JP5478306B2 - 燃料噴射装置および燃料噴射弁 - Google Patents

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本発明は、燃料噴射装置および燃料噴射弁に関する。
直接噴射式の内燃機関に使用される燃料噴射弁は、内燃機関の燃焼室に先端部分が露出する状態でシリンダヘッドに装着される構成が広く採用されている。このような燃料噴射弁は、燃料の噴射停止中にカーボン等の固体浮遊物を含んだ燃焼ガスが燃料噴射孔からノズルボディ内部に侵入することで、燃料噴射孔およびその周囲に固体浮遊物が付着し堆積する、すなわちデポジットが形成する。燃料噴射孔へのデポジットの形成および堆積が進行すると、燃料噴射孔の閉塞による燃料噴射量の低下や噴霧形状の変形が生じるために、内燃機関の失火やエミッションの悪化が生じてしまう。そのため、燃料噴射弁へのデポジットの形成および堆積を抑制することが要求されている。
燃料噴射弁へのデポジットの形成および堆積を抑制する手段としては、燃料噴射ノズルにおける内燃機関の燃焼課程で発生するガスに曝される外表面と、全ての燃料噴射孔の内面とにフッ素系樹脂または硫黄系化合物を共析させた金属から成る撥水生の皮膜層を形成することにより、燃料噴射ノズルへの固体浮遊物の付着を抑制しつつ、付着した固体浮遊物の脱落を容易にする技術が特許文献1に開示されている。
また、複数の噴孔の間に形成された内股部を備え、前記噴孔の流入開口の前記内股部に位置する内側辺縁の曲率半径を、内側辺縁の周囲でキャビテーションが発生する大きさとすることにより、噴孔内およびその周囲に形成・堆積するデポジットをキャビテーションを利用して剥離させる技術が特許文献2に開示されている。
特開2001−182642号公報 特開2009−114925号公報
特許文献1の技術によれば、燃料噴射弁へのデポジットの形成および堆積をある程度抑制することが可能である。しかしながら、特許文献1の技術では、撥水性の皮膜層が高温の燃焼ガスに繰り返し曝されることで徐々に劣化するために、燃料噴射弁の使用を継続するとデポジット形成の抑制効果が徐々に低下してしまう、といった問題点がある。また、特許文献1の技術では、撥水性の皮膜層が形成されないノズルボディ内部にデポジットが形成し堆積することで、ノズルボディ内部が腐食し易くなる、といった問題点もある。
そして、特許文献2の技術は、燃料噴射孔へ形成したデポジットをキャビテーションによって剥離除去するものであるが、キャビテーションによって薄利しきれないデポジットが徐々に堆積してしまう場合がある、といった問題点がある。また、特許文献2の技術では、噴孔の流入開口の内股部に位置する内側辺縁の周囲(すなわち、キャビテーションの発生部)以外の部分やノズルボディ内部にデポジットが形成・堆積してしまう、といった問題点もある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、燃料噴射孔からノズルボディ内部へのデポジットの形成・堆積を抑制することができる燃料噴射装置および燃料噴射弁を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の燃料噴射装置は、内燃機関に設置され、ノズルボディの先端部近傍に設けられた燃料噴射孔から燃料を噴射可能な燃料噴射弁を有する燃料噴射装置であって、前記ノズルボディ内部に摺動可能に収納されるアウタニードルと、前記アウタニードル内部に摺動可能に収納されるインナニードルと、前記アウタニードルおよび前記インナニードルが着離自在な弁座と、燃料の噴射停止中に前記燃料噴射孔から前記弁座までの前記ノズルボディ内部を燃料で満たすことで、前記燃料噴射孔から前記ノズルボディ内部に向かって外部からガスが侵入することを抑制するガス侵入抑制手段と、を備え、前記インナニードルは、前記インナニードルが前記弁座に着座しているときに前記インナニードルの基端側から先端側へ燃料を流通させる燃料流通手段を備え、前記ガス侵入抑制手段は、前記燃料噴射弁による燃料噴射の終了時に前記インナニードルの前記弁座への着座時期と前記アウタニードルの前記弁座への着座時期とを変更することで前記燃料噴射孔から前記弁座までの前記ノズルボディ内部を燃料で満たすことを特徴とする。
上記の構成により、燃料の噴射停止中に、燃料噴射孔からノズルボディ内部に向かって燃料噴射弁の外部からガスが侵入することを抑制することができる。よって、燃料噴射孔からノズルボディ内部へのデポジットの形成・堆積を抑制することができる。
上記構成において前記ガス侵入抑制手段は、前記燃料噴射弁による燃料噴射の終了時に前記インナニードルが前記アウタニードルよりも先に前記弁座に着座するように、前記インナニードルの前記弁座への着座時期と前記アウタニードルの前記弁座への着座時期とを変更してもよい。
また本発明の燃料噴射弁は、請求項1または請求項2に記載の燃料噴射装置の前記燃料噴射弁であって、燃料の噴射停止中に前記ノズルボディ外部側から前記燃料噴射孔を閉鎖し、燃料の噴射時に前記燃料噴射孔を開放する開閉弁を備えることを特徴とする。
本発明の燃料噴射装置および燃料噴射弁によれば、燃料の噴射停止中に、燃料噴射孔からノズルボディ内部に向かって燃料噴射弁の外部からガスが侵入することを抑制することができる。よって、燃料噴射孔からノズルボディ内部へのデポジットの形成・堆積を抑制することができる。
実施例のエンジンシステムの一構成例を示した図である。 実施例のインジェクタの一構成例を示した図である。 エンジンECUが実行する制御の一例を示している。 筒内圧・燃圧とリフト時間との相関マップの一例を示している。 内燃機関の一般的な燃料噴射制御の一例を示している。 エンジンECUの処理の一例を示すフローチャートである。 エンジンECUが実行する制御の一例を示している。 エンジンECUの処理の一例を示すフローチャートである。 実施例のインジェクタの一構成例を示した図である。 エンジンECUが実行する制御の一例を示している。 エンジンECUの処理の一例を示すフローチャートである。 実施例のインジェクタの一構成例を示した図である。 エンジンECUが実行する制御の一例を示している。 エンジンECUの処理の一例を示すフローチャートである。 実施例のインジェクタの一構成例を示した図である。図15(a)は閉弁時、図15(b)は開弁時を示している。
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。
本発明の実施例について図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の燃料噴射装置を搭載したエンジンシステム1の一構成例を示した図である。なお、図1にはエンジンの一部の構成のみを示している。
図1に示すエンジンシステム1は、動力源であるエンジン100を備えており、エンジン100の運転動作を総括的に制御するエンジンECU(Electronic Control Unit)10を備えている。また、エンジンシステム1は、エンジン100の燃焼室11内へ燃料を噴射するインジェクタ21を備えている。そして、エンジンシステム1は、燃焼室11の筒内圧力を検出する筒内圧センサ31、排ガス中の炭化水素(HC)濃度を検出する排ガスセンサ32、およびインジェクタ21に供給される燃料の圧力を検出する燃圧センサ33を備えている。
エンジン100は、車両に搭載される多気筒ディーゼルエンジンであって、各気筒は燃焼室11を構成するピストン12を備えている。各燃焼室11のピストン12は、エンジン100のシリンダに摺動自在に嵌合されており、それぞれコネクティングロッドを介して出力軸部材であるクランクシャフトに連結されている(図示しない)。
