JP5489008B2 - レドックスフロー電池 - Google Patents

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Description

本発明は、バナジウムイオンを活物質に含むレドックスフロー電池に関するものである。特に、従来のバナジウムレドックスフロー電池よりもエネルギー密度を向上することができるレドックスフロー電池に関するものである。
昨今、地球温暖化への対策として、太陽光発電、風力発電といった新エネルギーの導入が世界的に推進されている。これらの発電出力は、天候に影響されるため、大量に導入が進むと、周波数や電圧の維持が困難になるといった電力系統の運用に際しての問題が予測されている。この問題の対策の一つとして、大容量の蓄電池を設置して、出力変動の平滑化、余剰電力の貯蓄、負荷平準化などを図ることが期待される。
大容量の蓄電池の一つにレドックスフロー電池がある。レドックスフロー電池は、正極電極と負極電極との間に隔膜を介在させた電池セルに正極電解液及び負極電解液をそれぞれ供給して充放電を行う。上記電解液は、代表的には、酸化還元により価数が変化する水溶性の金属イオンを含有する水溶液が利用され、当該金属イオンが活物質に利用される。昨今、最も広く検討されている形態は、両極の活物質にバナジウム(V)イオンを用いるバナジウムレドックスフロー電池である(例えば、特許文献1)。バナジウムレドックスフロー電池は、実用化されており、今後も使用が期待される。
特許第3143568号公報
しかし、従来のバナジウムレドックスフロー電池では、エネルギー密度の更なる向上が難しい。
一般的に、電池には、エネルギー密度がより高いことが望まれる。エネルギー密度を高めるためには、例えば、電解液中の活物質の溶解度を高めたり、電解液の利用率、即ち、電解液中に活物質として含まれる金属イオンの利用率を高めることが考えられる。上記利用率とは、ここでは、上記金属イオンの理論電池容量(Ah)に対して実際に使用可能な電池容量(放電容量)、即ち、下限の充電深度(SOC:State of Charge)における電池容量と、上限の充電深度における電池容量との差をいう。
しかし、上記利用率を極力高めて充電した場合、換言すれば充電深度を高めた場合、以下のような問題が生じる。具体的には、レドックスフロー電池の代表的な形態では上述のように水溶液を電解液に利用するため、充電末期に、正極では、水の分解による酸素の発生や電極(特に、カーボン材料から構成されるもの)の劣化といった副反応が生じる。
上記副反応は、(1)電流損失(充電時に利用される電気量(Ah)の一部が電池反応(価数変化)に利用されず、水などの分解といった別の反応に利用されることによる損失)として電池効率を下げる、(2)正負極の充電深度を異ならせる原因となり、充電深度の差異により使用可能な電池容量を小さくさせる、(3)電極の劣化によって電池寿命を短くする、などの多くの弊害をもたらす。そのため、実際の電池の運用では、上記副反応が生じない範囲で使用するように充電停止の電圧(上限充電電圧)を定める。上記副反応を抑制するために、例えば、特許文献1では、充電終了時に正極活物質中の5価のVイオンが90%以下となるようにすることを提案している。
上述のように副反応の抑制の観点から、現状では、電解液中のバナジウムイオンの充電深度を90%以上にすることができず、バナジウムイオンを十分に使用できていない。そのため、従来のバナジウムレドックスフロー電池では、バナジウムイオンの利用率を90%以上、更にはそれ以上に向上することが難しく、エネルギー密度の向上に限界がある。
そこで、本発明の目的は、エネルギー密度を向上することができるレドックスフロー電池を提供することにある。
従来のバナジウムレドックスフロー電池では、活物質となる金属イオンをバナジウムイオンのみとしていた。これに対して、本発明者らは、バナジウムイオンを活物質として含む電解液に、例えば、マンガン(Mn)イオンのような正極側のバナジウムイオンよりも貴な電位(酸化還元電位。以下、単に電位と言う。)を有する金属イオンをバナジウムイオンと共に含有させることで、従来のバナジウムレドックスフロー電池と比較して、バナジウムイオンの利用率を大幅に向上することができる、との驚くべき知見を得た。この理由は、以下のように考えられる。
