JP5487065B2 - 自動変速装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ツインクラッチ式の変速装置に関し、特に、変速ギヤにドグクラッチを備えたインクラッチ式の自動変速装置に関する。
従来から、複数の変速歯車対を有する多段変速装置において、メインシャフトおよびカウンタシャフト上を摺動可能に設けられた変速ギヤやスリーブを、該両シャフト上を移動させることで変速を行う構造のものがある。この変速動作は、メインシャフトおよびカウンタシャフトと平行に摺動するシフトフォークを駆動させることで円滑に変速動作を行うようにした構成が知られている。
この種の変速装置には、変速動作を、アクチュエータを介して自動的に行う自動変速機が例えば特許文献1に開示されている。
この特許文献1には、メインシャフトとカウンタシャフトとの間に複数の歯車対を有する変速機と、メインシャフト上に配設されるツインクラッチとを備え、該ツインクラッチによってエンジンの回転駆動力を変速機との間で断接するツインクラッチ式変速装置である。そして、複数の歯車対のうち、回転駆動力を伝達する1つの歯車対を選択するために軸方向に摺動可能に取り付けられた摺動可能ギヤと、軸方向に摺動不能に取り付けられた摺動不能ギヤとの間にドグクラッチが設けられた構造である。さらに、ドグクラッチの突出側のドグ歯(ダボ)に、ドグクラッチで回転駆動力が伝達される時に、凹み側のドグ孔(ダボ孔)の側壁面と当接する部分と、ドグクラッチで回転駆動力が伝達されない時にドグ孔の側壁面と当接する部分との間に、軸方向の高さを異ならせた段差を形成する構成が開示されている。
特開2009−85324号公報
特許文献1に開示されている構成にあっては、ギヤにその軸線方向に設けられたダボ(突起)とダボ孔(ダボを受容する凹み)を係合させて変速段を自動的に切り替える変速機では、前掲の如く、ドグ孔の側壁面と当接する部分との間に、軸方向の高さを異ならせた段差を形成する構成に加えて、噛み合うダボとダボ孔との回転差が大きい場合に発生する打音を小さくするために、係合前にクラッチを軽く繋いで、契合する部材両者の回転差を小さくする工夫をしている。
しかしながら、このような従来の構成においては、クラッチの摩耗等により、回転差調整の為の接続量を適正にコントロールすることが難しいのが現状である。したがって、変速時におけるドグ噛み合いの打音を安定して小さくするのが難しかった。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ドグクラッチを備える変速装置であって、ギヤ接続時における噛み合いによる打音を効果的に常に安定して小さくできる自動変速装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、同軸上で隣接する一方のギヤが軸円周方向に回転不能且つ軸線方向にスライド自在に設けられ、他方のギヤが軸に対して軸線方向にスライド不能且つ軸円周方向に回動自在に設けられ、一方の前記ギヤに設けた軸線方向に突出するダボと、他方の前記ギヤに設けた軸線方向に凹んだダボ孔とが係合及び係合解除して変速段を切換え可能に構成されると共に、前記ギヤのスライド動作が変速機構を介して行うように構成された自動変速装置において、
前記ダボの数および前記ダボ孔の大きさを、前記ダボが前記ダボ孔に嵌入した後、前記ダボ孔内を移動する前記ダボの移動距離に対応するタイヤ移動量が30mm〜50mmの範囲になるように設けて、前記ダボと前記ダボ孔を構成するダボ柱との対向壁面を大きく構成し、かつ変速段の切換え時に、前記変速機構により前記ダボと前記ダボ柱との前記対向壁面同士を当接させた後に、前記変速機構による前記ギヤ同士の離間と接触を繰り返し行うように構成されたことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の構成に加えて、前記ダボと前記ダボ柱との対向壁面の少なくとも一方には、摩擦材が設けられたことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の構成に加えて、前記摩擦材は、前記ダボまたは前記ダボ柱の対向壁面に埋め込まれていることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の構成に加えて、前記ダボ柱の幅は、高速側の変速段に設けられた前記ダボ柱の幅が低速側の変速段に設けられた前記ダボ柱の幅よりも小さく構成されていることを特徴とする。
請求項に係る発明は、請求項1〜の何れか1項に記載の構成に加えて、前記ダボと前記ダボ柱との係合構造を備える変速機、一対のクラッチ機構が持ち替え変速段を切り換えるツインクラッチとを備えることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、ダボとダボ柱との対向壁面が大きくなるように構成されたことにより、ダボとダボ孔との噛合い機会が低減して噛み合い難くなり、ダボとダボ柱との対向壁面での接触機会が大きくなる。この状態でダボとダボ柱との対向壁面の当接を行うことで、ギヤ間の互いの回転差が小さくなり、ダボとダボ孔が係合したときの衝撃が小さくなり噛合いに伴う打音が小さくなる。
また、請求項1の発明によれば、壁通過時間を長くし噛合い機会を低減すると共に、タイヤ移動量を所定量以下に抑えることにより、噛合いショックを低減することができる。
請求項2の発明によれば、対向壁面に設けられた摩擦材の接触により、ダボとダボ柱の接触時の回転力の伝達力が増し、ギヤ同士の回転差を素早くに小さくすることができる。
請求項3の発明によれば、摩擦材が対向壁面に埋め込まれている構造によれば、ダボとダボ柱の両対向壁面の擦れ方向の力に対して引っ掛かるように保持できるので、摩擦材が取りにくくその耐久性を良くすることができる。
