JP5464260B1 - 電気光学素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】単結晶Si基板上に結晶性が良好なクラッド層とLiNbOなどのイルメナイト型構造を持つ電気光学層をエピタキシャル成長させ、Si基板上に薄膜で形成された電気光学素子を提供する。
【解決手段】電気光学素子において、単結晶Si基板と、基板上にエピタキシャル成長したZrOのバッファ層と、バッファ層上にエピタキシャル成長したYのクラッド層と、クラッド層上にエピタキシャル成長したイルメナイト型構造を持つ電気光学層を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、単結晶シリコン基板上のエピタキシャル薄膜を用いた電気光学素子に関する。
イルメナイト型構造のニオブ酸リチウム(LiNbO)は大きな電気光学定数を有し、光変調器、光ジャイロ、光スイッチや電界センサなどのデバイスに応用されてきている。
現在、LiNbOは、バルク単結晶を用いてデバイスを作製するものが主流であるが、サファイア基板上もしくはシリコン(Si)基板上にLiNbO薄膜を形成する技術も開示されてきている。特にSi基板はサファイア基板よりも安価で、より大口径のものが市販されており、Si基板上に良好な薄膜を形成することができれば、デバイスの量産において大変有利である。
LiNbOの屈折率はSiの屈折率よりも小さいため、LiNbO膜を光導波層とするには、Si上にLiNbOよりも屈折率の小さいクラッド層を成膜し、その上にLiNbOを成膜する必要がある。また、LiNbO膜はできるだけ単結晶に近いエピタキシャル膜でなければ、期待する電気光学特性を得ることができない。
特許文献1には、光導波路に向けて、(111)配向のSi基板に、クラッド層となる(001)配向のAlエピタキシャル膜、その上に(001)配向のLiNbOのエピタキシャル膜を形成したものが開示されている。しかしながら、X線回析によるAl膜、LiNbO膜の配向性は開示されておらず、実際に結晶性の良いエピタキシャル膜を作るのは困難である。
特許文献2には、(111)配向のSi基板に、3C−SiCのエピタキシャル膜、次いでMgOのエピタキシャル膜の緩衝層を形成し、その上にLiNbOのエピタキシャル膜を形成したものが開示されている。しかしながら、これもX線回析による3C−SiC膜、MgO膜、LiNbO膜の配向性は開示されておらず、実際に結晶性の良いエピタキシャル膜を作るのは困難である。
上記の2つの文献は、Si基板上に形成されたエピタキシャル積層薄膜であるが、電気光学特性や光の伝播特性についての評価はしておらず、実際に光デバイスとして使えるのか不明である。また、今までに、Si基板上にエピタキシャル成長したLiNbOについて電気光学特性を測定した報告例は知られていない。
特開平5−72428号公報 特開2007−182335号公報
本発明は、単結晶Si基板上に結晶性が良好で、電気光学層よりも屈折率の小さいクラッド層と、LiNbOなどのイルメナイト型構造を持つ電気光学層とをエピタキシャル成長させ、Si基板上に薄膜で形成された電気光学素子を提供する。
本発明は、単結晶Si基板と、単結晶Si基板上にエピタキシャル成長したZrOのバッファ層と、バッファ層上にエピタキシャル成長したYのクラッド層と、クラッド層上にエピタキシャル成長したイルメナイト型構造を持つ電気光学層を有することを特徴とする電気光学素子である。
イルメナイト型構造を持つ電気光学層は、LiNbOであることが好ましい。
Si基板および積層膜の結晶配向性が、以下の方向に規定された条件を満たす積層構造となっていることが好ましい。
Si(111)/ZrO(111)/Y(111)/イルメナイト型(001)
ZrO膜厚は2nm〜75nmであることが好ましい。その膜厚において、クラッド層の結晶性が良好になる。
膜厚は500nm〜2000nmであることが好ましい。その膜厚において、電気光学層の結晶性に優れ、平均面粗さを小さく抑えられ、また、光を電気光学層に閉じ込めることが可能になる。
