JP5461582B2 - 無細胞による化学物質の生産方法 - Google Patents

無細胞による化学物質の生産方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5461582B2
JP5461582B2 JP2011544040A JP2011544040A JP5461582B2 JP 5461582 B2 JP5461582 B2 JP 5461582B2 JP 2011544040 A JP2011544040 A JP 2011544040A JP 2011544040 A JP2011544040 A JP 2011544040A JP 5461582 B2 JP5461582 B2 JP 5461582B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pyruvate
enzyme
glucose
acid
butanol
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2011544040A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012513759A (ja
Inventor
コルターマン,アンドレ
ケトリング,ウルリヒ
シーバー,フォルカー
Original Assignee
ズュード−ヒェミー・アイピー・ゲーエムベーハー・ウント・コ.カーゲー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ズュード−ヒェミー・アイピー・ゲーエムベーハー・ウント・コ.カーゲー filed Critical ズュード−ヒェミー・アイピー・ゲーエムベーハー・ウント・コ.カーゲー
Publication of JP2012513759A publication Critical patent/JP2012513759A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5461582B2 publication Critical patent/JP5461582B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P7/00Preparation of oxygen-containing organic compounds
    • C12P7/02Preparation of oxygen-containing organic compounds containing a hydroxy group
    • C12P7/04Preparation of oxygen-containing organic compounds containing a hydroxy group acyclic
    • C12P7/06Ethanol, i.e. non-beverage
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P7/00Preparation of oxygen-containing organic compounds
    • C12P7/02Preparation of oxygen-containing organic compounds containing a hydroxy group
    • C12P7/04Preparation of oxygen-containing organic compounds containing a hydroxy group acyclic
    • C12P7/16Butanols
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E50/00Technologies for the production of fuel of non-fossil origin
    • Y02E50/10Biofuels, e.g. bio-diesel

