JP5485013B2 - メタクリル酸製造用触媒の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造する際に使用する触媒(以下、メタクリル酸製造用触媒という。)の製造方法、該メタクリル酸製造用触媒を用いたメタクリル酸の製造方法に関する。
従来知られているメタクリル酸の製造方法として、メタクロレインの気相接触酸化反応があり、前記反応に用いるメタクリル酸製造用触媒の製造方法として、種々の方法が提案されている。メタクリル酸製造用触媒としてはヘテロポリ酸を主要活性成分とする触媒が有効であることが知られており、これらの触媒には成形助剤や細孔構造制御といった目的で製造工程中において有機物を添加することがしばしばある。例えば特許文献1にはセルロース、ポリビニルアルコール等の有機物質を1〜10重量%添加して成形した後、焼成して触媒とする方法が、また特許文献2にはピリジン等の含窒素有機化合物をスラリーに添加して得られた乾燥物を成形した後、焼成し触媒とする方法が記載されている。
しかしながら、有機物を含む触媒の焼成においては、焼成工程において有機物の分解・燃焼が起こるため、これに伴う急激な発熱により触媒の還元および焼結といった触媒の性能低下が懸念される。このため、触媒の焼成時における温度制御が重要となる。
メタクリル酸製造用触媒の焼成方法についてはこれまでに多くの提案がなされてきており、例えば特許文献3には触媒前駆体を300℃〜500℃で最終焼成して活性化する際に、最終焼成温度まで連続的に昇温し、かつ200℃〜265℃の昇温速度を10℃/hr未満で焼成することを特徴とするメタクリル酸製造用触媒の製造方法が記載されている。また、特許文献4にはアンモニウム根を含むメタクリル酸製造用触媒成型物を充填した充填層内の焼成において充填層内の最大温度を180℃〜260℃に設定することが記載されている。その実施例では、触媒成型物を空気気流中で室温から220℃まで50℃/hrの速度で昇温し、さらに230℃まで5℃/hrの速度で昇温した後、230℃にて5時間保持し、空気気流中で250℃まで昇温し250℃にて3時間保持した後、窒素気流中、50℃/hrの速度で435℃まで昇温し、435℃で3時間保持した後、さらに空気気流中で390℃にて3時間の順に焼成し、触媒を得る方法が記載されている。
しかしながら、特許文献3に記載の方法では、トータルでの焼成時間が長くかかり生産性が低下するという課題を残している。また、特許文献4に記載の焼成法では有機物の燃焼による触媒劣化が起こることがある。
本発明者らは、有機物を多く含み一定の条件下で熱重量分析を行った際の重量減少割合の大きな触媒系において、特許文献4に記載されているような条件で焼成を行った場合、焼成中に触媒の著しい性能低下が起こり、特許文献3に記載されている条件では、性能低下は防げるが焼成に時間がかかり生産性が低下するという課題が生じることを見出した。この課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、焼成処理工程において特定範囲の温度領域における昇温速度を制御することで、このような触媒系においても性能を低下させることなく触媒を生産性良く製造できることを見出し、本発明に至ったものである。
特開昭55−73347号公報 特開昭60−239439号公報 特開2008−272637号公報 特開2003−10700号公報
本発明は、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造する際に用いられる、メタクリル酸製造用触媒を生産性良く製造する方法、及びこのメタクリル酸製造用触媒を用いたメタクリル酸の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、少なくともリン、モリブデンを含み、メタクロレインを気相接触酸化してメタクリル酸を製造するための触媒の製造方法であって、以下の(i)〜(iii)の条件を満たすメタクリル酸製造用触媒の製造方法である。
(i)触媒前駆体中に有機物を質量として3%〜10%含む
(ii)該触媒前駆体の熱重量分析において、10℃/minの昇温速度で25℃から250℃まで昇温した際の重量減少割合が10%〜30%である
(iii)上記(i)及び(ii)を満たす触媒前駆体を150℃以下から昇温し300℃〜500℃で最終焼成を行う過程において、150℃〜230℃の温度領域における昇温速度を5℃/hr以上25℃/hr以下とし、230℃から最終焼成における最高温度の温度領域における昇温速度を20℃/hr以上とする
