JP5484682B2 - 無線通信装置、イコライザ、イコライザ重み係数演算プログラムおよびイコライザ重み係数演算方法 - Google Patents
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Description
したがって、このような符号間干渉を除去し、伝送品質の劣化を補償するために、例えば、移動局の移動などによる伝送路特性の変化に追従して等化を行う適応イコライザを始めとする、イコライザと呼ばれるフィルタが用いられている。
[第1の実施の形態]
まず、本発明の第1の実施の形態について説明する。
チャネルベクトル生成部12は、無線信号からチャネルベクトルを生成する。このチャネルベクトルは、入力信号であり、すなわち、受信アンテナで受信され、イコライザ10に入力される無線信号である。
チャネルベクトル拡張部14は、チャネルベクトル生成部12によって生成されたチャネルベクトルを、チャネルベクトルの要素を含むとともに拡張相関行列生成部13によって生成される拡張相関行列と行数が一致するように拡張した拡張チャネルベクトルを生成する。
このような無線通信装置1によれば、イコライザ10が有する相関関係生成部11により、無線信号の相関関係が生成され、チャネルベクトル生成部12により、無線信号からチャネルベクトルが生成される。拡張相関行列生成部13により、拡張相関行列が生成され、チャネルベクトル拡張部14により、拡張チャネルベクトルが生成される。重み係数演算部15により、拡張相関行列と、拡張チャネルベクトルとを周波数領域で解くことによって重み係数が算出される。
次に、本実施の形態のイコライザ10の構成について説明する。
本実施の形態のイコライザ10は、受信信号が入力されると、重み係数10a(w´(i))に基づいて生成された復調信号を出力するフィルタである。本実施の形態のイコライザは、トランスバーサルフィルタ(Transversal filter)が用いられているが、必ずしもこれに限られない。
図示しない受信アンテナで受信され、無線通信装置1(図1参照)に入力された無線信号に基づく受信信号が、合成部16に入力される。その一方、受信信号はイコライザ10が有する相関関係生成部11、チャネルベクトル生成部12、拡張相関行列生成部13、チャネルベクトル拡張部14、および重み係数演算部15(図1参照)にも入力され、これに基づいて重み係数10aが算出される。
このようにして合成部16は、入力された上記の受信信号および重み係数10a(w´(i))に基づいて復調信号を生成し、生成した復調信号を出力する。
一般に、トランスバーサルフィルタの重み係数を求めるためのWiener-Hopf方程式(以下、単に「方程式」とする)は、行列表現を用いると、次式(2)によって示される。
図3は、第1の実施の形態の重み係数の演算を示す図である。
図示しない受信アンテナで受信された無線信号に基づく受信信号が、無線通信装置1に入力される。ここで、受信信号には、情報を伝達する情報信号および信号の同期をとるための同期信号の他、イコライザ10から出力される復調信号の目標となる希望応答d(n)と対応するパイロット信号が受信アンテナで受信されたものである受信パイロット信号uが入力される。
相関関係生成部11で生成された相関行列は、拡張相関行列生成部13により拡張されて、拡張相関行列R´が生成される。また、チャネルベクトル生成部12で生成されたチャネルベクトルh(i)は、チャネルベクトル拡張部14により、拡張相関行列R´と同一の次数となるように0を付加されて拡張チャネルベクトルh´(i)に拡張される。拡張相関行列R´および拡張チャネルベクトルh´(i)を用いて拡張した方程式を、次式(6)に示す。
これに基づいて、拡張相関行列R´のうちの一列(例えば、いちばん左端の一列)のみを抽出して抽出ベクトルs(i)とする。この抽出ベクトルs(i)を、次式(8)に示す。
行列変換部15aは、拡張相関行列R´から抽出ベクトルs(i)を抽出し、抽出ベクトルs(i)について高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)を行う。このようにして、行列変換部15aは、抽出ベクトルs(i)の変換結果であるS(k)を生成する。また、本実施の形態の周波数領域における演算に必要なのはs(i)のみなので、拡張相関行列生成部13では、拡張相関行列R´を生成せずに、直接s(i)を生成してもよい。