Landscapes

  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Description

炭素源から化学物質を生産する酵素を用いた方法を説明する。具体的には、一形態によれば、無細胞酵素系による炭素源からの標的有機化合物の製造方法を開示する。
本発明は、酵素を用いた方法によって、好ましくは生産力のある生きた細胞の非存在下で、炭素源を標的有機化合物に生物学的に変換する方法を対象とし、ここでこのような炭素源は、好ましくは炭水化物またはその他の炭素を含む化合物である。標的有機化合物は、好ましくは、疎水性化学物質、親水性化学物質、または、その中間の化学物質である。
本発明に係る疎水性化学物質としては、これらに限定されないが、例えばn−ブタノール、2−ブタノール、および、イソブタノールのようなC4アルコール、ならびに水との混和性が限定的なそれ以外の化学物質が挙げられる。限定的な混和性とは、室温で相分離を起こさずに20%(w/w)以下で水と混合が可能なことを意味する。本発明に係る親水性化学物質および中間的な化学物質としては、これらに限定されないが、エタノールおよびそれ以外の化学物質が挙げられる。
n−ブタノールは、水との混和性が限定的な(室温で約7〜8%)中程度の揮発性を有する無色の中性の液体である。n−ブタノールは、化学物質生産における中間体として、溶媒として、および、例えば化粧品のような配合製品における成分として用いられる。n−ブタノールは、アクリル酸/メタクリル酸エステル、グリコールエーテル、酢酸n−ブチル、アミノ樹脂およびn−ブチルアミンの合成で用いられる。またn−ブタノールは、低い蒸気圧、高いエネルギー含量、および、高濃度でガソリンとブレンドできる可能性のために、燃焼機関における燃料としても使用することができる。
2−ブタノールは、水との混和性が限定的な(室温で約12%)中程度の揮発性を有する無色の中性の液体である。2−ブタノールは、塗料および塗装のための、加えて食品成分のための溶媒として、または、1−ブテン生産において用いられる。
イソブタノールは、水との混和性が限定的な(室温で約9〜10%)中程度の揮発性を有する無色の中性の液体である。イソブタノールは、溶媒として、または、可塑剤として用いられる。これはまた、MTBEまたはETBE生産の前駆体であるイソブテン生産でも用いられる。
n−ブタノールは、例えば、典型的にはn−ブタノール、アセトンおよびエタノールの混合物を生産するC.アセトブチリカム(acetobuylicum)、または、C.ベイジェリンキ(C.beijerinckii)のようなソルベントジェニック(solventogenic)クロストリジウム属を用いて生産することができる。溶媒生成性クロストリジウム属を用いたブタノール生産にはいくつかの欠点がある:(i)薄い水溶液から生成物を単離することは、手の込んだ方法(例えばメンブレンを用いた方法を使用)、または、エネルギーを消費する方法(例えば蒸留を使用)のいずれかであるため、極めて高コストである。(ii)基質のかなりの部分が、例えばアセトン、エタノール、水素およびバイオマスなどの副産物の形成に使われてしまうため、収量が低い。(iii)細胞のタイターが限られているため、ブタノールの生産性が低い。(iv)複雑な代謝のため、より高い生産性および収量のための代謝工学が限定される。(v)プロセス安定性が限られているため、生産量の損失が起こることが多く、さらに無菌状態を保つことが難しい。(vi)クロストリジウムの増殖には二相性があることから、方法の柔軟性および生産性が限定される。
典型的な発酵によるブタノール生産の限定を克服するいくつかのアプローチがある。例えばWO2008/052596は、収量を改善するためのクロストリジウム属の組換えによる改変を説明している。例えばWO2008/006038では、ブタノール耐性をより高くするための変異体の選択または処理が説明されている。
無細胞による化学物質生産は、1897年もの早い時期にEduard Buchnerがグルコースをエタノールに変換するために酵母細胞の溶解産物を用いた際に登場している。その後、WelchおよびScopesが、1985年にエタノールの無細胞生産を実証したが、この方法は技術的に有用ではなかった。この系は特異性に欠けており(酵素の副反応、溶解産物における不要な活性)、最大9%のエタノールしか得られなかった。
化学物質生産のために単離した酵素を使用した技術的な方法が多数説明されている。例えばアルコール脱水素酵素は、ケトンからのキラルアルコールの生産で用いられる。このような方法は補因子(NAD)の再生を必要とするが、これは、例えばグルコースおよびグルコース脱水素酵素を添加することによって達成できる。このような方法は、価値の高い化学物質を生産するように設計されており、炭水化物を高いエネルギーおよび炭素利用率を有する化学物質に変換する複数の酵素反応を含む酵素系を提供するようには設計されていなかった。
Zhang等(2008)は、無細胞の酵素によるグルコースからn−ブタノールへの変換に関する概念を説明している。この概念は、少なくとも18種の酵素、数種の異なる補因子および補酵素(例えば、ATP、ADP、NADH、NAD、フェレドキシンおよびコエンザイムA)を含む。加えてこの想定上の方法は、ATPの正味の生産を引き起こし、ATPアーゼ酵素を添加してATPを除去する必要が生じる。実用的な期間、バランスの取れたATPレベルを維持しながらATPアーゼ添加をコントロールすることは、極めて難しい。まとめると、説明されている方法は、高コストであり、技術的に不安定であると予想され、さらに低いブタノール収量しか得られないと予想される。
WO2008/052596 WO2008/006038
まとめると、再生可能な資源からの、具体的にはエタノール、および、C4アルコール、例えばn−ブタノールならびにその異性体からの、費用効率が高い化学物質生産方法への必要性がある。
一形態によれば、本発明は、限られた種類の酵素と限られた補因子群とだけを用いた無細胞の酵素系によって、この必要性を解決するものである。具体的に言えば、好ましい形態によれば、本発明の方法は、正味のATP生産が生じない、および/または、リン酸化酵素反応を使用しない、および/または、生産された化学物質の存在下での不活性化に耐える酵素だけを使用する。
本発明のコンセプトの好ましい実施態様に従った可能な実施を示す。
定義
疎水性化学物質とは、水にほとんど溶解せず、周囲大気圧および温度で固体または液体状態で存在する化学物質である。疎水性化学物質が水と相分離を起こさず混和される濃度は限られており、20%(w/w)以下である。本発明に係る疎水性化学物質の具体的な例としては、n−ブタノール、2−ブタノール、および、イソブタノールが挙げられる。
炭素源は、増殖または化学物質生産のために微生物が利用することができるあらゆる材料が可能である。このような材料としては、炭水化物および誘導体:ポリオース(polyose)、例えばセルロース、ヘミセルロース、スターチ;ビオース、例えばスクロース、マルトース、ラクトース;ヘキソース、例えばグルコース、マンノース、ガラクトース;ペントース、例えばキシロース、アラビノース;ウロン酸、グルコサミンなど;ポリオール、例えばソルビトール、グリセロール;脂質および誘導体、リグニンおよび誘導体が挙げられる。特に好ましい炭素源は、グルコース、グルコースを含むオリゴマーもしくはポリマー、グルコースではない単量体ヘキソース、または、高分子糖誘導体、またはそれらの混合物である。
発明の詳細な説明
本発明は、炭素源からの、具体的には、疎水性化学物質、例えばn−ブタノール、イソブタノールまたは2−ブタノールなどのC4アルコールからの、および、親水性および中間的な化学物質、例えばエタノールからの、バイオテクノロジーによる化学物質生産のための無細胞方法を対象とする。
好ましい形態によれば、本発明は、炭素源からの無細胞酵素系による標的有機化合物の製造方法を開示し、特許請求するものであり、本方法は、グルコースの中間生成物としてのピルビン酸への変換を含み、正味のATP生産は生じない。好ましくは、グルコースの中間生成物としてのピルビン酸への変換において、正味のATP生産は生じない。より好ましくは、炭素源の標的有機化合物への全体的な変換において、正味のATP生産は生じない。
好ましい形態によれば、炭素源の化合物は、グルコース、グルコースを含むオリゴマーもしくはポリマー、グルコースではない単量体ヘキソース、または、高分子糖誘導体である。
さらなる好ましい形態によれば、標的有機化合物は、エタノール、4個の炭素を有するモノアルコール、具体的にはn−ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、または、好ましくは酵素系経路によってピルビン酸から誘導されるそれ以外の有機化合物である。
本発明の好ましい実施態様によれば、グルコースの中間生成物としてのピルビン酸への変換は、補因子としてATPおよび/またはADPなしでも十分に作動する。より好ましくは、炭素源の標的有機化合物への全体的な変換(反応経路)は、補因子としてATPおよび/またはADPなしでも十分に作動する。
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、本明細書においてさらに説明されるように、本製造方法は、2つに分離した相を含む液体系中で行われ、標的有機化合物は、主として分離した相の一方に存在しているか、または、分離した相の一方を形成しており、標的有機化合物はその分離した相から回収される。
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、本明細書においてさらに説明されるように、2つに分離した相を形成するために、有機溶媒が添加される。
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、本明細書においてさらに説明されるように、炭素源の化合物はプロセスに連続的に供給され、標的有機化合物は連続的に取り出される。
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、本明細書においてさらに説明されるように、酵素系は、好ましくは、以下のグルコースからピルビン酸に変換するための酵素または酵素活性を含む:
・グルコース脱水素酵素(EC1.1.1.47)、
・グルコノラクトナーゼ(EC3.1.1.17)、
・グルコン酸デヒドラターゼ(EC4.2.1.39)、
・2−ケト−3−デオキシグルコン酸アルドラーゼ(EC4.1.2.14)、
・アルデヒド脱水素酵素(EC1.2.1.3)、
・グリセリン酸脱水素酵素(EC1.1.1.29)、または、ヒドロキシピルビン酸還元酵素(EC1.1.1.81)、
・セリン−ピルビン酸トランスアミナーゼ(EC2.6.1.51)、
・L−セリンアンモニア−リアーゼ(EC4.3.1.17)、および、
・アラニン脱水素酵素(EC1.4.1.1)。
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、本明細書においてさらに説明されるように、酵素系は、好ましくは、以下のグルコースからピルビン酸に変換するための酵素または酵素活性を含む:
・グルコース脱水素酵素(EC1.1.1.47)、
・グルコノラクトナーゼ(EC3.1.1.17)、
・グルコン酸デヒドラターゼ(EC4.2.1.39)
・2−ケト−3−デオキシグルコン酸アルドラーゼ(EC4.1.2.14)
・アルデヒド脱水素酵素(EC1.2.1.3)、および、
・グリセリン酸デヒドラターゼ(EC4.2.1.)。
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、本明細書においてさらに説明されるように、エタノールは、11、10、9、8、7種またはそれ未満の酵素を含む酵素系によってグルコースから生産される。
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、本明細書においてさらに説明されるように、n−ブタノールは、17、16、15種またはそれ未満の酵素を含む酵素系によってグルコースから生産される。
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、本明細書においてさらに説明されるように、イソブタノールは、14、13種またはそれ未満の酵素を含む酵素系によって生産される。
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、本明細書においてさらに説明されるように、2−ブタノールは、13種またはそれ未満の酵素を含む酵素系によって生産される。
好ましい一つの形態によれば、本発明の製造方法は、以下の4つの工程を含む:
I.炭素源を化学物質(本明細書においては「標的化学物質」または「標的有機化合物」とも称される)に変換するための酵素(「標的酵素」)を微生物細胞を用いて生産する工程;