膜厚は800nm〜1600nmであることがより好ましい。その膜厚において、電気光学層の結晶性に優れ、平均面粗さの変動を小さくすることが可能になる。
Si基板の表面にはSi酸化物層が存在することが好ましい。
Si酸化物層はSi基板の熱酸化によって形成したものであって、厚みは0.5nm以上10nm以下であることが好ましい。
イルメナイト構造膜において、X線回折により測定された(006)反射のロッキングカーブの半値幅が0.58°以下であることが好ましい。
イルメナイト構造膜の表面の平均面粗さが9.2nm以下であることが好ましい。
本発明により、単結晶Si基板上に結晶性が良好なクラッド層とLiNbOなどのイルメナイト型構造を持つ電気光学層をエピタキシャル成長させ、Si基板上に薄膜で形成された電気光学素子を提供できる。
実施形態に係る電気光学素子を示す側断面図である。 電極を上部のみに配置した場合の電気力線の模式図である。 一方の電極を導電性基板に接続した場合の電気力線の模式図である。 実施形態に係る電気光学素子を示す側断面図である。 ZrO膜厚の異なるSi(111)/ZrO/Y 40nm膜において、Y膜のX線回折ロッキングカーブの半値幅と表面平均面粗さのグラフである。 実施例1のX線回折2θ−θスキャン図である。 実施例1のYでのX線回折ロッキングカーブ図である。 実施例1のLiNbOでのX線回折ロッキングカーブ図である。 実施例1のX線回折LiNbO(014)の極点図である。 散乱検出法による伝播損失測定の模式図である。 実施例1の散乱検出法における光の伝播強度グラフである。 プリズムカプラ法による電気光学測定の模式図である。 実施例1のプリズムカプラ法における屈折率変化のグラフである。 実施例2のY膜厚を変化させたときのLiNbO膜のX線回折ロッキングカーブの半値幅と表面平均面粗さのグラフである。 比較例2について、Y膜厚を変化させたときのLiNbO膜のX線回折ロッキングカーブの半値幅と表面平均面粗さのグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本発明の対象は以下の実施形態に限定されるものではない。また以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれると共に、その構成要素は、適宜組み合わせることが可能である。また説明図は模式的なものであり、説明の便宜上、厚みと平面寸法との関係は、本実施形態の効果が得られる範囲内で実際の構造とは異なっていても良いこととする。
なお、本実施形態におけるエピタキシャル膜とは、膜面内をX−Y面とし、膜厚方向をZ軸としたとき、結晶がX軸、Y軸およびZ軸方向にともにそろって配向しているものである。これを証明するために、第1に2θ−θX線回折による配向位置でのピーク強度の確認と、第2に極点の確認を行っている。
具体的には、第1に2θ−θX線回折による測定を行ったとき、目的とする面以外の全てのピーク強度が目的とする面の最大ピーク強度の10%以下、好ましくは5%以下である必要がある。例えば、LiNbOのc軸配向エピタキシャル膜では、(00L)面以外のピーク強度が、(00L)面の最大ピーク強度の10%以下、好ましくは5%以下である。(00L)は、(001)や(002)などの等価な面を総称する表示である。
第2に、極点測定において、極点が見えることが必要である。前述の第1の配向位置でのピーク強度の確認の条件においては、一方向における配向性を示しているのみであり、前述の第1の条件を得たとしても、面内において結晶配向がそろっていない場合には、特定角度位置でX線の強度が高まることはなく、極点は見られない。LiNbOは三方晶系の結晶構造であるため、単結晶におけるLiNbO(014)の極点は3つとなる。
前述の第1、第2の両方の条件が得られることにより、結晶がX軸、Y軸およびZ軸方向にともにそろって配向していることの証明になり、エピタキシャル膜になっているといえる。
