、例え延性に乏しい原材料を用いたPIT法であったとしても、金属シースを介してフィラメントがダイスから一様な応力を受けるため、断面内の形状が一様で長手方向でのフィラメント形状のバラツキも抑制されたものと考えられた。
なお、上記では断面積比を確認するために断面観察(破壊検査の一種)を行ったが、線材長手方向の検査は非破壊検査(例えば、X線CTによる断面観察や渦電流法によるシース厚さ測定)で行われることが望ましい。単芯線材のフィラメント形状のバラツキの有無を非破壊で確認することにより、フィラメント形状にバラツキがある単芯線材が存在する場合には、多芯化前に予めその単芯線材を排除することが可能となる。
(最終フィラメント径に関する考察)
超電導線材の最終フィラメント径は超電導フィラメントの熱的な安定性によって決定される。超電導線材ではフラックスジャンプという低磁場不安定性が知られているが、これはフィラメント径や、フィラメントの臨界電流密度、運転温度(比熱および温度マージン)などに依存する。従来の実用超電導材料であるNbTiなどに比べると、MgB2は臨界温度が高いことから熱的不安定性に対するマージンが大きい利点がある。その結果、NbTiでは最終フィラメント径として通常0.1 mm以下であることが要求されるが、マージンの大きなMgB2では0.1〜0.3 mmが安定性の目安となり、従来超電導材料よりも最終フィラメント径を大きくすることができる。これは伸線加工プロセス(すなわち伸線加工コスト)の軽減につながる。本実施例では、最終フィラメント径を0.155 mmに設定し、多芯線材に組み込む前の単芯線材のフィラメント径を該設定値の約1.03倍である0.16 mmとした。
(撚線工程)
撚線工程においては、上記で作製した単芯線材1を複数本用い、単芯線材1と同じ外径を有する中心線材4の周りに撚り合わせて複合線材11を形成する。図3は、撚線における撚り方向を説明する模式図(S方向撚り、Z方向撚り)である。中心線材4から略等しい距離に位置し中心線材4に対して回転対称性を有する1群の単芯線材1を層と称した場合、最内層(第1層)を構成する6本の単芯線材1をS方向撚り(撚り進む方向から見て時計回りの撚り)とし、第2層を構成する12本の単芯線材1をZ方向撚り(撚り進む方向から見て反時計回りの撚り)とした(図3参照)。さらに、1層目の撚りピッチと2層目の撚りピッチとを異ならせることによって、1層目の単芯線材群と2層目の単芯線材群とのインダクタンスが略同じになるように調整した。なお、中心線材4は、機械的強度の高い補強線材であってもよいし、超電導線材であってもよい。
(安定化材被覆工程)
安定化材被覆工程においては、複合線材11の外周に安定化材5となる金属をコンフォーム押出21により被覆して被覆線材12を形成する。このとき、フィラメント2でMgとBの混合粉末からMgB2が生成されないように、550℃未満の温度に制御することが望ましい。本実施例では、安定化材5としてアルミニウムを用いた。被覆線材12の断面模式図を図4に示す。図4は、本発明に係るMgB2超電導多芯線材の中間段階である被覆線材の構造例を示す横断面模式図である。コンフォーム押出21の温度を550℃未満に制御することから安定化材金属の流動性が不足して、図4に示したように、安定化材5が複合線材11の中心部まで十分に浸透してない場合がある。そこで、次に記す加圧熱処理工程を行う。なお、ex-situ法で作製した単芯線材を用いた場合は、コンフォーム押出の温度を必ずしも550℃未満に制御する必要はなく、安定化材金属の物性により適宜選択できる。
(加圧熱処理工程)
加圧熱処理工程においては、各フィラメント2でのMgB2の生成および/または焼結と、安定化材5の含浸とを同時に行う。MgB2の生成および/または焼結のため、600℃以上の温度に制御することが望ましい。さらに、昇温加圧条件下で行うことにより、安定化材5の含浸が前工程時よりも良好に行われるだけでなく、MgB2の生成および/または焼結に伴うフィラメント2の体積収縮に対して金属シース部3を追従させることができる。これにより、各単芯線材1の超電導特性(例えば、超電導電流容量)を最大限に引き出すことができる。
加圧熱処理方法に特段の制限はなく、例えば、多芯線材の断面形状を丸形状とするために温度制御された溝ロール圧延23を行うことができる。また、多芯線材の断面形状を矩形状やテープ状とするために温度制御された平ロール圧延を行うことができる。温度制御のために、ロール圧延の前段に予備加熱装置22を設置することは好ましい。また、ロール圧延の替わりに雰囲気圧力を上昇させた加圧熱処理でもよい。さらに、多芯線材の最終形状を整えるために(複合線材11の外周に被覆されている過剰の安定化材5を調整することを含む)、整形ダイス(いわゆる皮剥きダイスを含む)を通すことも好ましい。なお、過剰の安定化材5は、化学的手法によって除去してもよい。
