以下、本発明に係る色変換方法(又はプロファイル生成方法)についてそれを実施する色変換装置(又はプロファイル生成装置)及び印刷システムとの関係において好適な第1〜第3実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
先ず、第1実施形態に係る印刷システム10Aについて、図1〜図9Bを参照しながら説明する。
図1は、第1実施形態に係る色変換装置(又はプロファイル生成装置)としての画像処理装置16が組み込まれた印刷システム10Aの斜視説明図である。
印刷システム10Aは、LAN12と、編集装置14と、画像処理装置16と、印刷機18と、ラミネート処理装置20と、測色計22とを基本的に備える。
LAN12は、イーサネット(登録商標)等の通信規格に基づいて構築されているネットワークである。編集装置14と、画像処理装置16と、データベースDBとは、前記LAN12を介して有線又は無線により相互に接続されている。
編集装置14は、文字、図形、絵柄や写真等から構成されるカラー画像の配置をページ毎に編集が自在であり、ページ記述言語(以下、PDLという。)による電子原稿(印刷データ)、例えば、4色(CMYK)や3色(RGB)のカラーチャンネルからなる8ビット画像データを生成する。
ここで、PDLとは、印刷や表示等の出力単位である「ページ」内で文字、図形等の書式情報、位置情報、色情報(濃度情報を含む)等の画像情報を記述する言語である。例えば、PDF(Portable Document Formatの略で、ISO32000−1:2008に規定)、AdobeSystems社のPostScript(登録商標)やXPS(XML Paper Specification)等が知られている。
また、編集装置14には図示しないカラースキャナが接続されており、該カラースキャナは、所定の位置にセットされたカラー原稿を光学的に読み取ることができ、前記電子原稿の構成要素となるカラー画像データを取得可能である。
画像処理装置16は、電子原稿のPDL形式をラスタ形式(例えば、ビットマップやTIFF)に展開し、所望の画像処理、例えば、色変換処理、画像拡縮処理や配置処理等を行い、印刷機18の印刷方式に適した印刷制御信号に変換し、前記印刷機18に前記印刷制御信号を送信する各機能を有している。
また、画像処理装置16は、CPU・メモリ等を有する本体24と、カラー画像を表示する表示装置26と、入力部としての入力装置28(キーボード30及びマウス32)を備えている。さらに、画像処理装置16には、電子データの記録・消去が自在な可搬型メモリ34や測色計22が接続されている。
印刷機18は、C、M、Y、Kの各色(プロセスカラー)からなる標準インクと、LC、LM等の淡色やW(白色)等のオプションインクとを組み合わせてカラー画像を形成するインクジェット方式の印刷装置である。この印刷機18は、外部(例えば、画像処理装置16)から受信した印刷制御信号に基づいて各色のインクの射出制御を行うことにより、印刷媒体としてのメディア36(図1では、ロール状の未印刷のメディア36)上にカラー画像を印刷し、印刷物38(印刷物38の一種であるカラーチャート38cが含まれる。)を形成する。
ラミネート処理装置20は、印刷物38の画像形成面上に、必要に応じて更にその裏面に、保護膜としてのラミネートフイルム40を貼付させた状態で、図示しない加熱ローラを用いて加熱・加圧処理を施すことにより、印刷物38の画像形成面が保護された保護膜付印刷物42を形成する。
なお、印刷物38の最終生成物として、該印刷物38にラミネートフイルム40を被覆しない場合もあり得る。そこで、保護膜付印刷物42の形成過程で得られる印刷物38と明確に区別するため、最終生成物としての印刷物38を無被覆印刷物43という場合がある。
メディア36の基材には、合成紙・厚紙・アルミ蒸着紙等の紙類、塩化ビニル・PET等の樹脂やターポリン等を用いることができる。保護膜には、ラミネートフイルム40に限られず、液体、ニス、透明インク、クリアトナー、並びにアクリル板等の保護板等を用いることができる。
測色計22は、測色により測定対象物の色値を取得する。ここで色値とは、三刺激値XYZ、均等色空間の座標値L*a*b*等のみならず、波長に対する光学物理量の分布(以下、「分光データ」という。)、例えば、分光放射分布、分光感度分布、分光反射率又は分光透過率が含まれる。
図2は、図1に示すカラーチャート38cの概略正面図である。