また、LiNbOの場合、c軸を中心に180°回転させた結晶が対称的に結合した、いわゆる双晶の状態にてエピタキシャル成長することが知られている。この場合、3つの極点が対称的に2つ結合した状態になるため、極点は6つとなる。
なお、LiNbOの結晶構造は、擬イルメナイト型、イルメナイト類似型、変形イルメナイト型、LiNbO型などとして、その表記において、イルメナイト型とは区別する場合もあるが、本実施形態では、これらを総称して、イルメナイト型と定義する。
(実施形態1)
図1を用いて、実施形態1の電気光学素子の構造を示す。実施形態1の電気光学素子は、単結晶Si基板1と、バッファ層2と、クラッド層3と、電気光学層4と電極6から構成される。
実施形態1における単結晶Si基板1は(111)面を用いることが好ましい。イルメナイト型構造は三方晶系であり、Si上に形成されるバッファ層およびクラッド層の結晶方位を最適化できる。
単結晶Si基板は様々な電気抵抗のものが市販されているが、積層膜のエピタキシャル成長の観点では基板の電気抵抗に制限はない。本発明を高周波デバイスとして用いる場合は高抵抗のものが好ましく、低周波もしくはDCで用いる場合は低抵抗のSi基板でも良い。
単結晶Si基板1における結晶方位軸は、基板面に対して垂直もしくは数度以内に傾斜したものを用いる。
Si基板1面上に形成されたバッファ層2はZrOのエピタキシャル膜である。バッファ層2がない場合と比べると、クラッド層3および電気光学層4の結晶性が改善する。高温でのSi基板表面は非常に反応性に富むため、エピタキシャル成長前に不要な化合物が形成され、Si基板上へのエピタキシャル成長を阻害する。しかし、ZrOはSi基板上に、高結晶性かつ表面平坦性に優れる薄膜として形成することが可能であり、この下地膜を形成することで、より高品質なクラッド層および電気光学層のエピタキシャル膜を得ることができる。
実施形態1におけるバッファ層2のZrOは厚さが2nm〜75nmで、より好ましくは5nm〜50nmである。薄過ぎると十分な結晶性のZrOが得られず、厚過ぎると結晶性や表面平坦性の悪化、応力増加によるクラックなどの原因となる。
図5はSi(111)基板に厚さの異なるZrOを成膜し、さらにYを40nm成膜したサンプルについて、X線回折におけるY(222)のロッキング半値幅と、AFM(原子間力顕微鏡)によるY表面の平均面粗さを示したものである。グラフにはZrOの厚みが0nm、2nm、5nm、15nm、50nm、75nm、100nmの点がプロットしてある。平均面粗さ(Ra)は、ぞれぞれ、4.70nm、2.09nm、0.82nm、0.32nm、0.52nm、0.94nm、1.68nmであった。
また、ロッキング半値幅はそれぞれ、3.69度、1.77度、1.67度、1.58度、1.38度、1.90度、3.07度であった。ZrOの厚さが2nm〜75nmで、ロッキング半値幅が1.38度以上、1.90度以下と小さくなり、Y膜の結晶性が良好となる。また、ZrOの厚みが5nm〜50nmでのAFM(原子間力顕微鏡)による測定において、Y表面の平均面粗さ(Ra)の変動を0.32nm以上0.82nm以下の範囲で小さくすることが可能である。また、ロッキング半値幅も1.38度以上1.67度以下で変動が小さくなっているので、良好な結晶性を安定して維持することが可能である。
このZrOは、例えば、酸化雰囲気中の基板温度600℃〜1200℃の高温条件下で、金属Zrを蒸着することにより形成することができる。Si(111)基板を用いた場合の結晶成長面はZrO(111)となる。
実施形態1におけるZrOは、良好な結晶性および表面性を得るために、酸化ジルコニウム系層中の酸素を除く構成元素中におけるZrの比率は、好ましくは98mol%以上、さらに好ましくは99.5mol%以上である。また、現在の高純度化技術ではZrOとHfOとの分離は難しいので、ZrOの純度は、通常、Zr+Hfでの純度を指しているが、HfOは本発明における酸化ジルコニウム系層においてZrOと全く同様に機能するため、問題はない。安定化ジルコニアと呼ばれる、イットリウムなどの希土類を添加したものと比較すると、高純度ジルコニアの方が内部応力は高くなるが、結晶性および表面性が良好である。
