JP5484779B2 - 水性白色導電プライマー塗料組成物および外装用プラスチック成型品への塗膜形成方法 - Google Patents

水性白色導電プライマー塗料組成物および外装用プラスチック成型品への塗膜形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、水性白色導電プライマー塗料組成物および外装用プラスチック成型品への塗膜形成方法に関する。詳しくは、外装用プラスチック成型品の表面塗装に用いられる水性白色導電プライマー塗料組成物と、外装用プラスチック成型品の表面にプライマー塗膜、ベース塗膜、クリヤー塗膜からなる複層塗膜を形成する方法に関する。
プラスチック成型品の塗膜形成方法では、ベース塗料からなるベース塗膜の上にクリヤー塗料からなるクリヤー塗膜を形成することが一般的であるが、近年、環境への影響を考慮して、前記ベース塗料としては、溶剤型ではなく水性のものを用いることが検討されている。
また、プラスチック成型品表面に前記水性ベース塗料およびクリヤー塗料を塗装する場合、塗着効率の点から静電塗装によることが好ましいが、プラスチックは非導電性であるため、静電塗装に際しては、プラスチック成型品表面に導電剤を含む導電プライマーを塗布しておいてから、その上にベース塗料、クリヤー塗料を順次静電塗装する手法が採られている。そして、前記導電プライマー塗料もベース塗料と同様、水性のものが好ましく採用され、耐水性を向上させるため、樹脂成分としてエポキシ樹脂を使用したものが知られている。
ところで、外装用プラスチック成型品においては、ベース塗料として隠ぺい力の低い塗料を塗装して色鮮やかな外観を与えることも求められているが、このように隠ぺい力の低いベース塗料を用いる場合には、プライマー塗膜のL値が低いと、プライマー塗膜の色がベース塗膜の色を変質させてしまい、所望の鮮やかな外観を得ることができない。そのため、この場合、一般的な導電剤であるカーボンブラックのようにプライマー塗膜のL値を低下させる導電剤を用いることはできず、これに代わるものとして白色導電剤が検討されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
そして、白色導電剤としては、導電剤同士の接点が多く、プライマー塗膜への導電性付与効果の大きい針状のものが一般に使われてきた。しかし、針状のものは吸引により人体に悪影響を及ぼす懸念があったため、最近では、粒状の白色導電剤も検討されてきている。ところが、粒状の白色導電剤は、人体への悪影響の懸念はないものの、導電剤同士の接点が少ないため、プライマー塗膜に十分に導電性を与えることはできなかった。
特開2004−262988号公報 特開2006−219521号公報 特開2007−238719号公報
そこで、本発明が解決しようとする課題は、粒状の白色導電剤を含み、その塗膜上に、ベース塗料、さらには、クリヤー塗料を静電塗装して、外装用プラスチック成形品の表面に色鮮やかな複層塗膜を形成させることのできる水性白色導電プライマー塗料組成物と、そのような外装用プラスチック成形品への塗膜形成方法とを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、水性白色導電プライマー塗料組成物中に、従来一般に用いられてきたエポキシ樹脂に代えて、平均粒径0.5〜5μmのアクリル樹脂粒子を配合すれば、上記課題が解決できることを見出した。
上記知見について、本発明者は以下のように推測している。
すなわち、粒状導電剤が配合された塗膜が導電性を発揮するためには、塗膜中で導電剤同士が接触して連結し、かつ、その連結が塗膜中の一部ではなく全体にわたってなされている必要があり、導電剤同士が接触することなく塗膜全体に均一に分散していたり、塗膜中で凝集して局所的に導電剤同士が接触しているものの塗膜全体にわたる連結がなされていなかったりするのでは、導電性を発揮させることはできないと推測される。そして、塗料中に0.5〜5μmのアクリル樹脂粒子を配合することで導電性が発揮されるのは、その配合により、粒状導電剤同士の接触が促され、しかも、導電剤同士の凝集が抑えられ、これらの働きにより、塗膜中で導電剤同士が接触して連結し、かつ、その連結が塗膜中の一部ではなく全体にわたってなされた状態を作り出すことができるためであると推測されるのである。なお、0.5μm未満のアクリル樹脂粒子を用いた場合、塗膜のプレヒート後(通常、約80℃)には導電性はほとんど得られないが、焼き付け後(通常、約120℃)には導電性が発揮されることが分かった。これは、塗膜が収縮することによって、粒状導電剤同士が接触したことによると理解され、導電剤同士の接触が導電性の発現に寄与するという前記推測の妥当性を示唆する。
したがって、本発明にかかる水性白色導電プライマー塗料組成物は、外装用プラスチック成形品の表面塗装に用いられる水性白色導電プライマー塗料組成物において、アクリル樹脂粒子を必須の樹脂成分として含有するとともに、粒状白色導電剤を導電剤として含有し、前記アクリル樹脂粒子は、その平均粒径が0.5〜5μm、その含有割合が樹脂固形分に対して15〜40重量%であり、前記粒状白色導電剤は、その含有割合が塗料固形分に対して55〜75重量%である、ことを特徴とする。
また、本発明にかかる外装用プラスチック成型品の塗膜形成方法は、外装用プラスチック成型品の表面に水性白色導電プライマー塗料を乾燥膜厚が10〜30μmになるように塗装し、その上に水性ベース塗料を乾燥膜厚が10〜30μmとなるように静電塗装し、さらにその上にクリヤー塗料を乾燥膜厚が15〜30μmとなるように静電塗装し、3層同時に焼き付ける、外装用プラスチック成型品への塗膜形成方法において、前記水性白色導電プライマー塗料として、上記水性白色導電プライマー塗料組成物を用いる、ことを特徴とする。
本発明によれば、外装用プラスチック成形品の表面に、白色でかつ導電性を有する水性白色導電プライマー塗料組成物の塗膜を形成させることができるので、その塗膜上に、ベース塗料、さらには、クリヤー塗料を静電塗装させることができるとともに、外装用プラスチック成形品の表面に色鮮やかな複層塗膜を形成させることができる。また、水性塗料を用いるため、環境への影響を小さくすることができる。
以下、本発明にかかる水性白色導電プライマー塗料組成物および外装用プラスチック成形品への塗膜形成方法について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
まず、本発明の水性白色導電プライマー塗料組成物や塗膜形成方法で用いられる、外装用プラスチック成型品、水性白色導電プライマー塗料組成物、水性ベース塗料およびクリヤー塗料について、詳しく説明する。
〔外装用プラスチック成型品〕
本発明で用いられる外装用プラスチック成型品は、特に限定されず、例えば、バンパー、スポイラー、グリル、フェンダーなどの自動車外装品や、家庭電化製品の外板部などを挙げることができ、その素材としても、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリスチレン、ABS、塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、PPO、ポリメチルメタクリレート、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂などが挙げられる。
〔水性白色導電プライマー塗料組成物〕
本発明にかかるプライマー塗料組成物は、プライマー用樹脂および水を主成分として含むとともに、粒状白色導電剤をも含む水性白色導電プライマー塗料組成物であり、適宜、その他の原料を含んでいてもよい。
前記プライマー用樹脂としては、アクリル樹脂粒子を必須に含む。
<アクリル樹脂粒子>
前記アクリル樹脂粒子は、アクリル系単量体成分を重合することによって得ることのできるアクリル樹脂の粒子であって、本発明においては、その体積平均粒径が0.5〜5μmである必要がある。体積平均粒径が0.5μm未満ではベース塗料の塗装後における導電性が発現せず、5μmを超えると塗膜外観に悪影響を及ぼすおそれがある。製造性を考慮すると、1〜3μmが好ましい。なお、本発明において、前記アクリル樹脂粒子の体積平均粒径は、光回折法によって決定されるものであり、具体的には、島津製作所社製のレーザ回折式粒度分布測定装置SALD−2200を使用して決定するものである。アクリル樹脂粒子の体積平均粒径が本願発明の下限(0.5μm)未満である場合、前記島津製作所社製のレーザ回折式粒度分布測定装置SALD−2200での測定は困難であるので、代わりに、大塚電子社製の電気泳動光散乱光度計ELS−800などを使用して測定するようにすれば良い。
前記アクリル樹脂粒子は、体積平均粒径が前記範囲内にあれば、その種類は特に限定されない。そして、このようなアクリル樹脂粒子は、一般に、アクリル系単量体成分を用いて、乳化重合したり懸濁重合したりすることによって得ることができるが、前記体積平均粒径の範囲を満たすものを得るためには懸濁重合が好ましく採用できる。
懸濁重合としては、一般的によく知られている方法を用いることができ、例えば、水にラジカル重合剤によって重合可能なアクリル系単量体成分とラジカル重合開始剤とを加えて分散させ、得られた原料分散液を水中に滴下して加熱することにより重合を行う方法が良く知られている。
前記アクリル系単量体成分としては、(メタ)アクリル酸やその誘導体などの(メタ)アクリル基を有するもの以外に、スチレンや酢酸ビニルなどの(メタ)アクリル基を有しないものも含まれ、これらのアクリル系単量体成分は共重合可能である。アクリル系単量体成分は、非極性単量体、極性単量体に大別できるが、アクリル樹脂粒子の製造性の観点から、単量体成分中の非極性単量体の量が、極性単量体の量より多いものを用いることが好ましい。
前記非極性単量体としては、例えば、炭素数1〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどのスチレン化合物、酢酸ビニルやプロピオン酸ビニルなどのビニルエステル、分子中にエチレン不飽和結合を2つ以上有するビニルベンゼン、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルビニルエーテル、酢酸アリールなどが挙げられる。
前記極性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチルにεーカプロラクトンを開環付加重合させたもの、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびその塩、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびこれらの塩、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸およびこれらの塩などの当業者に知られているものが挙げられる。
耐水付着性を向上させるためには、アクリル系単量体成分中における(メタ)アクリル酸グリシジルの量を30〜60重量%とすることが好ましい。
前記ラジカル重合開始剤としては、油溶性のものを用いることが好ましく、具体的には、例えば、ラウリルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシエチルヘキサネート、過酸化ベンゾイル、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエートなどの有機過酸化物やアゾビスシアノ吉草酸、アゾビスイソブチロニトリルなどの有機アゾ化合物などを用いることができる。
前記ラジカル重合開始剤の使用量は、アクリル系単量体成分の0.1〜20重量%とすることができる。
水にアクリル系単量体成分とラジカル重合開始剤とを加えて分散させる方法としては、アクリル系単量体成分とラジカル重合開始剤とを混合したものを、分散安定剤を含む水に加えて、ディスパーやホモジナイザーなどの公知の撹拌機を用いて撹拌する方法が一般的である。
前記分散安定剤としては、特に限定されないが、親水性を有する高分子化合物であることが好ましい。具体的には、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸およびその塩などが挙げられる。
また、分散性を向上させるために、ノニオン性やアニオン性の界面活性剤を前記分散安定剤と併用することができる。
一般的に懸濁重合では、原料分散液中での粒子径がそのままアクリル樹脂粒子の粒子径となることが多い。このため、アクリル樹脂粒子の平均粒径を0.5〜5μmの範囲にするためには、前記原料分散液中での平均粒径を0.5〜5μmに調整しておくことが好ましい。前記原料分散液中での平均粒径は、撹拌回転数、アクリル系単量体成分の濃度、分散安定剤の種類および濃度、併用する界面活性剤の種類および濃度などを適宜調整することによって制御することができる。
このようにして得られた原料分散液を水中に加え、100℃以下のラジカル重合開始剤が機能するような温度で加熱することによって、アクリル樹脂粒子水分散体が得られる。この水分散体からアクリル樹脂粒子のみをフリーズドライや遠心分離によって取り出すことは可能であるが、アクリル樹脂粒子の塗料中での分散安定性を考慮すると、アクリル樹脂粒子は水分散体として、水性プライマー塗料の製造に用いられることが好ましい。
前記アクリル樹脂粒子水分散体の樹脂固形分は、20〜50重量%であることが好ましい。20重量%未満では水分散体中の樹脂粒子量が少ないため経済的ではなく、50重量%を超えると製造が困難となる。
<他のプライマー用樹脂成分>
他のプライマー用樹脂成分としては、酸無水物変性塩素化ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂などが好ましく挙げられる。
(酸無水物変性塩素化ポリオレフィン樹脂)
前記酸無水物変性塩素化ポリオレフィンは、塩素化ポリオレフィン部分と、この塩素化ポリオレフィン部分に結合した酸無水物部分とを含むポリオレフィン誘導体である。
塩素化ポリオレフィン部分は、塩素原子が置換したポリオレフィンからなる部分である。
また、酸無水物部分は、例えば、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸などの酸無水物に由来する基を含有し、グラフトして得られる変性された部分である。酸無水物部分は、1種または2種以上の酸無水物に由来する基からなる部分であってもよい。酸無水物変性塩素化ポリオレフィンは、ポリオレフィンを酸無水物および塩素と反応させて内部変性したものであり、例えば、ポリオレフィンに対して塩素および酸無水物を反応させて製造される。ここで、塩素および酸無水物はどちらを先に反応させてもよい。塩素との反応は、例えば、ポリオレフィンを含む溶液に塩素ガスを導入することによって行われる。また、酸無水物との反応は、例えば、過酸化物の存在下、ポリオレフィン(または塩素化ポリオレフィン)に酸無水物を反応させることによって行われる。
