JP5470837B2 - 液体口腔用組成物 - Google Patents

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本発明は、殺菌成分の歯周病原性バイオフィルムへの浸透性が高く、歯周病原性バイオフィルムに対して高い殺菌効果を発揮し、かつ調製直後品及び高温保存品を使用時に優れた歯グキ引締め効果を発揮し、高温保存時のアラントインの加水分解が抑制され、使用時、使用後に異味がなく味が良好であり、高温及び低温保存後の外観安定性も良好であり、口腔内疾患、特に歯肉炎や歯周炎の予防又は治療に有効な液体口腔用組成物に関する。
従来、歯肉炎や歯周炎の予防又は治療剤として、種々の薬効成分が洗口液、液体歯磨剤等の液体口腔用組成物に配合されている。
歯肉炎、歯周炎の原因は、プラーク中の各種細菌によるものと考えられ、口腔内疾患の予防又は改善に有効な手段として、プラークコントロール、特に歯周病原性のプラーク(バイオフィルム)中の口腔内細菌数を低レベルに保つことが有用であることがいわれている。イソプロピルメチルフェノールは、歯周病原性バイオフィルムへの浸透殺菌効果が高い殺菌成分として注目されている非イオン性殺菌剤である。
これまで、イソプロピルメチルフェノールを使用して口腔疾患を予防する技術としては、例えばイソプロピルメチルフェノールをノニオン界面活性剤であるポリオキシエチレン(POE)硬化ヒマシ油で可溶化し、製剤化する技術が提案されている(特許文献1〜4参照)。
しかし、上記技術では、多量のノニオン界面活性剤を配合するとイソプロピルメチルフェノールが不活性化し、歯周病原性バイオフィルムへの殺菌力が満足に発現しないという問題があった(特許文献1)。また、特許文献2〜4では、低濃度のノニオン界面活性剤によって可溶化し、歯周病原性バイオフィルムへの殺菌力を発現させているが、この場合のイソプロピルメチルフェノールのプラークコントロールによる口腔内疾患の予防又は改善効果は緩慢であり、使用者が使用時及び使用直後にその効果を明確に認識し難く、また、満足に実感できるとは言い難い。イソプロピルメチルフェノールを使用した製剤は、ノニオン界面活性剤を配合してその配合量を調整して可溶化させても、その殺菌効果による歯肉炎や歯周炎の改善効果が、使用者に明確に認識及び実感させるには十分とは言い難く、製剤の使用が習慣化され難いという問題があった。
一方、歯肉炎、歯周炎の罹患部位は主に歯グキであり、歯肉炎及び歯周炎の改善効果を使用者に実感させるには、歯グキへの使用感を実感させることが最も効果的である。その作用感としては、痛感、痺れ感、引締め感等があるが、歯肉炎、歯周炎の症状を想起させる痛感や痺れ感に対し、症状を改善した状態を想起させる引締め感が望ましい。収斂性化合物は、口腔用組成物へ配合することにより歯グキの引締め感を発現させる。従来、収斂性化合物としては、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム等の複合リン酸塩や、塩化ナトリウム、アラントインやその誘導体などが知られている。しかし、複合リン酸塩は、高濃度での使用では粘膜剥離のおそれがあり、低濃度では歯グキへの実感よりも歯のキシキシ感を強く感じることから歯グキへの作用感に乏しい。また、塩化ナトリウムは引締め感を発現する配合量では塩味が強く使用感を損なうという問題があり、特に液体口腔用組成物では、練歯磨と比較して使用感が酷く損なわれる。
一方、アラントインやその誘導体は、主に歯グキへの引締め感を発揮する化合物として口腔用組成物に配合可能な成分として知られている。口腔用組成物に配合可能な有効成分としてアラントイン誘導体であるアラントインクロルヒドロキシアルミニウム、イソプロピルメチルフェノールを記載した技術が特許文献5に提案され、更にはアラントインクロルヒドロキシアルミニウムとイソプロピルメチルフェノールを含有した練歯磨組成が特許文献6に記載されている。
しかし、アラントインクロルヒドロキシアルミニウムやアラントインジヒドロキシアルミニウム等のアラントイン誘導体を液体口腔用組成物に配合すると、調製時にニゴリを生じ、澄明な外観を確保できず、更に、イソプロピルメチルフェノール含有の口腔用組成物に配合した場合は、イソプロピルメチルフェノールの浸透殺菌力が損なわれるという問題が生じる。
また、アラントインは、特許文献7,8に記載されているようなpH7.5〜9の条件下ではアラントインの加水分解が生じ、経時で、特に高温保存時に歯グキの引締め感が消失してしまう。また、アラントインの分解を抑制できる製剤pHであっても(特許文献9参照)、アラントインの配合量に対し非イオン界面活性剤配合量が多すぎると満足な歯グキの引締め実感が得られない。更に、特許文献10の実施例22にはイソプロピルメチルフェノール、アラントイン、ポリオキシエチレン(40)ステアリルエーテルを配合した洗口剤組成が記載されているが、歯グキ引締め実感を有する組成物では非イオン性界面活性剤由来の異味が際立ち易く、アラントインにポリオキシエチレン(40)ステアリルエーテルを併用した上記組成では際立つ異味により使用性が損なわれる。
従って、使用者が歯肉炎及び歯周炎改善効果を使用時及び使用直後に明確に認識及び実感できる優れた殺菌効果及び歯グキ引締め効果を発揮し、かつ良好な使用感及び外観安定性を有し、口腔内疾患、特に歯肉炎や歯周炎を予防又は改善するのにより有効な口腔用組成物が望まれる。
特開2002−20253号公報 特開平1−305021号公報 特開平7−48237号公報 特開平10−330230号公報 特開平11−21217号公報 特開平7−267853号公報 特公平6−51618号公報 特開2008−7413号公報 特開2006−273767号公報 特開2007−106728号公報