クラッド層3は電気光学層4に光を閉じ込めるのに必要であり、電気光学層4より屈折率は小さくなければならない。本実施形態におけるクラッド層3はYのエピタキシャル膜である。酸化物でLiNbOよりも屈折率が小さいものは、Al、MgO、Y、SiO、La、Ga、など限られており、Yは下地のZrOとの格子定数のミスマッチが小さく良好な結晶性を得ることができる。
実施形態1におけるYは、厚さが500nm〜2000nmである。使用する光の波長や電気光学層4の厚みにもよるが、光を電気光学層に閉じ込めるには、Y膜厚は500nm以上が好ましい。また、結晶性や表面平坦性悪化を防ぐため、膜厚は2000nm以下が好ましい。また、電気光学層4の平均面粗さ(Ra)の変動を小さくするため、膜厚は800nm以上1600nm以下がより好ましい。
このYは、例えば、酸化雰囲気中の基板温度600℃〜1200℃の高温条件下で、金属イットリウム(Y)を蒸着することにより形成することができる。Si(111)基板を用いた場合の結晶成長面はY(111)となる。
には、特性改善のために添加物を導入してもよい。添加物を入れることにより、膜の抵抗率や誘電率や格子定数の制御が可能になる。例えば、AlおよびSiは、膜の抵抗率を向上させる効果がある。Mn、Fe、Co、Niなどの遷移金属元素は、膜中において不純物による準位(トラップ準位)を形成することができ、この準位を利用することにより導電性の制御が可能になる。
実施形態1における電気光学層4はイルメナイト型構造の誘電膜である。イルメナイト型構造の誘電膜は、好ましくはLiNbOである。同じイルメナイト構造のLiTaO3、または、LiNbOとLiTaOの固溶体、すなわちLiNb1−xTa(0<x<1)を使っても良い。また、少量の別の元素の添加物がLiまたはNbまたはTaに置き換わっても良い。LiをA、NbもしくはTaをBとしてを一般式ABOxの化学式で表したとき、A/Bイオンのモル比は0.9〜1.1であり、さらには0.95〜1.05であることが好ましい。
また、Xは3に限定されるものでなく、酸素欠陥、又は酸素過剰の状態でも良い。Xの値としては通常、2.8以上、3.2以下である。添加する元素の種類、量および価数によってXの値は変化し得る。AおよびBイオンの置き換え例としては、Aイオンには、K、Na、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Baなどが挙げられる。またBイオンには、Ti、Zr、Hf、V、Cr、Mo、W、Fe、Co、Ni、Znなどが挙げられる。またXの一部をこれら列挙された一種以上の元素にて置き換えることも可能である。
実施形態1における電気光学層4は、500nm〜2000nmである。光を閉じ込めるためにある程度の厚みが必要であるが、厚過ぎる場合は応力増加によるクラックなどの原因となる。成膜時の基板温度は400℃〜700℃で、Si(111)基板を用いた場合の結晶成長面はイルメナイト(001)のc軸配向となる。
電極6は図2に示したように上部にのみ配置した場合と、図3のように電極をSi基板1に接続した場合がある。後者の場合はSi基板1に低抵抗のものを用いて、基板自体を下部電極とすることができる。電気光学層4に電界αを印加することにより屈折率が変化し、電気光学素子として用いることができる。なお、図中の光が導波する部分11は、イオン拡散をしたり、リッジを形成したりして、横方向にも光を閉じ込める3次元光導波路を形成しても良い。
電極6の材質は金や白金など何を用いても構わない。もちろん密着性を良くするための層と組み合わせるなどして、多層の構造としても良い。また、厚みにも限定はない。
膜の配向がSi(111)/ZrO(111)/Y(111)/イルメナイト型(001)となっている場合は、電極の一つは光が導波する部分11の真上に配置する。c軸方向に電界10をかけるのが最も電気光学効果が大きくなるからである。
