JP5477657B2 - 非水電解質およびその利用 - Google Patents

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Description

本発明は、非水二次電池の構成要素として有用な非水電解質に関する。
リチウムイオン二次電池その他の非水二次電池は、車両搭載用電源あるいはパソコンや携帯端末等の電源として重要性が高まっている。特に、軽量で高エネルギー密度が得られるリチウムイオン二次電池は、車両搭載用高出力電源として好ましく用いられるものとして期待されている。リチウムイオン二次電池用の非水電解質としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボネート系溶媒に、LiPF等のリチウム塩(支持塩)を溶解させたものが広く用いられている。非水電解質に関連する技術文献として、特許文献1〜3が挙げられる。
特開2008−262900号公報 特開2007−027105号公報 特開2008−137979号公報
一般に二次電池には、充放電の繰り返しに対して性能劣化の少ない性質が求められる。リチウムイオン二次電池における性能劣化の一要因として、充放電を行うと電極上において電解液が分解してしまうことが指摘されている。電解液の分解を抑制するための一手法として、該電解液に添加剤を加える手法が知られている。そのような添加剤は、分解して電極表面に被膜を形成し、該被膜が電解液のさらなる分解を抑制するものと考えられている。例えば、特許文献1に記載の非水電解質は、かかる作用を発揮し得る添加剤としてオキソカーボン酸またはその誘導体を含むものである。
本発明は、所定の添加剤を含む非水電解質であって、非水二次電池の電解質として用いられた場合に該電池の劣化(特に容量の低下)をより高度に抑制し得る非水電解質を提供することを一つの目的とする。関連する他の目的は、かかる非水電解質を備える非水二次電池(典型的にはリチウムイオン二次電池)の提供である。
ここに開示される非水電解質は、非水溶媒と、添加剤としてのアミドリチウム塩とを含有する。そのアミドリチウム塩は、2価以上のオキソカーボン酸(例えばスクアリン酸)または2価以上のカルボン酸(例えばシュウ酸)の誘導体であって、少なくとも一つのN−フッ化アルカンスルホニル基を有する。かかる組成の非水電解質は、非水二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)の電解質として用いられた場合、該電池の充放電による劣化(特に容量の低下)をより高度に抑制し得る非水電解質となり得る。
なお、本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充放電可能な蓄電デバイス一般をいい、リチウム二次電池等のいわゆる蓄電池ならびに電気二重層キャパシタ等の蓄電素子を包含する用語である。また、「非水二次電池」とは、非水電解質(典型的には、非水溶媒中に支持塩(支持電解質)を含む電解質)を備えた電池をいう。また、「リチウム二次電池」とは、電解質イオンとしてリチウムイオンを利用し、正負極間のリチウムイオンの移動により充放電する二次電池をいう。一般にリチウムイオン電池と称される二次電池は、本明細書におけるリチウム二次電池に包含される典型例である。
ここに開示される技術の好ましい一態様では、前記非水溶媒のうち50体積%以上は一種または二種以上のカーボネート系溶媒からなる。かかる態様においては、上記添加剤を含有させることによる効果がよりよく発揮され得る。
好ましい他の一態様では、上記アミドリチウム塩の有するN−フッ化アルカンスルホニル基の炭素原子数が1〜10である。例えば、炭素原子数1〜10のN−パーフルオロアルカンスルホニル基が好ましい。かかる構造のアミドリチウム塩は、上記範囲よりも炭素原子数が多すぎるアミドリチウム塩に比べて、非水溶媒に対してより溶解性の高いものとなり得る。したがって、上記添加剤を含む非水電解質を調製しやすく、また該添加剤の使用量(含有量)をより広い範囲から選択することができる。
ここに開示される非水電解質は、支持塩としてのリチウム塩(例えばLiPF)をさらに含有する態様で好ましく実施され得る。かかる組成の非水電解質は、例えば、リチウムイオン二次電池用の非水電解質として好適に利用され得る。
本発明に係る非水電解質は、上記添加剤を含有することから、非水二次電池の電解質として用いられて、充放電による劣化(特に容量の低下)の少ない電池を構築するものとなり得る。したがって本発明は、他の側面として、ここに開示されるいずれかの非水電解質を備える非水二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)を提供する。
かかる非水二次電池は、例えば、ここに開示されるいずれかの非水電解質を準備する(例えば、製造する、または購入する)工程と、該非水電解質と正極と負極とを電池容器に収容して非水二次電池を構築する工程と、を包含する方法により好適に製造され得る。
一実施形態に係る非水二次電池の外形を示す斜視図である。 図1のII−II線断面図である。 一実施形態に係る非水二次電池を備えた車両を示す側面図である。 実施例で作製したコイン型電池を示す部分断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここに開示される非水電解質(典型的には、室温(例えば25℃)において液状を呈する電解質、すなわち電解液)は、添加剤として所定のアミドリチウム塩を含むことによって特徴づけられる。上記アミドリチウム塩は、好ましい一態様では、2価以上(例えば2価〜5価、典型的には2価)のオキソカーボン酸の誘導体である(以下、このタイプのアミドリチウム塩を「オキソカーボン酸を中心とするアミドリチウム塩」ともいう。)。好ましい他の一態様では、2価以上のカルボン酸の誘導体である(以下、このタイプのアミドリチウム塩を「カルボン酸を中心とするアミドリチウム塩」ともいう。)。
