JP5471109B2 - 画像形成装置、定着装置、およびプログラム - Google Patents

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本発明は、画像形成装置、定着装置、およびプログラムに関する。
電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置に搭載する定着装置として、電磁誘導加熱方式を用いたものが知られている。
例えば特許文献1には、磁束発生手段としての電磁誘導コイルが磁性金属製の芯金シリンダからなる定着ロールの内部に配置され、電磁誘導コイルにて生成した誘導磁界により定着ロールに渦電流を誘起させて、定着ロールを直接的に加熱する電磁誘導加熱方式の定着装置が記載されている。
特開2003−186322号公報
ここで一般に、電磁誘導方式により直接的に加熱される定着部材を熱容量の小さいベルト部材で構成することにより、定着部材を定着設定温度まで上昇させるための時間(ウォームアップ時間)は短くなるが、定着部材に接触する例えば用紙や部材等に熱が流出することで定着部材の温度は低下し易い。
本発明は、定着装置に備えられた定着部材の温度の低下を抑制することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、記録材にトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記トナー像形成手段によって形成された前記トナー像を前記記録材に定着する定着部材と、前記定着部材を加熱する加熱手段と、前記定着部材に接触する位置と離間する位置との間を移動するように構成され、当該定着部材に接触する位置に設定されることで当該定着部材を加圧し、当該定着部材との間に前記トナー像を保持した前記記録材が通過する領域を形成する加圧部材と、前記定着部材を予め定めた温度に設定するように前記加熱手段に供給する電力を制御する第1の制御、または、当該定着部材の温度にかかわらずに当該加熱手段に電力の供給を行う第2の制御を行う制御手段と、前記定着部材の温度を検知して、当該温度に関する情報を前記制御手段に出力する温度検知手段と、前記トナー像形成手段にて前記トナー像形成動作を実行させるために当該トナー像形成動作の開始に先行して行われる操作者の第1の操作を検知する操作検知手段とを備え、前記加圧部材は、前記トナー像形成手段にて前記記録材に前記トナー像を形成するトナー像形成動作の実行が開始された後に、前記定着部材に接触する位置に設定され、前記制御手段は、前記加圧部材が前記定着部材に接触する位置に設定されるタイミングに合わせて、前記第2の制御を行い、前記操作検知手段にて前記第1の操作が検知された後、前記第1の制御および当該第2の制御に先行して前記加熱手段に電力を供給する予備制御を実行する前に、前記温度検知手段から当該定着部材の温度に関する情報を取得し、当該情報に対応させて当該予備制御または当該第2の制御の何れか一方または双方にて前記加熱手段に供給する電力値を決定することを特徴とする画像形成装置である。
請求項2に記載の発明は、記録材にトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記トナー像形成手段によって形成された前記トナー像を前記記録材に定着する定着部材と、前記定着部材を加熱する加熱手段と、前記定着部材に接触する位置と離間する位置との間を移動するように構成され、当該定着部材に接触する位置に設定されることで当該定着部材を加圧し、当該定着部材との間に前記トナー像を保持した前記記録材が通過する領域を形成する加圧部材と、前記定着部材を予め定めた温度に設定するように前記加熱手段に供給する電力を制御する第1の制御、または、当該定着部材の温度にかかわらずに当該加熱手段に電力の供給を行う第2の制御を行う制御手段と、前記トナー像形成手段における前記トナー像形成動作の実行を確定する操作者による第2の操作を検知する操作検知手段とを備え、前記制御手段は、前記加圧部材が前記定着部材に接触する位置に設定されるタイミングに合わせて、前記第2の制御を行い、前記操作検知手段にて前記第2の操作が検知されたことに対応して、前記トナー像形成手段にて前記トナー像形成動作を開始するタイミングに合わせて前記第2の制御を行うことを特徴とする画像形成装置である。
請求項3に記載の発明は、前記制御手段は、前記記録材が前記定着部材に接触する位置に搬送されるタイミングに合わせて前記第2の制御を行うことを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置である。
請求項4に記載の発明は、記録材に形成されたトナー像を当該記録材に定着する定着部材と、前記定着部材に接触する位置と離間する位置との間を移動するように構成され、当該定着部材に接触する位置に設定されることで当該定着部材を加圧し、当該定着部材との間に前記トナー像を保持した前記記録材が通過する領域を形成する加圧部材と、供給される電力が前記定着部材を予め定めた温度に設定するように制御される第1の制御、または、当該定着部材の温度にかかわらずに電力が供給される第2の制御により制御されることにより、当該定着部材を加熱する加熱手段と、前記定着部材の温度を検知する温度検知手段とを備え、前記加圧部材は、前記記録材にトナー像を形成するトナー像形成動作の実行が開始された後に、前記定着部材に接触する位置に設定され、前記加熱手段は、前記加圧部材が前記定着部材に接触する位置に設定されるタイミングに合わせて、前記第2の制御が行われ、前記第1の制御と当該第2の制御とに先行して電力が供給される予備制御または当該第2の制御の何れか一方または双方にて用いられる電力値が、前記トナー像形成動作を実行させるために当該トナー像形成動作の開始に先行して行われる操作者の第1の操作が行われた後、当該予備制御が実行される前に、前記温度検知手段にて検知された前記定着部材の温度に対応させて決定されることを特徴とする定着装置である。
請求項5に記載の発明は、記録材に形成されたトナー像を当該記録材に定着する定着部材と、前記定着部材に接触する位置と離間する位置との間を移動するように構成され、当該定着部材に接触する位置に設定されることで当該定着部材を加圧し、当該定着部材との間に前記トナー像を保持した前記記録材が通過する領域を形成する加圧部材と、供給される電力が前記定着部材を予め定めた温度に設定するように制御される第1の制御、または、当該定着部材の温度にかかわらずに電力が供給される第2の制御により制御されることにより、当該定着部材を加熱する加熱手段とを備え、前記加熱手段は、前記加圧部材が前記定着部材に接触する位置に設定されるタイミングに合わせて、前記第2の制御が行われ、前記トナー像形成動作の実行を確定する操作者による第2の操作に対応して、当該トナー像形成動作が開始されるタイミングに合わせて当該第2の制御が行われることを特徴とする定着装置である。
請求項6に記載の発明は、前記加熱手段は、前記記録材が前記定着部材に接触する位置に搬送されるタイミングに合わせて前記第2の制御が行われることを特徴とする請求項4または5記載の定着装置である。
請求項7に記載の発明は、コンピュータに、トナー像を記録材に定着する定着部材を予め定めた温度に設定するように、当該定着部材を加熱する加熱手段に電力を供給する第1の制御を行う機能と、前記加圧部材が前記定着部材に接触する位置に設定されるタイミングに合わせて、前記定着部材の温度にかかわらずに前記加熱手段に電力を供給する第2の制御を行う機能と、記録材にトナー像を形成するトナー像形成動作の実行が開始された後に、前記定着部材に接触する位置と離間する位置との間を移動するように構成され、当該定着部材に接触する位置に設定されることで当該定着部材を加圧し、当該定着部材との間に当該トナー像を保持した当該記録材が通過する領域を形成される加圧部材を、当該定着部材に接触する位置に設定する機能と、前記定着部材の温度に関する情報を取得する機能と、前記トナー像形成動作を実行させるために当該トナー像形成動作の開始に先行して行われる操作者の第1の操作を検知する機能と、前記第1の制御および前記第2の制御に先行して前記加熱手段に電力を供給する予備制御を行う機能と、前記第1の操作が検知された後、前記予備制御が実行される前に取得された前記定着部材の温度に関する情報に対応させて、当該予備制御または前記第2の制御の何れか一方または双方にて前記加熱手段に供給する電力の電力値を決定する機能とを実現させ、前記第2の制御を行う機能は、前記加圧部材が前記定着部材に接触する位置に設定されるタイミングに合わせて、前記加熱手段に電力を供給することを特徴とするプログラムである。
請求項8に記載の発明は、コンピュータに、トナー像を記録材に定着する定着部材を予め定めた温度に設定するように、当該定着部材を加熱する加熱手段に電力を供給する第1の制御を行う機能と、前記加圧部材が前記定着部材に接触する位置に設定されるタイミングに合わせて、前記定着部材の温度にかかわらずに前記加熱手段に電力を供給する第2の制御を行う機能と、記録材にトナー像を形成するトナー像形成動作の実行が開始された後に、前記定着部材に接触する位置と離間する位置との間を移動するように構成され、当該定着部材に接触する位置に設定されることで当該定着部材を加圧し、当該定着部材との間に当該トナー像を保持した当該記録材が通過する領域を形成される加圧部材を、当該定着部材に接触する位置に設定する機能と、前記記録材に前記トナー像を形成するトナー像形成動作の実行を確定する操作者による第2の操作を認識する機能とを実現させ、前記第2の制御を行う機能は、前記加圧部材が前記定着部材に接触する位置に設定されるタイミングに合わせて、前記加熱手段に電力を供給し、前記操作者の前記第2の操作を認識することに対応して、前記トナー像形成動作を開始するタイミングに合わせて前記加熱手段に電力を供給することを特徴とするプログラムである。
請求項1の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、画像形成装置に搭載される定着装置に備えられた定着部材の温度の低下を抑制することができる。
請求項2の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、画像形成装置に搭載される定着装置に備えられた定着部材の温度の低下を抑制することができる。
請求項3の発明によれば、定着部材にトナー像が形成された記録材が接触することにより記録材に流出する熱量を補い、本発明を採用しない場合に比べ、定着部材の温度が定着設定温度から低下することを抑制することができる。
請求項4の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、定着装置に備えられた定着部材の温度の低下を抑制することができる。
請求項5の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、定着装置に備えられた定着部材の温度の低下を抑制することができる。
請求項6の発明によれば、定着部材にトナー像が形成された記録材が接触することにより記録材に流出する熱量を補い、本発明を採用しない場合に比べ、定着部材の温度が定着設定温度から低下することを抑制することができる。
請求項7の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、定着装置に備えられた定着部材の温度の低下を抑制することができる。
請求項8の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、定着装置に備えられた定着部材の温度の低下を抑制することができる。
本実施の形態の定着装置が適用される画像形成装置の構成例を示した図である。 本実施の形態の定着ユニットの構成を示す正面図である。 図2における定着ユニットのII−II断面図である。 定着ベルトの断面層構成図である。 (a)がエンドキャップ部材の側面図であり、(b)がZ方向から見たエンドキャップ部材の平面図である。 IHヒータの構成を説明する断面図である。 定着ベルトの温度が透磁率変化開始温度以下の温度範囲にある場合の磁力線の状態を説明する図である。 小サイズ紙を連続して通紙した際の定着ベルトの幅方向の温度分布の概略を示した図である。 非通紙領域での定着ベルトの温度が透磁率変化開始温度を超えた温度範囲にある場合の磁力線の状態を説明する図である。 感温磁性部材に形成されるスリットを示した図である。 IHヒータに供給する電力を制御する回路構成の一例を示すブロック図である。 制御部が行う画像形成処理に関する動作制御の内容の一例を説明するフローチャートである。 制御部が定着ベルトを強制加熱制御するタイミングを説明する図である。 制御部が後処理を行うに際して実施する判定処理の内容の一例を示したフローチャートである。 制御部の内部構成の一部を示すブロック図である。 サーミスタにて検知された検知温度と「電力設定信号」にて指定される指定電力との関係の一例を示した図である。 定着ユニットに対するウォーミングアップ処理時に制御部が行う電力設定処理の内容の一例を説明するフローチャートである。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[実施の形態1]
<画像形成装置の説明>
図1は本実施の形態の定着装置が適用される画像形成装置の構成例を示した図である。図1に示す画像形成装置1は、所謂タンデム型のカラープリンタであり、画像データに基づき画像を形成する画像形成部10、原稿から画像を読み取って読取画像データを生成する画像読取部50、画像形成装置1全体の動作を制御する制御部31を備えている。さらには、例えばパーソナルコンピュータ(PC)3等との通信を行って画像形成命令(以下、「印刷ジョブ」)を受信する通信部32、通信部32にて受信された印刷ジョブに含まれる画像データや画像読取部50によって生成された読取画像データ等に対し画像処理を施す画像処理部33、ユーザからの操作入力の受付やユーザに対する各種情報の表示を行うユーザインターフェース(UI)部34を備えている。
画像形成部10は、一定の間隔を置いて並列的に配置される4つの画像形成ユニット11Y,11M,11C,11K(「画像形成ユニット11」とも総称する)を備えている。各画像形成ユニット11は、静電潜像を形成してトナー像を保持する像保持体の一例としての感光体ドラム12、感光体ドラム12の表面を予め定めた電位で一様に帯電する帯電器13、帯電器13によって帯電された感光体ドラム12を各色画像データに基づき露光するLED(Light Emitting Diode)プリントヘッド14、感光体ドラム12上に形成された静電潜像を現像する現像器15、転写後の感光体ドラム12表面を清掃するドラムクリーナ16を備えている。