II.工程Iで用いられる微生物細胞から、標的酵素を放出させる工程(ここで好ましくは、補因子の放出、および、非標的酵素の余分な活性の不活性化も共に行う);
III.工程IIの標的酵素を、炭素源を標的化学物質に変換するのに適した条件下で炭素源と接触させる工程;
IV.標的化学物質を反応混合物から分離する工程。
図1はさらに、好ましい実施態様に係る本発明の概念の可能性のある実施を説明する。
工程I
工程Iにおいて、標的酵素は、微生物細胞を用いて生産される。
本発明の一実施態様において、酵素生産は、全体の生産経路やその主要な部分が1種の微生物では再構築されないように、2種またはそれより多くの異なる微生物細胞系で行われる。それにより、不必要な基質の化学物質の変換の開始は回避され、より効率的な酵素生産が得られる。酵素生産は、細胞内でもまたは細胞外でもよいし、組換えでもまたは非組換えでもよい。酵素生産が組換えによる場合、組換えは、相同組換えでもよいし、また、非相同組換えでもよい。
本発明のさらなる実施態様において、標的酵素は、1種の基質および1種の反応に関して選択的である。好ましくは、標的酵素は、その他のあらゆる自然に存在する物質と比較して少なくとも10倍の基質選択性(kcat/kM)、および、少なくとも90%の反応選択性を有する。より好ましくは、標的酵素は、少なくとも20倍の基質選択性、および、少なくとも95%の反応選択性を有する。さらにより好ましくは、標的酵素は、少なくとも100倍の基質選択性、および、少なくとも99%の反応選択性を有する。
本発明のさらなる実施態様において、標的酵素は、基質、または、多段階反応の生成物またはそれ以外の中間体によって阻害されないか、わずかな阻害しか示さない(フィードバック阻害がないか、または、低い)。好ましくは、多段階反応のあらゆる基質、生成物または中間体に関する阻害定数(K)は、酵素および基質それぞれに関するK値よりも少なくとも10倍高い。より好ましくは、このような阻害定数は、それぞれのKよりも100倍高い。さらなる特に好ましい実施態様において、多段階反応のあらゆる基質、中間体または生成物の濃度が100mMまたはそれより高くて、標的酵素はそれでもなおそれらの最大活性の50%を有する。
標的酵素は、好ましくは、酵素経路の多段階の状態にあわせて調節されたkcatおよびK値を有する。
本発明の方法の一実施態様によれば、標的酵素は、高レベルの標的化学物質に対する耐性を有し、任意に、標的化学物質の分離を促進するために分離した相に任意に添加される可能性があるその他の有機溶媒に対する耐性を有していてもよい。標的酵素は、好ましくは2質量%より高い、より好ましくは6質量%より高い、最も好ましくは12質量%より高い標的化学物質濃度に対する耐性を有する。特に好ましい実施態様において、標的酵素は、水に溶解する最大濃度までの標的化学物質濃度に対する耐性を有する。
本発明の好ましい実施態様において、標的酵素は、高レベルのカオトロピック物質に対する耐性、および、高温に対する耐性を有する。標的酵素は、好ましくは1Mより高い、より好ましくは、3Mより高い、最も好ましくは6Mより高い塩化グアニジニウムの濃度に対する耐性を有する。その代わりに、または、それと組み合わせて、標的酵素は、好ましくは50℃より高い、より好ましくは70℃より高い、最も好ましくは90℃より高い温度に対する耐性を有する。このような好ましい実施態様において、標的酵素生産は、高レベルのカオトロピック物質の存在下で、および/または、高温で、内因性の酵素活性の大部分が不活性化されている宿主生物中でなされる。好ましくは、標的酵素生産は、以下の微生物種を用いてなされる:エシェリキア・コリ(Escherichia coli);シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescence);バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis);サッカロミセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae);ピチア・パストリス(Pichia pastoris);ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha);クルイベロマイセス・ラクティス(Klyuveromyces lactis);トリコデルマ・リーゼイ(trichoderma reesei);アスぺルギルス・ニガー(Aspergillus niger)。より好ましくは、標的酵素生産は、宿主生物としてエシェリキア・コリ(Escherichia coli)を用いてなされる。
本発明のさらに好ましい実施態様において、標的酵素は、高レベルの酸素に対する耐性を有する。好ましくは、標的酵素は、1ppmより高い酸素濃度、より好ましくは7ppmより高い酸素濃度に対する耐性を有する。最も好ましくは、標的酵素は、好気条件下で活性であり、かつ安定である。好ましくは、多段階反応は酸素を必要とせず、酸素によって阻害されない。そのために酸素除去のための特殊な予防措置を取り入れる必要はなく、生産環境および/または器具に関してより少ない努力で本方法をより安定にすることができる。
好ましくは、酵素生産と細胞増殖とは、分離した相に分けられる。それによって、全体の代謝活性のために基質は使用されない。
工程II
工程IIにおいて、標的酵素を細胞から放出させる。
好ましい実施態様において、標的酵素は、高温およびカオトロピック条件に対する耐性を有するが、それに対して生産中の微生物から生じるバックグラウンドの酵素は、これらの条件に対する耐性を有していない。この実施態様によれば、標的酵素は微生物細胞の細胞内に生産され、これらの細胞は、高温および/またはカオトロピック条件を用いて溶解され、それによって任意に補因子と共に活性型の標的酵素が放出され、同時に、不要なバックグラウンドの酵素活性は不活性化される。
その他の好ましい実施態様において、酵素生産は細胞外であり、標的酵素は、高温およびカオトロピック条件に対する耐性を有するが、バックグラウンドの酵素活性(非標的酵素)はこれらの条件に対する耐性を有さない。この実施態様によれば、細胞外生産によって生じた上清は、例えば高温および/またはカオトロピック条件のような条件下で処理される。それにより不要なバックグラウンドの酵素活性(非標的酵素)の不活性化が起こるが、同時に、標的酵素は活性を維持する。
本発明の一実施態様において、1種またはそれより多くの複数の酵素による変換工程には補因子が必要である。本発明の一形態において、このような補因子は、酵素混合物に添加される。この実施態様のその他の特に好ましい形態において、このような補因子はまた微生物細胞によって細胞内に生産され、標的酵素を放出させるのと同じ処理によって放出される。その他の本発明の好ましい実施態様において、微生物細胞は、生産された補因子のレベルを最適化するために加工される。
好ましくは、微生物細胞は、工程IIの間に不活性化される。それによりプロセスにおいて細胞増殖と酵素活性とは分離されるので、望ましくない細胞増殖によって炭素源が消費されることはない。
工程III
工程IIIにおいて、炭素源は、多段階の酵素反応において酵素混合物によって標的化学物質に変換される。
本発明の方法によれば、酵素は、標的化学物質の変性作用がある条件下で活性である。好ましくは、工程Iで用いられる微生物細胞は、工程IIIの反応条件下で不活性であるか、および/または、不活性化される。
好ましくは、標的酵素混合物中の各酵素の濃度は、処理条件下で最適なレベルに調節される。特に好ましい実施態様において、本方法の収量を改善するために、1種またはそれより多くの酵素の濃度を典型的な細胞内濃度よりも高くする(典型的な方法と同様に、微生物の最大密度による限定はない)。その他の特に好ましい実施態様において、1種またはそれより多くの酵素は、最大の触媒効率が得られるように加工される(それにより、典型的な方法と比較して、反応装置のサイズおよび運転費を低くすることができる)。
さらに好ましい実施態様において、標的化学物質は、工程IIIにおいて、処理条件下で一つの相中で水と混合することができる最大レベルよりもやや高い濃度で反応混合物に加えられる。この実施態様によれば、標的化学物質は、処理中に連続的に第二の相に分離する。この実施態様の具体的な形態において、水溶性物質を反応混合物に添加すると、添加された物質が存在しない場合の濃度よりも低い濃度で標的化学物質の相分離が生じる。このような物質の例は塩であり、これらは当業者によく知られている。この実施態様の特に好ましい形態において、水相における標的化学物質の溶解性を低くするために、塩化ナトリウムが添加される。
その他の好ましい実施態様において、本方法に、それ自身が相を形成する有機溶媒を追加で添加して、水相から生成した疎水性化学物質を抽出する。このような追加の溶媒の好ましい例としては、n−ヘキサン、シクロヘキサン、オクタノール、酢酸エチル、メチルブチルケトン、または、それらの組み合わせが挙げられる。
その他の好ましい実施態様において、望ましい反応に特異的な標的酵素を用いることにより副産物の形成が減少するので、収量が改善される。その他の好ましい実施態様において、副反応を触媒すると予想される宿主の酵素は工程II中に不活性化されるか、および/または、反応条件下で不活性である。
さらにその他の本発明の好ましい実施態様において、本方法の微生物による汚染は、工程IIIにおける反応条件を典型的な微生物(汚染物質)にとって毒性に調節することによって回避される。このような条件は、高温、極端なpH、有機化合物の添加を含む。特に本発明の好ましい実施態様において、標的化学物質それ自身が、本方法中に到達する濃度において毒性である(生産環境および/または器具に対する尽力がより少ない、より安定な方法)。
本発明のその他の好ましい実施態様によれば、反応混合物に追加の補因子は添加されない(ただし、工程Iで用いられる微生物によって生産され、工程IIで生産された細胞溶解産物中に含まれる補因子を除く)。このような補因子の例は、NAD/NADH、NADP/NADPH、ATP/ADPである。この実施態様によれば、必要な補因子は工程Iで微生物細胞によって生産され、本方法中に再生する(NADHからNADへ、逆もまた同様;NADPHからNADPに、逆もまた同様、ADPからATPに、逆もまた同様)。本発明の一実施態様において、余分な還元等価体(NADH、NADPH)またはエネルギー等価体(ATP)は、追加の酵素(NADHの場合はNADHオキシダーゼ;NADPHの場合はNADPHオキシダーゼ;ATPの場合はATPアーゼ)によって再生される。
特に本発明の好ましい実施態様において、少なくとも多段階反応工程の実質的な部分において、補因子としてATPまたはADPが含まれない。多段階反応経路の実質的な部分は、好ましくは少なくとも20%の酵素活性を含み、より好ましくは少なくとも50%の酵素活性を含む。最も好ましくは、標的酵素混合物(工程Iで生産された酵素混合物)の酵素活性は、リン酸化工程を含まない(非リン酸化反応経路)。特に本発明の好ましい実施態様において、このような反応経路は、グルコースからピルビン酸への変換を含み、この変換に関与する標的酵素は、リン酸化工程を含まない(非リン酸化ピルビン酸生産)。
工程IV
工程IVにおいて、1種またはそれより多くの標的化学物質が、反応混合物から分離される。
本発明の好ましい実施態様において、1種またはそれより多くの標的化学物質は疎水性であり、好ましくは、生産された化学物質を少なくとも実質的な割合で含む分離した相が形成される。特に好ましい実施態様において、1種またはそれより多くの標的化学物質は、反応混合物から連続的に取り出される。
本発明のさらに好ましい実施態様において、炭素源は、標的化学物質に変換される反応混合物に連続的に供給される。同様に、標的化学物質は、好ましくは分離した相として連続的に取り出され、当業界公知の方法でさらに精製される。それによって生成物の単離は、生成物が分離した相中で回収されるために簡易化され、それをさらに精製することができる。それによって、収量は改善され、生成物の精製は簡易化される。
説明されている無細胞の酵素を用いた方法(Zhang et al.,2008,Welch and Scopes 1985)の主要な問題は、ATPの蓄積である。説明されている方法において、これは、ATPアーゼの添加によって回避される。しかしながら、基質や様々な中間体の濃度、加えて酵素活性に依存するので、ATPアーゼの適正な濃度を見出すことは難しい。ATPアーゼが多すぎても、または、ATPアーゼが少なすぎても、変換が完全に止まる(Welch and Scopes,1985)。それに対して、特に好ましい形態によれば、本発明の無細胞方法は、正味のATP生産を生じさせず、さらにATPアーゼを用いることなく、グルコースおよびそのポリマーのような炭素源を、エタノール、ブタノールおよび/またはイソブタノールのような標的化学物質に変換する。