請求項4の発明によれば、変速段が高段ほどダボとダボ孔と相対速度が大きく両者間の通過時間が短くなるが、変速段が高さを考慮してダボ柱の幅を小さくする構成とすることで、噛合い機会を大きくなるようでき、所定の噛合い易さを確保することができる。
請求項の発明によれば、ツインクラッチ式変速機は、次ぎに切り換える変速段のギヤを接続して待機するので、1速に切り換えた際回転している2速ギヤと回転していない6速ギヤのダボとダボ孔を噛み合わせるので、大きな打音が発生し易いが、本発明の構造により、打音の低減効果を発揮することができる。
本発明の一実施形態に係るツインクラッチ式変速装置の断面図である。 ツインクラッチ式変速装置の変速ギヤの配置関係を示すスケルトン図である。 変速機の摺動可能ギヤを駆動する変速機構の断面図である。 シフトドラムのガイド溝の形状を示す展開図である。 図1に示す変速機TMのギヤC6のダボ側から見た平面図である。 図1に示す変速機TMのギヤC6のダボおよびその周辺の斜視図である。 図1に示す変速機TMのギヤC2のダボ孔側から見た斜視図である。 図1に示す変速機TMのギヤC6とギヤC2との非接触状態を示す概略断面図(図5におけるA−A線に沿った位置の断面)である。 図1に示す変速機TMのギヤC6とギヤC2との接触状態を示す概略断面図である。 図1に示す変速機TMのギヤC6とギヤC2との噛み合い状態を示す概略断面図である。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
まず、本発明の一実施形態について、図1〜図9を参照しながら詳細に説明する。なお、各図は、符号の記載向きに見るものとする。
図1は、本発明の一実施形態に係るツインクラッチ式の自動変速装置1の断面図である。また、図2は、ツインクラッチ式の自動変速装置1の変速ギヤの配置関係を示すスケルトン図である。
本実施形態の自動変速装置1は、第1クラッチCL1および第2クラッチCL2とからなるツインクラッチTCLと、前進6段のシーケンシャル式の変速機TMとから構成されている。なお、この自動変速装置1は、車両の動力源としてのエンジン(不図示)と共に、クランクケースの内部に収納されている。
図1及び図2を参照して本実施形態の自動変速装置1の全体的な構成および動作を説明する。
自動変速装置1は、エンジンのクランクシャフト(不図示)から、衝撃吸収機構5を有するプライマリギヤ3に回転駆動力が伝達される。この回転駆動力は、図中右側のツインクラッチTCLから図中下左側のカウンタシャフト9に出力される。すなわち、ツインクラッチTCLは、外筒としての外側メインシャフト6およびこれに回動自在に軸支される内筒としての内側メインシャフト7に接続可能に設けられ、このメインシャフト6,7とカウンタシャフト9との間に設けられる6対の歯車対を介して、カウンタシャフト9に出力される。
このカウンタシャフト9には、その一端側に、ドライブスプロケット10(図2参照)が取り付けられており、エンジンの回転駆動力は、このドライブスプロケットに巻き掛けられているドライブチェーン(不図示)を介して、車両の駆動輪(不図示)に伝達される。
図1および図2において、ツインクラッチTCLの左側に配置された変速機TMは、メインシャフト6,7およびカウンタシャフト9の間に6対の歯車対を有している。この歯車対は、各軸の軸方向に摺動可能に取り付けられた摺動可能ギヤの位置と、第1クラッチCL1および第2クラッチCL2の断接状態との組み合わせによって、どの歯車対を介して回転駆動力を出力するかを選択することができる。
また、ツインクラッチTCLは、プライマリギヤ3と一体的に回動するクラッチケース4の内部に配設されている。そして、図2のスケルトン図を参照すると分かり易いが、図中右側の第1クラッチCL1は、内側メインシャフト7に回転不能に取り付けられ、他方、図中左側の第2クラッチCL2は、外側メインシャフト6に回転不能に取り付けられている。また、図1に示すように、クラッチケース4と各クラッチCL1,CL2との間には、クラッチケース4に回転不能に支持された5枚のクラッチプレート4aと、各クラッチCL1,CL2に回転不能に支持された5枚のフリクションプレート4bとからなるクラッチ板12が配設されている。
本実施形態のツインクラッチTCLにおいては、第1クラッチCL1および第2クラッチCL2は、クランクシャフトの回転に伴って駆動する油圧ポンプからの油圧が供給されることで、クラッチ板12に摩擦力を生じて接続状態に切り替わるように構成されている。これは、内側メインシャフト7の内部に二重管状の2本の油圧経路A0を形成する分配器(図示せず)が埋設されている。この分配器を介して、内側メインシャフト7に形成された油路A1に油圧が供給されると、ばね等の弾性部材11の弾性力に抗してピストンB1が図示左方に摺動して、第1クラッチCL1が接続状態に切り替わるように構成されている。これと同様に、油路A2に油圧が供給されると、ピストンB2が図示左方に摺動して、第2クラッチCL2が接続状態に切り替えられる。そして、両クラッチCL1,CL2のピストンB1,B2は、供給油圧が低下すると、弾性部材11の弾発力で元の位置に戻るように構成されている。
なお、第1クラッチCL1および第2クラッチCL2への油圧の供給は、クランクシャフトで回動される油圧ポンプによって常時発生している油圧の供給先を、ソレノイドバルブ等で切り換えることで実行される。
前掲のような構成により、プライマリギヤ3の回転駆動力は、第1クラッチCL1または第2クラッチCL2に油圧が供給されない限りクラッチケース4を回転させるだけの状態である。しかし、油圧が供給されることで、プライマリギヤ3の回転駆動力は、外側メインシャフト6または内側メインシャフト7を、クラッチケース4と一体的に回転駆動させることができる。
