JP5462737B2 - グラフェン膜が成長された基板およびそれを用いた電子・光集積回路装置 - Google Patents

グラフェン膜が成長された基板およびそれを用いた電子・光集積回路装置 Download PDF

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Description

本発明は、グラフェンを電子・光デバイスとして利用することに係り、特に、グラフェン膜が成長された基板およびそれを用いた電子・光集積回路装置に関するものである。
グラフェン(グラフェンシートとも言う)とは、ベンゼン環を2次元平面に敷き詰めた六員環シートのことであり、閉曲面を構成していないものを言う。グラフェンを筒状に丸めて閉曲面を構成したものがカーボンナノチューブであり、グラフェンを多数枚積層したものがグラファイトである。グラフェンの各炭素原子はsp2混成軌道を形成しており、シートの上下には非局在化した電子が存在している。
グラフェンの物性的な特徴として、(1)キャリア移動度が200,000 cm2/Vs程度とシリコン(Si)結晶よりも1桁以上高く、金属やカーボンナノチューブをも超える値を示す、(2)ナノデバイス特有の1/fノイズを大幅に低減できる、(3)負の屈折率を示す、(4)グラフェン上の電子はあたかも質量がゼロであるかのように振舞う、などが報告されている。これらの特徴からグラフェンは「ポストSi」の新素材として有望視されている。
グラフェンを用いて電子・光デバイスを実現するためには、グラフェンが表面に成膜された基板が必要である。グラフェンを基板表面上に形成する技術として、非特許文献1には、高配向グラファイト結晶から粘着テープを用いてグラフェン膜を剥ぎ取り、基板に擦り付ける(転写する)方法が報告されている。また、非特許文献2には、特注の超高真空装置を用いた化学気相成長法によって白金基板上にナノグラファイト層を成膜する方法が報告されている。非特許文献3では、シリコン(110)Si面基板上に(111)SiC面配向の立方晶炭化ケイ素(3C-SiC)の薄膜(厚さ80 nm)を成長させ、その3C-SiC薄膜を超高真空中で熱改質する方法が報告されている。
K. S. NOVOSELOV, A. K. GEIM, S. V. MOROZOV, D. JIANG, M. I. KATSNELSON, I. V. GRIGORIEVA, S. V. DUBONOS, and A. A. FIRSOV: "Two-dimensional gas of massless Dirac fermions in graphene", Nature 438, 197 (2005). Shiro ENTANI, Susumu IKEDA, Manabu KIGUCHI, Koichiro SAIKI, Genki YOSHIKAWA, Ikuyo NAKAI, Hiroshi KONDOH, and Toshiaki OHTA: "Growth of nanographite on Pt(111) and its edge state", Appl. Phys. Lett. 88, 153126 (2006). 宮本優,末松眞希,半田浩之,今野篤史:Si基板上3C-SiC薄膜の熱改質によるグラフェン・グラファイト形成,第69回応用物理学会学術講演会 講演予稿集(2008秋 中部大学),p. 808.
しかしながら、非特許文献1に記載の形成方法は、実験手法としては簡便と思われるが大面積化が困難で工業的に採用できる方法ではない。非特許文献2に記載の形成方法は、比較的低温(室温〜850 K)で成膜できる利点があるが、特殊な超高真空装置を用いており製造コスト的な問題がある。また、非特許文献3に記載の形成方法は、Si基板上に成膜できる点において優れた方法であるが、超高真空中での高温熱処理(約1350℃)を必要とすることから、基板材質の制約や製造コスト的なデメリットがある。
また、電子光デバイスにおいてグラフェン膜を回路導体として利用するためには、電気的導通が確保された連続的なグラフェン膜を成長する技術と、グラフェン膜による回路パターンを形成する技術との組み合わせ、もしくはデバイスを形成するための所望の箇所(例えば、回路パターン)に連続的なグラフェン膜を選択成長する技術が少なくとも必要である。
従って、本発明の目的は、上記の課題・要求に対応すべく、グラフェン膜を所望の位置に選択成長させた基板およびそれを用いた電子・光集積回路装置を提供することにある。
本発明の1つの態様は、上記目的を達成するため、次のような特徴を有する。
(1)本発明は、単層または複数層からなるグラフェン膜が成長された基板であって、