ここに開示される技術におけるアミドリチウム塩は、一分子内にN−フッ化アルカンスルホニル基を少なくとも一つ、典型的には二つ以上(好ましくは二つ)有する。上記N−フッ化アルカンスルホニル基は、アミド基の窒素原子にアルカンスルホニル基が結合した基であって、一般式:N−SO;により表すことができる。ここでRは、少なくとも一つの水素原子(H)がフッ素原子(F)で置き換えられたアルキル基を表す。好ましい一態様では、Rが、全ての水素原子がフッ素原子で置き換えられたアルキル基(すなわちパーフルオロアルキル基)である。かかる構造のアミドリチウム塩は、非水溶媒に対する溶解性、電気化学的安定性等の点で有利なものとなり得る。該アルキル基は、直鎖状であってもよく分岐を有してもよい。コストや入手容易性等の観点からは、上記アルキル基が直鎖状であるアミドリチウム塩がより好ましい。上記N−フッ化アルカンスルホニル基におけるアルキル基の炭素原子数は、例えば1〜16であり得る。アミドリチウム塩の合成しやすさ、非水溶媒への溶解性等の観点から、通常は、N−フッ化アルカンスルホニル基の炭素原子数が1〜10(典型的には1〜8、例えば1〜6)である添加剤が好ましい。
オキソカーボン酸を中心とするアミドリチウム塩について、より詳しく説明する。ここでオキソカーボン酸とは、エンジオール(−C(OH)=C(OH)−)をカルボニル基でつないだ環式化合物の総称である。本明細書において2価のオキソカーボン酸とは、水酸基の数が2であるオキソカーボン酸を指す。上記2価以上のオキソカーボン酸としては、スクアリン酸(四角酸)、クロコン酸(五角酸)、ロジゾン酸(六角酸)およびヘプタゴン酸(七角酸)が例示される。なかでもスクアリン酸が特に好ましい。
オキソカーボン酸(例えばスクアリン酸)を中心とするアミドリチウム塩は、例えば、目的物の化学構造に対応するオキソカーボン酸のアミド(例えばスクアラミド)と、フッ化アルカンスルホン酸のハロゲン化物(例えばフッ化物)とを、適当な塩基の存在下で反応させて、N−フッ化アルカンスルホニル基を有しオキソカーボン酸(例えばスクアリン酸)を中心とするアミドを合成し、次いで該アミドを水酸化リチウム、炭酸リチウム、ブチルリチウム等の塩基性リチウム化合物と反応させることにより合成できる。上記塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン等を用いることができる。反応溶媒としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の非プロトン性極性溶媒を好ましく採用することができる。良い収率を得るためには、上記反応を封管等の密閉容器内で行うことが好ましい。
次に、カルボン酸を中心とするアミドリチウム塩について、より詳しく説明する。このカルボン酸は、2価以上、すなわち二つ以上(典型的には二つ)のカルボキシル基を有する化合物である。炭素原子数が2〜6であるジカルボン酸を中心とするアミドリチウム塩が好ましい。上記ジカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸およびアジピン酸が挙げられる。使用量(質量基準の含有量)の割に高い添加効果を発揮し得るという観点から、ジカルボン酸のうち最も分子量の小さいシュウ酸を中心とするアミドリチウム塩が特に好ましい。
カルボン酸を中心とするアミドリチウム塩は、例えば、目的物の化学構造に対応するカルボン酸のハロゲン化物(例えば塩化物)と、フッ化アルカンスルホニルアミドのアルカリ金属塩(例えばナトリウム塩)とを反応させることにより、N−フッ化アルカンスルホニル基を有しカルボン酸(例えばシュウ酸)を中心とするアミドを合成し、次いで該アミドを水酸化リチウム、炭酸リチウム、ブチルリチウム等の塩基性リチウム化合物と反応させることにより合成できる。上記塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン等を用いることができる。反応溶媒としては、DMSO、THF、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、NMP、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の非プロトン性極性溶媒を好ましく採用することができる。
ここに開示される非水電解質における非水溶媒としては、一般に非水電解質(例えば、非水二次電池用の電解質)の溶媒として使用し得ることが知られている各種の非プロトン性溶媒を用いることができる。例えば、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の各種の非プロトン性溶媒を、単独で、あるいは二種以上を適宜組み合わせて用いることができる。具体例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。上記非水溶媒は、全体として(複数の化合物を含む場合には、それらの混合物として)、室温(例えば25℃)において液状を呈することが好ましい。
ここに開示される技術における非水溶媒の好適例として、一種または二種以上のカーボネート類を含み、それらカーボネート類の合計体積が非水溶媒全体の体積の50体積%以上を占める非水溶媒(カーボネート系溶媒)が挙げられる。例えば、カーボネート類の合計体積が非水溶媒全体の体積の60体積%以上(より好ましくは75体積%以上、さらに好ましくは90体積%以上であり、実質的に100体積%であってもよい。)を占める非水電解質が好ましい。