なお、この外側メインシャフト6または内側メインシャフト7を回転させる時、供給油圧の大きさを適宜調整することによって、半クラッチ状態を作り出すこともできる。
第1クラッチCL1に接続される内側メインシャフト7は、奇数変速段(1速、3速、5速)の駆動側のギヤM1,M3,M5を支持している。第1速駆動側のギヤM1は、内側メインシャフト7に一体的に形成されている。第3速駆動側のギヤM3は、軸方向に摺動可能かつ周方向に回転不能に取り付けられている。第5速駆動側のギヤM5は、軸方向に摺動不能かつ周方向に回転可能に取り付けられている。そして、駆動側のギヤM5には、後述するダボ孔70を構成するダボ柱60が設けられ、該ギヤM5に隣接する駆動側のギヤM3には、このダボ柱60に対面するダボ50が設けられている。
一方、第2クラッチCL2に接続される外側メインシャフト6は、偶数変速段(2速、4速、6速)の駆動側のギヤM2,M4,M6を支持している。第2速駆動側のギヤM2は、外側メインシャフト6に一体的に形成されている。第4速駆動側のギヤM4は、軸方向に摺動可能かつ周方向に回転不能に取り付けられている。第6速駆動側のギヤM6は、軸方向に摺動不能かつ周方向に回転可能に取り付けられている。
そして、駆動側のギヤM6にはダボ孔70を構成するダボ柱60が設けられ、該ギヤM6に隣接する駆動側のギヤM4には、このダボ柱60に対面するダボ50が設けられている。
また、カウンタシャフト9は、駆動側のギヤM1〜M6に噛合する被動側のギヤC1〜C6を支持している。第1速から4速の被動側のギヤC1,C2,C3,C4は、軸方向に摺動不能かつ周方向に回転可能に取り付けられている。一方、第5速と6速の被動側のギヤC5,C6は、軸方向に摺動可能かつ周方向に回転不能に取り付けられている。
そして、被動側のギヤC1にはダボ孔70を構成するダボ柱60が設けられ、該ギヤC1に隣接する被動側のギヤC5には、このダボ柱60に対面するダボ50(図中左側に突出する)が設けられている。また、被動側のギヤC3にはダボ孔70を構成するダボ柱60が設けられ、該ギヤC3に隣接する被動側のギヤC5には、このダボ柱60に対面するもう一方側のダボ50(図中右側に突出する)が設けられている。すなわち、被動側のギヤC5には隣接する2つの被動側のギヤC1,C3に対して係合可能なダボ50を両端側に有している。
また、被動側のギヤC6においても、被動側のギヤC5と同様に、その隣接する2つの被動側のギヤC2,C4に対して係合可能なダボ50を両端側に有し、該ギヤC2,C4のダボ柱60と係合自在に構成されている。
本実施形態に係るツインクラッチ式の自動変速装置1では、摺動可能ギヤと摺動不能ギヤとの間で回転駆動力を断接する構造に、前掲の如くドグクラッチを適用している。このドグクラッチは、図6および図7に示すように、ドグ歯であるダボ50とドグ孔であるダボ孔70(ダボ柱60によって構成される)とからなる凹凸形状が噛み合うことで回転駆動力を伝達する。このドグクラッチは、簡単な構成によって伝達ロスの少ない駆動力伝達が可能となる。これにより、摺動可能ギヤと摺動不能ギヤとの間に、両者の回転を同期させるシンクロメッシュ機構を設ける構成に比して、変速機TMの構成をより簡略化して、ツインクラッチ式の自動変速装置1の小型化および軽量化を図ることができる。
前掲のギヤ列のうち、駆動側のギヤM3,M4および被動側のギヤC5,C6、すなわち軸方向に摺動可能に配置された「摺動可能ギヤ」は、後述するシフトフォークの動作に伴って摺動されるように構成されている。したがって、この駆動側のギヤM3,M4および被動側のギヤC5,C6には、それぞれ、シフトフォークの爪部が係合する係合溝41,42,61,62が形成されている。
また、前掲の摺動可能ギヤ以外の変速ギヤ(駆動側のギヤM1,M2,M5,M6および被動側のギヤC1,C2,C3,C4)、すなわち、軸方向に摺動不能な「摺動不能ギヤ」は、隣接する摺動可能ギヤとの間で、前述のダボ50およびダボ孔70により回転駆動力の断接を行うように構成されている。
このように構成されたことにより、本実施形態におけるツインクラッチ式の自動変速装置1は、摺動可能ギヤ(駆動側のギヤM3,M4および被動側のギヤC5,C6)の位置および両クラッチCL1,CL2の断接状態の組み合わせによって、エンジンの回転駆動力を駆動車輪に伝達する1つの歯車対を任意に選択することができる。
そして、第1クラッチCL1は、奇数変速段(1速、3速、5速)の回転駆動力の断接を行い、一方、第2クラッチCL2は、偶数変速段(2速、4速、6速)の回転駆動力の断接を行う。このことは、シフトアップが順次行われる際には、第1クラッチCL1および第2クラッチCL2の接続状態が交互に切り替えられることとなる。
本実施形態における自動変速装置1の変速機構20について説明する。
図3には変速機構20の断面図を示し、図4には変速機構20のシフトドラム30のガイド溝の形状を示す展開図を示す。
本実施形態に係る変速機構20は、前掲の4つの摺動可能ギヤ(駆動側のギヤM3,M4および被動側のギヤC5,C6)を駆動するため、2本のガイド軸31,32に摺動可能に取り付けられた4つのシフトフォーク71,72,81,82を備えている。
4つのシフトフォーク71,72,81,82には、摺動可能ギヤと係合するガイド爪(71a,72a,81a,82a)と、シフトドラム30に形成されたガイド溝と係合する円筒凸部(71b,72b,81b,82b)がそれぞれ設けられている。
ガイド軸31には、第3速駆動側のギヤM3に係合するシフトフォーク71と、第4速駆動側のギヤM4に係合するシフトフォーク72とが取り付けられている。また、他方側のガイド軸32には、第5速被動側のギヤC5に係合するシフトフォーク81と、第6速被動側のギヤC6に係合するシフトフォーク82とが取り付けられている。