カラーチャート38cは、メディア36上に印刷された、色の異なる100個の略同形状のカラーパッチ44と、該カラーパッチ44の行方向及び列方向の配列位置を特定する数字列46及びアルファベット文字列48と、前記カラーチャート38cの印刷条件を識別する情報からなる印刷情報50とから構成される。
各カラーパッチ44は、縦方向には10個のカラーパッチ44が隙間なく配置され、横方向には10個のカラーパッチ44が所定間隔の隙間を設けながら配置されている。各カラーパッチ44の色は、CMYK値の各信号レベルの範囲(百分率では0%〜100%、8ビット階調である場合は0〜255)の所定の値が設定されている。
数字列46は、上から順に(01)〜(10)の文字列として、各カラーパッチ44の左方部にその位置に対応するように設けられている。一方、アルファベット文字列48は、左から順番に(A)〜(J)の文字列として、各カラーパッチ44の上方部にその位置に対応するように設けられている。
印刷情報50には、印刷機18の機種、シリアル番号若しくは登録名、後述する印刷モード、メディア36の種類、印刷日時等が印刷されている。
図3は、図1に示す画像処理装置16の機能ブロック図である。なお、電子原稿は白抜実線矢印の方向に、カラーチャート38c用の画像データは白抜破線矢印の方向に、その他の各種データは実線矢印の方向にそれぞれ供給されることを表す。
画像処理装置16の本体24は、編集装置14側から供給される電子原稿を入力するI/F52と、該I/F52を介して供給された電子原稿のPDL形式をラスタ形式に展開するRIP54(ラスタイメージングプロセッサ)と、該RIP54により展開された電子原稿のCMYK値(あるいはRGB値)に対して所定の色変換処理を施して新たなCMYK値の画像データを得る色変換処理部56と、該色変換処理部56により色変換されて得られた新たなCMYK値の画像データを印刷機18に適した印刷制御信号(インク射出制御データ)に変換する印刷機ドライバ58(印刷制御部)と、該印刷機ドライバ58により変換された印刷制御信号を印刷機18側に出力するI/F60とを備える。
また、本体24は、印刷物38(最終生成物としての保護膜付印刷物42又は無被覆印刷物43)に適切な入力側プロファイル又は出力側プロファイルを生成するプロファイル生成部62と、カラーチャート38cを印刷するための画像データを生成する画像データ生成部66と、印刷物38に被覆する予定のラミネートフイルム40の種類や被覆態様(被覆の有無)に関する情報(以下、ラミネート情報という。)を取得するラミネート情報取得部68と、表示装置26との接続を可能とするI/F70と、入力装置28(キーボード30及びマウス32)との接続を可能とするI/F72と、測色計22との接続を可能とするI/F74と、可搬型メモリ34との接続を可能とするI/F76とを備える。
さらに、本体24は、その内部の各構成要素から供給される各種データを記憶し、あるいは記憶している各種データを各構成要素に供給する記憶部78を備えている。該記憶部78は、RIP54と、後述するプロファイル選択部79と、プロファイル生成部62と、画像データ生成部66と、ラミネート情報取得部68と、I/F70と、I/F72と、I/F74と、I/F76とにそれぞれ接続されている。
なお、記憶部78と色変換処理部56との間に介在するプロファイル選択部79は、ラミネート情報取得部68から供給されたラミネート情報に基づいて、色変換処理に用いる入力側プロファイル及び出力側プロファイルをそれぞれ選択する。
色変換処理部56は、デバイス依存データからデバイス非依存データに変換する入力側プロファイル処理部80と、デバイス非依存データからデバイス依存データに変換する出力側プロファイル処理部82とを備える。ここで、デバイス依存データとは、各種デバイスを適切に駆動するためのCMYK値、RGB値等で定義されるデータである。また、デバイス非依存データとは、HSV(Hue−Saturation−Value)、HLS(Hue−Lightness−Saturation)、CIELAB、CIELUV、XYZ等の表色系で定義されるデータである。
