以下、本発明の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には全ての図面を通じて同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の第1態様に係る液晶表示装置を概略的に示す平面図である。図2は、図1に示す液晶表示装置が含んでいる画素の等価回路図である。図3は、図1に示す液晶表示装置の断面図である。図4は、図1に示す液晶表示装置の分解斜視図である。
この液晶表示装置1は、TNモードを採用したノーマリホワイト型の液晶表示装置である。この液晶表示装置1は、図1に示すように、表示パネル2と、ゲートドライバ3と、ソースドライバ4と、コントローラ5とを含んでいる。また、この液晶表示装置1は、図示しないバックライトを更に含んでいる。
表示パネル2は、図3に示す液晶セル21を含んでいる。液晶セル21は、アクティブマトリクス基板211aと、対向基板211bと、図示しないシール層と、液晶層212とを含んでいる。
アクティブマトリクス基板211aは、透明基板2111aと、画素電極2112aと、配向膜2113aとを含んでいる。
透明基板2111aは電気絶縁性である。透明基板211aは、例えば、ガラス又はプラスチックからなる。
画素電極2112aは、透明基板2111aの一方の主面上で二次元的に配列している。画素電極2112aの配列は、図1に示す表示領域AAを規定している。
画素電極2112aは透明電極である。画素電極2112aは、例えば、インジウム錫酸化物などの導電性酸化物からなる。
配向膜2113aは、図3に示すように、画素電極2112aを被覆している。配向膜2113aは、例えば、ラビング処理を施したポリイミド膜である。配向膜2113aは、図4に示すように、例えば、その近傍において、液晶層212が含んでいる液晶分子LC1、例えば棒状分子を第1方向D1に配向させる。
透明基板2111aと配向膜2113aとの間には、画素電極2112aを含んだ回路が設けられている。この回路は、図2に示すように、ゲート線2114と、ソース線2115と、補助容量線2116と、薄膜トランジスタ2117と、キャパシタ2118とを含んでいる。
ゲート線2114及びソース線2115は、互いに交差するように配列している。画素電極2112a、薄膜トランジスタ2117及びキャパシタ2118は、ゲート線2114とソース線2115との交差部に対応して配列している。
薄膜トランジスタ2117のゲート及びソースは、それぞれ、ゲート線2114及びソース線2115に接続されている。薄膜トランジスタ2117のドレインには、画素電極2112aとキャパシタ2118の一方の電極とが接続されている。キャパシタ2118の他方の電極は、補助容量線2116に接続されている。
対向基板211bは、図3に示すように、透明基板2111bと、対向電極2112bと、配向膜2113bとを含んでいる。
透明基板2111bは、配向膜2113aと向き合っている。透明基板2111bは電気絶縁性である。透明基板2111bは、例えば、ガラス又はプラスチックからなる。
対向電極2112bは、透明基板2111bの配向膜2113aとの対向面上に、画素電極2112aと向き合うように設けられている。対向電極2112bは透明電極である。対向電極2112bは、例えば、インジウム錫酸化物などの導電性酸化物からなる。
配向膜2113bは、対向電極2112bを被覆している。配向膜2113bは、例えば、ラビング処理を施したポリイミド膜である。配向膜2113bは、図4に示すように、例えば、その近傍において、液晶層212が含んでいる液晶分子LC1を第2方向D2に配向させる。なお、第2方向D2は、画素電極2112aの主面に垂直な方向、ここではZ方向から見たときに、第1方向D1と交差する方向である。
典型的には、対向基板211bは、カラーフィルタ層を更に含んでいる。カラーフィルタ層は、対向基板211bに設ける代わりに、アクティブマトリクス基板211aに設けてもよい。
図1に示す表示領域AA内であって、図3に示すアクティブマトリクス基板211aと対向基板211bとの間には、図示しない粒状スペーサが配置されている。これら粒状スペーサは、アクティブマトリクス基板211aと対向基板211bとを、一定の間隙を隔てて互いから離間させる役割を果たす。粒状スペーサを使用する代わりに、アクティブマトリクス基板211a及び対向基板211bの少なくとも一方に柱状スペーサを設けてもよい。
図示しないシール層は、アクティブマトリクス基板211aと対向基板211bとの間に介在しており、それら基板211a及び211bを互いに貼り合せている。シール層は、図1に示す表示領域AAを取り囲むように設けられており、図3に示すアクティブマトリクス基板211a及び対向基板211bとともに中空構造を形成している。
液晶層212は、先の中空構造を満たしている液晶材料からなる。この液晶材料は、誘電率異方性が正のネマチック液晶材料である。この液晶材料が含んでいる液晶分子LC1は、電圧無印加状態においてツイスト配向を呈する。
この表示パネル2は、図3及び図4に示すように、第1直線偏光板22aと、第2直線偏光板22bと、第1位相差層23aと、第2位相差層23bとを更に含んでいる。