吸気ポート13から燃焼室11内へ流入した吸入空気は、ピストン12の上昇運動により燃焼室11内で圧縮される。エンジンECU10は、エアフロメータからの吸入空気量、クランク角センサからのピストン12の位置、および吸気カム角センサからのカム軸回転位相の情報に基づき、燃料噴射量および噴射タイミングを決定しインジェクタ21に信号を送る。インジェクタ21は、エンジンECU10の信号に従って、指示された噴射噴射量および噴射タイミングで燃料を噴射する。インジェクタ21より噴射された燃料は、霧化して圧縮された吸入空気と混合することで燃焼し、燃焼室11内を膨張させてピストン12を下降させる。この下降運動がコネクティングロッドを介してクランクシャフトの軸回転に変更されることにより、エンジン100は動力を得る。
この場合、エンジン100は、軽油を燃料とするディーゼルエンジンに限られず、ガソリンを燃料とするガソリンエンジン、ガソリンとアルコールとを任意の割合で混合した燃料を使用するフレキシブルフューエルエンジンのいずれでもよい。また、エンジンシステム1は、エンジン100と複数の電動モータとを組み合わせたハイブリッドシステムであってもよい。
燃焼室11を構成するピストン12は、その頂面に凹状に形成されたキャビティを有する。キャビティは円環状であって、その底面の中央部に突起部が形成されており、突起部から連続するなだらかな曲面によってキャビティの壁面が形成されている。突起部の周囲は円環状の空間となっており、この空間内でスワール流が旋回する。キャビティの壁面は、キャビティの開口部に近づくにつれて内径側に絞られており、開口部付近には内径側に突出するリップが形成される。このように、ピストン12はリエントラント型燃焼室を構成する。この場合、ピストン12は、リエントラント型燃焼室に限られずに、エンジン100の仕様に応じて任意の燃焼室形状を採用することができる。
各気筒の燃焼室11には、それぞれ筒内圧センサ31が設けられている。筒内圧センサ31は、半導体素子、圧電素子あるいは光ファイバ検出素子等を含んで形成されており、エンジン100の気筒数に応じた数だけ配置されている。筒内圧センサ31は、対応する燃焼室11内に受圧面が臨むようにシリンダヘッドに設けられており、燃焼室11内の圧力を検出し、検出結果をエンジンECU10へ送信する。エンジンECU10は、送信された検出結果に基づいてインジェクタ21への燃焼ガスの侵入量を算出する。
また、各気筒の燃焼室11には、それぞれ燃焼室11と連通する吸気ポート13と、吸気ポート13に連結し、吸入空気を吸気ポート13から燃焼室11へと導く吸気通路14とが接続されている。更に、各気筒の燃焼室11には、それぞれ燃焼室11と連通する排気ポート15と、燃焼室11で発生した排ガスをエンジン100の外部へと導く排気通路16が接続されている。
排気通路16は、図示しない排ガス導入通路によって吸気通路14と連通している。排ガス導入通路へと分岐した排ガスは、EGRバルブにて流量を調節されつつ吸気通路14へ進み、吸入空気とともに燃焼室11へ導入されて噴射燃料と混合される。EGRバルブは、エンジンECU10の指令に従ってバルブ開度を調節することで、吸気通路14への排ガスの還流供給量を適切な量へと調節し、エンジン100の燃焼温度を低減させる。
吸気通路14には、エアフロメータ、スロットルバルブ、スロットルポジションセンサ等に加えて、排ガスセンサ32が設けられている。排ガスセンサ32は、排ガス導入通路との連結部の下流側に設置されて、排気通路16から還流される排ガス中のHC濃度を検出し、検出結果をエンジンECU10に送信する。エンジンECU10は、送信された検出結果に基づいてインジェクタ21からの燃料漏れの有無を判断する。この場合、排ガスセンサ32は吸気通路14に限られず、排気通路16の途中に設置してもよい。
エンジン100は、インジェクタ21、図示しないコモンレール、低圧燃料ポンプ、高圧燃料ポンプ等より構成されるコモンレール式燃料噴射システムを備えている。
燃料タンクより低圧燃料ポンプにより吸引された燃料は、高圧燃料ポンプにてコモンレールへ高圧で吐出し蓄圧される。コモンレールは、インジェクタ21に供給する高圧燃料を蓄圧する容器である。高圧燃料ポンプから圧送された燃料は、コモンレール内で噴射に必要な圧力まで蓄圧され、燃料配管を通じて各燃焼室11のインジェクタ21に供給される。また、コモンレールにはレール圧センサおよび減圧弁が設けられている。エンジンECU10は、レール圧センサから出力されたコモンレール内部の燃圧が規定値を超えた場合に、減圧弁を開放するように指示する。そして、減圧弁より燃料を排出することで、コモンレール圧が常に規定値以下になるよう調整する。減圧弁より排出された燃料は、リリーフ配管を通って燃料タンクへと戻される。
インジェクタ21とコモンレールとを連結する燃料配管には、燃圧センサ33が設けられている。燃圧センサ33は、インジェクタ21に供給される燃料の圧力を検出し、検出結果をエンジンECU10に送信する。エンジンECU10は、送信された検出結果に基づいて、インジェクタ21の燃料噴射孔212からサック部220に燃料が満たされているか否かを判断する。燃圧センサ33は、燃料配管に関わらず、インジェクタ21に供給される燃料の圧力を検出できる任意の部位に設けることができる。
エンジン100の各燃焼室11には、それぞれインジェクタ21が装着されている。インジェクタ21は、シリンダヘッドからノズルボディ211の先端部分が燃焼室11内に突出する構成であって、先端部分の設置位置がピストン12およびキャビティの中心軸と一致(又はほぼ一致)している。
コモンレールより高圧配管を通じて供給された燃料は、エンジンECU10の指示によりインジェクタ21にて燃焼室11に噴射供給される。エンジンECU10は、エアフロメータからの吸入空気量およびクランク角センサからのピストンの位置の情報等に基づき、燃料噴射量と噴射タイミングを決定しインジェクタ21に信号を送る。インジェクタ21はエンジンECU10の信号に従って、指示された燃料噴射量・噴射タイミングにて燃焼室11へ燃料を高圧噴射する。インジェクタ21のリーク燃料は、リリーフ配管を通じて燃料タンクへと戻される。この場合、インジェクタ21は、エンジン100の仕様およびレイアウト要求に応じて燃焼室11の任意の位置に装着することができる。また、エンジン100の仕様が例えばガソリンエンジン等の火花点火式の場合には、インジェクタ21を吸気ポート13に設けてもよいし、燃焼室11と吸気ポート13との両方に設けてもよい。
なお、インジェクタ21は、本発明の燃料噴射弁の一構成例である。
つづいて、インジェクタ21の内部構成について詳細に説明する。図2は、実施例のインジェクタ21の一構成例を示した図である。なお、図2にはインジェクタ21の一部の構成のみを示している。
インジェクタ21は、ノズルボディ211、ノズルボディ211の先端部に形成された燃料噴射孔212、コモンレールから燃料配管を通じて高圧の燃料が供給される燃料通路213、ノズルボディ211内に摺動自在に配置されるニードル214、ニードル214の基端側に形成された制御室215、ニードル214を燃料噴射孔212が閉鎖する側へ付勢するスプリング216、ニードル214の先端部が着座する弁座217、制御室215と連通するリリーフ通路218、制御室215とリリーフ通路218との連通を制御するソレノイド弁219、および弁座217から燃料噴射孔212に中空状に形成されたサック部220を備えた構成となっている。