積算器15dは、ベクトル変換部15bで生成された変換チャネルベクトルH´(k)と、逆数処理部15cで生成された逆行列変換抽出ベクトル1/S(k)とを積算して、積算結果H´(k)/S(k)(式(11)参照)を出力する。
なお、本実施の形態では、相関行列Rなどの拡張時において、行列などの次数を4から8と2倍に増加させている。しかし、相関行列Rの要素(方程式の係数)は、抽出ベクトルs(i)で示すと、抽出ベクトルs(i)中央付近の値(式(8)における、「0」、ならびにその両隣の「d」および「g」)は、小さな値になることがわかっている。
図4は、無線通信装置の機能を示すブロック図である。
本実施の形態の無線通信装置1は、伝送路を介して伝搬し図示しない受信アンテナで受信された無線信号について、伝送路特性に応じた適応等化処理を行う。無線通信装置1は、イコライザ10、および出力部30を有する。また、イコライザ10は、相関関係生成部11、チャネルベクトル生成部12、拡張相関行列生成部13、チャネルベクトル拡張部14、重み係数演算部15、合成部16、目標信号受付部17を有する。
チャネルベクトル生成部12は、無線信号からチャネルベクトル(式(5)参照)を生成する。このチャネルベクトルは、入力信号であり、すなわち、受信アンテナで受信され、イコライザ10に入力される無線信号である。
周波数領域演算部は、ベクトル変換部によって生成された変換ベクトルと、行列変換部によって生成された変換行列とに基づいて重み係数の周波数領域解を算出する。
合成部16は、受信アンテナによって受信された受信信号と、重み係数演算部15によって算出された重み係数とを用いて復調信号を生成する。
なお、拡張相関行列生成部13は、生成した拡張相関行列のすべての対角成分が同一でない場合には、拡張相関行列の対角成分に近似した値を用いてすべての対角成分を同一の値に揃えてもよい。これについては、詳しくは後述する(式(14)参照)。
次に、相関行列の巡回する要素の値が異なる場合について、2倍のサンプリング周波数でオーバーサンプリングしたときの相関行列を示す次式(14)を用いて説明する。
以下に、重み係数演算部15で実行される処理である、繰り返し計算により1次方程式を解く方法である反復計算の例を示す。通常、これらの方式を使って解を正確な値に収束させるまでには、要素数nか、その数倍の繰り返し回数が必要になる。
以下の(1)から(3)の演算により、この共役傾斜法を用いてRw=h(式(2)参照)を解くものとする。ここで、R†=Rを満たす(R†(ダガー)はRのエルミート行列である)。
<Gauss-Seidelの反復法(Gauss-Seidel iteration method)>
以下の(1)から(3)の演算により、このGauss-Seidelの反復法を用いてRw=hを解くことができる。ここで、Rを次式(17)に示す。wを次式(18)に示す。hを次式(19)に示す。
<Gaussの反復法(Gauss iteration method)>
これは、Gauss-Seidel の反復法の右辺のwj (m+1)を、wj (m)にしたものである。以下の(1)から(3)の演算により、このGaussの反復法を用いてRw=hを解くものとする。ここで、R,w,h,は、上記の式(17)から式(19)に示した通りとする。
<LMS(Least Mean Square)>
以下の(1)から(3)の演算により、このLMSアルゴリズムを用いてwを求めることができる。ここで、Mをタップ数(ベクトルである重み係数wの次数)、μをステップサイズパラメータとする。このμは、0<μ<(2/タップ入力電力)を満たすように設定する。このタップ入力電力を、次式(24)に示す。
(2)2つの既知量、時刻nにおける受信パイロット信号u(n)と、希望応答d(n)とに基づいて、次式(25)および次式(26)の演算を行う。
<NLMS(Normalized Least Mean Square)>