直線偏光板22a及び22bは、典型的には吸収型の直線偏光板である。図3に示すように、直線偏光板22a及び22bは、それぞれ、アクティブマトリクス基板211a及び対向基板211bと向き合っている。直線偏光板22aは、図4に示すように、Z方向から見たときに第1方向D1と第2方向D2とが成す角度を二等分する第3方向D3に対して斜めに交差した第1透過軸AT1を有している。他方、直線偏光板22bは、Z方向から見たときに第3方向D3に対して第1透過軸AT1と対称の関係にある第2透過軸AT2を有している。
位相差層23aは、図3に示すように、偏光板22aとアクティブマトリクス基板211aとの間に介在している。位相差層23aは、透明基板2111aと配向膜2113aとの間に介在していてもよい。即ち、位相差層23aは、液晶セル21の一部であってもよい。
位相差層23aは、ポジティブA型の位相差層である。位相差層23aは、図4に示すように、Z方向から見たときに第1透過軸AT1及び第1方向D1に対して斜めに交差した第1遅相軸AS1を有している。
位相差層23bは、図3に示すように、偏光板22bと対向基板211bとの間に介在している。位相差層23bは、透明基板2111bと配向膜2113bとの間に介在していてもよい。即ち、位相差層23bは、液晶セル21の一部であってもよい。
位相差層23bは、ポジティブA型の位相差層である。位相差層23bは、図4に示すように、Z方向から見たときに第3方向D3に対して第1遅相軸AS1と対称の関係にある第2遅相軸AS2を有している。位相差層23bは、同一波長の光に対して位相差層23aと同じリターデイションを与える。
図1に示すゲートドライバ3及びソースドライバ4と図2に示す回路とは、駆動回路を構成している。この駆動回路は、表示すべき階調に対応した大きさの駆動電圧を、図2及び図3に示す電極2112a及び2112b間に印加する。
図1に示すゲートドライバ3は、図2に示すゲート線2114及び補助容量線2116に接続されている。ゲートドライバ3は、ゲート線2114に、走査信号を電圧信号として供給する。具体的には、ゲートドライバ3は、薄膜トランジスタ2117を導通状態とする第1走査信号がゲート線2114に順次供給されるように、各ゲート線2114に、この第1走査信号と薄膜トランジスタ2117を非導通状態とする第2走査信号とを交互に供給する。また、ゲートドライバ3は、補助容量線2116に参照電圧を供給する。
図1に示すソースドライバ4は、図2に示すソース線2115に接続されている。ソースドライバ4は、ソース線2115に、表示すべき階調に対応した大きさの駆動電圧を出力する。具体的には、ソースドライバ4は、表示すべき階調が高い場合、即ち、明るい画像を表示させる場合には、電極2112a及び2112b間に比較的小さな電圧が印加されるように大きさを調節された駆動電圧をソース線2115に供給する。そして、ソースドライバ4は、表示すべき階調が低い場合、即ち、暗い画像を表示させる場合には、電極2112a及び2112b間に比較的大きな電圧が印加されるように大きさを調節された駆動電圧をソース線2115に供給する。
コントローラ5は、図1に示すように、ゲートドライバ3及びソースドライバ4に接続されている。コントローラ5は、ゲートドライバ3及びソースドライバ4の動作を制御する。具体的には、コントローラ5は、ゲートドライバ3が第1走査信号を出力するタイミングとソースドライバ4が駆動電圧を出力するタイミングとを制御するのに加え、ソースドライバ4が出力する駆動電圧の大きさを制御する。そして、コントローラ5は、最低階調、例えば黒色を表示するときに、液晶材料が垂直配向するのに必要な電圧と比較してより小さな駆動電圧を電極2112a及び2112b間に印加するように、上述した駆動回路の動作を制御する。例えば、コントローラ5は、最低階調を表示するときに、1.5V乃至3.5Vの駆動電圧を電極2112a及び2112b間に印加するように、上述した駆動回路の動作を制御する。
図示しないバックライトは、表示パネル2の背面側に設けられている。バックライトは、表示パネル2の背面、ここでは偏光板22aを典型的には白色光で照明する。
この液晶表示装置1では、上記の構成を採用するのに加え、最低階調を表示する際に印加する駆動電圧と同じ大きさの電圧を電極2112a及び2112b間に印加した状態で、Z方向から直線偏光板22aを波長が550nmの自然光で照明したときに、液晶層212を透過する光が、配向膜2113a及び2113b間の中間位置で、第3の方向に対して45°傾いた直線偏光となるように、位相差層23aのリターデイション及び第1遅相軸AS1の方位が定められている。この構成を採用すると、正面方向のコントラスト比が向上し、低電圧駆動時に黒色が明るく表示されるのを抑制することができる。
図5は、従来例に係る液晶表示装置において最大駆動電圧が観察方向とコントラスト比との関係に及ぼす影響の一例を示すグラフである。