前記グラフェン膜に対向する前記基板の表面には酸化アルミニウム膜が存在し、前記酸化アルミニウム膜の組成がAl2-xO3+x(x ≧ 0)であり、前記グラフェン膜は前記酸化アルミニウム膜の表面に対して平行でかつ該表面上のみに成長しており、電圧端子間距離0.2 mmの条件で電気伝導率を測定した場合に前記グラフェン膜の電気伝導率が1×104 S/cm以上であることを特徴とするグラフェン膜が成長された基板を提供する。
なお、本発明で言う「複数層からなるグラフェン膜」とは、20層以下のグラフェンシートからなるグラフェン膜と定義する。これは、20層を超えると種々の物性(例えば、電子移動度)がバルクグラファイトとほとんど同じになり、グラフェンとしての特長が希薄となるためである。10層以下のグラフェン膜であることがより好ましい。また、本発明で言う「酸化アルミニウム膜の表面に対して平行」とは、マクロな視点(例えば、1μm以上のオーダー)で見た場合の表面に対して平行という意味である。言い換えると、ミクロな視点(1μm未満のオーダー、例えば、10 nmオーダー以下)での凹凸を平均化したと仮定した表面に対する平行を意味する。加えて、基板表面における原子レベルの微細な凹凸に起因する「平行からの揺らぎ」は許容するものとする。
また、本発明は、上記目的を達成するため、上記(1)の発明に係るグラフェン膜が成長された基板において、以下のような改良や変更を加えることができる。
(i)前記グラフェン膜は複数のグラフェンドメインから構成されており、前記グラフェンドメインの平均サイズが25 nm以上である。
(ii)前記酸化アルミニウム膜に隣接する前記グラフェン膜の原子層と前記グラフェン膜に隣接する前記酸化アルミニウム膜の原子層との層間距離が0.34 nm以下である。なお、本発明で言う「原子」は、その元素がイオンである場合を含むものとする。
(iii)前記酸化アルミニウム膜の算術平均表面粗さRaが1 nm以下である。なお、本発明で言う「算術平均表面粗さ」の「表面」とは、グラフェン膜を成長させる前の酸化アルミニウム膜の表面を意味し、グラフェン膜が成長された基板にあっては「グラフェン膜」と「酸化アルミニウム膜」との界面を意味するものとする。
(iv)前記酸化アルミニウム膜の表面最大高さRzが10 nm以下である。なお、本発明で言う「表面最大高さ」の「表面」とは、上記(iv)と同様に、グラフェン膜を成長させる前の酸化アルミニウム膜の表面を意味し、グラフェン膜が成長された基板にあっては「グラフェン膜」と「酸化アルミニウム膜」との界面を意味するものとする。
(v)前記酸化アルミニウム膜の平均膜厚が10 nm以上500 nm以下である。
(vi)前記基板は、酸化シリコン膜が表面に形成されたシリコン単結晶基板である。
(vii)前記酸化アルミニウム膜に回路パターンが形成されており、前記回路パターンの最小寸法が1μm未満である。
(viii)前記回路パターンが反応性イオンエッチングによって形成されている。
(ix)前記基板の面積が20 cm2以上である。なお、基板の面積とは、一方の主表面の面積を意味するものとする。
(x)上記のグラフェン膜が成長された基板を用いた電子・光集積回路装置である。
(xi)前記電子・光集積回路装置は前記グラフェンを電界効果トランジスタのチャネル、発光デバイス、受光デバイスおよび回路配線として利用している。
また、本発明の他の態様は、上記目的を達成するため、次のような特徴を有する。
(2)本発明は、単層または複数層からなるグラフェン膜が基板の表面に対して平行に成長された基板の製造方法であって、
前記基板として表面に酸化シリコン膜が形成されたシリコン単結晶基板を用い、前記グラフェン膜の下地となりAl2-xO3+x(x ≧ 0)の組成を有する酸化アルミニウム膜を前記基板の少なくとも一方の最表面に形成する「下地形成工程」と、前記酸化アルミニウム膜を所望の回路パターンに加工する「回路パターニング工程」と、炭素含有化合物を原料として化学気相成長法により前記グラフェン膜を前記回路パターン上のみに成膜する「グラフェン膜成膜工程」とを有することを特徴とするグラフェン膜が成長された基板の製造方法を提供する。
また、本発明は、上記目的を達成するため、上記(2)の発明に係るグラフェン膜が成長された基板の製造方法において、以下のような改良や変更を加えることができる。
(xii)前記「回路パターニング工程」が、CHF3ガスによる反応性イオンエッチングである。
(xiii)前記「グラフェン膜成膜工程」よりも前に、前記酸化アルミニウム膜の算術平均表面粗さRaが1 nm以下となるように加工する「表面平坦化工程」を更に有する。
(xiv)前記「グラフェン膜成膜工程」の化学気相成長法は、前記原料としてアセチレン、プロピレンまたはメタンを用い、非酸化雰囲気中750〜1000℃の温度で0.1〜10分間成長させる方法である。なお、非酸化雰囲気とは、酸化に対して不活性な雰囲気(例えば、真空や窒素、アルゴン等の酸素を実質的に含まない雰囲気)を意味するものとする。