さらに、プロファイル生成部62は、必要に応じて各プロファイルを取得するプロファイル取得部84と、ラミネートフイルム40の被覆の前後にわたるガマットの変化情報(以下、単に「変化情報」という。)を取得する変化情報取得部86と、所定の変換アルゴリズムに従ってガマットマッピングを行うガマットマッピング部88と、各カラーパッチ44に対応するデバイス依存データ(例えばCMYK値)及び色値(例えばL*a*b*値)に基づいて色変換テーブル(LUT;Look Up Table)を作成するLUT作成部90と、プロファイルが備える色変換テーブルを複数個結合して新たな色変換テーブルを生成するLUT結合部92と、保護膜付印刷物42のガマット(後述する被覆時最大ガマットGL)に基づいて色変換テーブルを補正するLUT補正部94とを備える。
さらに、RIP54は、電子原稿のラスタ形式化の際に、印刷機18の解像度等に対応した画像拡縮処理や、印刷フォーマットに対応した回転・反転処理等の種々の画像処理を行うことができる。
さらに、印刷機ドライバ58は、CMYK値からインク各色(CMYK、LC、LM、又はW)に対応するインク射出制御用データを作成する。このインク射出制御用データは、印刷機18のインク射出動作(ON・OFFやインクドット径の大小等)との間でその印刷機18固有のデータ定義に従って関連付けられている。その際、8ビット多階調画像から2値画像等の低階調画像への変換を要するが、ディザマトリクス法や誤差拡散法等の公知のアルゴリズムを用いることができる。
さらに、CPU等で構成される制御部96は、この画像処理に関するすべての制御を行う。すなわち、本体24内部の各構成要素の制御(例えば、記憶部78のデータ読出し・書込み)のみならず、I/F70を介して表示装置26に表示制御信号を送信する制御や、I/F74を介して測色計22から測色データを取得する制御等も含まれる。なお、制御部96は、本体24内の各部と電気的に接続されている。説明の便宜のため、接続の図示を省略している。
第1実施形態に係る画像処理装置16は以上のように構成され、上述した各画像処理機能は、基本ソフトウェア(オペレーティングシステム)上で動作する、記憶部78に記憶された応用ソフトウェア(プログラム)を用いて実現することができる。
なお、上記プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体(例えば、図1の可搬型メモリ34)に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行させてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。コンピュータ読み取り可能な記録媒体には、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含む。
図4は、印刷物38における印刷条件の設定画面の一例を示す図である。印刷物38は、最終生成物としての保護膜付印刷物42又は無被覆印刷物43である。
設定画面100は、上から順番に、2個のプルダウンメニュー102、104と、2個のラジオボタン106a、106bと、2個のラジオボタン108a、108bと、2個のラジオボタン110a、110bと、3個のラジオボタン112a、112b、112cと、3個のプルダウンメニュー114、116、118と、[設定]、[中止]と表示されたボタン120、122とを備える。
2個のプルダウンメニュー102、104の左方には、「目標プロファイル名」及び「印刷プロファイル名」なる文字列がそれぞれ表示されている。2個のラジオボタン106a、106bの右方には、「自動」及び「手動」なる文字列がそれぞれ表示されている。2個のラジオボタン108a、108bの右方には、「あり」及び「なし」なる文字列がそれぞれ表示されている。2個のラジオボタン110a、110bの右方には、「ON」及び「OFF」なる文字列がそれぞれ表示されている。3個のラジオボタン112a、112b及び112cの右方には、「種類」、「入力側プロファイル」及び「出力側プロファイル」なる文字列がそれぞれ表示されている。3個のプルダウンメニュー114、116及び118の左方には、「ラミネート種類」、「入力側プロファイル名」及び「出力側プロファイル名」なる文字列がそれぞれ表示されている。
また、4個のラジオボタン106a、108a、110a及び112aの左方には、「ラミネート情報取得方法」、「ラミネートの被覆」、「ガマット一致印刷モード」及び「ラミネート指定」なる文字列がそれぞれ表示されている。