ノズルボディ211は、インジェクタ21の先端部に設けられており、エンジン100の燃焼室11内に突出している。フューエルポンプより圧送されて、コモンレールから燃料配管を通じて燃料通路213に供給された高圧燃料は、ノズルボディ211内部に貯留されて、ニードル214の移動に従い、燃料噴射孔212より燃焼室11に噴射される。
ニードル214は、ノズルボディ211内部にニードル軸方向に摺動自在(移動可能)に設けられている。ニードル214は、その先端部が鋭角な針形状の内開弁であり、制御室215内の燃料圧力の変化やスプリング216の付勢力によって、燃料噴射孔212の開弁方向または閉弁方向に移動する。
ノズルボディ211の先端側には、ニードル214の先端部(着座部)と嵌合する弁座217が設けられている。この弁座217にニードル214の着座部が着座することで燃料通路213とサック部220との連通が遮断され、それにより燃料噴射孔212からの燃料の噴射が停止する。また、弁座217からニードル214の着座部が離座することで燃料通路213とサック部220とが連通し、それにより燃料噴射孔212から燃料が噴射される。
燃料噴射孔212は、ノズルボディ211先端部の円周方向に60°間隔で設けられた6孔の連通孔であり、ノズルボディ211外部とサック部220とを連通させている。燃料噴射孔212は、フューエルポンプから供給される燃料の圧力によってノズルボディ211内の燃料を外部へと噴射可能に構成されている。
この場合、燃料噴射孔212の数は6孔に限られず、任意の孔数を等間隔で設けてもよい。また、燃料噴射孔212より噴射される燃料は、すべて一定の噴射角度に設定されるが、各々の噴射角度を変えてもよい。更に、燃料噴射孔212は、サック部220からノズルボディ211の外部までの間の角度、孔径が一定であってもよいし、途中で変化させてもよい。
ソレノイド弁219は、リリーフ通路218の途中に設けられた電磁弁であって、エンジンECU10の指示に従い、リリーフ通路218を連通または閉鎖する。ソレノイド弁219がリリーフ通路218を閉鎖すると、燃料通路213から供給される燃料によって制御室215内の燃圧が上昇する。そして、制御室215内の燃圧とニードル214先端側の燃圧との差分がスプリング216の付勢力未満になると、ニードル214が閉弁方向(弁座217側)に移動する。一方、ソレノイド弁219がリリーフ通路218を連通させると、制御室215内の燃料がリリーフ通路218からリリーフ配管を通じて燃料タンクへ戻り、制御室215内の燃圧が低下する。そして、制御室215内の燃圧とニードル214先端側の燃圧との差分がスプリング216の付勢力を超えると、ニードル214が開弁方向(ニードル214基端側)に移動する。エンジンECU10は、ソレノイド弁219への電流制御値を変化させることで、ソレノイド弁219の開弁・閉弁や弁速度を調整し、それによってニードル214の開弁・閉弁や移動速度を制御する。
この場合、電磁式のソレノイド弁219に代えて、圧電素子を用いたピエゾ式等の他の開閉弁を適用することもできる。また、インジェクタ21は、制御室215を設ける構成に限られず、ニードル214を電磁力等で駆動させる構成であってもよい。
サック部220は、ノズルボディ211内部の燃料噴射孔212から弁座217にかけて中空状に形成された燃料溜まり部である。燃料通路213から供給される燃料は、ニードル214が開弁するとサック部220に流入し、略均等の圧力で各燃料噴射孔212から噴射される。この場合、サック部220の形状は中空状に限られず、所定量の燃料を貯留可能な任意の形状を採用することができる。
エンジンECU10は、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)と、プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)と、データ等を記憶するRAM(Random Access Memory)やNVRAM(Non Volatile RAM)と、を備えるコンピュータである。エンジンECU10は、エンジン100の各部に備えられたクランク角センサ、エアフロメータ等の複数のセンサの検出結果を読み込み、それら検出結果に基づいてスロットルバルブの動作、インジェクタ21の動作など、エンジン100の運転動作を統合的に制御する。
更に、エンジンECU10は、エンジン100の運転状態に基づいて、インジェクタ21による燃料噴射の実行後に、ニードル214を弁座217から所定の時間離座させて、燃料噴射孔212から弁座217までのノズルボディ211内部を燃料で満たす制御を実行する。以下に、エンジンECU10が実行する制御について説明する。
図3は、エンジンECU10が実行する制御の一例を示している。エンジンECU10は、インジェクタ21へ1回の燃料噴射を指示すると、エンジン100の運転状態に基づいて、燃料噴射の実行後にニードル214を弁座217から離座(リフト)させる所定の時間を算出する。より具体的には、エンジンECU10は、筒内圧センサ31が検出する燃料室11内の圧力に基づいてインジェクタ21への燃焼ガスの侵入量を算出し、算出した燃焼ガスの侵入量および燃圧センサ33が検出する燃圧に基づいてニードル214のリフト時間を算出する。
ここで、ニードル214をリフトさせる所定の時間は、燃料噴射後の燃料噴射孔212から弁座217までのノズルボディ211内部(すなわち、燃料噴射孔212およびサック部220内)を燃料で満たし、かつ燃料噴射孔212から燃料が漏れ出ることを抑制できる任意のリフト時間を採用する。この場合、予め台上試験等にて筒内圧・燃圧とリフト時間との相関マップを作成することで、適切なニードル214のリフト時間を容易に算出することができる(図4参照)。
エンジンECU10は、インジェクタ21による1回の燃料噴射が終了(停止)すると、算出したニードル214のリフト時間に基づいてニードル214をリフトさせるよう、ソレノイド弁219の開閉を調整する。この場合、ニードル214をリフトさせるタイミングは、インジェクタ21が燃料噴射を終了するためにニードル214を弁座217に一旦着座させた後であって、可能な限り早いタイミングを適用することができる。
つづいて、エンジンECU10は、ニードル214のリフト実行時に燃圧センサ33が検出する燃圧の変化量から、燃料噴射孔212およびサック部220内が燃料で満たされたか否かを判断する。この場合、燃圧の変化量と燃料噴射孔212およびサック部220内の容積との相関を予め台上試験等にて求めておくことで、燃圧の変化量に基づいて燃料噴射孔212およびサック部220内が燃料で満たされたか否かを適切に判断することができる。燃料噴射孔212およびサック部220内が燃料で満たされていないと判断する場合、エンジンECU10は、ニードル214のリフト時間に対する燃圧の変化量に基づいて、ニードル214のリフト時間の算出マップを補正する。これにより、燃料の噴射停止後の燃料噴射孔212およびサック部220内をより適切に燃料で満たすことができる。
更に、エンジンECU10は、ニードル214のリフト実行時に排ガスセンサ32が検出するHC濃度から、リフト実行時に燃料噴射孔212からの燃料漏れがあるか否かを判断する。燃料漏れがあると判断する場合、エンジンECU10は、検出されたHC濃度に基づいてニードル214のリフト時間の算出マップを補正する。これにより、ニードル214のリフト実行時の燃料漏れを適切に抑制し、エンジン100の排気エミッション悪化を抑制することができる。
エンジンECU10は、エンジン100の運転期間中に上記の制御を繰り返し実行する。