前記ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンや、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−イソプレン共重合体などの共重合体や、エチレン、プロピレンおよび炭素数8以下のアルケンから選ばれた少なくとも1種の単量体を重合して得られる重合体などを挙げることができ、1種または2種以上を併用してもよい。中でも、ポリプロピレンを用いることが、入手のし易さ、密着性が高くなる点で好ましい。また、上記変性に用いられる酸無水物としては、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸などが挙げられる。
酸無水物変性塩素化ポリオレフィンの塩素含有率は、好ましくは10〜30重量%、さらに好ましくは18〜22重量%である。塩素含有率が10重量%未満であると、溶剤溶解性が低下し、その乳化が困難になる傾向がある。他方、塩素含有率が30重量%超であると、ポリプロピレンなどのプラスチック素材に対する密着性が低下する傾向がある。
酸無水物変性塩素化ポリオレフィンの酸無水物含有率は、1〜10重量%の範囲にあることが好ましく、3〜7重量%の範囲にあることがさらに好ましい。酸無水物含有率が1重量%未満であると、乳化性が低下する傾向がある。他方、酸無水物含有率が、10重量%を超えると、酸無水物基が多くなりすぎ、耐湿密着性が低下する傾向がある。
酸無水物変性塩素化ポリオレフィンは、その重量平均分子量が20000〜200000の範囲にあることが好ましく、30000〜120000の範囲にあることがより好ましい。重量平均分子量が20000未満であると、このプライマー塗料組成物から得られるプライマー塗膜の強度が低下し、密着性も低くなる傾向がある。他方、重量平均分子量が200000を超えると、粘度が高くなり、乳化しにくい傾向がある。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーのスチレン換算値である。
前記酸無水物変性塩素化ポリオレフィンは、疎水性が高く、水に安定的に分散させることが困難であるので、通常、乳化剤や中和剤を使用してエマルション化させ、エマルション樹脂として用いる。
乳化剤の配合割合は、酸無水物変性塩素化ポリオレフィン、中和剤や水の配合割合によって適宜設定されるが、例えば、酸無水物変性塩素化ポリオレフィン100重量%に対して2〜50重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましい。乳化剤が2重量%未満であると、エマルションの貯蔵安定性が低下するとともに、後述のエマルションの製造工程において、重合途中に凝集や沈降がおこり易くなる傾向がある。他方、50重量%を超えると、乳化剤が被膜中に多量に残り、被膜の耐湿密着性や耐候性が低下する傾向がある。
乳化剤としては、特に限定はないが、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテルや、ポリオキシエチレンステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪族エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレンポリオール、アルキロールアミドなどのノニオン型乳化剤;アルキル硫酸エステル塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンステアリルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩などのアニオン型乳化剤;ステアリルベタインやラウリルベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性乳化剤;ポリオキシエチレン基含有ウレタン樹脂、カルボン酸塩基含有ウレタン樹脂などの樹脂型乳化剤、イミダゾリンラウレート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルベタイン、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライドなどのカチオン型乳化剤などを挙げることができ、これらは1種または2種以上を使用することができる。これらの中でも、ノニオン型乳化剤は、親水性の高いイオン性極性基を有しないため被膜の耐湿密着性を良好とさせ、好ましい。
中和剤の配合割合も、酸無水物変性塩素化ポリオレフィン、乳化剤や水の配合割合によって設定され、特に、酸無水物変性塩素化ポリオレフィンや乳化剤などに含まれる酸性官能基(例えば、酸無水物基やカルボキシル基)を十分に中和することを考慮して配合されるが、例えば、酸無水物変性塩素化ポリオレフィンに含まれる酸性官能基1当量に対し、好ましくは0.2〜10当量、より好ましくは0.5〜4当量である。0.2当量未満では乳化が不十分となり、10当量を超えると残存した中和剤などが耐湿密着性を低下させたり、脱塩素化を促進する傾向がある。
中和剤の配合によって定まるエマルションのpHは、好ましくは7〜11、さらに好ましくは7.5〜10.5、最も好ましくは8〜10である。エマルションのpHが7未満であると、中和が十分ではなく、エマルションの貯蔵安定性が低下する傾向がある。他方、エマルションのpHが11を超えると、遊離の中和剤がエマルション中に過剰に存在することとなり、中和剤臭が強くなり、使用しにくくなる傾向がある。
中和剤は、塩素化ポリオレフィン樹脂が有する酸無水物基および/またはカルボキシル基に付加するか、および/または、これらの基を中和して、変性塩素化ポリオレフィンの親水性を高め、エマルションの貯蔵安定性を向上させる働きをする。
中和剤としては、後述の有機系強塩基が必須であり、必要に応じて通常の有機系アミンやアンモニアを併用しても良い。
通常の有機系アミンとしては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、N−メチルモルホリンなどのモノアミン類;エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、イソホロンジアミン、トリエチレンジアミン、ジエチレントリアミンなどのポリアミン類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノールなどのアルカノールアミン類などを挙げることができる。