以下の(1)から(3)の演算により、このNLMSアルゴリズムを用いてwを求めることができる。ここで、LMSと同様、Mをタップ数(ベクトルである重み係数wの次数)、μをステップサイズパラメータとする。なお、このNLMSのμは、0<μ<2を満たすように設定する。
(2)2つの既知量、時刻nにおける受信パイロット信号u(n)と、希望応答d(n)とに基づいて、上記のLMSで示した式(25)および次式(27)の演算を行う。
<本実施の形態における新たな反復計算>
また、本実施の形態における独自の反復計算の一つとして、重み係数演算部15が、以下の演算(1)から(4)に示す処理を実行することにより、緩和的に解を収束させる方法も適用することができる。相関行列Rと重み係数w(ベクトル)の積Rwを含む方程式を解く計算には、重み係数wの次元をnとして、O(n2)の演算量が必要になるが、上記の重み係数演算部15により、O(nlog2n)の演算量で計算することができる。
(3)次に、次式(30)を解いて、wn、ynを求める。
(4)解が収束するまで(または十分な解が得られるまで)(2)、(3)の演算を繰り返す。このとき、収束の判定条件を、yn=0としてもよい。
図5は、演算量の比較例を示す図である。図5に示す演算量の比較例50は、タップ数(重み係数の個数)Nが20個および40個の場合について、通常の一次方程式を解くときの演算量O(N3)、および本実施の形態の重み係数演算部15が重み係数を算出するときの演算量O(3(2Nlog22n))を比較した表である。
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について説明する。上記の第1の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については同一の符号を用いるとともに説明を省略する。
まず、式(31)から式(40)に基づいて、第2の実施の形態のイコライザ20における重み係数の演算について説明する。
図6は、第2の実施の形態の重み係数の演算を示す図である。
行列変換部25a1,25a2,25a3は、抽出ベクトルs11(i),s21(i),s22(i)について高速フーリエ変換を行う。このようにして、行列変換部25a1,25a2,25a3は、抽出ベクトルs11(i),s21(i),s22(i)の変換結果であるS11(k),S21(k),S22(k)を生成する。
以上、本発明の無線通信装置、イコライザ、イコライザ重み係数演算プログラムおよびイコライザ重み係数演算方法を、図示の実施の形態に基づいて説明したが、上記については単に本発明の原理を示すものである。本発明は上記に示し、説明した正確な構成および応用例に限定されるものではなく、さらに、多数の変形、変更が当業者にとって可能であり、対応するすべての変形例および均等物は、添付の請求項およびその均等物による本発明の範囲とみなされ、各部の構成は同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に他の任意の構成物や行程が付加されてもよい。また、本発明は前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
10 イコライザ
11 相関関係生成部
12 チャネルベクトル生成部
13 拡張相関行列生成部
14 チャネルベクトル拡張部
15 重み係数演算部
16 合成部
Claims (4)
- 無線信号の伝送路特性に応じた等化処理を行う無線通信装置において、
受信した前記無線信号から相関関係を生成する相関関係生成部と、
受信した前記無線信号からチャネルベクトルを生成するチャネルベクトル生成部と、
前記相関関係生成部によって生成された前記相関関係を示す相関行列を含むとともに各行が巡回するように拡張した拡張相関行列を生成する拡張相関行列生成部と、
前記チャネルベクトル生成部によって生成された前記チャネルベクトルを、前記チャネルベクトルの要素を含むとともに前記拡張相関行列生成部によって生成される前記拡張相関行列と行数が一致するように拡張した拡張チャネルベクトルを生成するチャネルベクトル拡張部と、
前記拡張相関行列生成部によって生成された前記拡張相関行列と、前記チャネルベクトル拡張部によって生成された前記拡張チャネルベクトルとを周波数領域で解くことによって得られた解である拡張解を重み係数として算出する重み係数演算部と、