また、本発明は、前記の方法により製造されるメタクリル酸製造触媒を用いてメタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化するメタクリル酸の製造方法である。
本発明によれば、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造するための触媒を、性能の低下を伴わずに生産性よく得ることができる。
<触媒調製>
本発明の方法で製造されるメタクリル酸製造用触媒は、触媒前駆体に一定重量分率以上の有機物を含むとともに、触媒前駆体を特定の温度範囲において昇温速度を制御して焼成し、300℃〜500℃で最終焼成して活性化する方法により製造される。
本発明の方法で製造されるメタクリル酸製造用触媒は、リン、モリブデンを含むメタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造する触媒であり、触媒中に含まれる有機物を除いた組成が下記式(1)で表されることが好ましい。
MoCu (1)
(P、Mo、V、Cu及びOは、それぞれリン、モリブデン、バナジウム、銅及び酸素を示し、Xは鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン、クロム、タングステン、マンガン、銀、ホウ素、ケイ素、アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、ヒ素、アンチモン、ビスマス、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、インジウム、イオウ、セレン、テルル、ランタン及びセリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示し、Yはカリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示す。a、b、c、d、e、f、及びgは各元素の原子比率を表し、b=12のときa=0.5〜3、c=0.01〜3、d=0.01〜2、e=0〜3、f=0.01〜3であり、gは前記各成分の原子価を満足するのに必要な酸素の原子比率である。)
本発明の方法で製造されるメタクリル酸製造用触媒は、触媒前駆体を特定の温度範囲において昇温速度を制御して熱処理し300〜500℃で最終熱処理して活性化する方法により製造される。この際、有機物を含むすべての触媒原料を含み、焼成を行う前の固形物を触媒前駆体と呼ぶ。
本発明において上記触媒前駆体の調製に用いる原料は特に限定されず、各元素の硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、アンモニウム塩、酸化物、ハロゲン化物等を組み合わせて使用することができる。また、リンモリブデン酸などのヘテロポリ酸を使用することもできる。例えばモリブデン原料としてはパラモリブデン酸アンモニウム、三酸化モリブデン、モリブデン酸、塩化モリブデン、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸等が使用できる。
上記触媒前駆体を調製する方法は特に限定されず、成分の著しい偏在を伴わない限り、従来からよく知られている蒸発乾固法、沈殿法、酸化物混合法等の種々の方法を用いることができるが、触媒原料を含む溶液又はスラリーを乾燥して触媒前駆体を得る方法が好ましい。溶媒以外の成分に対して1質量%以上の有機物を含む溶液又はスラリーを乾燥して調製することがより好ましい。
乾燥方法としては種々の方法を用いることが可能であり、例えば、蒸発乾固法、噴霧乾燥法、ドラム乾燥法、気流乾燥法等を用いることが出来る。乾燥に使用する乾燥機の機種や乾燥時の温度、時間等は特に限定されず、乾燥条件を適宜変えることによって目的に応じた触媒前駆体を得ることが出来る。
上記触媒前駆体には3質量%〜10質量%の有機物が含まれるが、含有する有機物の種類は特に限定されず、またその有機物は焼成前のどの製造工程において添加されてもよい。例えば、加えられる有機物としては、ピリジン、キノリン等の含窒素化合物、酢酸、酒石酸等の有機酸、セルロース・ポリビニルアルコール等の成形助剤等があげられる。有機物を加える方法は特に限定されず、触媒スラリーの調製時に加える方法や、触媒前駆体の乾燥前のスラリーに加える方法、乾燥後の触媒に乾式混合する方法、乾燥成形後の触媒前駆体に混合するなどの方法がある。本発明の効果は、特に有機物の含有量が大きい触媒の焼成時に大きい。