さらに好ましい実施態様において、本発明の方法は、補因子としてADPまたはATPを必要としない。その他の方法(Welch and Scopes,1985;Algar and Scopes,1985)は、ADP/ATP、および、NAD+/NADHのような補因子を必要とする。提唱されているグルコースからブタノールへの変換(Zhang et al,2008)は、補因子のADP/ATP、NAD+/NADH、フェレドキシンとコエンザイムAとを必要とする。
本明細書で用いられる用語「酵素」は、用語「酵素活性」も包含しており、同じ意味で用いることができる。
以下で、n−ブタノール、イソブタノール、エタノール、および、2−ブタノールの生産に関するいくつかの好ましい実施態様を説明する。
n−ブタノールの生産
本発明の一実施態様において、標的化学物質はn−ブタノールであり、n−ブタノールを生成する標的酵素混合物は、19種未満の異なる酵素活性を含む。標的酵素混合物は、好ましくは17種またはそれ未満の異なる酵素活性、より好ましくは、16種またはそれ未満の酵素活性、さらにより好ましくは、15種またはそれ未満の酵素活性、最も好ましくは12種のみの異なる酵素活性を含む。酵素の生産は、本方法における主なコスト要因であるため、これは、その他の方法を超える主要な利点を与える。
特に好ましい実施態様を介して生産されるにおいて、n−ブタノールは、グルコースから中間体のピルビン酸およびアセチルCoAを介して生産される。グルコースからのn−ブタノールの生産は、任意にさらに以下の3つの工程:(A)1分子のグルコースの2分子のピルビン酸への変換、(B)2分子のピルビン酸の2分子のアセチルCoAへの変換、(C)2分子のアセチルCoAの1分子のn−ブタノールへの変換、に細分化することができる。
工程(A):グルコースのピルビン酸への変換
この工程は、全てではないがほとんどの生物において、異なる代謝経路(例えば、エムデン−マイエルホーフ−パルナス経路、エントナー−ドウドロフ経路)が存在したとしても、ほとんどの場合において共通である。工程(A)の具体的な形態は、表1(酵素の組み合わせA.1)で列挙したように10種の酵素活性を含む、エムデン−マイエルホーフ−パルナス経路からの酵素を使用している。この酵素の組み合わせによって触媒される反応経路はリン酸化酵素を含み、それにより正味のATP生産が生じる(グルコース1分子あたり2分子のATPが生成する)。
Figure 0005461582
工程(A)のその他の具体的な形態は、エントナー−ドウドロフ経路の酵素活性を使用する。本発明の好ましい実施態様によれば、工程(A)において、古細菌から知られている非リン酸化エントナー−ドウドロフ経路からの酵素が用いられる。これは、表2(酵素の組み合わせA.2)で列挙した8種の酵素活性を含む。この酵素の組み合わせはリン酸化酵素を含むため、補因子としてATPおよび/またはADPを必要とするが、グルコースのピルビン酸への変換により、正味のATP生産は生じない。
Figure 0005461582
工程(A)のその他の特に好ましい形態は、正味のATP生産が生じないだけでなく、補因子としてATPまたはADPも必要としない酵素の組み合わせを使用する。それぞれの酵素の組み合わせは、表3(酵素の組み合わせA.3)で列挙したように9種の異なる酵素活性を含む。
Figure 0005461582
さらに工程(A)の特に好ましい形態も、正味のATP生産が生じないだけでなく、補因子としてATPまたはADPも必要としないその他の酵素の組み合わせを使用する。それぞれの酵素の組み合わせは、表4(酵素の組み合わせA.4)で列挙したように5種の異なる酵素活性を含む。
Figure 0005461582
工程(B):ピルビン酸のアセチルCoAへの変換
ピルビン酸のアセチルCoAへの変換のための様々な選択肢が存在する。
本発明の一実施態様において、以下の酵素のうち1種またはそれより多くが変換に用いられる:(i)補因子としてフェレドキシンを用いたピルビン酸オキシド還元酵素;(ii)補因子としてNAD(P)Hを用いたピルビン酸脱水素酵素;(iii)ピルビン酸ギ酸リアーゼ;(iv)ピルビン酸脱水素酵素複合体。
好ましい実施態様において、ピルビン酸脱水素酵素は、この変換のための、補因子としてNADHを利用する酵素として用いられる(表5で列挙した通り)。
Figure 0005461582
ピルビン酸脱水素酵素は通常、3種の酵素活性からなる複数の酵素の複合体(ピルビン酸脱水素酵素複合体、PDC)の一部であり、約100万Da(1 Mio Da)の分子量を有する。無細胞反応系で適用するためには、小さく強健な錯体化されていない酵素を含むことが有利である。ミドリムシ(Euglena gracilis)由来のピルビン酸脱水素酵素が酵素混合物B.1で用いることができることが見出された。この酵素は単独であり複合体を含まない。さらにこの酵素は、より適切な補因子であるNADPHに匹敵する補因子としてNADHを使用する(より多くの量で利用可能であり、再生がより簡単である)。
あるいは、ピルビン酸ギ酸リアーゼは、補因子としてNADHを用いるギ酸脱水素酵素と組み合わせることができる。
工程(C):アセチルCoAのn−ブタノールへの変換
アセチルCoAをn−ブタノールに変換するための様々な選択肢が存在するが、これは、数種の微生物がこの経路を介してn−ブタノールを生産するためである(例えば、C.アセトブチリカム(C.acetobutylicum)、C.ベイジェリンキ)。
工程(C)の好ましい形態において、この変換には表6で列挙したような酵素が用いられる。酵素(源の生物)に応じて様々な補因子が用いられる。
Figure 0005461582
その他の好ましい形態において、中間体ブチリルCoAからブタノールへの反応経路は、酪酸を含まないが、リン酸ブチリルを含む。ただし列挙した経路および酵素に限定されない。また、当業界でよく知られている代替の酵素および経路も使用できる。
上述したような全ての反応工程が組み合わされる場合(酵素の組み合わせA.1、A.2、A.3またはA.4;それに加えて、酵素の組み合わせB.1およびC.1)1分子のグルコースの、2分子のCO、1分子の水、および、1分子のn−ブタノールへの正味の変換が成される。このような酵素の組み合わせによって、正味の還元等価体の生産は起こらない(4分子のHが放出され、その後再利用される)。グルコースからピルビン酸への経路に従って、ADPおよびリン酸から、ATPは生成しないか(A.2、A.3またはA.4)、または、2分子以下のATPが生成される(A.1)。
特に本発明の好ましい実施態様において、酵素の組み合わせA.4、B.1およびC.1が組み合わされる。この標的酵素混合物は、12種の異なる酵素活性しか含まず、補因子としてADP/ATPを必要とせず、その結果として正味のATP生産は生じない。
本発明の特に好ましいその他の実施態様において、酵素の組み合わせA.3、B.1およびC.1が組み合わされる。この標的酵素混合物は16種の異なる酵素活性を含み、補因子としてADP/ATPを必要とせず、その結果として正味のATP生産は生じない。
本発明の好ましいその他の実施態様において、酵素の組み合わせA.2、B.1およびC.1が組み合わされる。この標的酵素混合物は、15種の異なる酵素活性を含み、補因子としてADP/ATPを必要とするが、それにより正味のATP生産は生じない。
イソブタノールの生産
本発明のその他の実施態様において、標的化学物質は、イソブタノールである。
特に好ましい実施態様において、イソブタノールは、グルコースから中間体のピルビン酸を介して生産される。グルコースからのイソブタノールの生産は、任意に、さらに二段階:(A)1分子のグルコースの2分子のピルビン酸への変換;および、(D)2分子のピルビン酸の1分子のイソブタノールへの変換、に細分化することができる。
工程(A):グルコースのピルビン酸への変換
この工程はn−ブタノールの生産における工程(A)と同じである(上記参照)。
工程(D):ピルビン酸のイソブタノールへの変換
本発明の好ましい実施態様において、表7で列挙したような酵素活性は、イソブタノールの無細胞生産のための工程(D)で用いられる。
Figure 0005461582
上述したような全ての反応が組み合わされる場合(酵素の組み合わせA.1、A.2、A.3またはA.4;それに加えて、酵素の組み合わせD.1)、1分子のグルコースの、2分子のCO、1分子の水、および、1分子のイソブタノールへの正味の変換が達成される。この酵素の組み合わせにより、正味の還元等価体の生産は起こらない(2分子のピルビン酸が形成されると4分子のHが形成され、その後イソブタノールの形成で消費される)。グルコースからピルビン酸への経路に従って、ADPおよびリン酸から、ATPは生成しないか(A.2、A.3またはA.4)、または、2分子以下のATPが生成される(A.1)。
特に本発明の好ましい実施態様において、酵素の組み合わせA.4およびD.1が組み合わされる。この標的酵素混合物は、10種の異なる酵素活性しか含まず、補因子としてADP/ATPを必要とせず、その結果として正味のATP生産は生じない。
本発明の特に好ましいその他の実施態様において、酵素の組み合わせA.3およびD.1が組み合わされる。この標的酵素混合物は14種の異なる酵素活性を含み、補因子としてADP/ATPを必要とせず、その結果として正味のATP生産は生じない。
本発明の好ましいその他の実施態様において、酵素の組み合わせA.2およびD.1が組み合わされる。この標的酵素混合物は13種の異なる酵素活性を含み、補因子としてADP/ATPを必要とするが、それにより正味のATP生産は生じない。
エタノールの生産
本発明のその他の実施態様において、標的化学物質は、エタノールである。エタノールはどのような比率でも完全に水に溶解し、分離した有機相の形成による簡単な精製ができない。それにもかかわらず、無細胞生産のための本発明の方法は、再生可能な炭素源からエタノールを生産するコスト効率の高い方法を提供する。
特に好ましい実施態様において、エタノールは、グルコースから中間体のピルビン酸を介して生産される。グルコースからのエタノールの生産は、任意に、さらに二段階:(A)1分子のグルコースの2分子のピルビン酸への変換;および、(E)2分子のピルビン酸の2分子のエタノールへの変換、に細分化することができる。
工程(A):グルコースのピルビン酸への変換
この工程は、n−ブタノールの生産における工程(A)と同じである(上記参照)。
工程(E):ピルビン酸のエタノールへの変換
本発明の好ましい実施態様において、表8で列挙したような酵素活性は、ピルビン酸のエタノールへの変換に用いられる。
Figure 0005461582
上述したような全ての反応が組み合わされる場合(酵素の組み合わせA.1、A.2、A.3またはA.4;それに加えて、酵素の組み合わせE.1)、1分子のグルコースの、2分子のCO、および、2分子のエタノールへの正味の変換が達成される。この酵素の組み合わせにより、正味の還元等価体の生産は起こらない。グルコースからピルビン酸への経路に従って、ADPおよびリン酸から、ATPは生成しないか(A.2、A.3またはA.4)、または、2分子以下のATPが生成される(A.1)。
特に本発明の好ましい実施態様において、酵素の組み合わせA.4およびE.1が組み合わされる。この標的酵素混合物は、7種の異なる酵素活性しか含まず、補因子としてADP/ATPを必要とせず、その結果として正味のATP生産は生じない。
本発明の特に好ましいその他の実施態様において、酵素の組み合わせA.3およびE.1が組み合わされる。この標的酵素混合物は11種の異なる酵素活性を含み、補因子としてADP/ATPを必要せず、それにより、正味のATP生産は生じない。
本発明の好ましいその他の実施態様において、酵素の組み合わせA.2およびE.1が組み合わされる。この標的酵素混合物は10種の異なる酵素活性を含み、補因子としてADP/ATPを必要とするが、それにより、正味のATP生産は生じない。
2−ブタノールの生産
本発明のその他の実施態様において、標的化学物質は、2−ブタノールである。
特に好ましい実施態様において、2−ブタノールは、グルコースから中間体のピルビン酸を介して生産される。グルコースからの2−ブタノールの生産は、任意にさらに二段階:(A)1分子のグルコースの2分子のピルビン酸への変換;および、(F)2分子のピルビン酸の1分子の2−ブタノールへの変換、に細分化することができる。
工程(A):グルコースのピルビン酸への変換
この工程は、n−ブタノールの生産における工程(A)と同じである(上記参照)。
工程(F):ピルビン酸の2−ブタノールへの変換
本発明の好ましい実施態様において、表9で列挙したような酵素活性は、2−ブタノールの無細胞生産のための工程(F)で用いられる。好ましい実施態様において、基質としてアセトイン、加えて2−ブタノンを使用するアルコール脱水素酵素が用いられる。
Figure 0005461582