図5は、ガマット一致印刷モードにおけるプロファイル生成画面の一例を示す図である。ここで、「ガマット一致印刷モード」とは、後述するように、ラミネートフイルム40の被覆に伴うガマット縮小を見越し、無被覆印刷物43のガマットを印刷物38の最大ガマットよりも小さく設けることで、ラミネートフイルム40の被覆態様に関わらず、同一のガマットの範囲内で印刷色を再現するモードである。以下、この印刷方法を「ガマット一致印刷」という場合がある。
設定画面140は、上から順番に、3個のラジオボタン142a、142b、142cと、2個のプルダウンメニュー144、146と、2個のラジオボタン148a、148bと、2個のプルダウンメニュー150、152と、2個のテキストボックス154、156と、「保存」、「中止」と表示されたボタン158、160とを備える。
3個のラジオボタン142a〜142cの右方には、「入力/出力」、「入力のみ」及び「出力のみ」なる文字列がそれぞれ表示されている。2個のプルダウンメニュー144及び146の左方には、「目標プロファイル名」及び「印刷プロファイル名」なる文字列がそれぞれ表示されている。2個のラジオボタン148a、148bの右方には、「種類」及び「プロファイル」なる文字列がそれぞれ表示されている。2個のプルダウンメニュー150及び152の左方には、「ラミネート種類」及び「印刷プロファイル名(被覆あり)」なる文字列がそれぞれ表示されている。2個のテキストボックス154、156の左方には、「保存ファイル名(入力側)」及び「保存ファイル名(出力側)」なる文字列がそれぞれ表示されている。
第1実施形態に係る印刷システム10Aは、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作について説明する。
図6は、印刷システム10Aを用いて適切な色の保護膜付印刷物42又は無被覆印刷物43を得るためのフローチャートである。主に図6及び図1を参照しながら説明する。
先ず、作業者は、形成しようとする保護膜付印刷物42又は無被覆印刷物43に関する印刷条件やその観察態様を調査する(ステップS1A)。ここで、印刷条件には、印刷に使用する印刷機18の種類、メディア36の種類、上述したラミネート情報又は上述した印刷モード等が含まれる。また、観察態様には、観察光源としての光源の属性(種類、分光データ)のみならず、観察しようとする印刷物38の画像種別も含まれる。この画像種別として、反射画像(反射光源を主光源とする画像)、透過画像(透過光源を主光源とする画像)、又は、混合画像(反射光源及び透過光源を主光源とする画像)が挙げられる。
次いで、作業者は、入力装置28を用いた所定の操作指示をすることで、画像処理装置16にプロファイルを取得させる(ステップS2A)。通常、入力側プロファイル又は出力側プロファイルは、本体24の記憶部78(図3参照)に記憶されている。印刷機18に適切なプロファイルが登録(記憶部78に記憶)されていない場合は、その印刷物38に応じたプロファイルを取得してもよい。一例として、作業者は、プロファイルのデータファイルが記憶された可搬型メモリ34(図1参照)を準備し、該可搬型メモリ34を画像処理装置16の本体24に接続する。そうすると、自動又は手動によりプロファイルのデータファイルが記憶部78に新たに記憶される。また、データベースDB(同参照)側に各データファイルを管理させておき、画像処理装置16は、必要に応じて前記データベースDBから所望のプロファイルを取得できる構成であってもよい。例えば、プロファイル取得部84(図3参照)は、データベースDBから、LAN12及びI/F52を介してプロファイルを取得してもよい。
あるいは、画像処理装置16が備えるプロファイル生成機能を用いて、印刷物38に応じたプロファイルを新たに生成させてもよい。以下、ステップS2Aにおけるプロファイルの生成方法について、図7のフローチャート及び図3の機能ブロック図を参照しながら詳細に説明する。
先ず、作業者は、入力装置28を用いた所定の操作指示をすることで、印刷機18にカラーチャート38cを印刷させる(ステップS21A)。