バナジウムイオンを活物質に含む電解液を用いるレドックスフロー電池では、充電すると、正極では、以下の反応が生じる。この反応が生じるときの標準の電位も示す。
充電(正極):V4+→V5++e- 電位:約1.0V(V4+/V5+)
また、充電末期には、以下のような副反応を生じる場合がある。ここでは、カーボン材料から構成される電極を利用した場合に各反応が生じるときの標準の電位も示す。
充電(正極) H2O→1/2O2+2H++2e- 電位:約1.2V(実際の電位:約2.0V)
C(カーボン)+O2→CO2+4e- 電位:約1.2V(実際の電位:約2.0V)
実際の運転では、使用する電極材料に依存した過電圧が必要であり、実際の副反応時の電位は標準値よりも貴となる傾向にある。例えば、電極材料がカーボン材料である場合、カーボンが反応するときや水が分解するときの電位は、約2V程度であり、正極で生じる電池反応時の電位:約1Vよりも高い。従って、正極では、充電時、上述のようにバナジウムイオンの酸化反応(V4+→V5+)が主として生じるものの、充電末期に充電電圧が高くなって正極の電位がより貴となると、上記バナジウムイオンの酸化反応と共に、酸素ガスの発生や電極(カーボン)の酸化劣化が生じ得る。また、この副反応により電池特性の劣化をも招く。
これに対し、正極電解液にバナジウムイオンに加えて、バナジウムイオンよりも貴な電位の金属イオンを含有する場合を考える。例えば、Mn2+/Mn3+の電位は、約1.5Vであり、V4+/V5+の電位(約1.0V)より貴であるが、水の分解による酸素の発生や電極の酸化といった副反応が生じるときの実際の電位(約2V)よりは卑側に存在する。そのため、例えば、2価のマンガンイオン(Mn2+)を含有する場合、上記副反応が生じる前に、まず、Mn2+の酸化反応が生じることになる。即ち、充電末期において、電池の主反応であるV4+の酸化反応と共に、Mn2+の酸化反応も電池反応の一部として生じる。このバナジウムイオンとは別の金属イオンの酸化反応が生じることで、上記副反応を抑制することができる。
上述のように正極電解液にバナジウムイオンと共に、バナジウムイオンよりも貴な電位を有する金属イオンを含有することで、例えば、充電深度が90%超の充電を行った場合でも、上述した副反応が生じ難く、或いは実質的に起こらない。従って、上記金属イオンを含有する形態では、従来のバナジウムレドックスフロー電池と比較して、電解液中のバナジウムイオンを繰り返し安定して、かつ十分に利用することができる、と考えられる。このようにバナジウムイオンの利用率を高められることで、エネルギー密度を向上することができる。本発明は、上記知見に基づくものである。
本発明は、電池セルに正極電解液及び負極電解液を供給して充放電を行うレドックスフロー電池に係るものである。上記正極電解液及び上記負極電解液はいずれも、バナジウムイオンを含有する。更に、少なくとも上記正極電解液は、バナジウムイオンよりも貴な電位の金属イオンも含有する。
上記構成によれば、例えば、正極電解液の充電深度を100%近くまで充電した場合であっても、充電末期に、バナジウムイオンと共に含有された別の金属イオンが酸化されることで、上述した水の分解による酸素ガスの発生や電極の酸化劣化といった副反応を抑制できる。そのため、従来、充電末期に生じる副反応により、充電深度をせいぜい90%程度にしか高められなかったのに対し、上記構成では、充電深度を100%近くまで高められる。充電深度を高められることで、電解液中のバナジウムイオンの利用率を高められることから、上記構成では、レドックスフロー電池のエネルギー密度を従来よりも向上することができる。
また、上記構成によれば、上述のように副反応を抑制できることから、副反応に伴う種々の不具合(電池効率の低下、電池容量の低下、短寿命化)をも効果的に抑制することができる。従って、上記構成によれば、電池特性に優れる上に、レドックスフロー電池の耐久性を高められるため、長期に亘って高い信頼性を確保することができる。
本発明の代表的な形態としては、正極電解液にバナジウムイオンと、バナジウムイオンよりも貴な電位の金属イオンとを含み、負極電解液にバナジウムイオンを含む形態が挙げられる。少なくとも正極電解液に上記金属イオンが存在することで、上述のように充電末期における副反応を効果的に抑制し、バナジウムイオンの利用率を高められる。