ガイド軸31,32と平行に配設されるシフトドラム30の表面には、メインシャフト側のシフトフォーク71,72が係合するガイド溝SM1,SM2と、カウンタシャフト側のシフトフォーク81,82が係合するガイド溝SC1,SC2が形成されている。これにより、摺動可能ギヤM3,M4,C5,C6は、シフトドラム30の回動に伴って、4本のガイド溝の形状に沿って駆動されることとなる。
シフトドラム30は、アクチュエータとしての電動モータ21によって所定の位置に回転駆動される。この電動モータ21の回転駆動力は、回転軸22に固定された第1ギヤ23、該第1ギヤ23に噛合する第2ギヤ24を介して、中空円筒状のシフトドラム30を支持するシフトドラム軸29に伝達される。シフトドラム30の回動位置は、シフトポジションセンサ27によって検知される。シフトポジションセンサ27は、シフトドラム軸29に固定されたセンサプレート25に埋設されたセンサピン26にて回動されるセンサカム28の回動位置によってシフトドラム30の回転位置を検知できるように構成されている。
前掲したような構成により、自動変速装置1は、シフトドラム30の回転駆動制御とツインクラッチTCLの断接制御を並行して行うことで、エンジン回転数や車速等に応じた自動変速(オートマチック)や、変速スイッチ等によって乗員の変速操作を受け付ける半自動変速(セミオートマチック)を実行することができる。
本実施形態におけるシフトドラム30の回動位置と4本のシフトフォークとの位置関係について、以下、図4の展開図を参照してその基本的な動作を説明する。
本実施形態における両ガイド軸31,32は、シフトドラム30の回転軸を基準として周方向に互いに約90°離れた位置に配設されている。例えば、シフトドラム30の回動位置がニュートラル(N)とされる場合、シフトフォーク81,82が図示左方の表示「C N−N」の位置にあるのに対し、シフトフォーク71,72は図示右方の表示「M N−N」の位置にある。
図4においては、ニュートラル時の各シフトフォークの円筒凸部(71b,72b,81b,82b)の位置を破線円で示している。また、図示左方の表示「C N−N」から以下に続く所定回動位置および図示右方の表示「M N−N」から以下に続く所定回動位置は、それぞれ30°間隔で設けられている。
各ガイド溝によって決定されるシフトフォークの摺動位置は、メインシャフト6,7側のガイド溝SM1,SM2が、「左位置」または「右位置」の2ポジションになるように構成されているが、これに対して、カウンタシャフト9側のガイド溝SC1,SC2では、「左位置」または「中位置」または「右位置」の3ポジションを有するように構成されている。
本実施形態において、ニュートラル時の各シフトフォーク(71,72,81,82)は、それぞれ、シフトフォーク81:中位置、シフトフォーク82:中位置、シフトフォーク71:右位置、シフトフォーク72:左位置にある。これは、各シフトフォークで駆動される4つの摺動可能ギヤが、隣接する摺動不能ギヤといずれも噛合していない状態であるので、第1クラッチCL1または第2クラッチCL2が接続されても、プライマリギヤ3の回転駆動力はカウンタシャフト9に伝達されることがない。
次に、前掲したニュートラル時の位置から、シフトドラム30を1速ギヤに対応する位置(「C 1−N」および「M 1−N」)に回動させると、シフトフォーク81が中位置から左位置に切り替わることで、第5速被動側のギヤC5が中位置から左位置に切り替わる。
これにより、第5速被動側のギヤC5が、第1速被動側のギヤC1とドグクラッチで噛合して、回転駆動力を伝達できる状態となる。この状態において、第1クラッチCL1を接続状態に切り換えると、内側メインシャフト7→第1速駆動側のギヤM1→第1速被動側のギヤC1→第5速被動側のギヤC5→カウンタシャフト9の順で、回転駆動力が伝達されてドライブスプロケット10から出力される。
そして、1速ギヤへの変速が完了すると、シフトドラム30が角度30度だけシフトアップ方向に自動的に回動される。この回動動作は、1速から2速への変速指令が出された際に、ツインクラッチTCLの接続状態の切り換えのみで変速を完了できるようにするための「シフトアップ側予備変速」と呼ばれるものである。このシフトアップ側予備変速により、2本のガイド軸は、図示左右の表示「C1−2」および「M1−2」の位置に、シフトドラム30に対して相対的に移動する。
このシフトアップ側予備変速に伴うガイド溝の変化は、ガイド溝SC2が中位置から右位置に切り替わるのみであり、これにより、シフトフォーク82が右位置に移動して、被動側のギヤC6が被動側のギヤC2とドグクラッチで噛合する。この1速から2速へのシフトアップ側予備変速が完了した時点では、第2クラッチCL2は遮断状態にあるので、外側メインシャフト6は、内側メインシャフト7との間に満たされた潤滑油の粘性によって従動的に回転される。
前掲したようなシフトアップ側予備変速による被動側のギヤC6の摺動動作により、2速ギヤを介して回転駆動力を伝達する準備が整う。この状態で1速から2速への変速指令が出されると、第1クラッチCL1が遮断されると共に第2クラッチCL2が接続状態に切り換えられる。このツインクラッチTCLの持ち替え動作により、回転駆動力が途切れることなく、瞬時に2速ギヤを介して回転駆動力が出力される。
1速から2速への変速動作が完了すると、2速から3速への変速動作をツインクラッチTCLの持ち替えのみで完了できるようにするシフトアップ側予備変速が実行される。この2速から3速へのシフトアップ側予備変速では、カウンタシャフト9側のガイド軸が、図示左側の表示「C1−2」から「C3−2」の位置に移動すると共に、メインシャフト6,7側のガイド軸が、図示右側の表示「M 1−2」から「M 3−2」の位置に移動する。これに伴うガイド溝の変化は、ガイド溝SC1が左位置から右位置に切り替わるのみであり、これにより、シフトフォーク81が左位置から右位置に移動して、第5速被動側のギヤC5と第3速被動側のギヤC3とがドグクラッチ(ダボ50およびダボ孔70によるクラッチ構造)で噛合する。