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、殺菌成分の歯周病原性バイオフィルムへの浸透性が高く、歯周病原性バイオフィルムに対して高い殺菌効果を発揮し、高温保存時のアラントイン加水分解を抑制し、かつ調製直後品及び高温保存品を使用時の歯グキ引締め効果に優れ、使用時及び使用後に異味がなく味が良好であり、高温保存及び低温保存後の外観安定性が良好な液体口腔用組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、非イオン性殺菌成分であるイソプロピルメチルフェノールと、収れん性抗炎症成分であるアラントインとを配合し、かつエチレンオキサイドの平均付加モル数が40〜100モルのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を少なくとも1種以上配合し、かつアラントインに対しポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の配合量を特定割合とし、更にクエン酸及び/又はクエン酸を配合して、組成物pHを5.06.0とすることにより、イソプロピルメチルフェノールの歯周病原性バイオフィルムへの浸透性が向上し、歯周病原性バイオフィルムに対して高い殺菌効果を発揮すると共に、高温保存時のアラントインの加水分解が抑制され、調製直後品及び高温保存品を使用時に優れた歯グキ引締め効果が発揮されること、しかも、使用時及び使用後に異味がなく味が良好であり、高温保存後及び低温保存後の外観安定性が良好で経時保存安定性にも優れた液体口腔用組成物が得られることを見出した。更に、本発明の液体口腔用組成物に、スピラントール、バニリルブチルエーテル、カプサイシンから選ばれる少なくとも1種を配合することにより、歯グキの引締め感がより増強されることも見出した。
本発明では、上記特定成分を組合わせて液体口腔用組成物に配合することによって、対薬剤バリアー性能の高い歯周病菌性バイオフィルムに対しての、殺菌成分であるイソプロピルメチルフェノールの浸透性が高まり、歯周病菌性バイオフィルム中の歯周病菌をはじめとする口腔内細菌への優れた殺菌力が発揮されると共に、収れん性抗炎症成分であるアラントインの高温保存時の加水分解が抑制され、歯周病予防実感との相関が高い使用時の歯グキ引締め実感が製造直後品及び高温保存品でも発現し、しかも、組成物の使用性を損なう配合成分由来の苦味、塩味などの使用時及び使用後の異味が抑制され、良好な味を有し使用感が良好で、かつ、低温保存及び高温保存後の経時外観安定性をも兼ね備える。更に、スピラントール、バニリルブチルエーテル、カプサイシンから選ばれる香料成分を併用することで、使用感を損なうことなく歯グキの引締め感がより増強される。本発明の液体口腔用組成物は、歯周病原性バイオフィルム中の口腔内細菌に対して優れた浸透殺菌効果を発揮する上、口腔内疾患、特に口腔内の歯肉炎及び歯周炎の症状を想起させる歯グキ等における痛感や痺れ感とは異なる、症状が改善した状態を想起させる高い引締め感を発揮し、よって、歯肉炎及び歯周炎の症状の改善効果を、使用時及び使用直後に使用者に明確に認識及び実感させることができ、使用者への使用の習慣化を促進させることができる。後述の実施例の結果からも明らかなように、このような本発明の作用効果は、本発明の特定成分を適当な割合で併用することによって達成できるもので、必須要件のいずれかを欠く場合にはなし得ない。また、アラントインの代わりにアラントインジヒドロキシアルミニウム等のアラントイン誘導体を配合しても、あるいはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油であってもエチレンオキサイドの平均付加モル数が40未満のものを配合しても、本発明の目的は達成できない。
従って、本発明は下記の液体口腔用組成物を提供する。
〔1〕
(A)イソプロピルメチルフェノールを0.01〜0.1質量%
(B)アラントインを0.005〜0.1質量%
(C)エチレンオキサイドの平均付加モル数が40〜100モルのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を0.10〜0.7質量%
(D)クエン酸及び/又はクエン酸
を含有してなり、かつ(C)/(B)の質量比が5〜15であり、組成物のpHが5.06.0であることを特徴とする液体口腔用組成物。
〔2〕
更に、(E)スピラントール、バニリルブチルエーテル、及びカプサイシンから選ばれる少なくとも1種を含有する〔1〕に記載の液体口腔用組成物。
〔3〕
成分(A)を0.02〜0.07質量%、成分(B)を0.03〜0.1質量%、成分(C)を0.3〜0.7質量%含有する〔1〕又は〔2〕に記載の液体口腔用組成物。
〔4〕
更に、エタノールの含有量が0〜10質量%である〔1〕、〔2〕又は〔3〕に記載の液体口腔用組成物。
〔5〕
洗口剤である〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の液体口腔用組成物。
本発明の液体口腔用組成物は、殺菌成分の歯周病原性バイオフィルムへの浸透性が高く、歯周病原性バイオフィルムに対して高い殺菌効果を発揮し、かつ高温保存時のアラントイン加水分解抑制効果に優れ、調製直後品及び高温保存品使用時に優れた歯グキ引締め効果を発揮し、使用時及び使用後に異味がなく、味が良好で使用感に優れ、高温保存後及び低温保存後の外観安定性が良好であり、口腔疾患、特に歯肉炎及び歯周炎の予防又は治療に有効である。