画像形成ユニット11各々は、現像器15に収納されるトナーを除いて略同様に構成され、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
また、画像形成部10は、各画像形成ユニット11の感光体ドラム12にて形成された各色トナー像が多重転写される中間転写ベルト20、各画像形成ユニット11にて形成された各色トナー像を中間転写ベルト20に順次転写(一次転写)する一次転写ロール21を備えている。さらに、中間転写ベルト20上に重畳して転写された各色トナー像を記録材(用紙P)に一括転写(二次転写)する二次転写ロール22、二次転写された各色トナー像を用紙P上に定着させる定着手段(定着装置)の一例としての定着ユニット60を備えている。なお、本実施の形態の画像形成装置1では、中間転写ベルト20、一次転写ロール21、および二次転写ロール22により転写手段が構成される。
一方、画像読取部50は、原稿が静止させた状態で置かれる第1プラテンガラス51、第1プラテンガラス51を覆うように構成されたプラテンカバー52を備えている。プラテンカバー52は、ユーザの操作に応じて開閉されるように構成され、開放状態において原稿が第1プラテンガラス51上に置かれる状態を設定し、閉止状態において第1プラテンガラス51上に置かれた原稿を第1プラテンガラス51に密着させる。また、プラテンカバー52には、プラテンカバー52の開閉状態を検知する検知手段の一例としての開閉検知センサ(不図示)が設けられ、プラテンカバー52の開閉状態に関する情報を制御部31に送信する。
さらに、画像読取部50は、搬送中の原稿を読み取るための光開口部を形成する第2プラテンガラス55、複数枚の原稿を収容する原稿収容部53、原稿収容部53に収容された原稿の片面または両面が第2プラテンガラス55を通過するように搬送する原稿搬送部54、第2プラテンガラス55を通過することで読み取られた原稿を集積する原稿集積部56を備えている。また、原稿収容部53には、原稿収容部53に原稿が収容されたことを検知する検知手段の一例としての原稿検知センサ(不図示)が設けられ、原稿収容部53に収容された原稿の有無に関する情報を制御部31に送信する。
画像読取部50において第1プラテンガラス51に置かれた原稿を読み取る場合には、ユーザインターフェース(UI)部34からのユーザの操作入力に基づき、制御部31が画像読取部50に対して第1プラテンガラス51に載せられた原稿の読み取りを指示する。それにより、画像読取部50は、1ページ分の原稿を読み取り、原稿から得られた画像データ(読取画像データ)を画像処理部33に転送する。
一方、画像読取部50において原稿収容部53に置かれた原稿を読み取る場合には、UI部34からのユーザの操作入力に基づき、制御部31が画像読取部50に対して原稿収容部53に置かれた原稿の読み取りを指示する。それにより、画像読取部50は、原稿収容部53に置かれた原稿を原稿搬送部54によって第2プラテンガラス55に搬送する。そして、画像読取部50は、原稿全体を第2プラテンガラス55を通過させることによって1ページ分の原稿を読み取り、原稿から得られた読取画像データを画像処理部33に転送する。
<画像形成装置による画像形成処理の説明>
次に、本実施の形態の画像形成装置1においては、画像読取部50の第1プラテンガラス51に置かれた原稿や原稿収容部53に収容された原稿に関するユーザからの複写指示をUI部34にて受け付けると、画像形成装置1の制御部31がそれを認識する。この場合に、制御部31は、プラテンカバー52に配置された開閉検知センサからのプラテンカバー52の開閉状態に関する情報、および原稿収容部53に配置された原稿検知センサからの原稿の有無に関する情報の何れか一方または双方に基づいて、複写対象が第1プラテンガラス51上の原稿か、または原稿収容部53に収容された原稿かを認識するように構成することもできる。
また、通信部32にて印刷ジョブを受信すると、画像形成装置1の制御部31がそれを認識する。
それにより、画像形成装置1は、制御部31による動作制御の下で、画像読取部50にて生成された読取画像データや通信部32にて受信された印刷ジョブに対して、以下のような画像形成処理を実行する。
まず、PC3や画像読取部50からの画像データは画像処理部33により予め定められた画像処理が施される。それにより、各色毎の画像データに分解されて各画像形成ユニット11に送られる。そして、例えば黒(K)色トナー像を形成する画像形成ユニット11Kでは、感光体ドラム12が矢印A方向に回転しながら帯電器13により予め定めた電位で一様に帯電され、画像処理部33から送信されたK色画像データに基づきLEDプリントヘッド14が感光体ドラム12を走査露光する。それにより、感光体ドラム12上にはK色画像に関する静電潜像が形成される。感光体ドラム12上に形成されたK色静電潜像は現像器15により現像され、感光体ドラム12上にK色トナー像が形成される。同様に、画像形成ユニット11Y,11M,11Cにおいても、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色トナー像が形成される。
各画像形成ユニット11の感光体ドラム12に形成された各色トナー像は、一次転写ロール21により矢印B方向に移動する中間転写ベルト20上に順次静電転写(一次転写)され、各色トナーが重畳された重畳トナー像が形成される。中間転写ベルト20上の重畳トナー像は、中間転写ベルト20の移動に伴って二次転写ロール22が配置された領域(二次転写部T)に搬送される。重畳トナー像が二次転写部Tに搬送されると、そのタイミングに合わせて用紙保持部40から用紙Pが二次転写部Tに供給される。そして、重畳トナー像は、二次転写部Tにて二次転写ロール22が形成する転写電界により、搬送されてきた用紙P上に一括して静電転写(二次転写)される。
このように、画像形成部10内の各画像形成ユニット11から二次転写ロール22に至る経路上に配置された各構成部は、記録材(用紙P)上にトナー像を形成する動作(以下、「トナー像形成動作」)を実行するトナー像形成手段として機能する。
その後、重畳トナー像が静電転写された用紙Pは、定着ユニット60まで搬送される。定着ユニット60に搬送された用紙P上のトナー像は、定着ユニット60によって熱および圧力を受け、用紙P上に定着される。そして、定着画像が形成された用紙Pは、画像形成装置1の排出部に設けられた用紙積載部45に搬送される。
一方、一次転写後に感光体ドラム12に付着しているトナー(一次転写残トナー)、および二次転写後に中間転写ベルト20に付着しているトナー(二次転写残トナー)は、それぞれドラムクリーナ16、およびベルトクリーナ25によって除去される。
このようにして、画像形成装置1での画像形成処理がプリント枚数分のサイクルだけ繰り返し実行される。
<定着ユニットの構成の説明>
次に、本実施の形態の定着ユニット60について説明する。
図2および図3は本実施の形態の定着ユニット60の構成を示す図であり、図2は正面図、図3は図2におけるII−II断面図である。
まず、断面図である図3に示すように、定着ユニット60は、交流磁界を生成する加熱手段(磁界生成手段)の一例としてのIH(Induction Heating)ヒータ80、IHヒータ80により電磁誘導加熱されてトナー像を定着する定着部材の一例としての定着ベルト61、定着ベルト61に対向するように配置された加圧部材の一例としての加圧ロール62、定着ベルト61を介して加圧ロール62から押圧される押圧パッド63を備えている。
さらに、定着ユニット60は、押圧パッド63等の構成部材を支持するホルダ65、IHヒータ80にて生成された交流磁界を誘導して磁路を形成する感温磁性部材64、感温磁性部材64を通過した磁力線を誘導する誘導部材66、定着ベルト61からの用紙Pの剥離を補助する剥離補助部材173を備えている。
<定着ベルトの説明>
定着ベルト61は、原形が円筒形状の無端のベルト部材で構成され、例えば原形(円筒形状)時の直径が30mm、幅方向長が370mmに形成されている。また、図4(定着ベルト61の断面層構成図)に示したように、定着ベルト61は、基材層611、基材層611の上に積層された導電発熱層612、トナー像の定着性を向上させる弾性層613、最上層に被覆された表面離型層614からなる多層構造のベルト部材である。
基材層611は、薄層の導電発熱層612を支持するとともに、定着ベルト61全体としての機械的強度を形成する耐熱性のシート状部材で構成される。また、基材層611は、IHヒータ80にて生成された交流磁界が感温磁性部材64まで作用するように、磁界を通過させる物性(比透磁率、固有抵抗)を持った材質、厚さで形成される。一方、基材層611自身は、磁界の作用により発熱しないか、または発熱し難く構成される。
具体的には、基材層611として、例えば、厚さ30〜200μm(好ましくは50〜150μm)の非磁性ステンレススチール等の非磁性金属や、厚さ60〜200μmの樹脂材料等が用いられる。
導電発熱層612は、導電層の一例であって、IHヒータ80にて生成される交流磁界によって電磁誘導加熱される電磁誘導発熱体層である。すなわち、導電発熱層612は、IHヒータ80からの交流磁界が厚さ方向に通過することにより、渦電流を発生させる層である。
通常、IHヒータ80に交流電流を供給する励磁回路(後段の図6も参照)の電源として、安価に製造できる汎用電源が使用される。そのため、IHヒータ80により生成される交流磁界の周波数は、一般に、汎用電源による20k〜100kHzとなる。それにより、導電発熱層612は、周波数20k〜100kHzの交流磁界が侵入し通過するように構成される。
導電発熱層612に交流磁界が侵入できる領域は、交流磁界が1/eに減衰する領域である「表皮深さ(δ)」として規定され、次の(1)式から導かれる。(1)式において、fは交流磁界の周波数(例えば、20kHz)、ρは固有抵抗値(Ω・m)、μは比透磁率である。
そのため、導電発熱層612の厚さは、周波数20k〜100kHzの交流磁界が導電発熱層612を侵入し通過するように、(1)式で規定される導電発熱層612の表皮深さ(δ)よりも薄層に構成される。また、導電発熱層612を構成する材料として、例えば、Au,Ag,Al,Cu,Zn,Sn,Pb,Bi,Be,Sb等の金属や、これらの金属合金が用いられる。
Figure 0005471109
具体的には、導電発熱層612として、厚さ2〜20μm、固有抵抗2.7×10−8Ω・m以下の例えばCu等の非磁性金属(比透磁率が概ね1)が用いられる。
また、定着ベルト61がトナー像を溶融して用紙Pに定着するために設定された定着設定温度(定着可能温度)に加熱されるまでに要する時間(以下、「ウォームアップ時間」)を短縮する観点からも、導電発熱層612は、薄層に構成するのが好ましい。
次に、弾性層613は、シリコーンゴム等の耐熱性の弾性体で構成される。定着対象となる用紙Pに保持されるトナー像は、粉体である各色トナーが積層して形成されている。そのため、ニップ部Nにおいてトナー像の全体に均一に熱を供給するには、用紙P上のトナー像の凹凸に倣って定着ベルト61表面が変形することが好ましい。そこで、弾性層613には、例えば厚みが100〜600μm、硬度が10°〜30°(JIS−A)のシリコーンゴムが好適である。
表面離型層614は、用紙P上に保持された未定着トナー像と直接接触するため、離型性の高い材質が使用される。例えば、PFA(テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、シリコーン共重合体、またはこれらの複合層等が用いられる。表面離型層614の厚さとしては、薄すぎると、耐摩耗性の面で充分でなく、定着ベルト61の寿命を短くする。その一方で、厚すぎると、定着ベルト61の熱容量が大きくなりすぎ、ウォームアップ時間が長くなる。そこで、表面離型層614の厚さとして、耐摩耗性と熱容量とのバランスを考慮し、1〜50μmが好適である。
<押圧パッドの説明>
押圧パッド63は、押圧部材の一例であって、シリコーンゴム等やフッ素ゴム等の弾性体で構成され、加圧ロール62と対向する位置にてホルダ65に支持される。そして、定着ベルト61を介して加圧ロール62から押圧される状態で配置され、加圧ロール62との間でニップ部Nを形成する。
また、押圧パッド63は、ニップ部Nの入口側(用紙Pの搬送方向上流側)のプレニップ領域63aと、ニップ部Nの出口側(用紙Pの搬送方向下流側)の剥離ニップ領域63bとで異なるニップ圧が設定されている。すなわち、プレニップ領域63aでは、加圧ロール62側の面がほぼ加圧ロール62の外周面に倣う円弧形状に形成され、均一で幅の広いニップ部Nを形成する。また、剥離ニップ領域63bでは、剥離ニップ領域63bを通過する定着ベルト61の曲率半径が小さくなるように、加圧ロール62表面から局所的に大きなニップ圧で押圧されるように形成される。それにより、剥離ニップ領域63bを通過する用紙Pに定着ベルト61表面から離れる方向のカール(ダウンカール)を形成して、用紙Pに対する定着ベルト61表面からの剥離を促進させている。
なお、本実施の形態では、押圧パッド63による剥離の補助手段として、ニップ部Nの下流側に、剥離補助部材173を配置している。剥離補助部材173は、剥離バッフル171が定着ベルト61の回転移動方向と対向する向き(所謂カウンタ方向)に定着ベルト61と近接する状態でホルダ172によって支持される。そして、押圧パッド63の出口にて用紙Pに形成されたカール部分を剥離バッフル171により支持することで、用紙Pが定着ベルト61方向に向かうことを抑制する。
<感温磁性部材の説明>
次に、感温磁性部材64は、定着ベルト61の内周面に倣った円弧形状で形成され、定着ベルト61の内周面とは予め定めた間隙(例えば、0.5〜2.5mm)を有するように近接はさせるが、非接触で配置される。感温磁性部材64を定着ベルト61と近接させて配置するのは、感温磁性部材64の温度が定着ベルト61の温度に対応して変化する、すなわち、感温磁性部材64の温度が定着ベルト61の温度と略同じ温度となるように構成するためである。また、感温磁性部材64を定着ベルト61と非接触で配置するのは、画像形成装置1のメインスイッチがオンされ、定着ベルト61が定着設定温度まで加熱される際に、定着ベルト61の熱が感温磁性部材64に流入するのを抑制して、ウォームアップ時間の短縮を図るためである。