本発明によれば、電気的導通が確保された連続的なグラフェン膜を基板上の所望の位置に選択成長させた基板を低コストで実現することができる。また、該グラフェン膜が成長された基板を用いた電子・光集積回路装置を提供することができる。
本発明の実施形態に係るグラフェン膜が成長された基板の製造手順例を示す断面模式図である。 成長したグラフェン膜の光透過スペクトルの1例を示すグラフである。 グラフェン膜が成長した基板の電気伝導の面内分布測定結果(100 nm角)の1例を示すマップである。 成長温度800℃における成長時間とグラフェン膜の平均層数との関係を示すグラフの1例である。 成長温度900℃における成長時間とグラフェン膜の平均層数との関係を示すグラフの1例である。 グラフェン膜の平均ドメインサイズと酸化アルミニウム膜の組成(Al2-xO3+x中のx)との関係を示したグラフである。 グラフェン膜の平均ドメインサイズと電気伝導率・電気抵抗率との関係を示すグラフである。 本発明に係る酸化アルミニウム膜とシリコン熱酸化膜の反応性イオンエッチングによるエッチング時間とエッチング深さとの関係の1例を示すグラフである。 本発明に係るグラフェン膜が成長された基板を用いた電子・光集積回路装置の1例を示す斜視模式図である。
以下、図を参照しながら本発明に係る実施の形態を製造手順に沿って説明する。ただし、本発明はここで取り上げた実施の形態に限定されることはなく、要旨を変更しない範囲で適宜改良や組み合わせを行ってもよい。なお、図面中で同義の部分には同一の符号を付して重複する説明を省略する。
図1は、本発明の実施形態に係るグラフェン膜が成長された基板の製造手順例を示す断面模式図である。まず、基板100として、酸化シリコン膜102(例えば、厚さ20〜300 nmの熱酸化膜)が表面に形成されたシリコン単結晶基板101(例えば、2インチ径、厚さ500〜600μm)を用意する。次に、スパッタ法やイオンビーム法、レーザ蒸発法等の気相成長の手法により基板100の表面(酸化シリコン膜102の表面)にコランダム構造の酸化アルミニウム膜103を形成する。これを「下地形成工程」と称す。
ここで、酸化アルミニウム膜103の形成にあたり、その組成がAl2-xO3+x(x ≧ 0)となるように制御することが望ましく、Al2-xO3+x(x > 0)となるように制御することがより望ましい。該組成制御は、例えば、気相成長中の酸素分圧を制御することによって可能である。化学量論組成以上の酸素リッチな組成を有する酸化アルミニウム膜103を形成することにより、平均サイズの大きいグラフェンドメインを成長させることができる(詳細は後述する)。
酸化アルミニウム膜103の算術平均表面粗さRaは1 nm以下であることが望ましい。より望ましくは0.3 nm以下である。算術平均表面粗さRaが1 nmより大きくなると、グラフェン膜が酸化アルミニウム膜103の表面に対して平行に成長しにくくなる。これは、グラフェン膜成長の核生成と算術平均表面粗さRaとの間に何かしらの相関関係があるためと考えられる。さらに、酸化アルミニウム膜103の表面最大高さRzは10 nm以下であることが望ましい。より望ましくは3 nm以下である。
形成した酸化アルミニウム膜103の算術平均表面粗さRaが1 nmより大きい場合は、研磨(例えば、化学機械研磨)等により1 nm以下となるように加工する。これを「表面平坦化工程」と言う。なお、酸化アルミニウム膜103を形成する前に、あらかじめシリコン単結晶基板101または酸化シリコン膜102の算術平均表面粗さRaを1 nm以下とするように加工することも「表面平坦化工程」に含まれるものとする。また、算術平均表面粗さRaおよび表面最大高さRzはJIS B 0601に準拠するものとする。
形成する酸化アルミニウム膜103の平均厚さとしては、10 nm以上500 nm以下が好ましい。多結晶体である酸化アルミニウム膜103の平均厚さが10 nm未満になると結晶粒同士の接点が減って面内方向の被覆率が低下する(例えば、酸化アルミニウム膜103が島状になる)ことから好ましくない(結果として表面平坦性が劣化する)。一方、500 nmより厚くなると後工程における熱歪み等に起因したクラック等が発生しやすくなり、結果として表面平坦性(例えば算術平均表面粗さRa)が劣化することから好ましくない。
酸化アルミニウム膜103を形成する方法に特段の制限はなく、結果として組成と平均膜厚とを所望の範囲に制御できれば気相成長法以外の手法でもよい。例えば、金属アルミニウム膜を基板100の表面上(酸化シリコン層102の表面上)に成膜した後、酸素プラズマ処理等により酸化アルミニウム膜103とする方法でも良い。なお、酸化アルミニウム膜103を成膜する基板100としては、上述の酸化シリコン膜102が表面に形成されたシリコン単結晶基板101に限定されるものではなく、後工程での熱履歴に対する耐熱性およびグラフェン膜が成長された基板の用途(例えば、電子・光集積回路装置)を考慮して適宜選択できる。例えば、表面に絶縁膜が形成された各種の半導体基板や各種の絶縁体基板などを用いることができる。