実施形態1における、バッファ層2とクラッド層3は真空蒸着法、電気光学層4はスパッタリング法によって作製されているが、成膜方法はレーザ堆積法、化学蒸着法(CVD)、ゾルゲル法など何を用いても構わない。また、酸化性ガスとしては、酸素、オゾン、原子状酸素、NO、ラジカル酸素等のいずれであってもよい。
(実施形態2)
図1に示される実施形態1の場合は、電極による光の伝播損失が生じてしまう。図4のようにバッファ層5を電気光学層4と電極6の間に挿入することで、光を電気光学層4に閉じ込め、伝播損失を少なくすることが出来る。バッファ層5に電気光学層4よりも屈折率の小さい材料、例えばシリカやアルミナなどを用いる。厚みは500nm〜5000nmである。バッファ層5が薄いと光の伝播損失が増え、バッファ層5が厚いと電気光学層にかかる電圧が少なくなってしまうため、適度な厚みに設定する必要がある。バッファ層5の成膜方法はスパッタリング法、レーザ堆積法、化学蒸着法(CVD)、ゾルゲル法など何を用いても構わない。
以下に、実際に電気光学素子を作製し、評価を行ったので、具体的に説明する。
(実施例1)
酸化物薄膜をエピタキシャル成長させる基板として、抵抗率が0.05ohm・cm以下で、基板表面が(111)面となる様に切断して鏡面研磨をしたSi単結晶基板を用いた。
真空チャンバー内に設置された加熱機構を備えるホルダーに、上記Si基板を固定し、チャンバー内を真空ポンプにて1×10−4〔Pa〕以下まで排気した後、酸素ガスを導入しながら、基板温度を600℃〜1200℃に加熱し、Si基板表面におおよそ5nmの自然酸化物を形成させた。
その後、基板温度を保持した状態で、酸素ガスを導入しながら、純度99.8%の金属Zrを基板面に向けて蒸発させることにより、Si基板上にバッファ層としてZrOのエピタキシャル下地膜15nmを形成した。
次いで、ZrOを成膜したチャンバー内で、基板温度、酸素ガスの導入を保持しながら、純度99.9%の金属Yを基板面に向けて蒸発させることにより、Yのエピタキシャル膜1200nmを形成した。
ここで、Y膜についてプリズムカプラ法で屈折率を測定したところ、波長632.8nmの場合で1.906であった。
このZrOとYのエピタキシャル膜が形成されたSi基板について、基板加熱装置を備えたスパッタリング装置にてLiNbOの成膜を行った。1×10−4〔Pa〕以下まで排気した真空チャンバーに、20%〜50%のOとArを混合させたスパッタガスを導入し、ガス圧力を0.1Pa〜1.0Paとし、基板温度は400℃〜700℃の条件で、1000nmの膜を形成した。
実施例1で用いたスパッタターゲットは、Li/Nbのモル比が1.0で作製されたLiNbOの焼結体である。成膜条件によって、膜中のLi/Nbのモル比は変化するが、モル比が0.9〜1.1程度ではおおむね良好な結晶性であった。
実施例1における成膜の構成は基板側から、Si(111)/ZrO(15nm)/Y(1200nm)/LiNbO(1000nm)となる。
LiNbO膜について、レーザ波長632.8nmにおける屈折率をプリズムカプラ法で測定したところ、TEモードで2.289、TMモードで2.205であった。この値は単結晶LiNbOの文献値に近い。
また、原子力間顕微鏡(AFM)にてLiNbO膜の表面を測定したところ、平均面粗さ(Ra)は6.6nmと良好な平坦性であった。
平均面粗さの測定はDigital Instruments社製のAFM:DIMENSION3100を使用した。プローブはBRUKER社製のUCHV−Aを用い、スキャンレート0.5Hzのタッピングモードで測定を行った。測定領域は10μm角である。
図6は実施例1の積層膜を、X線回折の2θ−θスキャンを行ったものである。図はすべてのピークが見えるように縦軸は対数表示としている。c軸配向となるLiNbO(006)およびLiNbO(0012)のピークが観察され、それ以外の配向のLiNbOのピークは見られない。また、図7aと図7bは、それぞれ、Y(222)とLiNbO(006)のピークに対して、ロッキングカーブを測定したものである。Y(222)の半値幅は0.65度、LiNbO(006)の半値幅は0.50度であり、結晶性は良好であった。