水の配合割合は、エマルション全体の50〜95重量%が好ましく、60〜85重量%がより好ましく、65〜80重量%が最も好ましい。水の配合割合が50重量%未満であると、エマルション中の不揮発分が多くなりすぎ、凝集などが生じ易く、エマルションの貯蔵安定性が低下する傾向がある。他方、水の配合割合が95重量%を超えると、後述のエマルションの製造工程において、生産効率が悪くなるほか、エマルションをプライマー塗料組成物に用いた場合、その不揮発分が低くなり、塗布作業性が低下する傾向がある。エマルション中の酸無水物変性塩素化ポリオレフィンを主成分とするポリマー粒子の平均粒径については、特に限定はないが、0.01〜1μmが好ましく、0.05〜0.5μmがより好ましい。ポリマー粒子の平均粒径が0.01μm未満であると、乳化剤が多量に必要となり、被膜の耐水性や耐候性が低下する傾向がある。他方、ポリマー粒子の平均粒径が1μmを超えると、エマルションの貯蔵安定性が低下するとともに、ポリマー粒子の体積が大きすぎて、塗膜化するための溶融熱量や時間を多く必要とする。さらに、得られる塗膜の外観や耐湿密着性、耐溶剤性などが低下する傾向がある。
酸無水物変性塩素化ポリオレフィンの乳化方法は、公知の方法でよく、例えば、酸無水物変性塩素化ポリオレフィンと、乳化剤、中和剤、必要により溶剤を用いて加熱またはそのまま溶解し、市販の乳化機にて水中に乳化させたり、あるいは、酸無水物変性塩素化ポリオレフィンと、乳化剤、必要により溶剤を用いて加熱またはそのまま溶解し、市販の乳化機にて中和剤を添加した水中に乳化させたりする。また、逆に、酸無水物変性塩素化ポリオレフィンと、乳化剤、中和剤、必要により溶剤を用いて加熱またはそのまま溶解した有機相に、水を攪拌下ゆっくりと添加して転相乳化させたり、あるいは、酸無水物変性塩素化ポリオレフィンと、乳化剤、必要により溶剤を用いて加熱またはそのまま溶解した有機相に、中和剤を添加した水を攪拌下ゆっくりと添加して転相乳化させたりしてもよい。
上述の乳化方法に用いられる溶剤としては、例えば、キシレンおよびトルエン、ソルベッソ−100(エクソン社製)などの芳香族系溶剤や、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルおよびプロピレングリコール−n−プロピルエーテルなどのエチレングリコール系またはプロピレングリコール系溶剤などが挙げられる。
上記酸無水物変性塩素化ポリオレフィン樹脂は、本発明にかかるプライマー塗料組成物に、樹脂固形分を基準として、例えば、20〜30重量%の範囲内で配合することが好ましい。
(ポリウレタン樹脂)
前記ポリウレタン樹脂は、塗膜の柔軟性を高める成分であり、その種類としては、特に限定されないが、例えば、イソシアネート基とポリオールを反応させて鎖延長されたポリウレタン樹脂が好ましい。
前記ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオールなどが挙げられる。ポリオールの市販品としては、ユリアーノシリーズ(荒川化学社製)、オレスターシリーズ(三井化学社製)、アロタンシリーズ(日本触媒社製)などがある。
前記ポリウレタン樹脂としては、ポリオール変性物をエマルション化したものやディスパージョン化したものが良い。例えば、乳化剤の存在下、あらかじめジオールとジイソシアネートを反応させて得られるプレポリマーを水中に分散させながら、強制または自己乳化して得られるディスパージョンが挙げられる。前記ディスパージョンにおいては、分散性を高めるために、カルボキシル基を有するジメチロールブタン酸などや、スルホン酸基を有する5−スルホソジウムイソフタル酸ジメチルなどを含んでいても良い。
上記ポリウレタン樹脂の含有量は、本発明にかかるプライマー塗料組成物に、樹脂固形分を基準として、例えば、25〜35重量%の範囲内で配合することが好ましい。
<粒状白色導電剤>
本発明のプライマー塗料組成物に用いられる粒状白色導電剤は、プライマー塗料組成物に導電性を付与する。
前記粒状白色導電剤の平均1次粒径は0.1〜0.5μmであることが好ましい。0.1μm未満では隠ぺい性不足となるおそれがあり、0.5μmを超えると塗膜の平滑性が低下するおそれがある。アスペクト比が5以下のものが好ましい。
前記粒状白色導電剤としては、従来公知のものを用いることができ、特に限定されるものではないが、例えば、粒状の二酸化チタンなどの表面に、アンチモン、リンから選ばれる少なくとも1種の元素を固溶(ドープ)した酸化スズを含む導電層を被覆したものが好ましく挙げられる。
粒状の二酸化チタン粒子などに前記導電性を被覆する方法としては、例えば、二酸化チタン粒子を懸濁した液に、スズ化合物を含む溶液とアンチモン、リンから選ばれる少なくとも1種の元素の化合物を含む溶液を加えて、沈殿を生成させ、得られた生成物を加熱焼成する方法が挙げられる。
粒状二酸化チタン粒子などの表面に導電層、すなわち、導電性被覆を形成することは、公知の他の技術を用いることでも実現できる。
すなわち、アンチモン固溶酸化スズの被覆は、例えば、特開昭63−233016号公報に記載の方法を用いて実施することができる。特開昭63−233016号公報に記載の方法は、二酸化チタンの懸濁液に、塩化スズ溶液と塩化アンチモン溶液を添加し、塩化スズ、塩化アンチモンを加水分解して二酸化チタンの粒子表面に酸化スズ水和物および酸化アンチモン水和物の被覆層を形成した後、固液分離し、加熱焼成する方法である。この方法では、塩化スズ、塩化アンチモンの加水分解はアルカリを添加しながら懸濁液のpHが2〜6の範囲に保持するように行われるが、使用するスズ化合物、アンチモン化合物の種類によっては、懸濁液のpHが8〜12の範囲で中和してもよい。被覆層に含まれる酸化スズ水和物の量は、二酸化チタン粒子の表面積1m当り、SnO換算で0.005〜0.25gの範囲が好ましく、0.025〜0.15gの範囲がさらに好ましい。また、酸化アンチモン水和物の量は、酸化スズ水和物に対し、Sb/Sn原子比で0.008〜0.40の範囲が好ましく、更に好ましい範囲は0.04〜0.32である。加熱焼成には、流動炉、静置炉、ロータリーキルン、トンネルキルンなどの公知の加熱焼成炉を用いることができ、400〜800℃の範囲の温度で加熱焼成するのが好ましく、500〜700℃がより好ましい。また、焼成時の雰囲気は、酸化性雰囲気下、還元雰囲気下、不活性雰囲気下のいずれでもよく、大気中でもよい。酸化スズの被覆量は二酸化チタンに対してSnOとして1〜50重量%程度が好ましく、より好ましくは5〜30重量%程度である。アンチモンの含有量は酸化スズ(SnO)に対してSbとして5〜30重量%程度が好ましく、より好ましくは10〜25重量%程度である。
リン固溶酸化スズの被覆は例えば、WO2005/008685号パンフレットに記載の方法を用いることができる。WO2005/008685号パンフレットに記載の方法は、二酸化チタンの懸濁液に、塩化スズなどのスズ化合物溶液とリン酸などのリン化合物溶液を添加し、スズ化合物、リン化合物を共沈させ、粒子表面に酸化スズ水和物およびリンの被覆層を形成した後、固液分離し、加熱焼成する方法である。この方法では、スズ化合物、リン化合物の共沈は、アルカリを用い、好ましくはpHが2〜6の範囲、または、pHが8〜12の範囲で中和することで行える。被覆層に含まれる酸化スズ水和物の量は、粒状二酸化チタン粒子の表面積1m当り、SnO換算で0.015〜0.3gの範囲が好ましく、0.03〜0.3gの範囲がより好ましく、0.05〜0.2gの範囲が更に好ましい。また、リンの量は、酸化スズ水和物に対し、P/Sn原子比で0.10〜0.50の範囲が好ましく、0.13〜0.40の範囲がより好ましい。加熱焼成には、流動炉、静置炉、ロータリーキルン、トンネルキルンなどの公知の加熱焼成炉を用いることができ、600〜950℃の範囲の温度で加熱焼成するのが好ましく、800〜900℃がより好ましい。また、焼成時の雰囲気は、酸化性雰囲気下、還元雰囲気下、不活性雰囲気下のいずれでもよいが、焼成後における冷却の際の雰囲気には注意が必要になる場合がある。すなわち、急冷の場合は、酸化性雰囲気下、還元雰囲気下、不活性雰囲気下のいずれでもよく特に酸素濃度を制御する必要がないが、徐冷の場合、低酸素濃度、還元雰囲気下、不活性雰囲気下で行うのが好ましい。酸化スズの被覆量は二酸化チタンに対してSnOとして1〜50重量%程度が好ましく、より好ましくは5〜30重量%程度である。リンの含有量は酸化スズに対してP/Sn原子比として0.10〜0.50程度が好ましく、より好ましくは0.13〜0.40程度である。