次に、従来の半導体プロセス技術と同様に、基板100に形成した酸化アルミニウム膜103を所望の回路パターンとなるように加工する。これを「回路パターニング工程」と称す。このとき、回路配線部となる部分104にのみ酸化アルミニウム膜103を残し、他の部分の酸化アルミニウム膜103を完全に除去する。また、酸化シリコン膜102は絶縁層として残しておいた方が好ましい。なお、「回路パターニング工程」の後に「表面平坦化工程」を行ってもよい。
パターニングの方法に特段の限定はなく、結果として所望の回路パターンが形成できればよい。例えば、フォトリソグラフィーとウエットエッチングとのプロセスを用いることにより回路パターニングができる。フォトリソグラフィーにより酸化アルミニウム膜103上にレジストマスクを形成し、レジストマスクで覆われていない部分の酸化アルミニウム膜103をバッファフッ酸溶液によりエッチング・除去して、回路配線部となる部分104(回路パターン)を形成する。フォトリソグラフィーとウエットエッチングを用いる方法は、回路パターンの最小寸法が1μm以上である場合には好適に利用できる。
ウエットエッチングは、その手法の性質上、1μm未満の寸法精度を確保することが困難である。そこで、回路パターンの最小寸法が1μm未満である場合には、例えば、フォトリソグラフィーとリフトオフとのプロセスにより回路パターニングができる。なお、本プロセスの場合は、酸化アルミニウム膜103を形成する前にフォトリソグラフィーによるパターニング(除去する部分にレジストマスクを形成する)が行われる。
上記のプロセスに加えて、フォトリソグラフィーとドライエッチングとのプロセスを用いることによっても回路パターニングができる。ここで、従来からの技術常識では、酸化アルミニウムは酸化シリコンよりも硬度が高く、酸化アルミニウムのドライエッチング速度は酸化シリコンのそれよりも遙かに小さいため、酸化シリコン膜102上の酸化アルミニウム膜103の回路パターンをドライエッチングで形成することは困難と予想された。しかしながら、本発明に係るグラフェン膜が成長された基板では、エッチングガスとしてCHF3ガスを用いた反応性イオンエッチングにより、回路パターン加工ができることが見出された(詳細は後述する)。これにより、従来の半導体プロセス技術と同様に高い寸法精度(少なくとも1μm未満、500 nm以下も十分可能)で回路パターニングすることができる。
次に、炭素含有化合物を原料として化学気相成長法(CVD: chemical vapor deposition)によりグラフェン膜105を回路配線部となる部分104(酸化アルミニウム膜103)上に成膜する「グラフェン膜成膜工程」を行う。これにより、回路配線部106が形成され、グラフェン膜が成長された基板200が製造される。成膜条件の1例としては、原料ガスとしてプロピレン、キャリアガスとしてアルゴンガスを用い、平均原料濃度0.15〜3 体積%の混合ガスを平均流速15〜50 cm/min(基板上の平均流速で標準状態換算)で供給し、成長温度450〜1000℃(好ましくは750〜1000℃)で0.1〜60分間(好ましくは0.1〜10分間)の成長を行う。なお、原料としてはプロピレン以外にもアセチレン、メタン、プロパン、エチレン等の他の炭素含有化合物を用いることができる。
〔成長したグラフェンの平均層数の測定〕
本発明において、成長したグラフェン膜を構成する平均層数は、成長したグラフェン膜の光透過率測定により求めた。グラフェン1層の光透過率Tは、下記式(1)のように物理定数(e:電子の電荷、c:光速、h bar:換算プランク定数)により与えられ、可視光から遠赤外領域では波長に依存せず一定の光透過率Tcに収束することが理論的に予想されている。
Figure 0005462737
また、非特許文献4において、グラフェン1層の光透過率は97.7%で収束すると報告されている。そこで、本発明においてもTc = 97.7%と仮定し、下記式(2)を用いて成長したグラフェン膜を構成する平均層数Lgを算出した。
R. R. Nair, P. Blake, A. N. Grigorenko, K. S. Novoselov, T. J. Booth, T. Stauber, N. M. R. Peres, and A. K. Geim: "Fine Structure Constant Defines Visual Transparency of Graphene", SCIENCE 320, 1308 (2008).