その他、正負両極の電解液のいずれもが、バナジウムイオンと、バナジウムイオンよりも貴な電位の金属イオンとを含む形態、代表的には、両極の電解液中の金属イオン種が同じ形態とすることができる。両極の電解液中の金属イオン種が同じ形態では、(1)正極電解液中の貴な電位の金属イオンが対極(ここでは負極)に移動して、正極で本来反応する金属イオンが相対的に減少することにより、副反応を抑制する効果が低減されることを効果的に回避できる、(2)充放電に伴って経時的に液移り(一方の極の電解液が他方の極に移動する現象)が生じて両極の電解液の液量にばらつきが生じた場合でも、両極の電解液を混合するなどして、ばらつきを容易に是正できる、(3)電解液の製造性に優れる、といった特有の効果を奏し得る。なお、この形態において負極電解液に存在するバナジウムイオンよりも貴な電位の金属イオンは、主として、両極の電解液の金属イオン種を重複させるために存在し、活物質として積極的に作用しない。そのため、負極電解液中の貴な電位の金属イオンの濃度は、正極電解液中の貴な電位の金属イオン濃度と異ならせることができるが、等しくすると、上記(1)〜(3)の効果を得易い。
上記貴な電位の金属イオンは、バナジウムイオンと同様に水溶性のもの、或いは酸水溶液に溶解するものであり、副反応が生じるときの実際の電位(約2V)よりは卑側に存在するものが好ましい。具体的には、マンガン(Mn)イオン、鉛(Pb)イオン、セリウム(Ce)イオン、及びコバルト(Co)イオンから選択される少なくとも1種の金属イオンが挙げられる。上記金属イオンの標準の電位は、Mn2+/Mn3+:約1.5V、Pb2+/Pb4+:約1.62V、Pb2+/PbO2:約1.69V、Ce3+/Ce4+:約1.7V、Co2+/Co3+:約1.82Vであり、V4+/V5+の電位(約1.0V)よりも貴であり、上述した副反応の電位(約2V)よりも卑である。バナジウムイオンに加えて、上記金属イオンを1種含有した形態、電位が異なる複数種の金属イオンを組み合せて含有した形態のいずれでもよい。
上記金属イオンとして、可逆の酸化還元反応が可能であり、少なくとも正極活物質として機能するものを利用すると、実用上、所定の電力量(kWh)を貯蔵するために必要なバナジウムイオンの量を低減できる。従って、この場合、活物質に用いる金属イオンを安定して、より安価に供給することができると期待される。本発明者らは、Mn2+の酸化反応により生じたMn3+が硫酸溶液中において可逆に酸化還元反応すること、即ち、充電時に酸化されたMn3+は、放電時に電池の放電反応(Mn3++e-→Mn2+)に利用され、バナジウムイオンに加えて、マンガンイオンをも活物質として繰り返し使用できることを見出している。また、マンガンイオンは、上述の金属イオンの中でも、溶解性に優れる。従って、上記金属イオンは、マンガンイオンを含むことが好ましい。
上記貴な電位の金属イオンとしてマンガンイオンを含有する場合、より具体的な形態として、2価のマンガンイオン及び3価のマンガンイオンの少なくとも一種のマンガンイオンを含有する形態が挙げられる。上記いずれかのマンガンイオンを含有することで、放電時:2価のマンガンイオン(Mn2+)が存在し、充電時:3価のマンガンイオン(Mn3+)が存在し、充放電の繰り返しにより、両マンガンイオンが存在する形態となる。
上述のようにマンガンイオンを含む電解液である場合、実際の運転では、充電状態によって4価のマンガンが存在していると考えられる。従って、本発明の一形態として、上記貴な電位の金属イオンを含む電解液は、2価のマンガンイオン及び3価のマンガンイオンの少なくとも一種のマンガンイオンと、4価のマンガンとを含有する形態が挙げられる。ここで、Mn3+は不安定であり、マンガンイオンの水溶液では、Mn2+(2価)及びMnO2(4価)を生じる不均化反応が生じ得る。本発明者らが調べたところ、不均化反応により生じた4価のマンガンはMnO2と考えられるが、このMnO2は全てが固体の析出物ではなく、電解液中に溶解したように見える安定な状態で存在していると考えられる。この電解液中に浮遊するMnO2は、放電時、2電子反応として、Mn2+に還元され(放電して)、即ち、MnO2が活物質として作用して、繰り返し使用することができることで、電池容量の増加に寄与することがある。従って、本発明では、若干量(マンガンイオンの総量(mol)に対して10%程度以下)の4価のマンガンの存在を許容する。なお、不均化反応によるMnO2の析出を抑制することが望まれる場合は、例えば、正極マンガンの充電深度が90%以下、好ましくは70%となるように運転したり、電解液の溶媒が酸の水溶液である場合、電解液の酸濃度(例えば、硫酸濃度)を高めたりすることが挙げられる。