2速から3速へのアップ側予備変速が完了すると、ツインクラッチTCLの接続状態を第2クラッチCL2から第1クラッチCL1に切り換える、換言すれば、クラッチの持ち替えを行うのみで、2速から3速への変速動作が実行できる状態となる。このシフトアップ側予備変速は、以降、5速ギヤの選択時まで同様に実行される。
前掲の2速から3速へのシフトアップ側予備変速時において、ガイド溝SC1は、図示左側の表示「C N−2」で中位置、すなわち、ドグクラッチによる噛合が行われない位置を通過する。シフトドラム30は、シフトポジションセンサ27によって30度毎の角度が検知されると共に、電動モータ21によってその回動速度を細かく調整することができる。これにより、例えば、図示左側の表示「C1−2」から「CN−2」までの回動速度、すなわち、被動側のギヤC1,C5間でドグクラッチの噛合いを外す際の速度と、「CN−2」から「C3−2」までの回動速度、すなわち、被動側のギヤC5,C3間でドグクラッチを噛み合わせる際の速度とが異なるようにしたり、また、「CN−2」の位置で所定時間停止する「ニュートラル待ち」を行うことが可能である。
これにより、ダボ50とダボ柱60の断接時に生じやすい変速ショックを低減することも可能である。また、本実施形態においては、後述するように、シフトドラム30の駆動タイミングや駆動速度を適宜制御して、ダボ50とダボ柱60との所望の接触行うことが出来、また、その駆動タイミングは変速時の変速段数やエンジン回転数等に応じて順次調整することができる。
以下、本実施形態におけるダボ50とダボ孔70との噛合い構造について、被動側のギヤC6とギヤC2を例に、図1、図5〜図9を参照して詳細に説明する。
ギヤC6とギヤC2は、前掲のごとくカウンタシャフト9軸上で隣接するギヤである。このギヤC6は、カウンタシャフト9の軸円周方向に回転不能且つ軸線方向にスライド自在であって、対するギヤC2はカウンタシャフト9に対して軸線方向にスライド不能且つ軸円周方向に回動自在である。そして、ギヤC6には軸線方向に突出するダボ50が設けられている。一方、ギヤC2には、軸線方向に凹んだダボ孔70がダボ50に対向するように設けられている。このダボ孔70は、ダボ柱60によって凹みとして構成されている。また、ギヤC6のスライド動作は、前掲のごとく変速機構20を介して行うことができる。
本実施形態においては、図5に示すように、ギヤC6には、その最外周にはギヤM6と歯合する歯山56を備えており、ダボ50が端面57から軸方向に突出するように6個設けられている。このダボ50は、総数は3個ではある。また、ダボ50は、図6に示すように、その先端部分がダボ柱60の対向壁面80と接触する対向壁面51として構成され、また、ダボ50の側面部分がダボ柱60の側面81と係合する係合側面50aとして構成されている。
このダボ50のギヤ回転方向の幅は、中心から見た角度θ3で表すことができ、例えば15度程度に構成されている。そして、図示するように、2つのダボ50が接近して並んだ2個組の構成で、この2個がダボ孔70に同時に進入するように構成されている。また、ダボ組の幅は、後述するダボ孔70の幅よりも小さく構成されている。
なお、ギヤC6には、図6に示すように、その内周にスプライン55が設けられており、カウンタシャフト9と適宜係合し、カウンタシャフト9の軸方向のスライド移動が自在に構成されている。
一方、ギヤC2には、図7に示すように、その最外周にはギヤM2と歯合する歯山86を備えており、ダボ50が進入可能に軸方向に凹んだダボ孔70が3個のダボ柱60によって3個形成されている。このダボ柱60は、その形状が略扇形状である。そして、ダボ柱60は、その円周方向の幅が中心から見て例えば扇角度が88度程度に構成された構造である。この構成は、従来のマニュアル変速機のダボ柱に比べて6倍強の幅に構成されている。
また、ダボ孔70のギヤ回転方向の幅は、中心から見た角度θ1で表すことができ、例えば31度強に構成されている。また、ダボ柱60の幅は、同様にして中心から見た角度θ2が88度強に構成されている。
なお、ギヤC2は、図7に示すように、その内周面はフラット面に構成されており、カウンタシャフト9に軸方向に適宜位置規制されて該カウンタシャフト9の軸周りに回転自在に構成されている。
前掲のように構成されたギヤC2とギヤC6とは、図8に拡大して示すように、ダボ50とダボ孔70との噛合いが可能なように向き合って配置されている。すなわち、ギヤC2に対してギヤC6がスライド移動(図10の矢印Z3方向の移動)した時に、ダボ50がダボ孔70に進入して噛合うことになるが、本実施形態の前掲のごとき構造によると、ダボ50とダボ孔70との噛合い機会が小さくなるように設定されている。特に、この設定値が従来におけるギヤC6のスライド動作を手動にて行う変速装置に比して小さくなるように設定されている。
本実施形態においては、ダボ50とダボ孔70を構成するダボ柱60との対向壁面51,80が大きく構成されている。また、この対向壁面51,80が大きく構成されただけでなく、変速段の切換え時に、前掲の変速機構20によりダボ50とダボ柱60との対向壁面51,80同士を、図8に示す位置から図9に示す位置へ移動(矢印Z1方向の移動)して、当接させた後に、更に、該変速機構20によって、ギヤC2とギヤC6との離間(矢印Z2方向の移動)と接触(矢印Z1方向の移動)を繰り返し行うように構成されている。
