JP5485023B2 - ガスタービン燃料の供給圧力制御機構、ガスタービン及びガスタービン燃料の供給圧力制御方法 - Google Patents
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Description
一般に、ガスタービンの燃焼器にガス燃料を供給するガス燃料供給系では、圧縮機により供給されるガス燃料を一定の圧力に維持しつつ、ガスタービンの燃焼器に所望の燃料流量を与えるための制御機構が必要である。
このようなガスタービンは、燃焼器へガス燃料を供給するため、バルブ、配管、燃料ノズル等による圧力損失を考慮して、ガス燃料を一定値以上に加圧する必要がある。
このようなガスタービン燃料の制御機構においては、ガスタービンの燃焼器内にガス燃料を供給するため、燃料ノズルの吐出圧力として車室圧力(燃焼器内の圧力)より高い圧力を確保する必要があり、従って、圧力調節弁の出口圧力は、少なくとも燃料ノズルの吐出圧力に圧力調節弁下流側流路の圧力損失を加えた圧力以上に設定される。
このため、たとえば図11に示すように、外気条件が変化することにより、すなわち、外気条件に応じて実際に必要な供給圧力のベースとなる車室圧力が変動することにより、実際に必要な供給圧力(図中に実線で示す実際の要件)と、供給圧力の設定値(図中に破線で示す現行の要件)との間の乖離が大きくなった場合には、運転可能範囲が必要以上に狭められることになる。
すなわち、圧力の計測値を直接フィードバックする手法では、ガス燃料供給圧力の設定値をオンラインで正確に算出できない可能性がある。このような場合、ガス燃料は必要な圧力まで加圧されない虞があり、最悪の場合には燃焼器に燃料が十分に供給されず、ガスタービンの正常な運転を維持できなくなる。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、ガス燃料の供給圧力を固定した場合よりも運転可能範囲の拡大が可能なガスタービン燃料の供給圧力制御機構、ガスタービン及びガスタービン燃料の供給圧力制御方法を提供することにある。
本発明に係るガスタービン燃料の供給圧力制御機構は、ガス燃料を所望の燃料供給圧力に設定する圧力調節弁の下流側に燃料流量を制御して燃焼器の燃料ノズルに供給する流量調節弁を備えているガスタービンのガス燃料供給系に用いられ、前記圧力調節弁の開度調整をして前記燃料供給圧力を可変とするガスタービン燃料の供給圧力制御機構であって、前記燃焼器に圧縮空気を供給する圧縮機の特性マップと、前記圧力調節弁の開度指令演算部とを備えた制御部を設け、前記制御部は、前記特性マップがインレットガイドベーン開度指令値、ガスタービン回転数及び外気条件の入力値に基づいて前記燃焼器内の圧力を推定した車室圧力推定値を与え、前記開度指令演算部が前記車室圧力推定値に基づいて算出した前記燃料供給圧力の設定値に対応する前記圧力調節弁の開度指令を出力して、前記圧力調節弁の開度調整による出口圧力制御を行うことを特徴とする。
また、インレットガイドベーン開度指令値及びガスタービン回転数を用いることにより、時定数の大きい圧力センサで懸念される検出遅れの心配がなく、オンラインで燃料供給圧力の設定値を正確に算出することができる。
また、インレットガイドベーン開度指令値及びガスタービン回転数を用いることにより、時定数の大きい圧力センサで懸念される検出遅れの心配がなく、オンラインで燃料供給圧力の設定値を正確に算出することができる。
また、本発明に係るガスタービン燃料の供給圧力制御方法は、ガス燃料を所望の燃料供給圧力に設定する圧力調節弁の下流側に燃料流量を制御して燃焼器の燃料ノズルに供給する流量調節弁を備えているガスタービンのガス燃料供給系に用いられ、前記圧力調節弁の開度調整をして前記燃料供給圧力を可変とするガスタービン燃料の供給圧力制御方法であって、前記燃焼器に圧縮空気を供給する圧縮機の特性マップと、前記圧力調節弁の開度指令演算部とを備えた制御部を設け、前記制御部は、前記特性マップがインレットガイドベーンの開度指令値、ガスタービン回転数及び外気条件の入力値に基づいて前記燃焼器内の圧力を推定した車室圧力推定値を与え、前記開度指令演算部が前記車室圧力推定値に基づいて算出した前記燃料供給圧力の設定値に対応する前記圧力調節弁の開度指令を出力して、前記圧力調節弁の開度調整による出口圧力制御を行うことを特徴とするものである。