図5は、内燃機関の一般的な燃料噴射制御の一例を示している。ニードルを弁座に着座させて燃料噴射孔への燃料供給を停止させることで燃料噴射が停止するが、ニードルの着座後に、燃料噴射孔から弁座までのノズルボディ内部の燃料は慣性力によって燃料噴射孔から噴射される。そのため、燃料の噴射終了後(停止中)のインジェクタは、燃料噴射孔から弁座までのノズルボディ内部が中空となり、その部分に燃焼ガスが入出を繰り返すために、燃料噴射孔およびその周囲にデポジットが形成・堆積される。
一方、本実施例の制御を実行することで、燃料噴射の実行後に燃料噴射孔212およびサック部220内を燃料で満たすことができるために、燃料の噴射停止中に、燃料噴射孔212およびサック部220内に外部からガスが侵入することを抑制することができる(図3参照)。そのため、燃料噴射孔212からノズルボディ211内部へのデポジットの形成・堆積を抑制することができる。
この場合、上記のエンジンECU10の制御は、パイロット噴射,メイン噴射,ポスト噴射等を問わず、インジェクタ21が実行するすべての燃料噴射に対して実行するが、任意の燃料噴射(例えばポスト噴射)に対してのみ実行することもできる。
なお、エンジンECU10は、本発明のガス侵入抑制手段の一構成例である。
つづいて、エンジンECU10の制御の流れに沿って、エンジンシステム1の動作を説明する。図6は、エンジンECU10の処理の一例を示すフローチャートである。本実施例のエンジンシステム1は、エンジン100の運転状態に基づいて、インジェクタ21による燃料噴射の実行後にニードル214を弁座217から所定の時間離座させることで、燃料噴射孔212から弁座217までのノズルボディ内部を燃料で満たす制御を実行する。
エンジンECU10の制御は、イグニッションスイッチがONされてエンジン100が始動されると開始し、エンジン100の運転中に以下の制御の処理を繰り返す。また、エンジンECU10は、その制御の処理中、筒内圧センサ31、排ガスセンサ32および燃圧センサ33の検出結果を常に受信する。
まず、エンジンECU10はステップS1で、インジェクタ21へ燃料噴射を指示する際の筒内圧センサ31および燃圧センサ33の検出結果に基づいて、ニードル214のリフト時間をマップから算出する。エンジンECU10は、ステップS1の処理を終えると、次のステップS2へ進む。
ステップS2で、エンジンECU10は、算出したニードル214のリフト時間に基づいて、インジェクタ21の燃料噴射終了(停止)後にニードル214をリフトさせる。エンジンECU10は、ステップS2の処理を終えると、次のステップS3へ進む。
ステップS3で、エンジンECU10は、ニードル214のリフト実行時に燃圧センサ33が検出する燃圧の変化量が所定量以上であるか否かを判断する。ここで、燃圧の変化量の所定量とは、燃料噴射孔212およびサック部220内が燃料で満たされたと判断できる充分な燃圧の変化量を採用する。燃圧の変化量が所定量以上である場合(ステップS3/YES)、エンジンECU10は、燃料噴射孔212およびサック部220内が燃料で満たされたと判断し、ステップS5へ進む。燃圧の変化量が所定量以上でない場合(ステップS3/NO)は、エンジンECU10は、燃料噴射孔212およびサック部220内が燃料で満たされていないと判断し、次のステップS4へ進む。
ステップS4で、エンジンECU10は、検出したニードル214のリフト時間に対する燃圧の変化量に基づいて、ニードル214のリフト時間を算出するためのマップを補正する。エンジンECU10は、ステップS4の処理を終えると、次のステップS5へ進む。
ステップS3の判断がYESの場合、またはステップS4の処理の後に、エンジンECU10はステップS5へ進む。ステップS5で、エンジンECU10は、ニードル214のリフト実行時に排ガスセンサ32が検出するHC濃度が所定濃度未満であるか否かを判断する。ここで、HC濃度の所定濃度とは、ニードル214のリフト実行時に燃料噴射孔212からの燃料漏れがあると判断できる充分なHC濃度を採用する。HC濃度が所定濃度未満である場合(ステップS5/YES)、エンジンECU10は、ニードル214のリフト実行時に燃料噴射孔212からの燃料漏れがないと判断し、制御の処理を終了する。HC濃度が所定濃度未満でない場合(ステップS5/NO)は、エンジンECU10は、ニードル214のリフト実行時に燃料噴射孔212からの燃料漏れがあると判断し、次のステップS6へ進む。
ステップS6で、エンジンECU10は、検出したリフト実行時のHC濃度に基づいて、ニードル214のリフト時間を算出するためのマップを補正し、ニードル214のリフト実行時における燃料噴射孔212からの燃料漏れを抑制する。エンジンECU10は、ステップS6の処理を終えると、制御の処理を終了する。
この制御を実行することで、燃料噴射の実行後に燃料噴射孔212およびサック部220内が燃料で満たされるために、燃料の噴射停止中に、燃料噴射孔212からノズルボディ211内部に向かってインジェクタ21の外部からガスが侵入することを抑制することができる。そのため、燃料噴射孔212からノズルボディ211内部へのデポジットの形成・堆積を抑制することができる。
以上のように、本実施例のエンジンシステムは、インジェクタによる燃料噴射の実行後にニードルを弁座から所定の時間離座させて燃料噴射孔から弁座までのノズルボディ内部を燃料で満たすことにより、燃料の噴射停止中に、燃料噴射孔からノズルボディ内部に向かってインジェクタの外部からガスが侵入することを抑制することができる。よって、燃料噴射孔からノズルボディ内部へのデポジットの形成・堆積を抑制することができる。
つづいて、本発明の実施例2について説明する。本実施例のエンジンシステム2は、エンジン100の運転状態に基づいて、インジェクタ21による燃料噴射の終了時にニードル214が下降を開始してから弁座217へ着座するまでの時間を調整することで、燃料噴射孔212から弁座217までのノズルボディ211内部を燃料で満たす制御を実行する点でエンジンシステム1と相違している。
本実施例のエンジンシステム2は、実施例1と同様に、エンジンECU10、ソレノイド弁219を有するインジェクタ21、筒内圧センサ31、排ガスセンサ32および燃圧センサ33を備えている。
更に、エンジンシステム2は、エンジン100の運転状態に基づいて、インジェクタ21による燃料噴射の終了時にニードル214を弁座217に着座させる時間を調整する制御をエンジンECU10が実行する。
エンジンシステム2においてエンジンECU10が実行する制御について説明する。図7は、エンジンECU10が実行する制御の一例を示している。なお、実施例1と同様の制御についてはその説明を省略する。
エンジンECU10は、インジェクタ21へ1回の燃料噴射を指示すると、エンジン100の運転状態に基づいて、燃料噴射の終了時にニードル214を弁座217に着座させる際(閉弁時)の閉弁速度を算出する。より具体的には、エンジンECU10は、筒内圧センサ31が検出する燃料室11内の圧力に基づいてインジェクタ21への燃焼ガスの侵入量を算出し、算出した燃焼ガスの侵入量および燃圧センサ33が検出する燃圧に基づいてニードル214を閉弁させる際のソレノイド弁219への電流制御値を算出する。
ここで、燃料噴射の終了時におけるニードル214の閉弁速度(ソレノイド弁219への電流制御値)は、燃料噴射後の燃料噴射孔212から弁座217までのノズルボディ211内部(すなわち、燃料噴射孔212およびサック部220内)を燃料で満たし、かつ燃料噴射孔212から燃料が漏れ出ることを抑制できる任意の閉弁速度(電流制御値)を採用する。この場合、実施例1と同様に、予め台上試験等にて筒内圧・燃圧と閉弁速度(電流制御値)との相関マップを作成することで、適切なニードル214の閉弁速度(電流制御値)を容易に算出することができる。また、ニードル214の閉弁速度に代えて、ニードル214が閉弁に要する時間を算出してもよい。