このように、ダボ50とダボ柱60との対向壁面51,80が大きくなるように構成されたことにより、ダボ50とダボ孔70との噛合い機会が低減して噛み合い難くなり、ダボ50とダボ柱60との対向壁面51,80での接触機会が大きくなる。このことは、結果的に、対向壁面51,80による擦れる時間が長くなる。
したがって、ダボ50とダボ柱60との対向壁面51,80の当接による擦れを長く行うことで、擦れ合うギヤ間の互いの回転差が小さくなる。
ギヤ間の互いの回転差が小さい状態において、図10に示すように、ダボ50がダボ孔70内に進入(矢印Z3にて示す移動)する。このようにして、ダボ5がダボ孔70内に進入すると、ダボ5がダボ柱60の側面91に係合したとき、その係合時の衝撃は小さく、噛合いに伴う打音を殆ど発生することがない。
本実施形態においては、図7に示すように、3個のダボ柱60の対向壁面80には摩擦材80aがそれぞれ設けられている。この対向壁面80に設けられた摩擦材80aは、ダボ50側の対向壁面51に接触したとき、両対向壁面51,80同士の摩擦力を大きくすることができ、両ギヤC2,C6間の回転差を素早くに小さくすることができる。
なお、摩擦材80aの材料については特に限定するものではなく、対向壁面80よりも高摩擦であり、また耐久性に優れていればよい。
本実施形態においては、摩擦材80aは、ダボ柱60の対向壁面80に埋め込まれている。すなわち、対向壁面80上に形成された適宜凹み構造部分に埋め込まれた構成である。この構成によれば、ダボ50とダボ柱60の両対向壁面51,80の擦れ方向の力に対して、摩擦材80aを引っ掛かるように保持できる。したがって、摩擦材80aは長期わたり対向壁面80に保持され、その耐久性が増す。
また、本実施形態においては、ダボ50の数が3個、ダボ孔70の数も3個に構成されている。これは、従来においては、ダボ数およびダボ孔数が共に8個程度形成されていた構造に比べると、ダボ孔70の数が低減されていることにより、ダボ孔70の一つ一つがギヤ回転方向に大きく形成でき且つダボ柱60の幅も広く構成することができる。
このようにダボ柱60の幅を大きく構成したことにより、ダボ50とダボ柱60の対向壁面51,80が当接する割合を増やすことができる。これは、この当接に伴う摩擦力によってギヤC2,C6同士の回転差を小さくすることができる。また、例えば、ダボ孔70の数を同じにしたままダボ柱60の幅を大きくすると噛合い確率が小さくなり過ぎてしまうが、ダボ孔70の数を低減して1つ1つを大きく開口することで、ダボ50とダボ孔70との噛合い機会を所定の割合に維持することができる。
また、本実施形態においては、ダボ孔70の数を少なくすることで、前述したようにダボ柱60の幅を大きく構成することができて、ダボ50とダボ柱60の対面壁面51,80が当接する割合を増やすだけでなく、ダボ50の数も減らし且つダボ孔70の数が大きく減った分ダボ孔開口を大きく開口できるので、噛合い機会を所定の割合に維持することができる。
また、本実施形態においてはダボ50とダボ孔70のドグクラッチの構造は6箇所個受けられているが、ダボ柱60の幅は、高速側の変速段に設けられたダボ柱60の幅が低速側の変速段に設けられたダボ柱60の幅よりも小さく構成されている。すなわち、ドグクラッチの構造であるギヤC2とギヤC6、ギヤC4とギヤC6、ギヤC1とギヤC5、ギヤC3とギヤC5、ギヤM6とギヤM4、ギヤM3とギヤM5において、高速側の変速段に設けられたダボ柱60の幅を小さく構成されている。
これは、変速段が高段ほどダボ50とダボ孔70と相対速度が大きく両者間の通過時間が短くなるが、変速段が高さを考慮してダボ柱60の幅を小さくする構成とすることで、噛合い機会の低減を回避して所定の噛合い易さを確保することができる。
本実施形態においては、ドライブスプロケット10(図2参照)に掛け渡されたチェーンを介して連結された駆動タイヤに対して良好の結果が得られるように構成されている。すなわち、ダボ50の数およびダボ孔70の大きさは、ダボ孔70内を移動するダボ50の移動距離に対応するタイヤ移動量が所定量以下になるように設定されている。
このようにダボ50とダボ孔70のドグクラッチにおいて、クラッチ部分のギヤ同士の回転差を小さくすると共に、タイヤ移動量を所定量以下に抑えるように構成されたことにより、ダボ50とダボ柱60の噛合いショックを低減して駆動タイヤへの動力伝達がスムースになる。
また、通常、ツインクラッチTCLの変速段の持ち替え時においては、次に切り換える変速段のギヤを接続して待機するので、例えば、1速に切り換えた際回転している2速ギヤと回転していない6速ギヤのダボ50とダボ孔70を噛み合わせるので、特に大きな打音が発生し易いが、本実施形態においては前掲したように、ダボ50を有するギヤとダボ孔70を有するギヤとの回転速度差がほとんど無くなるようにできるので、打音の低減効果を極めて効果的に発揮することができる。
以下、図1、図8、図9および図10を参照して、1速から2速への変速動作時におけるドグクラッチの動作を詳細に説明する。
先ず、第1クラッチCL1が接続されている1速ギヤでの走行時には、内側メインシャフト7の回転駆動力が、第1速被動側のギヤC1から第5速被動側のギヤC5に伝達されている。
このとき、内側メインシャフト7の回転駆動力Tは、第1速被動側のギヤC1を図示時計方向に回動し、ドグクラッチで連結される第5速被動側のギヤC5は、これに従動して時計方向に回動されている。
そして、1速から2速への変速指令に伴って、第1クラッチCL1が遮断されると共に第2クラッチCL2が接続される。
すなわち、第1クラッチCL1から第2クラッチCL2へ接続状態の持ち替えが行われる。
次に、1速から2速への変速動作時における第2速被動側のギヤC2と第6速被動側のギヤC6との関係を説明する。