本発明の一形態として、上記貴な電位の金属イオンの合計濃度が0.1M以上5M以下である形態が挙げられる(M:モル濃度)。
上記金属イオンの合計濃度が0.1M未満では、当該金属イオンの酸化反応が十分に生じ難く、この酸化反応によって上述した副反応を抑制する効果を得難い。その結果、エネルギー密度を十分に向上することが難しくなる。上記金属イオンの合計濃度が高いほど上記副反応の抑制効果やエネルギー密度の増大が得られるが、金属イオンの増加によりバナジウムイオンの溶解度が低下する傾向にある。十分な溶解度を確保する場合、上記金属イオンの合計濃度が1M以下、更に0.5M以下でも、上記副反応の抑制効果などが得られる。また、上述のように電解液の溶媒が酸の水溶液であり、マンガンイオンを含有する場合、電解液の酸濃度をある程度高めることで、MnO2の析出を抑制できるが、酸濃度の上昇により金属イオンの溶解度の低下を招く。そのため、上記金属イオンの濃度の上限は5Mと考えられる。
本発明の一形態として、上記両極の電解液が硫酸アニオン(SO4 2-)を含有する形態が挙げられる。
両極の電解液の溶媒には、硫酸アニオン(SO4 2-)、リン酸アニオン(PO4 3-)、及び硝酸アニオン(NO3 -)の少なくとも一種を含む水溶液を好適に利用することができる。これらの酸水溶液は、(1)電解液中のバナジウムイオンや上記金属イオンの安定性の向上や反応性の向上、溶解度の向上が得られる場合がある、(2)イオン伝導度が高く、電池の内部抵抗が小さくなる、(3)塩酸(HCl)を利用した場合と異なり、塩素ガスが発生しない、といった複数の効果が期待できる。特に、硫酸アニオン(SO4 2-)を含有する形態では、リン酸アニオンや硝酸アニオンを含有する場合と比較して、バナジウムイオンや上記金属イオンの安定性や反応性を向上できるため好ましい。両極の電解液が硫酸アニオンを含有するには、例えば、バナジウムイオンや上述の金属イオンを含む硫酸塩を利用することが挙げられる。
本発明の一形態として、上記両極の電解液の溶媒は、H2SO4の水溶液である形態が挙げられる。このとき、上記両極の電解液の硫酸濃度はいずれも、5M以下が好ましい。
上述のように硫酸塩を用いることに加えて、電解液の溶媒をH2SO4の水溶液(硫酸水溶液)とすると、上述のようにバナジウムイオンや金属イオンの安定性の向上や反応性の向上、内部抵抗の低減などを図ることができる。但し、硫酸濃度が高過ぎると、バナジウムイオンやマンガンイオンなどの金属イオンの溶解度の低下や電解液の粘度の増加を招く恐れがあるため、硫酸濃度は、5M以下が好ましく、1M〜4Mが利用し易い。
本発明の一形態として、上記正極電解液の充電深度が90%超となるように運転される形態が挙げられる。
本発明では、正極電解液にバナジウムイオンに加えて、バナジウムイオンよりも貴な電位の金属イオンを含むことで、充電深度を90%超に高めて充電しても上述のように副反応を抑制することができる。このように充電深度を高められることで、バナジウムイオンの利用率を効果的に上げることができる。
本発明レドックスフロー電池は、エネルギー密度を向上することができる。
図1は、レドックスフロー電池を具える電池システムの動作原理を示す説明図である。 図2は、試験例1で作製した実施例システムの充放電のサイクル時間(sec)と電池の電圧(V)との関係を示すグラフである。 図3は、試験例1で作製した比較システム(I)の充電時間(sec)と電池の電圧(V)との関係を示すグラフである。 図4は、試験例1で作製した比較システム(II)の充放電のサイクル時間(sec)と電池の電圧(V)との関係を示すグラフである。
以下、図1を参照して、実施形態のレドックスフロー電池を具える電池システムの概要を説明する。図1に示すイオンは例示である。
レドックスフロー電池100は、代表的には、交流/直流変換器を介して、発電部(例えば、太陽光発電機、風力発電機、その他、一般の発電所など)と電力系統や需要家とに接続され、発電部を電力供給源として充電を行い、電力系統や需要家を電力提供対象として放電を行う。上記充放電を行うにあたり、レドックスフロー電池100と、この電池100に電解液を循環させる循環機構(タンク、導管、ポンプ)とを具える以下の電池システムが構築される。