エンジンECU10は、インジェクタ21による1回の燃料噴射の終了時(すなわちニードル214の閉弁時)に、算出したソレノイド弁219への電流制御値に基づいてソレノイド弁219を閉鎖させることで、ニードル214の閉弁速度を小さくする方向へ調整する。
燃料噴射の終了時のニードル214閉弁速度が大きい(閉弁に要する時間が短い)と燃料の慣性力が大きくなるために、ニードルの着座後に、ノズルボディ211内部の燃料が外部へ噴射される。一方、燃料噴射の終了時のニードル214閉弁速度が小さい(閉弁に要する時間が長い)ほど燃料の慣性力が低下するために、ニードルの着座後に、燃料噴射孔から弁座までのノズルボディ内部に燃料が残留する。そのため、本実施例の制御を実行することで、燃料噴射の終了時のニードル214閉弁速度を調整し、すなわち、ニードル214の閉弁に要する時間を調整して燃料噴射孔212およびサック部220内を燃料で満たすことができることから、燃料の噴射停止中に、燃料噴射孔212およびサック部220内に外部からガスが侵入することを抑制することができる。よって、燃料噴射孔212からノズルボディ211内部へのデポジットの形成・堆積を抑制することができる。
また、実施例1と同様に、上記のエンジンECU10の制御は、インジェクタ21が実行するすべての燃料噴射に対して実行するが、任意の燃料噴射(例えばポスト噴射)に対してのみ実行することもできる。
つづいて、エンジンECU10の制御の流れに沿って、エンジンシステム2の動作を説明する。図8は、エンジンECU10の処理の一例を示すフローチャートである。なお、ステップS3からステップS6の制御は実施例1のエンジンシステム1の制御と同一であるため、その詳細な説明は省略する。
本実施例のエンジンシステム2は、エンジン100の運転状態に基づいて、インジェクタ21による燃料噴射の終了時にニードル214を弁座217に着座させる速度を調整することで、燃料噴射孔212から弁座217までのノズルボディ211内部を燃料で満たす制御を実行する。
エンジンECU10の制御は、イグニッションスイッチがONされてエンジン100が始動されると開始し、エンジン100の運転中に以下の制御の処理を繰り返す。また、エンジンECU10は、その制御の処理中、筒内圧センサ31、排ガスセンサ32および燃圧センサ33の検出結果を常に受信する。
まず、エンジンECU10はステップS7で、インジェクタ21へ燃料噴射を指示する際の筒内圧センサ31および燃圧センサ33の検出結果に基づいて、ニードル214を閉弁させる際のソレノイド弁219への電流制御値をマップから算出する。エンジンECU10は、ステップS7の処理を終えると、次のステップS8へ進む。
ステップS8で、エンジンECU10は、燃料噴射の終了時(すなわちニードル214の閉弁時)に、算出したソレノイド弁219への電流制御値に基づいてソレノイド弁219を閉鎖させて、ニードル214の閉弁速度を調整する。エンジンECU10は、ステップS8の処理を終えると、次のステップS3からステップS6へ進む。
ここで、ステップS3からステップS6までの処理は実施例1のエンジンシステム1の制御と同一であるため、その説明を省略する。
この制御を実行することで、燃料噴射の実行後に燃料噴射孔212およびサック部220内が燃料で満たされるために、燃料の噴射停止中に、燃料噴射孔212からノズルボディ211内部に向かってインジェクタ21の外部からガスが侵入することを抑制することができる。そのため、燃料噴射孔212からノズルボディ211内部へのデポジットの形成・堆積を抑制することができる。
以上のように、本実施例のエンジンシステムは、エンジンの運転状態に基づいて、インジェクタによる燃料噴射の終了時にニードルが下降を開始してから弁座へ着座するまでの時間を調整することで、燃料噴射孔から弁座までのノズルボディ内部を燃料で満たすことにより、燃料の噴射停止中に、燃料噴射孔からノズルボディ内部に向かってインジェクタの外部からガスが侵入することを抑制することができる。よって、燃料噴射孔からノズルボディ内部へのデポジットの形成・堆積を抑制することができる。
つづいて、本発明の実施例3について説明する。本実施例のエンジンシステム3は、ニードル214を有するインジェクタ21に代えて、アウタニードル414aおよびインナニードル414bを有するインジェクタ41を備える点でエンジンシステム1と相違している。更に、エンジンシステム3は、エンジン100の運転状態に基づいて、インジェクタ41による燃料噴射の終了時にインナニードル414bの弁座217への着座時期をアウタニードル414aの弁座217への着座時期よりも遅くすることで、燃料噴射孔212から弁座217までのノズルボディ211内部を燃料で満たす制御を実行する点でエンジンシステム1と相違している。
本実施例のエンジンシステム3は、実施例1と同様に、エンジンECU10、筒内圧センサ31、排ガスセンサ32および燃圧センサ33を備えている。
更に、エンジンシステム3は、アウタニードル414aおよびインナニードル414bを有するインジェクタ41を備え、エンジン100の運転状態に基づいて、インジェクタ41による燃料噴射の終了時にインナニードル414bの弁座217への着座時期をアウタニードル414aの弁座217への着座時期よりも遅くする制御をエンジンECU10が実行する。
エンジンシステム3について詳細に説明する。図9は実施例のインジェクタ41の一構成例を示した図である。なお、図9にはインジェクタ41の一部の構成のみを示しており、実施例1と同様の構成要素については、図面中、同一の参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
インジェクタ41は、ノズルボディ211内に摺動自在に配置されるアウタニードル414a、アウタニードル414a内に摺動自在に配置されるインナニードル414b、アウタニードル414aおよびインナニードル414bの基端側にそれぞれ形成された第1制御室415aおよび第2制御室415b、アウタニードル414aおよびインナニードル414bをそれぞれ弁座217側へ付勢するアウタスプリング416aおよびインナスプリング416b、を備えている。そして、前記二つの制御室に連通する第1リリーフ通路418aおよび第2リリーフ通路418bは、電磁弁で実現された第1ソレノイド弁419aおよび第2ソレノイド弁419bによって連通を制御されている。
なお、インジェクタ41は、アウタニードル414aとインナニードル414bとの両方が弁座217から離座すると燃料噴射孔212からの燃料噴射が開始される構成であり、いずれか一方が弁座217に着座している場合は燃料噴射が停止する。
アウタニードル414aの開閉弁制御について説明する。なお、インナニードル414bの開閉弁制御についても同様である。