以上の製造方法により、例え延性に乏しい原材料を用い、かつPIT法で作製された単芯線材であったとしても、各フィラメントの形状の均一性および電気的特性の均一性に優れたMgB2超電導多芯線材を提供することが可能である。
本発明に係る製造方法で作製した多芯線材13を調査したところ、各フィラメント2の断面積の偏差が平均値に対して±5%以内であること、および線材長手方向における各フィラメント2の断面積の偏差が平均値に対して±5%以内であることを確認した。なお、該断面積の調査は、10 m間隔で11箇所(11断面、合計100 m長さ分)における断面観察により行った。
また、上記断面観察のために切断した10 m長さの多芯線材13を10本用いて、多芯線材の長手方向の電気的特性を調査したところ、該10本の多芯線材の電流容量の偏差が平均値に対して±5%以内であることを確認した。これらの調査から、本発明に係るMgB2超電導多芯線材は、各フィラメントの形状の均一性および電気的特性の均一性に優れていることが実証された。
(MgB2超電導多芯線材のその他の断面構成)
図5は、本発明に係る製造方法により製造したMgB2超電導多芯線材の他の構造例を示す横断面模式図である。図5に示すように、MgB2超電導多芯線材15は、複数本の単芯線材1が中心線材4の周りに最密充填配置で撚り合わされた複合線材14と、該複合線材14の空隙を埋める安定化材5とからなる構造を有している。前述の多芯線材13は、交流応用を想定し交流損失の低減化の観点から、1層目の単芯線材群と2層目の単芯線材群とで撚り方向と撚りピッチを変えたものであるが、超電導線材の用途が直流応用の場合は、図5のように単芯線材1が最密充填配置であってもよい。それにより、よりコンパクトなMgB2超電導多芯線材を提供できる。
図6は、本発明に係る製造方法により製造したMgB2超電導多芯線材の他の構造例を示す横断面模式図である。図6に示すように、MgB2超電導多芯線材17は、複数本の単芯線材1が中心線材4の周りに3層撚り合わされた複合線材16と、該複合線材16の空隙を埋める安定化材5とからなる構造を有している。多芯線材17は、多芯線材13よりも単芯線材1の本数が多く、より大きな電流容量を有する。なお、この場合の撚り方向の構成例としては、第1層と第2層を構成する単芯線材1をS方向撚りとし、3層目を構成する単芯線材1をZ方向撚りとすることにより各単芯線材間の電流の偏流を抑制し一様に電流を通電することが可能となる。
図7は、本発明に関わる製造方法により製造したMgB2超電導多芯線材の他の構造例を示す横断面模式図である。図7に示すように、MgB2超電導多芯線材19は、複数本の単芯線材1が中心線材4の周りに2層撚り合わされ、かつ安定化材5よりも低融点の金属または合金から成る充填金属材6が単芯線材1同士の間を埋めるように配設された複合線材18と、該複合線材18全体を被覆する安定化材5とからなる構造を有している。
MgB2超電導多芯線材19は、例えば、次のような方法で製造することができる。単芯線材1を用意する「単芯線材製造工程」と複合線材18を形成する「撚線工程」との間に、安定化材5よりも低融点の金属または合金から成る充填金属材6を単芯線材1の外周に被覆する「充填金属材被覆工程」を行う。充填金属材6で被覆された単芯線材1を撚り合わせた後、「安定化材被覆工程」や「加圧熱処理工程」を行うことにより、充填金属材6が溶融し各単芯線材1の表面を濡らして、各単芯線材1(複合線材18)が冶金的に一体化すると共に良好に電気的接続される。これにより、本発明に係るMgB2超電導多芯線材の安定性に関する長尺信頼性(線材を長尺化した時の信頼性)が向上する。
充填金属材6としては、安定化材5よりも低融点の金属または合金であれば特段の限定はなく、例えば、錫(Sn)や錫合金を好適に利用できる。「充填金属材被覆工程」としては、例えば、溶融させた充填金属材6の浴に「単芯線材製造工程」で用意した単芯線材1を潜らせる方法や、蒸着法などを利用して単芯線材1の表面に充填金属材6を形成・被覆する方法などがある。
上記の充填金属材被覆工程の他にも、例えば、次のような方法でMgB2超電導多芯線材19を製造することができる。「撚線工程」において、充填金属材6のワイヤ(単芯線材1よりも十分小さい外径を有する)を単芯線材1同士の隙間に入れるように一緒に撚り合わせて複合線材18を形成する。その後、「安定化材被覆工程」や「加圧熱処理工程」を行うことにより、上述と同様に、充填金属材6が溶融し各単芯線材1の表面を濡らして、各単芯線材1(複合線材18)が冶金的に一体化すると共に良好に電気的接続される。
1…単芯線材、2…フィラメント、3…金属シース部、4…中心線材、5…安定化材、
6…充填金属材、
11,14,16, 18…複合線材、12…被覆線材、13,15,17, 19…多芯線材、
21…コンフォーム押出、22…予備加熱装置、23…溝ロール圧延。