上述したような全ての反応が組み合わされる場合(酵素の組み合わせA.1、A.2、A.3またはA.4;それに加えて、酵素の組み合わせF.1)、1分子のグルコースの、2分子のCO、1分子の水、および、1分子の2−ブタノールへの正味の変換が達成される。この酵素の組み合わせにより、正味の還元等価体の生産は起こらない(2分子のピルビン酸が形成されると4分子のHが形成され、その後2−ブタノールの形成で消費される)。グルコースからピルビン酸への経路に従って、ADPおよびリン酸から、ATPは生成しないか(A.2、A.3またはA.4)、または、2分子以下のATPが生成される(A.1)。
特に本発明の好ましい実施態様において、酵素の組み合わせA.4およびF.1が組み合わされる。この標的酵素混合物は9種の異なる酵素しか含まず、補因子としてADP/ATPを必要とせず、その結果として正味のATP生産は生じない。
本発明の特に好ましいその他の実施態様において、酵素の組み合わせA.3およびF.1が組み合わされる。この標的酵素混合物は14種の異なる酵素活性を含み、補因子としてADP/ATPを必要とせず、その結果として正味のATP生産は生じない。
本発明の好ましいその他の実施態様において、酵素の組み合わせA.2およびF.1が組み合わされる。この標的酵素混合物は13種の異なる酵素活性を含み、補因子としてADP/ATPを必要とするが、それにより、正味のATP生産は生じない。
グルコース以外のその他の基質
上述したエタノール、n−ブタノール、イソブタノール、2−ブタノールまたはその他の化学物質を生産するための本発明の経路は、基質としてのグルコースの使用に限定されない。本方法に適用されるグルコース脱水素酵素の選択性に応じて、例えばその他のC糖も基質として用いることができる。加えてスターチは、アミラーゼ/グルコアミラーゼ活性の組み合わせと共に、基質として用いることができる。セルロース系材料は、エンドセルラーゼ(endocellulase)/エキソセルラーゼ(exocellulase)/グルコシダーゼ活性と共に、基質として用いることができる。またラクトース、スクロースおよびその他のオリゴマーまたは高分子糖誘導体も、それに対応する、これらを単体のヘキソースに変換する酵素と共に用いることができる。
本発明の一実施態様に関して、リグノセルロース系材料は、合計で10種の酵素(酵素の組み合わせA.4およびE.1、エンドセルラーゼ(endocellulase)、エキソセルラーゼ(exocellulase)、ベータ−グルコシダーゼ)だけを用いてエタノールに変換される。
以下の実施例で、本発明をさらに定義する。当然のことながら、これらの実施例は、単に例証として示されただけであり、本発明の範囲を限定するものではない。上記の考察およびこれらの実施例に関して、当業者であれば本発明の本質的な特徴を確認することができ、それらの本質および範囲から逸脱することなく、本発明の様々な変更および改変を施して、それらを様々な用途および条件に適合させることができる。
実施例1:C.サッカロブチリカム(C.saccharobutylicum)、S.セレビジエおよびZ.モビリス(Z.mobilis)の細胞溶解産物からの酵素混合物を用いたグルコースのn−ブタノールへの変換
S.セレビジエを12%グルコースを含むYPD培地で30℃で嫌気的に増殖させる。エタノールの形成は、1時間ごとのサンプリングとガスクロマトグラフィーでの解析によってモニターする。エタノール生成が最大の相で細胞を回収し、4倍量の反応緩衝液(20mMのリン酸カリウム、pH6.5;5mMのメルカプトエタノール、10mMのNaCl、10mMのMgSO、500μMのZnSO、500μMのCoCl、200μMのMnCl)で懸濁する。続いて細胞をフレンチプレスで破壊することによって溶解させ、細胞上清を遠心分離で精製し、ろ過滅菌して全ての残存した細胞を除去する。
Z.モビリス(ATCC10998)を12%グルコースを含むLB培地で35℃で増殖させる。エタノールの形成は、1時間ごとのサンプリングとガスクロマトグラフィーでの解析によってモニターする。エタノール生成が最大の相で細胞を回収し、4倍量の反応緩衝液(20mMのリン酸カリウム、pH6.5;5mMのメルカプトエタノール、10mMのNaCl、10mMのMgSO、500μMのZnSO、500μMのCoCl、200μMのMnCl)で懸濁する。続いて細胞をフレンチプレスで破壊することによって溶解させ、細胞上清を遠心分離で精製し、ろ過滅菌して全ての残存した細胞を除去する。
クロストリジウム・サッカロブチリカムDSMZ13864を、6%のグルコース濃度を有するTYA培地(6g/lのトリプトンペプトン、2g/lの酵母抽出物、3g/lのNHCHCOO、0.3g/lのMgSO、0.5g/lのKHPO、1mg/lのリザズリン、10mg/lのMnSO、1mg/lのp−アミノ安息香酸、1mg/lのチアミンクロリド塩酸塩、0.2mg/lのビオチン)で35℃で増殖させる。ブタノールが形成されたら、2時間毎にサンプリングし、GCで解析する。40時間後、細胞は、溶媒生産相(solvent producing phase)中に存在する。細胞を回収し、溶解させ、溶解産物をろ過滅菌する。
C.サッカロブチリカムからの1ミリリットルの細胞溶解産物を、S.セレビジエまたはZ.モビリスからの等量の溶解産物と共に、または、それらを含まないで、100mMのグルコースとインキュベートする。全ての反応において、ピルビン酸脱炭酸酵素の阻害剤として作用する10mMのケトマロン酸(71740,フルカ(Fluka))を添加する。嫌気性条件化で30℃で2時間インキュベートした後、全ての反応において生産されたn−ブタノールを定量する。
実施例2:単離した酵素およびC.サッカロブチリカムの細胞溶解産物からの酵素を用いたグルコースのn−ブタノールへの変換
実施例1からのC.サッカロブチリカムの細胞溶解産物を以下の酵素とインキュベートする:ヘキソキナーゼ(20μ/ml)、ホスホヘキソイソメラーゼ(15μ/ml)、ホスホフルクトキナーゼ(4μ/ml)、アルドラーゼ(16μ/ml)、ホスホトリオースイソメラーゼ(300μ/ml)、グリセリンアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素(60μ/ml)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(120μ/ml)、ホスホグリセリン酸ムターゼ(60μ/ml)、エノラーゼ(11μ/ml)、ピルビン酸キナーゼ(15μ/ml)、ピルビン酸脱水素酵素(20μ/ml)、リン酸トランスアセチラーゼ(15μ/ml)(全ての酵素はシグマ(Sigma)から得た;以下の表を参照;ホスホグリセリン酸ムターゼのみ、USB(26111マイルズロード,オハイオ州クリーブランド)から得たものであり(製品番号26118 100UG)、これは、組換えによってE.コリで発現されたヒト酵素である)。20mMのリン酸カリウム(pH6.5);5mMのメルカプトエタノール、10mMのNaCl、10mMのMgSO、500μMのZnSO、500μMのCoCl、200μMのMnCl、4mMのATP、1mMのADP、1mMのNADH、1mMのNAD、1mMのコエンザイムA、および、200mMのグルコース中で嫌気性条件下で30℃でインキュベートする。用いる全ての試薬は、標準的な方法によって脱酸素する。10分後、ATPアーゼ(0.5μ/ml)を添加して、初期でのATP形成を回避する。3時間後、生産されたn−ブタノールを定量する。
Figure 0005461582
実施例3:単離した酵素を用いたグルコースのn−ブタノールへの変換
酵素チオラーゼ(EC2.3.1.16、クロストリジウム・アセトブチリカム、NCBI遺伝子番号:NP_349476.1)、3−ヒドロキシブチリル−CoA脱水素酵素(EC1.1.1.157、NP_349314.1)、クロトナーゼ(EC4.2.1.55、クロストリジウム・アセトブチリカム、NP_349318.1)、ブチリル−CoA脱水素酵素(EC1.3.99.2、クロストリジウム・アセトブチリカム、NCBI遺伝子番号:NP_349317.1)、アルデヒド脱水素酵素をアシル化するコエンザイムA(EC1.2.1.57、クロストリジウム・ベイジェリンキ、NCBI遺伝子番号:AF132754_1)、NADH依存性ブタノール脱水素酵素B(BDH II)(EC1.1.1.−、クロストリジウム・アセトブチリカム、NCBI遺伝子番号:NP_349891.1)、および、電子移動フラビンタンパク質(etfAおよびB、クロストリジウム・アセトブチリカム、NCBI遺伝子番号:NP_349315.1、および、NP_349316.1)を合成し、説明されているようにして組換えによってE.コリ(E.coli)中で発現させる。5mlの反応溶液(20mMのリン酸カリウム、pH6.5;5mMのメルカプトエタノール、10mMのNaCl、10mMのMgSO、500μMのZnSO、500μMのCoCl、200μMのMnCl、4mMのATP、1mMのADP、1mMのNADH、1mMのNAD、1mMのコエンザイムA)中で全ての酵素を合わせる(各1mg)。上記の表9(グルコースのアセチルCoAへの変換)で列挙した等しい体積の酵素混合物を添加する:ヘキソキナーゼ(200μ/ml)、ホスホヘキソイソメラーゼ(150μ/ml)、ホスホフルクトキナーゼ(40μ/ml)、アルドラーゼ(160μ/ml)、ホスホトリオースイソメラーゼ(3000μ/ml)、グリセリンアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素(600μ/ml)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(1200μ/ml)、ホスホグリセリン酸ムターゼ(600μ/ml)、エノラーゼ(110μ/ml)、ピルビン酸キナーゼ(150μ/ml)、ピルビン酸脱水素酵素(200μ/ml)、リン酸トランスアセチラーゼ(150μ/ml)、ATPアーゼ(4,5μ/ml)を、500mMのグルコースを含む20mMのリン酸カリウム緩衝液(pH6.5)中で合わせる。この反応液を30℃で嫌気性条件下で撹拌する。3時間後、生産されたn−ブタノールを定量する。
あるいは、この反応をグルコースを120mg/時間の速度で連続的に添加しながら行う(反応開始後2時間から、手動で30分のインターバルで60mgを添加する)。合計反応時間が20時間に達したら、生産されたn−ブタノールを定量する。
実施例4:単離した酵素およびT.マリティマからの細胞溶解産物を用いたグルコースのイソブタノールへの変換
T.マリティマを80℃で5%グルコースで増殖させる。グルコースが全て消費される前に、細胞を回収し、4倍量の反応緩衝液(20mMのリン酸カリウム、pH6.5;5mMのメルカプトエタノール、10mMのNaCl、10mMのMgSO、500μMのZnSO、500μMのCoCl、200μMのMnCl)に再懸濁し、フレンチプレスで破壊することによって溶解させる。細胞上清を遠心分離で精製し、ろ過滅菌する。バリン生合成に関する遺伝子ilvICD(アセト乳酸合成酵素、EC:2.2.1.6、NCBI遺伝子番号:NP_228358.1;ケトール酸レダクトイソメラーゼ、EC.1.1.1.86、NCBI遺伝子番号:NP_228360.1、および、ジヒドロキシ酸デヒドラターゼ、EC:4.2.1.9、NCBI遺伝子番号:NP_228361.1)を、サーモトガ・マリティマ(Thermotoga maritime)からクローニングし、標準的な方法で組換えによってE.コリで発現させる。ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)(EC4.1.1.−、NCBI遺伝子番号:CAG34226.1)由来のα−ケトイソ吉草酸脱炭酸酵素をクローニングし、標準的な方法で組換えによってE.コリで発現させる。S.セレビジエ由来のアルコール脱水素酵素(EC:1.1.1.1)はシグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich)(A3263)から購入する。
全ての酵素を、5mlの反応溶液(20mMのリン酸カリウム、pH6.5;5mMのメルカプトエタノール、10mMのNaCl、10mMのMgSO、500μMのZnSO、500μMのCoCl、200μMのMnCl、4mMのATP、1mMのADP、1mMのNADH、1mMのNAD)中で100μ/mlの濃度で合わせる。
等しい体積のT.マリティマからの細胞溶解産物を添加し、合わせたサンプルを250mMのグルコースと共に50℃でインキュベートする。1時間後、生産されたイソブタノールを定量する。
実施例5:単離した酵素を用いたグルコースのエタノールへの変換