このようなガスタービン燃料の供給圧力制御方法によれば、車室圧力の変動に対応した圧力調節弁の出口圧力制御が実施されるようになり、燃料供給圧力に固定値を使用する場合と比較して、ガスタービンの運転可能範囲を拡大することができる。そして、インレットガイドベーン開度指令値及びガスタービン回転数を用いることにより、時定数の大きい圧力センサで懸念される検出遅れの心配がなく、オンラインで燃料供給圧力の設定値を正確に算出して制御することができる。
図2は、ガスタービンGTの概略構成を示すブロック図であり、ガス燃料を燃焼する燃焼器Fと、燃焼器Fから供給された燃焼ガスを膨張させて回転するタービンTと、空気を圧縮する圧縮機Cとを主な構成要素として備え、制御部10により各種の運転制御が行われるようになっている。
そして、本実施形態では、圧力調節弁3の開度調整をして燃料供給圧力を可変とするガスタービン燃料の供給圧力制御が、ガスタービンGTの各種運転制御を行う制御部10で行われる。
なお、図中の符号6は、圧力調節弁3の出口圧力を検出して制御部10に入力する圧力計である。
圧縮機特性マップ11は、ガスタービンGTを構成する圧縮機Cの特性に関するマップである。この圧縮機特性マップ11は、制御部10に入力される入力値に基づいて、燃焼器F内の圧力(車室内圧力)を推定した車室圧力推定値を与えるものである。この場合の入力値は、圧縮機Cに設けられるインレットガイドベーン開度指令値21と、ガスタービンGTの回転数を検出したガスタービン回転数22と、ガスタービンGTが設置されている周辺環境の外気温度や圧力、すなわち、圧縮機Cで圧縮する空気の温度や圧力を検出した外気条件23が用いられる。
従って、制御部10は、インレットガイドベーン開度指令値21、ガスタービン回転数22及び外気条件23の入力値に基づいて圧縮機特性マップ11により得られた車室圧力推定値を開度指令演算部12に与え、開度指令演算部12では、車室圧力推定値に基づいて燃料供給圧力の設定値を算出し、この設定値に対応する圧力調節弁3の開度から開度指令の信号Sを生成して出力するので、圧力調節弁3の開度調整による出口圧力制御を行うことができる。すなわち、圧力計6で検出される圧力調節弁3の出口圧力は、インレットガイドベーン開度指令値21、ガスタービン回転数22及び外気条件23の入力値に応じて変化する。
また、インレットガイドベーン開度指令値21及びガスタービン回転数22を用いているので、時定数の大きい圧力センサで懸念されていた検出遅れの心配がなく、従って、オンラインで燃料供給圧力の設定値を正確に算出することができる。
この供給圧力制御機構では、車室圧力推定値を推定する入力値として、ガスタービン回転数22が定格回転数に到達するまでの間、上述した実施形態と同様に、インレットガイドベーン開度指令値21、ガスタービン回転数22及び外気条件23を用いる。しかし、ガスタービン回転数22が定格回転数に到達した後には、インレットガイドベーン開度指令値21及び外気条件23のみを用い、ガスタービン回転数22は使用しない。なお、このような供給圧力制御機構は、後述する他の変形例にも適用可能である。
ガスタービン回転数22の検出値は、次のステップS3において所定値以下か否かを判断する。この場合の所定値は定格回転数であり、ガスタービン回転数22の検出値が定格回転数に到達していない「YES」の場合はステップS4に進んで圧縮機特性マップ11に基づく車室圧力の推定を行う。この場合に使用する入力値は、インレットガイドベーン開度指令値21、ガスタービン回転数22及び外気条件23の3種類である。
このような制御を行えば、ガスタービン回転数22によって異なるプロセスで車室圧力を推定するので、ガスタービンGTが定格回転数に達した後には、検出遅れが大きな影響を及ぼさない外気条件23を除いて、回転数を検出するセンサ等によるフィードバックを用いることなく、燃料供給圧力の設定値を算出することができる。すなわち、ガスタービンGTが定格回転数に達した後には、センサの検出遅れによる悪影響を除去することでより正確なガスタービン燃料の供給圧力制御を実施できる。