以下、本発明につき更に詳細に説明する。本発明の液体口腔用組成物は、(A)イソプロピルメチルフェノール、(B)アラントイン、(C)エチレンオキサイドの平均付加モル数が40〜100モルのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含有し、pH緩衝剤として(D)クエン酸及び/又はクエン酸塩含有する。
(A)イソプロピルメチルフェノールは殺菌成分として配合され、その配合量は組成物全体の0.01〜0.1%(質量%。以下、同様。)、特に0.02〜0.07%が好ましい。0.01%未満では歯周病原性バイオフィルムへの浸透性、殺菌力が発揮されな。0.1%を超えると高温、低温保存時に経時で白濁が生じ外観安定性が損なわれたり、イソプロピルメチルフェノール由来の異味が生じ
(B)アラントインは収斂性抗炎症成分として配合され、その配合量は組成全体の0.005〜0.1%、特に0.03〜0.1%が好ましい。0.005%未満では調製直後及び高温保存品の歯グキ引締め実感が発現しな。0.1%を超えると高温保存時に経時で析出したり、アラントイン由来の異味を生じ
(C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、歯周病原性バイオフィルムへの浸透性と殺菌力、イソプロピルメチルフェノールの可溶化、調製直後及び高温保存品の歯グキ引締め実感、高温・低温保存後の外観安定性及び異味の点から、エチレンオキサイドの平均付加モル数が40〜100モルのものから選ばれる1種又は2種以上を使用する。特に、歯周病原性バイオフィルムへの浸透性と殺菌力、高温・低温保存後の外観安定性の点で、エチレンオキサイドの平均付加モル数が60〜100モルのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましい。平均付加モル数が40モル未満では可溶化力が十分でなく高温・低温保存において析出し白濁や沈殿が生じ、100モルを超えるものは一般に市販されていない。
成分(C)の配合量は、歯周病原性バイオフィルムへの殺菌力及びイソプロピルメチルフェノール可溶化、調製直後及び高温保存品の歯グキ引締め実感、高温・低温保存後の外観安定性及び異味の点で、組成全体の0.10〜0.7%、好ましくは0.3〜0.7%である。配合量が0.10%未満ではイソプロピルメチルフェノールの可溶化や高温・低温保存時の外観安定性を維持するのが難しく、1.0%を超えると、歯周病原性バイオフィルムへの殺菌力、調製直後及び高温保存品の歯グキ引締め実感が損なわれ、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油由来の異味が生じる。
成分(C)/成分(B)の質量比5〜15である。5未満では高温保存時の外観安定性や高温保存後の引締め実感に劣り、30を超えると調整直後及び高温保存後の歯グキの引締め実感に劣る。
更に、本発明では、(D)クエン酸とクエン酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩)もしくはクエン酸塩以外のアルカリ剤とを組み合わせて、又はクエン酸塩とクエン酸もしくはクエン酸以外の酸とを組み合わせて配合することで、その緩衝作用で組成物pHを維持し、高温保存品の歯グキ引締め実感、高温保存時のアラントイン加水分解抑制効果及び外観安定性を満足に改善できる。なお、成分(D)としては、クエン酸及び/又はその塩を含むもので、クエン酸及び/又はその塩を配合しないと、高温保存時の組成物pHが維持できず、アラントインの加水分解の進行や歯グキ引締め実感が消失したり、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の加水分解の進行により高温保存時の外観安定性が低下する。クエン酸及び/又はその塩を含まず、その代わりに他の公知のpH調整剤を用いた場合は弱酸性領域のpH緩衝能が乏しくアラントインの加水分解の進行や歯グキ引締め実感が消失したり、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の加水分解の進行により高温保存時の外観安定性が低下する。
成分(D)としては、組成物のpHを5.06.0の範囲に調整できれば、クエン酸又はクエン酸塩(クエン酸のカリウム塩、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩)を単独で配合しても、クエン酸とクエン酸塩とを併用しても、あるいはクエン酸又はクエン酸塩にpH調整剤として公知の他の酸やアルカリ剤を組み合わせて配合してもよい。
クエン酸と組み合わせるアルカリ剤としては、クエン酸のアルカリ金属塩のほか、クエン酸以外のフマル酸、リンゴ酸等の有機酸のカリウム塩、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩やアンモニウム塩、リン酸、炭酸等の無機酸のカリウム塩、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩やアンモニウム塩、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。
クエン酸塩と組合せて使用する酸としては、クエン酸のほか、クエン酸以外のフマル酸、リンゴ酸等の有機酸や、リン酸、塩酸等の無機酸が挙げられる。
特にクエン酸とクエン酸ナトリウムを組み合わせたものを用いることが好ましい。
成分(D)の配合量は組成物のpHを5.06.0の範囲に調整できる範囲でよく、適宜調整できる。