な、図8および図9には、第1クラッチCL1から第2クラッチCL2へ切り替わる直前の状態を示し、また、図10には第2クラッチCL2へ切り替わりがなされた状態を示している。
1速での走行時において、第2速被動側のギヤC2および第6速被動側のギヤC6には外側メインシャフト6からの回転駆動力が作用していない。このとき、外側メインシャフト6は、内側メインシャフト7との間に満たされた潤滑油の粘性によって従動的に回転されている。これにより、第2速被動側のギヤC2は時計方向に回転している。この第2被動側のギヤC2の回転速度は、カウンタシャフト9によって回転されている第6速被動側のギヤC6の回転速度より速い。
この1速から2速への変速指令に伴って、第1クラッチCL1から第2クラッチCL2へ接続状態の持ち替えが行われると、外側クランクシャフト6の回転駆動力Tが第2速被動側のギヤC2に作用する(図8に示す状態)。
そして、図9に示すように、対向壁面51が他方の対向壁面80に接触するように変速機構20によって駆動操作(矢印Z1方向の移動)される。このギヤC6の移動による両対向壁面51,80の接触(図9に示す状態)後に、再び離間(矢印Z2方向の移動により図8に示す状態)に戻し、再び第6速被動側のギヤC6を第2速被動側のギヤC2側に接近させる。
この結果、ダボ50がダボ孔70内に進入できた場合は、ダボ50とダボ柱60の側面91とは係合し、この状態が維持され、2速へのシフトアップが完了する。
なお、対向壁面51と対向壁面80との接触が一回の往復動作によって、ダボ50がダボ孔70に進入とできないときは、両対向壁面51,80の接触を自動的に繰り返すように設定されている。
すなわち、両対向壁面51,80の複数回の接触動作による場合は、接触時間が長くなる分、第2速被動側のギヤC2と第6速被動側のギヤC6の回転速度差がほとんど無くなった状態になり、ダボ50とダボ柱60の側面91との係合の時に打音の発生はさらに良好に抑制される。
以下、本発明に係自動変速装置を適用した実施例について比較例と比較しながら説明する。
なお、実施したのは自動二輪車であり、実施例1〜4は図1に示すツインクラッチ式の自動変速装置1である。また、比較例1〜4は、自動二輪車のマニュアル式の変速装置に適用した場合である。
(実施例1)
本実施例は、第1速におけるダボとダボ柱との構造を下記条件とした。
実施条件
1)ギヤC5のダボ数 :3個
2)ダボの角度(θ3) :20.9度
3)ダボ柱の数 :3個
4)ダボ柱の角度(θ2):83度
5)ダボ孔の角度(θ1):37度
(比較例1)
本比較例は、第1速におけるダボとダボ柱との構造を下記条件とした。
実施条件
1)ギヤC5のダボ数 :7個
2)ダボの角度(θ3) :20.9度
3)ダボ柱の数 :7個
4)ダボ柱の角度(θ2):14.5度
5)ダボ孔の角度(θ1):37度
実施例1と比較例1の評価について説明する。
ここで、評価項目は、a)噛み合いチャンス(%)、b)タイヤ移動量(mm)、c)ダボ孔通過時間(msec)、d)対向壁面通過時間(msec)の4項目とした。
なお、ここで云う噛み合いチャンスとは、ダボ50がダボ孔70に進入できる確率(%)であり、タイヤ移動量とは、ダボ50がダボ孔70内のガタ(回転方向の隙間)による駆動タイヤ(後輪)の移動量であり、ダボ孔通過時間とは、規定エンジン回転数でのダボ孔70をダボ50が通過する時間(ダボ50が噛み合うことが出来る時間)、対向壁面通過時間とは、規定エンジン回転数でのダボ50の対向壁面51がダボ柱60の対向壁面80を通過する時間(ダボ50が噛み合うことが出来ない時間)である。
(測定結果)
a)噛み合いチャンス(%)……比較例1が31.3%に対し実施例1は13.4%
b)タイヤ移動量(mm)…………比較例1、実施例1ともに36mm
c)ダボ孔通過時間(msec)……比較例1、実施例1ともに5.4 msec
d)対向壁面通過時間(msec)…比較例1は11.8 msec、実施例1は34.7 msec
(実施例2)
本実施例2は、第2速におけるダボとダボ柱との構造を下記条件とした。
実施条件
1)ギヤC6のダボ数 :3個
2)ダボの角度(θ3 ):15.0度
3)ダボ柱の数 :3個
4)ダボ柱の角度(θ2):88.4度
5)ダボ孔の角度(θ1):31.6度
(比較例2)
本比較例2は、第2速におけるダボとダボ柱との構造を下記条件とした。
実施条件
1)ギヤC2のダボ数 :8個
2)ダボの角度(θ3) :20.9度
3)ダボ柱の数 :8個
4)ダボ柱の角度(θ2):13.4度
5)ダボ孔の角度(θ1):31.6度
実施例2と比較例2の評価について説明する。
(測定結果)
a)噛み合いチャンス(%)……比較例2が36.9%に対し実施例2は13.8%
b)タイヤ移動量(mm)…………比較例2、実施例2ともに37mm
c)ダボ孔通過時間(msec)……比較例2、実施例2ともに5.5msec
d)対向壁面通過時間(msec)…比較例2は9.5 msec、実施例2は34.5msec
(実施例3)
本実施例3は、第3速におけるダボとダボ柱との構造を下記条件とした。
実施条件
1)ギヤC5のダボ数 :3個
2)ダボの角度(θ3) :14.9度
3)ダボ柱の数 :3個
4)ダボ柱の角度(θ2):88.0度
5)ダボ孔の角度(θ1):32.0度
(比較例3)
本比較例3は、第3速におけるダボとダボ柱との構造を下記条件とした。
実施条件
1)ギヤC3のダボ数 :8個
2)ダボの角度(θ3) :14.9度
3)ダボ柱の数 :8個
4)ダボ柱の角度(θ2):12.9度
5)ダボ孔の角度(θ1):32.1度
実施例3と比較例3の評価について説明する。
(測定結果)
a)噛み合いチャンス(%)……比較例3が38.2%に対し実施例3は14.3%
b)タイヤ移動量(mm)…………比較例3、実施例3ともに38mm
c)ダボ孔通過時間(msec)……比較例3、実施例3ともに5.3msec