また、感温磁性部材64は、その磁気特性の透磁率が急変する温度である「透磁率変化開始温度」(後段参照)が各色トナー像が溶融する定着設定温度以上であって、定着ベルト61の弾性層613や表面離型層614の耐熱温度よりも低い温度範囲内に設定された材質で構成される。すなわち、感温磁性部材64は、定着設定温度を含む温度領域において強磁性と非磁性(常磁性)との間を可逆的に変化する特性(「感温磁性」)を有する材質で構成される。そして、感温磁性部材64は、強磁性を呈する透磁率変化開始温度以下の温度範囲においてIHヒータ80にて生成され定着ベルト61を透過した磁力線を内部に誘導して、感温磁性部材64の内部を通過する磁路を形成する。それにより、感温磁性部材64は、定着ベルト61とIHヒータ80の励磁コイル82(後段の図6参照)とを内部に包み込むような閉磁路を形成する。一方、透磁率変化開始温度を超える温度範囲においては、感温磁性部材64は、IHヒータ80にて生成され定着ベルト61を透過した磁力線を、感温磁性部材64の厚さ方向に横切るように透過させる。それにより、IHヒータ80にて生成され定着ベルト61を透過した磁力線は、感温磁性部材64を透過し、誘導部材66の内部を通過してIHヒータ80に戻る磁路を形成する。
なお、ここでの「透磁率変化開始温度」とは、透磁率(例えば、JIS C2531で測定される透磁率)が連続的に低下を開始する温度であり、例えば感温磁性部材64等の部材を透過する磁束量(磁力線の数)が変化し始める温度点をいう。したがって、透磁率変化開始温度は、磁性が消失する温度であるキュリー点に近い温度となるが、キュリー点とは異なる概念を有するものである。
感温磁性部材64に用いる材質としては、透磁率変化開始温度が例えば140(定着設定温度)〜240℃の範囲内に設定された例えばFe−Ni合金(パーマロイ)等の二元系感温磁性合金やFe−Ni−Cr合金等の三元系の感温磁性合金等が用いられる。例えば、Fe−Niの二元系感温磁性合金においては約Fe64%、Ni36%(原子数比)とすることで225℃前後に透磁率変化開始温度を設定することができる。このようなパーマロイや感温磁性合金等の金属合金等は、成型性や加工性に優れ、熱伝導性も高く安価である等の理由から、感温磁性部材64に適する。その他の材質としては、Fe,Ni,Si,B,Nb,Cu,Zr,Co,Cr,V,Mn,Mo等からなる金属合金が用いられる。
また、感温磁性部材64は、IHヒータ80により生成された交流磁界(磁力線)に対する表皮深さδ(上記(1)式参照)よりも厚い厚さで形成される。具体的には、例えばFe−Ni合金を用いた場合には50〜300μm程度に設定される。なお、感温磁性部材64の構成や機能に関しては、後段でさらに詳述する。
<ホルダの説明>
押圧パッド63を支持するホルダ65は、押圧パッド63が加圧ロール62からの押圧力を受けた状態での撓み量が一定量以下となるように、剛性の高い材料で構成される。それにより、ニップ部Nにおける長手方向の圧力(ニップ圧N)の均一性を維持している。さらに、本実施の形態の定着ユニット60では、電磁誘導を用いて定着ベルト61を加熱する構成を採用していることから、ホルダ65は、誘導磁界に影響を与えないか、または与え難い材料であり、かつ、誘導磁界から影響を受けないか、または受け難い材料で構成される。例えば、ガラス混入PPS(ポリフェニレンサルファイド)等の耐熱性樹脂や、例えばAl,Cu,Ag等の非磁性金属材料等が用いられる。
<誘導部材の説明>
誘導部材66は、感温磁性部材64の内周面に倣った円弧形状で形成され、感温磁性部材64の内周面とは予め定めた間隙(例えば、1.0〜5.0mm)を有する非接触に配置される。また、誘導部材66は、例えばAg,Cu,Alといった固有抵抗値が比較的小さい非磁性金属で構成される。そして、感温磁性部材64が透磁率変化開始温度以上の温度に上昇した際に、IHヒータ80により生成された交流磁界(磁力線)を誘導して、定着ベルト61の導電発熱層612よりも渦電流Iが発生し易い状態を形成する。それにより、誘導部材66の厚さは、渦電流Iが流れ易いように、表皮深さδ(上記(1)式参照)よりも充分に厚い予め定めた厚さ(例えば、1.0mm)で形成される。
<定着ベルトの駆動機構の説明>
次に、定着ベルト61の駆動機構について説明する。
正面図である図2に示したように、ホルダ65(図3参照)の軸方向両端部には、定着ベルト61の両端部の断面形状を円形に維持しながら定着ベルト61を周方向に回転駆動するエンドキャップ部材67が固定されている。そして、定着ベルト61は、両端部からエンドキャップ部材67を介した回転駆動力を直接的に受けて、例えば140mm/sのプロセススピードで図3の矢印C方向に回転移動する。
ここで図5は、(a)がエンドキャップ部材67の側面図であり、(b)がZ方向から見たエンドキャップ部材67の平面図である。図5に示したように、エンドキャップ部材67は、定着ベルト61の両端部内側に嵌合される固定部67a、固定部67aより外径が大きく形成され、定着ベルト61に装着された際に定着ベルト61よりも半径方向に張り出すように形成されたフランジ部67d、回転駆動力が伝達されるギヤ部67b、ホルダ65の両端部に形成された支持部65aと結合部材167を介して回転自在に結合されたベアリング軸受部67cを備える。そして、上記図2に示したように、ホルダ65の両端部の支持部65aが定着ユニット60の筐体69の両端部に固定されることで、エンドキャップ部材67は、支持部65aに結合されたベアリング軸受部67cを介して回転自在に支持される。
エンドキャップ部材67を構成する材質としては、機械的強度や耐熱性の高い所謂エンジニアリングプラスチックスが用いられる。例えば、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂、LCP樹脂等が適する。
そして、図2に示すように、定着ユニット60では、駆動モータ90からの回転駆動力が伝達ギヤ91,92を介してシャフト93に伝達され、シャフト93に結合された伝達ギヤ94,95から両エンドキャップ部材67のギヤ部67b(図5参照)に伝達される。それによって、エンドキャップ部材67から定着ベルト61に回転駆動力が伝わり、エンドキャップ部材67と定着ベルト61とが一体となって回転駆動される。
一方、伝達ギヤ92とシャフト93との間にはトルクリミッタ(不図示)が配置され、定着ベルト61が加圧ロール62からの回転駆動力を受けて従動する場合には、伝達ギヤ91からの回転駆動力に対して伝達ギヤ92は空回転し、伝達ギヤ91からシャフト93へは回転駆動力が伝達されない。
すなわち、定着ベルト61に対向して配置された加圧ロール62は、伝達ギヤ91および加圧ロール62の回転軸96に配置された伝達ギヤ(不図示)を介して、駆動モータ90からの回転駆動力が伝達される。また、加圧ロール62は、不図示の接離機構(所謂「リトラクト機構」)により、定着ユニット60での定着動作の開始/終了に応じて定着ベルト61と接離するように構成されている。それにより、定着動作の開始に合わせて加圧ロール62が定着ベルト61に圧接するように設定された場合には、駆動モータ90からの回転駆動力を受けた加圧ロール62が定着ベルト61を従動回転させる。そして、その場合には、定着ベルト61への駆動モータ90からの回転駆動力はトルクリミッタにより遮断される。
このように、本実施の形態の定着ユニット60では、定着動作を開始する前であって加圧ロール62が定着ベルト61に圧接されていない状態においては、駆動モータ90からの回転駆動力により、定着ベルト61は直接、回転駆動される。
一方、定着動作が開始され加圧ロール62が定着ベルト61に圧接された状態においては、定着ベルト61は、駆動モータ90からの回転駆動力によって回転する加圧ロール62に従動して回転する。
図3に戻り、このような加圧ロール62は、定着ベルト61と対向する位置に配置されている。そして、上記したように、不図示の接離機構により、定着ユニット60での定着動作の開始/終了に応じて定着ベルト61と接離するように構成されている。それにより、加圧ロール62は、例えば、定着ユニット60が定着動作を開始し定着ユニット60に最初の用紙が搬入される直前(例えば、ニップ部Nへの用紙の進入の1〜2秒程度前)に、定着ベルト61に接触する位置に設定される。そして、加圧ロール62は、定着ベルト61を加圧しながら、図3の矢印D方向に例えば140mm/sのプロセススピードで定着ベルト61を従動回転させる。それによって、加圧ロール62と押圧パッド63とにより定着ベルト61を挟持した状態でニップ部Nを形成し、このニップ部Nに未定着トナー像を保持した用紙Pを通過させることで、熱および圧力を加えて未定着トナー像を用紙Pに定着する。
一方、定着ユニット60での定着動作が終了すると、加圧ロール62は、定着ベルト61から離間した位置に設定される。
加圧ロール62は、例えば直径18mmの中実のアルミニウム製コア(円柱状芯金)621と、コア621の外周面に被覆された例えば厚さ5mmのシリコーンスポンジ等の耐熱性弾性体層622と、さらに例えば厚さ50μmのカーボン配合のPFA等の耐熱性樹脂被覆または耐熱性ゴム被覆による離型層623とが積層されて構成される。そして、不図示の接離機構により定着ベルト61と圧接された状態において、押圧バネ68(図2参照)により例えば25kgfの荷重で定着ベルト61(押圧パッド63)を押圧する。
<IHヒータの説明>
続いて、定着ベルト61の導電発熱層612に交流磁界を作用させて電磁誘導加熱する磁界生成手段の一例としてのIHヒータ80について説明する。
図6は、本実施の形態のIHヒータ80の構成を説明する断面図である。図6に示したように、IHヒータ80は、例えば耐熱性樹脂等の非磁性体から構成される支持体81、交流磁界を生成する励磁コイル82を備えている。また、励磁コイル82を支持体81上に固定する例えばシリコーンゴム等の弾性体で構成された弾性支持部材83、定着ベルト61の幅方向に沿って複数配置され、励磁コイル82にて生成された交流磁界の磁路を形成する磁心84を備えている。さらには、定着ベルト61の幅方向に沿って複数配置され、励磁コイル82にて生成された交流磁界を支持体81長手方向に均すための調整用磁心89、磁心84を上部から覆うように保持する保持部材の一例としての磁心保持部材87、磁心保持部材87を介して磁心84を支持体81側に加圧する例えばシリコーンゴム等の弾性体で構成された加圧部材86、磁界を遮蔽して外部への漏洩を抑制するシールド85、励磁コイル82に交流電流を供給する励磁回路88を備えている。
支持体81は、断面が定着ベルト61の表面形状に沿って湾曲した形状で形成され、励磁コイル82を支持する上部面(以下、「支持面」)81aが定着ベルト61表面と予め定めた間隙(例えば、0.5〜2mm)を保つように形成され設定されている。また、支持面81aの中央には、磁心84を支持する一対の磁心支持部(凸状部)81b1,81b2が支持体81の長手方向(=定着ベルト61移動方向と直交する方向)に沿って平行に配置されている。磁心支持部81b1,81b2は、磁心84と支持面81aとの間隙を一定に保つとともに、磁心84を定着ベルト61の回転方向に沿って移動可能に支持する。
また、支持面81aの両側部には、磁心支持部81b1,81b2に支持された磁心84における定着ベルト61移動方向(円弧方向)への移動を予め定めた範囲内に規制するとともに、磁心84における定着ベルト61幅方向(=移動方向と直交する方向)の位置を設定する磁心規制部81cが配置されている。
支持体81を構成する材質としては、例えば、耐熱ガラス、ポリカーボネート、ポリエーテルサルフォン、PPS(ポリフェニレンサルファイド)等の耐熱性樹脂、またはこれらにガラス繊維を混合した耐熱性樹脂等の耐熱性のある非磁性材料が用いられる。
励磁コイル82は、相互に絶縁された例えば直径0.17mmの銅線材を例えば90本束ねたリッツ線が長円形状や楕円形状、長方形状等の中空きの閉ループ状に巻かれて構成される。そして、励磁コイル82に励磁回路88から予め定めた周波数の交流電流が供給されることにより、励磁コイル82の周囲には、閉ループ状に巻かれたリッツ線を中心とする交流磁界が生成される。励磁回路88から励磁コイル82に供給される交流電流の周波数は、一般に、上記した汎用電源により生成される20k〜100kHzが用いられる。
弾性支持部材83は、例えばシリコーンゴム等やフッ素ゴム等の弾性体で構成されたシート状部材である。弾性支持部材83は、励磁コイル82が支持体81の支持面81aに密着して固定されるように、励磁コイル82を支持体81に対して押圧するように設定されている。
磁心84は、例えば焼成フェライト、フェライト樹脂、非晶質合金(アモルファス合金)、やパーマロイ、感温磁性合金等の高透磁率の酸化物や合金材質で構成される円弧形状の強磁性体が用いられ、磁路形成部材として機能する。磁心84は、励磁コイル82にて生成された交流磁界による磁力線(磁束)を内部に誘導し、磁心84から定着ベルト61を横切って感温磁性部材64方向に向かい、感温磁性部材64の中を通過して磁心84に戻るといった磁力線の通路(磁路)を形成する。すなわち、励磁コイル82にて生成された交流磁界が磁心84の内部と感温磁性部材64の内部とを通過するように構成して、磁力線が定着ベルト61と励磁コイル82とを内部に包み込むような閉磁路を形成する。それにより、励磁コイル82にて生成された交流磁界の磁力線が定着ベルト61の磁心84と対向する領域に集中される。
ここで、磁心84は磁路形成による損失が小さい材料が望ましい。具体的には、磁心84は渦電流損を小さくする形態(スリット等による電流経路遮断や分断化、薄板束ね等)での使用が望ましく、ヒステリシス損の小さい材料で形成されることが望ましい。
また、定着ベルト61の回転方向に沿った磁心84の長さは、感温磁性部材64の定着ベルト61の回転方向に沿った長さよりも小さく構成される。それにより、磁力線のIHヒータ80周辺への漏洩が減り、力率が向上する。さらには、定着ユニット60を構成する金属製部材への電磁誘導を抑え、定着ベルト61(導電発熱層612)での発熱効率を高める。