ここに開示される非水電解質は、典型的には、上記非水溶媒および上記添加剤(アミドリチウム塩)に加えて、さらに支持塩(支持電解質)を含有する。かかる支持電解質としては、LiPF,LiBF,LiN(SOCF,LiN(SO,LiCFSO,LiCSO,LiC(SOCF,LiClO等の、リチウムイオン二次電池の支持電解質として機能し得ることが知られている各種のリチウム塩(ただし、上記添加剤に該当するリチウム塩を除く。)から選択される一種または二種以上を用いることができる。なかでもLiPFを好ましく採用し得る。支持電解質(支持塩)の濃度は特に制限されず、例えば従来のリチウムイオン二次電池と同程度とすることができる。通常は、支持電解質の濃度を凡そ0.1mol/L〜5mol/L(例えば凡そ0.8mol/L〜1.5mol/L)とすることが適当である。
ここに開示される非水電解質は、上記添加剤を、該添加剤を含まない組成の電解質に比べて容量維持率を向上させ得る(例えば、後述する実施例に記載の方法で測定される容量維持率を1%以上向上させ得る)濃度で含有するものであり得る。非水溶媒(例えばカーボネート系溶媒)への溶解性に鑑みて、通常は、上記添加剤以外の電解質構成成分に対する該添加剤の含有量が5質量%以下である(すなわち、上記添加剤以外の電解質構成成分100gに対する該添加剤の含有量が5g以下である)非水電解質が好ましい。好ましい一態様では、上記添加剤の含有量が0.05〜5質量%(典型的には0.1〜5質量%、例えば0.5〜3質量%)である。添加剤の含有量が少なすぎると、十分な添加効果が発揮され難くなる傾向にある。添加剤の含有量が多すぎると、非水電解質の調製が困難となったり、経時や使用環境等によっては電池容器内において添加剤が析出しやすくなったりすることがあり得る。
ここに開示される技術は、各種の非水二次電池に広く適用されて、非水電解液の分解を抑えるとともに、該電池の劣化を抑制する(例えば、容量維持率を向上させる)効果を実現し得る。ここに開示される技術を実施するにあたり、かかる効果が得られる理由を明らかにする必要はないが、例えば以下のことが考えられる。すなわち、非水二次電池の電解質(例えば、カーボネート系の非水溶媒を用いた電解質)の分解を抑えるための添加剤は、通常、初期充電等の際に電解質成分(非水溶媒、支持塩等)とともに分解し、それらの分解生成物からなるSEI(Solid Electrolyte Interface)膜が電極表面を覆うことにより、電解質成分のさらなる分解を抑制するものと考えられている。ここに開示される技術における添加剤は、それ自体がリチウムを含む化合物(アミドリチウム塩)であるため、リチウムを含まない添加剤を用いた場合に比べてSEI膜の特性(リチウムイオン伝導性等)が向上し得る。また、電池容器内のリチウムは、その一部の量がSEI膜に取り込まれて失活する(すなわち、リチウムがSEI膜中に固定されることにより、もはや電池容量に寄与できなくなる)ことがあり得るところ、ここに開示される技術ではリチウムを含む添加剤を用いるので、上記失活に起因する容量低下の少なくとも一部を補償し得る。このことによって充放電に対する耐久性(容量維持性)が向上するものと考えられる。
なお、ここに開示される技術における非水電解液は、電池の構築時(組立て時)には上記添加剤を含む組成であっても、初期充放電あるいはその後の充放電により、その一部または全部が分解し得る。かかる状態の電池において、電池構築時に使用した非水電解液中に上記添加剤が含まれていたことは、例えば、該電解液または電極の質量分析において、フッ化アルキル基に帰属されるピークが観測されること等により確認され得る。また、初期充放電後(あるいはさらに充放電を行った後)の電池から、電池構築時に使用した非水電解液中に含まれていた上記添加剤の量を把握する手法としては、例えば、電極の質量分析、IR分析等が挙げられる。
以下、主としてリチウムイオン二次電池に適用される場合を例として本発明をより詳しく説明するが、本発明の適用対象をかかる電池に限定する意図ではない。なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
ここに開示されるいずれかの非水電解質を備えたリチウムイオン二次電池は、例えば図1および図2に示されるように、捲回電極体20が、非水電解質(典型的には非水電解液液)90とともに、該電極体20の形状に対応した扁平な箱状の電池ケース10に収容された構成を有する。ケース10の開口部12は蓋体14により塞がれている。蓋体14には、外部接続用の正極端子38および負極端子48が、それら端子の一部が蓋体14の表面側に突出するように設けられている。かかる構成のリチウムイオン二次電池100は、例えば、ケース10の開口部12から電極体20を内部に収容し、該ケース10の開口部12に蓋体14を取り付けた後、蓋体14に設けられた電解液注入孔(図示せず)から電解液90を注入し、次いで上記注入孔を塞ぐことによって構築することができる。
電極体20は、長尺シート状の正極集電体32の表面に正極活物質層34が形成された正極シート30と、長尺シート状の負極集電体42の表面に負極活物質層44が形成された負極シート40とを、2枚の長尺シート状のセパレータ50と共に重ね合わせて捲回し、得られた捲回体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって扁平形状に成形されている。
