JP2005066476A - メタクリル酸製造用触媒の製造方法、この方法により製造される触媒、およびメタクリル酸の製造方法 - Google Patents

メタクリル酸製造用触媒の製造方法、この方法により製造される触媒、およびメタクリル酸の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】メタクリル酸製造用触媒、その製造方法およびメタクリル酸の製造方法を提供する。
【解決手段】少なくともモリブデン、リンおよびバナジウムを含み、アンモニウム根の含有量がモリブデン原子12モルに対して0〜1.5モルであるA液を調製する工程と、少なくともアンモニウム根を含み、アンモニウム根の含有量がA液に含まれるモリブデン原子12モルに対して6〜17モルであるB液を調製する工程と、少なくとも元素Zを含むC液を調製する工程と、A液とC液とを混合してAC混合液を調製した後にさらにAC混合液とB液を混合し、得られた混合液を保持して、0.05〜2.0μmの粒子径を有する粒子の数が全粒子数に対し10%以下であるABC混合液を調製する工程と、全触媒成分を含む触媒前駆体スラリーを乾燥・焼成する工程を含むことを特徴とするメタクリル酸製造用触媒の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造するための、メタクリル酸製造用触媒の製造方法、この方法により製造されるメタクリル酸製造用触媒、およびこの触媒を用いたメタクリル酸の製造方法に関する。
特許文献1には、リン、モリブデンおよびアルカリ金属またはタリウムを含有する酸化触媒を製造するに際し、すべての触媒原料を水に溶解、或いは懸濁させた溶液について、アンモニウム根の含有量をモリブデン12原子に対し17から100モルの範囲に調整し、且つそのpHを6.5〜13の範囲に調整することを特徴とするメタクロレインを気相接触酸化して相当するメタクリル酸を製造するための酸化触媒の製造方法が開示されている。また、特許文献2には、少なくともモリブデン、リンおよびバナジウムを含む溶液またはスラリーと、アンモニア化合物を含む溶液またはスラリーを混合し、得られた混合液または混合スラリーに、カリウム等を含む溶液またはスラリーを混合する工程を含むメタクリル酸製造用触媒の製造方法が開示されている。
特開平9−290162号公報 特開2000−296336号公報
しかしながら、これらの特許文献に開示された方法を用いて製造された触媒は、必ずしも工業触媒として、十分ではなく、更なる触媒性能の向上が望まれている。
本発明は、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を高収率で、安定して製造し得る触媒の製造方法およびこの方法で製造される触媒およびこの触媒を用いるメタクリル酸の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決した本発明のメタクリル酸製造用触媒の製造方法は、
下記式(1)
aMobcCudefgh (1)
(式中、P、Mo、V、CuおよびOは、それぞれリン、モリブデン、バナジウム、銅および酸素を示し、Xはアンチモン、ビスマス、砒素、ゲルマニウム、ジルコニウム、テルル、銀、セレン、ケイ素、タングステンおよびホウ素からなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示し、Yは鉄、亜鉛、クロム、マグネシウム、タンタル、コバルト、マンガン、バリウム、ガリウム、セリウムおよびランタンからなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示し、Zはカリウム、ルビジウムおよびセシウムからなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示す。a、b、c、d、e、f、gおよびhは、各元素の原子比率を表し、b=12のときa=0.5〜3、c=0.01〜3、d=0.01〜2、e=0〜3、f=0〜3、g=0.01〜3であり、hは、前記各成分の原子価を満足するのに必要な酸素の原子比率である。)
で表される組成を有する、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造するための、メタクリル酸製造用触媒の製造方法であって、
(i)少なくともモリブデン、リンおよびバナジウムを含み、アンモニウム根の含有量がモリブデン原子12モルに対して0〜1.5モルである、溶液またはスラリー(A液)を調製する工程と、
(ii)少なくともアンモニウム根を含み、該アンモニウム根の含有量が前記A液に含まれるモリブデン原子12モルに対して6〜17モルである溶液またはスラリー(B液)を調製する工程と、
(iii)少なくとも元素Zを含む溶液またはスラリー(C液)を調製する工程と、
(iv)前記A液とC液とを混合してAC混合液を調製した後にさらに該AC混合液と前記B液を混合し、得られた混合液を保持して、0.05〜2.0μmの粒子径を有する粒子の数が全粒子数に対し10%以下である粒度分布を有するABC混合液を調製する工程と、
(v)全触媒成分を含む触媒前駆体スラリーを乾燥・焼成する工程
を含むことを特徴とするメタクリル酸製造用触媒の製造方法。
さらに、上記課題を解決した本発明のメタクリル酸製造用触媒の製造方法は、前記ABC混合液を保持する時間が30分以上であることを特徴とする。
また、上記課題を解決した本発明のメタクリル酸製造用触媒は、上記本発明のメタクリル酸製造用触媒の製造方法により製造されたメタクリル酸製造用触媒である。