磁心保持部材87の各々は、SUSや樹脂等の非磁性体で形成され、磁心84の内周面を除く側面(定着ベルト61の移動方向と直交する方向側の側面)の一部または全部と、外周面(定着ベルト61の配置側とは反対方向側の側面)の一部または全部とを覆うようにして磁心84各々を保持する。それにより、磁心保持部材87は、磁心84の動きを予め定めた領域内に制限している。そのため、例えば磁心84に何らかの衝撃が加わって割れが生じた場合にも、その破片がIHヒータ80内の他の領域に移動(飛散)することが抑制される。それによって、磁心84の破片が励磁コイル82によって生成された交流磁界を集中させ、移動先の領域にて破片に対向する定着ベルト61に異常昇温が発生することを抑える機能を果たす。
また、磁心保持部材87は、加圧部材86からの押圧力を磁心84に伝達し、磁心84を支持体81に設けられた磁心支持部(凸状部)81b1,81b2側に加圧する機能を有する。
調整用磁心89は、例えば焼成フェライト、フェライト樹脂、非晶質合金(アモルファス合金)、やパーマロイ、整磁鋼等の高透磁率の酸化物や合金材質で構成される直方体形状(ブロック形状)の強磁性体が用いられる。そして、調整用磁心89は、励磁コイル82の周囲に配置された磁心84および感温磁性部材64により形成される交流磁界について、定着ベルト61に誘導される磁界の支持体81長手方向(=定着ベルト61の幅方向)に生じる強弱を均す(低減する)ための調整磁性部材として機能する。支持体81長手方向に生じる磁界の強さが平均化されることにより、定着ベルト61の幅方向の温度むら(温度のばらつき、温度リップル)が低減される。調整用磁心89は、磁心支持部81b1,81b2の内側領域に形成された空間(磁心支持部81b1,81b2内壁で囲まれた領域)に配置される。
<定着ベルトが発熱する状態の説明>
引き続いて、IHヒータ80により生成された交流磁界によって定着ベルト61が発熱する状態を説明する。
まず、上記したように、感温磁性部材64の透磁率変化開始温度は、各色トナー像を定着する定着設定温度以上であって定着ベルト61の耐熱温度以下となる温度範囲内(例えば、140〜240℃)に設定されている。そして、定着ベルト61の温度が透磁率変化開始温度以下の状態にある場合には、定着ベルト61に近接する感温磁性部材64の温度も定着ベルト61の温度に対応して、透磁率変化開始温度以下となる。そのため、感温磁性部材64は強磁性を呈するので、IHヒータ80により生成された交流磁界の磁力線Hは、定着ベルト61を透過した後、感温磁性部材64の内部を広がり方向に沿って通過する磁路を形成する。ここでの「広がり方向」とは、感温磁性部材64の厚さ方向と直交する方向を意味する。
図7は、定着ベルト61の温度が透磁率変化開始温度以下の温度範囲にある場合の磁力線(H)の状態を説明する図である。図7に示したように、定着ベルト61の温度が透磁率変化開始温度以下の温度範囲にある場合には、IHヒータ80により生成された交流磁界の磁力線Hは、定着ベルト61を透過し、感温磁性部材64の内部を広がり方向(厚さ方向と直交する方向)に沿って通過する磁路を形成する。そのため、定着ベルト61の導電発熱層612を横切る領域での単位面積あたりの磁力線Hの数(磁束密度)は多くなる。
すなわち、IHヒータ80の磁心84から磁力線Hが放射されて定着ベルト61の導電発熱層612を横切る領域R1,R2を通過した後、磁力線Hは強磁性体である感温磁性部材64の内部に誘導される。そのため、定着ベルト61の導電発熱層612を厚さ方向に横切る磁力線Hは感温磁性部材64の内部に進入するように集中し、領域R1,R2での磁束密度は高くなる。また、感温磁性部材64の内部を広がり方向に沿って通過した磁力線Hが再び磁心84に戻るに際しても、導電発熱層612を厚さ方向に横切る領域R3では、感温磁性部材64内の磁位の低い部分から集中して磁心84に向けて放射される。そのため、定着ベルト61の導電発熱層612を厚さ方向に横切る磁力線Hは、感温磁性部材64から集中して磁心84に向かうこととなり、領域R3での磁束密度も高くなる。
磁力線Hが厚さ方向に横切る定着ベルト61の導電発熱層612では、単位面積当たりの磁力線Hの数(磁束密度)の変化量に比例した渦電流Iが発生する。それにより、図7に示したように、磁束密度の変化量が大きい領域R1,R2および領域R3では、大きな渦電流Iが発生する。導電発熱層612に生じた渦電流Iは、導電発熱層612の固有抵抗値Rと渦電流Iの二乗の積であるジュール熱W(W=IR)を発生させる。それにより、大きな渦電流Iが発生した導電発熱層612では、大きなジュール熱Wが発生する。
このように、定着ベルト61の温度が透磁率変化開始温度以下の温度範囲にある場合には、磁力線Hが導電発熱層612を横切る領域R1,R2や領域R3において大きな熱が発生する。それにより、定着ベルト61は加熱される。
ところで、本実施の形態の定着ユニット60では、定着ベルト61の内周面側において定着ベルト61に近接させて感温磁性部材64を配置している。それにより、励磁コイル82にて生成された磁力線Hを内部に誘導する磁心84と、定着ベルト61を厚さ方向に横切って透過した磁力線Hを内部に誘導する感温磁性部材64とが近接した構成を実現している。そのため、IHヒータ80(励磁コイル82)により生成された交流磁界は、磁路が短いループを形成するので、磁路内での磁束密度や磁気結合度は高まる。それにより、定着ベルト61の温度が透磁率変化開始温度以下の温度範囲にある場合、定着ベルト61にはさらに効率的に熱が発生する。
<定着ベルトの非通紙部の昇温を抑制する機能の説明>
次に、定着ベルト61の非通紙部の昇温を抑制する機能について説明する。
ここでまず、定着ユニット60に小サイズの用紙P(小サイズ紙P1)を連続して通紙した場合について述べる。図8は、小サイズ紙P1を連続して通紙した際の定着ベルト61の幅方向の温度分布の概略を示した図である。図8においては、画像形成装置1にて使用される用紙Pの最大サイズ幅(例えば、A3横幅)である最大通紙領域をFf、最大サイズ用紙Pよりも横幅の小さな小サイズ紙P1(例えば、A4縦送り)が通過する領域(小サイズ紙通紙領域)をFs、小サイズ紙P1が通過しない非通紙領域をFbとする。なお、画像形成装置1では中央位置基準で通紙が行われるものとする。
図8に示したように、小サイズ紙P1が連続して通紙された場合に、小サイズ紙P1が通過する小サイズ紙通紙領域Fsでは定着のための熱が消費される。そのため、制御部31(図1参照)による定着設定温度での温度調整制御が行われ、小サイズ紙通紙領域Fsでの定着ベルト61の温度は定着設定温度の近傍範囲内に維持される。その一方で、非通紙領域Fbにおいても、小サイズ紙通紙領域Fsと同様の温度調整制御が行われる。しかし、非通紙領域Fbでは定着のための熱が消費されない。そのために、非通紙領域Fbの温度は、定着設定温度よりも高い温度に上昇し易い。そして、その状態で小サイズ紙P1の連続通紙を続けると、非通紙領域Fbの温度が例えば定着ベルト61の弾性層613や表面離型層614の耐熱温度よりも上昇して、定着ベルト61を損傷させる場合がある。
そこで、上記したように、本実施の形態の定着ユニット60では、感温磁性部材64は、定着設定温度以上であって、例えば定着ベルト61の弾性層613や表面離型層614の耐熱温度以下の温度範囲内に透磁率変化開始温度が設定された例えばFe−Ni合金等で構成されている。すなわち、図8に示したように、感温磁性部材64の透磁率変化開始温度Tcuは、定着設定温度Tf以上であって、例えば弾性層613や表面離型層614の耐熱温度Tlim以下の温度領域に設定されている。
それにより、小サイズ紙P1が連続通紙されると、定着ベルト61の非通紙領域Fbでの温度は、感温磁性部材64の透磁率変化開始温度を超える。それによって、定着ベルト61に近接する感温磁性部材64の非通紙領域Fbでの温度も定着ベルト61の温度に対応して、定着ベルト61と同様に透磁率変化開始温度を超える。そのため、非通紙領域Fbでの感温磁性部材64は比透磁率が1に近づき、強磁性体としての性質が消失する。感温磁性部材64の比透磁率が低下して1に近づくことで、非通紙領域Fbでの磁力線Hは感温磁性部材64の内部に誘導されず、感温磁性部材64を透過するようになる。そのため、定着ベルト61の非通紙領域Fbでは、導電発熱層612を通過した後の磁力線Hは拡散し、導電発熱層612を横切る磁力線Hの磁束密度は低下する。それにより、導電発熱層612で発生する渦電流Iは減少して、定着ベルト61での発熱量(ジュール熱W)は低減される。その結果、非通紙領域Fbでの過剰な温度上昇は抑えられ、定着ベルト61の損傷が抑制される。
このように、感温磁性部材64は、定着ベルト61の温度を検知する検知部としての機能と、検知した定着ベルト61の温度に応じて定着ベルト61の過度の温度上昇を抑制する昇温抑制部としての機能とを併せ持っている。
感温磁性部材64を通過した後の磁力線Hは、誘導部材66(図3参照)に到達してこの内部に誘導される。磁束が誘導部材66に到達してその内部に誘導されるようになると、導電発熱層612より渦電流Iの流れ易い誘導部材66の方に多くの渦電流Iが流れる。そのため、導電発熱層612で流れる渦電流量はさらに抑制され、非通紙領域Fbでの温度上昇は抑えられる。
その際に、誘導部材66が励磁コイル82からの磁力線Hの殆どを誘導して定着ユニット60からの磁力線Hの漏洩を抑えるように、誘導部材66の厚さ、材質、および形状が選定される。具体的には、誘導部材66を表皮深さδが充分に厚い材料で構成すればよい。それにより、誘導部材66に渦電流Iが流れても発熱量も極力小さくなる。本実施の形態では、誘導部材66を感温磁性部材64に沿う略円形形状の厚さ1mmのAl(アルミニウム)で構成し、感温磁性部材64とは非接触(平均的な距離を例えば4mm)に配置している。その他の材料としては、AgやCuが好適である。
ところで、その後、定着ベルト61の非通紙領域Fbでの温度が感温磁性部材64の透磁率変化開始温度よりも低くなると、感温磁性部材64の非通紙領域Fbでの温度も透磁率変化開始温度よりも低くなる。それにより、感温磁性部材64は再び強磁性に変化して磁力線Hが感温磁性部材64の内部に誘導されるので、導電発熱層612に渦電流Iが多く流れるようになる。そのため、定着ベルト61が再び加熱されるようになる。
図9は、非通紙領域Fbでの定着ベルト61の温度が透磁率変化開始温度を超えた温度範囲にある場合の磁力線Hの状態を説明する図である。図9に示したように、定着ベルト61の温度が非通紙領域Fbにて透磁率変化開始温度を超えた温度範囲にある場合には、非通紙領域Fbの感温磁性部材64は比透磁率が低下する。そのため、IHヒータ80により生成された交流磁界の磁力線Hは感温磁性部材64を容易に透過するように変化する。それにより、IHヒータ80(励磁コイル82)により生成された交流磁界の磁力線Hは、磁心84から定着ベルト61側に向けて拡散するように放射され、誘導部材66に到達するようになる。
すなわち、IHヒータ80の磁心84から磁力線Hが放射されて定着ベルト61の導電発熱層612を横切る領域R1,R2では、磁力線Hが感温磁性部材64に誘導され難いため、放射状に拡散する。それにより、定着ベルト61の導電発熱層612を厚さ方向に横切る磁力線Hの磁束密度(単位面積当たりの磁力線Hの数)が減少する。また、磁力線Hが再び磁心84に戻る際に導電発熱層612を厚さ方向に横切る領域R3でも、拡散した広い領域から磁力線Hが磁心84に戻ることとなるため、定着ベルト61の導電発熱層612を厚さ方向に横切る磁力線Hの磁束密度が減少する。
そのため、定着ベルト61の温度が透磁率変化開始温度を超える温度範囲にある場合には、領域R1,R2や領域R3において導電発熱層612を厚さ方向に横切る磁力線Hの磁束密度が減少することとなる。それにより、磁力線Hが厚さ方向に横切る導電発熱層612に発生する渦電流Iは減り、定着ベルト61に発生するジュール熱Wは減少する。それにより、定着ベルト61の温度は低下する。
このように、非通紙領域Fbでの定着ベルト61の温度が透磁率変化開始温度以上の温度範囲にある場合において、非通紙領域Fbでの感温磁性部材64の内部に磁力線Hが誘導され難くなり、励磁コイル82により生成された交流磁界の磁力線Hは、定着ベルト61の導電発熱層612を厚さ方向を拡散しながら横切る。そのため、励磁コイル82により生成された交流磁界の磁路は長いループを形成することとなり、定着ベルト61の導電発熱層612を通過する磁路での磁束密度は減少する。
それにより、例えば小サイズ紙P1が連続通紙されて、温度が上昇した非通紙領域Fbでは、定着ベルト61の導電発熱層612に発生する渦電流Iが減って、定着ベルト61の非通紙領域Fbでの発熱量(ジュール熱W)は低減する。その結果、非通紙領域Fbでの過剰な温度上昇は抑えられる。
<感温磁性部材の昇温を抑制する構成の説明>
感温磁性部材64が上記した非通紙領域Fbでの過剰な温度上昇を抑える機能を果たすには、感温磁性部材64の長手方向の領域毎の温度がそれに対向する定着ベルト61の長手方向の領域毎の温度に対応して変化し、上記した定着ベルト61の温度を検知する検出部としての機能を果たす必要がある。
そのために、感温磁性部材64自身に関しては、磁力線Hによって誘導加熱され難い構成が採用される。すなわち、定着ベルト61の温度が透磁率変化開始温度以下であり、感温磁性部材64が強磁性を呈する状態であっても、IHヒータ80からの磁力線Hの中には、感温磁性部材64を厚さ方向に横切る磁力線Hは存在する。それにより、感温磁性部材64内部には弱い渦電流Iが発生しており、感温磁性部材64自身においても若干の発熱が生じる。そのため、例えば、大量の画像形成が連続して行われた場合等には、感温磁性部材64に自己発熱した熱が蓄積され、通紙領域(図8参照)でも感温磁性部材64の温度が上昇傾向を呈する。このように渦電流損による自己発熱が大きいと感温磁性部材64の温度が上昇して、意図せず透磁率変化開始温度まで到達してしまい、通紙領域と非通紙領域の磁気特性に差が殆どなくなって昇温抑制効果が充分得られないことがある。そこで、感温磁性部材64の温度と定着ベルト61の温度との対応関係が維持され、感温磁性部材64が定着ベルト61の温度を検知する検知部として精度良く機能するために、感温磁性部材64自身に発生するジュール熱Wを抑える必要がある。
そこで、感温磁性部材64での渦電流損やヒステリシス損を小さくするために、まず第1として、感温磁性部材64は、磁力線Hによって誘導加熱され難い物性(固有抵抗値および透磁率)を持った材質が選定される。
また、第2として、感温磁性部材64の厚さは、少なくとも透磁率変化開始温度以下の温度範囲にて磁力線Hが感温磁性部材64の厚さ方向に横切り難いように、強磁性を呈する状態での表皮深さδよりも厚く形成される。