正極シート30は、その長手方向に沿う一方の端部において、正極活物質層34が設けられておらず(あるいは除去されて)、正極集電体32が露出するように形成されている。同様に、捲回される負極シート40は、その長手方向に沿う一方の端部において、負極活物質層44が設けられておらず(あるいは除去されて)、負極集電体42が露出するように形成されている。そして、正極集電体32の該露出端部に正極端子38が、負極集電体42の該露出端部には負極端子48がそれぞれ接合され、上記扁平形状に形成された捲回電極体20の正極シート30または負極シート40と電気的に接続されている。正負極端子38,48と正負極集電体32,42とは、例えば超音波溶接、抵抗溶接等によりそれぞれ接合することができる。
正極活物質層34は、例えば、正極活物質を、必要に応じて導電材、結着剤(バインダ)等とともに適当な溶媒に分散させたペーストまたはスラリー状の組成物を正極集電体32に付与し、該組成物を乾燥させることにより好ましく作製することができる。上記正極活物質としては、リチウムを可逆的に吸蔵および放出可能な材料が用いられ、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる物質(例えば層状構造の酸化物やスピネル構造の酸化物)の一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。好適例として、リチウムニッケル系複合酸化物、リチウムコバルト系複合酸化物、リチウムマンガン系複合酸化物等のリチウム含有複合酸化物が挙げられる。
ここで、リチウムニッケル系複合酸化物とは、リチウム(Li)とニッケル(Ni)とを構成金属元素とする酸化物のほか、LiおよびNi以外に他の少なくとも一種の金属元素(すなわち、LiとNi以外の遷移金属元素および/または典型金属元素)を、原子数換算でNiと同程度またはNiよりも少ない割合(典型的にはNiよりも少ない割合)で構成金属元素として含む酸化物をも包含する意味である。上記LiおよびNi以外の金属元素は、例えば、Co,Al,Mn,Cr,Fe,V,Mg,Ti,Zr,Nb,Mo,W,Cu,Zn,Ga,In,Sn,LaおよびCeからなる群から選択される一種または二種以上の金属元素であり得る。リチウムコバルト系複合酸化物およびリチウムマンガン系複合酸化物についても同様の意味である。ここに開示される技術における好ましい正極活物質として、少なくともNi,CoおよびMnを構成金属元素として含む(例えば、Ni,CoおよびMnの三元素を原子数換算で概ね同量づつ含む)リチウム遷移金属複合酸化物が例示される。
正極活物質として使用し得る材料の他の好適例として、オリビン型リン酸リチウムその他のポリアニオン系材料が挙げられる。上記オリビン酸リチウムは、例えば、一般式LiMPO(MはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種以上の元素)で表記されるオリビン型リン酸リチウム(LiFePO、LiMnPO等)であり得る。
上記導電材としては、カーボン粉末やカーボンファイバー等のカーボン材料、ニッケル粉末等の導電性金属粉末が例示される。カーボン粉末としては、アセチレンブラック、ファーネスブラック等のカーボンブラックを好ましく採用することができる。このような導電材は、一種を単独で、または二種以上を適宜組み合わせて用いることができる。上記バインダとしては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンブロック共重合体(SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が挙げられる。このようなバインダは、一種を単独で、または二種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
正極活物質層全体に占める正極活物質の割合は、凡そ50質量%以上(典型的には50〜95質量%)とすることが適当であり、通常は凡そ70〜95質量%であることが好ましい。導電剤を使用する場合、正極活物質層全体に占める導電材の割合は、例えば凡そ2〜20質量%とすることができ、通常は凡そ2〜15質量%とすることが好ましい。バインダを使用する場合には、正極活物質層全体に占めるバインダの割合を例えば凡そ1〜10質量%とすることができ、通常は凡そ2〜5質量%とすることが適当である。
正極集電体32には、導電性の良好な金属からなる導電性部材が好ましく用いられる。例えば、アルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする合金を用いることができる。正極集電体32の形状は、リチウムイオン二次電池の形状等に応じて異なり得るため、特に制限はなく、棒状、板状、シート状、箔状、メッシュ状等の種々の形態であり得る。本実施形態ではシート状のアルミニウム製の正極集電体32が用いられ、捲回電極体20を備えるリチウムイオン二次電池100に好ましく使用され得る。かかる実施形態では、例えば、厚みが10μm〜30μm程度のアルミニウムシート(アルミニウム箔)が好ましく使用され得る。
負極活物質層44は、例えば、負極活物質を、結着剤(バインダ)等ともに適当な溶媒に分散させたペーストまたはスラリー状の組成物を負極集電体42に付与し、該組成物を乾燥させることにより好ましく作製することができる。