また、上記課題を解決した本発明のメタクリル酸の製造方法は、上記本発明のメタクリル酸製造用触媒の存在下で、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化するメタクリル酸の製造方法である。
本発明によれば、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造するための触媒の製造方法、メタクリル酸収率の高い触媒および高収率でメタクリル酸を製造することのできるメタクリル酸の製造方法を提供することができる。
本発明の触媒の製造方法によって製造することのできるメタクリル酸製造用触媒は、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造する際に用いるものであって、次の式(1)で表される組成を有するものである。
aMobcCudefgh (1)
(式中、P、Mo、V、CuおよびOは、それぞれリン、モリブデン、バナジウム、銅および酸素を示し、Xはアンチモン、ビスマス、砒素、ゲルマニウム、ジルコニウム、テルル、銀、セレン、ケイ素、タングステンおよびホウ素からなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示し、Yは鉄、亜鉛、クロム、マグネシウム、タンタル、コバルト、マンガン、バリウム、ガリウム、セリウムおよびランタンからなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示し、Zはカリウム、ルビジウムおよびセシウムからなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示す。a、b、c、d、e、f、gおよびhは、各元素の原子比率を表し、b=12のときa=0.5〜3、c=0.01〜3、d=0.01〜2、e=0〜3、f=0〜3、g=0.01〜3であり、hは、前記各成分の原子価を満足するのに必要な酸素の原子比率である。)
本発明のメタクリル酸製造用触媒の製造方法は、前述の通り、(i)少なくともモリブデン、リンおよびバナジウムを含み、アンモニウム根の含有量がモリブデン原子12モルに対して0〜1.5モルである、溶液またはスラリー(A液)を調製する工程と、(ii)少なくともアンモニウム根を含み、該アンモニウム根の含有量が前記A液に含まれるモリブデン原子12モルに対して6〜17モルである溶液またはスラリー(B液)を調製する工程と、(iii)少なくとも元素Zを含む溶液またはスラリー(C液)を調製する工程と、(iv)前記A液とC液とを混合してAC混合液を調製した後に、さらに該AC混合液と前記B液を混合し、得られた混合液を保持して、0.05〜2.0μmの粒子径を有する粒子の数が全粒子数に対し10%以下である粒度分布を有するABC混合液を調製する工程と、(v)全触媒成分を含む触媒前駆体スラリーを乾燥・焼成する工程を含むことを特徴とする。
なお、本発明においてアンモニウム根とは、アンモニウム(NH4 +)になり得るアンモニア(NH3)、またはアンモニウム塩等のアンモニウム含有化合物に含まれるアンモニウムのことをいう。
本発明におけるABC混合液の0.05〜2.0μmの粒子径を有するスラリー粒子(粒子と表すことがある)の数と全スラリー粒子数(全粒子数と表すことがある)との割合は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社 島津製作所製、SALD−2000;商品名)を用いて粒度分布を測定し、この粒度分布の測定結果に基づいて求めることができる。具体的には、例えば分散媒として純水を用い、これにABC混合液のスラリー粒子をこの懸濁液に含まれる粒子にレーザー光を照射することによって生じる回折/散乱光から得られた光強度分布の最大値が35〜75%に入るように分散させ湿式法で測定することができる。ABC混合液の粒子径は、これと等しい体積を有する球の直径(球相当径と表すことがある)Dとして求められる。従って、この測定法においては、ABC混合液の粒子の粒子径Dは球相当径で表される。
粒子径がD以上の値を有する粒子の容積の積算値をVとしたとき、上記方法で測定された粒度分布は、例えば、縦軸に[−(1/D3)×(dV/dD)]、横軸にDを取って表すことができる。このような粒度分布の測定から0.05〜2.0μmの粒子径を有する粒子の数と全粒子数との割合を求めるには、粒子径Dが0.05〜2.0μmの範囲および測定された最小の粒子径Dminから最大の粒子径Dmaxの範囲で上記粒度分布について積分を行い、これらの比を求めればよい。
次に、A液、B液およびC液の調製方法ならびにAC混合液ならびにABC混合液の調製方法ならびに触媒前駆体スラリーの調製方法について詳しく述べる。
<A液の調製>
A液は、少なくとも、触媒成分である、モリブデン、リンおよびバナジウムを含む。A液は、少なくともモリブデン、リンおよびバナジウムの化合物等の原料を溶媒に溶解または懸濁させて調製する。A液は、モリブデン、リンおよびバナジウムの他に、その他の触媒成分である、銅、元素X、元素Y、元素Zまたはアンモニウム根を含有してもよい。これらの触媒成分を含むA液を調製するには、これらの触媒成分を含む化合物も用いてA液を調製すればよい。
A液に含まれるアンモニウム根の量は、モリブデン原子12モルに対して0〜1.5モルであり、好ましくは0〜1.0モルである。アンモニウム根の量をこの範囲とすると、メタクリル酸収率の高い触媒が得られる。また、A液に含まれる元素Zの量は少ないほど好ましく、実質的に元素Zを含まないことがより好ましい。