更に、クエン酸及び/又はクエン酸塩の含有量は、組成物のpHを相応しい範囲に調整できる量でよいが、無水クエン酸として換算した総含有量が組成全体の0.1〜2.0%、特に0.2〜1.0%が好ましい。総含有量が0.1%未満では、高温保存後の外観安定性が損なわれたり、アラントインの加水分解が進行し、高温保存品の歯グキ引締め実感が消失する場合があり、2.0%を超えると酸味、異味が生じたり、低温保存後の外観安定性が損なわれる場合がある。
本発明の液体口腔用組成物は、高温保存時の外観安定性、異味、高温保存でのアラントインの分解抑制効果及び高温保存品の歯グキ引締め実感の点から、組成物のpH5.0〜6.0である。組成物pHが4.0未満では歯のエナメル質が侵食する危険があり、異味や酸味が生じたり、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が分解し、高温保存後の外観安定性が悪くなる。組成物pHが6.2を超えると高温保存時にアラントインが分解し保存安定性が確保できず、高温保存品の歯グキ引締め実感に劣る。
更に、本発明組成物には、(E)スピラントール、バニリルブチルエーテル及びカプサイシンから選ばれる香料成分を配合でき、成分(E)の配合により歯グキ引締め感をより増強することができる。成分(E)は、1種単独でも、2種又は3種を組み合わせてもよく、スピラントールとカプサイシン、バニリルブチルエーテルとカプサイシン、スピラントールとカプサイシン、スピラントールとバニリルブチルエーテルとカプサイシンとを併用できる。
成分(E)として、これら香料成分を含有する精油又は抽出物を使用し配合してもよい。ここでいう精油とは、植物の全草もしくは花、果実、葉、茎、根、種子などの植物体を水蒸気蒸留によって得られた油をさし、蒸留物全量もしくは前溜部及び/又は後溜部を除去した油を用いてもよい。また、抽出物とは、植物体を水、エタノールなどの有機溶剤で抽出したものをさし、一般にエキストラクト、オレオレジン、レジノイド、コンクリート、アブソリュートと称されるものが抽出物に相当し、これらを用いることができる。
上記成分(E)は、市販品を使用でき、例えばスピラントールは高砂香料工業社製のパラクレスオイル、バニリルブチルエーテルは高砂香料工業社製製品、カプサイシンは長良サイエンス社製製品などを用いることができる。
更に各成分の配合量は、スピラントール、バニリルブチルエーテルは、それぞれ0.00001〜0.1%、特に0.0001〜0.01%が望ましい。0.00001%未満では歯グキ引締め効果が十分に増強されず、0.1%を超えると収斂感や辛味で使用性や嗜好性が損なわれる場合がある。カプサイシンは0.0000005〜0.005%、特に0.000005〜0.0005%が望ましい。0.0000005%未満では歯グキ引締め効果が十分に増強されず、0.005%を超えると辛味で使用性や嗜好性が損なわれる場合がある。
容器としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ガラス、ポリプロピレン、ポリエチレンが使用できるが、非イオン性殺菌剤及び香料の吸着抑制の点からPETとガラスの使用が好ましい。
本発明の液体口腔用組成物は、原液のまま使用するタイプの洗口剤、歯ブラシによるブラッシングやマッサージを併用して用いる液体歯磨、歯磨ジェル、口中清涼剤、濃縮タイプで使用時に希釈して用いる洗口剤などの剤型として調製し、適用することができるが、その剤型に応じ、本発明の効果を損なわない範囲で上記成分以外に適宜な公知成分を必要に応じて配合できる。例えば、溶剤、湿潤剤、増粘剤、防腐剤、甘味剤、香料、界面活性剤、有効成分、着色料等を含有できる。
溶剤としてはプロピレングリコール等の多価アルコール、エタノール等の低級アルコールを配合することができる。溶剤の配合量は通常組成物全体の0〜30%である。なお、本発明の液体口腔用組成物は、エタノールを実質的に含有しない(即ち、組成物中のエタノール含有量が0.01%以下、特に0〜0.0001%である)組成であっても、本発明の効果を得ることができる。
湿潤剤としては、ソルビトール、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、マルチット、ラクチット等の糖アルコール、多価アルコールが挙げられる。配合量は通常、組成全体の0〜20%である。
増粘剤としては、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カラギナン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。配合量は通常、組成物全体の0〜3%である。
防腐剤としては、安息香酸ナトリウム等の安息香酸塩、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン糖のパラオキシ安息香酸エステル、塩酸セチルピリジニウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、ソルビン酸カリウム等が挙げられる。
また、甘味剤としてはキシリトール、マルチトール、サッカリン、サッカリンナトリウム、ステビオサイト、スクラロース、還元パラチノース、エリスリトール、アスパルテーム、トレハロース、トルナーレ等を本発明の効果を妨げない範囲で使用することができる。