上記触媒前駆体は、熱重量分析において10℃/minの昇温速度で25℃から250℃まで昇温した際の重量減少割合が10%〜30%である。重量減少の原因としては、有機物の酸化・燃焼の他に、触媒前駆体に含まれるアンモニウム根や硝酸根などの成分の触媒系外への揮散が考えられるが、本発明においては、特に制限なくアンモニウム根・硝酸根を含む原料を使用して調製を行うことができる。
触媒前駆体の形状及び成形方法については特に限定するものではなく、触媒前駆体の形状は、例えば球状、円柱状、円筒状、星型状等の任意の形状が挙げられる。触媒前駆体の粉体を成形して固体触媒を得るための手段としては、例えば打錠成型機、押出成形機、転動造粒機等の成形装置を使用した成形方法が挙げられる。
このようにして得られた触媒前駆体は、空気等の酸素含有ガス流通下または不活性ガス流通下で、メタクリル酸の製造で使用される固定床管型反応器を用いて焼成することが好ましいが、従来公知の焼成炉でも焼成することができる。焼成炉を使用する場合のその形態は特に制限はなく、固定層方式、流動層方式、回転炉、静置炉などの各種の焼成炉を使用することが出来る。焼成炉の形状は円筒状であっても、多角筒状その他の不定形の断面形状を有するものであってもよく、各種形状の焼成炉を使用できる。その場合、雰囲気ガスとして使用されるガスを流通させながら行うことが好ましい。
本発明において、固定床管型反応器を用いて触媒前駆体を焼成する場合、固定床管型反応器は熱媒浴を備えたものが好ましい。熱媒は特に限定されないが、例えば、硝酸カリウムおよび亜硝酸ナトリウムを含む塩溶融物が挙げられる。
上記固定床型反応器は、熱媒を加熱するヒータの出力を任意に制御できる構造であることが好ましく、焼成処理開始前の温度から焼成処理目標温度まで温度を上昇させる昇温速度を任意に制御できる構造であることが好ましい。
本発明における焼成の温度は、上記固定床管型反応器を焼成容器とした場合、熱媒浴への熱媒供給口における熱媒の実測温度とする。その他の焼成炉等を用いる場合、焼成の温度は焼成炉中の焼成ガス雰囲気の実測温度とする。
触媒前駆体の焼成は、用いる触媒原料、触媒組成、調製条件等によって異なるので一概に言えないが、空気等の酸素含有ガス流通下および/または不活性ガス流通下で行う。
本発明において、固定床管型反応器を用いて触媒前駆体を焼成する場合、触媒前駆体の焼成における焼成ガスの空間速度(以下、SVと略記する。)は、焼成に用いる装置、炉の大きさに合わせて自由に決めることができるが、100〜30000h-1が適当であり、特に300〜10000h-1の範囲が好ましい。
また、焼成ガスを流通させる方向は、特に限定するものではないが、焼成終了後に、反応ガスを流通させるときの方向と逆の方向に流通させておくことが好ましい。反応ガスの流通方向と逆の方向に流通させることによって、反応時における触媒の反応ガス入り側部分において、過度に活性が高くなることを予防することができる。
上記触媒前駆体の焼成温度は、最終的に300℃〜500℃にまで高められるが、本発明では上記焼成工程において、焼成開始前の温度から最終焼成温度までのうち、特定の温度範囲において昇温速度を制御する。すなわち、150℃〜230℃の温度範囲において、昇温速度を5℃/hr以上25℃/hr以下とする。上記の温度域は、触媒前駆体中に添加された有機物が燃焼分解すると考えられる温度領域であり、なおかつこの温度域で触媒に含まれる一部の成分が脱離することが予想される。この領域の昇温速度を5℃/hr以上25℃/hr以下とすることによって、有機物の急激な分解および発熱やアンモニウム根の局所的な脱離を抑制することができることにより、触媒が受ける急激な還元反応および局所的なアンモニウム根の低減を抑制でき、触媒の性能低下を防ぐことが出来ると推測される。
150℃〜230℃の温度範囲の昇温方法としては、昇温速度を5℃/hr以上25℃/hr以下にするという以外には特に限定されるものではなく、例えば150℃〜230℃の温度範囲において、昇温速度を変化させて焼成を行うといった操作を行っても構わないが、焼成を簡便・迅速に行うという点で、連続して一定速度で昇温することがより好ましい。
昇温速度の下限は、残アンモニウム根をある程度残存させることが触媒性能低下を防ぐうえで重要であるとの点から5℃/hr以上であることが必要であり、10℃/hr以上であることがより好ましい。