A液の調製に用いることのできる原料のモリブデン、リンおよびバナジウムの化合物としては、これらの各元素の酸化物、硝酸塩、炭酸塩、アンモニウム塩等を挙げることができる。これらの化合物の中から適宜選択してA液の調製に使用すればよい。
例えば、モリブデンの化合物としては、三酸化モリブデン、モリブデン酸等のアンモニウム根を含まない化合物が好ましいが、少量であれば、パラモリブデン酸アンモニウム、ジモリブデン酸アンモニウム、テトラモリブデン酸アンモニウム等のモリブデン酸アンモニウムも使用することができる。リンの化合物としては、例えば、正リン酸、五酸化リン、リン酸アンモニウム等を使用することができる。また、バナジウムの化合物としては、例えば、五酸化バナジウム、メタバナジン酸アンモニウム等を使用することができる。さらに、リン、モリブデン、バナジウムの化合物としてリンモリブデン酸、モリブドバナドリン酸、リンモリブデン酸アンモニウム等のヘテロポリ酸を使用することもできる。
これらの化合物は、各元素に対して1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
また、A液に含まれてもよい銅の化合物としては、例えば、酸化物、硝酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物等を挙げることができる。これらの化合物の中から適宜選択してA液の調製に使用すればよい。具体例としては、例えば、酸化銅、硝酸銅、硫酸銅、塩化第一銅、塩化第二銅等を挙げることができる。これらの化合物は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
また、A液に含まれてもよい元素Xの化合物としては、元素Xの酸化物、硝酸塩、炭酸塩、アンモニウム塩等を挙げることができる。これらの化合物の中から適宜選択してA液の調製に使用すればよい。具体例としては、例えば、三酸化アンチモン、酸化テルル、砒酸水溶液等を挙げることができる。これらの化合物は、元素Xについて1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
また、A液に含まれてもよい上記元素Yの化合物としては、元素Yの酸化物、硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、硫酸塩、アンモニウム塩、ハロゲン化物、水酸化物等を挙げることができる。これらの化合物の中から適宜選択してA液の調製に使用すればよい。具体例としては、例えば、硝酸第二鉄、硝酸マンガン、硝酸亜鉛等を挙げることができる。これらの化合物は、元素Yについて1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
さらに、A液に含まれてもよい上記元素Zの化合物としては、元素Zの硝酸塩、炭酸塩、水酸化物等を挙げることができる。これらの化合物の中から適宜選択してA液の調製に使用すればよい。具体的には、例えば、硝酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、硝酸ルビジウム、炭酸ルビジウム、水酸化ルビジウム、硝酸セシウム、炭酸セシウム、水酸化セシウム等を挙げることができる。これらの化合物は、元素Zについて1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
また、A液に含まれてもよい上記アンモニウム根を含む化合物としては、アンモニアやアンモニウム塩を挙げることができる。これらの化合物の中から適宜選択してA液の調製に使用すればよい。具体的には、例えば、アンモニア(アンモニア水)、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硝酸アンモニウム等を挙げることができる。
A液の調製に使用することのできる溶媒としては、例えば、水、エチルアルコール、アセトン等を挙げることができるが、水を用いるのが好ましい。A液中の溶媒の量は特に限定されないが、通常、A液中に含まれるモリブデン化合物と溶媒の含有比(質量比)を1:0.1〜1:100とするのが好ましく、1:0.5〜1:50とするのがより好ましい。溶媒の量をこの範囲とすると、メタクリル酸収率の高い触媒を得ることができる。
A液は、原料として用いる上記化合物を溶媒と混合し、これを常温で攪拌して溶解または懸濁して、溶液またはスラリーとすることにより調製することができる。一般的には、加熱攪拌して調製するのが好ましい。加熱温度は、通常80〜150℃の範囲とするのが好ましく、95〜130℃の範囲とするのが更に好ましい。また、加熱時間に関しては、通常0.5〜24時間の範囲とするのが好ましく、1〜12時間の範囲とするのが更に好ましい。加熱温度や加熱時間をこのような範囲とすると、原料同士の反応を十分に進行させることができ、これにより活性の高い触媒を得ることができる。
<B液の調製>
B液は、少なくともアンモニウム根を含み、少なくともアンモニウム根を含む化合物等の原料を溶媒に溶解または懸濁させて調製する。B液は、アンモニウム根を含む化合物の他に、他の触媒成分であるリン、モリブデン、バナジウム、銅、元素X、元素Yまたは元素Zなどの元素の化合物を含んでいてもよいが、これらの化合物を実質的に含まないものが好ましい。