Figure 0005462737
酸化アルミニウム(α−アルミナ)単結晶基板上に、次の成長条件(原料ガス:プロピレン、キャリアガス:アルゴン、平均原料濃度:1.2 体積%、標準状態換算平均流速:41 cm/min、成長温度:800℃、成長時間:2.5分間)でグラフェン膜を成膜し、測定用試料を作製した。該測定用試料を用いて光透過率測定を行った結果を図2に示す。図2は、成長したグラフェン膜の光透過スペクトルの1例を示すグラフである。なお、グラフェン膜を成膜していない酸化アルミニウム単結晶基板を参照試料として光透過率測定を行い、グラフェン膜の測定結果を補正した。
図2に示したように、測定された光透過率は、短波長側(400 nm)からなだらかに増加し、長波長側(約2000 nm以上)で一定値Tcに収束していた。なお、1800〜1900 nmおよび2200 nm以上における揺らぎは、大気中の水分による影響と考えられた。得られたTcから前述の式(2)を用いて平均層数を求めたところLg = 0.7と算出された。
〔成長したグラフェンの基板表面との層間距離およびドメインサイズの測定〕
成長したグラフェンの基板表面との層間距離およびドメインサイズの測定には、走査型トンネル顕微鏡を用いた。測定用試料には、光透過率測定に用いた試料と同様に、酸化アルミニウム単結晶基板上に平均層数Lg < 1.0となるように成長させたグラフェン膜を利用した。これは、平均層数Lg < 1.0のグラフェン膜においては、基板上に単層のグラフェンが成長している部分とグラフェン自体が成長していない部分が混在するため、上記の測定が容易になるからである。
平均層数Lg < 1.0の測定用試料を用いて、単層のグラフェンと基板表面との距離(基板表面に隣接するグラフェン膜の原子層と基板表面の原子層との層間距離)を計測したところ、0.30〜0.34 nmと計測された。この値は複数層からなるグラフェン膜内の層間距離と略等しいことから、基板上に形成されたグラフェン膜は「付着」ではなく「成長」しており、かつ基板表面と平行に成長したことを強く示唆するものと言える。
一方、成長したグラフェンのドメインサイズの測定において、ドメインサイズが10 nmを超えると、通常の走査型トンネル顕微鏡像からドメインサイズを求めることが難しくなることが判った。そこで、本発明においては、走査型トンネル顕微鏡を用いてグラフェンが成長した基板の電気伝導の面内分布測定を行い、ドメインサイズを求めた。すなわち、単層のグラフェンが成長している部分とグラフェン自体が成長していない部分との電気伝導特性の差異を利用して、グラフェンのドメインサイズを測定した。
電気伝導の面内分布測定は、次のように行った。100 nm角の領域で100×100の測定点(1 nmピッチ)において、印加電圧2.5 Vで20 pA以上の電流が流れた計測点を「グラフェンが成長している部分」と判定し、印加電圧2.5 Vで20 pA未満の電流であった計測点を「グラフェンが成長していない部分」と判定した。なお、グラフェンの有無による電気伝導特性の測定を別途行い、単層のグラフェンが成長している部分では印加電圧2.5 Vで100 pA以上の電流が流れ、グラフェンが存在しない部分では電流がほとんど流れないこと(印加電圧2.5 Vで5 pA未満)を確認した。
図3は、グラフェン膜が成長した基板の電気伝導の面内分布測定結果(100 nm角)の1例を示すマップである。なお、図3において、測定した試料は平均層数が0.7のグラフェン膜を成膜した基板(酸化アルミニウム単結晶基板、原料ガス:プロピレン、キャリアガス:アルゴン、平均原料濃度:1.2 体積%、標準状態換算平均流速:41 cm/min、成長温度:800℃、成長時間:2.5分間)であり、「グラフェンが成長している部分」と判定した測定点を白ドットで表記し、「グラフェンが成長していない部分」と判定した測定点を黒ドットで表記した。
図3に示したように、黒ドットの帯がグラフェンドメインの外縁と考えられることから、黒ドットの帯同士の間隔をグラフェンのドメインサイズとして計測した(例えば、図中の両矢印)。グラフェンドメインの平均サイズは、グラフェン膜が成長した基板における異なる10箇所の100 nm角の領域において、各領域で3点ずつ、合計30点の測定値を平均することにより算出した。
〔グラフェン膜の成長における成長条件の影響〕
グラフェン膜の成長における成長条件の影響を調査した。基板としては酸化アルミニウム単結晶基板を用いた。はじめに、成長温度・成長時間とグラフェン膜の平均層数との関係を調査した。このとき、原料ガスであるプロピレンの流量を固定しキャリアガスであるアルゴンの流量を変化させて、平均原料濃度と標準状態換算平均流速が異なる2条件について調べた。
図4は、成長温度800℃における成長時間とグラフェン膜の平均層数との関係を示すグラフの1例であり、図5は、成長温度900℃における成長時間とグラフェン膜の平均層数との関係を示すグラフの1例である。図4、図5に示したように、成長したグラフェン膜の平均層数は、成長時間に比例し平均原料濃度に比例するという結果が得られた。この結果から解るように、主に成長時間を制御することによりグラフェン膜の平均層数を制御することができる。