本発明における焼成処理開始温度は昇温速度制御を行う150℃以下でなければならないが、焼成処理開始前の温度から150℃までの昇温速度は特に限定されず、150℃以下であれば焼成を行う容器を予熱して触媒前駆体を投入し焼成を開始してもよい。
150℃〜230℃の範囲を5℃/hr以上25℃/hr以下の昇温速度で昇温が終了した後から、最終的な焼成の最高温度に到達するまでの昇温速度は20℃/hr以上であること以外、特に限定するものではないが、急激な温度変化による触媒の劣化を防ぎつつ、焼成時間を短縮するという点で20〜100℃/hrであることが好ましく、20〜50℃/hrであることがより好ましい。
本発明のメタクリル酸の製造に際して、原料ガス中のメタクロレインの濃度は特に限定されるものではないが、通常1〜20容量%が適当であり、特に3〜10容量%が好ましい。原料メタクロレインは水、低級飽和アルデヒド等の不純物を少量含んでいてもよく、これらの不純物は反応に実質的な悪影響を与えない。
酸素源としては空気を用いるのが経済的であるが、必要ならば純酸素で富化した空気も用い得る。原料ガス中の酸素濃度はメタクロレインに対するモル比で規定され、この値は0.3〜4、特に0.4〜2.5が好ましい。原料ガスは窒素、水蒸気、炭酸ガス等の不活性ガスを加えて希釈してもよい。反応圧力は常圧から数気圧までがよい。反応温度は230〜450℃の範囲が好ましく、特に、250〜400℃がより好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。なお、実施例および比較例中の「部」は質量部を意味する。触媒前駆体組成は触媒前駆体成分の原料仕込み量から求めた。得られた触媒前駆体は、それぞれ熱媒浴を備えた内径25.4mmの鋼鉄製固定床管型反応器の原料ガス入口側に620mlと外径5mmのアルミナ球130mlを混合して充填し、出口側には触媒前駆体を750ml充填した。反応器の熱媒としては硝酸カリウム50質量%および亜硝酸ナトリウム50質量%からなる塩溶融物を用いた。
熱媒浴の温度制御は、熱媒浴温度をフィードバックして、熱媒浴内に設置したヒータの出力を制御する機構を用いて、任意に設定した昇温速度に合わせてヒータの出力を自動的に制御できるものを用いた。焼成温度および反応温度は、固定床管型反応器の熱媒浴への熱媒供給口における熱媒の実測温度とした。
実施例および比較例中の原料メタクロレインの反応率、生成するメタクリル酸の選択率、メタクリル酸の収率は次式により算出した。
メタクロレイン反応率(%)=A/B×100
メタクリル酸選択率(%)=C/A×100
メタクリル酸収率(%)=C/B×100
ここで、Aは反応したメタクロレインのモル数、Bは供給したメタクロレインのモル数、Cは生成したメタクリル酸のモル数である。
[実施例1]
純水400部に、三酸化モリブデン200部、メタバナジン酸アンモニウム10.8部および硝酸銅5.6部を溶解した。これを攪拌しながら95℃に昇温した。次いで95℃に2時間保持したのち、60℃に冷却し、回転翼攪拌機を用いて攪拌しながら、硝酸セシウム22.5部、および硝酸アンモニウム23.5部を加え、15分間攪拌したのち、85質量%リン酸13.3部、硝酸第二鉄9.4部を純水20部に溶解した溶液を加えた。このスラリーに対し5.0部のヒドロキシメチルセルロースを加え、15分間攪拌し、得られたスラリーを噴霧乾燥機を用いて乾燥した。
得られた乾燥物100部に対してメチルセルロース4部を添加混合し、純水20部を用いて混練りしたものを押出成形し、外径5mm、内径2mm、長さ4mmの触媒前駆体1を得た。触媒前駆体1の有機物を除いた組成は、酸素を除いた原子比で、P1.0Mo12Cu0.20.8Fe0.2Csであった。
この触媒前駆体1を熱重量分析装置を用いて10℃/minの昇温速度で、25℃から250℃まで昇温した際の重量減少割合を測定した。測定装置には、熱重量測定装置(商品名:TGA−50、島津製作所製)を用いた。測定条件としては、成形体状の触媒前駆体を乳鉢を用いて粉砕し、粉状としたもの50mgをサンプルに用い、空気を300mL/minで流通下、10℃/minで昇温することにより測定した。25℃から250℃における重量減少割合は、測定に用いたサンプル重量に対して13%であった。
触媒前駆体1を充填後、反応ガスを供給する方向と逆の方向にSV1000h-1の空気を流通させた状態で、焼成温度を室温25℃から150℃まで25℃/hrの昇温速度で昇温し、150℃から230℃の範囲を20℃/hrで昇温した。その後、230℃から380℃までの範囲を再び25℃/hrで昇温し、380℃となったところで昇温を止め、380℃で12時間保持した。380℃で12時間保持した後、焼成温度を260℃まで25℃/hrの降温速度で下げた。このとき、焼成にかかった時間は31.8hrであった。