さらに、第3として、感温磁性部材64には、磁力線Hによって発生する渦電流Iの流れを分断する複数のスリット64sが形成される。誘導加熱され難いように感温磁性部材64の材質や厚さを選定しても、感温磁性部材64内部に発生する渦電流Iを0とすることは困難である。そこで、感温磁性部材64に発生した渦電流Iの流れを複数のスリット64sにより分断することで、渦電流Iを減少させて、感温磁性部材64に発生するジュール熱Wを低く抑えている。
図10は、感温磁性部材64に形成されるスリット64sを示した図である。図10(a)は、感温磁性部材64がホルダ65に設置された状態の側面図であり、(b)は、(a)の上方(z方向)から見た平面図である。図10に示したように、感温磁性部材64では、磁力線Hによって発生する渦電流Iの流れる方向に直交して複数のスリット64sが形成される。そのため、スリット64sが無い場合には感温磁性部材64の長手方向の全体に亘って大きな渦となって流れる渦電流I(図10(b)破線)が、スリット64sにより分断される。それにより、スリット64sを形成した場合には、感温磁性部材64内を流れる渦電流I(図10(a)実線)は、スリット64sとスリット64sとの間の領域内での小さな渦となり、全体としての渦電流Iの電流量は低減される。その結果、感温磁性部材64での発熱量(ジュール熱W)は減少し、発熱し難い構成が実現する。したがって、複数のスリット64sは、渦電流Iを分断する渦電流分断部として機能する。
なお、図10に例示した感温磁性部材64では、スリット64sを渦電流Iの流れる方向に直交して形成したが、渦電流Iの流れを分断する構成であれば、例えば渦電流Iの流れる方向に対して傾斜したスリットを形成してもよい。また、図10に示したようなスリット64sを感温磁性部材64の幅方向の全域に亘って形成する構成の他に、感温磁性部材64の幅方向の一部に形成してもよい。また、感温磁性部材64に発生する熱量に応じて、スリットの数、位置、傾斜角等を設定してもよい。
また、スリットの傾斜角が最大となった状態として、感温磁性部材64がスリット部で小片に分割された状態となる小片分割群となってもよく、このような形態であっても本発明の効果は同様に得られる。
<IHヒータに供給する電力の制御についての説明>
次に、IHヒータ80に供給する電力の制御について説明する。
図11は、IHヒータ80に供給する電力を制御する回路構成の一例を示すブロック図である。図11に示したように、IHヒータ80に供給される電力は、制御手段の一例としての制御部31(図1参照)内に設けられた電磁誘導加熱制御部100と、定着ユニット60のIHヒータ80に設けられた励磁回路88とで制御される。
制御部31内の電磁誘導加熱制御部100は、画像形成装置1全体の動作を制御するメインCPU(Central Processing Unit)110からの制御信号に応じて制御動作するCPU160、定着ベルト61の温度変化を検知する過温検知回路162、論理素子であるオア回路164、165、およびアンド回路170を備えている。
また、IHヒータ80の励磁回路88は、制御回路であるCPU158、外部商用電源180からの電力を入力(接続)/遮断するためのリレー153、電磁誘導加熱制御部100との信号の送受信を行うフォトカプラ156を備えている。さらに、励磁回路88は、論理素子であるアンド回路154、高周波発生回路である高周波スイッチング回路152、励磁コイル82に電力を出力する出力ポート150、外部商用電源180からの電力を入力する入力ポート151を備えている。
制御部31のメインCPU110は、画像形成装置1のメインスイッチ(不図示)がオンされた場合には、まず、駆動モータ90(上記図2参照)をオンして、加圧ロール62が定着ベルト61に圧接されていない状態において、駆動モータ90により定着ベルト61を直接、回転させる。そして、メインCPU110は、加圧ロール62が非接触のまま定着ベルト61を回転させた状態で、電磁誘導加熱制御部100のCPU160に対して、定着ベルト61の温度を定着設定温度(例えば、140℃)の近傍の予め定められた「定着準備温度」(例えば、定着設定温度よりも20℃程度低い温度)まで立上げる温度立上げ処理(以下、「ウォーミングアップ処理」)を実行するように指示する。
ここで、加圧ロール62を定着ベルト61から非接触に設定しておくことで、定着ベルト61から加圧ロール62への熱の流出が抑えられ、定着準備温度までの温度立上げの時間が短縮される。
それにより、電磁誘導加熱制御部100のCPU160は、定着ベルト61の温度を検知する温度検知手段の一例であるサーミスタ71,72からの「温度検知信号」に基づき、定着ベルト61の温度を定着準備温度に設定するウォーミングアップ処理のための制御を行う。
具体的には、CPU160は、励磁回路88からの「エラー信号」の有無やサーミスタ71,72からの温度検知信号等に対応させて、励磁回路88においてリレー153をオンし高周波スイッチング回路152から励磁コイル82への高周波電流の供給を許可する「許可信号」をアンド回路170へ出力する。そして、アンド回路170は、過温検知回路162からの制御信号とCPU160からの「許可信号」とに対応して、IHヒータ80のオン/オフを制御する信号(「IH_ON/OFF信号」)を励磁回路88に出力する。
また、CPU160は、サーミスタ71,72(主に、定着ベルト61の中央部に配置されたサーミスタ71)からの温度検知信号に基づき「電力設定信号」を励磁回路88へ出力する。さらに、定着ユニット60の現在の動作状況に照らして定着ベルト61の表面温度が規定値を超えて上昇した場合には、異常であることを示す「異常信号」をオア回路164へ出力する。
さらには、CPU160は、励磁回路88に設けられたリレー153のオン/オフを制御する信号(「リレーON/OFF信号」)をオア回路165に出力する。
さらにまた、CPU160は、サーミスタ71,72(主に、サーミスタ71)からの「温度検知信号」に基づき、定着ベルト61の温度を定着準備温度まで立上げる温度立上げ処理(ウォーミングアップ処理)が完了したことを通知する通知信号(以下、「ウォーミングアップ完了信号」)を制御部31のメインCPU110に出力する。
電磁誘導加熱制御部100の過温検知回路162は、定着ベルト61の端部側に配置されたサーミスタ72によって検知された定着ベルト61の表面温度から、定着ベルト61の表面温度の変化を検出する。そして、過温検知回路162は、定着ベルト61の表面温度の変化量が予め定めた範囲内である場合に、定着ベルト61の表面温度が正常状態であることを示す「正常信号」を、CPU160、アンド回路170、およびオア回路164に出力する。一方、定着ベルト61の表面温度の変化量が予め定めた範囲を超えた場合に、定着ベルト61の表面温度が異常状態であることを示す「異常信号」を、CPU160、アンド回路170、およびオア回路164に出力する。
アンド回路170は、CPU160からの「許可信号」と過温検知回路162からの「正常信号」が供給されている場合に、「IH_ON/OFF信号」を励磁回路88へ出力するように設定されている。
また、オア回路164は、CPU160からの「異常信号」と過温検知回路162からの「異常信号」とに基づいて、励磁回路88のリレー153を駆動する駆動信号を生成する。そして、オア回路164は、DC電源ライン181(例えば、5V)とサーモスタットや温度ヒューズ等からなるサーモスイッチ70とが接続されたリレー153を、電磁誘導加熱制御部100に設けられた半導体スイッチ素子166を制御することで開閉させる。具体的には、オア回路164は、CPU160からの「異常信号」と過温検知回路162からの「異常信号」との少なくとも何れか一方を入力した場合には、オア回路165を介して半導体スイッチ素子166を遮断する信号を出力する。その場合には、DC電源ライン181からリレー153に配置された電磁コイル153aに流れる電流が遮断され、リレー153は遮断される。それにより、外部商用電源180から励磁回路88への電力供給は停止される。また、その際には同時に、電磁誘導加熱制御部100のCPU160は、励磁回路88に対してCPU158を介さずに高周波スイッチング回路152を制御して、直接、励磁コイル82への高周波電流の供給を停止させる。
また、定着ベルト61の温度が異常に上昇して遮断部材の一例であるサーモスイッチ70が切断した場合にも、DC電源ライン181からリレー153に配置された電磁コイル153aに流れる電流が遮断され、リレー153は遮断される。
励磁回路88に設けられたフォトカプラ156は、電磁誘導加熱制御部100との信号の送受信を行う。すなわち、フォトカプラ156には、電磁誘導加熱制御部100のCPU160からの「電力設定信号」が信号線を介して供給される。また、CPU160に接続されたアンド回路170から「IH_ON/OFF信号」が供給される。
一方、フォトカプラ156からは、励磁回路88のCPU158からの「エラー信号」を、信号線を介して電磁誘導加熱制御部100のCPU160へ出力する。
そして、フォトカプラ156は、供給された「電力設定信号」を励磁回路88のCPU158に出力する。また、供給された「IH_ON/OFF信号」をCPU158とアンド回路154とに出力する。
励磁回路88に設けられたCPU158は、高周波スイッチング回路152の駆動を制御する。すなわち、電磁誘導加熱制御部100のCPU160から供給される「電力設定信号」に基づいて高周波スイッチング回路152を駆動制御する。さらにCPU158は、IHヒータ80内の種々のエラーを判断して「エラー信号」を生成し、電磁誘導加熱制御部100のCPU160に対して「エラー信号」を出力する。
また、CPU158は、IHヒータ80内にエラー等が発生していない場合に、フォトカプラ156から供給される「IH_ON/OFF信号」に基づいて、アンド回路154に「IH_ON/OFF信号」を出力する。そして、アンド回路154は、励磁回路88のCPU158からの「IH_ON/OFF信号」と、フォトカプラ156からの「IH_ON/OFF信号」とが同時に供給されている場合に、「IH_ON/OFF信号」を高周波スイッチング回路152に出力する。
励磁回路88に設けられた高周波スイッチング回路152は、アンド回路154からの「IH_ON/OFF信号」が供給されている場合に、CPU158により設定される電力を出力ポート150を介して励磁コイル82に印加する。
一方、外部商用電源180から電力が入力される入力ポート151には、交流電圧がリレー153およびノイズフィルタ(不図示)を介して供給されている。そして、この入力ポート151を介して供給される交流電圧は、励磁回路88の各部に供給される。
なお、入力ポート151の何れか一方にはヒューズ(不図示)が設けられ、異常時には電力の供給を遮断する。また、励磁回路88には、図示しないが外部商用電源180の電圧を整流する整流回路、この整流回路の出力電圧をCPU158の動作に適した一定レベルに調整して出力する定電圧回路部等も配置されている。
このように、制御部31のメインCPU110からの指示に応じて、電磁誘導加熱制御部100および励磁回路88が上記した制御を行うことで、定着ベルト61の温度を定着設定温度(例えば、140℃)の近傍の定着準備温度まで立上げる温度立上げ処理(ウォーミングアップ処理)が実行される。ここでは、画像形成装置1のメインスイッチがオンされた際のウォーミングアップ処理に関して述べた。しかし、このような定着ベルト61の温度を定着準備温度に設定するためのウォーミングアップ処理は、後段で述べる制御部31が例えばUI部34にてユーザ(操作者)からの規定の操作入力等を認識した場合に行うウォーミングアップ処理においても、同様に行われる。
<ウォーミングアップ処理後のIHヒータへの供給電力の停止についての説明>
そして、本実施の形態の制御部31のメインCPU110は、画像形成装置1のメインスイッチがオンされた際のウォーミングアップ処理を30秒程度継続した後、画像読取部50に置かれた原稿についてのユーザからの複写指示および通信部32での印刷ジョブの受信の何れをも認識しない場合には、電磁誘導加熱制御部100のCPU160に対して、IHヒータ80に供給する電力を停止するように指示する。それにより、励磁コイル82への高周波電流の供給は停止される。
これによって、定着ユニット60において無駄に電力が消費されるのを抑制する。
また、その際に、定着ベルト61は熱容量が小さく、さらには定着ベルト61をIHヒータ80により直接加熱する構成を採用するため、定着準備温度まで上昇させる時間(「ウォームアップ時間」)は短い。例えば、本実施の形態の定着ユニット60では、定着ベルト61のウォームアップ時間を3秒程度に設定できる。そのため、制御部31(メインCPU110)が定着ベルト61を定着準備温度に設定するように指示してから短時間で定着ベルト61を定着準備温度まで上昇させることができる。特に、一旦、定着ベルト61を定着準備温度まで高めておくと、定着準備温度までの上昇時間はさらに短時間となる。そのため、IHヒータ80への供給電力を一旦停止しても、ユーザが改めて画像形成指示を行ってから短時間で定着ベルト61に対するウォーミングアップ処理が完了するので、ユーザの利便性を損なうことは少ない。
<IHヒータへの電力供給の再開についての説明>
次に、制御部31(メインCPU110)は、画像読取部50に原稿が置かれるなどといった、画像形成部10でのトナー像形成動作を実行するに際してトナー像形成動作に先行して実施されるユーザ(操作者)による操作(以下、「ユーザによる操作」)を認識した場合には、電磁誘導加熱制御部100のCPU160に対して、上記した定着ベルト61の温度を定着準備温度に設定する温度立上げ処理(ウォーミングアップ処理)の実行を指示する。それにより、CPU160は定着ベルト61を定着準備温度に設定し、画像形成部10でのトナー像形成動作への移行の準備を行う。しかしその場合においても、定着ベルト61が定着準備温度に到達するウォームアップ時間以内、またはウォームアップ時間を経過した後の予め定めた時間以内に、画像形成部10でのトナー像形成動作の実行を確定させるための指示(例えば、ユーザによるUI部34の複写開始ボタン(不図示)の押下操作)を認識しない場合がある。その場合には、メインCPU110は、例えばユーザの事情や通信状態等によりトナー像形成動作の実行までにさらなる時間を要すると判断する。そして、メインCPU110は、CPU160に対してIHヒータ80に供給する電力を停止するように指示する。それにより、励磁コイル82への高周波電流の供給は停止される。