次に、それぞれの成長温度で成長したグラフェン膜の平均層数が1.0未満となる試料を作製し、グラフェンの平均ドメインサイズを調査した。その結果、成長温度800℃の場合で平均ドメインサイズが約29 nm、成長温度900℃の場合で平均ドメインサイズが約31 nmであり、平均ドメインサイズに対する成長温度の影響はそれほど大きくない(平均ドメインサイズに影響する主要因ではない)と考えられた。
また、グラフェン膜の成長条件において成長時間だけを変化させて平均層数が0.5〜1.0のグラフェン膜を成長させた試料を作製し、各試料の平均ドメインサイズを比較したところ平均ドメインサイズの変化は10%程度以内であった。このことから、成長時間も平均ドメインサイズにあまり影響を与えない(平均ドメインサイズに影響する主要因ではない)と考えられた。
〔酸化アルミニウム膜の組成Al2-xO3+xとグラフェンドメインサイズとの関係〕
下地層となる酸化アルミニウム膜の組成Al2-xO3+xとグラフェンのドメインサイズとの関係について調査した。前述したように、スパッタ法やイオンビーム法、レーザ蒸発法等の気相成長法により酸化アルミニウム膜103を成膜するにあたり、成長雰囲気中の酸素分圧を制御することによって酸化アルミニウム膜103中の酸素量を制御することが可能である。そこで、一例としてスパッタ法により酸化アルミニウム膜を成膜するにあたり、スパッタ雰囲気中のアルゴンに対する酸素分圧を変化させて酸素含有量の異なる(アルミニウムサイトに酸素が置換した)酸化アルミニウム膜(Al2-xO3+x、膜厚150 nm)を基板上に形成した。基板としては、熱酸化膜付きシリコン単結晶基板(外径2インチ、基板厚さ525μm、熱酸化膜厚さ200 nm)を用いた。
XPS(X線光電子分光、株式会社島津製作所製)を用いて成膜した酸化アルミニウム膜(Al2-xO3+x)の組成を測定したところ、x = -0.3〜0.32と組成の異なる酸化アルミニウム膜であることを確認した。成膜した酸化アルミニウム膜(Al2-xO3+x)の算術平均表面粗さRaが1 nm以下であることを確認した後、該酸化アルミニウム膜(Al2-xO3+x)上に、平均層数が0.7のグラフェン膜を成膜した(原料ガス:プロピレン、キャリアガス:アルゴン、平均原料濃度:1.2 体積%、標準状態換算平均流速:41 cm/min、成長温度:800℃、成長時間:2.5分間)。成長したグラフェンの平均ドメインサイズは、前述の電気伝導の面内分布測定により計測した。
図6は、グラフェン膜の平均ドメインサイズと酸化アルミニウム膜の組成(Al2-xO3+x中のx)との関係を示したグラフである。図6に示したように、グラフェンの平均ドメインサイズは、Al2-xO3+x中のxと共に大きく変化し、x ≧ 0すなわち化学量論組成以上の酸素リッチな組成を有する酸化アルミニウム膜を下地膜とすることで成長するグラフェンの平均ドメインサイズを大きくできることが明らかになった。また、x > 0であることがより好ましいと言える。
〔グラフェン膜における平均ドメインサイズと電気伝導率との関係〕
グラフェンを電子光デバイスの回路導体として利用するためには、グラフェンドメイン間で電気的導通が確保されかつ良好な電気伝導性を有する連続的なグラフェン膜が形成されることが望ましい。そこで、成長したグラフェン膜の電気伝導率を調査した。
調査用試料の作製は、図1に示した手順に従って行った。熱酸化膜が表面に形成されたシリコン単結晶基板の表面上に、スパッタ法によりコランダム構造の酸化アルミニウム膜を形成した。このとき、スパッタ中の雰囲気酸素分圧を制御することにより、酸素含有量の異なる酸化アルミニウム膜(Al2-xO3+x)を形成した。それぞれの酸化アルミニウム膜の算術平均表面粗さRaが1 nm以下であることを確認した後、フォトリソグラフィーとリフトオフのプロセスにより、酸化アルミニウム膜のストリップライン(幅2μm、長さ1 mm)を複数形成し、他の部分の酸化アルミニウム膜を除去した基板を用意した。次に、各基板上に平均層数が約1.0となる条件でグラフェン膜を成膜して(原料ガス:プロピレン、キャリアガス:アルゴン、成長温度:800℃)、平均ドメインサイズが異なるグラフェン膜を成長させた。
グラフェン膜を成膜した各試料を走査型トンネル顕微鏡により観察したところ、何れの試料も、酸化アルミニウム膜のストリップライン上にのみグラフェン膜が成長し、酸化アルミニウム膜を除去した熱酸化膜上にはグラフェン膜が成長していなかった。言い換えると、グラフェン膜は酸化アルミニウム膜のストリップライン上に選択成長していることが確認された。この結果から、酸化アルミニウム膜上と熱酸化膜(酸化シリコン膜)上とでは、グラフェン膜の核生成機構や成長機構が異なることが示唆された。
次に、ストリップライン上のグラフェン膜の電気伝導率・電気抵抗率を四端子法により測定した。なお、該測定における電圧端子間距離は0.2 mmとした。図7は、グラフェン膜の平均ドメインサイズと電気伝導率・電気抵抗率との関係を示すグラフである。図7には、グラフの左側縦軸に電気伝導率、右側縦軸に電気抵抗率を表記した。図7に示したように、平均ドメインサイズの増大と共に電気伝導率が劇的に向上し、平均ドメインサイズが10 nm程度から30 nm程度に増大することにより、グラフェン膜の電気伝導率は約1桁向上して1×104 S/cm以上となった。また、1×104 S/cm以上の電気伝導率を得るためには、25 nm程度以上の平均ドメインサイズが好ましいと考えられた。この結果から、本発明に係るグラフェン膜が成長された基板は、グラフェンドメイン間で電気的導通が確保されかつ良好な電気伝導性を有する連続的なグラフェン膜が形成されていることが実証された。