負極活物質としては、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定なく使用することができる。例えば、好適な負極活物質としてカーボン粒子が挙げられる。少なくとも一部にグラファイト構造(層状構造)を含む粒子状の炭素材料(カーボン粒子)が好ましく用いられる。いわゆる黒鉛質のもの(グラファイト)、難黒鉛化炭素質のもの(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素質のもの(ソフトカーボン)、これらを組み合わせた構造を有するもののいずれの炭素材料も好適に使用され得る。なかでも特に、天然黒鉛等の黒鉛粒子を好ましく使用することができる。負極活物質層全体に占める負極活物質の割合は特に限定されないが、通常は凡そ50質量%以上とすることが適当であり、好ましくは凡そ90〜99質量%(例えば凡そ95〜99質量%)である。
バインダとしては、上述した正極と同様のものを、単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。バインダの添加量は、負極活物質の種類や量に応じて適宜選択すればよく、例えば、負極活物質層全体の1〜5質量%程度とすることができる。
負極集電体42としては、導電性の良好な金属からなる導電性部材が好ましく用いられる。例えば、銅または銅を主成分とする合金を用いることができる。また、負極集電体42の形状は、正極集電体32と同様に、種々の形態であり得る。本実施形態ではシート状の銅製の負極集電体42が用いられ、捲回電極体20を備えるリチウムイオン二次電池100に好ましく使用され得る。かかる実施形態では、例えば、厚みが5μm〜30μm程度の銅製シート(銅箔)が好ましく使用され得る。
正極シート30と負極シート40との間に介在されるセパレータ50としては、当該分野において一般的なセパレータと同様のものを特に限定なく用いることができる。例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂からなる多孔質シート、不織布等を用いることができる。好適例として、一種または二種以上のポリオレフィン樹脂を主体に構成された単層または多層構造の多孔性シート(微多孔質樹脂シート)が挙げられる。例えば、PEシート、PPシート、PE層の両側にPP層が積層された三層構造(PP/PE/PP構造)のシート等を好適に使用し得る。セパレータの厚みは、例えば、凡そ10μm〜40μmの範囲内で設定することが好ましい。
ここに開示される非水二次電池(典型的にはリチウムイオン二次電池)は、充放電による劣化が少ないことから、各種用途向けの二次電池として利用可能である。例えば、図3に示すように、自動車等の車両1に搭載される車両駆動用モータ(電動機)の電源として、ここに開示されるいずれかの非水二次電池100を好適に利用することができる。車両1の種類は特に限定されないが、典型的には、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車等である。かかる非水二次電池100は、単独で使用されてもよく、直列および/または並列に複数接続されてなる組電池の形態で使用されてもよい。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定する意図ではない。
<添加剤A−4(リチウムN,N’−ビス(ノナフリル)スクアラミド)の合成>
Figure 0005477657
文献(J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 10320)に記載の手順で化合物1を用意した。H−NMRデータは該文献に記載のものと一致した。この化合物1を用いて、文献(J. Org. Chem. 2007, 72, 1951)に従って化合物2(スクアラミド)を合成した。H−NMRデータは該文献に記載のものと一致した。
次いで、スクアラミドにN−ノナフリル基を導入した。
Figure 0005477657
具体的には、密閉されたチューブ内で、1.12g(1当量)の化合物2と、10.1g(10当量)のトリエチルアミンとを、70.0mlのDMSOに溶解させた。この溶液に、6.04mg(2当量)のノナフリルフルロライド(CSOF)を一度に加えた。この反応混合物を90℃で攪拌しつつ、薄層クロマトグラフィ(TLC)および13C−NMRにより反応の進行をモニターした。化合物2が完全に化合物3に転換されたところで、該反応混合物を室温に冷却し、塩酸酸性の水に注いでジエチルエーテルで3回抽出した。有機層を集めて硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮した。シリカゲルカラム(溶離液:酢酸エチル)で精製して、目的とする化合物3(N,N’−ビス(ノナフリル)スクアラミド)を得た。収量は3.83g、収率は56.6%であった。
Figure 0005477657
次いで、化合物3のリチウム塩である化合物3−Liを合成した。
Figure 0005477657
具体的には、CHCN/HOの3:1混合液20ml中に1.08g(1当量)の化合物3を含む溶液に、0.15g(2.2当量)のLiOH・HOを一度に加えた。この反応混合物を室温で1時間攪拌した後、減圧下で濃縮して、リチウム塩3−Li(添加剤A−4)を黄色の固体として得た。収量は10.9g、収率は99%以上であった。
リチウム塩3−Liのスペクトルデータは、化合物3とほぼ同じであった。
<添加剤A−8(リチウムN,N’−ビス(パーフルオロオクチルスルホニル)スクアラミド)の合成>
Figure 0005477657
文献(J. Org. Chem. 2007, 72, 1951)に従って化合物1(スクアラミド)を用意した。H−NMRデータは該文献に記載のものと一致した。