第1ソレノイド弁419aが第1リリーフ通路418aを閉鎖すると、燃料通路213から供給される燃料によって第1制御室415a内の燃圧が上昇する。そして、第1制御室415a内の燃圧とアウタニードル414a先端側の燃圧との差分がアウタスプリング416aの付勢力未満になると、アウタニードル414aが閉弁方向(弁座217側)に移動する。一方、第1ソレノイド弁419aが第1リリーフ通路418aを連通させると、第1制御室415a内の燃料が第1リリーフ通路418aからリリーフ配管を通じて燃料タンクへ戻り、第1制御室415a内の燃圧が低下する。そして、第1制御室415a内の燃圧とアウタニードル414a先端側の燃圧との差分がアウタスプリング416aの付勢力を超えると、アウタニードル414aが開弁方向(アウタニードル414a基端側)に移動する。エンジンECU10は、第1ソレノイド弁419aへの電流制御値を変化させることで、第1ソレノイド弁419aの開弁・閉弁や弁速度を調整し、それによってアウタニードル414aの開弁・閉弁や移動速度を制御する。この場合、実施例1と同様に、電磁式の第1ソレノイド弁419aおよび第2ソレノイド弁419bに代えて、圧電素子を用いたピエゾ式等の他の開閉弁を適用することもできる。また、インジェクタ41は、上記2つの制御室を設ける構成に限られず、1の制御室で両ニードルの駆動を制御してもよいし、制御室を設けずに両ニードルを電磁力等で駆動させる構成であってもよい。
エンジンECU10が、第1ソレノイド弁419aに第1リリーフ通路418aを閉鎖させたまま、第2ソレノイド弁419bに第2リリーフ通路418bを連通させると、インナニードル414bのみが弁座217から離座(リフト)する。一方、第2ソレノイド弁419bに第2リリーフ通路418bを閉鎖させたまま、第1ソレノイド弁419aに第1リリーフ通路418aを連通させると、アウタニードル414aのみがリフトする。このように、エンジンECU10は、インジェクタ41の第1制御室415a、第2制御室415b内の燃圧を調整することで、アウタニードル414a、インナニードル414bをそれぞれ独立して開閉弁させることができる。
なお、インジェクタ41は、本発明の燃料噴射弁の一構成例である。
エンジンシステム3においてエンジンECU10が実行する制御について説明する。図10は、エンジンECU10が実行する制御の一例を示している。なお、実施例1と同様の制御についてはその説明を省略する。
エンジンECU10は、インジェクタ41へ1回の燃料噴射を指示すると、エンジン100の運転状態に基づいて、燃料噴射の終了時におけるアウタニードル414aの弁座217への着座(閉弁)タイミングに対するインナニードル414b閉弁の遅れ時間を算出する。より具体的には、エンジンECU10は、筒内圧センサ31が検出する燃料室11内の圧力に基づいてインジェクタ41への燃焼ガスの侵入量を算出し、算出した燃焼ガスの侵入量および燃圧センサ33が検出する燃圧に基づいてアウタニードル414a閉弁タイミングに対するインナニードル414b閉弁の遅れ時間を算出する。
ここで、燃料噴射の終了時におけるインナニードル414b閉弁の遅れ時間は、燃料噴射後の燃料噴射孔212から弁座217までのノズルボディ211内部(すなわち、燃料噴射孔212およびサック部220内)を燃料で満たし、かつ燃料噴射孔212から燃料が漏れ出ることを抑制できる任意の閉弁の遅れ時間を採用する。この場合、実施例1と同様に、予め台上試験等にて筒内圧・燃圧とインナニードル414b閉弁の遅れ時間との相関マップを作成することで、適切なインナニードル414b閉弁の遅れ時間を容易に算出することができる。
エンジンECU10は、インジェクタ41による1回の燃料噴射の終了時(すなわちアウタニードル414aおよびインナニードル414bの閉弁時)に、算出したインナニードル414b閉弁の遅れ時間に基づいて第2ソレノイド弁419bを閉鎖させることで、アウタニードル414aの閉弁タイミングに対してインナニードル414bを遅れて閉弁させる。これによって、アウタニードル414aとインナニードル414bとの間に残留する燃料をサック部220へ導入する。
アウタニードル414aの閉弁タイミングに対してインナニードル414bの閉弁を遅らせると、アウタニードル414aが弁座217へ着座した時点でインナニードル414bはリフトしており、そのリフト量に比例した燃料がアウタニードル414aとインナニードル414bとの間に残留する。そのため、本実施例の制御を実行することで、燃料噴射の終了時にアウタニードル414aおよびインナニードル414bの閉弁タイミングを調整して燃料噴射孔212およびサック部220内を燃料で満たすことができる。よって、燃料の噴射停止中に、燃料噴射孔212およびサック部220内に外部からガスが侵入することを抑制することができることから、燃料噴射孔212からノズルボディ211内部へのデポジットの形成・堆積を抑制することができる。
また、実施例1と同様に、上記のエンジンECU10の制御は、インジェクタ41が実行するすべての燃料噴射に対して実行するが、任意の燃料噴射(例えばポスト噴射)に対してのみ実行することもできる。
つづいて、エンジンECU10の制御の流れに沿って、エンジンシステム3の動作を説明する。図11は、エンジンECU10の処理の一例を示すフローチャートである。なお、ステップS3からステップS6の制御は実施例1のエンジンシステム1の制御と同一であるため、その詳細な説明は省略する。
本実施例のエンジンシステム3は、エンジン100の運転状態に基づいて、インジェクタ41による燃料噴射の終了時にインナニードル414bの弁座217への着座時期をアウタニードル414aの弁座217への着座時期よりも遅くすることで、燃料噴射孔212から弁座217までのノズルボディ211内部を燃料で満たす制御を実行する。
エンジンECU10の制御は、イグニッションスイッチがONされてエンジン100が始動されると開始し、エンジン100の運転中に以下の制御の処理を繰り返す。また、エンジンECU10は、その制御の処理中、筒内圧センサ31、排ガスセンサ32および燃圧センサ33の検出結果を常に受信する。
まず、エンジンECU10はステップS9で、インジェクタ41へ燃料噴射を指示する際の筒内圧センサ31および燃圧センサ33の検出結果に基づいて、燃料噴射の終了時におけるアウタニードル414aの閉弁タイミングに対するインナニードル414b閉弁の遅れ時間をマップから算出する。エンジンECU10は、ステップS9の処理を終えると、次のステップS10へ進む。
ステップS10で、エンジンECU10は、燃料噴射の終了時(すなわちアウタニードル414aおよびインナニードル414bの閉弁時)に、算出したインナニードル414b閉弁の遅れ時間に基づいて第2ソレノイド弁419bを閉鎖させることで、アウタニードル414aの閉弁タイミングに対してインナニードル414bを遅れて閉弁させる。エンジンECU10は、ステップS10の処理を終えると、次のステップS3からステップS6へ進む。
ここで、ステップS3からステップS6までの処理は実施例1のエンジンシステム1の制御と同一であるため、その説明を省略する。
この制御を実行することで、燃料噴射の実行後に燃料噴射孔212およびサック部220内が燃料で満たされるために、燃料の噴射停止中に、燃料噴射孔212からノズルボディ211内部に向かってインジェクタ41の外部からガスが侵入することを抑制することができる。そのため、燃料噴射孔212からノズルボディ211内部へのデポジットの形成・堆積を抑制することができる。
以上のように、本実施例のエンジンシステムは、エンジンの運転状態に基づいて、インジェクタによる燃料噴射の終了時にインナニードルの弁座への着座時期をアウタニードルの弁座への着座時期よりも遅くすることで、燃料噴射孔から弁座までのノズルボディ内部を燃料で満たすことにより、燃料の噴射停止中に、燃料噴射孔からノズルボディ内部に向かってインジェクタの外部からガスが侵入することを抑制することができる。よって、燃料噴射孔からノズルボディ内部へのデポジットの形成・堆積を抑制することができる。