以下の酵素に関する遺伝子:グルコース脱水素酵素(EC1.1.1.47、S.ソルファタリカス(S.solfataricus)、NCBI遺伝子番号:NP_344316.1)、グルコノラクトナーゼ(EC3.1.1.17、ピクロフィルス・トリダス(Picrophilus torridus)、NCBI遺伝子番号:YP_023685.1)、グルコン酸デヒドラターゼ(EC4.2.1.39、スルフォロブス・ソルファタリカス、NCBI遺伝子番号:NP_344505、突然変異株I9L)、2−ケト−3−デオキシグルコン酸アルドラーゼ(EC4.1.2.14、スルフォロブス・ソルファタリカス(Sulflobus solfataricus)、NCBI遺伝子番号:NP_344504.1)、アルデヒド脱水素酵素(EC1.2.1.3、フラボバクテリウム・フリギディマリス(Flavobacterium frigidimaris)、NCBI遺伝子番号:BAB96577.1)、グリセリン酸キナーゼ(EC2.7.1.−、スルフォロブス・ソルファタリカス、NCBI遺伝子番号:NP_342180.1)、エノラーゼ(EC4.2.1.11、スルフォロブス・ソルファタリカス、NCBI遺伝子番号:NP_342405.1)、および、ピルビン酸キナーゼ(EC2.7.1.40、スルフォロブス・ソルファタリカス、NCBI遺伝子番号:NP_342465.1)を合成し、クローニングのためにNdeIおよびBamHIを用いて標準的な方法で発現ベクターpET3bにクローニングする。細胞増殖、タンパク質発現および部分的な精製は、Lamble等(2003)によって説明されている通りに行なうが、それに加えて、全ての緩衝液に5mMのメルカプトエタノールを供給し、加熱沈殿の一般的な温度として80℃を用いる(アルデヒド脱水素酵素の場合、60℃を用いる)。タンパク質生産は通常、5〜50mg/lであった。S.セレビジエ由来のピルビン酸脱炭酸酵素およびアルデヒド脱水素酵素は、シグマ−アルドリッチ(製品番号29163および82884)から得る。
全ての酵素を、250mMのグルコースを含む5mlの反応溶液(20mMのリン酸カリウム、pH6.5;5mMのメルカプトエタノール、10mMのNaCl、10mMのMgSO、500μMのZnSO、500μMのCoCl、200μMのMnCl、4mMのATP、1mMのADP、1mMのNADH、1mMのNAD)中で合わせ(それぞれ1mgの組換え生産された酵素、および、2μの購入した酵素)、47℃でインキュベートする。この溶液に、熱による不活性化を補うために30分毎に2種の酵母の酵素を添加する。6時間後、生産されたエタノールを定量する。10種の酵素を用いただけで、グルコースからエタノールが生産される。加えて正味のATPは生じない。
実施例6:単離した酵素を用いたグルコースのエタノールへの変換
正味のATP生産またはその他のあらゆる補因子なしで、グルコースからエタノールまたは化学物質および燃料を生産することは有利ではあるが、本方法から補因子としてのATPまたはADPが完全に除去されることがより有益である。それゆえに、実施例5で説明した酵素群、ただしグリセリン酸キナーゼ(EC2.7.1.−)、エノラーゼ(EC4.2.1.11)、および、ピルビン酸キナーゼ(EC2.7.1.40)を除く、を用いる。グリセリン酸脱水素酵素(別名ヒドロキシピルビン酸還元酵素(EC1.1.1.29/1.1.1.81))、セリン−ピルビン酸トランスアミナーゼ(EC2.6.1.51)、L−セリンアンモニア−リアーゼ(EC4.3.1.17)、および、アラニン脱水素酵素(EC1.4.1.1)を用いて、グリセリン酸のピルビン酸への変換が達成される。以下の酵素に関する遺伝子:グリセリン酸脱水素酵素/ヒドロキシピルビン酸還元酵素(EC1.1.1.29/1.1.1.81、ピクロフィルス・トリダス、NCBI遺伝子番号:YP_023894.1)、セリン−ピルビン酸トランスアミナーゼ(EC2.6.1.51、スルフォロブス・ソルファタリカス、NCBI遺伝子番号:NP_343929.1)、L−セリンアンモニア−リアーゼ(EC4.3.1.17、サーマス・サーモフィルス、YP_144295.1、および、YP_144005.1)、および、アラニン脱水素酵素(EC1.4.1.1、サーマス・サーモフィルス、NCBI遺伝子番号:YP_005739.1)を合成し(E.コリにおける生産に最適化したコドン)、NdeIおよびBamHIを用いて発現ベクター pET3bにクローニングする。タンパク質発現はE.コリで行なう。
全ての酵素を、250mMのグルコースを含む5mlの反応溶液(20mMのリン酸カリウム、10mMの硫酸アンモニウム、pH6.5;5mMのメルカプトエタノール、10mMのNaCl、10mMのMgSO、500μMのZnSO、500μMのCoCl、200μMのMnCl、1mMのNADH、1mMのNAD、1mMのセリン、1mMのアラニン)中で合わせ(それぞれ1mgの組換え生産された酵素、および、2μの購入した酵素)、47℃でインキュベートする。この溶液に、熱による不活性化を補うために30分毎に2種の酵母の酵素を再度添加する。インキュベート6時間後に生産されたエタノールを定量する。リン酸化を行わず、および、補因子としてATPまたはADPを必要とすることなく、グルコースからエタノールが生産される。
実施例7:単離した酵素を用いたグルコースのエタノールへの変換
グリセリン酸からのピルビン酸の形成は、エタノールまたはその他のピルビン酸誘導体の生産における重要な工程である。S.ソルファタリカス由来のジヒドロキシ酸デヒドラターゼ(EC4.2.1.9)は、異なる基質を受け入れることが示されている(Kim and Lee,2006)。ジヒドロキシ酸デヒドラターゼに関する遺伝子(EC4.2.1.9、S.ソルファタリカス、NP_344419.1)は、KimおよびLee(2006)によって説明されているように発現される。これらの酵素は、グリセリン酸をピルビン酸に変換することができる(しかしながら、天然基質と比較してより低い活性である)。またこれらの酵素は、グルコン酸に対しても活性である(しかしながら、天然基質と比較してより低い活性である)。
実施例9の酵素グルコース脱水素酵素、グルコノラクトナーゼ、2−ケト−3−デオキシグルコン酸アルドラーゼおよびアルデヒド脱水素酵素を、ジヒドロキシ酸デヒドラターゼ(上述の通り)、ならびにシグマからのピルビン酸脱炭酸酵素およびアルデヒド脱水素酵素(実施例5を参照)(それぞれ1mgの組換え生産された酵素、および、2μの購入した酵素)と、250mMのグルコースを含む5mlの反応溶液(20mMのリン酸カリウム、10mMの硫酸アンモニウム、pH6.5;5mMのメルカプトエタノール、10mMのNaCl、10mMのMgSO、500μMのZnSO、500μMのCoCl、200μMのMnCl21mMのNADH、1mMのNAD)中で合わせ、47℃でインキュベートする。この溶液に、熱による不活性化を補うために30分毎に2種の酵母の酵素を再度添加する。インキュベート6時間後に生産されたエタノールを定量する。
実施例8:正味のATP生産が生じない単離した酵素を用いたグルコースのn−ブタノールへの変換
ピルビン酸シンターゼ4単位の遺伝子(EC1.2.7.1.、スルフォロブス・ソルファタリカス、NCBI遺伝子番号:NP_342664.1、NP_342663.1、NP_342666.1、NP_343517.1)、および、NADH フェレドキシン還元酵素の遺伝子(EC1.18.1.3、NCBI遺伝子番号:NP_342682.1)を合成し、pET3bでNdeIおよびBamHI部位を用いてクローニングする。これらの遺伝子を、説明されているようにして、E.コリ中で嫌気的に発現させ、一部精製する。グルコース脱水素酵素、グルコノラクトナーゼ、グルコン酸デヒドラターゼ、2−ケト−3−デオキシグルコン酸アルドラーゼ、アルデヒド脱水素酵素、グリセリン酸キナーゼ、エノラーゼ、および、ピルビン酸キナーゼを実施例5で説明されているように得た。実施例3で説明されているように、チオラーゼ、β−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、ブチリルCoA脱水素酵素、CoAアシル化ブタナール脱水素酵素、および、ブタノール脱水素酵素(etfAおよびetfB含む)が得られる。
全ての酵素を、250mMのグルコースを含む10mlの反応溶液(20mMのリン酸カリウム、pH6.5;5mMのメルカプトエタノール、10mMのNaCl、10mMのMgSO、500μMのZnSO、500μMのCoCl、200μMのMnCl24mMのATP、1mMのADP、1mMのNADH、1mMのNAD、1mMのコエンザイムA、1mMのFAD、1mMのFADH)中で合わせる(それぞれ1mg)。この溶液を45℃でインキュベートする。1時間後、生産されたブタノールを定量する。
実施例9:正味のATP生産が生じない単離した酵素を用いたグルコースのn−ブタノールへの変換
グルコース脱水素酵素、グルコノラクトナーゼ、2−ケト−3−デオキシグルコン酸アルドラーゼ、および、アルデヒド脱水素酵素を実施例5で説明したようにして得る。ジヒドロキシ酸デヒドラターゼを実施例9で説明したようにして得る。NADH フェレドキシン還元酵素およびピルビン酸シンターゼを実施例10で説明したようにして得る。チオラーゼ、β−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、ブチリルCoA脱水素酵素、CoAアシル化ブタナール脱水素酵素、および、ブタノール脱水素酵素(etfAおよびetfBを含む)を実施例3で説明したようにして得る。
全ての酵素を、250mMのグルコースを含む10mlの反応溶液(20mMのリン酸カリウム、pH6.5;5mMのメルカプトエタノール、10mMのNaCl、10mMのMgSO、500μMのZnSO、500μMのCoCl、200μMのMnCl21mMのNADH、1mMのNAD、1mMのコエンザイムA、1mMのFAD、1mMのFADH)中で合わせる(それぞれ1mg)。この溶液を45℃でインキュベートする。1時間後、生産されたn−ブタノールを定量する。
実施例10:正味のATP生産が生じない単離した酵素を用いたグルコースのイソブタノールへの変換
アセト乳酸合成酵素(EC2.2.1.6、スルフォロブス・ソルファタリカス、NCBI遺伝子番号:NP_342102.1)、ケトール酸レダクトイソメラーゼ(EC1.1.1.86、スルフォロブス・ソルファタリカス、NCBI遺伝子番号:NP_342100.1)、分枝2−オキソ酸脱炭酸酵素(EC4.1.1.72、ラクトコッカス・ラクティス、NCBI遺伝子番号)、および、アルコール脱水素酵素(EC1.1.1.1、フラボバクテリウム・フリギディマリス、NCBI遺伝子番号:BAB91411.1)の触媒単位を、pET3b中でNdeIおよびBamHI部位を用いてクローニングする。この遺伝子をE.コリで発現させる。これらの酵素は、ジヒドロキシ酸デヒドラターゼ(実施例7を参照)と共に、ピルビン酸からイソブタノールへの経路を構成する。グルコース脱水素酵素、グルコノラクトナーゼ、グルコン酸デヒドラターゼ、2−ケト−3−デオキシグルコン酸アルドラーゼ、アルデヒド脱水素酵素、グリセリン酸キナーゼ、エノラーゼ、および、ピルビン酸キナーゼを実施例5で説明したようにして得る。ジヒドロキシ酸デヒドラターゼを実施例5で説明したようにして得る。
全ての酵素を、250mMのグルコースを含む10mlの反応溶液(20mMのリン酸カリウム、pH6.5;5mMのメルカプトエタノール、10mMのNaCl、10mMのMgSO、500μMのZnSO、500μMのCoCl、200μMのMnCl、4mMのATP、1mMのADP、1mMのNADH、1mMのNAD)中で合わせる(それぞれ1mg)。この溶液を53℃で1時間インキュベートする。熱による不活性化を補うために、10分毎に新しい分枝2−オキソ酸脱炭酸酵素を添加する。1時間後、生産されたイソブタノールを定量する。
参考文献
・Algar, E.M. and Scopes, R.K. (1985) Journal of Biotechnology 2(5) 275-287.
・Lamble, H.J.; Heyer, N.I.; Bull, S.D.; Hough, D.W. and Danson M.J. (2003) J. Biol.Chem. 36 (5) 34066-72.
・Welch, P und Scopes R.K: (1985) Journal of Biotechnology 2(5) 257-273.
・Zhang Y.-H.P., Evans B.R., Mielenz J.R., Hopkins R.C., Adams M.W.W. (2007) PLoS ONE 2(5): e456.
・Zhang Y.H.P., Ye, X. And Wang, Y. (2008) Biotechnology: Research, Technology and Applications。
以下に、本発明の様々な実施態様において有用な典型的な配列を示す(ただしこれらに限定されない):
Figure 0005461582
Figure 0005461582
Figure 0005461582
Figure 0005461582
Figure 0005461582
Figure 0005461582
Figure 0005461582
Figure 0005461582