次いで、密閉されたチューブ内で、3.0mlのDMSO中に0.56g(1当量)のスクアラミド1および5.06g(10当量)のトリエチルアミンを溶解した溶液に、5.0g(2.0当量)のパーフロロオクタンスルホニルフルオライドを加えた。この反応混合物を80℃で12時間攪拌した。次いで、上記反応混合物を室温に冷却し、水中に注ぎ、4規定の水性塩酸で酸性にしてジエチルエーテルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥した。その粗混合物を13C−NMRで分析したところ、目的物である化合物3も含まれていたが、主生成物はモノスルホニル化物2であった。化合物2および化合物3の分析結果は以下のとおりである。
Figure 0005477657
上記粗混合物を密閉されたチューブに入れ、溶媒を加えることなく、2.5g(1当量)のパーフルオロオクタンスルホニルフルオライドおよび5.06g(10当量)のトリエチルアミンを加えた。その反応混合物を120℃で24時間攪拌し、13C−NMRをモニターした。モノスルホニル化スクアラミドが完全に消費されたところで、上記反応混合物を室温に冷却した。次いで、該反応物を4規定の水性塩酸で酸性とし、ジエチルーテルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、シリカ上のカラムクロマトグラフィ(溶離液:酢酸エチル/メタノール(20:1))により目的物を得た。この固体をアセトンに再溶解し、4規定の水性塩酸で酸性とし、再度エーテルで抽出して硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。生成物は淡い茶色の固体であった。化合物3(N,N’−ビス(パーフルオロオクチルスルホニル)スクアラミド)の分析結果を以下に示す。
Figure 0005477657
次いで、化合物3のリチウム塩である化合物3−Liを合成した。
Figure 0005477657
具体的には、アセトン/HOの5:1混合物中に1.56g(1.00当量)の化合物3を含む溶液に、0.134g(2.20当量)のLiOH・HOを一度に加えた。この反応混合物を室温で1時間攪拌した後、減圧下で濃縮して、リチウム塩3−Li(添加剤A−8)を黄色の固体として得た。収量は1.58g、収率は99%以上であった。
化合物3と化合物3−Liとの13C−NMRの差異は僅かであった。
Figure 0005477657
<添加剤A−1(リチウムN,N’−ビス(パーフルオロメチルスルホニル)スクアラミド)の合成>
SOFに代えてCFSOFを用いた点以外は添加剤A−4の合成と同様の手法により、リチウムN,N’−ビス(パーフルオロメチルスルホニル)スクアラミド(添加剤A−1)を得た。
<非水電解液の調製>
ECとDECとの混合溶媒(体積比3:7)中にLiPFを1mol/Lの濃度で含む溶液を基準溶液とし、これに上記で作製した添加剤A−1,A−4およびA−8を加えて溶解させることにより、表1に示す組成の電解液サンプルを調製した。なお、電解液サンプル4としては、上記基準溶液をそのまま(添加剤を加えることなく)使用した。表1において、電解液サンプル4以外のサンプルにおける各添加剤の添加量は、上記基準溶液の量を1とした場合の添加剤の含有量を示している。すなわち、添加量1wt%の電解液サンプルは、基準溶液100gに対して添加剤1gを含有する。ただし、添加剤A−1は、添加剤A−4やA−8に比べて基準溶液に対する溶解性が低かったため、電解液サンプル1としては、25℃において該基準溶液に添加剤A−1を飽和するまで溶解させた溶液(上澄み液)を使用した。このサンプル1における添加剤A−1の含有量は0.1質量%未満であった。
<リチウムイオン二次電池の作製>
各電解液サンプルを用いて、以下のようにして評価用のリチウムイオン二次電池を作製した。
このリチウムイオン二次電池用の正極は、次のようにして作製した。すなわち、結着剤としてのPVDFを5g含むN−メチルピロリドン(NMP)溶液125mlに、正極活物質としてのLiCoO粉末(理論放電容量 275mAh/g)85gと、導電材としてのアセチレンブラック10gとを加え、均一になるまで混練してペースト状の組成物を調製した。この組成物を、厚さ15μmのアルミニウム箔(正極集電体)の片面に、塗布量が6.5mg/cm(固形分基準)となるように塗布した。その塗布物を乾燥させ、プレスした後、所定サイズ(直径14mmの円形)に切り出して正極を得た。
上記リチウムイオン二次電池用の負極は、次のようにして作製した。すなわち、PVDF(結着剤)7.5gを含むNMP溶液125mLに、負極活物質としてのグラファイト92.5gを加え、均一になるまで混練してペースト状の組成物を調製した。この組成物を、厚さ15μmの銅箔(負極集電体)の片面に、塗布量が4.3mg/cm(固形分基準)となるように塗布した。その塗布物を乾燥させ、プレスした後、所定サイズ(直径16mmの円形)に切り出して負極を得た。
セパレータとしては、厚み25μmのポリプロピレン(PP)製多孔質フィルムを所定サイズ(直径19mmの円形)に切り出したものを使用した。
これらの電池構成部材を用いて、図4に示す概略構造のコイン型(2032型)電池200を作製した。すなわち、上記で作製した正極30および負極40を、各電解液サンプル90を含浸させたセパレータ50とともに積層し、容器80(負極端子)に収容した後、さらに同電解液サンプルを滴下した。次いで、ガスケット60および蓋70(正極端子)で容器80を封止して、各電解液サンプルに対応する計10種の電池200を得た。なお、以下の説明において、添加剤の濃度のみが異なる一群の電解液サンプル、例えば電解液サンプル2−1、2−2および2−3の3つのサンプルを、包括的に「電解液サンプル2」と表記することがある。電解液サンプル3についても同様である。