例えば、ユーザが画像読取部50に原稿を置いたが、UI部34において複写枚数の設定や拡縮倍率の設定等に迷っていたり、UI部34の操作方法が直ぐに分からず考えていたりするなど、実際に画像形成部10にてトナー像形成動作が開始されるまでの時間がウォームアップ時間を経過し、さらには、ウォーミングアップ処理が完了した後の予め定めた時間を経過するほどに長くなる場合がある。その場合には、IHヒータ80に供給する電力を一旦停止しておくことで、定着ユニット60での消費電力は、ウォームアップ時間を経過した待機時間分の消費量だけ低減されることとなる。
そして、IHヒータ80に供給する電力を停止した後に、例えばUI部34でのユーザの各種設定操作が終了し、UI部34から複写開始ボタン(不図示)が押下される(画像形成部10でのトナー像形成動作の開始指示)と、メインCPU110は、再度、ウォーミングアップ処理の実行指示を行う。この場合には、ウォーミングアップ処理がその前に実行されているので、定着ベルト61は3秒よりも短いウォームアップ時間で定着準備温度に到達する。そのため、ユーザの待ち時間は少なく、ユーザに与える不都合は小さい。
このように、本実施の形態の定着ユニット60では、ウォーミングアップ処理の実行指示を行った後、画像形成部10でのトナー像形成動作の準備に要するウォームアップ時間以内、またはウォームアップ時間を経過した後の予め定めた時間以内に、トナー像形成動作の実行を確定させるための指示(複写開始ボタンの押下)を認識しない場合には、一旦、IHヒータ80に供給する電力を停止する。そして、その後の複写開始ボタンの押下により、再度ウォーミングアップ処理を実行する。上記のようなケースを想定すると、このような手順を採用することが、消費電力の低減およびユーザの利便性の観点から好ましい。
一方、ウォーミングアップ処理の実行中である定着ベルト61が定着準備温度に到達するウォームアップ時間以内、またはウォームアップ時間を経過した後の予め定めた時間以内に、例えばUI部34において複写開始ボタンの押下操作(トナー像形成動作の開始指示)を認識した場合には、メインCPU110は、CPU160に対してIHヒータ80に供給する電力の停止を指示しない。それにより、励磁コイル82への高周波電流の供給はそのまま継続される。
この場合には、それに引き続いて画像形成部10にてトナー像形成動作が実行される。すなわち、画像形成部10にてトナー像形成動作が開始され、加圧ロール62が、例えば、定着ユニット60に最初の用紙が搬入される直前(例えば、ニップ部Nへの用紙の進入の1〜2秒程度前)に、接離機構により定着ベルト61に接触する位置に設定されることとなる。
<ウォーミングアップ処理の実行タイミングの説明>
ここで、制御部31(メインCPU110)が上記した温度立上げ処理(ウォーミングアップ処理)の実行を指示するのは、画像読取部50に原稿が置かれるなど、画像形成部10でのトナー像形成動作の実行に際してトナー像形成動作に先行して実施されるユーザによる操作(「ユーザによる操作」)をメインCPU110が認識した場合である。
この「ユーザによる操作」には、例えば、画像読取部50のプラテンカバー52を開放するというユーザによる操作が含まれる。プラテンカバー52が開放されると、一般に、ユーザによって原稿が第1プラテンガラス51に静止させた状態で置かれる。そのため、それに引き続いて、第1プラテンガラス51に置かれた原稿の複写指示があることが想定される。プラテンカバー52を開放するユーザによる操作は、メインCPU110がプラテンカバー52の開閉状態を検知する操作検知手段の一例としての開閉検知センサからプラテンカバー52が開放されたことを示す情報を取得することで、メインCPU110に認識される。
さらに、「ユーザによる操作」には、例えば、画像読取部50の原稿収容部53に原稿が収容されるというユーザによる操作が含まれる。原稿収容部53に原稿が収容されると、一般に、それに引き続いて、原稿収容部53に収容された原稿の複写指示があることが想定される。原稿収容部53に原稿を収容するユーザによる操作は、メインCPU110が原稿収容部53に原稿が収容されたことを検知する操作検知手段の一例としての原稿検知センサから原稿収容部53に原稿が収容されたことを示す情報を取得することで、メインCPU110に認識される。
また、「ユーザによる操作」には、例えば、UI部34に構成された液晶タッチパネルやテンキー(不図示)に対するユーザの入力操作が含まれる。一般に、画像形成装置1において実際にトナー像形成動作を開始するには、その前段階として、UI部34において複写枚数の設定、使用する用紙サイズや用紙種類の選択、拡縮倍率の設定等がユーザによって行われる。そのため、UI部34にてユーザの入力操作が行われると、それに引き続いて、複写指示があることが想定される。ユーザの入力操作は、メインCPU110が操作検知手段の一例として機能するUI部34から操作入力情報を取得することで、メインCPU110に認識される。
また、UI部34に対するユーザの入力操作には、画像形成部10でのトナー像形成動作の開始指示(トナー像形成動作の実行を確定させるための指示)である複写開始ボタンの押下操作も含まれる。
また、「ユーザによる操作」には、例えば、通信部32でのPC3等からの画像形成命令(印刷ジョブ)の受信が含まれる。すなわち、PC3等を操作して画像形成装置1に印刷ジョブを送信するというユーザによる操作に起因して通信部32に送信された印刷ジョブの受信も、ここでの「ユーザによる操作」に含まれる。通信部32にて印刷ジョブが受信されると、トナー像形成動作を開始する前に例えば通信エラー等の障害が発生しない限り、画像形成部10にてトナー像形成動作が実行される。そのため、通信部32にて印刷ジョブが受信された場合には、それに引き続いて、画像形成部10にてトナー像形成動作が実行されることが想定される。印刷ジョブの受信は、メインCPU110が操作検知手段の一例として機能する通信部32から印刷ジョブを取得することで、メインCPU110に認識される。
このように、画像読取部50のプラテンカバー52を開放させるなどの画像形成装置1に対してユーザが行う直接の操作に加えて、画像形成装置1に通信接続されたPC3等の外部装置を介してユーザが画像形成装置1に行う間接的な操作も、「ユーザによる操作」に含まれる。
上記のように、制御部31(メインCPU110)は、画像形成部10にてトナー像形成動作の実行の前段階として行われるユーザによる操作、またはトナー像形成動作の実行の前段階に行われると想定されるユーザによる操作を「ユーザによる操作」として予め設定しておく。そして、制御部31は、上記したような予め定められた「ユーザによる操作」を認識した場合には、そのユーザによる操作の後に連続してトナー像形成動作が実行されることを想定し、ウォーミングアップ処理の実行指示を行ってトナー像形成動作への移行の準備を整えておく。
さらには、制御部31は、トナー像形成動作の準備のためのウォームアップ時間以内に、またはウォームアップ時間を経過した後の予め定めた時間以内に、トナー像形成動作の開始指示(複写開始ボタンの押下)を認識しない場合には、一旦、IHヒータ80に供給する電力を停止し、そして、その後の複写開始ボタンの押下により、再度ウォーミングアップ処理を実行する。それにより、消費電力が低減され、またユーザの利便性も損なわれ難い。
なお、通信部32でのPC3等からの印刷ジョブの受信に基づいてウォーミングアップ処理の実行指示が行われた場合には、印刷ジョブの受信によりトナー像形成動作の開始指示が確定するので、例えば通信エラー等の障害が発生しない限り、画像形成部10でのトナー像形成動作に移行される。
また、本実施の形態では、定着ユニット60におけるウォームアップ時間を経過した後の予め定めた時間以内では、制御部31は、電磁誘導加熱制御部100のCPU160に対して、定着ベルト61の温度を定着設定温度と定着準備温度との間に設定される「定着待機温度」に維持する制御を実行させる。
<画像形成処理に関する動作制御の説明>
次に、制御部31が行う画像形成処理に関する動作制御について説明する。
図12は、制御部31が行う画像形成処理に関する動作制御の内容の一例を説明するフローチャートである。
図12に示したように、制御部31は、画像読取部50やUI部34や通信部32からの信号等に基づいて、上記したような予め定められた「ユーザによる操作」を監視する(ステップ101)。そして、予め定められた「ユーザによる操作」を認識した場合には(ステップ101でYes)、制御部31は、定着ユニット60に対し、駆動モータ90(上記図2参照)をオンして、加圧ロール62が定着ベルト61に圧接されていない状態にて定着ベルト61を回転させるように指示する(ステップ102)。さらにその後、制御部31は、温度立上げ処理(ウォーミングアップ処理)の実行を指示する(ステップ103)。
一方、予め定められた「ユーザによる操作」を認識しない場合には(ステップ101でNo)、制御部31は、「ユーザによる操作」の監視を継続する(ステップ101)。
そして、制御部31は、電磁誘導加熱制御部100からの「ウォーミングアップ完了信号」の送信を待ち受ける(ステップ104)。電磁誘導加熱制御部100から「ウォーミングアップ完了信号」を取得すると(ステップ104でYes)、制御部31は、定着待機温度に維持する制御の実行を指示し(ステップ105)、「ユーザによる操作」が通信部32でのPC3等からの印刷ジョブの受信であるか否かを判定する(ステップ106)。
その結果、通信部32での印刷ジョブの受信であった場合には(ステップ106でYes)、制御部31は、トナー像形成動作の実行制御(後段参照)に移行する(ステップ107)。
そして、制御部31は、一連の画像形成処理の完了を認識すると(ステップ108)、画像形成処理の後処理(後段参照)が必要か否かを判定し(ステップ109)、後処理が必要である場合には(ステップ109でYes)、画像形成処理の後処理を実施する(ステップ110)。そして、後処理が終了すると、再度、ステップ101に戻って、制御部31は、「ユーザによる操作」を監視する。
一方、後処理が必要でない場合には(ステップ109でNo)、一連の画像形成処理が完了すると、再度、ステップ101に戻って、制御部31は、「ユーザによる操作」を監視する。
一方、「ユーザによる操作」が通信部32でのPC3等からの印刷ジョブの受信でなかった場合、すなわち、画像読取部50またはUI部34における「ユーザによる操作」であった場合には(ステップ106でNo)、制御部31は、UI部34から複写開始ボタン(不図示)の押下が行われたことを示す信号を、「ウォーミングアップ完了信号」の取得から予め定められた時間以内に取得しているか否かを判定する(ステップ111)。
「ウォーミングアップ完了信号」の取得から予め定められた時間以内に、UI部34から複写開始ボタンの押下が行われたことを示す信号を取得していない場合には(ステップ110でNo)、制御部31は、定着ユニット60に対し、IHヒータ80に供給する電力を停止するように指示する(ステップ112)。それにより、励磁コイル82への高周波電流の供給は停止される。さらに、その後、定着ユニット60に対し、駆動モータ90をオフして定着ベルト61の回転を停止させるように指示する(ステップ113)。
その後、制御部31は、ステップ101に戻って、予め定められた「ユーザによる操作」を監視する。
また、「ウォーミングアップ完了信号」の取得から予め定められた時間以内に、UI部34から複写開始ボタンの押下が行われたことを示す信号を取得している場合には(ステップ111でYes)、制御部31は、ステップ107のトナー像形成動作の実行制御に移行する。
そして、制御部31は、一連の画像形成処理の完了を認識すると(ステップ108)、画像形成処理の後処理が必要か否かを判定し(ステップ109)、後処理が必要である場合には(ステップ109でYes)、画像形成処理の後処理を実施する(ステップ110)。そして、後処理が終了すると、再度、ステップ101に戻って、制御部31は、「ユーザによる操作」を監視する。
一方、後処理が必要でない場合には(ステップ109でNo)、一連の画像形成処理が完了すると、再度、ステップ101に戻って、制御部31は、「ユーザによる操作」を監視する。
<トナー像形成動作時でのIHヒータに供給する電力の制御についての説明>
制御部31は、「ユーザによる操作」が通信部32でのPC3等からの印刷ジョブの受信であった場合(上記図12でのステップ106でYes)、または、例えばUI部34から複写開始ボタン(不図示)の押下が行われた場合(上記図12でのステップ111でYes)には、画像形成部10でのトナー像形成動作の実行を確定させるための指示があったと判断して、トナー像形成動作の実行制御(図12のステップ107)を行う。
制御部31は、トナー像形成動作時に行うIHヒータ80に供給する電力の制御において、定着ベルト61を強制的に加熱する第2の制御の一例としての制御(以下、「強制加熱制御」)を行う。すなわち、制御部31は、トナー像形成動作の開始時(トナー像形成動作の実行を確定させるための指示の認識時)、および定着ユニット60での特定の動作のタイミングに合わせて、励磁コイル82への高周波電流の供給を強制的に行って定着ベルト61を加熱する強制加熱制御を行う。
次の図13は、制御部31が定着ベルト61を強制加熱制御するタイミングを説明する図である。
制御部31は、通信部32でのPC3等からの印刷ジョブの受信を認識した場合や例えばUI部34から複写開始ボタン(不図示)の押下が行われた場合等のように、トナー像形成動作の実行を確定させるための指示を認識することにより、画像形成部10にてトナー像形成動作の実行を開始させる。そこで、図13(a),(b)に示したように、トナー像形成動作の実行を確定させるための指示を認識してトナー像形成動作の実行を開始するタイミングに合わせて、定着ベルト61に対する第1の強制加熱制御(図13(i))を予め定められた時間の間、実行する。それにより、定着ベルト61の温度を定着待機温度から定着設定温度に上昇させる。
また、図13(a),(c)に示したように、制御部31は、不図示の接離機構によって接触体の一例としての加圧ロール62を定着ベルト61に接触させるタイミングに合わせて、定着ベルト61に対する第2の強制加熱制御(図13(ii))を予め定められた時間の間、実行する。それにより、定着ベルト61に加圧ロール62が接触することにより加圧ロール62に流出する熱量を補い、定着ベルト61の温度が定着設定温度から低下することを抑制する。