図5には、TNモードを採用した一般的なノーマリホワイト型の液晶表示装置についてシミュレーションによって得られたデータを示している。なお、このシミュレーションには、シンテック社製の光学シミュレーションソフト LCD−MASTERを使用し、以下の条件を仮定した。
即ち、液晶表示装置は位相差層を含んでおらず、直線偏光板の透過軸は直交しているとした。光源側及び観察者側の配向膜のラビング方向は、それぞれ、光源側及び観察者側の直線偏光板の透過軸に対して平行とした。また、液晶材料は、波長が550nmの光に対する屈折率異方性Δnが0.13であり、誘電率異方性Δεが12.7であり、弾性率k11、k22及びk33が、それぞれ、10.5pN、7.1pN及び22.3pNであることとした。液晶層の厚さは3.8μmであり、液晶分子のプレチルト角は1.0°であるとした。そして、ここでは、黒色を表示させる際に液晶層に印加する電圧(最大駆動電圧)を5.0V、3.0V、2.5V、2.0V及び1.5Vとした。このような条件を仮定して、観察方向とコントラスト比との関係をシミュレートした。
図5において、横軸は、表示面に垂直な方向に対して観察方向が成す角度を表し、縦軸はコントラスト比を表している。図5に示すように、最大駆動電圧を低くすると、コントラスト比が最大となる観察方向が法線方向からずれる。そして、最大駆動電圧を低くするほど、コントラスト比が最大となる観察方向の法線方向からのずれは大きくなる。
図6は、従来例に係る液晶表示装置において一方の偏光板を法線方向から照明した場合に、この偏光板を透過した光が他方の偏光板に入射するまでに生じる偏光状態の変化を示すポアンカレ球である。図7は、従来例に係る液晶表示装置において一方の偏光板を法線方向に対して18°の角度を成す方向から照明した場合に、この偏光板を透過した光が他方の偏光板に入射するまでに生じる偏光状態の変化を示すグラフである。図6及び図7において、P1は先の光が液晶層に入射する際の偏光状態を表し、P2は先の光が液晶層から射出される際の偏光状態を表している。
図6及び図7には、図5について上述したのと同様の条件でシミュレーションを行うことによって得られたデータを示している。なお、これらのシミュレーションに際しては、液晶層に2.0Vの電圧を印加していることを想定している。
図6に示すように、法線方向に進行する光は、液晶層に入射したときの偏光状態と、液晶層から射出されたときの偏光状態とが大きく異なっている。即ち、法線方向に進行する光は、光源側の偏光板を透過した直後の偏光状態と、観察者側の偏光板に入射する直前の偏光状態とが大きく異なっている。それ故、この条件のもとで法線方向から表示面を観察した場合、画面は十分に暗くは見えない。
これに対し、法線方向に対して18°を成す方向に進行する光は、図7に示すように対称なS字型の偏光軌跡を描くことにより、入射時の偏光状態と射出時の偏光状態との間に大きな違いはない。それ故、この条件のもとで法線方向に対して18°を成す方向から表示面を観察した場合、画面は比較的暗く見える。
本発明者らは、以上の結果から、法線方向に進行する光について、図7に示したのと類似した対称なS字型の軌跡が生じる設計を採用すれば、低駆動電圧化した場合であっても、黒色が明るく見えるのを抑制できると考えた。その根拠を以下に説明する。
理想的な黒表示を実現するためには、観察者側の偏光板に入射した光が、完全に遮断される必要がある。つまり、光が観察者側の偏光板に入射する直前に、光の電場ベクトルの振動方向(以下、偏光方向という)が偏光板透過軸に対して垂直な直線偏光にならなければならない。この偏光状態の変化を実現するために、本発明者らは、特に図7に示した軌跡の対称性に着目した。図7において、P3は液晶セル中央における偏光状態である。透過光の偏光状態はP3を中心とする対称なS字型の軌跡を生じており、P3は入射の偏光状態P1と射出の偏光状態P2のほぼ中間点に位置する。この特徴を利用すると、ポアンカレ球上で液晶セル中央における偏光状態を調節することにより、目的の射出偏光状態を得ることができる。例えば、目的の射出偏光状態を、偏光方向が観察者側偏光板の透過軸に垂直な直線偏光とすれば、理想的な黒表示を実現できる。
法線方向に進行する光について対称なS字型の軌跡を得るうえでは、以下に説明するように、液晶分子のツイスト角を偏光板の透過軸が成す角度よりも大きくするのと等価な光学的効果を得ることが重要である。
図8は、液晶層における厚さ方向の位置に応じたツイスト角の変化の例を示すグラフである。図9は、図8のデータの一部を示すグラフである。
図8及び図9には、図5について上述したのと同様の条件でシミュレーションを行うことによって得られたデータを示している。なお、このシミュレーションに際しては、液晶層に2.0Vの電圧を印加していることを想定している。
図8及び図9において、横軸は一方の配向膜からの厚さ方向における距離を表し、縦軸はツイスト角を表している。また、図8及び図9において、曲線C3は法線方向に進行する光について得られたデータを表し、曲線C4は法線方向に対して18°の角度を成す方向に進行する光について得られたデータを表している。
図8及び図9に示すように、法線方向から入射した光については、液晶分子のツイスト角は90°である。これに対し、法線方向に対して18°の角度を成す方向に進行する光については、液晶分子の実効的なツイスト角は92.2°である。