Claims (13)

  1. グルコース、またはグルコースを含むオリゴマーもしくはポリマーからの無細胞酵素系によるピルビン酸由来の有機化合物の製造方法であって、該方法は、
    (i)グルコースを、中間生成物であるグルコノラクトン、グルコン酸、2−ケト−デオキシグルコン酸、及びグリセリン酸を介してピルビン酸へ変換すること、ここで正味のATP生産は生じず、また、1モルのグルコース当たり2モルのピルビン酸が生じる及び
    (ii)前記ピルビン酸を、前記ピルビン酸由来の有機化合物へと変換すること、
    を含む上記方法。
  2. 前記ピルビン酸由来の有機化合物が、エタノール、n−ブタノール、イソブタノール、または2−ブタノールである、請求項1に記載の方法。
  3. グリセリン酸が、中間生成物であるグリセリン酸−2−リン酸およびホスホエノールピルビン酸を介してピルビン酸へと反応する、請求項1または2に記載の方法。
  4. 酵素であるグリセリン酸キナーゼ(EC2.7.1)、エノラーゼ(EC4.2.1.11)、及びピルビン酸キナーゼ(EC2.7.1.40)が、グリセリン酸からグリセリン酸−2−リン酸への反応、グリセリン酸−2−リン酸からホスホエノールピルビン酸への反応、及びホスホエノールピルビン酸からピルビン酸への反応にそれぞれ用いられる、請求項3に記載の方法。
  5. グルコースからピルビン酸への変換が、補因子としてATPおよび/またはADPなしでも完全に機能する、請求項1に記載の方法。
  6. グリセリン酸が、中間生成物であるヒドロキシピルビン酸を介してピルビン酸へと反応し、ピルビン酸が、セリン−ピルビン酸トランスアミナーゼに触媒されてアラニンと反応してセリンおよびピルビン酸を提供し、セリンが、ピルビン酸およびアンモニアへと変換されて、次いで、アラニンへと変換される、請求項1または5に記載の方法。
  7. 酵素であるグリセリン酸脱水素酵素(EC1.1.1.29)、セリン−ピルビン酸トランスアミナーゼ(EC2.6.1.51)、L−セリンアンモニアリアーゼ(EC4.3.1.17)、及びアラニン脱水素酵素(EC1.4.1.1)が、グリセリン酸からヒドロキシピルビン酸への反応、ヒドロキシピルビン酸からヒドロキシピルビン酸+アラニンを介してセリン+ピルビン酸への反応、セリンからピルビン酸+アンモニアへの反応、及びピルビン酸+アンモニアからアラニンへの反応にそれぞれ用いられる、請求項6に記載の方法。
  8. グリセリン酸が直接にピルビン酸へと変換される、請求項1または5に記載の方法。
  9. 酵素であるグリセリン酸デヒドラターゼ(EC4.2.1)がグリセリン酸からピルビン酸への直接の反応に用いられる、請求項8に記載の方法。
  10. 前記製造方法が、2つに分離した相を含む液体系中で行われ、前記ピルビン酸由来の有機化合物は、主として分離した相の一方に存在しているか、または、分離した相の一方を形成しており、前記ピルビン酸由来の有機化合物はその分離した相から回収される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 2つの別の相を形成するために、有機溶媒が添加される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. グルコース、またはグルコースを含むオリゴマーもしくはポリマーが前記方法に連続的に供給され、前記ピルビン酸由来の有機化合物が連続的に取り出される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. ATPアーゼが用いられない、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
JP2011544040A 2008-12-30 2009-12-28 無細胞による化学物質の生産方法 Expired - Fee Related JP5461582B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP08022558A EP2204453B1 (en) 2008-12-30 2008-12-30 Process for cell-free production of chemicals
EP08022558.4 2008-12-30
PCT/EP2009/067954 WO2010076305A1 (en) 2008-12-30 2009-12-28 Process for cell-free production of chemicals