B液に含まれるアンモニウム根の量は、A液に含まれるモリブデン原子12モルに対して6モル〜17モルの範囲とするのが好ましく、7モル〜17モルの範囲とするのがより好ましい。アンモニウム根の量をこの範囲とすると、メタクリル酸収率の高い触媒を得ることができる。
B液の調製に用いることのできるアンモニウム根を含む化合物として、アンモニアやアンモニウム塩を挙げることができる。具体的には、アンモニア(アンモニア水)、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硝酸アンモニウム等を例示することができる。アンモニウム根を含む化合物は1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
また、B液に含まれてもよい、リン、モリブデン、バナジウム、銅、元素X、元素Yおよび元素Zの化合物としては、上記A液の説明にて例示したこれら元素の化合物を挙げることができる。上記B液に含まれる各元素の化合物は、各元素に対して1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
B液の調製に使用することのできる溶媒としては、例えば、水、エチルアルコール、アセトン等を挙げることができる。A液と同様に、通常、水を用いるのが好ましい。B液中の溶媒の量は特に限定されないが、通常、B液中に含まれるアンモニウム根を含む化合物と溶媒の含有比(質量比)を1:0.1〜1:100とするのが好ましく、1:0.5〜1:50とするのがより好ましい。溶媒の量をこの範囲とすると、メタクリル酸収率の高い触媒を得ることができる。
B液は、通常、アンモニウム根を含む化合物およびその他の所望の触媒成分を含む化合物を溶媒に加え、常温で攪拌して溶解または懸濁して溶液またはスラリーとすることにより調製することができる。必要に応じて80℃程度まで加熱して調製することもできる。ただし、アンモニウム根を含む化合物としてアンモニア水をそのまま用いる場合は、溶媒である水を既に含むので、このような調製工程は必ずしも必要ではない。
<C液の調製>
C液は、少なくとも元素Zを含む。C液は、少なくとも元素Zの化合物等の原料を溶媒に溶解または懸濁して溶液またはスラリーとすることにより調製することができる。C液は、元素Zの他に、他の触媒成分であるモリブデン、リン、バナジウム、銅、元素X、元素Yまたはアンモニウム根などを含む化合物を含有してもよいが、これらの化合物を実質的に含まないものが好ましい。
特に優れた効果が得られるところから元素Zとしてはセシウムが好ましい。元素Zの化合物としては、これらの硝酸塩、炭酸塩、水酸化物等を適宜選択して使用することができる。具体的には、例えば、硝酸セシウム、炭酸セシウム、水酸化セシウム等を挙げることができる。また、C液に含まれてもよい、リン、モリブデン、バナジウム、銅、元素X、元素Yおよび元素Zの化合物としては、上記A液の説明にて例示したこれら元素の化合物を挙げることができる。上記C液に含まれる各元素の化合物は、各元素に対して1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
C液を調製するのに使用することのできる溶媒としては、例えば、水、エチルアルコール、アセトン等を挙げることができる。通常、水を用いるのが好ましい。C液中の溶媒の量は特に限定されないが、通常、C液中に含まれる元素Zの化合物と溶媒の含有比(質量比)を1:0.1〜1:100とするのが好ましく、1:0.5〜1:50とするのがより好ましい。溶媒の量をこの範囲とすることにより、収率の高い触媒を得ることができる。
C液は、通常、元素Zの化合物およびその他の所望の触媒成分を含む化合物を溶媒に加え、常温で攪拌して溶解または懸濁して溶液またはスラリーとすることにより調製することができる。必要に応じて80℃程度まで加熱して調製することもできる。
<ABC混合液の調製>
本発明において、A液、B液およびC液を混合してABC混合液を調製する方法としては、A液とC液とを混合してAC混合液を調製した後に、さらにAC混合液とB液とを混合してこれを保持して所定の粒度分布を有するスラリーとすることによりABC混合液を調製する方法が適用される。
A液とC液の混合手法については、特に限定されず、例えばA液にC液を添加する方法、C液にA液を添加する方法、および、A液とC液とを同時に添加し混合する方法等の方法が挙げられる。A液とC液の混合は、常温で行ってもよいし、加熱して行ってもよい。混合温度は、100℃以下とするのが好ましく、80℃以下とするのがより好ましい。混合時間については、特に限定されず、適宜決めればよい。
また、AC混合液とB液の混合手法についても、特に限定されず、例えばAC混合液にB液を添加する方法、B液にAC混合液を添加する方法、および、AC混合液とB液とを同時に添加し混合する方法等の方法が挙げられる。AC混合液とB液の混合は、常温で行ってもよいし、加熱して行ってもよい。混合時の温度は、100℃以下とするのが好ましく、80℃以下とするのがより好ましい。混合時間については、特に限定されず、適宜決めればよい。
本発明において、AC混合液とB液を混合した後、この混合液を保持してABC混合液を調製する。調製されたABC混合液はスラリー粒子が分散媒中に懸濁したスラリー状の液であり、ABC混合液は、0.05〜2.0μmの粒子径を有する粒子の数が全粒子数に対し10%以下である粒度分布を有する。ABC混合液は、0.05〜2.0μmの粒子径を有する粒子の数が全粒子数に対し8%以下である粒度分布を有するものが好ましい。AC混合液とB液との混合液の保持時間は、混合時の液温や保持時の液温(保持温度と表すことがある)に依存する。実際には、例えば、液温が、30℃の場合は90分以上とするのが好ましく135分以上とするのがより好ましく、50℃の場合は75分以上とするのが好ましく105分以上とするのがより好ましく、液温が60℃の場合には60分以上とするのが好ましく90分以上とするのがより好ましく、液温が70℃場合には45分以上とするのが好ましく70分以上とするのがより好ましい。液温は略一定に保持してもよいが、保持時間を短縮するために液温を上昇させることもできる。通常、AC混合液とB液の混合液を保持する際に、液を攪拌する。攪拌は、一時的に速くしたり遅くしたり、また、止めたりして行ってもよい。
<触媒前駆体スラリーの調製>
全触媒成分を含む触媒前駆体スラリーを調製する場合、所望の触媒成分の全てが含まれるように、銅、元素Xまたは元素Yの化合物を、上述したように、A液、B液またはC液の調製段階で添加してもよいし、AC混合液またはABC混合液のいずれかの調製段階で添加してもよいし、ABC混合液を調製した後に添加してもよい。元素Xの化合物は、通常、A液を調製する段階でまたはAC混合液の調製段階で添加するのが好ましい。また、銅または元素Yの化合物は、通常、ABC混合液の調製段階で添加するのが好ましい。
AC混合液またはABC混合液の調製段階等で、銅、元素Xまたは元素Yの化合物を加える方法は特に限定されない。これらの化合物は、例えば、あらかじめ溶液またはスラリーとして加えてもよいし、固体等の状態で加えることもできる。
AC混合液またはABC混合液の調製段階等で添加することのできる銅、元素Xまたは元素Yの化合物としては、上記A液の説明にて例示したこれら元素の化合物を用いることができる。また、上記各元素に対して1種の化合物を用いても、2種以上の化合物を併用してもよい。
<乾燥・焼成>
次いで、このようにして触媒前駆体スラリーが得られたら、これを乾燥して、触媒前駆体の乾燥物を得る。
触媒前駆体スラリーの乾燥方法は特に限定されず、種々の方法を用いることができる。例えば、蒸発乾固法、噴霧乾燥法、ドラム乾燥法、気流乾燥法等を挙げることができる。使用することのできる乾燥機の機種、乾燥温度や時間等の乾燥条件は特に限定されず、適宜変えることによって目的に応じた触媒前駆体の乾燥物を得ることができる。
このようにして得られた触媒前駆体の乾燥物を、所望の場合には粉砕した後に、焼成して、本発明のメタクリル酸製造用触媒を製造することができる。本発明のメタクリル酸製造用触媒は、触媒前駆体の乾燥物を、成形せずに焼成し、次いで焼成して得られたメタクリル酸製造用触媒を成形して製造してもよいし、触媒前駆体の乾燥物を成形した後にこれを焼成してメタクリル酸製造用触媒を製造してもよい。また、焼成してメタクリル酸製造用触媒を得た後に成形し、これを再度焼成してもよい。
成形は、シリカ等の担体を含める担持成形と、担体を使用しない非担持成形のいずれの成形方法も採用することができる。通常、非担持成形を採用するのが好ましい。これにより、活性成分の含有量の高い触媒を調製することができ、反応管等への触媒充填量を増やせるため触媒寿命の点で有利となり好ましい。成形方法の具体例としては、例えば、打錠成形、プレス成形、押出成形、造粒成形等を挙げることができる。成形品の形状については、特に限定されず、例えば、円柱状、リング状、球状等の所望の形状を選択することができる。
なお、成形に際しては、公知の添加剤、例えば、グラファイト、タルク等を添加してもよい。
触媒前駆体の乾燥物またはその成形品の焼成方法や焼成条件は特に限定されず、公知の焼成方法および焼成条件を適用することができる。焼成条件は、用いる触媒原料、触媒組成、調製方法等によって異なるが、通常、空気等の酸素含有ガス流通下または不活性ガス流通下で、焼成温度200〜500℃、好ましくは300〜450℃とし、焼成時間0.5時間以上、好ましくは1〜40時間である。ここで、不活性ガスとは、触媒の反応活性を低下させない気体のことをいい、不活性ガスとして、具体的には、窒素、炭酸ガス、ヘリウム、アルゴン等を挙げることができる。
<メタクリル酸の製造方法>
次に、本発明のメタクリル酸の製造方法について説明する。
本発明のメタクリル酸の製造方法は、上記のようにして得られたメタクリル酸製造用触媒の存在下で、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造する方法である。
本発明のメタクリル酸の製造方法においては、メタクロレインと分子状酸素を含む原料ガスを触媒と接触させる。原料ガス中のメタクロレイン濃度は広い範囲で変えることができる。通常、メタクロレイン濃度は、1〜20容量%であり、3〜10容量%がより好ましい。原料ガス中に、低級飽和アルデヒド等の不純物が含まれていてもよいが、その量はできるだけ少なくするのが好ましい。
分子状酸素源として空気を用いるのが経済的である。所望の場合には、純酸素で富化した空気等を用いることができる。原料ガス中の分子状酸素の濃度は、通常、メタクロレイン1モルに対して0.4〜4モルであり、特に0.5〜3モルが好ましい。原料ガスは、窒素、炭酸ガス等の不活性ガスを加えて希釈してもよい。また、原料ガスに水(水蒸気)を加えてもよい。原料ガス中の水蒸気の濃度は、通常、0.1〜50容量%であり、特に1〜40容量%が好ましい。水蒸気の存在下で反応を行うと、より高収率でメタクリル酸を得ることができる。
メタクロレインの気相接触酸化反応は、通常、固定床で行う。触媒層の構成は、特に限定されず、触媒のみからなる無希釈触媒層としても、不活性担体を含んだ希釈触媒層としてもよく、触媒層を単一層としても複数層から成る混合層としてもよい。気相接触酸化反応の反応圧力は、常圧から数気圧までがよい。反応温度は、通常、230〜450℃の範囲で選ぶことができる。特に、250〜400℃が好ましい。原料ガスの流量は特に限定されないが、通常、接触時間が1.5〜15秒となるような流量とし、特に2〜5秒となるような流量とするのが好ましい。
本発明のメタクリル酸製造用触媒の製造方法において、AC混合液とB液の混合液を保持し、0.05〜2.0μmの粒子径を有する粒子の数が全粒子数に対して10%以下である粒度分布を有するABC混合液を用いることにより、本発明のメタクリル酸製造用触媒の反応成績が向上するメカニズムについては現段階では明らかではないが、AC混合液とB液とを混合した前後でのpH変化に伴うスラリー粒子の構造変化がAC混合液とB液の混合液を保持することにより十分進行し反応成績向上に有利な触媒を得るのに好適な沈殿が形成されるためであろうと推定される。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本実施例において「部」は質量部を意味する。
本実施例において、触媒の組成は原料の仕込み量から求めた。またメタクリル酸の製造における原料ガスおよび生成物の分析はガスクロマトグラフィーを用いて行った。得られた分析結果に基づき、メタクロレインの転化率(メタクリル酸転化率と表すことがある)、生成したメタクリル酸の選択率(メタクリル酸選択率と表すことがある)およびメタクリル酸の単流収率(メタクリル酸収率と表すことがある)を以下の式により求めた。
メタクロレイン転化率(%)=(B/A)×100
メタクリル酸選択率(%)=(C/B)×100
メタクリル酸収率(%)=(C/A)×100
ここで、Aは供給したメタクロレインのモル数、Bは反応したメタクロレインのモル数、Cは生成したメタクリル酸のモル数である。
[実施例1]
(メタクリル酸製造用触媒の調製)
<A液の調製>
純水200部に三酸化モリブデン100部、85質量%リン酸6.67部、メタバナジン酸アンモニウム3.39部および60質量%砒酸水溶液9.59部を加え、還流下で5時間攪拌してA液を調製した。A液中に含まれるアンモニウム根の量は、A液中に含まれるモリブデン原子12モルに対して0.5モルであった。
<B液の調製>
25質量%アンモニア水41.34部をB液とした。B液中に含まれるアンモニウム根の量は、A液中に含まれるモリブデン原子12モルに対して10.5モルであった。
<C液の調製>
重炭酸セシウム10.10部を純水28.43部に溶解してC液を調製した。
<触媒前駆体スラリーの調製>
A液を50℃まで冷却した後、攪拌しながらA液にC液を混合し、10分間攪拌してAC混合液を調製した。次いで、攪拌しながらAC混合液にB液を添加した。B液の添加後、50℃で180分間攪拌保持し、ABC混合液を調製した。このABC混合液の粒度分布を測定したところ、0.05〜2.0μmの粒子径を有する粒子の数が全粒子数に対し7.2%であった。このようなABC混合液を液温50℃で攪拌しながら硝酸第二銅2.10部を純水9.80部に溶解した溶液および硝酸第二鉄0.47部を純水2.36部に溶解した溶液を加えて触媒前駆体スラリーを得た。
<メタクリル酸製造用触媒の調製>
この触媒前駆体スラリーを101℃まで加熱し、攪拌しながら蒸発乾固した後、さらに、130℃で16時間乾燥して触媒前駆体の乾燥粉を得た。
得られた触媒前駆体の乾燥粉100部に対してグラファイト2部を添加し、打錠成型機により、外形5mm、内径2mm、長さ5mmのリング状の成型物を作製した。この成型物を空気流通下で、380℃にて12時間焼成しメタクリル酸製造用触媒を得た。得られた触媒の酸素以外の組成は、P1.0Mo120.5As0.7Cu0.15Fe0.02Cs0.9であった。
(メタクリル酸の製造)
このように調製した触媒を反応管に充填し、メタクロレイン5容量%、酸素10容量%、水蒸気30容量%、窒素55容量%の混合ガスを、常圧下、反応温度290℃、接触時間3.6秒で通じ反応を行った。この結果を表1に示した。
[実施例2]
50℃で120分攪拌保持し、ABC混合液を調製した以外は、実施例1と同様にして、ABC混合液の粒度分布の測定、メタクリル酸製造用触媒の調製、メタクリル酸の製造を行った。得られた結果を表1に示した。
なお、得られた触媒の酸素以外の組成は、実施例1の触媒と同一であった。
[実施例3]
50℃で75分攪拌保持し、ABC混合液を調製した以外は、実施例1と同様にして、ABC混合液の粒度分布の測定、メタクリル酸製造用触媒の調製、メタクリル酸の製造を行った。得られた結果を表1に示した。
なお、得られた触媒の酸素以外の組成は、実施例1の触媒と同一であった。
[比較例1]
50℃で10分攪拌保持し、ABC混合液を調製した以外は、実施例1と同様にして、ABC混合液の粒度分布の測定、メタクリル酸製造用触媒の調製、メタクリル酸の製造を行った。得られた結果を表1に示した。
なお、得られた触媒の酸素以外の組成は、実施例1の触媒と同一であった。
[比較例2]
50℃で30分攪拌保持し、ABC混合液を調製した以外は、実施例1と同様にして、ABC混合液の粒度分布の測定、メタクリル酸製造用触媒の調製、メタクリル酸の製造を行った。得られた結果を表1に示した。
なお、得られた触媒の酸素以外の組成は、実施例1の触媒と同一であった。
[実施例4]
(メタクリル酸製造用触媒の調製)
<A液の調製>
純水200部に三酸化モリブデン100部、85質量%リン酸6.67部、70.9質量%蓚酸バナジル7.59部および酸化テルル3.70部を加え、還流下で5時間攪拌してA液を調製した。A液中に含まれるアンモニウム根の量は、A液中に含まれるモリブデン原子12モルに対して0モルであった。
<B液の調製>
25質量%アンモニア水39.37部をB液とした。B液中に含まれるアンモニウム根の量は、A液中に含まれるモリブデン原子12モルに対して10モルであった。
<C液の調製>
硝酸セシウム11.28部を純水28.43部に溶解してC液を調製した。
<触媒前駆体スラリーの調製>
A液を60℃まで冷却した後、攪拌しながらA液にC液を混合し、15分間攪拌してAC混合液を調製した。次いで、攪拌しながらAC混合液にB液を添加した。B液の添加後、60℃で90分間攪拌保持し、ABC混合液を調製した。このABC混合液の粒度分布を測定したところ、0.05〜2.0μmの粒子径を有する粒子数が全粒子数に対し6.8%であった。このようなABC混合液を液温60℃で攪拌しながら硝酸第二銅5.59部を純水9.80部に溶解した溶液および硝酸マンガン2.49部を純水2.36部に溶解した溶液を加えて触媒前駆体スラリーを得た。
(メタクリル酸製造用触媒の調製、メタクリル酸の製造)
この触媒前駆体スラリーを用いた以外は実施例1と同様にしてメタクリル酸製造用触媒を調製し、この触媒を用いた以外は実施例1と同様にしてメタクリル酸の製造を行った。得られた触媒の酸素以外の組成は、P1.0Mo120.6Te0.4Cu0.4Mn0.15Cs1.0であった。
得られた結果を表1に示した。
[実施例5]
60℃で60分攪拌保持し、ABC混合液を調製した以外は、実施例4と同様にして、ABC混合液の粒度分布の測定、メタクリル酸製造用触媒の調製、メタクリル酸の製造を行った。得られた結果を表1に示した。
なお、得られた触媒の酸素以外の組成は、実施例4の触媒と同一であった。
[比較例3]
60℃で10分攪拌保持し、ABC混合液を調製した以外は、実施例4と同様にして、ABC混合液の粒度分布の測定、メタクリル酸製造用触媒の調製、メタクリル酸の製造を行った。得られた結果を表1に示した。
なお、得られた触媒の酸素以外の組成は、実施例4の触媒と同一であった。
[比較例4]
60℃で25分攪拌保持し、ABC混合液を調製した以外は、実施例4と同様にして、ABC混合液の粒度分布の測定、メタクリル酸製造用触媒の調製、メタクリル酸の製造を行った。得られた結果を表1に示した。
なお、得られた触媒の酸素以外の組成は、実施例4の触媒と同一であった。
[実施例6]
(メタクリル酸製造用触媒の調製)
<A液の調製>
純水200部に三酸化モリブデン100部、85質量%リン酸6.67部および五酸化バナジウム2.11部を加え、還流下で5時間攪拌してA液を調製した。A液中に含まれるアンモニウム根の量は、A液中に含まれるモリブデン原子12モルに対して0モルであった。
<B液の調製>
25質量%アンモニア水41.34部をB液とした。B液中に含まれるアンモニウム根の量は、A液中に含まれるモリブデン原子12モルに対して10.5モルであった。
<C液の調製>
硝酸セシウム11.28部を純水28.43部に溶解してC液を調製した。
<触媒前駆体スラリーの調製>
(A液、B液、C液の混合)
A液を70℃まで冷却した後、三酸化アンチモン3.38部を純水5.50部に懸濁した液を加えた。攪拌しながらA液にC液を混合し、10分間攪拌してAC混合液を調製した。次いで、攪拌しながらAC混合液にB液を添加した。B液の添加後、70℃で105分間攪拌保持し、ABC混合液を調製した。このABC混合液の粒度分布を測定したところ、0.05〜2.0μmの粒子径を有する粒子の数が全粒子数に対し5.7%であった。このようなABC混合液を液温70℃で攪拌しながら硝酸第二銅3.50部を純水9.80部に溶解した溶液および硝酸亜鉛1.72部を純水2.36部に溶解した溶液を加えて触媒前駆体スラリーを得た。
(メタクリル酸製造用触媒の調製、メタクリル酸の製造)
この触媒前駆体スラリーを用いた以外は実施例1と同様にしてメタクリル酸製造用触媒を調製し、この触媒を用いた以外は実施例1と同様にしてメタクリル酸の製造を行った。得られた触媒の酸素以外の組成は、P1.0Mo120.4Sb0.4Cu0.25Zn0.1Cs1.0であった。
得られた結果を表1に示した。
[実施例7]
70℃で45分攪拌保持し、ABC混合液を調製した以外は、実施例6と同様にして、ABC混合液の粒度分布の測定、メタクリル酸製造用触媒の調製、メタクリル酸の製造を行った。得られた結果を表1に示した。
なお、得られた触媒の酸素以外の組成は、実施例6の触媒と同一であった。
[比較例5]
70℃で5分攪拌保持し、ABC混合液を調製した以外は、実施例6と同様にして、ABC混合液の粒度分布の測定、メタクリル酸製造用触媒の調製、メタクリル酸の製造を行った。得られた結果を表1に示した。
なお、得られた触媒の酸素以外の組成は、実施例6の触媒と同一であった。
[比較例6]
70℃で15分攪拌保持し、ABC混合液を調製した以外は、実施例6と同様にして、ABC混合液の粒度分布の測定、メタクリル酸製造用触媒の調製、メタクリル酸の製造を行った。得られた結果を表1に示した。
なお、得られた触媒の酸素以外の組成は、実施例6の触媒と同一であった。
[実施例8]
(メタクリル酸製造用触媒の調製)
<A液の調製>
純水200部に三酸化モリブデン100部、85質量%リン酸6.79部および70.9質量%蓚酸バナジル3.86部を加え、還流下で5時間攪拌してA液を調製した。A液中に含まれるアンモニウム根の量は、A液中に含まれるモリブデン原子12モルに対して0モルであった。
<B液の調製>
25質量%アンモニア水40.04部をB液とした。B液中に含まれるアンモニウム根の量は、A液中に含まれるモリブデン原子12モルに対して10.2モルであった。
<C液の調製>
硝酸セシウム12.62部を純水28.43部に溶解してC液を調製した。
<触媒前駆体スラリーの調製>
A液を30℃まで冷却した後、酸化テルル4.70部を純水5.50部に懸濁した液を加えた。攪拌しながらA液にC液を混合し、10分間攪拌保持してAC混合液を調製した。次いで、攪拌しながらAC混合液にB液を添加した。B液の添加後、30℃で180分間攪拌保持し、ABC混合液を調製した。このABC混合液の粒度分布を測定したところ、0.05〜2.0μmの粒子径を有する粒子の数が全粒子数に対し7.8%であった。このようなABC混合液を液温70℃で攪拌しながら硝酸第二銅1.42部を純水9.80部に溶解した溶液および硝酸第一セリウム5.11部を純水6.36部に溶解した溶液を加えて触媒前駆体スラリーを得た。
(メタクリル酸製造用触媒の調製、メタクリル酸の製造)
この触媒前駆体スラリーを用いた以外は実施例1と同様にしてメタクリル酸製造用触媒を調製し、この触媒を用いた以外は実施例1と同様にしてメタクリル酸の製造を行った。得られた触媒の酸素以外の組成は、P1.017Mo120.305Te0.509Cu0.102Ce0.203Cs1.119であった。
得られた結果を表1に示した。
[実施例9]
30℃で90分攪拌保持し、ABC混合液を調製した以外は、実施例8と同様にして、ABC混合液の粒度分布の測定、メタクリル酸製造用触媒の調製、メタクリル酸の製造を行った。得られた結果を表1に示した。
なお、得られた触媒の酸素以外の組成は、実施例8の触媒と同一であった。
[比較例7]
30℃で10分攪拌保持し、ABC混合液を調製した以外は、実施例8と同様にして、ABC混合液の粒度分布の測定、メタクリル酸製造用触媒の調製、メタクリル酸の製造を行った。得られた結果を表1に示した。
なお、得られた触媒の酸素以外の組成は、実施例8の触媒と同一であった。
Figure 2005066476
メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造するための、メタクリル酸製造用触媒を安定して製造することができ、またこの触媒により、メタクリル酸を高収率で製造することができる。


Claims (4)

  1. 下記式(1)
    aMobcCudefgh (1)
    (式中、P、Mo、V、CuおよびOは、それぞれリン、モリブデン、バナジウム、銅および酸素を示し、Xはアンチモン、ビスマス、砒素、ゲルマニウム、ジルコニウム、テルル、銀、セレン、ケイ素、タングステンおよびホウ素からなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示し、Yは鉄、亜鉛、クロム、マグネシウム、タンタル、コバルト、マンガン、バリウム、ガリウム、セリウムおよびランタンからなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示し、Zはカリウム、ルビジウムおよびセシウムからなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示す。a、b、c、d、e、f、gおよびhは、各元素の原子比率を表し、b=12のときa=0.5〜3、c=0.01〜3、d=0.01〜2、e=0〜3、f=0〜3、g=0.01〜3であり、hは、前記各成分の原子価を満足するのに必要な酸素の原子比率である。)
    で表される組成を有する、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造するための、メタクリル酸製造用触媒の製造方法であって、
    (i)少なくともモリブデン、リンおよびバナジウムを含み、アンモニウム根の含有量がモリブデン原子12モルに対して0〜1.5モルである、溶液またはスラリー(A液)を調製する工程と、
    (ii)少なくともアンモニウム根を含み、該アンモニウム根の含有量が前記A液に含まれるモリブデン原子12モルに対して6〜17モルである溶液またはスラリー(B液)を調製する工程と、
    (iii)少なくとも元素Zを含む溶液またはスラリー(C液)を調製する工程と、
    (iv)前記A液とC液とを混合してAC混合液を調製した後にさらに該AC混合液と前記B液を混合し、得られた混合液を保持して、0.05〜2.0μmの粒子径を有する粒子の数が全粒子数に対し10%以下である粒度分布を有するABC混合液を調製する工程と、
    (v)全触媒成分を含む触媒前駆体スラリーを乾燥・焼成する工程
    を含むことを特徴とするメタクリル酸製造用触媒の製造方法。
  2. 請求項1記載の触媒の製造方法であって、前記ABC混合液を保持する時間が30分以上であることを特徴とするメタクリル酸製造用触媒の製造方法。
  3. 請求項1または2記載の方法により製造されたメタクリル酸製造用触媒。
  4. 請求項3記載のメタクリル酸製造用触媒の存在下で、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化するメタクリル酸の製造方法。

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