これから示唆されるように、法線方向に進行する光について、図7に示したのと類似した対称なS字型の軌跡を得るには、液晶分子のツイスト角を偏光板の透過軸が成す角度よりも大きくするのと等価な光学的効果を得ることが重要である。
図1乃至図4を参照しながら説明した液晶表示装置1では、この光学的効果を得るために位相差層23a及び23bを使用している。位相差層23a及び23bを使用するとともに、図1乃至図4を参照しながら説明した構成を採用すると、低駆動電圧化した場合であっても、黒色が明るく見えるのを抑制できる。
図10は、図1に示す液晶表示装置において一方の偏光板を透過した直線偏光が他方の偏光板に入射するまでに生じる偏光状態の変化の一例を示すポアンカレ球である。図11は、図10に示す曲線を拡大して描いたグラフである。
図10及び図11には、以下の条件を想定してシミュレーションを行うことによって得られたデータを示している。即ち、ここでは、液晶材料は、図5に関して説明したのと同様の物性を有していることとした。液晶層212の厚さは3.8μmであり、液晶分子LC1のプレチルト角は1.0°であるとした。第1方向D1が第3方向D3に対して成す角度−αは−45°とし、第2方向D2が第3方向D3に対して成す角度αは45°とした。透過軸AT1が第3方向D3に対して成す角度−βは−45°とし、透過軸AT2が第3方向D3に対して成す角度βは45°とした。波長が550nmの光に対する位相差層23a及び23bの各々のリターデイションは113nmであるとした。遅相軸AS1が第3方向D3に対して成す角度−γは−138°とし、遅相軸AS2が第3方向D3に対して成す角度γは138°とした。なお、このシミュレーションに際しては、液晶層に2.5Vの電圧を印加していることを想定している。
上記の偏光板の条件において、理想の黒表示を実現するためには、第2直線偏光板22bに入射する直前の偏光状態が、偏光方向が第3方向D3に対して−45°の角度を成す直線偏光、つまり第1直線偏光板を透過した直後と同じ偏光状態になる必要がある。そのため、配向膜2113a及び2113b間の中間位置における光の偏光状態も、第1直線偏光板を透過した直後と同じ偏光状態になればよい。
図10及び図11において、P4は、直線偏光板22aを透過した光が位相差層23aに入射する際の偏光状態と、配向膜2113a及び2113b間の中間位置における光の偏光状態と、位相差層23bから射出された直後の光の偏光状態とを表している。また、P5は、位相差層23aから射出された直後の光の偏光状態を表し、P6は、液晶層212から射出された直後の光の偏光状態を表している。
図10及び図11に示すように透過光の偏光状態を変化させると、直線偏光板22aが射出した直後の光の偏光状態と、配向膜2113a及び2113b間の中間位置における光の偏光状態とが等しくなり、さらに直線偏光板22bに入射する直前の光の偏光状態とも等しくすることができる。従って、以下に例示するように、低電圧駆動時に黒色が明るく見えるのを抑制でき、それ故、低電圧駆動と高いコントラスト比とを同時に実現することができる。
図12は、観察方向に応じたコントラスト比の変化の例を示すグラフである。
図12において、横軸は観察方向が表示面の法線方向に対して成す角度を表し、縦軸はコントラスト比を表している。図12において、曲線C5は、図10及び図11について上述したのと同様の条件でシミュレーションを行うことによって得られたデータである。また、曲線C6は、位相差層23a及び23bを省略したこと以外は同様の条件でシミュレーションを行うことによって得られたデータである。
図12に示す曲線C5及びC6の比較から明らかなように、図1乃至図4を参照しながら説明した構成を採用した場合、位相差層23a及び23bを省略した場合とは異なり、法線方向でコントラスト比を最大とすることができる。また、前者の場合、後者の場合と比較して、より高い最大コントラスト比を達成することができる。
図13は、白色表示時における波長と透過率との関係の例を示すグラフである。図14は、黒色表示時における波長と透過率との関係の例を示すグラフである。
図13及び図14において、横軸は光の波長を表し、縦軸は表示パネルの透過率を表している。図13及び図14において、曲線C7及びC9は、図10及び図11について上述したのと同様の条件でシミュレーションを行うことによって得られたデータである。また、曲線C8及びC10は、位相差層23a及び23bを省略したこと以外は同様の条件でシミュレーションを行うことによって得られたデータである。
図13に示す曲線C7及びC8の比較から明らかなように、図1乃至図4を参照しながら説明した構成を採用した場合、位相差層23a及び23bを省略した場合とほぼ同様の白色を表示することができる。そして、図14に示す曲線C9及びC10の比較から明らかなように、図1乃至図4を参照しながら説明した構成を採用した場合、位相差層23a及び23bを省略した場合と比較して遥かに暗い黒色を表示することができる。
図15は、図1に示す液晶表示装置の視野角特性の一例を示すグラフである。