なお、pH調整、中和などに用いる酸、アルカリには公知の化合物を用いることができる。そのような化合物としては、硫酸、塩酸、弗酸などの無機酸、酢酸、ギ酸などの有機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、アンモニア、炭酸アンモニウム、硝酸アンモニウムなどのアンモニウム化合物などが挙げられる。
本発明にかかるプライマー塗料組成物における粒状白色導電剤の含有量は、プライマー塗料組成物固形分に対し55〜75重量%の範囲内である。粒状白色導電剤の含有量が55重量%未満であると静電塗装に必要な導電性が得られにくい傾向があり、他方、白色導電剤の含有量が75重量%を超えると塗膜の平滑性や密着性が低下する傾向がある。
<溶剤>
本発明にかかるプライマー塗料組成物中の水の配合割合は、プライマー塗料組成物全体に対して、好ましくは50〜90重量%、さらに好ましくは60〜80重量%である。水の配合割合が50重量%未満であると、塗料粘度が高くなり、貯蔵安定性や、塗装作業性が低下する。他方、水の配合割合が90重量%を超えると、プライマー塗料組成物中の不揮発分量の割合が低下し、塗装効率が悪くなり、タレ、ワキなどの外観異状が生じやすくなる。なお、プライマー塗料組成物は、有機溶剤をさらに含んでもよく、その配合割合は、通常、プライマー塗料組成物に含まれる水に対して40重量%以下である。
前記有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタンなどの脂環式炭化水素類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミルなどのエステル類;n−ブチルエーテル、イソブチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、n−プロピレングリコール、イソプロピレングリコールなどのアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのセロソルブ類;ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのカービトール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどのプロピレングリコールアルキルエーテル類;ジオキサン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジアセトンアルコールなどのその他の溶剤類などを挙げることができる。なお、溶剤は、先のアクリル樹脂粒子水分散体、酸無水物変性塩素化ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂やその他の成分に由来するものも含まれる。
<その他の成分>
本発明にかかるプライマー塗料組成物において用いられる白色導電剤について、その製造段階で1次粒子にするための分散を良好にすることと、その塗料中での2次凝集防止や沈降防止などの配慮から、分散剤を用いてもよく、具体的には、例えば、カルボキシル基含有化合物、カルボキシルエステル含有化合物、スルホン基含有化合物、スルホン酸エステル含有化合物、リン酸基含有化合物、リン酸エステル含有化合物および上記各官能基やエステル基を含む樹脂(アクリル樹脂など)などを使用することができる。さらに界面活性剤を用いることもできる。
また、必要に応じて、例えば、無機充填剤、有機改質剤、安定剤、可塑剤、添加剤などの公知の補助配合剤を含有させることができる。
〔水性ベース塗料〕
本発明の塗膜形成方法などに用い得る水性ベース塗料は、プライマー塗料組成物を塗装したのち、焼き付けて硬化させることなく、そのままプライマー塗料組成物の未硬化膜上に静電塗装される塗料であり、クリヤー塗料に先立って使用される。
前記水性ベース塗料は、隠ぺい率が低いものほど、外装用ブラスチック成形品表面に、色鮮やかな外観を与えることができる。
前記水性ベース塗料に含まれるベース用樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、ビニル樹脂、繊維素樹脂などが挙げられ、1種のみ、または、2種以上を併用してもよい。硬化剤をさらに含むものであってもよい。
水性ベース塗料には、例えば、着色顔料や体質顔料が含まれている。
前記着色顔料としては、例えば、二酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、クロム酸鉛、カーボンブラックなどの無機顔料;アゾレーキ系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、金属錯体顔料などの有機顔料などが挙げられ、また、前記体質顔料としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、シリカなどが挙げられる。これらを、1種のみ、または、2種以上を併用してもよい。
水性ベース塗料は、必要に応じて、公知の補助配合剤を含有させることができる。補助配合剤としては、例えば、無機充填剤、有機改質剤、安定剤、可塑剤、添加剤などが挙げられる。
〔クリヤー塗料〕
本発明の塗膜形成方法などに用い得るクリヤー塗料は、水性ベース塗料を塗装したのち、そのまま水性ベース塗料の未硬化膜上に静電塗装され、つまり、3層塗膜のトップ層(最上層)を形成させるのに用いられる塗料であり、優れた耐候性や耐溶剤性などの物性を硬化塗膜に付与する。
前記クリヤー塗料としては、特に限定されず、従来公知のものを用いればよいが、例えば、硬化剤がイソシアネートである2液クリアー塗料(例えば、2液硬化型ウレタン塗料)が好ましい。得られるクリヤー塗膜の外観が良好で、耐酸性にも優れたものとなるからである。
硬化剤として用いるイソシアネートとしては、分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する無黄変タイプの化合物(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートやイソホロンジイソシアネートなどのアダクト体、ヌレート体、ビューレット体など)などを挙げることができる。市販の硬化剤としては、例えば、住化バイエル社製のディスモジュール3600やスミジュール3300、日本ポリウレタン社製のコロネートHX、三井武田ケミカル社製のタケネートD−140NL、D−170N、旭化成社製のデュラネート24A−90PX、THA−100などを挙げることができる。
市販のクリヤー塗料としては、例えば、2液硬化型ウレタン塗料である日本ビー・ケミカル社製のR2500などを挙げることができる。
〔塗膜形成方法〕