また、図13(a),(d)に示したように、制御部31は、定着ユニット60のニップ部Nに接触体の一例としての最初の用紙Pの先端が進入するtd秒前のタイミングに合わせて、定着ベルト61に対する第3の強制加熱制御(図13(iii))を予め定められた時間の間、実行する。それにより、定着ベルト61にトナー像が形成された用紙Pが接触することにより用紙Pに流出する熱量を補い、定着ベルト61の温度が定着設定温度から低下することを抑制する。
一方、図13(e)に示したように、第1の強制加熱制御(i)と第2の強制加熱制御(ii)との間の期間(図13(iv))、第2の強制加熱制御(ii)と第3の強制加熱制御(iii)との間の期間(図13(v))、および第3の強制加熱制御(iii)が終了した後の期間(図13(vi))は、一連の画像形成処理が完了するまで、制御部31は、電磁誘導加熱制御部100のCPU160に対して、定着ベルト61の温度が定着設定温度を維持するための第1の制御の一例としての制御を実行させる。
この場合、制御部31が定着ベルト61を強制加熱する制御を行う際には、制御部31のメインCPU110は、電磁誘導加熱制御部100のCPU160に対して、上記図13(a)に示したタイミングで「強制加熱指示信号」を出力する。CPU160は、制御部31からの「強制加熱指示信号」とサーミスタ71,72(主に、サーミスタ71)からの温度検知信号とに対応させた「電力設定信号」を生成し、この「電力設定信号」を励磁回路88へ出力する。それにより、励磁回路88に設けられたCPU158は、CPU160から供給される「電力設定信号」に基づいて高周波スイッチング回路152を駆動制御し、定着ベルト61を強制加熱する。
ここで、例えば、通信部32にて受信した印刷ジョブがカラー画像に関する印刷ジョブであった場合や例えばUI部34にて印刷設定としてカラー画像印刷が指定された場合には、メインCPU110が第1の強制加熱制御(図13(i))を指示する際にCPU160に対して出力する「強制加熱指示信号」を、カラー画像を印刷するための「カラー画像用強制加熱指示信号」として出力してもよい。また、通信部32にて受信した印刷ジョブが白黒画像に関する印刷ジョブであった場合や例えばUI部34にて印刷設定として白黒画像印刷が指定された場合には、CPU160に対し白黒画像を印刷するための「白黒画像用強制加熱指示信号」として出力してもよい。
それにより、電磁誘導加熱制御部100のCPU160は、制御部31から「カラー画像用強制加熱指示信号」を受け取った場合には、「カラー画像用強制加熱指示信号」とサーミスタ71からの温度検知信号とに対応させた「カラー画像用電力設定信号」を励磁回路88へ出力する。それにより、励磁回路88に設けられたCPU158は、CPU160から取得した「カラー画像用電力設定信号」に基づいて高周波スイッチング回路152を駆動制御し、「白黒画像用強制加熱指示信号」の取得時よりも大きな電力によって定着ベルト61を強制加熱する。
また、電磁誘導加熱制御部100のCPU160は、制御部31から「白黒画像用強制加熱指示信号」を受け取った場合には、「白黒画像用強制加熱指示信号」とサーミスタ71からの温度検知信号とに対応させた「白黒画像用電力設定信号」を励磁回路88へ出力する。それにより、励磁回路88に設けられたCPU158は、CPU160から取得した「白黒画像用電力設定信号」に基づいて高周波スイッチング回路152を駆動制御し、「カラー画像用強制加熱指示信号」の取得時よりも小さな電力によって定着ベルト61を強制加熱する。
<画像形成処理の後処理についての説明>
続いて、制御部31が一連の画像形成処理の完了後に行う画像形成処理の後処理に関する実施の判定(図12のステップ109)と、後処理(図12のステップ110)の内容について説明する。
本実施の形態の定着ユニット60では、上記の図9にて説明したように、感温磁性部材64の温度が透磁率変化開始温度を超えることで、定着ベルト61の非通紙領域Fb(上記図8参照)における導電発熱層612を通過した後の磁力線Hを拡散させて、非通紙領域Fbでの定着ベルト61の過剰な温度上昇を抑えている。ところが、定着のための熱が消費されない非通紙領域Fbでは、小サイズ紙通紙領域Fsよりも温度は高く、定着ベルト61から加圧ロール62への伝熱量も多い。そのため、定着ベルト61からの伝熱により温度が上昇した非通紙領域Fbの加圧ロール62では、耐熱性弾性体層622を構成する例えばシリコーンスポンジ内に含まれる空気の膨張量が、小サイズ紙通紙領域Fsでの膨張量よりも大きくなる。その際に、耐熱性弾性体層622に設けられた空気孔624(上記図3参照)により、耐熱性弾性体層622を構成する例えばシリコーンスポンジ内に含まれる空気を外部に放出する経路を形成して、耐熱性弾性体層622の膨張量を低減している。
しかし、空気孔624による空気の放出が行われ、加圧ロール62の膨張量が全体としては低減されても、加圧ロール62の非通紙領域Fbでの外径が小サイズ紙通紙領域Fsの外径よりも大きくなる傾向は残存する。そのため、加圧ロール62から定着ベルト61への押圧力は、小サイズ紙通紙領域Fsより非通紙領域Fbにおいて高くなり、非通紙領域Fbにおける加圧ロール62からの摩擦力が小サイズ紙通紙領域Fsでの摩擦力よりも大きくなる。それにより、加圧ロール62と定着ベルト61との間には加圧ロール62の軸方向に異なる摩擦力が作用して、その後の画像形成処理において用紙Pにしわが生じる場合がある。
そこで、本実施の形態の画像形成装置1では、一連の画像形成処理が予め定めた用紙幅よりも小さな用紙幅の用紙Pを用いたものであって、さらには、予め定めた枚数以上の用紙Pに対するものであった場合には、一連の画像形成処理が完了した後に、予め定めた時間だけ加圧ロール62と定着ベルト61とを通紙を行わずに回転(所謂「空回転」)させる「後処理」を行う。それにより、加圧ロール62の軸方向における温度分布を均し、加圧ロール62と定着ベルト61との間の摩擦力を加圧ロール62の軸方向(用紙Pの幅方向)に平均化して、その後の画像形成処理において用紙Pにしわが生じるのを抑制する。
次の図14は、制御部31が後処理を行うに際して実施する判定処理の内容の一例を示したフローチャートである。
図14に示したように、制御部31は、一連の画像形成処理にて使用された用紙Pが予め定めた用紙幅(例えば、A4サイズ紙の縦送り:A4SEF)よりも大きな用紙幅の用紙P(例えば、B4サイズ紙の縦送り:B4SEF)である場合には(S201でNo)、後処理を実施しないことを決定し、加圧ロール62を定着ベルト61から離間させる(S202)。その後、判定処理を終了する。なお、本明細書での「用紙幅」とは、用紙Pの搬送方向に直交する方向における用紙長をいう。
一方、制御部31は、一連の画像形成処理にて使用された用紙Pが予め定めた用紙幅以下の用紙幅の用紙P(例えば、A5サイズ紙の縦送り:A5SEF)である場合には(S201でYes)、画像形成された枚数(以下、「プリント枚数」)を判定する(S203)。そして、プリント枚数が予め定めた第1のプリント枚数以下であれば(S203でYes)、制御部31は、後処理を実施しないことを決定し、加圧ロール62を定着ベルト61から離間させる(S202)。その後、判定処理を終了する。
また、制御部31は、プリント枚数が予め定められた第2のプリント枚数(>第1のプリント枚数)以下であれば(S203でNo、S204でYes)、加圧ロール62を定着ベルト61に接触させた状態で、予め定めた第1の時間だけ定着ベルト61および加圧ロール62を空回転させる(S205)。その後、加圧ロール62を定着ベルト61から離間させ(S206)、判定処理を終了する。
さらに、制御部31は、プリント枚数が予め定められた第3のプリント枚数(>第2のプリント枚数)以下であれば(S204でNo、S207でYes)、加圧ロール62を定着ベルト61に接触させた状態で、予め定めた第2の時間(>第1の時間)だけ定着ベルト61および加圧ロール62を空回転させる(S208)。その後、加圧ロール62を定着ベルト61から離間させ(S209)、判定処理を終了する。
さらにまた、制御部31は、プリント枚数が予め定められた第3のプリント枚数よりも多ければ(S204でNo、S207でNo)、加圧ロール62を定着ベルト61に接触させた状態で、予め定めた第3の時間(>第2の時間)だけ定着ベルト61および加圧ロール62を空回転させる(S210)。その後、加圧ロール62を定着ベルト61から離間させ(S211)、判定処理を終了する。
なお、一連の画像形成処理の後に連続して例えば通信部32にて印刷ジョブを受信するなど、定着ユニット60の動作を停止させることなく複数の異なる画像形成処理が連続して実行される場合には、次回の画像形成処理にて使用される用紙Pの用紙幅が前回使用された用紙Pの用紙幅と同じか、またはそれよりも小さい場合においては、後処理を行わずに画像形成処理を実行する。このような場合には、前回の画像形成処理における加圧ロール62の非通紙領域Fbは、次回の画像形成処理における加圧ロール62の非通紙領域Fbよりも両端部側に位置する領域となる。そのため、次回の画像形成処理において定着ユニット60を通過する用紙領域内においては、加圧ロール62の軸方向における温度分布はほぼ均一となっており、加圧ロール62には外径差が殆ど発生しない。それにより、次回の画像形成処理において用紙Pにしわが生じる可能性が少ないので、このような場合には後処理を行わない。
その一方で、次回の画像形成処理にて使用される用紙Pの用紙幅が前回使用された用紙Pの用紙幅よりも大きい場合においては、後処理を実行し、後処理が終了後に次回の画像形成処理が行われることとなる。
<制御部の内部構成の説明>
次の図15は、制御部31の内部構成の一部を示すブロック図である。図15に示したように、制御部31は、上記したIHヒータに供給する電力制御(強制加熱制御)や後処理を含む画像形成処理に関する動作制御を行う際に、予め定められた処理プログラムに従ってデジタル演算処理を実行するメインCPU110、メインCPU110の作業用メモリ等として用いられるRAM112、メインCPU110での処理に使用される各種設定値等が格納されるROM113、書き換え可能で電源供給が途絶えた場合にもデータを保持できる、電池によりバックアップされたフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ(NVM)114、制御部31に接続される各構成部(例えば、電磁誘導加熱制御部100を構成するCPU160)との信号の入出力を制御するインターフェース(I/F)部115を備えている。
そして、メインCPU110が、処理プログラムを外部記憶装置(不図示)から主記憶装置(RAM112)に読み込み、制御部31での各機能を実現させる。
なお、この処理プログラムに関するその他の提供形態としては、予めROM113に格納された状態にて提供され、RAM112にロードされる形態がある。さらに、EEPROM等の書き換え可能なROM113を備えている場合には、メインCPU110がセッティングされた後に、プログラムだけがROM113にインストールされ、RAM112にロードされる形態がある。また、インターネット等のネットワークを介して制御部31にプログラムが伝送され、制御部31のROM113にインストールされ、RAM112にロードされる形態がある。さらにまた、DVD−ROMやフラッシュメモリ等の外部記録媒体からRAM112にロードされる形態がある。
[実施の形態2]
実施の形態1では、予め定められた「ユーザによる操作」を認識した場合にウォーミングアップ処理を実行するとともに、トナー像形成動作の実行の確定を認識することでトナー像形成動作を開始させた場合には、定着ユニット60での動作に対応させて定着ベルト61に対する強制加熱制御を行う構成について説明した。本実施の形態では、上記のウォーミングアップ処理や強制加熱制御にて定着ベルト61を加熱させる際の電力値を、ウォーミングアップ処理の開始前の定着ベルト61の温度に応じて設定する構成について説明する。なお、実施の形態1と同様な構成については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
<ウォーミングアップ処理開始前の定着ベルトの温度に応じた電力値設定の説明>
本実施の形態の制御部31(メインCPU110)は、メインスイッチがオンされたり、画像読取部50に原稿が置かれるなどといった「ユーザによる操作」を認識した場合には、電磁誘導加熱制御部100のCPU160(図11参照)に対して、定着ベルト61の温度を定着準備温度に設定する温度立上げ処理(ウォーミングアップ処理)の実行を指示する。それにより、CPU160は定着ベルト61を定着準備温度に設定し、画像形成部10でのトナー像形成動作への移行の準備を行う。その際に、CPU160はサーミスタ71,72(主に、定着ベルト61の中央部に配置されたサーミスタ71)にて検知された温度検知信号を取得する。そして、CPU160は、例えばサーミスタ71からの温度検知信号に応じて電力値を指定した「電力設定信号」を励磁回路88へ出力する。それにより、励磁回路88に設けられたCPU158は、CPU160から取得した「電力設定信号」に指定された電力値の電力が高周波スイッチング回路152から励磁コイル82に供給されるように、高周波スイッチング回路152を駆動制御する。それによって、高周波スイッチング回路152は、「電力設定信号」に指定された電力値の電力を出力ポート150を介して励磁コイル82に印加し、定着ベルト61を加熱する。
定着ベルト61は、前回実行された画像形成処理からの経過時間や前回の画像形成処理でのプリント枚数、さらには現在の環境温度等によって、異なる温度状態となっている。そのため、ウォーミングアップ処理や強制加熱制御を行うに際し、高周波スイッチング回路152から励磁コイル82に供給される電力を一律に設定すると、電力が無駄に使用される場合がある。
例えば、前回実施された画像形成処理からの経過時間が短く、また前回の画像形成処理にて大量の枚数がプリントされた場合には、定着ベルト61は定着準備温度や定着待機温度の近傍に維持されている場合が多い。その場合においても、上記の「ユーザによる操作」を認識した場合には、定着ベルト61の周方向や幅方向に存在する温度むらの均一化のためウォーミングアップ処理は必要である。しかし、定着ベルト61が定着準備温度や定着待機温度の近傍に維持されていれば、少ない電力でも温度むらの均一化は可能である。そのため、定着ベルト61が室温程度にある場合と同様に、ウォーミングアップ処理で使用する電力を設定するとした場合には、無駄な電力が使用されることとなる。