香料としては、ペパーミント油、スペアミント油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、クローブ油、タイム油、セージ油、カルダモン油、ローズマリー油、マジョラム油、レモン油、ナツメグ油、ラベンダー油、パラクレス油等の天然精油、及びl−メントール、l−カルボン、シンナミックアルデヒド、オレンジオイル、アネトール、1,8−シネオール、メチルサリシレート、オイゲノール、チモール、リナロール、リモネン、メントン、メンチルアセテート、シトラール、カンファー、ボルネオール、ピネン等の上記天然精油中に含まれる香料成分、また、エチルアセテート、エチルブチレート、イソアミルアセテート、ヘキサナール、ヘキセナール、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、ベンツアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、フラネオール、マルトール、エチルマルトール、ガンマ/デルタデカラクトン、ガンマ/デルタウンデカラクトン、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、メンチルラクテート、エチレングリコール−l−メンチルカーボネート等の香料成分、更には、いくつかの香料成分や天然精油を組み合わせてなる、アップル、バナナ、ストロベリー、ブルーベリー、メロン、ピーチ、パイナップル、グレープ、マスカット、ワイン、チェリー、スカッシュ、コーヒー、ブランデー、ヨーグルト等の調合フレーバーの1種又は2種以上を、本発明の組成物中0.00001〜3%で、本発明の効果を妨げない範囲で使用することができる。
界面活性剤としては、上記ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油に加えて、他の界面活性剤を本発明の効果を妨げない範囲で配合してもよい。具体的には、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩、ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウロイルメチルタウリンなどのアシルアミノ酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル・ナトリウム、アルキルリン酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの酢酸ベタイン型両性界面活性剤、N−脂肪酸アシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン塩などのイミダゾリン型両性界面活性剤、N−脂肪酸アシル−L−アルギネート塩等のアミノ酸型界面活性剤、ポリグリセリン脂肪酸エステル、糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー型ノニオン界面活性剤、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどの非イオン性界面活性剤などを挙げることができ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。他の界面活性剤の配合量は通常0〜5%である。なお、成分(C)以外の界面活性剤は配合しなくてもよいが、配合する場合はアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、アミノ酸型界面活性剤であれば合計で0.05〜0.5%、非イオン性界面活性剤であれば0.1〜3%配合することが好適である。
有効成分としては、上記イソプロピルメチルフェノール、アラントインに加えて、例えばトラネキサム酸、イプシロン−アミノカプロン酸などの抗炎症剤、デキストラナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、ムタナーゼ、リゾチーム、溶菌酵素、リテックエンザイム等の酵素、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化第一錫等のフッ化物、アズレン、塩化リゾチーム、アスコルビン酸等のビタミンC類、ジヒドロコレステロール、グリチルレチン塩類、グリチルレチン酸類、ヒドロコレステロール、クロロフィル、銅クロロフィリンナトリウム、タイム、オウゴン、チョウジ、ハマメリス等の植物抽出物、グルコン酸銅、カロペプタイド、ポリリン酸ナトリウム、水溶性無機リン酸化合物、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、歯石防止剤、歯垢防止剤、硝酸カリウム、乳酸アルミニウム等を添加することができる。なお、これら他の有効成分の配合量は、本発明の効果を妨げない範囲で有効量ある。
着色料として、青色1号、緑色3号、黄色4号、赤色105号など安全性の高い水溶性色素を添加できる。
以下、実験例、実施例及び比較例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。下記例に示す%は特にことわらない限り質量%を意味する。
また、表中のpHは、組成物を調製直後に東亜電波工業製のpHメーター(型番Hm−30S)を用いて測定し、25℃、3分後の値を示した。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油中の括弧はエチレンオキサイドの平均付加モル数を示す。
液体口腔用組成物の調製は、表中の組成に応じ、2%の精製水にポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、イソプロピルメチルフェノール、アラントイン、スピラントール、バニリルブチルエーテル、カプサイシン等を溶解したものを、残りの精製水にクエン酸1水和物、クエン酸3ナトリウム2水和物、10%塩酸溶液、10%水酸化ナトリウム溶液等を溶解したものに加え、撹拌し均一溶解させ液体口腔用組成物を得た。比較例組成物は、トリクロサン、アラントインジヒドロキシアルミニウム、POEステアリルエーテルは2%の精製水に、リン酸1水素2ナトリウム・2水和物は残りの精製水に溶解して調製し、液体口腔用組成物を得た。