次に、本発明にかかる塗膜形成方法の好ましい実施形態として、その塗膜形成工程の操作について詳しく説明する。
塗膜形成工程は、各塗料を塗り重ねる塗装工程と焼付け工程とに分けられる。
<塗装工程>
塗装工程は、さらに細分化すると、プライマー塗料塗装工程と、ベース塗料塗装工程と、クリヤー塗料塗装工程とに分けられる。
まず、プライマー塗料塗装工程は、外装用プラスチック成型品の表面に本発明の水性白色導電プライマー塗料組成物を塗装する工程である。プライマー塗料組成物を塗るのに先立って、必要に応じて、外装用プラスチック成型品を洗浄、脱脂しておいてもよい。プライマー塗料組成物は、例えば、スプレー塗装、刷毛塗り、ロール塗り、流し塗りなどの手法で塗ることができる。
前記プライマー塗料組成物の塗布量(乾燥膜厚)は、10〜30μmである。10μm未満では隠ぺい性不足となり、30μmを超えるとワキやタレが発生し易くなる。好ましくは10〜15μmである。
プライマー塗料塗装工程では、塗装後に焼き付けて硬化させずにそのままにしておき、次のベース塗料塗装工程でベース塗料がプライマー塗料組成物の未硬化膜上に塗り重ねられる。
外装用プラスチック成形品の表面にプライマー塗料組成物を塗布した後、得られたプライマー塗料組成物の未硬化膜の乾燥が行われる。この乾燥は、自然乾燥および強制乾燥のいずれで行ってもよい。強制乾燥としては、例えば、温風乾燥や、近赤外線乾燥、電磁波乾燥などのいずれで行ってもよい。乾燥を行う際には、得られたプライマー塗料組成物の未硬化膜の不揮発分を、例えば、90〜100重量%になるように調整することが好ましい。
次に、ベース塗料塗装工程は、プライマー塗料組成物の未硬化膜上に、ベース塗料を静電塗装する工程である。
水性ベース塗料の塗布量(乾燥膜厚)は、10〜30μmである。10μm未満では本来の色相が得られづらくなり、30μmを超えるとワキやタレが発生し易くなる。好ましくは15〜20μmである。
水性ベース塗料塗装工程では、ベース塗料の未硬化膜およびプライマー塗料組成物の未硬化膜からなる複層膜は、焼き付けて硬化させずにそのままにしておく。
最後に、クリヤー塗料塗装工程は、ベース塗料塗装工程で得られたベース塗料の未硬化膜の表面に、クリヤー塗料を静電塗装する工程である。
クリヤー塗料の塗布量(乾燥膜厚)は、10〜40μmである。10μm未満では仕上がり不良となり、40μmを超えるとワキやタレが発生し易くなる。好ましくは20〜30μmである。
以上のようにして、外装用プラスチック成型品の表面に、プライマー塗料組成物、ベース塗料およびクリヤー塗料をこの順番に塗り重ねて、各塗料成分からなる3層の未硬化膜を外装用プラスチック成型品表面に形成し、次の焼き付け工程が行われる。
プライマー塗料組成物、ベース塗料およびクリヤー塗料の選択に当たっては、焼き付け工程で十分に硬化乾燥できる塗料を選択する必要がある。乾燥が不十分で水または溶剤が硬化塗膜内部に残存すると、硬化塗膜において、耐水性および耐溶剤性などの性能が低下し易くなる。
<焼き付け工程>
焼き付け工程は、前述の塗装工程で形成された、プライマー塗料組成物、ベース塗料およびクリヤー塗料からなる3層の未硬化膜を同時に焼き付けて、外装用プラスチック成型品の表面に、プライマー塗膜、ベース塗膜およびクリヤー塗膜の3層から構成される硬化塗膜を形成する工程である。
焼き付け温度は、迅速な硬化と外装用プラスチック成型品への変形防止との兼ね合いから、例えば、110〜130℃とすることが好ましい。より好ましくは、120〜130℃である。
焼き付け時間は、通常10〜60分間であり、好ましくは15〜50分間、さらに好ましくは20〜40分間である。焼き付け時間が10分間未満であると、塗膜の硬化が不十分であり、硬化塗膜において、耐水性および耐溶剤性などの性能が低下する。他方、焼き付け時間が60分間を超えると、硬化しすぎでリコートにおける密着性などが低下し、塗装工程の全時間が長くなり、エネルギーコストが大きくなる。なお、この焼付け時間は、外装用プラスチック成型品表面が実際に目的の焼付け温度を保持しつづけている時間を意味し、より具体的には、目的の焼付け温度に達するまでの時間は考慮せず、目的の温度に達してから該温度を保持しつづけているときの時間を意味する。
各塗料の未硬化膜を同時に焼き付けるのに用いる加熱装置としては、例えば、熱風、電気、ガス、赤外線などの加熱源を利用した乾燥炉などが挙げられ、また、これら加熱源を2種以上併用した乾燥炉を用いると、乾燥時間が短縮されるため好ましい。
以下に、実施例および比較例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下では、便宜上、「重量部」を単に「部」、「重量%」を「%」と記すことがある。
〔製造例1:アクリル樹脂粒子水分散体の製造〕
<製造例1−1:アクリル樹脂粒子水分散体Aの製造>
脱イオン水118部とPVA218EE(クラレ社製のポリビニルアルコール)6部とニューコール714(日本乳化剤社製のアニオン性界面活性剤)3部との混合物に、アクリル系単量体成分としてのメタクリル酸グリシジル30部、メタクリル酸ラウリル13部、アクリル酸n−ブチル1部およびスチレン56部、ならびに、ラジカル重合開始剤としてのラウリルパーオキサイド2部を混合したものを加えた。これをホモジナイザーを用いて8000rpmで30分間撹拌して、原料分散液を得た。SALD−2200(島津製作所社製レーザ回折式粒度分布測定装置)を用いて測定した原料分散液中の樹脂粒子の平均粒径は0.5μmであった。この原料分散液を、80℃に加熱した脱イオン水137部に、撹拌しながら2時間かけて滴下し、滴下終了後、そのまま4時間撹拌を継続した。冷却後、400メッシュの篩でろ過してアクリル樹脂粒子水分散体Aを得た。この水分散体中のアクリル樹脂粒子の平均粒径をSALD−2200を用いて測定したところ、0.8μmであった。
<製造例1−2:アクリル樹脂粒子水分散体Bの製造>
上記製造例1−1において、PVA217EEの量を4.5部に減らし、アクリル系単量体成分を、メタクリル酸グリシジル50部、メタクリル酸2−エチルヘキシル28部およびアクリル酸n−ブチル22部に変更し、原料分散液を製造する際の撹拌を回転数5000rpmでの5分間の撹拌に変更したこと以外は同様にして、4.8μmの平均粒径を有するアクリル樹脂粒子の水分散体Bを得た。
〔製造例2:比較用アクリルエマルションの製造〕
<製造例2−1>
脱イオン水80部と、アクリル系単量体成分としてのメタクリル酸グリシジル50部、メタクリル酸2−エチルヘキシル30部およびメタクリル酸n−ブチル20部と、ニューコール710(日本乳化剤社製のノニオン性界面活性剤)5部およびニューコール740(日本乳化剤社製のノニオン性界面活性剤)5部とを混合し、ホモジナイザーによって乳化して、プレ乳化液を得た。このプレ乳化液を、75℃に加熱した脱イオン水150部に、撹拌しながら3時間かけて滴下した。また、プレ乳化液の滴下と平行して、重合開始剤としての過硫酸アンモニウム0.3部を水30部に溶解した水溶液を、滴下速度を一定に保ちながら、プレ乳化液の滴下終了時まで反応容器中に滴下した。プレ乳化液の滴下後、そのまま1時間撹拌を継続した後、冷却してアクリルエマルションを得た。このアクリルエマルション中のアクリル樹脂粒子は、その平均粒径が小さすぎてSALD−2200(島津製作所社製レーザ回折式粒度分布測定装置)を用いて測定することはできなかったので、代わりに、ELS−800(大塚電子社製電気泳動光散乱光度計)を用いて測定したところ、390nmであった。