つづいて、本発明の実施例4について説明する。本実施例のエンジンシステム4は、インナニードル414bに代えて、弁座217との着座部に燃料案内溝514cを有するインナニードル514bを備えたインジェクタ51を有する点でエンジンシステム3と相違している。更に、エンジンシステム4は、エンジン100の運転状態に基づいて、インジェクタ51による燃料噴射の終了時に燃料案内溝514cを備えるインナニードル514bの弁座217への着座時期とアウタニードル414aの弁座217への着座時期とを変更することで、燃料噴射孔212から弁座217までのノズルボディ211内部を燃料で満たす制御を実行する点でエンジンシステム3と相違している。
本実施例のエンジンシステム4は、実施例3と同様に、エンジンECU10、筒内圧センサ31、排ガスセンサ32および燃圧センサ33を備えている。
更に、エンジンシステム4は、燃料案内溝514cを備えたインナニードル514bを有するインジェクタ51を備え、エンジン100の運転状態に基づいて、インジェクタ51による燃料噴射の終了時に燃料案内溝514cを備えるインナニードル514bを弁座217に着座させた後にアウタニードル414aを弁座217へ着座させる制御をエンジンECU10が実行する。
エンジンシステム4について詳細に説明する。図12は実施例のインジェクタ51の一構成例を示した図である。なお、図12にはインジェクタ51の一部の構成のみを示しており、実施例3と同様の構成要素については、図面中、同一の参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
インナニードル514bの先端側外周(着座部)には、燃料案内溝514cが設けられている。燃料案内溝514cは、燃料通路213から供給される燃料が、インナニードル514bが閉弁時に弁座217と嵌合(接触)する部分(着座部)をサック部220側に向かって流通できるように連通する溝である。すなわち、燃料案内溝514cは、インナニードル514bが弁座217に着座(閉弁)しているときに、燃料通路213側(インナニードル514bの基端側)からサック部220側(インナニードル514bの先端側)へ燃料を流通させる構成である。このように、インジェクタ51は、燃料噴射時にはインナニードル514bを弁座217から離座させてサック部220へ多量の燃料を供給し、燃料の噴射停止時にはインナニードル514bを弁座217に着座させてサック部220へ少量の燃料を供給することができる。燃料案内溝514cは、インナニードル514bがアウタニードル414aと摺動可能に接触する部分には設けられておらず、アウタニードル414aが弁座217に着座することでサック部220への燃料の供給が停止する。
この場合、燃料案内溝514cは、サック部220の容積等に応じて、弁座217と嵌合(接触)するインナニードル514b先端側外周(着座部)の任意の位置に1または複数形成することができる。また、本実施例の燃料案内溝514cは、燃料通路213からサック部220に向かって溝の幅および深さが等しい構成であるが、これらが変化する構成であってもよい。
なお、燃料案内溝514cは、本発明の燃料流通手段の一構成例である。また、インジェクタ51は、本発明の燃料噴射弁の一構成例である。
エンジンシステム4においてエンジンECU10が実行する制御について説明する。図13は、エンジンECU10が実行する制御の一例を示している。なお、実施例1および3と同様の制御についてはその説明を省略する。
エンジンECU10は、インジェクタ51へ1回の燃料噴射を指示すると、エンジン100の運転状態に基づいて、燃料噴射の終了時におけるインナニードル514bの弁座217への着座(閉弁)タイミングに対するアウタニードル414a閉弁の遅れ時間を算出する。より具体的には、エンジンECU10は、筒内圧センサ31が検出する燃料室11内の圧力に基づいてインジェクタ51への燃焼ガスの侵入量を算出し、算出した燃焼ガスの侵入量および燃圧センサ33が検出する燃圧に基づいてインナニードル514b閉弁タイミングに対するアウタニードル414a閉弁の遅れ時間を算出する。
ここで、燃料噴射の終了時におけるアウタニードル414a閉弁の遅れ時間は、燃料噴射後の燃料噴射孔212から弁座217までのノズルボディ211内部(すなわち、燃料噴射孔212およびサック部220内)を燃料で満たし、かつ燃料噴射孔212から燃料が漏れ出ることを抑制できる任意の閉弁の遅れ時間を採用する。この場合、実施例1と同様に、予め台上試験等にて筒内圧・燃圧とアウタニードル414a閉弁の遅れ時間との相関マップを作成することで、適切なアウタニードル414a閉弁の遅れ時間を容易に算出することができる。
エンジンECU10は、インジェクタ51による1回の燃料噴射の終了時(すなわちアウタニードル414aおよびインナニードル514bの閉弁時)に、算出したアウタニードル414a閉弁の遅れ時間に基づいて第1ソレノイド弁419aを閉鎖させることで、インナニードル514bの閉弁タイミングに対してアウタニードル414aを遅れて閉弁させる。これによって、インナニードル514bが閉弁してからアウタニードル414aが閉弁するまでの間に、燃料案内溝514cを通じて燃料通路213側の燃料をサック部220へ導入する。
インナニードル514bの閉弁タイミングに対してアウタニードル414aの閉弁を遅らせると、アウタニードル414aが閉弁するまでの間に、燃料案内溝514cを通じて燃料通路213側の燃料がサック部220に流入する。そのため、本実施例の制御を実行することで、燃料噴射の終了時に燃料案内溝514cを通じてサック部220に燃料を導入し、燃料噴射孔212およびサック部220内を燃料で満たすことができる。よって、燃料の噴射停止中に、燃料噴射孔212およびサック部220内に外部からガスが侵入することを抑制することができることから、燃料噴射孔212からノズルボディ211内部へのデポジットの形成・堆積を抑制することができる。
この場合、実施例3と同様に、アウタニードル414aを先に閉弁した後にインナニードル514bを閉弁させることで、燃料噴射孔212から弁座217までのノズルボディ211内部を燃料で満たす制御を実行してもよい。また、実施例1と同様に、上記のエンジンECU10の制御は、インジェクタ51が実行するすべての燃料噴射に対して実行するが、任意の燃料噴射(例えばポスト噴射)に対してのみ実行することもできる。
つづいて、エンジンECU10の制御の流れに沿って、エンジンシステム4の動作を説明する。図14は、エンジンECU10の処理の一例を示すフローチャートである。なお、ステップS3からステップS6の制御は実施例1のエンジンシステム1の制御と同一であるため、その詳細な説明は省略する。
本実施例のエンジンシステム4は、エンジン100の運転状態に基づいて、インジェクタ51による燃料噴射の終了時に燃料案内溝514cを備えるインナニードル514bを弁座217に着座させた後にアウタニードル414aを弁座217へ着座させることで、燃料噴射孔212から弁座217までのノズルボディ211内部を燃料で満たす制御を実行する。
エンジンECU10の制御は、イグニッションスイッチがONされてエンジン100が始動されると開始し、エンジン100の運転中に以下の制御の処理を繰り返す。また、エンジンECU10は、その制御の処理中、筒内圧センサ31、排ガスセンサ32および燃圧センサ33の検出結果を常に受信する。
まず、エンジンECU10はステップS11で、インジェクタ51へ燃料噴射を指示する際の筒内圧センサ31および燃圧センサ33の検出結果に基づいて、燃料噴射の終了時におけるインナニードル514bの閉弁タイミングに対するアウタニードル414a閉弁の遅れ時間をマップから算出する。エンジンECU10は、ステップS11の処理を終えると、次のステップS12へ進む。