この変形例で採用した制御部10Aは、車室圧力推定値を推定する入力値にガス燃料の温度計測値である燃料温度24を加えている。この燃料温度24は、供給するガス燃料の温度を圧力調節弁3の上流側で計測したものである。
この変形例で採用した制御部10Bは、車室圧力推定値を推定する入力値にガス燃料の燃料流量指令値25を加えている。この燃料流量指令値25は、ガスタービンGTの運転状況等に応じて変動する値である。従って、ガスタービンGTの負荷変動等により燃料流量指令値25が変動する場合には、燃料流量指令値25を入力値に加えて圧力調節弁3の開度調整に補正を施すことにより、圧力制御の応答性が向上する。
この変形例で採用した制御部10Cは、車室圧力推定値を推定する入力値に対し、第3変形例の燃料流量指令値25に代えて、ガス燃料の燃料流量計測値26を加えている。この燃料流量計測値26は、ガスタービンGTが実際に消費する燃料流量を計測した値である。従って、ガスタービンGTの負荷変動等により燃料流量計測値26が変動する場合には、燃料流量計測値26を入力値に加えて圧力調節弁3の開度調整に補正を施すことにより、圧力制御の応答性が向上する。
この変形例で採用した制御部10Dは、車室圧力推定値を推定する入力値に対し、第2変形例の燃料温度24及び第3変形例の燃料流量指令値25を加えている。従って、ガス燃料に与える必要圧力の推定に燃料温度24の補正を加えてより正確な燃料供給圧力の設定値を算出でき、かつ、ガスタービンGTの負荷変動等により燃料流量指令値25が変動する場合、燃料流量指令値による補正を施すことで圧力制御の応答性を向上させることができる。
この変形例で採用した制御部10Eは、車室圧力推定値を推定する入力値に対し、第2変形例の燃料温度24及び第4変形例の燃料流量測定値26を加えている。すなわち、第5変形例の燃料流量指令値25に代えて、ガス燃料の燃料流量計測値26を採用したものである。このような供給圧力制御を行っても、ガス燃料に与える必要圧力の推定に燃料温度24の補正を加えてより正確な燃料供給圧力の設定値を算出でき、かつ、ガスタービンGTの負荷変動等により燃料流量測定値26が変動する場合、燃料流量指令値による補正を施すことで圧力制御の応答性を向上させることができる。
この変形例で採用した制御部10Fは、圧力調節弁3の開度調整により、流量調節弁4の入口圧力と出口圧力との差圧制御を行っている。
この結果、圧力調節弁3の開度調整による出口圧力制御と同様に、車室圧力の変動に対応した圧力調節弁3の出口圧力制御が実施されるようになり、固定値を使用する場合と比較して、ガスタービンGTの運転可能範囲を拡大することができる。
この変形例で採用した制御部10Gの場合、開度指令演算部12は、車室圧力推定値、ガスタービン出力要求値、燃料流量指令値及び燃料流量計測値からなる入力値選択群27を備え、入力値選択群27から少なくとも一つを選択した入力値に基づいて算出した燃料供給圧力の設定値に対応する圧力調節弁3の開度指令を出力する。
このような供給圧力制御を行うことにより、上述した実施形態と同様に、燃料供給圧力に固定値を使用する場合と比較して、ガスタービンGTの運転可能範囲を拡大することができる。
なお、図示の制御機構例では第7変形例と同様の差圧制御を行っているが、圧力調節弁3の開度調整による出口圧力制御としてもよい。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
3 圧力調節弁
4 流量調節弁
5 ガス燃料供給系
10,10A〜10G 制御部
11 圧縮機特性マップ
12 開度指令演算部
21 インレットガイドベーン開度指令値
22 ガスタービン回転数
23 外気条件
24 燃料温度
25 燃料流量指令値
26 燃料流量計測値
27 入力値選択群
GT ガスタービン
F 燃焼器
T タービン
C 圧縮機
Claims (11)
- ガス燃料を所望の燃料供給圧力に設定する圧力調節弁の下流側に燃料流量を制御して燃焼器の燃料ノズルに供給する流量調節弁を備えているガスタービンのガス燃料供給系に用いられ、前記圧力調節弁の開度調整をして前記燃料供給圧力を可変とするガスタービン燃料の供給圧力制御機構であって、
前記燃焼器に圧縮空気を供給する圧縮機の特性マップと、前記圧力調節弁の開度指令演算部とを備えた制御部を設け、