レドックスフロー電池100は、正極電極104を内蔵する正極セル102と、負極電極105を内蔵する負極セル103と、両セル102,103を分離すると共に適宜イオンを透過する隔膜101とを具える。正極セル102には、正極電解液用のタンク106が導管108,110を介して接続される。負極セル103には、負極電解液用のタンク107が導管109,111を介して接続される。導管108,109には、各極の電解液を循環させるためのポンプ112,113を具える。レドックスフロー電池100は、導管108〜111、ポンプ112,113を利用して、正極セル102(正極電極104)、負極セル103(負極電極105)にそれぞれタンク106の正極電解液、タンク107の負極電解液を循環供給して、各極の電解液中の活物質となる金属イオンの価数変化反応に伴って充放電を行う。
レドックスフロー電池100は、代表的には、上記セル102,103を複数積層させたセルスタックと呼ばれる形態が利用される。上記セル102,103は、一面に正極電極104、他面に負極電極105が配置される双極板(図示せず)と、電解液を供給する給液孔及び電解液を排出する排液孔を有し、かつ上記双極板の外周に形成される枠体(図示せず)とを具えるセルフレームを用いた構成が代表的である。複数のセルフレームを積層することで、上記給液孔及び排液孔は電解液の流路を構成し、この流路は導管108〜111に適宜接続される。セルスタックは、セルフレーム、正極電極104、隔膜101、負極電極105、セルフレーム、…と順に繰り返し積層されて構成される。なお、レドックスフロー電池システムの基本構成は、公知の構成を適宜利用することができる。
特に、本発明では、上記正極電解液及び上記負極電解液のいずれもがバナジウムイオンを含有し、かつ上記正極電解液は、バナジウムイオンに加えて、バナジウムイオンよりも貴な電位の金属イオンを更に含有する(図1では、例としてマンガンイオンを示す)。以下、試験例を挙げてより具体的に説明する。
[試験例1]
図1に示すレドックスフロー電池システムを構築し、正負両極にバナジウムイオンを含有する種々の電解液を用いて、種々の条件で充放電を行った。
実施例システムとして、以下を用意した。
正極電解液として、硫酸濃度が2.6Mの硫酸水溶液(H2SO4aq)に、硫酸塩:硫酸バナジウム(4価)及び硫酸マンガン(2価)を溶解して、バナジウムイオン(4価)の濃度が1.65M、マンガンイオン(2価)の濃度が0.5Mの電解液を6ml(6cc)作製した。
負極電解液として、硫酸濃度が1.75Mの硫酸水溶液(H2SO4aq)に硫酸塩:硫酸バナジウム(3価)を溶解して、バナジウムイオン(3価)の濃度が1.7Mの電解液を9ml(9cc)作製した。負極電解液の量を正極電解液の量よりも多くすることで、充電時に正極側での電池反応(バナジウムイオンの酸化反応だけでなくマンガンイオンの酸化反応も含む)が十分に行えるようにしている(この点は、後述する試験例2も同様である)。
各極の電極には、カーボンフェルト、隔膜には、イオン交換膜を用いた。電極や隔膜の構成材料は適宜選択することができる。カーボンフェルトから構成される電極は、(1)正極側で酸素ガス及び負極側で水素ガスが発生し難い、(2)表面積が大きい、(3)電解液の流通性に優れる、といった効果がある。イオン交換膜は、(1)正負極の活物質である金属イオンの隔離性に優れる、(2)H+イオン(電池内部の電荷担体)の透過性に優れる、といった効果がある。
そして、この試験例1では、電極の反応面積が9cm2である小型セルを作製し、用意した上記各極の電解液を用いて、電流:630mA(電流密度:70mA/cm2)の定電流で充電を行った。より具体的には、正極電解液のバナジウムイオンの充電深度が124%に相当する時点まで充電した。上記充電深度は、バナジウムイオンのみを活物質とした場合を100とした数値であり、当該充電深度が100%超であるのは、バナジウムイオンの充電深度がほぼ100%であることに加えて、Mn2+がMn3+(又は4価のマンガン)に変化して充電されていることを示す。その後、放電に切り替えて放電を行い、更に、上記と同様の充電条件で充放電を繰り返した。図2に充放電のサイクル時間と電池の電圧との関係を示す。