図15には、図10及び図11について上述したのと同様の条件でシミュレーションを行うことによって得られたデータを示している。図15に示すように、この条件のもとでは、法線方向において高いコントラスト比を達成することができるのに加え、特に左右方向で広い視野角を実現することができる。
図1乃至図4を参照しながら説明した液晶表示装置1では、位相差層23a及び23bは、Z方向から見たときに、それらの遅相軸AS1及びAS2がそれぞれ第1方向D1及び第2方向D2と斜めに交差するように配置している。遅相軸AS1が第1方向D1に対して成す角度及び遅相軸AS2が第2方向D2に対して成す角度は、例えば90°を除く1°乃至179°の範囲内にあり、典型的には1°乃至15°あるいは90°を除く75°乃至105°の範囲内にある。
以下に説明するように、このような構成を採用した場合、位相差層23a及び23bを遅相軸AS1及びAS2がそれぞれ第1方向D1及び第2方向D2と直交するように配置した場合と比較して、遥かに高いコントラスト比を実現することができる。
図16は、印加電圧に応じた透過率変化の例を示すグラフである。
図16において、横軸は液晶層212に印加する電圧を表し、縦軸は、表示パネル2の透過率を、印加電圧が0Vのときの値を100とした相対値で表している。
図16には、以下の条件を想定してシミュレーションを行うことによって得られたデータを示している。
即ち、曲線C11を得るに際しては、液晶材料は、波長が550nmの光に対する屈折率異方性Δnが0.13であり、誘電率異方性Δεが12.7であり、弾性率k11、k22及びk33が、それぞれ、10.5pN、7.1pN及び22.3pNであることとした。液晶層の厚さは3.3μmであり、液晶分子のプレチルト角は1.0°であるとした。
第1方向D1が第3方向D3に対して成す角度−αは−50°とし、第2方向D2が第3方向D3に対して成す角度αは50°とした。透過軸AT1が第3方向D3に対して成す角度−βは−45°とし、透過軸AT2が第3方向D3に対して成す角度βは45°とした。
そして、位相差層23aの遅相軸AS1が第1方向D1に対して成す角度と位相差層23bの遅相軸AS2が第2方向D2に対して成す角度との各々を90°以外の範囲内で変化させるとともに、位相差層23a及び23bのリターデイションを変化させて、印加電圧が2.5Vのときに法線方向の透過率が最小となる条件を求めた。
その結果、角度−γ及びγをそれぞれ−142°及び142°とし且つ位相差層23a及び23bの各々のリターデイションを80nmとした場合、印加電圧が2.5Vのときに法線方向の透過率が最小となった。曲線C11は、この条件のもとで得られた透過率分布を表している。
曲線C12を得るに際しては、位相差層23aの遅相軸AS1が第1方向D1に対して成す角度と位相差層23bの遅相軸AS2が第2方向D2に対して成す角度との各々を90°としたこと以外は、曲線C11について上述したのと同様の方法により、印加電圧が2.5Vのときに法線方向の透過率が最小となる条件を求めた。その結果、位相差層23a及び23bの各々のリターデイションを105nmとした場合、印加電圧が2.5Vのときに法線方向の透過率が最小となった。曲線C12は、この条件のもとで得られた透過率分布を表している。
なお、曲線C13は、位相差層23a及び23bを省略したこと以外は、曲線C11について上述したのと同様の条件のもとで得られた透過率分布を表している。
曲線C12及びC13の比較から明らかなように、遅相軸AS1及びAS2をそれぞれ第1方向D1及び第2方向D2に直交させた場合、位相差層23a及び23bを省略した場合と比較すると、より低い電圧での駆動は可能である。しかしながら、前者の場合に達成され得るコントラスト比は、後者の場合に達成され得るコントラスト比と同等である。具体的には、遅相軸AS1及びAS2をそれぞれ第1方向D1及び第2方向D2に直交させた場合、最大駆動電圧を2.5Vとしたときに達成される正面方向のコントラスト比は最大で約600である。
これに対し、遅相軸AS1及びAS2をそれぞれ第1方向D1及び第2方向D2に対して斜めに交差させた場合、曲線C11乃至C13の比較から明らかなように、位相差層23a及び23bを省略した場合と比較してより低い電圧での駆動が可能であるのに加え、位相差層23a及び23bを省略した場合並びに遅相軸AS1及びAS2をそれぞれ第1方向D1及び第2方向D2に直交させた場合と比較して遥かに高いコントラスト比を実現できる。具体的には、遅相軸AS1及びAS2をそれぞれ第1方向D1及び第2方向D2に対して斜めに交差させた場合、最大駆動電圧を2.5Vとしたときに達成される正面方向のコントラスト比は最大で1100である。
このように、遅相軸AS1及びAS2をそれぞれ第1方向D1及び第2方向D2に対して斜めに交差させた場合、遅相軸AS1及びAS2をそれぞれ第1方向D1及び第2方向D2に対して直交させた場合と比較して、遥かに高いコントラスト比を実現することが可能となる。
角度−γ及びγ並びに位相差層23a及び23bの各々のリターデイションの最適値は、以下に例示するように、角度−α及びαに応じて変化する。