〔本発明に係る酸化アルミニウム膜のドライエッチング速度〕
厚さ300 nmの酸化シリコン膜102(熱酸化膜)を有するシリコン単結晶基板101を用意し、該基板上にAl2-xO3+x(x > 0)で厚さ300 nmの酸化アルミニウム膜103をフォトリソグラフィーとリフトオフとのプロセスにより形成して、ドライエッチング速度の調査用試料を作製した。該試料に対して反応性イオンエッチング(エッチングガス:CHF3ガス、ガス圧力:1.0 Pa、エッチング電力:100 W)を行った。図8は、本発明に係る酸化アルミニウム膜とシリコン熱酸化膜の反応性イオンエッチングによるエッチング時間とエッチング深さとの関係の1例を示すグラフである。
図8に示したように、本発明に係る酸化アルミニウム膜とシリコン熱酸化膜は、それぞれエッチング時間に比例してエッチング深さが単調増加した。そして、それらの傾きから、本発明に係る酸化アルミニウム膜は、ドライエッチング速度が約45 nm/minもあり、シリコン熱酸化膜のドライエッチング速度(約5 nm/min)に対して約9倍の選択比を有していることが判明した。また、酸化アルミニウム膜103の組成がAl2-xO3+x(x = 0)の場合においても同様の結果であった。この十分に高いエッチング選択比により、高い寸法精度で回路パターニングすることが可能となる。
1例として、厚さ100 nmの酸化シリコン膜102(熱酸化膜)を有するシリコン単結晶基板101上にAl2-xO3+x(x > 0)の組成を有する酸化アルミニウム膜(厚さ30 nm)を形成し、該酸化アルミニウム膜に対して上記のエッチング条件(エッチングガス:CHF3ガス、ガス圧力:1.0 Pa、エッチング電力:100 W、エッチング時間:1分間)で反応性イオンエッチングによる回路パターニングを行った。その結果、平面視寸法で30 nm×100 nmの微細パターンを形成できることが実証された。なお、これらドライエッチングの選択比や回路パターニングの結果は、従来の技術常識からは予想できない驚きの結果であった。
上記のような結果が得られた詳細なメカニズムは現時点で未解明であるが、その要因の1つとして、本発明に係る酸化アルミニウム膜103が化学量論組成以上の酸素リッチな組成を有していることが考えられる。また、化学量論組成であるAl2-xO3+x(x = 0)の場合においても、本発明による酸化アルミニウム膜103の成膜方法が気相成長中の酸素分圧を制御する方法であることから、例え平均的な組成が化学量論組成であったとしても、局所的(微視的)に酸素リッチな組成領域と酸素プアな組成領域とが混在していると考えられ、酸素リッチな組成領域が高いドライエッチング速度に寄与したものと考えられる。
〔グラフェン膜が成長された基板を用いた電子・光集積回路装置〕
図9は、本発明に係るグラフェン膜が成長された基板を用いた電子・光集積回路装置の1例を示す斜視模式図である。本発明に係る電子・光集積回路装置300は、例えば前述したグラフェン膜が成長された基板200を用い、グラフェン膜が形成された回路配線部106の一部をそれぞれ電界効果トランジスタのグラフェンチャネル301やグラフェン発光素子のグラフェン受発光層302として利用したものである。電界効果トランジスタのグラフェンチャネル301には、ソース電極303、ドレイン電極304、ゲート絶縁膜306を介してゲート電極305が形成されている。
また、グラフェン受発光層302には、プラス電極307とマイナス電極308が形成されている。なお、グラフェン発光素子とは、バンドギャップを有するグラフェンに対して、一方の電極から電子を注入し、もう一方の電極からホールを注入することにより、直接遷移による発光を得る素子のことである。一方、グラフェン受光素子とは、バンドギャップを有するグラフェンに接続した2つの電極間に電圧を印加し、光照射によって生じた電子とホールを検出することにより光を検知する素子である。
以上示したように、本発明に係るグラフェン膜が成長された基板の製造方法は、超高真空プロセスや特殊な製造装置を用いないことから、製造装置のコストを低く抑えることができる。さらに、グラフェン膜の成長温度が比較的低温であることから、従来から電子デバイスに広く利用されている安価で大面積の基板を活用することができる。すなわち、製造の低コスト化に大きく貢献し工業化に適した発明と言える。また、本発明に係るグラフェン膜が成長された基板を用い、該グラフェン膜を利用した電界効果トランジスタ・発光/受光素子・配線を組み合わせることにより、次世代の電子・光集積回路装置を実現することが可能である。
100…基板、101…シリコン単結晶基板、102…酸化シリコン膜、
103…酸化アルミニウム膜、104…回路配線部となる部分、
105…グラフェン膜、106…回路配線部、200…グラフェン膜が成長された基板、
300…電子・光集積回路装置、301…グラフェンチャネル、302…グラフェン受発光層、
303…ソース電極、304…ドレイン電極、305…ゲート電極、306…ゲート絶縁膜、
307…プラス電極、308…マイナス電極。

Claims (16)

  1. 単層または複数層からなるグラフェン膜が成長された基板であって、
    前記基板の表面には酸化アルミニウム膜が存在し、前記酸化アルミニウム膜の組成がAl2-xO3+x(x 0)であり、