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012513759A JP2012513759A (ja) 2012-06-21
JP5461582B2 true JP5461582B2 (ja) 2014-04-02

Family

ID=40651914

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011544040A Expired - Fee Related JP5461582B2 (ja) 2008-12-30 2009-12-28 無細胞による化学物質の生産方法

Country Status (10)

Country Link
US (1) US8859247B2 (ja)
EP (2) EP2204453B1 (ja)
JP (1) JP5461582B2 (ja)
KR (1) KR101328382B1 (ja)
CN (1) CN102272314B (ja)
BR (1) BRPI0923822A2 (ja)
CA (1) CA2746861C (ja)
DK (1) DK2204453T3 (ja)
MX (1) MX2011006745A (ja)
WO (1) WO2010076305A1 (ja)

Families Citing this family (23)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2376619A4 (en) 2008-12-15 2012-07-04 Greenlight Biosciences Inc METHODS FOR CONTROLLING FLOWS IN METABOLIC PATHWAYS
JP2013526277A (ja) 2010-05-07 2013-06-24 グリーンライト バイオサイエンシーズ インコーポレーテッド 酵素リロケーションにより代謝経路のフラックスを制御する方法
EP3219796B1 (en) 2010-08-31 2020-10-07 GreenLight Biosciences, Inc. Methods for control of flux in metabolic pathways through protease manipulation
US20130034888A1 (en) * 2011-08-04 2013-02-07 Rajeev Aurora Methods and compositions for decomposition of biomass
CA2846893A1 (en) 2011-09-09 2013-03-14 Greenlight Biosciences, Inc. Cell-free preparation of carbapenems
EP2700714A1 (en) * 2012-08-20 2014-02-26 Clariant Produkte (Deutschland) GmbH Cell-free and minimized metabolic reaction cascades for the production of chemicals
AU2013323427A1 (en) 2012-09-26 2015-03-05 Butamax (Tm) Advanced Biofuels Llc Polypeptides with ketol-acid reductoisomerase activity
US9611487B2 (en) 2012-12-21 2017-04-04 Greenlight Biosciences, Inc. Cell-free system for converting methane into fuel and chemical compounds
US9637761B2 (en) 2013-05-07 2017-05-02 Korea University Research And Business Foundation Recombinant microorganism metabolizing 3,6-anhydride-L-galactose and a use thereof
US9688977B2 (en) 2013-08-05 2017-06-27 Greenlight Biosciences, Inc. Engineered phosphoglucose isomerase proteins with a protease cleavage site
EP3180437A2 (en) * 2014-08-14 2017-06-21 Repsol, S.A. Process for production of branched chain alcohols
CA2970238C (en) 2014-12-16 2021-06-01 Newpek S.A. De C.V. Enzymatic methods for isobutanol production
WO2016149631A2 (en) * 2015-03-19 2016-09-22 Greenlight Biosciences, Inc. Cell-free production of butanol
MY193444A (en) 2015-03-30 2022-10-13 Greenlight Biosciences Inc Cell-free production of ribonucleic acid
CN105274041B (zh) * 2015-10-28 2019-04-16 山东大学 一株重组大肠杆菌及其在生产2-丁醇中的应用
CR20180525A (es) 2016-04-06 2019-02-14 Greenlight Biosciences Inc Producción de ácido ribonucleico libre de células
EP3452606A4 (en) 2016-05-05 2020-01-01 Newpek S.A. De C.V. ENZYMATIC PROCESSES FOR THE PRODUCTION OF BUTANOL
KR20190100386A (ko) 2017-01-06 2019-08-28 그린라이트 바이오사이언시스, 아이엔씨. 당의 무세포 생산
CN107099558B (zh) * 2017-04-25 2021-06-11 华东理工大学 一种同时生物合成1,3-丙二醇和乙偶姻的新方法
KR102571743B1 (ko) 2017-10-11 2023-08-29 그린라이트 바이오사이언시스, 아이엔씨. 뉴클레오시드 트리포스페이트 및 리보핵산 생산을 위한 방법 및 조성물
CN107663517B (zh) * 2017-10-31 2021-07-30 中国科学院天津工业生物技术研究所 一种l-乳酸催化反应体系及l-乳酸的制备方法
WO2024084032A1 (de) 2022-10-20 2024-04-25 Annikki Gmbh Verfahren zur herstellung einer wässerigen lösung enthaltend ein alkalisalz der glycolsäure und der milchsäure
EP4368720A1 (de) 2022-11-09 2024-05-15 Annikki GmbH Verfahren zur herstellung einer wässerigen lösung, welche glycerin enthält

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2041266A4 (en) 2006-07-06 2009-12-23 Integrated Genomics Inc COMPOSITIONS AND METHOD FOR BUTANEAN MANUFACTURE
WO2008052596A1 (en) 2006-10-31 2008-05-08 Metabolic Explorer Process for the biological production of n-butanol with high yield

Also Published As

Publication number Publication date
EP2204453B1 (en) 2013-03-13
BRPI0923822A2 (pt) 2015-07-14
CN102272314A (zh) 2011-12-07
EP2798070A1 (en) 2014-11-05
CN102272314B (zh) 2015-08-26
CA2746861C (en) 2014-09-16
US8859247B2 (en) 2014-10-14
CA2746861A1 (en) 2010-07-08
MX2011006745A (es) 2011-10-17
KR20110101221A (ko) 2011-09-15
KR101328382B1 (ko) 2013-11-13
WO2010076305A1 (en) 2010-07-08
DK2204453T3 (da) 2013-06-10
EP2204453A1 (en) 2010-07-07
JP2012513759A (ja) 2012-06-21
US20110312052A1 (en) 2011-12-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5461582B2 (ja) 無細胞による化学物質の生産方法
Bankar et al. Biobutanol: the outlook of an academic and industrialist
Shen et al. A thermochemical–biochemical hybrid processing of lignocellulosic biomass for producing fuels and chemicals
RU2461627C2 (ru) СПОСОБ БИОЛОГИЧЕСКОГО ПРОИЗВОДСТВА н-БУТАНОЛА
Lee et al. Electrochemical detoxification of phenolic compounds in lignocellulosic hydrolysate for Clostridium fermentation
JP2011522541A (ja) イソブタノールを生産するための欠失突然変異体
Li et al. Acetone–butanol–ethanol fermentation of corn stover by Clostridium species: present status and future perspectives
Al-Shorgani et al. Isolation of a Clostridium acetobutylicum strain and characterization of its fermentation performance on agricultural wastes
US20150218594A1 (en) Cell-free and minimized metabolic reaction cascades for the production of chemicals
JP2010502191A (ja) 新規クロストリジウム種の単離および性質決定
Vamsi Krishna et al. An updated review on advancement in fermentative production strategies for biobutanol using Clostridium spp.
Patil et al. Current challenges and advances in butanol production
Giraldeli et al. Mixtures of 5-hydroxymethylfurfural, levulinic acid, and formic acid have different impact on H2-producing Clostridium strains
Jiang et al. Inhibitors tolerance analysis of Clostridium sp. strain LJ4 and its application for butanol production from corncob hydrolysate through electrochemical detoxification
US10385366B2 (en) Microbial production of fuel components from low-molecular weight gas mixtures
Wen et al. Hybrid processing
MAKHTAR et al. MUHD. ARSHAD AMIN, ¹ HAFIZA SHUKOR, ² NOOR FAZLIANI SHOPARWE, 3
Shreya et al. Strategies of Strain Improvement for Butanol Fermentation
Mishra et al. Present Status and Future Prospect of Butanol Fermentation
Lateef et al. Inhibitors and Microbial Tolerance during Fermentation of Biofuel Production
ABLAEV et al. Assessment of Efficiency of Butyric Acid Biosynthesis during Cultivation of Clostridium butyricum and Clostridium tyrobutyricum Bacteria on Media Containing Birch Cuts and Beet Cake Hydrolysates
Bu et al. Using isopropanol as the hydrogen donor to achieve by-product-free biological hydrogenation in water with carbonyl reductase
Behera et al. Methods for bio-butanol production and purification
Hestekin et al. Biobutanol: An important biofuel and bio-product
FENGXUE BIOSYNTHESIS OF FOUR CARBON ALCOHOLS FROM SUSTAINABLE FEEDSTOCK

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20120704

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130725

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131022

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131217

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140115

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5461582

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees