JP5484864B2 - タイヤ成形用押えローラーおよびタイヤ成形用押えローラー装置 - Google Patents

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本発明は、タイヤ成形用フォーマーに付設されてサイドウォールクリンチゴムを巻き込むために使用されるタイヤ成形用押えローラーおよびタイヤ成形用押えローラー装置に関する。
一般に、空気入りタイヤは、未加硫の生タイヤを成形した後、金型を用いて加硫することにより製造される(例えば、特許文献1)。
かかる生タイヤの成形に際しては、円筒状のタイヤ成形用フォーマーに複数種類のタイヤ構成部材が巻装される。これらのタイヤ構成部材の一つであるサイドウォールクリンチゴムもタイヤ成形用フォーマーに巻装されるが、サイドウォールクリンチゴムの一部についてはタイヤ成形用押えローラー装置を用いた巻き込み作業が必要になる。
これを、図7および図8を用いて具体的に説明する。なお、図7は、従来のタイヤ成形用押えローラー装置を用いたサイドウォールクリンチゴムの巻き込み動作を示す正面図であり、図8は斜視図である。
図7に示すように、生タイヤを製作する場合には、タイヤ成形用フォーマーFおよびタイヤ成形用押えローラー装置A1が用いられ、タイヤ本体aをタイヤ成形用フォーマーFに巻装し、タイヤ本体aのうちタイヤ成形用フォーマーFの両外側に位置するサイドウォールクリンチゴムbをビードエイペックスcおよびビードコアdの外周に沿って巻き込むようにしている。なお、ビードエイペックスcおよびビードコアdの周りにはタイヤ軸方向内側から外側に折返されるカーカスプライの折返し部eが存在している。また、サイドウォールクリンチゴムbは、クリンチゴムおよびサイドウォールゴムを一体接合して形成されるものである。
タイヤ成形用押えローラー装置A1は、ネオプレンゴム等のゴム材料で成形されたタイヤ成形用押えローラーA2と、タイヤ成形用押えローラーA2を図7の二点鎖線で示すようにサイドウォールクリンチゴムbを巻き込む方向に移動させる図外の機構部とを備えており、図7および図8に示すように、タイヤ成形用フォーマーFの回転に伴って、サイドウォールクリンチゴムbに接触するタイヤ成形用押えローラーA2が回転することにより、サイドウォールクリンチゴムbがビードエイペックスcおよびビードコアdの外周に沿って巻き込まれる。
しかしながら、タイヤ成形用押えローラーA2をビードエイペックスcおよびビードコアdに沿って移動させてサイドウォールクリンチゴムbをビードエイペックスcおよびビードコアdに密着させるには微妙な調整が必要になるが、その調整は困難であるため、サイドウォールクリンチゴムbの巻き込み不良やサイドウォールクリンチゴムbに皺が発生し易く、タイヤの品質を低下させるという問題があった。
そこで、成形中に、作業者が巻き込み不良を手直しする必要が生じるが、作業者の負担が大きくなり、手直し作業中に巻き込み事故が発生するおそれがあるため、安全面で問題となっていた。また、手直しによって綺麗に仕上げるのは困難であり、作業者によっても仕上がり具合にバラツキが生じてモード率が低下するという問題もあった。そして、手直し作業に伴う生産能率の低下という問題もあった。
さらに、この専用のタイヤ成形用押えローラー装置はタイヤサイズ毎に用意する必要があるため、タイヤ成形の段替え(タイヤサイズの変更)がある度に、ラインを止めて各タイヤサイズに対応する専用のタイヤ成形用押えローラー装置に交換し、さらに前記した微妙な調整を行う必要があり、作業能率が低下するという問題があった。
そして、タイヤ成形用押えローラー装置のタイヤ成形用押えローラーをビードコアdに沿って正確に移動させようとすれば、タイヤ成形用押えローラーに無理な力が加わることになるため、タイヤ成形用押えローラーが摩滅し、タイヤに異物として混入するという問題もあった。
特開2005−280258号公報
そこで、本発明は、上記の課題の解決に鑑み、サイドウォールクリンチゴムの巻き込み不良やサイドウォールクリンチゴムに皺を生じさせることがなく、作業者の手直しが不要になり、作業者による仕上がり具合のバラツキをなくすことができ、タイヤ成形の段替えの度に取り替える必要もなく、ローラーに無理な力が加わることによる異物の混入の問題も解消することができるタイヤ成形用押えローラーおよびタイヤ成形用押えローラー装置を提供することを課題とする。
本発明に係るタイヤ成形用押えローラーは、
円筒状のタイヤ成形用フォーマーに巻装されるタイヤ構成部材のうち、前記タイヤ成形用フォーマーの両外側に位置するサイドウォールクリンチゴムを前記ビードコアに沿うように巻き込ませるためのタイヤ成形用押えローラーであって、
円形断面の膨張可能なブラダーと、前記ブラダーの内部に加圧媒体を流入させる流入手段とを備え、
前記加圧媒体により膨張した前記ブラダーを、その内圧を巻き込み位置によって変化させて、前記サイドウォールクリンチゴムに押し付けて前記ブラダーを弾性変形させた状態で前記サイドウォールクリンチゴムを巻き込ませるように構成されていることを特徴とする。
また、前記のタイヤ成形用押えローラーは、
さらに、前記ブラダーのうち前記サイドウォールクリンチゴムとの接触部以外の部位をキャンバスで補強したことを特徴とする。
タイヤ成形用押えローラー装置は、
請求項1または請求項2のタイヤ成形用押えローラーと、
加圧媒体をブラダー内に供給する加圧媒体供給手段と、
加圧媒体の給排気によってブラダーの内圧を巻き込み位置によって変化させるように調整するための圧力調整手段と、
前記サイドウォールクリンチゴムを巻き込む方向に前記タイヤ成形用押えローラーを動作させるための機構部と
を備えていることを特徴とする。

本発明によれば、サイドウォールクリンチゴムの巻き込み不良やサイドウォールクリンチゴムに皺が生じることがなく、作業者の手直しが不要になり、作業者による仕上がり具合のバラツキをなくすことができ、タイヤ成形の段替えの度に取り替える必要もなく、タイヤ成形用押えローラーに無理な力が加わることによる異物の混入の問題も解消することができる。
本発明の一実施の形態のタイヤ成形用押えローラー装置をタイヤ成形用フォーマーに付設した状態を示す正面図である。 本発明の一実施の形態のタイヤ成形用押えローラーを用いたサイドウォールクリンチゴムの巻き込み動作を示す正面図である。 本発明の一実施の形態のタイヤ成形用押えローラーを用いたサイドウォールクリンチゴムの巻き込み動作を示す正面図である。 本発明に係るタイヤ成形用押えローラーの異なる形態を示す正面図である。 本発明の別の実施の形態のタイヤ成形用押えローラーを用いたサイドウォールクリンチゴムの巻き込み動作を示す正面図である。 本発明の別の実施の形態のタイヤ成形用押えローラーを用いたサイドウォールクリンチゴムの巻き込み動作を示す正面図である。 従来のタイヤ成形用押えローラーを用いたサイドウォールクリンチゴムの巻き込み動作を示す正面図である。 従来のタイヤ成形用押えローラーを用いたサイドウォールクリンチゴムの巻き込み動作を示す斜視図である。
以下、本発明を実施の形態に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、以下の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
1.タイヤ成形装置
タイヤ成形装置は、図1に示すように、タイヤ成形用フォーマーFと、タイヤ成形用押えローラー装置Aとを備えている。なお、図1は、本発明の一実施の形態のタイヤ成形用押えローラー装置をタイヤ成形用フォーマーに付設した状態を示す正面図である。
このタイヤ成形装置は、タイヤ成形用フォーマーFを用いてタイヤ本体aを円筒状に形成し、タイヤ本体aをトロイド状にシェーピングする工程などを経て生タイヤを形成する。
また、タイヤ成形用フォーマーFの両外側にはタイヤ本体aのサイドウォールクリンチゴムbが位置している。このサイドウォールクリンチゴムbは、後述するようにタイヤ成形用フォーマーFの両外側に位置するタイヤ成形用押えローラー装置Aによってビードエイペックスcおよびビードコアdに沿うように巻き込まれる。
2.タイヤ成形用押えローラーおよびタイヤ成形用押えローラー装置
図1に示すように、タイヤ成形用押えローラー装置Aは、ブラダー1を有するタイヤ成形用押えローラー2と、フレキシブルな供給管3を通じて加圧媒体(例えば、窒素ガス)をブラダー1内に供給する加圧媒体供給手段4と、加圧媒体の給排気によってブラダー1の内圧を調整するための図外の圧力調整手段5と、タイヤ成形用押えローラー2を動作させるための図外の機構部と、これらを総括的に制御する制御手段6を備えている。
前記機構部は、後述するように、待機位置に位置するタイヤ成形用押えローラー2をサイドウォールクリンチゴムbが巻き込まれる方向に移動させ、かつ、サイドウォールクリンチゴムbの巻き込み完了後はタイヤ成形用押えローラー2を待機位置に戻すものである。
タイヤ成形用押えローラー2は、円形断面の膨張および収縮が可能なブラダー1と、ブラダー1の支持軸7と、支持軸7に取り付けられる上クランプリング8および下クランプリング9とを備え、支持軸7は図外の軸受部により軸支されている。