    前記グラフェン膜は前記酸化アルミニウム膜の表面に対して平行でかつ該表面上のみに成長しており、
    電圧端子間距離0.2 mmの条件で電気伝導率を測定した場合に前記グラフェン膜の電気伝導率が1×104 S/cm以上であることを特徴とするグラフェン膜が成長された基板。
  2. 請求項1に記載のグラフェン膜が成長された基板において、
    前記グラフェン膜は複数のグラフェンドメインから構成されており、前記グラフェンドメインの平均サイズが25 nm以上であることを特徴とするグラフェン膜が成長された基板。
  3. 請求項1または請求項2に記載のグラフェン膜が成長された基板において、
    前記酸化アルミニウム膜に隣接する前記グラフェン膜の原子層と前記グラフェン膜に隣接する前記酸化アルミニウム膜の原子層との層間距離が0.34 nm以下であることを特徴とするグラフェン膜が成長された基板。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のグラフェン膜が成長された基板において、
    前記酸化アルミニウム膜の算術平均表面粗さRaが1 nm以下であることを特徴とするグラフェン膜が成長された基板。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のグラフェン膜が成長された基板において、
    前記酸化アルミニウム膜の表面最大高さRzが10 nm以下であることを特徴とするグラフェン膜が成長された基板。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のグラフェン膜が成長された基板において、
    前記酸化アルミニウム膜の平均厚さが10 nm以上500 nm以下であることを特徴とするグラフェン膜が成長された基板。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のグラフェン膜が成長された基板において、
    前記基板は、酸化シリコン膜が表面に形成されたシリコン単結晶基板であることを特徴とするグラフェン膜が成長された基板。
  8. 請求項7に記載のグラフェン膜が成長された基板において、
    前記酸化アルミニウム膜に回路パターンが形成されており、前記回路パターンの最小寸法が1μm未満であることを特徴とするグラフェン膜が成長された基板。
  9. 請求項8に記載のグラフェン膜が成長された基板において、
    前記回路パターンが反応性イオンエッチングによって形成されていることを特徴とするグラフェン膜が成長された基板。
  10. 請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のグラフェン膜が成長された基板において、
    前記基板の面積が20 cm2以上であることを特徴とするグラフェン膜が成長された基板。
  11. 請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のグラフェン膜が成長された基板を用いたことを特徴とする電子・光集積回路装置。
  12. 請求項11に記載の電子・光集積回路装置において、
    前記グラフェンを電界効果トランジスタのチャネル、発光デバイス、受光デバイスおよび回路配線として利用したことを特徴とする電子・光集積回路装置。
  13. 単層または複数層からなるグラフェン膜が基板の表面に対して平行に成長された基板の製造方法であって、
    前記基板として表面に酸化シリコン膜が形成されたシリコン単結晶基板を用い、前記グラフェン膜の下地となりAl2-xO3+x(x 0)の組成を有する酸化アルミニウム膜を前記基板の少なくとも一方の最表面に形成する「下地形成工程」と、
    前記酸化アルミニウム膜を所望の回路パターンに加工する「回路パターニング工程」と、
    炭素含有化合物を原料として化学気相成長法により前記グラフェン膜を前記回路パターン上のみに成膜する「グラフェン膜成膜工程」とを有し、
    前記「下地形成工程」は、気相成長法によってなされ、成長中の酸素分圧が制御されていることを特徴とするグラフェン膜が成長された基板の製造方法。
  14. 請求項13に記載のグラフェン膜が成長された基板の製造方法において、
    前記「回路パターニング工程」が、CHF3ガスによる反応性イオンエッチングであることを特徴とするグラフェン膜が成長された基板の製造方法。
  15. 請求項13または請求項14に記載のグラフェン膜が成長された基板の製造方法において、
    前記「グラフェン膜成膜工程」よりも前に、前記酸化アルミニウム膜の算術平均表面粗さRaが1 nm以下となるように加工する「表面平坦化工程」を更に有することを特徴とするグラフェン膜が成長された基板の製造方法。
  16. 請求項13乃至請求項15のいずれかに記載のグラフェン膜が成長された基板の製造方法において、
    前記「グラフェン膜成膜工程」の化学気相成長法は、前記原料としてアセチレン、プロピレンまたはメタンを用い、非酸化雰囲気中750〜1000℃の温度で0.1〜10分間成長させる方法であることを特徴とするグラフェン膜が成長された基板の製造方法。
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