X線回折の測定はリガク社製のATX−Eで測定を行った。光学系はGe(220)のチャンネルカットモノクロメータを使い、入射側のGe単結晶の前後に0.2mmのスリットを一つずつ、検出器の前に1mmのスリットを挿入した。X線管電圧・電流は40kV・40mAとし、スキャンは0.02度ステップで、速度を毎分2度とした。
図8は、実施例1の、LiNbO(014)の極点12を示す図である。本来、三方晶のLiNbO単結晶は、この極点測定において3極を示すが、実施例1の場合では6極を示しており、双晶の状態にあることが分かる。c軸を中心に、180°回転させた結晶を対称的な状態で結合した双晶のエピタキシャル膜である。
上記の積層薄膜に関して、図9に模式する散乱検出法で光βの伝播損失を測定した。波長1550nmの半導体レーザ、ルチル(TiO)単結晶のプリズム7を用い、TEモードとTMモードの散乱光γの量変化をプローブ8の距離を変えて測定した(移動距離をZmmとする)。結果を図10に示す。横軸は基準点からの距離Z、縦軸は基準点からの散乱光γの量変化である。そのグラフの傾きから伝播損失を求めた。伝播損失はTEモードで1.1dB/cm、TMモードで0.9dB/cmであった。
さらに、図11に模式するプリズムカプラ法で、電界を印加した状態で屈折率を測定した。電界を印加するための上部電極はLiNbO3上にPt10nmを蒸着法により成膜し、下部電極は低抵抗Si基板を用いた。−10V〜+10Vの電圧を印加した際のTMモードでの屈折率の変化量を測定した。測定には波長1550nmの半導体レーザ、ルチル(TiO)単結晶のプリズム7を用いた。結果を図12に示す。横軸は、LiNbO3に印加されている電界E、縦軸は屈折率変化である。屈折率は印加した電圧(電界)に対して直線的に変化しており、電気光学係数rを下記に数式で示した、数1によって導出したところ、15pm/Vであった。ここで、nは、電界Eを印加する前の屈折率を示し、Δnは電界Eを印加した場合の屈折率変化を示す。電界はZrOとYにかかる電圧を考慮して、計算で求めたものを使用した。
Figure 0005464260
(実施例2)
実施例1のY膜厚を40nm〜2400nmと変えて、LiNbO膜のX線回折ロッキング半値幅と平均面粗さ(Ra)の測定を行った。結果は図13のようになった。グラフは、Yの膜厚を、40nm、100nm、400nm、800nm、1200nm、1600nm、2000nm、2400nmの点がプロットしてある。平均面粗さ(Ra)は、それぞれ、2.6nm、3.3nm、4.2nm、6.0nm、6.6nm、7.2nm、9.2nm、15・3nmであった。また、ロッキングの半値幅は、それぞれ、0.72度、0.56度、0.53度、0.51度、0.50度、0.53度、0.58度、0.92度であった。
平均面粗さ(Ra)はYの膜厚が増加するにつれて悪化するが、Yが100nm以上2000nm以下の場合は平均面粗さ(Ra)が、3.3nm以上、9.2nm以下で、ロッキングの半値幅(度)も0.50度以上、0.58度以下となり、表面性、結晶性ともに良好である。Yの膜厚が2000nmを超えると、ロッキングの半値幅が急激に大きくなるので、Yの膜厚の変動に応じたLiNbO膜の結晶性は変動を受けやすくなる。
また、Yの膜厚が100nm未満の場合もロッキングの半値幅が急激に大きくなるので、Yの膜厚の変動に応じたLiNbO膜の結晶性は変動を受けやすくなる。さらに、Yが800nm以上1600nm以下の場合は、Yの膜厚の変動に応じた平均面粗さ(Ra)が6.0nm以上、7.2nm以下の範囲で、平均面粗さ(Ra)の変動を低減することが可能となっている。従って、Yの膜厚が変動したとしても光学変調素子として利用する場合に入射光に対する出射光の出力比、すなわち、光の伝播損失の変動を低減することが可能と考えられる。
(比較例1)