また、表5記載の溶剤を含有する組成物は、エタノール、又はエタノールを配合しない場合はプロピレングリコールにイソプロピルメチルフェノール、アラントイン、スピラントール、バニリルブチルエーテル、カプサイシン、香料、メチルパラベン、エチルパラベン等を溶解させた油溶成分を精製水にクエン酸1水和物、クエン酸3ナトリウム2水和物、10%塩酸溶液、10%水酸化ナトリウム溶液、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、グリセリン、ポリエチレングルコール、キシリトール、サッカリン、安息香酸ナトリウム、プロピレングリコール(エタノール配合時)等を溶解したものに加え、撹拌し均一溶解させ、液体口腔用組成物を得た。アーネストガム配合組成物は、油溶成分の水溶解後、4倍量のプロピレングリコールにアーネストガムを分散して加え撹拌し、液体口腔用組成物を得た。
なお、製造にはスリーワンモーター(BL1200、HEIDON社)を用いた。
これらの液体口腔用組成物の調製には、イソプロピルメチルフェノール(大阪化成社製)、アラントイン(パーマケムアジア社製)、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油(日光ケミカルズ社製)、ポリオキシエチレン(50)硬化ヒマシ油(日光ケミカルズ社製)ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油(日光ケミカルズ社製)、ポリオキシエチレン(100)硬化ヒマシ油(日本エマルジョン社製)、クエン酸1水和物(扶桑化学工業社製)、クエン酸3ナトリウム2水和物(扶桑化学工業社製)、10%塩酸水溶液(関東化学社製 塩酸 特級を希釈して調製)10%水酸化ナトリウム溶液(関東化学社製 水酸化ナトリウム 特級を溶解して調製)、パラクレスオイル インドネシア精製品(高砂香料工業社製,スピラントール70%含有)、バニリルブチルエーテル(高砂香料工業社製)、カプサイシン(長良サイエンス社製,純度99%以上)、ラウリル硫酸ナトリウム(東邦化学社製)、ラウロイルサルコシンナトリウム(川研ケミカル社製)、エタノール(日本アルコール販売社製)、グリセリン(ライオンケミカル社製)、プロピレングリコール(旭硝子社製)、ポリエチレングリコール400(第一工業製薬社製)、キシリトール(ロケットジャパン製)、サッカリン(大東化学社製)、安息香酸ナトリウム(伏見製薬社製)、メチルパラベン(上野製薬社製)、エチルパラベン(エーピーアイコーポレーション製)、アーネストガム(ダイセル化学製)を用いた。またトリクロサン(チバ・ジャパン社製)、アラントインジヒドロキシアルミニウム(アルオキサ、パーマケムアジア社製)、ポリオキシエチレン(30)硬化ヒマシ油(日光ケミカルズ社製)、ポリオキシエチレン(40)ステアリルエーテル(日本エマルジョン社製)、リン酸1水素2ナトリウム12水和物(関東化学社製)を比較例に使用した。なお、表中のPOEはポリオキシエチレンを示す。
〔実験例1〕殺菌成分の歯周病原バイオフィルム透過性の評価
(1)透過性試験用モデル歯周病原性バイオフィルムの作製方法
ライオン株式会社オーラルケア研究所において継代保存(凍結保存)してあったアクチノマイセス ナイスランディー(Actinomyces naeslundii) ATCC 51655株,フゾバクテリウム ニュークレアタム(Fusobacterium nucleatum) ATCC 10953株,ポルフィロモーナス ジンジバリス(Porhyromonas gingivalis) ATCC 33277株の各菌液40μLをそれぞれ、121℃で15分間オートクレーブした5mg/L ヘミン(シグマ アルドリッチ社製)及び1mg/L ビタミンK(和光純薬工業社製)を含むトッドへーウィットブロース(Becton and Dickinson社製)培養液(THBHM*1)4mLに添加し、37℃で一晩嫌気培養(80vol%窒素、10vol%二酸化炭素、10vol%水素)した。
同様に保存してあったベイヨネラ パービューラ(Veillonella parvula) ATCC 17745株菌液80μLを、121℃で15分間オートクレーブした1.26%乳酸ナトリウム(シグマ アルドリッチ社製)を含むトッドへーウィットブロース(Becton and Dickinson社製)培養液(THBL*2)4mLに添加し、同様に培養した。培養後、ベイヨネラ パービューラを除く3菌種の菌液から各300μLを採取し、それぞれ30mLのTHBHMに添加し、更に一晩培養した。ベイヨネラ パービューラの菌液から同様に300μLを採取し、30mLのTHBLに添加し、一晩培養した。
再培養後、各菌液を遠心分離(10,000rpm、10min)し、上清を廃棄した。各沈渣(細菌)に対して121℃で15分間オートクレーブしたベイサルメディウムムチン培養液(BMM*3)を添加し、再懸濁した後、予めBMM 1,000mLを入れた培養槽(直径140mm×高さ200mm)に、上記各菌数がそれぞれ1×107個/mLになるように接種し、スターラーで撹拌(約100rpmで回転)しながら、37℃、嫌気条件下(95vol%窒素、5vol%二酸化炭素)で一晩培養した。その後、BMMを100mL/hの速度で供給するとともに、同速度で培養液を排出した。上記培養槽から排出された培養液は、液量が1,000mLに保たれる別の培養槽(直径140mm×高さ200mm)に連続的に供給した。この培養槽内の回転盤(約30rpmで回転)には、メンブレンフィルター(ミリポア社製、直径13mm)を装着し、その上面にバイオフィルムを形成させた。上記方法による培養は14日間行い、培養終了後、メンブレンフィルターを取り出し、被験面(メンブレン上部)以外に付着したバイオフィルムを滅菌綿棒(すずらん社製)で取り除いた。