<製造例2−2>
上記製造例1−2において、アクリル系単量体成分を、メタクリル酸グリシジル30部、メタクリル酸2−エチルヘキシル27部、メタクリル酸メチル5部、メタクリル酸n−ブチル15部およびスチレン23部、に変更し、原料分散液を製造したこと以外は同様にして、8.0μmの平均粒径を有するアクリル樹脂粒子の水分散体Cを得た。
〔製造例3:酸無水物変性塩素化ポリオレフィンの製造〕
撹拌羽根、温度計、滴下装置、温度制御装置、窒素ガス導入管および冷却管を備えた反応容器に、無水マレイン酸変性ポリオレフィン「スーパークロン892LS」(日本製紙社製、塩素含有率22%、重量平均分子量7万〜8万)288部、界面活性剤「エマルゲン920」(花王社製)62部、芳香族炭化水素溶剤「ソルベッソ100」(エクソン社製)74部、酢酸カービトール32部を仕込み、110℃まで昇温し、この温度で1時間加熱して樹脂などを溶解させたのち、100℃以下に冷却した。次いで、ジメチルエタノールアミン6部を溶解させたイオン交換水710部を撹拌しながら1時間かけて滴下し、転相乳化した。その後、室温(25℃)まで冷却し、400メッシュの金網でろ過して、無水マレイン酸変性塩素化ポリオレフィンエマルションを得た。このエマルションの不揮発分は30重量%であった。
〔製造例4:ポリウレタンディスパージョンの製造〕
撹拌羽根、温度計、滴下装置、温度制御装置、窒素ガス導入管、サンプル採取管および冷却管付き還流装置を備えた耐圧反応容器に、窒素ガスを通じながらアジピン酸1100部と3−メチル−1,5−ペンタンジオール900部と、テトラブチルチタネート0.5部とを仕込み、容器内液の反応温度を170℃に設定し、脱水によるエステル化反応を行い、酸価が0.3mgKOH/g以下になるまで継続した。次いで、180℃、5kPa以下の減圧条件下で2時間反応を行い、水酸基価112mgKOH/g、酸価0.2mgKOH/gのポリエステルを得た。次いで、上記反応容器と同じ装置のついた別の反応容器に、このポリエステルポリオール500部と、5−スルホソジウムイソフタル酸ジメチル134部およびテトラブチルチタネート2部を仕込み、上記と同じようにして、窒素ガスを通じながら、反応温度を180℃に設定してエステル化反応を行い、最終的に重量平均分子量2117、水酸基価53mgKOH/g、酸価0.3mgKOH/gのスルホン酸基含有ポリエステルを得た。
上記スルホン酸基含有ポリエステル280部、ポリブチレンアジペート200部、1,4−ブタンジオール35部、ヘキサメチレンジイソシアネート118部およびメチルエチルケトン400部を、撹拌羽根、温度計、温度制御装置、滴下装置、サンプル採取口および冷却管付き反応容器に窒素ガスを通じながら仕込み、撹拌しながら液温を75℃に保持してウレタン化反応を行い、NCO含有率が1%であるウレタンプレポリマーを得た。続いて、前記反応容器中の液温を40℃に下げて、十分撹拌しながらイオン交換水955部を均一に滴下して転相乳化を行った。次いで、内部温度を下げて、アジピン酸ヒドラジド13部とイオン交換水110部とを混合したアジピン酸ヒドラジド水溶液を添加してアミン伸長を行った。次いで、若干の減圧状態で60℃に温度をあげて脱溶剤を行い、終了した時点で、ポリウレタンディスパージョンの固形分が35%になるようにイオン交換水を追加して、スルホン酸基含有ポリウレタンディスパージョンを得た。ディスパージョン中のポリウレタン樹脂の酸価は、11mgKOH/gであった。
〔製造例5:顔料分散ペーストの製造〕
<顔料分散樹脂の製造>
撹拌羽根、滴下装置、温度制御装置、窒素ガス導入管および冷却管を備えた反応容器に、プロピレングリコールモノメチルエーテル55部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ、撹拌下120℃まで昇温した。つぎに、2−ヒドロキシエチルメタクリレート12部、メタクリル酸9部、イソブチルメタクリレート35部、n−ブチルアクリレート44部からなる重合性モノマー混合物と、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサナート1部をプロピレングリコール8部に溶解した溶液とを、内部撹拌にてそれぞれ3時間かけて滴下した。次いで、滴下終了後、120℃の状態で1時間熟成反応を行ったのち、さらに、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサナート0.1部をプロピレングリコール4部に溶解した溶液を、1時間かけて反応容器に滴下した。いずれの場合も内部撹拌状態と液温120℃を維持していた。その後、撹拌しながら、120℃で2時間熟成し、ついで、内部温度を70℃まで冷却し、ジメチルアミノエタノール9.5部を滴下して30分撹拌した。さらに内部温度を70℃に保持して撹拌しながら、イオン交換水167部をゆっくりと滴下し、室温(25℃)まで冷却し、水溶性アクリル樹脂溶液を得た。イオン交換水を用いて、不揮発分を30%に調整し、これを、以下の顔料分散ペーストにおけるプライマー用顔料分散樹脂として用いた。得られた顔料分散樹脂(水溶性アクリル樹脂溶液)のpHは8.2で、アクリル樹脂の重量平均分子量は42000であった。
<顔料分散ペーストの製造>
撹拌機のついたステンレス製の円筒撹拌槽に、上記のようにして得たプライマー用顔料分散樹脂13.0部を仕込み、撹拌しながら、イオン交換水20部を添加した。次いで、顔料分散剤「SURFYNOL GA」(エアープロダクツ社製、不揮発分78%)2.0部を撹拌しながら添加した。十分撹拌しながら、消泡剤「ノプコ8034−L」(サンノプコ社製、不揮発分100%)0.4部を添加した。ついで、撹拌を続けながら、白色導電剤としての酸化チタン「ET−500W」(石原産業社製、平均1次粒径0.2〜0.3μm)59部、イオン交換水2.6部、メラミン樹脂「サイメル701」(日本サイテック社製、不揮発分82%)3部を順次添加し、十分撹拌しながら、全体に均一になるまで15分間撹拌を続け、顔料ミルベースを得た。このミルベースをサンドグラインダーミルにより顔料分散し、プライマー用顔料分散ペーストを作製した。このものの不揮発分は67.4%であり、顔料濃度(PWC)87.6%であった。
〔実施例1〕
撹拌装置のついたステンレス製容器に製造例1にかかるアクリル樹脂ディスパージョン100部を仕込み、撹拌しながら表1に記載の他の原料を順次仕込み、実施例1にかかる水性白色導電プライマー塗料組成物を得た。
Figure 0005484779
〔実施例2〜5、比較例1〜6〕
表1に示す割合で原料を用い、実施例1と同様にして、実施例2〜5、比較例1〜6にかかる各水性白色導電プライマー塗料組成物を得た。
〔測定・評価方法〕
本実施例における、白色導電剤の平均粒径、導電性、初期密着、仕上がりの項目は、以下の評価方法・測定方法に基づく。
<平均粒径の測定>
白色導電剤の平均1次粒径は、電子顕微鏡写真により測定した。
<導電性>