角度−α及びαをそれぞれ−45°及び45°としたこと以外は、図16の曲線C11に関して説明したのと同様の方法により、印加電圧が2.5Vのときに法線方向の透過率が最小となる条件を求めた。その結果、角度−γ及びγをそれぞれ−138°及び138°とし且つ位相差層23a及び23bの各々のリターデイションを113nmとした場合、印加電圧が2.5Vのときに法線方向の透過率が最小となった。そして、この場合、最大駆動電圧を2.5Vとしたときに、正面方向のコントラスト比を1000以上とすることができた。
なお、位相差層23a及び23bを省略したこと以外はこれと同様の液晶表示装置について同様のシミュレーションを行ったところ、最大駆動電圧を2.5Vとしたときに達成され得る正面方向のコントラスト比は70であった。また、位相差層23a及び23bを省略した液晶表示装置において十分なコントラスト比を達成するためには、最大駆動電圧を4.0V以上とする必要があった。
このように、角度−γ及びγ並びに位相差層23a及び23bの各々のリターデイションの最適値は、角度−α及びαに応じて変化する。また、角度−γ及びγ並びに位相差層23a及び23bの各々のリターデイションの最適値は、以下に例示するように、最大駆動電圧に応じて変化する。
角度−α及びαをそれぞれ−45°及び45°としたこと以外は、図16の曲線C11に関して説明したのと同様の方法により、印加電圧が2.0Vのときに法線方向の透過率が最小となる条件を求めた。その結果、角度−γ及びγをそれぞれ−142°及び142°とし且つ位相差層23a及び23bの各々のリターデイションを144nmとした場合、印加電圧が2.0Vのときに法線方向の透過率が最小となった。そして、この場合、最大駆動電圧を2.0Vとしたときに、正面方向のコントラスト比を1000以上とすることができた。
なお、位相差層23a及び23bを省略したこと以外はこれと同様の液晶表示装置について同様のシミュレーションを行ったところ、最大駆動電圧を2.0Vとしたときに達成され得る正面方向のコントラスト比は18であった。また、位相差層23a及び23bを省略した液晶表示装置において十分なコントラスト比を達成するためには、最大駆動電圧を4.0V以上とする必要があった。
このように、角度−γ及びγ並びに位相差層23a及び23bの各々のリターデイションの最適値は、最大駆動電圧に応じて変化する。また、角度−γ及びγ並びに位相差層23a及び23bの各々のリターデイションの最適値は、以下に例示するように、液晶材料の物性に応じて変化する。
角度−α及びαをそれぞれ−45°及び45°としたこと、及び、液晶材料が以下の物性を有しているとしたこと以外は、図16の曲線C11に関して説明したのと同様の方法により、印加電圧が2.0Vのときに法線方向の透過率が最小となる条件を求めた。即ち、ここでは、液晶材料は、波長が550nmの光に対する屈折率異方性Δnが0.20であり、誘電率異方性Δεが16.5であり、弾性率k11、k22及びk33が、それぞれ、15.7pN、6.8pN及び14.8pNであることとした。
その結果、角度−γ及びγをそれぞれ−139°及び139°とし且つ位相差層23a及び23bの各々のリターデイションを122nmとした場合、印加電圧が2.0Vのときに法線方向の透過率が最小となった。そして、この場合、最大駆動電圧を2.0Vとしたときに、正面方向のコントラスト比を1000以上とすることができた。
なお、位相差層23a及び23bを省略したこと以外はこれと同様の液晶表示装置について同様のシミュレーションを行ったところ、最大駆動電圧を2.0Vとしたときに達成され得る正面方向のコントラスト比は37であった。また、位相差層23a及び23bを省略した液晶表示装置において十分なコントラスト比を達成するためには、最大駆動電圧を3.2V以上とする必要があった。
このように、角度−γ及びγ並びに位相差層23a及び23bの各々のリターデイションの最適値は、使用する液晶材料の物性に応じて変化する。
上述した例では、直線偏光板22a及び22bを、Z方向から見たときに、それらの透過軸AT1及びAT2が直交するように配置している。加えて、上述した例では、最低階調を表示する際に印加する駆動電圧と同じ大きさの電圧を電極2112a及び2112b間に印加した状態で、Z方向から直線偏光板22aを波長が550nmの自然光で照明したときに、液晶層212を透過する光が、配向膜2113a及び2113b間の中間位置で、位相差層23aに入射する偏光と同一の偏光状態となるように、位相差層23aのリターデイション及び第1遅相軸AS1の方位を定めている。
この構成を採用する代わりに、以下の構成を採用してもよい。即ち、直線偏光板22a及び22bは、Z方向から見たときに、それらの透過軸AT1及びAT2が直交するように配置してもよく、斜めに交差するように配置してもよい。この場合、最低階調を表示する際に印加する駆動電圧を透明電極2112a及び2112b間に印加した状態で、Z方向から直線偏光板22aを波長が550nmの自然光で照明したときに、液晶層212を透過する光が、配向膜2113a及び2113b間の中間位置で、電場ベクトルの振動方向が第3方向D3に対して45°傾いた直線偏光になるように、位相差層23aのリターデイション及び遅相軸AS1の方位を定めればよい。これについて、図4、図11及び図17を参照しながら説明する。