実施例のクラッド層3をYに代えてアルミナ(Al)を試してみたが、Alはアモルファス層となった。温度や成膜速度などを変化させてもエピタキシャル成長させることはできなかった。電気光学層4のLiNbOも配向しなかった。
(比較例2)
実施例のバッファ層2のZrO省略した構成である。成膜の構成は基板側から、Si(111)/Y(1200nm)/LiNbO(1000nm)となる。X線回折による測定では、Y(222)のロッキング半値幅は2.6度、LiNbO(006)のロッキング半値幅は2.1度であった。また、原子力間顕微鏡による平均面粗さは18.3nm、プリズムカプラ法による屈折率の測定は、TEモードで2.276、TMモードで2.216であった。そして、プリズムカプラ法による電気光学係数(r33)は1pm/Vであった。また、実施例1と比較してTEモードとTMモードとの屈折率差が小さい結果となった。電気光学係数(r33)は、TEモードとTMモードとの屈折率の差が大きいほど大きな値になると考えられるので、TEモードとTMモードとの屈折率の差は電気光学係数(r33)の指標として有効である。
比較例2についても実施例2と同様にY膜厚を変化させたところ、図14のようになった。実施例と比べると平均面粗さ、ロッキング半値幅、共に悪い結果であった。平均面粗さが大きくなると、光の伝播損失が大きくなってしまう。
実施例および比較例をまとめると表1のようになる。本実施例は比較例と比べて結晶性および表面性が良好であり、唯一大きな電気光学係数を有していた。
Figure 0005464260
本発明は、光変調器、光ファイバジャイロ素子、光スイッチや電界センサなどのデバイスに応用が可能である。
1 単結晶Si基板
2 バッファ層
3 クラッド層
4 電気光学層
5 バッファ層
6 電極
7 プリズム
8 プローブ
9 検出器
11 光が導波する部分
12 極点

Claims (9)

  1. 単結晶Si基板と、前記基板上にエピタキシャル成長したZrOのバッファ層と、前記バッファ層上にエピタキシャル成長したYのクラッド層と、前記クラッド層上にエピタキシャル成長したイルメナイト型構造を持つ電気光学層を有することを特徴とする電気光学素子。
  2. 前記イルメナイト型構造を持つ電気光学層は、LiNbOであることを特徴とする請求項1に記載の電気光学素子。
  3. Si基板および積層膜の結晶配向性が、以下の方向に規定された条件を満たす積層構造を特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の電気光学素子。
    Si(111)/ZrO(111)/Y(111)/イルメナイト型(001)
  4. 前記ZrO膜厚が2nm〜75nmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電気光学素子。
  5. 前記Y膜厚が500nm〜2000nmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電気光学素子。
  6. 前記Y膜厚が800nm〜1600nmであることを特徴とする請求項5に記載の電気光学素子。
  7. 前記Si基板の表面にSi酸化物層が存在することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電気光学素子。
  8. 前記イルメナイト構造膜において、X線回折により測定された(006)反射のロッキングカーブの半値幅が0.58°以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電気光学素子。
  9. 前記イルメナイト構造膜において、前記電気光学層の表面の平均面粗さが9.2nm以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の電気光学素子。

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