前記制御部は、前記特性マップがインレットガイドベーンの開度指令値、ガスタービン回転数及び外気条件の入力値に基づいて前記燃焼器内の圧力を推定した車室圧力推定値を与え、前記開度指令演算部が前記車室圧力推定値に基づいて算出した前記燃料供給圧力の設定値に対応する前記圧力調節弁の開度指令を出力して、前記圧力調節弁の開度調整による出口圧力制御を行うことを特徴とするガスタービン燃料の供給圧力制御機構。 - 前記車室圧力推定値を推定する入力値は、前記ガスタービン回転数が定格回転数に到達するまで前記インレットガイドベーンの開度指令値、前記ガスタービン回転数及び前記外気条件を用い、前記ガスタービン回転数が定格回転数に到達した後前記インレットガイドベーンの開度指令値及び前記外気条件を用いることを特徴とする請求項1に記載のガスタービン燃料の供給圧力制御機構。
- 前記車室圧力推定値を推定する入力値に前記ガス燃料の温度計測値を加えたことを特徴とする請求項1または2に記載のガスタービン燃料の供給圧力制御機構。
- 前記車室圧力推定値を推定する入力値に前記ガス燃料の燃料流量指令値を加えたことを特徴とする請求項1または2に記載のガスタービン燃料の供給圧力制御機構。
- 前記車室圧力推定値を推定する入力値に前記ガス燃料の燃料流量計測値を加えたことを特徴とする請求項1または2に記載のガスタービン燃料の供給圧力制御機構。
- 前記車室圧力推定値を推定する入力値に前記ガス燃料の温度計測値及び燃料流量指令値を加えたことを特徴とする請求項1または2に記載のガスタービン燃料の供給圧力制御機構。
- 前記車室圧力推定値を推定する入力値に前記ガス燃料の温度計測値及び燃料流量計測値を加えたことを特徴とする請求項1または2に記載のガスタービン燃料の供給圧力制御機構。
- 前記制御部は、前記特性マップが、前記車室圧力推定値、ガスタービン出力要求値、前記ガス燃料の燃料流量指令値及び燃料流量計測値の入力値群から選択した1以上の入力値と、前記外気条件との入力値とに基づいて前記車室内圧力を推定して前記圧力調節弁の開度指令演算部に与えることを特徴とする請求項1に記載のガスタービン燃料の供給圧力制御機構。
- 前記制御部は、前記圧力調節弁の開度調整により、前記流量調節弁の入口圧力と出口圧力との差圧制御を行うことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のガスタービン燃料の供給圧力制御機構。
- 空気を導入して圧縮する圧縮機と、前記圧縮機から供給される空気で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器と、前記燃焼器から燃焼ガスの供給を受けるタービンと、請求項1から9のいずれかに記載のガスタービン燃料の供給圧力制御機構による制御を行う制御部とを備えていることを特徴とするガスタービン。
- ガス燃料を所望の燃料供給圧力に設定する圧力調節弁の下流側に燃料流量を制御して燃焼器の燃料ノズルに供給する流量調節弁を備えているガスタービンのガス燃料供給系に用いられ、前記圧力調節弁の開度調整をして前記燃料供給圧力を可変とするガスタービン燃料の供給圧力制御方法であって、
前記燃焼器に圧縮空気を供給する圧縮機の特性マップと、前記圧力調節弁の開度指令演算部とを備えた制御部を設け、
前記制御部は、前記特性マップがインレットガイドベーンの開度指令値、ガスタービン回転数及び外気条件の入力値に基づいて前記燃焼器内の圧力を推定した車室圧力推定値を与え、前記開度指令演算部が前記車室圧力推定値に基づいて算出した前記燃料供給圧力の設定値に対応する前記圧力調節弁の開度指令を出力して、前記圧力調節弁の開度調整による出口圧力制御を行うことを特徴とするガスタービン燃料の供給圧力制御方法。
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JP2010124739A Active JP5485023B2 (ja) | 2010-05-31 | 2010-05-31 | ガスタービン燃料の供給圧力制御機構、ガスタービン及びガスタービン燃料の供給圧力制御方法 |
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