Claims (12)

  1. MgB2超電導多芯線材の製造方法であって、
    所望する最終フィラメント径の1.01倍以上1.2倍以下のフィラメント径を有する単芯線材を用意する単芯線材製造工程と、
    複数本の前記単芯線材が所望の配置となるように撚り合わされた複合線材を形成する撚線工程と、
    前記複合線材の外周に安定化材となるアルミニウム、アルミニウム合金、銅または銅合金をコンフォーム押出により被覆して被覆線材を形成する安定化材被覆工程と、
    前記被覆線材に対して600℃以上の温度で加圧焼成することによって少なくとも前記安定化材の含浸を行う加圧熱処理工程とを含み、
    前記単芯線材製造工程は原料粉末を金属シース管に充填し伸線加工する工程であり、
    前記最終フィラメント径が0.3 mm以下であることを特徴とするMgB2超電導多芯線材の製造方法。
  2. 請求項1に記載のMgB2超電導多芯線材の製造方法において、
    前記撚線工程における前記所望の配置は、前記複合線材の横断面を見た時に該複合線材の中心から略等しい距離に位置し該中心に対して回転対称性を有する1群の前記単芯線材からなる層が複数層形成された配置であり、
    前記撚線工程における撚り方向は、前記複数層の単芯線材群の内の少なくとも1層の撚り方向が他の層と異なっていることを特徴とするMgB2超電導多芯線材の製造方法。
  3. 請求項2に記載のMgB2超電導多芯線材の製造方法において、
    前記撚線工程における撚りピッチは、前記複数層の単芯線材群の内の少なくとも1層の撚りピッチが他の層と異なっていることを特徴とするMgB2超電導多芯線材の製造方法。
  4. 請求項1に記載のMgB2超電導多芯線材の製造方法において、
    前記撚線工程における前記所望の配置は、前記複合線材の横断面を見た時に前記単芯線材が最密充填配置となっていることを特徴とするMgB2超電導多芯線材の製造方法。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のMgB2超電導多芯線材の製造方法において、
    前記安定化材被覆工程におけるコンフォーム押出が550℃未満の温度条件で行われることを特徴とするMgB2超電導多芯線材の製造方法。
  6. 請求項1乃至請求項のいずれかに記載のMgB2超電導多芯線材の製造方法において、
    前記単芯線材のフィラメントの横断面形状を該フィラメントに外接する楕円で近似させた時に、前記楕円の単軸長が0.2 mm以下であることを特徴とするMgB2超電導多芯線材の製造方法。
  7. 請求項1乃至請求項のいずれかに記載のMgB2超電導多芯線材の製造方法において、
    前記原料粉末は、Mg粉末とB粉末との混合粉末または該混合粉末に第三元素を更に添加した混合粉末であることを特徴とするMgB2超電導多芯線材の製造方法。
  8. 請求項1乃至請求項のいずれかに記載のMgB2超電導多芯線材の製造方法において、
    前記原料粉末は、予め合成したMgB2粉末または該MgB2粉末に第三元素を更に添加した混合粉末であることを特徴とするMgB2超電導多芯線材の製造方法。
  9. 請求項または請求項に記載のMgB2超電導多芯線材の製造方法において、
    前記単芯線材製造工程は、前記伸線加工の後に、更に600℃以上の温度で加圧焼成を施す工程であることを特徴とするMgB2超電導多芯線材の製造方法。
  10. 請求項乃至請求項のいずれかに記載のMgB2超電導多芯線材の製造方法において、
    前記金属シース管が、鉄もしくはステンレスの1重管、または内側にニオブ、タンタル、鉄もしくはステンレスが内張りされた多重管であることを特徴とするMgB2超電導多芯線材の製造方法。
  11. 請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のMgB2超電導多芯線材の製造方法において、
    前記単芯線材製造工程と前記撚線工程との間に、前記安定化材よりも低融点の金属または合金から成る充填金属材を前記単芯線材の外周に被覆する充填金属材被覆工程を更に含むことを特徴とするMgB2超電導多芯線材の製造方法。
  12. 請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のMgB2超電導多芯線材の製造方法において、
    前記撚線工程は、前記複合線材を形成するにあたって、前記安定化材よりも低融点の金属または合金から成りかつ前記単芯線材よりも小さい外径を有する充填金属線材を前記単芯線材同士の隙間に入れるように一緒に撚り合わせる工程であることを特徴とするMgB2超電導多芯線材の製造方法。
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