作業者は、表示装置26に表示された図示しない設定画面上からカラーチャート38cの印刷の要求を行う。すると、図3に示すように、本体24の画像データ生成部66によりカラーチャート38cを印刷するための画像データ(例えばCMYK値)が生成される。このデバイス依存の画像データは、印刷機ドライバ58(白抜破線矢印の向き)に供給され、印刷機ドライバ58により印刷制御信号(すなわち、インク射出制御データ)に変換され、I/F60を介して印刷機18に供給され、印刷機18により印刷処理がなされる。これにより、カラーチャート38c(図2参照)が印刷される。なお、各カラーパッチ44の画素値に相当するCMYK値データは、記憶部78に予め記憶されており、画像データ生成部66による画像データの生成前に記憶部78から読み出される。
次いで、図7に戻って、作業者は、カラーチャート38cの1回目の測色を行う(ステップS22A)。
作業者は、ラミネート処理装置20によるラミネート処理を行わずに、画像処理装置16に接続された測色計22を用いて、カラーチャート38c(図2参照)の各カラーパッチ44の色値を測定する。例えば、図2のように、数字列46及びアルファベット文字列48で示される(A)列の(01)〜(10)、(B)列の(01)〜(10)のように、各カラーパッチ44を測色する順番を予め決定しておくことが好ましい。作業者の操作に応じた測色完了の通知に基づいて、各カラーパッチ44に対応する色値データが、I/F74を介して、メディア36の種類と関連付けて記憶部78に保存される(図3参照)。
次いで、作業者は、入力装置28を用いた所定の操作指示をすることで、画像処理装置16にプロファイルOPFを生成させる(ステップS23A)。ここで、プロファイルOPFは、印刷機18及びメディア36の組合せにより得られる図8Aのガマット170(以下、「最大ガマットGF」という。)の範囲内の色を適切に印刷制御するための印刷プロファイルである。
作業者による入力装置28の操作に応じて、LUT作成部90により、3次元データ(例えばL*a*b*のデバイス非依存データ)を4次元データ(例えばCMYKのデバイス依存データ)に変換する色変換テーブル(すなわち、B2Aテーブル)が作成される。あわせて、LUT作成部90により、4次元データを3次元データに変換する色変換テーブル(すなわち、A2Bテーブル)が作成される。色変換テーブルは、100個のカラーパッチ44に応じた100組の色値データ(L*a*b*)及び100組のCMYK値データの対応関係に基づいて作成される。この色変換テーブルを含むプロファイルOPFは、データファイルとして記憶部78に記憶される。
次いで、図7に戻って、作業者は、ラミネート処理装置20を操作することで、カラーチャート38cに対してラミネート処理を施させる(ステップS24A)。カラーチャート38cは、その画像形成面上にラミネートフイルム40が貼付され、ラミネート処理装置20の図示しない加熱ローラにより加熱・加圧処理がなされる。これにより、印刷物38にラミネートフイルム40が被覆された保護膜付印刷物42が得られる。
次いで、作業者は、ラミネートフイルム40を被覆したカラーチャート38cの2回目の測色を行う(ステップS25A)。このときの画像処理装置16の動作はステップS22Aと同様であるので、その説明を省略する。
次いで、作業者は、入力装置28を用いた所定の操作指示をすることで、画像処理装置16にプロファイルOPLを生成させる(ステップS26A)。ここで、プロファイルOPLは、印刷機18、メディア36及びラミネートフイルム40の組合せにより得られる図8Aのガマット172(以下、「被覆時最大ガマットGL」という。)の範囲内の色を適切に印刷制御するための印刷プロファイルである。なお、このときの画像処理装置16の動作はステップS23Aと同様であるので、その説明を省略する。
次いで、作業者は、入力装置28を用いた所定の操作指示をすることで、画像処理装置16にステップS27A〜S29Aを実行させる。
作業者は、マウス32を用いて、図5の設定画面140上で、生成しようとするプロファイルの種類に応じたラジオボタン142a〜142cのいずれか1つ(図5例では「出力のみ」のラジオボタン142c)を選択する。また、作業者は、印刷に用いる目標プロファイル(ターゲットプロファイル)のファイル名(図5例では「JapanColor2007」)を選択し、プルダウンメニュー144に入力する。この目標プロファイルには、種々のICCプロファイルを選択することができる。例えば、「sRGB」、「Adobe RGB」、「Japan Color」、「ISO coated」等を用いてもよい。
さらに、作業者は、ステップS23A(図7参照)で生成されたプロファイルOPFのファイル名(図5例では「PrinterProfile−1」)を選択し、プルダウンメニュー146に入力する。