イソプロピルアルコールでワイピングしたポリプロピレン素材(70mm×150mm×3mm)の表面中央部に35mmの間隔を空けて、アルミニウムテープを貼り付けて抵抗計電極接触部を設置した後、その表面をマスキングテープでマスキングし、プライマー塗料を、25℃/70%RHの環境下で、「ワイダー71」(アネスト岩田社製)でスプレー塗装(乾燥膜厚15μm)し、80℃で5分間乾燥したのち、プライマー塗膜の抵抗値を「MODEL150」(TREK社製)で測定した。さらに、抵抗計電極接触部をマスキングし、水性ベース塗料「AR−2000」(日本ペイント社製、アクリルメラミン系)を同じ環境下で、「ワイダー71」(アネスト岩田社製)でスプレー塗装(乾燥膜厚15μm)し、80℃で5分間乾燥したのち、プライマー塗膜とベース塗膜の2層塗膜の抵抗値を「MODEL150」(TREK社製)で測定した。
ここで、静電塗装を効率的に行うためには、基材側(ベース塗料の静電塗装時にはプライマー塗膜、クリヤー塗料の静電塗装にはプライマー塗膜とベース塗膜の2層塗膜)の抵抗値が100MΩ以下であることが必要である。
<初期密着>
以下のようにして得られた試験板について、JIS K5600の碁盤目テープ剥離試験を行った。
全く剥離がなかった場合を○、僅かでも剥離が認められた場合を×とした。
試験板は、まず、イソプロピルアルコールでワイピングしたポリプロピレン素材(70mm×150mm×3mm)の表面に、プライマー塗料を、25℃/70%RHの環境下で、「ワイダー71」(アネスト岩田社製)でスプレー塗装(乾燥膜厚15μm)し、80℃で3分間プレヒートした。ついで、水性ベース塗料「AR−2000」(日本ペイント社製、アクリルメラミン系)を、同じ環境下で、「ワイダー71」(アネスト岩田社製)でスプレー塗装(乾燥膜厚15μm)し、80℃で5分間プレヒートした。ついで、クリヤー塗料「R−2500−1」(日本ビー・ケミカル社製のアクリル系クリヤー主剤と日本ビー・ケミカル社製のイソシアネート硬化剤「H−2500−1」からなるもの)を「ワイダー71」(アネスト岩田社製)でスプレー塗装(乾燥膜厚30μm)し、25℃/70%RHで10分間セッティングしたのち、120℃で35分間乾燥した。
初期密着の評価は、このようにして得られた試験板について、20℃/70%RHの環境下に72時間静置した後に行った。
<仕上がり>
イソプロピルアルコールでワイピングしたポリプロピレン素材(70mm×150mm×3mm)の表面に、プライマー塗料を、25℃/70%RHの環境下で、「ワイダー71」(アネスト岩田社製)でスプレー塗装(乾燥膜厚15μm)し、80℃で5分間乾燥したのち、プライマー塗膜の20°光沢値を「micro−TRI−gloss」(BYK社製)で測定した。
光沢値が85以上である場合を○、光沢値が85未満である場合を×とした。
〔結果とその考察〕
表1に示す結果から以下のことが分かる。
実施例1〜5では、プライマー塗料乾燥後の導電性が極めて良好で、ベース塗料の静電塗装を問題なく行い得ることが分かるとともに、ベース塗料乾燥後の導電性も良好であるため、さらにクリヤー塗料を静電塗装する際にも何ら問題を生じないことが分かる。
比較例1は、アクリル樹脂粒子の粒径が本発明の範囲を下回るものであるが、ベース塗料乾燥後の導電性が低く、クリヤー塗料の静電塗装が効率的に行えないものであることが分かる。
比較例2は、アクリル樹脂粒子の粒径が本発明の範囲を上回るものであるが、塗膜表面が粗く、仕上がりが悪いことが分かる。
比較例3は、アクリル樹脂粒子の配合量が本発明の範囲を下回るものであるが、ベース塗料乾燥後の導電性が低く、クリヤー塗料の静電塗装が効率的に行えないものであることが分かる。
比較例4は、アクリル樹脂粒子の配合量が本発明の範囲を上回るものであるが、アクリル樹脂粒子の配合量が多いことで、相対的に、他の樹脂の配合量を少なくする必要があるため、塗膜性能の低下を招くことが分かる。具体的には、この比較例4では、酸無水物変性塩素化ポリオレフィンの配合量を少なくしたため、基材とプライマー塗膜間での剥離を起こし、初期密着が悪いものであった。
比較例5は、白色導電剤の配合量が本発明の範囲を下回るものであるが、導電性が十分に付与されず、ベース塗料乾燥後の導電性が低いため、クリヤー塗料の静電塗装が効率的に行えないものであることが分かる。
比較例6は、白色導電剤の配合量が本発明の範囲を上回るものであるが、凝集力の低下を招き、初期密着が悪く、また、塗膜表面が粗くなり仕上がりも悪くなっていることが分かる。
〔実施例6〕
<外装用プラスチック成型品への塗膜形成>
上記実施例1〜5にかかる各水性白色導電プライマー塗料組成物を用い、下記のとおりの操作を行って、実際に、外装用プラスチック成型品上に複層塗膜を形成したところ、いずれにおいても、色鮮やかな外観を有する複層塗膜を、ベース塗料、クリヤー塗料ともに高い塗着効率で静電塗装により形成させることができた。
イソプロピルアルコールでワイピングしたポリプロピレン素材(70mm×150mm×3mm)の表面に、25℃/70%RHの環境下で、「ワイダー71」(アネスト岩田社製)によりスプレー塗装(乾燥膜厚15μm)し、80℃で5分間乾燥した後、その上に、水性ベース塗料「AR−2000」(日本ペイント社製、アクリルメラミン系)を同じ環境下で、新カートリッジベルを使用して静電塗装(ガン距離:200mm、ガン速度:900mm/s、印加電圧:−60kV、回転数:35000rpm、シェーピングエアー圧:0.15MPa)条件下でスプレー塗装(乾燥膜厚15μm)し、80℃で5分間乾燥した。次いで、その上に、クリヤー塗料「R2500−1」(日本ビー・ケミカル社製のアクリル系クリヤー主剤と日本ビー・ケミカル社製のイソシアネート硬化剤「H−2500−1」からなるもの)を、ロボベル951を使用して静電塗装(ガン距離:170mm、ガン速度:700mm/s、印加電圧:−60kV、回転数:25000rpm、シェーピングエアー圧:0.07MPa)条件下でスプレー塗装(乾燥膜厚25μm)した。その後、10分間セッティングした後、120℃で35分間乾燥し、外装用プラスチック成型品上に複層塗膜を形成した。
本発明にかかる水性白色導電プライマー塗料組成物および外装用プラスチック成型品への塗膜形成方法は、外装用プラスチック成型品、例えば、バンパー、スポイラー、グリル、フェンダーなどの自動車外装品や、家庭電化製品の外板部などの表面に好適に使用することができる。

Claims (2)

  1. 外装用プラスチック成形品の表面塗装に用いられる水性白色導電プライマー塗料組成物において、
    アクリル樹脂粒子を必須の樹脂成分として含有するとともに、粒状白色導電剤を導電剤として含有し、前記アクリル樹脂粒子は、その平均粒径が0.5〜5μm、その含有割合が樹脂固形分に対して15〜40重量%であり、前記粒状白色導電剤はその含有割合が塗料固形分に対して55〜75重量%である、
    ことを特徴とする、水性白色導電プライマー塗料組成物。
  2. 外装用プラスチック成型品の表面に水性白色導電プライマー塗料を乾燥膜厚が10〜30μmになるように塗装し、その上に水性ベース塗料を乾燥膜厚が10〜30μmとなるように静電塗装し、さらにその上にクリヤー塗料を乾燥膜厚が15〜40μmとなるように静電塗装し、3層同時に焼き付ける、外装用プラスチック成型品への塗膜形成方法において、
    前記水性白色導電プライマー塗料として、請求項1に記載の水性白色導電プライマー塗料組成物を用いる、
    ことを特徴とする、外装用プラスチック成型品の塗膜形成方法。
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