比較システムとして、全バナジウムレドックスフロー電池システムを構築した。比較システムの基本的構成は、上述した実施例システムと同様であり、電解液及び運転条件を異ならせた以外の点は上述した実施例システムと同様とした。この試験例1では、正極電解液及び負極電解液として、正極:硫酸濃度が2.6Mの硫酸水溶液(H2SO4aq)に硫酸バナジウム(4価)、負極:硫酸濃度が1.75Mの硫酸水溶液(H2SO4aq)に硫酸バナジウム(3価)を溶解して、正極:バナジウムイオン(4価)の濃度、負極:バナジウムイオン(3価)の濃度のいずれもが1.7Mの電解液を作製した。
そして、比較システム(I)では、電極の反応面積が9cm2である小型セルを作製し、上述した全バナジウム電解液を正負それぞれ10ml(10cc)ずつ用いて、電流:540mA(電流密度:60mA/cm2)の定電流で充電を行った。また、比較システム(I)では、正極電解液中のバナジウムイオンの充電深度が100%相当を超えても、しばらくの間、充電を継続した。図3に充電時間と電池の電圧との関係を示す。
一方、比較システム(II)では、上記比較システム(I)と電解液量及び運転条件を異ならせた以外の点は同様とした。具体的には、上述した全バナジウム電解液を正負それぞれ7ml(7cc)ずつ用いて、電流:630mA(電流密度:70mA/cm2)の定電流で充電を行った。そして、比較システム(II)では、電圧が1.6Vになった時点(バナジウムイオンの充電深度:78%)で充電を停止して放電に切り替え、以下同様にして充放電を繰り返した。図4に充放電のサイクル時間と電池の電圧との関係を示す。
その結果、比較システム(I)では、図3に示すように電圧が1.6V付近から2.6V以上に急上昇した。更に充電を継続したところ、正極からは酸素ガスの発生が見られた。このような状態から放電を行い、更に同様の条件(充電:充電深度が100%超となるまで行う)で数回の充放電を繰り返したところ、電池の内部抵抗が次第に増加し、電池容量も減少する傾向が見られた。試験終了後、セルを解体したところ、正極電極を構成するカーボン材料の酸化劣化が認められた。
一方、比較システム(II)では、充電の上限電圧を1.6Vとしたことで、酸素ガスの発生は見られなかった。また、充放電を数回繰り返したが、電池の内部抵抗の増加や電池容量の低下も見られず、繰り返し安定に動作することができた。しかし、比較システム(II)では、実際に利用できた電池容量が理論容量(バナジウムイオン濃度:1.7M、7ml、630mAから放電時間に換算した値):30.4分に対して20.4分であり、バナジウムイオンの利用率が67%(≦90%)である。
他方、実施例システムでは、図2に示すように1.6V付近から電圧の上昇が見られるものの、この上昇は急峻ではなく、比較システム(I)よりも緩やかである。また、電圧が1.6V以上になってからの電圧特性から、充電時、正極では、バナジウムイオンの更なる酸化反応が生じていると共に、マンガンイオン(2価)の酸化反応が生じていることが観察された。更に、比較システム(I)と異なり、実施例システムでは、正極の充電深度が100%相当を超えて充電しても、電池電圧の上昇が抑制され、せいぜい2V程度であった。加えて、実施例システムでは、酸素ガスの発生が見られず、かつ充放電を繰り返した後にセルを解体しても、電極の劣化も生じていないことが確認された。そして、実施例システムの放電時間(放電容量)は23.7分となり、理論容量(バナジウムイオン濃度:1.65M、6ml、630mAから放電時間に換算した値:25.3分)に対して93.7%と90%を超える利用率であった。また、繰り返し充放電を行っても電池容量の減少も無く、安定に動作することが確認された。
上記試験例1から、少なくとも正極電解液に、バナジウムイオンに加えて、正極側のバナジウムイオンよりも貴な電位の金属イオンを含有することで、バナジウムイオンの利用率を効果的に高めて、エネルギー密度を向上できると言える。
[試験例2]
図1に示すレドックスフロー電池システムを構築し、正負極の電解液として、バナジウムイオンとマンガンイオンとを含有する電解液を用いて充放電を行った。