そこで、本実施の形態では、制御部31(メインCPU110)がウォーミングアップ処理の実行を指示した際には、電磁誘導加熱制御部100のCPU160は例えばサーミスタ71にて検知された温度検知信号を取得する。そして、CPU160は、サーミスタ71からの温度検知信号に応じて決定した電力値を指定した「電力設定信号」を励磁回路88へ出力する。
それにより、高周波スイッチング回路152から励磁コイル82に供給される電力は、ウォーミングアップ処理の開始前の定着ベルト61の温度に応じて設定されるので、ウォーミングアップ処理時の電力が有効に使用される。
<定着ベルトの温度に対応して設定される電力値の説明>
ここで、図16は、サーミスタ71にて検知された温度(検知温度Tm(℃))と「電力設定信号」にて指定される電力値(指定電力(W))との関係の一例を示した図である。
図16においては、通信部32にて受信した印刷ジョブがカラー画像に関する印刷ジョブであった場合や例えばUI部34にて印刷設定としてカラー画像印刷が指定された場合(以下、「カラーモード」)と、印刷ジョブが白黒画像に関する印刷ジョブであった場合や白黒画像印刷が指定された場合(以下、「白黒モード」)とで、検知温度が同一であっても指定電力が異なる値に設定される場合がある例を示している。
また、図16においては、検知温度が同一の温度範囲内である場合には、カラーモードでの指定電力は、白黒モードでの指定電力よりも大きいか、または同値に設定される。さらに、同一のモードでは、検知温度が高い方が、指定電力は低く設定される。ただし、検知温度が異なる温度範囲内であっても指定電力が同値に設定される温度領域が設定されてもよい。すなわち、図16において、各指定電力は、W1≧W3≧W5≧W7≧W9、W2≧W4≧W6≧W8≧W10、W2≧W1、W4≧W3、W6≧W5、W8≧W7、W10≧W9、W1≠W9、W2≠W10、といった関係を有するように設定される。
なお、図16に例示した検知温度と指定電力との関係は、例えばNVM114(図15参照)にテーブル(以下、「関係テーブル」)として記憶される。
次の図17は、定着ユニット60に対する温度立上げ処理(ウォーミングアップ処理)時に制御部31が行う電力設定処理の内容の一例を説明するフローチャートである。
図17に示したように、制御部31は、画像読取部50やUI部34や通信部32からの信号等に基づいて、予め定められた「ユーザによる操作」を認識すると(ステップ301)、制御部31は、定着ユニット60に対し、駆動モータ90(上記図2参照)をオンして、加圧ロール62が定着ベルト61に圧接されていない状態にて定着ベルト61を回転させるように指示する(ステップ302)。さらにその後、制御部31は、電磁誘導加熱制御部100のCPU160に対してウォーミングアップ処理の実行を指示する(ステップ303)。
それにより、制御部31に設けられた電磁誘導加熱制御部100のCPU160は、サーミスタ71から温度検知信号を取得する(ステップ304)。そして、CPU160は、サーミスタ71からの温度検知信号と、例えば上記の図16に示した関係テーブルとに基づいて、高周波スイッチング回路152から励磁コイル82に供給する電力値を決定する(ステップ305)。CPU160は、決定した電力値を指定した「電力設定信号」を励磁回路88に出力する(ステップ306)。それにより、励磁回路88の高周波スイッチング回路152は、「電力設定信号」にて指定された電力値の電力を励磁コイル82に印加し、定着ベルト61を加熱する。
なお、上記した強制加熱制御にて定着ベルト61を加熱させる際に設定される電力値は、ウォーミングアップ処理にて設定される電力値と同値の電力値を用いてもよい。また、ウォーミングアップ処理時に設定する電力値とは別個に、強制加熱制御時にて設定する電力値として上記の図16に示したような関係テーブルを予め作成しておき、強制加熱制御時には、サーミスタ71からの温度検知信号と、強制加熱制御用の関係テーブルとに基づいて電力値を決定してもよい。
以上説明したように、本実施の形態の画像形成装置1に備えられる定着ユニット60では、予め定められた「ユーザによる操作」を認識して温度立上げ処理(ウォーミングアップ処理)を実行し、その途中またはその後にトナー像形成動作の実行の確定を認識することでトナー像形成動作を開始させた場合には、定着ユニット60での動作に対応させて定着ベルト61に対する強制加熱制御を行う。
それにより、定着ユニット60において定着ベルト61の温度の低下が抑制され、定着ベルト61が定着設定温度に維持される。
さらに、ウォーミングアップ処理や強制加熱制御にて定着ベルト61を加熱させる際の電力値を、ウォーミングアップ処理の開始前の定着ベルト61の温度に応じて設定することにより、電力の無駄な消費が低減される。
なお、本実施の形態では、感温磁性部材64を定着ベルト61とは非接触で配置し、感温磁性部材64自体は発熱し難い構成とした定着ユニット60について説明したが、本実施の形態のIHヒータ80は、感温磁性部材64を定着ベルト61と接触させて配置し、感温磁性部材64自体も発熱する構成の定着ユニット60についても適用できる。
また、本発明は、定着ベルトと接触して配置された発熱体により定着ベルトを加熱する定着ユニットや、金属等のロールで構成された定着部材をヒータ等の発熱体により加熱する定着ユニット等に対しても適用できる。
1…画像形成装置、32…通信部、34…ユーザインターフェース(UI)部、60…定着ユニット、61…定着ベルト、62…加圧ロール、64…感温磁性部材、70…サーモスイッチ、71,72…サーミスタ、80…IHヒータ、82…励磁コイル、84…磁心、88…励磁回路、90…駆動モータ、100…電磁誘導加熱制御部

Claims (8)

  1. 記録材にトナー像を形成するトナー像形成手段と、
    前記トナー像形成手段によって形成された前記トナー像を前記記録材に定着する定着部材と、
    前記定着部材を加熱する加熱手段と、
    前記定着部材に接触する位置と離間する位置との間を移動するように構成され、当該定着部材に接触する位置に設定されることで当該定着部材を加圧し、当該定着部材との間に前記トナー像を保持した前記記録材が通過する領域を形成する加圧部材と、
    前記定着部材を予め定めた温度に設定するように前記加熱手段に供給する電力を制御する第1の制御、または、当該定着部材の温度にかかわらずに当該加熱手段に電力の供給を行う第2の制御を行う制御手段と
    前記定着部材の温度を検知して、当該温度に関する情報を前記制御手段に出力する温度検知手段と、
    前記トナー像形成手段にて前記トナー像形成動作を実行させるために当該トナー像形成動作の開始に先行して行われる操作者の第1の操作を検知する操作検知手段と
    を備え、
    前記加圧部材は、前記トナー像形成手段にて前記記録材に前記トナー像を形成するトナー像形成動作の実行が開始された後に、前記定着部材に接触する位置に設定され、
    前記制御手段は、前記加圧部材が前記定着部材に接触する位置に設定されるタイミングに合わせて、前記第2の制御を行い、前記操作検知手段にて前記第1の操作が検知された後、前記第1の制御および当該第2の制御に先行して前記加熱手段に電力を供給する予備制御を実行する前に、前記温度検知手段から当該定着部材の温度に関する情報を取得し、当該情報に対応させて当該予備制御または当該第2の制御の何れか一方または双方にて前記加熱手段に供給する電力値を決定することを特徴とする画像形成装置。
  2. 記録材にトナー像を形成するトナー像形成手段と、
    前記トナー像形成手段によって形成された前記トナー像を前記記録材に定着する定着部材と、
    前記定着部材を加熱する加熱手段と、
    前記定着部材に接触する位置と離間する位置との間を移動するように構成され、当該定着部材に接触する位置に設定されることで当該定着部材を加圧し、当該定着部材との間に前記トナー像を保持した前記記録材が通過する領域を形成する加圧部材と、
    前記定着部材を予め定めた温度に設定するように前記加熱手段に供給する電力を制御する第1の制御、または、当該定着部材の温度にかかわらずに当該加熱手段に電力の供給を行う第2の制御を行う制御手段と
    前記トナー像形成手段における前記トナー像形成動作の実行を確定する操作者による第2の操作を検知する操作検知手段と
    を備え、
    前記制御手段は、前記加圧部材が前記定着部材に接触する位置に設定されるタイミングに合わせて、前記第2の制御を行い、前記操作検知手段にて前記第2の操作が検知されたことに対応して、前記トナー像形成手段にて前記トナー像形成動作を開始するタイミングに合わせて前記第2の制御を行うことを特徴とする画像形成装置。
  3. 前記制御手段は、前記記録材が前記定着部材に接触する位置に搬送されるタイミングに合わせて前記第2の制御を行うことを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
  4. 記録材に形成されたトナー像を当該記録材に定着する定着部材と、
    前記定着部材に接触する位置と離間する位置との間を移動するように構成され、当該定着部材に接触する位置に設定されることで当該定着部材を加圧し、当該定着部材との間に前記トナー像を保持した前記記録材が通過する領域を形成する加圧部材と、
    供給される電力が前記定着部材を予め定めた温度に設定するように制御される第1の制御、または、当該定着部材の温度にかかわらずに電力が供給される第2の制御により制御されることにより、当該定着部材を加熱する加熱手段と
    前記定着部材の温度を検知する温度検知手段と
    を備え、
    前記加圧部材は、前記記録材にトナー像を形成するトナー像形成動作の実行が開始された後に、前記定着部材に接触する位置に設定され、
    前記加熱手段は、前記加圧部材が前記定着部材に接触する位置に設定されるタイミングに合わせて、前記第2の制御が行われ、前記第1の制御と当該第2の制御とに先行して電力が供給される予備制御または当該第2の制御の何れか一方または双方にて用いられる電力値が、前記トナー像形成動作を実行させるために当該トナー像形成動作の開始に先行して行われる操作者の第1の操作が行われた後、当該予備制御が実行される前に、前記温度検知手段にて検知された前記定着部材の温度に対応させて決定されることを特徴とする定着装置。
  5. 記録材に形成されたトナー像を当該記録材に定着する定着部材と、
    前記定着部材に接触する位置と離間する位置との間を移動するように構成され、当該定着部材に接触する位置に設定されることで当該定着部材を加圧し、当該定着部材との間に前記トナー像を保持した前記記録材が通過する領域を形成する加圧部材と、
    供給される電力が前記定着部材を予め定めた温度に設定するように制御される第1の制御、または、当該定着部材の温度にかかわらずに電力が供給される第2の制御により制御されることにより、当該定着部材を加熱する加熱手段と
    を備え、
    前記加熱手段は、前記加圧部材が前記定着部材に接触する位置に設定されるタイミングに合わせて、前記第2の制御が行われ、前記トナー像形成動作の実行を確定する操作者による第2の操作に対応して、当該トナー像形成動作が開始されるタイミングに合わせて当該第2の制御が行われることを特徴とする定着装置。
  6. 前記加熱手段は、前記記録材が前記定着部材に接触する位置に搬送されるタイミングに合わせて前記第2の制御が行われることを特徴とする請求項4または5記載の定着装置。
  7. コンピュータに、
    トナー像を記録材に定着する定着部材を予め定めた温度に設定するように、当該定着部材を加熱する加熱手段に電力を供給する第1の制御を行う機能と、
    前記加圧部材が前記定着部材に接触する位置に設定されるタイミングに合わせて、前記定着部材の温度にかかわらずに前記加熱手段に電力を供給する第2の制御を行う機能と、
    記録材にトナー像を形成するトナー像形成動作の実行が開始された後に、前記定着部材に接触する位置と離間する位置との間を移動するように構成され、当該定着部材に接触する位置に設定されることで当該定着部材を加圧し、当該定着部材との間に当該トナー像を保持した当該記録材が通過する領域を形成される加圧部材を、当該定着部材に接触する位置に設定する機能と
    前記定着部材の温度に関する情報を取得する機能と、
    前記トナー像形成動作を実行させるために当該トナー像形成動作の開始に先行して行われる操作者の第1の操作を検知する機能と、
    前記第1の制御および前記第2の制御に先行して前記加熱手段に電力を供給する予備制御を行う機能と、
    前記第1の操作が検知された後、前記予備制御が実行される前に取得された前記定着部材の温度に関する情報に対応させて、当該予備制御または前記第2の制御の何れか一方または双方にて前記加熱手段に供給する電力の電力値を決定する機能と
    を実現させ、
    前記第2の制御を行う機能は、前記加圧部材が前記定着部材に接触する位置に設定されるタイミングに合わせて、前記加熱手段に電力を供給することを特徴とするプログラム。
  8. コンピュータに、
    トナー像を記録材に定着する定着部材を予め定めた温度に設定するように、当該定着部材を加熱する加熱手段に電力を供給する第1の制御を行う機能と、
    前記加圧部材が前記定着部材に接触する位置に設定されるタイミングに合わせて、前記定着部材の温度にかかわらずに前記加熱手段に電力を供給する第2の制御を行う機能と、
    記録材にトナー像を形成するトナー像形成動作の実行が開始された後に、前記定着部材に接触する位置と離間する位置との間を移動するように構成され、当該定着部材に接触する位置に設定されることで当該定着部材を加圧し、当該定着部材との間に当該トナー像を保持した当該記録材が通過する領域を形成される加圧部材を、当該定着部材に接触する位置に設定する機能と
    前記記録材に前記トナー像を形成するトナー像形成動作の実行を確定する操作者による第2の操作を認識する機能と
    を実現させ、
    前記第2の制御を行う機能は、前記加圧部材が前記定着部材に接触する位置に設定されるタイミングに合わせて、前記加熱手段に電力を供給し、前記操作者の前記第2の操作を認識することに対応して、前記トナー像形成動作を開始するタイミングに合わせて前記加熱手段に電力を供給することを特徴とするプログラム。
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