<容量維持率測定>
上記で得られた各電池に対して、温度25℃にて、1/10Cのレートで4.1Vまで充電する操作と、同じレートで3.0Vまで放電させる操作とを交互に3回繰り返した。
次いで、1Cのレートで電圧が4.1Vとなるまで充電した後、合計充電時間が2時間になるまで同電圧でさらに充電する、定電流定電圧(CC−CV)充電を行った。続いて、同温度において、1Cで3.0Vまで定電流放電する操作と、1Cで4.1Vまで定電流充電する操作とを200サイクル繰り返した(サイクル試験)。1サイクル目の放電容量(初期放電容量)を100%として、200サイクル目の放電容量(サイクル後放電容量)の維持率を算出した。得られた結果を表1に併せて示す。
Figure 0005477657
表1に示されるように、非水溶媒としてのカーボネート系溶媒中に支持塩としてのLiPFを含む組成の電解液を用いた各リチウムイオン二次電池のうち、添加剤を含有しない電解液サンプル4(基準溶液)を用いた例では、容量維持率が88%であった。これに対して、スクアリン酸の誘導体であって2つのN−パーフルオロアルカンスルホニル基を有するジアミドリチウム塩である添加剤A−1、A−4またはA−8を0.1〜5質量%(より具体的には0.5〜2質量%)含有させた電解液サンプル1〜3を用いた例では、いずれも、電解液サンプル4を用いた例に比べて容量維持率が2%以上(2〜4%)向上した。N−パーフルオロアルカンスルホニル基の炭素原子数が3〜10(より具体的には3〜8)である添加剤A−4または添加剤A−8を含む電解液サンプル2,3によると、該炭素原子数が1である添加剤A−1を含む電解液サンプル1に比べて、より高い容量維持率が達成された。これは、添加剤A−2,A−3は、ここで使用したカーボネート系溶媒(ひいては上記基準溶液)に対する溶解性がより高く、該添加剤をより多く含有させるのに適しているためと考えられる。また、上記炭素原子数が3〜6である添加剤A−2を用いた例は、添加剤A−8を用いた例に比べて、概して、より高い容量維持率を示した。これは、添加剤A−3よりも添加剤A−2のほうが、上記溶解性がより高いことに関連するものと考えられる。
<添加剤B−4(リチウムN,N’−ビス(パーフルオロブチルスルホニル)オキサアミド)の合成>
Figure 0005477657
−70℃において、液体アンモニア約100mlにパーフルオロブタン−1−スルホニルフルロライド(化合物1)50gを約30分かけて滴下し、ゆっくりと室温まで昇温して一晩攪拌した。水40mlおよび6規定塩酸40mlを滴下した後、イソプロピルエーテル(IPE)で抽出し、水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。上澄みを濃縮し、濃縮残渣をシリカゲルカラムで生成して、パーフルオロブタン−1−スルホンアミド(化合物2)を得た。溶離液としては、ヘプタン/酢酸エチル=2/1の混合溶媒を使用した。収量は47.3g、収率は95.5%であった。
Figure 0005477657
アルゴン気流下で脱水メタノール157mlに金属ナトリウム2.3gを加えて反応させ、上記で得られたパーフルオロブタン−1−スルホンアミド(化合物2)31.4gのジエチルエーテル溶液を滴下した。続いて、加熱還流下で3時間攪拌した後、室温に冷却し、溶媒を減圧留去して、ナトリウムパーフルオロブチルスルホニルアミド(化合物3)を得た。収量は33.4g、収率は100%であった。
Figure 0005477657
アルゴン気流下において、上記経路により得られたナトリウムパーフルオロブチルスルホニルアミド37gに脱水テトラヒドロフラン115mlを加え、溶解させた。続いて、氷冷下でシュウ酸ジクロライド5.8gを30分かけて滴下した後、室温で1.5時間反応させた。溶媒を減圧留去し、ナトリウムN,N’−ビス(パーフルオロブチルスルホニル)オキサアミド(化合物4)40.8gを得た。続いて、この化合物4にジエチルエーテルと水を加え、塩酸を滴下してpHを1〜2に調整した。分液し、水層をジエチルエーテルで抽出し、合わせた有機層を水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、上澄みを濃縮した。濃縮残渣をトルエンで洗浄した後、酢酸エチルとヘプタンの混合溶媒から再結晶し、N,N’−ビス(パーフルオロブチルスルホニル)オキサアミド(化合物5)を得た。所望の目的物が得られたことは、H−NMR、13C−NMRおよび19F−NMRにより確認した。化合物5の収量は11.0g、収率は36.7%であった。
Figure 0005477657
上記で得られたN,N’−ビス(パーフルオロブチルスルホニル)オキサアミド(化合物5)5.0gにアセトニトリルと水を加えて溶解させ、0.64gのLiOH・HOを加えて室温で1時間攪拌した。その後、溶媒を減圧留去し、濃縮残渣を120℃で減圧乾燥して、目的物たるリチウムN,N’−ビス(パーフルオロブチルスルホニル)オキサアミド(化合物6;添加剤B−4)を得た。収量は5.1、収率は100%であった。この目的物のLi含量を誘導結合プラズマ発光分析法(ICP−ASE)により定量分析したところ、1.94質量%であり、理論値(2.09質量%)と良く一致していた。
<非水電解液の調製と評価>
上記基準溶液(電解液サンプル4、すなわちECとDECとの混合溶媒(体積比3:7)中にLiPFを1mol/Lの濃度で含む溶液)100gに対して0.1gの添加剤B−4を加えて溶解させることにより、表2に示す組成の電解液サンプル5を調製した。この電解液サンプル5を用いた点以外は上記と同様にしてコイン型電池を作製し、同様にして容量維持率を測定した。このとき、測定誤差の影響を排除するため、電解液サンプル4,5をそれぞれ用いた2種類の電池につき同時にサイクル試験を行い、上記容量維持率を測定した。得られた結果を表2に示す。