受信アンテナによって受信された受信信号と、前記重み係数演算部によって算出された前記重み係数とを用いて復調信号を生成する合成部と、
を有するイコライザを備え、
前記拡張相関行列生成部は、さらに、生成した前記拡張相関行列の巡回するべき各要素にばらつきがあり、それぞれ同一の値でない前記要素がある場合には、ばらつきがある各前記要素を、近似によってそれぞれ同一の値に揃えることを特徴とする無線通信装置。 - 無線信号の伝送路特性に応じた等化処理を行うイコライザにおいて、
受信した前記無線信号から相関関係を生成する相関関係生成部と、
受信した前記無線信号からチャネルベクトルを生成するチャネルベクトル生成部と、
前記相関関係生成部によって生成された前記相関関係を示す相関行列を含むとともに各行が巡回するように拡張した拡張相関行列を生成する拡張相関行列生成部と、
前記チャネルベクトル生成部によって生成された前記チャネルベクトルを、前記チャネルベクトルの要素を含むとともに前記拡張相関行列生成部によって生成される前記拡張相関行列と行数が一致するように拡張した拡張チャネルベクトルを生成するチャネルベクトル拡張部と、
前記拡張相関行列生成部によって生成された前記拡張相関行列と、前記チャネルベクトル拡張部によって生成された前記拡張チャネルベクトルとを周波数領域で解くことによって得られた解である拡張解を重み係数として算出する重み係数演算部と、
受信アンテナによって受信された受信信号と、前記重み係数演算部によって算出された前記重み係数とを用いて復調信号を生成する合成部と、
を有し、
前記拡張相関行列生成部は、さらに、生成した前記拡張相関行列の巡回するべき各要素にばらつきがあり、それぞれ同一の値でない前記要素がある場合には、ばらつきがある各前記要素を、近似によってそれぞれ同一の値に揃えることを特徴とするイコライザ。 - コンピュータに、無線信号の伝送路特性に応じた等化処理を行うイコライザの重み係数を演算する処理を実行させるイコライザ重み係数演算プログラムにおいて、
前記コンピュータに、
受信した前記無線信号から相関関係を生成するとともに、受信した前記無線信号からチャネルベクトルを生成し、
生成された前記相関関係を示す相関行列を含むとともに各行が巡回するように拡張した拡張相関行列を生成し、
生成された前記チャネルベクトルを、前記チャネルベクトルの要素を含むとともに生成された前記拡張相関行列と行数が一致するように拡張した拡張チャネルベクトルを生成し、
生成された前記拡張相関行列と、生成された前記拡張チャネルベクトルとを周波数領域で解くことによって得られた解である拡張解を重み係数として算出する、
処理を実行させ、
前記拡張相関行列の生成では、さらに、生成した前記拡張相関行列の巡回するべき各要素にばらつきがあり、それぞれ同一の値でない前記要素がある場合には、ばらつきがある各前記要素を、近似によってそれぞれ同一の値に揃えることを特徴とするイコライザ重み係数演算プログラム。 - コンピュータが、無線信号の伝送路特性に応じた等化処理を行うイコライザの重み係数を演算するイコライザ重み係数演算方法において、
受信した前記無線信号から相関関係を生成するとともに、受信した前記無線信号からチャネルベクトルを生成し、
生成された前記相関関係を示す相関行列を含むとともに各行が巡回するように拡張した拡張相関行列を生成し、
生成された前記チャネルベクトルを、前記チャネルベクトルの要素を含むとともに生成された前記拡張相関行列と行数が一致するように拡張した拡張チャネルベクトルを生成し、
生成された前記拡張相関行列と、生成された前記拡張チャネルベクトルとを周波数領域で解くことによって得られた解である拡張解を重み係数として算出する、
処理を含み、
前記拡張相関行列の生成では、さらに、生成した前記拡張相関行列の巡回するべき各要素にばらつきがあり、それぞれ同一の値でない前記要素がある場合には、ばらつきがある各前記要素を、近似によってそれぞれ同一の値に揃えることを特徴とするイコライザ重み係数演算方法。
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