ブラダー1は、ゴムなどの弾性材料(ネオプレンを除く)で形成された袋体である。ブラダー1の上端部は上クランプリング8に、ブラダー1の下端部は下クランプリング9に、それぞれ気密状態で取り付けられている。
支持軸7は流通孔10を有する中空体であって、ブラダー1の内部に加圧媒体を流入させる流入手段を兼ねており、支持軸7は供給管3の先端に接続されている。そして、支持軸7の流通孔10を通じて、ブラダー1の内部への加圧媒体の給気を行ってブラダー1をトロイド状に膨張させ、ブラダー1内の加圧媒体の排気を行ってブラダー1を収縮させる。
3.タイヤ成形用押えローラーおよびタイヤ成形用押えローラー装置の動作
次に、タイヤ成形用押えローラー装置Aの動作を図1ないし図3を用いて説明する。なお、図1は、タイヤ成形用押えローラー2がタイヤ成形用フォーマーFの外側の位置に待機した状態を示している。図2および図3は、本発明の一実施の形態のタイヤ成形用押えローラー装置Aを用いたサイドウォールクリンチゴムbの巻き込み動作を示す正面図である。
まず、図1の状態から、タイヤ成形用押えローラー2を、図2に示すように、回転するタイヤ成形用フォーマーFに向けて移動させ、浮き上がったサイドウォールクリンチゴムbを押圧することにより、タイヤ成形用押えローラー2は回転しながらサイドウォールクリンチゴムbをビードコアdおよびビードエイペックスcに押し付けて巻き込ませる。
このとき、タイヤ成形用ローラー2のブラダー1は、ビードエイペックスcおよびビードコアdの外周の形状に沿って凹む一方、ブラダー1の復元力によりサイドウォールクリンチゴムbをビードコアdおよびビードエイペックスcに密着させることができる。
この状態では、サイドウォールクリンチゴムbの先端b1は、まだ浮き上がった状態になっている。そこで、図3に示すように、タイヤ成形用ローラー2を傾斜させてサイドウォールクリンチゴムbの先端b1を巻き込んでビードコアdに密着させる。
この一連の動作において、ブラダー1は、従来のタイヤ成形用押えローラーA2とは異なり加圧媒体の圧力を利用してサイドウォールクリンチゴムbとの接触面の全面にわたって均等な圧力でサイドウォールクリンチゴムbを押圧するため、サイドウォールクリンチゴムbの一部に無理な押圧力が作用してサイドウォールクリンチゴムbに皺を生じさせるような事態は発生しない。
タイヤ成形用ローラー2のブラダー1において、その内圧は適宜設定することができる。例えば、図2に示す段階では、0.04MPaに設定し、図3に示す段階では、圧力を下げて0.02MPaに設定する。これにより、所定の押圧力を確保しつつ、巻き込み部位の形状に沿って柔軟に変形し易くなり、サイドウォールクリンチゴムbをビードエイペックスcおよびビードコアdに確実に密着させることができる。
4.本実施の形態の作用効果
1)このように、本実施の形態によれば、円形断面のブラダー1からなるタイヤ成形用ローラー2と前記ブラダー1に加圧媒体を供給する加圧媒体供給手段とを備えたタイヤ成形用押えローラー装置であるため、加圧媒体により膨張したブラダー1をサイドウォールクリンチゴムbに押し付けることにより、ブラダー1およびサイドウォールクリンチゴムbはビードエイペックスcおよびビードコアdの周囲のカーカスプライの折返し部eの外周面に密着させた状態で折返し部eに沿い、かつ加圧媒体の圧力によって十分に弾性変形してサイドウォールクリンチゴムbを巻き込むことができる。
このため、タイヤ成形用ローラー2をビードエイペックスcおよびビードコアdに密着させるための微妙な調整が不要になる。そして、サイドウォールクリンチゴムbの巻き込み不良の発生が抑制されるため、成形中に作業者が巻き込み不良を手直しする事態の発生が低減され、作業負担が軽減して人間工学(エルゴノミクス)的な改善が図れ、安全性が向上する。その結果、生産性も向上させることができる。また、巻き込みサイズに関係なく、通常のサイズと同じ感覚で成形することができる。
2)また、前記のように、ブラダー1は、サイドウォールクリンチゴムbに対して、サイドウォールクリンチゴムbとの接触面の全面にわたって均等な圧力で押圧するため、サイドウォールクリンチゴムbの一部に無理な押圧力が作用してサイドウォールクリンチゴムbに皺が発生し難くなり、作業者の熟練度によって仕上がり具合にバラツキが生じることがなくなり、モード率が向上する。
3)また、ブラダー1は、どの位置であっても、ビードエイペックスcおよびビードコアdに沿って柔軟に弾性変形させることができるため、タイヤ成形の段替えに伴うタイヤ成形用押えローラー装置Aの調整が容易になる。さらに、タイヤ成形の段替えの度に、タイヤサイズに対応する専用のタイヤ成形用押えローラー装置Aに交換する必要もなくなる。その結果、タイヤ成形の作業能率を向上させることができる。