Figure 0005477657
表2に示されるように、添加剤を含有しない電解液サンプル4(基準溶液)を用いたリチウムイオン二次電池の容量維持率が82%であったのに対し、ジカルボン酸の誘導体であって2つのN−パーフルオロアルカンスルホニル基を有するジアミドリチウム塩である添加剤B−4を0.1〜5質量%(ここでは0.1質量%)含有させた電解液サンプル5によると、リチウムイオン二次電池の容量維持率が3%向上することが確認された。
以上、本発明を詳細に説明したが、上記実施形態および実施例は例示にすぎず、ここで開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、この明細書により開示される事項には、さらに以下のものが含まれる。
<参考例>
0.75gのPVDFを含むNMP溶液12.5mlに、0.09gの添加剤B−4を加えて溶解させた。さらに9.25gのグラファイトを加え、均一になるまで混合してペーストまたはスラリー状の組成物を得た。この組成物を厚さ15μmの銅箔(集電体)の片面に、塗布量が4.3mg/cm(固形分基準)となるように塗布した。その塗布物を乾燥させ、プレスした後、所定サイズ(直径16mmの円形)に切り出した。このようにして、負極活物質に対して1質量%の添加剤B−4を含む負極(負極サンプル6)を得た。
この負極サンプル6と上記正極とを、上記基準溶液(電解液サンプル4)とともにコイン型容器に組み込んで、上記と同様にコイン型電池を作製し、同様にして容量維持率を測定した。このとき、測定誤差の影響を排除するため、負極サンプル6を用いた上記電池と、上述した負極(すなわち、添加剤B−4を含まない負極)を用いて同様に作製した電池との2種類の電池につき同時にサイクル試験を行い、上記容量維持率を測定した。得られた結果を表3に示す。
Figure 0005477657
表3に示されるように、負極活物質中に添加剤B−4を含有させることによっても、該添加剤を電解液に含有させた場合と同様に、該添加剤を用いない電池に比べて容量維持率を向上(ここでは3%向上)させ得ることが確認された。
したがって、この明細書により開示される事項には、ここに開示されるいずれかのアミドリチウム塩を有する負極を備えた非水二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)が含まれる。かかる非水二次電池は、例えば、正極と負極と非水電解質とを備え、前記負極は負極活物質を主成分とする負極活物質層を備え、その負極活物質層が、2価以上のオキソカーボン酸または2価以上のカルボン酸の誘導体であって少なくとも一つのN−フッ化アルカンスルホニル基を有するアミドリチウム塩を含有するものであり得る。負極活物質層における上記アミドリチウム塩の含有量は、負極活物質に対して0.1〜10質量%(例えば0.5〜5質量%)程度とすることができる。上記添加剤を負極活物質層に含有させる態様には、上記添加剤の使用量が、非水電解質を構成する非水溶媒に対する溶解性による制約を受けにくいという利点がある。このことは、比較的溶解性の低いアミドリチウム塩(例えば、添加剤B−4、A−1等)を用いる場合に特に有意義である。また、負極活物質層および非水電解質のそれぞれに、同一のまたは異なるアミドリチウム塩を含有させた構成の非水二次電池としてもよい。
この明細書により開示される事項には、また、導電性金属を主体とする集電体を用意する工程と、該集電体上に、負極活物質と上記アミドリチウム塩(すなわち、2価以上のオキソカーボン酸または2価以上のカルボン酸の誘導体であって少なくとも一つのN−フッ化アルカンスルホニル基を有するアミドリチウム塩)とを含有する負極活物質層を形成する工程と、を包含する非水二次電池用負極の製造方法が含まれる。さらに、かかる負極を用いて非水二次電池を構築することを特徴とする非水二次電池製造方法が含まれる。
1 車両
20 捲回電極体
30 正極シート(正極)
34 正極活物質層
40 負極シート(負極)
42 負極集電体
44 負極活物質層
50 セパレータ
90 電解液(非水電解質)
100,200 非水二次電池

Claims (7)

  1. 非水溶媒と、
    添加剤としての、2価以上のオキソカーボン酸または2価以上のカルボン酸の誘導体であって少なくとも一つのN−フッ化アルカンスルホニル基を有するアミドリチウム塩(ここで、前記アミドリチウム塩は、リチウムイオンがアミド結合の窒素に結合したものである。)と、
    を含有する、非水電解質。
  2. 前記オキソカーボン酸はスクアリン酸である、請求項1に記載の非水電解質。
  3. 前記カルボン酸はシュウ酸である、請求項1に記載の非水電解質。
  4. 前記N−フッ化アルカンスルホニル基は、炭素原子数1〜10のN−パーフルオロアルカンスルホニル基である、請求項1から3のいずれか一項に記載の非水電解質。
  5. 前記非水溶媒のうち50体積%以上は一種または二種以上のカーボネート系溶媒からなる、請求項1から4のいずれか一項に記載の非水電解質。
  6. 支持塩としてのリチウム塩をさらに含有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の非水電解質。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の非水電解質を備える、非水二次電池。
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