d)対向壁面通過時間(msec)…比較例3は8.6 msec、実施例3は31.6msec
(実施例4)
本実施例4は、第4速におけるダボとダボ柱との構造を下記条件とした。
実施条件
1)ギヤC6のダボ数 :3個
2)ダボの角度(θ3) :21.0度
3)ダボ柱の数 :3個
4)ダボ柱の角度(θ2):88.0度
5)ダボ孔の角度(θ1):32.0度
(比較例4)
本比較例4は、第3速におけるダボとダボ柱との構造を下記条件とした。
実施条件
1)ギヤC3のダボ数 :7個
2)ダボの角度(θ3) :21.0度
3)ダボ柱の数 :7個
4)ダボ柱の角度(θ2):11.0度
5)ダボ孔の角度(θ1):40.4度
実施例4と比較例4の評価について説明する。
(測定結果)
a)噛み合いチャンス(%)……比較例4が37.7%に対し実施例4は14.8%
b)タイヤ移動量(mm)…………比較例4、実施例4ともに43mm
c)ダボ孔通過時間(msec)……比較例4、実施例4ともに6.7msec
d)対向壁面通過時間(msec)…比較例4は11.0 msec、実施例3は30.6msec
上記結果から、実施例1,2,3,4は、比較例1,2,3,4に比べて、上噛み合いチャンスが小さく対向壁面通過時間が大きくなりダボ50とダボ柱60とが接触する時間を大きくでき、ギヤ間の回転差を小さくできることが判る。
また、ダボ50が噛み合うことが出来る時間は、少なくなっておらず、噛み合い性は維持されている。また、タイヤ移動量についても比較例とほぼ同様であり、ギヤ間の回転差が少なく出来た分、シフトチェンジ時の円滑性は向上した。
なお、タイヤ移動量は、30mm〜50mm位が適当で、短すぎるとドグの噛み合いチャンスが小さくなりすぎ、大きすぎると噛み合い時のショックが大きくなる。
以上、本発明を適用した一実施形態におけるダボ50とダボ柱60の構造においては、摩擦材80aがダボ柱60に設けられたが、本発明においては、摩擦材80aはダボ50に設けられても、また、ダボ50とダボ柱60の双方に設けられた構造でもよい。また、前掲の一実施形態における摩擦材80aは、対向壁面80の一部分に設けるように構成されたが、本発明においては、例えば、対向壁面80全体を摩擦材80aとする構成、さらには、対向壁面80の表面自体に動摩擦係数を高くするような加工を施した構成とすることもできる。
また、前掲の実施形態においては、シフトアップの場合のギヤチェンジについて説明したが、本発明は、シフトダウンの際も同様に動作するように設定されている。
1 自動変速装置
3 プライマリギヤ
4 クラッチケース
5 衝撃吸収機構
6,7 メインシャフト
9 カウンタシャフト
10 ドライブスプロケット
20 変速機構
30 シフトドラム
50 ダボ
51 対向壁面
60 ダボ柱
70 ダボ孔
80 対向壁面
80a 摩擦材
91 側面
C1,C2,C3,C4,C5,C6 被動側のギヤ
M1,M3,M4,M5,M6 駆動側のギヤ
TCL ツインクラッチ
CL1 第1クラッチ
CL2 第2クラッチ
TM 変速機

Claims (5)

  1. 同軸上で隣接する一方のギヤ(M3,M4,C5,C6)が軸円周方向に回転不能且つ軸線方向にスライド自在に設けられ、他方のギヤ(C1,C2,C3,C4,M4,M5)が軸に対して軸線方向にスライド不能且つ軸円周方向に回動自在に設けられ、一方の前記ギヤ(M3,M4,C5,C6)に設けた軸線方向に突出するダボ(50)と、他方の前記ギヤ(C1,C2,C3,C4,M4,M5)に設けた軸線方向に凹んだダボ孔(70)とが係合及び係合解除して変速段を切換え可能に構成されると共に、前記ギヤ(M3,M4,C5,C6)のスライド動作が変速機構(20)を介して行うように構成された自動変速装置(1)において、
    前記ダボ(50)の数および前記ダボ孔(70)の大きさを、前記ダボ(50)が前記ダボ孔(70)に嵌入した後、前記ダボ孔(70)内を移動する前記ダボ(50)の移動距離に対応するタイヤ移動量が30mm〜50mmの範囲になるように設けて、前記ダボ(50)と前記ダボ孔(70)を構成するダボ柱(60)との対向壁面(51,80)を大きく構成し、かつ変速段の切換え時に、前記変速機構(20)により前記ダボ(50)と前記ダボ柱(60)との前記対向壁面(51,80)同士を当接させた後に、前記変速機構(20)による前記ギヤ(C1,C2,C3,C4,M4,M5,M3,M4,C5,C6)同士の離間と接触を繰り返し行うように構成されたことを特徴とする自動変速装置(1)。
  2. 前記ダボ(50)と前記ダボ柱(60)との対向壁面(51,80)の少なくとも一方には、摩擦材(80a)が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の自動変速装置(1)。
  3. 前記摩擦材(80a)は、前記ダボ(50)または前記ダボ柱(60)の対向壁面(51,80)に埋め込まれていることを特徴とする請求項2に記載の自動変速装置(1)。
  4. 前記ダボ柱(60)の幅は、高速側の変速段に設けられた前記ダボ柱(60)の幅が低速側の変速段に設けられた前記ダボ柱(60)の幅よりも小さく構成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の自動変速装置(1)。
  5. 前記ダボ(50)と前記ダボ柱(60)との係合構造を備える変速機(TM)と、一対のクラッチ機構が持ち替え変速段を切り換えるツインクラッチ(TCL)とを備えることを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の自動変速装置(1)。
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