図17は、図1に示す液晶表示装置において偏光板の透過軸を斜めに交差させた場合に、一方の偏光板を透過した直線偏光が他方の偏光板に入射するまでに生じる偏光状態の変化の一例を示すポアンカレ球の一部を拡大して描いたグラフである。
図17には、以下の条件を想定してシミュレーションを行うことによって得られたデータを示している。即ち、ここでは、液晶材料は、図5に関して説明したのと同様の物性を有していることとした。液晶層212の厚さは3.8μmであり、液晶分子LC1のプレチルト角は1.0°であるとした。第1方向D1が第3方向D3に対して成す角度−αは−50°とし、第2方向D2が第3方向D3に対して成す角度αは50°とした。透過軸AT1が第3方向D3に対して成す角度−βは−50°とし、透過軸AT2が第3方向D3に対して成す角度βは50°とした。波長が550nmの光に対する位相差層23a及び23bの各々のリターデイションは48nmであるとした。遅相軸AS1が第3方向D3に対して成す角度−γは−38°とし、遅相軸AS2が第3方向D3に対して成す角度γは38°とした。なお、このシミュレーションに際しては、液晶層に2.5Vの電圧を印加していることを想定している。
図17において、P7は、直線偏光板22aから射出された直後の光の偏光状態を表している。P8は、位相差層23aから射出された直後の光の偏光状態を表している。P9は、配向膜2113a及び2113b間の中間位置における光の偏光状態を表している。P10は、液晶層212から射出された直後の光の偏光状態を表している。そして、P11は、直線偏光板22bに入射する直前の偏光状態を表している。
最低階調を表示する場合、直線偏光板22bには、偏光方向が透過軸AT2に対して垂直な直線偏光を入射させることが理想的である。即ち、この場合、図4に示す構造においては、直線偏光板22bに入射させる直線偏光の偏光方向が、直線偏光板22aが射出する直線偏光の偏光方向に対して成す角度は、β−90°であることが理想的である。この偏光状態をポアンカレ球上で示したものが、図17のP11に相当する。
図4に示す液晶表示装置1では、透過軸AT1及びAT2、遅相軸AS1及びAS2、並びに方向D1及びD2の各々の組について、Z方向から見たときに、第3方向に対して対称な構成を採用するとともに、位相差層23a及び23bのリターデイションを同一としている。このような液晶表示装置1では、最低階調を表示する場合に、配向膜2113a及び2113b間の中間位置における光の偏光状態が、ポアンカレ球上において、直線偏光板22aが射出する偏光状態と、偏光方向が透過軸AT2に対して垂直な直線偏光状態との中間点、即ち、図17におけるP9の状態に位置すればよい。この状態は、偏光方向が第3方向D3に対して成す角度が(−β+(β−90°))/2の直線偏光、即ち、偏光方向が第3方向D3に対して45°の角度を成している直線偏光である。この設計を採用すれば、理想的な黒色表示が可能である。
これに対し、透過軸AT1及びAT2がZ方向から見たときに直交している場合、角度βは45°である。従って、図11を参照しながら説明したように、最低階調を表示する場合に、直線偏光板22aが射出した直後の光の偏光状態と、配向膜2113a及び2113b間の中間位置における光の偏光状態と、直線偏光板22bに入射する直前の光の偏光状態とが一致する構成を採用することにより、理想的な黒色表示が可能となる。
次に、本発明の第2態様について説明する。
図18は、本発明の第2態様に係る液晶表示装置を概略的に示す断面図である。図19は、図18に示す液晶表示装置の分解斜視図である。図20は、図18に示す液晶表示装置における液晶分子の配向状態の例を概略的に示す図である。
第2態様に係る液晶表示装置は、第1光学補償フィルム24aと第2光学補償フィルム24bとを更に含んでいること以外は、第1態様に係る液晶表示装置1と同様である。
第1光学補償フィルム24aは、例えば、図18に示すように、第1位相差層23aと透明基板211aとの間に設置される。第1光学補償フィルム24aは、図20に示すように、屈折率異方性が負の一軸性化合物LC2、例えば円盤状分子を含んでいる。第1光学補償フィルム24aにおいて、一軸性化合物LC2は、その光学軸が第1方向D1と第1光学補償フィルム24aの厚さ方向、ここではZ方向とに平行な面に対して平行となるように、及び、その光学軸と第1光学補償フィルム24aの厚さ方向とが成す角度が第1位相差層23a側から透明電極2112a側へ向けて増加するようにハイブリッド配向している。
ここでは、一軸性化合物LC2は、第1光学補償フィルム24aのうち液晶層212の近傍の領域において、一軸性化合物LC2の光学軸と液晶層212のうち第1光学補償フィルム24aの近傍の領域内に位置した液晶分子LC1の光学軸とが成す角度が最小となるようにハイブリッド配向している。なお、第1光学補償フィルム24aについて図19に示している第4方向D4は、第1光学補償フィルム24aにおける一軸性化合物LC2の平均的な光学軸のZ方向に垂直な平面への正射影に対して平行な方向である。