この後、反応管に流していた空気を一旦停止し、反応管にメタクロレイン5%、酸素12%、水蒸気10%および窒素73%からなる原料混合ガスを、反応温度290℃、接触時間4.5秒にて通過させて反応させた。結果を表1に示す。
[比較例1]
触媒前駆体1を充填後、焼成温度を150℃から230℃の範囲を50℃/hrの昇温速度で昇温した以外は実施例1と同様の条件で焼成し、酸化反応を実施した。結果を表1に示す。また、反応後の触媒の一部に焼結が見られた。
[実施例2]
実施例1と同様の調製法を用いて調製を行い、得られた乾燥物に対して混合したメチルセルロースを6部にした以外は実施例1と同様の条件で触媒調製を行い、触媒前駆体2を得た。この触媒前駆体2を実施例1と同様に熱重量分析装置を用いて測定したところ、測定前の重量に対し15%の重量減少が観測された。この触媒前駆体2を実施例1と同様の条件で焼成し、酸化反応を実施した。結果を表1に示す。
[比較例2]
触媒前駆体2を充填後、焼成温度を150℃から230℃の範囲を50℃/hrの昇温速度で昇温した以外は実施例1と同様の条件で焼成し、酸化反応を実施した。結果を表1に示す。また、反応後の触媒の一部に焼結がみられた。
[実施例3]
触媒前駆体1を反応器に充填する際に、反応器を予め150℃に予熱して充填を行い、焼成を150℃から開始し、230℃まで20℃/hrで昇温した以外は実施例1と同様の条件で焼成し、酸化反応を実施した。結果を表1に示す。
[比較例3]
触媒前駆体1を反応器に充填する際に、反応器を予め200℃に予熱して充填を行い、200℃から焼成を開始し、230℃まで20℃/hrで昇温した以外は実施例1と同様の条件で焼成し、酸化反応を実施した。結果を表1に示す。また、反応後の触媒の一部に焼結がみられた。
[比較例4]
触媒前駆体1を充填後、焼成時の昇温速度を25℃から380℃までの範囲で10℃/hrの昇温速度で昇温した以外は実施例1と同様の条件で焼成し、酸化反応を実施した。結果を表1に示す。
[比較例5]
実施例1と同様にして触媒原料を含むスラリーを調製し、得られた乾燥物に対してメチルセルロースを添加しない以外は実施例1と同様にして触媒前駆体3を得た。この触媒前駆体3の有機物を除いた組成は、酸素を除いた原子比で、Mo121.0Cu0.20.8Fe0.2Csであった。この触媒前駆体を熱重量分析装置を用いて10℃/minの昇温速度で250℃まで昇温したところ、測定前の重量に対し5%の重量減少が観測された。この触媒前駆体を実施例1と同様の条件で焼成し、酸化反応を実施した。結果を表1に示す。
[比較例6]
触媒前駆体3を充填後、焼成温度を150℃から230℃の範囲を50℃/hrの昇温速度で昇温した以外は比較例5と同様にした以外は実施例1と同様の条件で焼成し、酸化反応を実施した。結果を表1に示す。
これらの結果から、本発明が有機物を多く含み、熱分析による重量減少が大きな触媒系に対して有効であることが分かる。
Figure 0005485013

Claims (3)

  1. 少なくともリン、モリブデンを含み、メタクロレインを気相接触酸化してメタクリル酸を製造するための触媒の製造方法であって、以下の(i)〜(iii)の条件を満たすメタクリル酸製造用触媒の製造方法。
    (i)触媒前駆体中に有機物を質量として3%〜10%含む
    (ii)該触媒前駆体の熱重量分析において、10℃/minの昇温速度で25℃から250℃まで昇温した際の重量減少割合が10%〜30%である
    (iii)上記(i)及び(ii)を満たす触媒前駆体を150℃以下から昇温し300℃〜500℃で最終焼成を行う過程において、150℃〜230℃の温度領域における昇温速度を5℃/hr以上25℃/hr以下とし、230℃から最終焼成における最高温度の温度領域における昇温速度を20℃/hr以上とする
  2. 前記触媒前駆体が、溶媒以外の成分に対して1質量%以上の有機物を含む溶液又はスラリーを乾燥して得られたものである請求項1記載の触媒の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の製造方法を用いて製造されたメタクリル酸製造用触媒を用いてメタクロレインを気相接触酸化するメタクリル酸の製造方法。
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