4)また、ブラダー1は、サイドウォールクリンチゴムbとの接触面の全面にわたって均等な圧力でサイドウォールクリンチゴムbを押圧するため、タイヤ成形用ローラー2に無理な力が加わることがなく、異物混入の問題も解消することができる。
5.タイヤ成形用押えローラーの別の態様
図4は、本発明に係るタイヤ成形用押えローラーの別の態様を説明する図であり、ブラダー1のうちサイドウォールクリンチゴムbとの接触部以外の部位をキャンバス11で補強したタイヤ成形用押えローラー2を示す正面図である。
ブラダー1をキャンバス11(キャンバスチェーファー)により補強することにより、ブラダーの耐久性を向上させることができるのに加えて、サイドウォールクリンチゴムの巻き込み不良を更に改善することができる。
例えば、サイドウォールクリンチゴムbを沿わせる面の変化が急になる場合、ブラダー1の内圧を適宜下げることによってブラダー1のフィット性を高めることができるが、ブラダー1の使用時には回転力が加わるため、内圧を下げたときには、ローラーとしての形が崩れ易くなる。そこで、キャンバス11で補強することにより、ブラダー1のローラーとしての形を保ちつつ、ブラダー1のフィット性を高めることが可能になる。
また、加圧媒体が流入して膨張したブラダー1をサイドウォールクリンチゴムbに押し付ける場合には、キャンバス11で補強されたブラダー1部分は変形し難いため、サイドウォールクリンチゴムbと接触するブラダー1部分が変形しても、その変形に追従して非接触のブラダー1部分が大きく変形するのを抑えることができる。したがって、サイドウォールクリンチゴムbと非接触のブラダー1部分との間が過度に広がるのを防止でき、その結果ブラダー1とサイドウォールbとの間に空気が取り込まれる可能性を低下させることができる。
図5および図6は、キャンバス11を備えたタイヤ成形用押えローラーを用いたサイドウォールクリンチゴムの巻き込み動作を示す正面図である。この巻き込み動作では、図5に示すように、回転するタイヤ成形用フォーマーFに向けて移動させ、浮き上がったサイドウォールクリンチゴムbを押圧したときには、キャンバス11があることにより、サイドウォールクリンチゴムbの先端b1を巻き込んでビードコアdにまで密着させることができる。なお、キャンバス11の高さ位置を調整することにより、サイドウォールクリンチゴムの巻き込みをより的確に行うことができる。
F タイヤ成形用フォーマー
a タイヤ本体
b サイドウォールクリンチゴム
b1 サイドウォールクリンチゴムの先端
c ビードエイペックス
d ビードコア
e カーカスプライの折返し部
A タイヤ成形用押えローラー装置
1 ブラダー
2 タイヤ成形用押えローラー
3 供給管
4 加圧媒体供給手段
5 圧力調整手段
6 制御手段
7 支持軸
8 上クランプリング
9 下クランプリング
10 流通孔

Claims (3)

  1. 円筒状のタイヤ成形用フォーマーに巻装されるタイヤ構成部材のうち、前記タイヤ成形用フォーマーの両外側に位置するサイドウォールクリンチゴムを前記ビードコアに沿うように巻き込ませるためのタイヤ成形用押えローラーであって、
    円形断面の膨張可能なブラダーと、前記ブラダーの内部に加圧媒体を流入させる流入手段とを備え、
    前記加圧媒体により膨張した前記ブラダーを、その内圧を巻き込み位置によって変化させて、前記サイドウォールクリンチゴムに押し付けて前記ブラダーを弾性変形させた状態で前記サイドウォールクリンチゴムを巻き込ませるように構成されていることを特徴とするタイヤ成形用押えローラー。
  2. 前記ブラダーのうち前記サイドウォールクリンチゴムとの接触部以外の部位をキャンバスで補強したことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ成形用押えローラー。
  3. 請求項1または請求項2のタイヤ成形用押えローラーと、
    加圧媒体をブラダー内に供給する加圧媒体供給手段と、
    加圧媒体の給排気によってブラダーの内圧を巻き込み位置によって変化させるように調整するための圧力調整手段と、
    前記サイドウォールクリンチゴムを巻き込む方向に前記タイヤ成形用押えローラーを動作させるための機構部と
    を備えていることを特徴とするタイヤ成形用押えローラー装置。
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