第2光学補償フィルム24bは、例えば、図18に示すように、第2位相差層23bと透明基板2111bとの間に設置される。第2光学補償フィルム24bは、図20に示すように、屈折率異方性が負の一軸性化合物LC2を含んでいる。第2光学補償フィルム24bにおいて、一軸性化合物LC2は、その光学軸が第2方向D2と第2光学補償フィルム24bの厚さ方向、ここではZ方向とに平行な面に対して平行となるように、及び、その光学軸と第2光学補償フィルム24bの厚さ方向とが成す角度が第2位相差層23b側から透明電極2112b側へ向けて増加するようにハイブリッド配向している。
ここでは、一軸性化合物LC2は、第2光学補償フィルム24bのうち液晶層212の近傍の領域において、一軸性化合物LC2の光学軸と液晶層212のうち第2光学補償フィルム24bの近傍の領域内に位置した液晶分子LC1の光学軸とが成す角度が最小となるようにハイブリッド配向している。なお、第2光学補償フィルム24bについて図19に示している第5方向D5は、第2光学補償フィルム24bにおける一軸性化合物LC2の平均的な光学軸のZ方向に垂直な平面への正射影に対して平行な方向である。
図18乃至図20を参照しながら説明した構成を採用した場合、光学補償フィルム24a及び24bを省略した場合と比較して、より広い視野角を達成することができる。また、図18乃至図20を参照しながら説明した構成を採用した場合、光学補償フィルム24a及び24bをそれぞれ直線偏光板22aと位相差層23aとの間及び直線偏光板22bと位相差層23bとの間に配置した場合と比較して、より広い視野角を達成することができる。
図21は、図18に示す液晶表示装置によって達成され得る視野角特性の一例を示すグラフである。図22は、光学補償フィルムの位置を変更したこと以外は図18に示したのと同様の構造を有する液晶表示装置によって達成され得る視野角特性の一例を示すグラフである。
図21には、以下の条件のもとでシミュレーションを行うことによって得られたデータを示している。
具体的には、ここでは、図18乃至図20を参照しながら説明した構造を採用した液晶表示装置について、以下の事項を仮定した。即ち、液晶材料は、波長が550nmの光に対する屈折率異方性Δnが0.13であり、誘電率異方性Δεが12.7であり、弾性率k11、k22及びk33が、それぞれ、10.5pN、7.1pN及び22.3pNであることとした。液晶層の厚さは3.8μmであり、液晶分子のプレチルト角は1.0°であるとした。
第1方向D1が第3方向D3に対して成す角度−αは−45°とし、第2方向D2が第3方向D3に対して成す角度αは45°とした。透過軸AT1が第3方向D3に対して成す角度−βは−45°とし、透過軸AT2が第3方向D3に対して成す角度βは45°とした。第4方向D4が第3方向D3に対して成す角度−δは−45°とし、第5方向D5が第3方向D3に対して成す角度δは45°とした。
そして、遅相軸AS1が第3方向D3に対して成す角度−γと、遅相軸AS2が第3方向D3に対して成す角度γとを変化させるとともに、位相差層23a及び23bのリターデイションを変化させて、印加電圧が2.5Vのときに法線方向の透過率が最小となる条件を求めた。その結果、角度−γ及びγをそれぞれ−37°及び37°とし且つ位相差層23a及び23bの各々のリターデイションを37nmとした場合、印加電圧が2.5Vのときに法線方向の透過率が最小となった。
この条件のもと、最大駆動電圧を2.5Vとしたときの観察方向に応じたコントラスト比を求めた。図21には、このようにして得られた視野角特性を示している。
図22には、以下の構成を採用したこと以外は、図21について上述した条件のもとでシミュレーションを行うことによって得られたデータを示している。
具体的には、ここでは、光学補償フィルム24a及び24bは、それぞれ、直線偏光板22aと位相差層23aとの間及び直線偏光板22bと位相差層23bとの間に配置されていることとした。そして、遅相軸AS1が第3方向D3に対して成す角度−γと、遅相軸AS2が第3方向D3に対して成す角度γとを変化させるとともに、位相差層23a及び23bのリターデイションを変化させて、印加電圧が2.5Vのときに法線方向の透過率が最小となる条件を求めた。その結果、角度−γ及びγをそれぞれ−138°及び138°とし且つ位相差層23a及び23bの各々のリターデイションを112nmとした場合、印加電圧が2.5Vのときに法線方向の透過率が最小となった。
この条件のもと、最大駆動電圧を2.5Vとしたときの観察方向に応じたコントラスト比を求めた。図21には、このようにして得られた視野角特性を示している。
図15と図22との比較から明らかなように、光学補償フィルム24a及び24bを、それぞれ、直線偏光板22aと位相差層23aとの間及び直線偏光板22bと位相差層23bとの間に配置すると、視野角特性が劣化する。これに対し、図18乃至図20を参照しながら説明した構造を採用すると、高いコントラスト比を維持するとともに、視野角を特に上下方向に広げることが可能となる。