試験例2では、正極電解液として、硫酸濃度が2.6Mの硫酸水溶液(H2SO4aq)に、硫酸塩:硫酸バナジウム(4価)及び硫酸マンガン(2価)を溶解して、バナジウムイオン(4価)の濃度が1.65M、マンガンイオン(2価)の濃度が0.5Mの電解液を6ml(6cc)作製した。負極電解液として、硫酸濃度が1.65Mの硫酸水溶液(H2SO4aq)に、硫酸塩:硫酸バナジウム(3価)及び硫酸マンガン(2価)を溶解して、バナジウムイオン(3価)の濃度が1.7M、マンガンイオン(2価)の濃度が0.5Mの電解液を9ml(9cc)作製した。その他の構成は、試験例1の実施例システムと同様とした。
そして、試験例1と同様の小型セル(反応面積:9cm2)を作製し、用意した各極の電解液を用いて、試験例1の実施例システムと同様の条件で充放電を繰り返したところ、試験例2のシステムの電圧特性の挙動は、試験例1の実施例システムとほとんど同様であり、利用率も90%超にできることが確認された。更に、試験例2のシステムでも酸素ガスの発生が見られず、かつ充放電を繰り返した後にセルを解体しても、電極の劣化も生じていないことが確認された。
従って、試験例2から、正負両極の電解液に、バナジウムイオンに加えて、正極側のバナジウムイオンよりも貴な電位の金属イオンを含有することで、バナジウムイオンの利用率を効果的に高めて、エネルギー密度を向上できると言える。
上述した実施形態は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、上述した構成に限定されるものではない。例えば、金属イオンの種類や濃度、電解液の溶媒の濃度などを適宜変更することができる。
本発明レドックスフロー電池は、太陽光発電、風力発電などの新エネルギーの発電に対して、発電出力の変動の安定化、発電電力の余剰時の蓄電、負荷平準化などを目的とした大容量の蓄電池に好適に利用することができる。その他、本発明レドックスフロー電池は、一般的な発電所に併設されて、瞬低・停電対策や負荷平準化を目的とした大容量の蓄電池としても好適に利用することができる。
100 レドックスフロー電池 101 隔膜 102 正極セル 103 負極セル
104 正極電極 105 負極電極 106 正極電解液用のタンク
107 負極電解液用のタンク 108,109,110,111 導管 112,113 ポンプ

Claims (8)

  1. 電池セルに正極電解液及び負極電解液を供給して充放電を行うレドックスフロー電池であって、
    前記正極電解液及び前記負極電解液はいずれも、バナジウムイオンを含有し、
    少なくとも前記正極電解液は、バナジウムイオンよりも貴な電位の金属イオンを更に含有することを特徴とするレドックスフロー電池。
  2. 前記正極電解液及び前記負極電解液はいずれも、バナジウムイオンよりも貴な電位の金属イオンを更に含有することを特徴とする請求項1に記載のレドックスフロー電池。
  3. 前記貴な電位の金属イオンは、マンガンイオン、鉛イオン、セリウムイオン、及びコバルトイオンから選択される少なくとも1種の金属イオンであり、
    前記金属イオンの合計濃度が0.1M以上5M以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のレドックスフロー電池。
  4. 前記貴な電位の金属イオンは、2価のマンガンイオン及び3価のマンガンイオンの少なくとも一種のマンガンイオンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池。
  5. 前記貴な電位の金属イオンを含む電解液は、2価のマンガンイオン、3価のマンガンイオンの少なくとも一種のマンガンイオンと、4価のマンガンとを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池。
  6. 前記両極の電解液は、硫酸アニオンを含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池。
  7. 前記両極の電解液の溶媒は、H2SO4の水溶液であり、
    前記両極の電解液の硫酸濃度がいずれも5M以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池。
  8. 前記レドックスフロー電池は、前記正極電解液の充電深度が90%超となるように運転されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池。
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