ステップS12で、エンジンECU10は、燃料噴射の終了時(すなわちアウタニードル414aおよびインナニードル514bの閉弁時)に、算出したアウタニードル414a閉弁の遅れ時間に基づいて第1ソレノイド弁419aを閉鎖させることで、インナニードル514bの閉弁タイミングに対してアウタニードル414aを遅れて閉弁させる。エンジンECU10は、ステップS12の処理を終えると、次のステップS3からステップS6へ進む。
ここで、ステップS3からステップS6までの処理は実施例1のエンジンシステム1の制御と同一であるため、その説明を省略する。
この制御を実行することで、燃料噴射の実行後に燃料噴射孔212およびサック部220内が燃料で満たされるために、燃料の噴射停止中に、燃料噴射孔212からノズルボディ211内部に向かってインジェクタ51の外部からガスが侵入することを抑制することができる。そのため、燃料噴射孔212からノズルボディ211内部へのデポジットの形成・堆積を抑制することができる。
以上のように、本実施例のエンジンシステムは、エンジンの運転状態に基づいて、インジェクタによる燃料噴射の終了時に燃料案内溝を備えるインナニードルの弁座への着座時期とアウタニードルの弁座への着座時期とを変更することで、燃料噴射孔から弁座までのノズルボディ内部を燃料で満たすことにより、燃料の噴射停止中に、燃料噴射孔からノズルボディ内部に向かってインジェクタの外部からガスが侵入することを抑制することができる。よって、燃料噴射孔からノズルボディ内部へのデポジットの形成・堆積を抑制することができる。
つづいて、本発明の実施例5について説明する。本実施例は、燃料噴射孔212を外部側から開閉可能な開閉弁612aを備える点で実施例1のインジェクタ21と相違するインジェクタ61についての詳細である。
本実施例のインジェクタ61は、燃料噴射の停止中にノズルボディ外部側から燃料噴射孔212を閉鎖し、燃料の噴射時に燃料噴射孔212を開放する開閉弁612aを備えたインジェクタ61を有することで、燃料の噴射停止中に燃料噴射孔212からノズルボディ211内部に向かって外部からガスが浸入することを抑制する。
インジェクタ61について詳細に説明する。図15は実施例のインジェクタ61の一構成例を示した図である。なお、図15にはインジェクタ61の一部の構成のみを示しており、実施例1と同様の構成要素については、図面中、同一の参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
各燃料噴射孔212には、それぞれ開閉弁612aが設けられている。開閉弁612aは、燃料噴射孔212の噴孔形状と相似し、かつ燃料噴射孔212の孔径より大きい形状であって、閉弁時にノズルボディ211の外部側から燃料噴射孔212を覆うことで閉鎖する構成である。また、開閉弁612aは、閉弁時にノズルボディ211に接する面(燃料噴射孔212側の面)の形状がノズルボディ211の形状と嵌合している。この構成によって、開閉弁612aが閉弁すると、燃料噴射孔212からノズルボディ211内部に向かって外部からガスが侵入することを抑制することができる(図15(a)参照)。この場合、開閉弁612aは、閉弁時に燃料噴射孔212を覆う面に燃料噴射孔212と嵌合する突起部を設ける構成であってもよい。
開閉弁612aは、インジェクタ61の基端側方向に開弁可能に一端部がノズルボディ211に固定されており、燃料噴射孔212から燃料が噴射される際の圧力で充分に開弁できる付勢力で、燃料噴射孔212を閉鎖する方向に付勢されている。燃料噴射孔212を付勢する手段としては、例えば板バネを採用することができるが、これに限られずに種々の付勢手段を採用することができる。
この構成によって、燃料の噴射停止時には開閉弁612aが燃料噴射孔212を閉鎖し、燃料の噴射時には噴射圧力によって開閉弁612aが開放されるために、燃料噴射孔212から燃料が適切に噴射される(図15(b)参照)。この場合、開閉弁612aは、アクチュエータ等の駆動力によって開閉弁される構成であってもよい。
このように、燃料噴射孔212を外部側から閉鎖可能な開閉弁を設けることで、燃料の噴射停止中に燃料噴射孔212を通じてノズルボディ211内部にガスが侵入することを適切に抑制することができる。この場合、開閉弁612aは、上記の構成に限られず、燃料噴射の停止時に燃料噴射孔212からノズルボディ211内部に向かって外部のガスが侵入するのを抑制可能に閉鎖できる任意の構成を採用することができる。
なお、開閉弁612aは、本発明のガス侵入抑制手段の一構成例である。
以上のように、本実施例のインジェクタは、燃料噴射の停止中にノズルボディ外部側から燃料噴射孔を閉鎖し、燃料の噴射時に燃料噴射孔を開放する開閉弁を備えることにより、燃料の噴射停止中に燃料噴射孔からノズルボディ内部に向かって外部からガスが浸入することを抑制することができる。よって、燃料噴射孔からノズルボディ内部へのデポジットの形成・堆積を抑制することができる。
上記実施例は本発明を実施するための一例にすぎない。よって本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、実施例5記載の開閉弁612aを、実施例1〜4のインジェクタに組み合わせて用いてもよい。
1〜4 エンジンシステム
10 エンジンECU(ガス侵入抑制手段)
11 燃焼室
21,41,51,61 インジェクタ(燃料噴射弁)
31 筒内圧センサ
32 排ガスセンサ
33 燃圧センサ
100 エンジン
211 ノズルボディ
212 燃料噴射孔
213 燃料通路
214 ニードル
215 制御室
217 弁座
218 リリーフ通路
219 ソレノイド弁
220 サック部
514c 燃料案内溝(燃料流通手段)
612a 開閉弁(ガス侵入抑制手段)

Claims (3)

  1. 内燃機関に設置され、ノズルボディの先端部近傍に設けられた燃料噴射孔から燃料を噴射可能な燃料噴射弁を有する燃料噴射装置であって、
    前記ノズルボディ内部に摺動可能に収納されるアウタニードルと、
    前記アウタニードル内部に摺動可能に収納されるインナニードルと、
    前記アウタニードルおよび前記インナニードルが着離自在な弁座と、
    燃料の噴射停止中に前記燃料噴射孔から前記弁座までの前記ノズルボディ内部を燃料で満たすことで、前記燃料噴射孔から前記ノズルボディ内部に向かって外部からガスが侵入することを抑制するガス侵入抑制手段と、を備え
    前記インナニードルは、前記インナニードルが前記弁座に着座しているときに前記インナニードルの基端側から先端側へ燃料を流通させる燃料流通手段を備え、
    前記ガス侵入抑制手段は、前記燃料噴射弁による燃料噴射の終了時に前記インナニードルの前記弁座への着座時期と前記アウタニードルの前記弁座への着座時期とを変更することで前記燃料噴射孔から前記弁座までの前記ノズルボディ内部を燃料で満たすことを特徴とする燃料噴射装置。
  2. 前記ガス侵入抑制手段は、前記燃料噴射弁による燃料噴射の終了時に前記インナニードルが前記アウタニードルよりも先に前記弁座に着座するように、前記インナニードルの前記弁座への着座時期と前記アウタニードルの前記弁座への着座時期とを変更する請求項1記載の燃料噴射装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の燃料噴射装置の前記燃料噴射弁であって、
    燃料の噴射停止中に前記ノズルボディ外部側から前記燃料噴射孔を閉鎖し、燃料の噴射時に前記燃料噴射孔を開放する開閉弁を備えることを特徴とする燃料噴射弁
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