*1 THBHMの組成:1リットル中の質量で表す。
トッドへーウィットブロース
(Becton and Dickinson社製): 30g/L
ヘミン(シグマ アルドリッチ社製): 5mg/L
ビタミンK(和光純薬工業社製): 1mg/L
蒸留水: 残
(全量が1Lになるようにメスアップした。)
*2 THBLの組成:1リットル中の質量で表す。
トッドへーウィットブロース
(Becton and Dickinson社製): 30g/L
60%乳酸ナトリウム水溶液(シグマ アルドリッチ社製): 21g/L
蒸留水: 残
(全量が1Lになるようにメスアップした。)
*3 BMMの組成:1リットル中の質量で表す。
プロテオースペプトン
(Becton and Dickinson社製): 2g/L
トリプトン(Becton and Dickinson社製):1g/L
イーストエキストラクト
(Becton and Dickinson社製): 1g/L
ムチン(シグマ アルドリッチ社製): 2.5g/L
ヘミン(シグマ アルドリッチ社製): 1mg/L
ビタミンK(和光純薬工業社製): 0.2mg/L
KCl(和光純薬工業社製): 0.5g/L
システイン(和光純薬工業社製): 0.1g/L
蒸留水: 残
(全量が1Lになるようにメスアップした。)
(上記組成1リットルを121℃で15分間オートクレーブした後、45℃に冷却後、
添加。)
(2)モデルバイオフィルム透過効果
バイオフィルムが付着したメンブレンフィルターをPBS(人工唾液)8mLの入った拡散セルに装着し、表1〜5に示した組成のサンプル(液体口腔用組成物)0.8mLをメンブレンフィルター上に添加した。2時間インキュベート後、PBS中の殺菌成分(イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン)量を、HPLCを用いて定量した。処置した殺菌成分量に対する投下した殺菌成分量の割合を透過率(%)とし、下記基準で判定し、歯周病原性バイオフィルムへの浸透性を評価した。
試験条件
検出器 :紫外吸光光度計(測定波長:285nm)
カラム :YMC YMC−Pack ODS−A A−303
(4.6mmφ×250mm)
カラム温度:45℃
移動相 :アセトニトリル/水/酢酸(100)混液(60:40:1)
流量 :1mL/min
判定基準
◎:透過率が5%以上
○:透過率が1%以上5%未満
×:透過率が1%未満
〔実験例2〕歯周病原性バイオフィルム殺菌力の評価
(1)モデル歯周病原性バイオフィルムの作製方法
直径7mm×厚さ3.5mmのハイドロキシアパタイト(HA)板(旭光学社製)を0.45μmのフィルターでろ過したヒト無刺激唾液で4時間処理したものをモデルバイオフィルム作製の担体に用い、培養液は、トリプチケースソイブロス(Difco社製)30gを1Lの精製水に溶解した液にヘミン(シグマ社製)5mg、メナジオン(シグマ社製)0.5mgを添加したものを用いた。モデルバイオフィルムを作製するために、口腔常在細菌としてストレプトコッカス ゴルドニアイ ATC51656株及びアクチノマイセス ナエスランディ ATCC51655株、病原性細菌としてポルフィロモナス ジンジバリス ATCC33277株を用いた。これら3菌種をそれぞれ2×107cfu/mL(cfu:colony forming units)になるように上述の培養液に接種し、唾液処理したHA担体と共に37℃、嫌気条件下(5%炭酸ガス、95%窒素)で2週間連続培養(培養液の置換率は10Vol%とした)を行い、HA表面に3菌種混合のモデルバイオフィルムを形成させた。
(2)モデルバイオフィルムへの浸透殺菌効果の判定
形成させたモデルバイオフィルムを表1〜5に示した組成のサンプル2mLに3分間浸漬し、滅菌生理食塩水1mLで6回洗浄した。その後、滅菌生理食塩水4mLで超音波処理(200A、10秒間)によりモデルバイオフィルムを分散し、10%綿羊脱繊血含有トリプチケースソイ寒天平板(Difco社製)及び硫酸カナマイシン(200mg/L:シグマ社製)含有トリプチケースソイ血液寒天平板に50μL塗沫し、嫌気性条件下で培養した。生育したコロニーを計測し、残存するポルフィロモナス ジンジバリス菌の菌数(cfu)を求めた。また、PBS(人工唾液)は、塩化ナトリウム(関東化学社製 特級)8g、塩化カリウム(関東化学社製 特級)0.2g、リン酸一水素ナトリウム無水(関東化学社製 特級)1.15g、リン酸二水素カリウム無水(関東化学社製 特級)0.2gを精製水1Lにした液を用いた。サンプル2mLの代わりにPBS 2mLを処置した時の残存菌数をコントロールとし、サンプル処理後の生菌数に対するコントロールの生菌数の比(コントロールの生菌数/サンプルの生菌数)を下記基準に則り、判定し、歯周病原性バイオフィルムへの殺菌力を評価した。
判定基準
◎:生菌数の比が1,000以上
○:生菌数の比が100以上1,000未満
×:生菌数の比が100未満
〔実験例3〕歯グキの引締め実感の評価
(1)歯グキの引締め実感試験1:調製直後品
液体口腔用組成物の調製直後品を用い、組成物10mLを口に含み20秒間洗口し、対象品(比較例5:製造直後品)と比較して、下記の5段階で歯グキの引締め実感を評価した。30名の平均点を求め、次の基準に従い判定した。
調製直後の歯グキ引締め実感(対照品:比較例5)
5:顕著に高い引締め実感があった。
4:やや高い引締め実感があった。
3:わずかに高い引締め実感があった。
2:同等な引締め実感があった。
1:引締め実感を感じられなかった。
評価
◎:4.5点以上5.0点以下
○:4.0点以上4.5点未満
●:3.0点以上4.0点未満
△:2.0点以上3.0点未満
×:1.0点以上2.0点未満
(2)歯グキの引締め実感試験2:高温保存品(40℃で3ヶ月保存品)
液体口腔用組成物を40℃で3ヶ月保存した後、(1)と同様の方法で同様の評価を行った。なお、対象品は評価直前に調製したサンプル(比較例5:製造直後品)を使用した。
〔実験例4〕アラントインの分解抑制効果の確認試験
40℃で3ヶ月保存後のサンプル(液体口腔用組成物)について、下記試験条件に従いHPLCを用いてアラントイン濃度を測定した。各サンプルの製造直後のアラントイン濃度を100%とした際の残存率を算出し、次の基準に従いアラントインの分解抑制効果を判定した。
試験条件
検出器 :紫外吸光光度計(測定波長:210nm)
カラム :YMC−Pack NH2,NH12S05−2546WT
(4.6mmφ×250mm)
カラム温度:35℃
移動相 :アセトニトリル/リン酸塩緩衝溶液混液(4:1)
リン酸塩緩衝溶液:
リン酸二水素アンモニウム5.75gを水750mLに溶かし、リン酸を加えpH2.5に調整した後、水を加え1,000mLとした。
使用機器
ポンプ :日本分光(株) PU−980
試料導入部 :協和精密(株) KSP−100X
検出器 :日本分光(株) UV−970
記録装置 :システムインスツルメント(株) Chromatocoder21J
カラム恒温槽:(株)センシュー科学 SCC−2100
流量 :1mL/min
判定基準
◎:95%以上100%以下
○:90%以上95%未満
×:90%未満
〔実験例5〕使用時の異味の評価試験
液体口腔用組成物を用いて組成物10mLを口に含み20秒間洗口し、洗口後の異味実感を対照品(比較例9)と比較して下記の4段階で評価した。30名の平均点を求め、次の基準に従い判定した。
洗口後の異味実感(対照品:比較例9)
4:顕著に異味が低かった。
3:異味が低く問題のないレベルであった。
2:同等な異味があった。
1:顕著な異味を感じた。
判定
◎:3.5点以上4.0点以下
○:3.0点以上3.5点未満
△:2.0点以上3.0点未満
×:1.0点以上2.0点未満
〔実験例6〕低温保存後及び高温保存後の外観安定性の評価試験
サンプルを満注量80mLのPET容器に80mL充填し、−5℃又は40℃の恒温槽に3ヶ月保存後に、PET容器を緩やかに転置した際のオリ、ニゴリを、精製水を充填したPET容器(対照品)と比較して下記基準に則り目視判定した。オリとニゴリの評価のうち、評価が異なる場合はより悪い方の評価点をもって外観安定性の評価値とした。
オリ評価基準
◎:沈降するオリが全くない。
○:沈降するオリが僅かに認められるが問題ない。
△:沈降するオリが明らかに認められる。
×:PET容器を転置させずともオリが認められる。
ニゴリ評価基準
◎:ニゴリが全くない。対照品と比較しても全くニゴリが認められない。
○:対象品と比較して僅かにニゴリが認められるが、対象品がなければ判別できないレ
ベルであり、問題ない。
△:対象品と比較して明らかにニゴリが認められ、対象品がなくてもややニゴリが認め
られる。
×:対象品と比較しなくても明らかにニゴリが認められ、PET容器の向こう側を透か
し見るのが困難な程、濁っている。
Figure 0005470837
Figure 0005470837
Figure 0005470837
Figure 0005470837
Figure 0005470837
Figure 0005470837
*カッコ内の英字は表6の香料を示す。
Figure 0005470837
Figure 0005470837

なお、表中の部はいずれも質量部である(以下、同様)。
Figure 0005470837
Figure 0005470837
Figure 0005470837
Figure 0005470837
Figure 0005470837

Claims (5)

  1. (A)イソプロピルメチルフェノールを0.01〜0.1質量%
    (B)アラントインを0.005〜0.1質量%
    (C)エチレンオキサイドの平均付加モル数が40〜100モルのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を0.10〜0.7質量%
    (D)クエン酸及び/又はクエン酸
    を含有してなり、かつ(C)/(B)の質量比が5〜15であり、組成物のpHが5.06.0であることを特徴とする液体口腔用組成物。
  2. 更に、(E)スピラントール、バニリルブチルエーテル、及びカプサイシンから選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1記載の液体口腔用組成物。
  3. 成分(A)を0.02〜0.07質量%、成分(B)を0.03〜0.1質量%、成分(C)を0.3〜0.7質量%含有する請求項1又は2記載の液体口腔用組成物。
  4. 更に、エタノールの含有量が0〜10質量%である請求項1、2又は3記載の液体口腔用組成物。
  5. 洗口剤である請求項1乃至4のいずれか1項記載の液体口腔用組成物。
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