さらに、作業者は、ラミネートフイルム40の指定方法に応じたラジオボタン148a、148bのいずれか1つ(図5例では「プロファイル」のラジオボタン148b)を選択する。さらに、作業者は、ステップS26A(図7参照)で生成されたプロファイルOPLのファイル名(図5例では「PrinterProfile−2」)を選択し、プルダウンメニュー152に入力する。さらに、作業者は、保存しようとする出力プロファイル名(図5例では「OutputProfile」)をテキストボックス156に入力する。そして、作業者による[保存]ボタン158のクリック操作に応じて、画像処理装置16の本体24は、後述するステップS27A〜S29Aを実行する。なお、作業者による[中止]ボタン160のクリック操作に応じて、設定画面140上での操作が中止される。
先ず、図3に示す制御部96は、変化情報取得部86に拡大変化情報InfoExを取得させる(ステップS27A)。拡大変化情報InfoExは、被覆時最大ガマットGL(図8A参照)から最大ガマットGFに拡大変換するための変化情報である。一方、InfoShは、最大ガマットGFから被覆時最大ガマットGLに縮小変換するための変換情報である。すなわち、拡大変化情報InfoEx及び縮小変化情報InfoShは互いに逆変換の関係にある。本明細書中、拡大変化情報InfoEx及び縮小変化情報InfoShを総称して「変化情報Info」という。
変化情報Infoには、例えば、色変換式、色変換パラメータ、色変換テーブル、最大ガマットGF、又は被覆時最大ガマットGLのうちの少なくとも1つが含まれる。
第1実施形態では、拡大変化情報InfoExを取得するため、プロファイルOPF(最大ガマットGFの色再現に適した印刷プロファイル)及びプロファイルOPL(被覆時最大ガマットGLの色再現に適した印刷プロファイル)が備える各色変換テーブルを結合する。
プロファイルOPFは、デバイス依存データAからデバイス非依存データBFに変換する色変換テーブル(A2Bテーブル)を備える。その変換工程を模式的に(A→BF)と表現する。一方、プロファイルOPLは、デバイス非依存データBLからデバイス依存データAに変換する色変換テーブル(B2Aテーブル)を備える。その変換工程を模式的に(BL→A)と表現する。
LUT結合部92により、変換工程(BL→A)を表すB2Aテーブルは、変換工程(A→BF)を表すA2Bテーブルと結合され、ガマットを拡大する変換工程(BL→BF)を表す色変換テーブル(以下、拡大処理LUTという。)が生成される。この拡大処理LUTは、ラミネートフイルム40の被覆に前後にわたる拡大変化情報InfoExの一形態である。
次いで、制御部96は、プロファイル取得部84にプロファイルIPTを取得させる(ステップS28A)。ここで、プロファイルIPTは、色再現の目標とされる図8Aのガマット174(以下、「目標ガマットGT」という。)の範囲内の色を適切に入力制御するための目標プロファイルである。図5のプルダウンメニュー144で指定された目標プロファイル名は、本体24側に入力され、該目標プロファイル名と対応付けられたプロファイルIPTを読み出すために参照される。そして、プロファイルIPTは、記憶部78から読み出され、プロファイル取得部84側に供給される。
最後に、制御部96は、プロファイル生成部62にプロファイルOPEFを生成させる(ステップS29A)。ここで、プロファイルOPEFは、図8Bのガマット176(以下、「拡大された目標ガマットGT*L-1」という。符号に関する説明は後述する。)の範囲内の色を適切に印刷制御するための印刷プロファイルである。そして、プロファイルOPEFは、ガマット一致印刷をさせる保護膜付印刷物42に適切な印刷プロファイルである。換言すれば、プロファイルOPEFは、ラミネートフイルム40の被覆前における中間生成物としての印刷物38に適切な印刷プロファイルである。
ステップS27Aで取得された拡大変換LUT(BL→BF)は、LUT結合部92により、プロファイルOPFが有する色変換テーブル(BF→A)と結合され、ガマット一致印刷をさせる保護膜付印刷物42に適切な色変換テーブル{変換工程(BL→BF→A)}が作成される。そして、プロファイル生成部62により、作成された前記色変換テーブルをデータの一部とする出力側プロファイルOPEFが生成される。そして、新たに生成されたプロファイルOPEFは、図5のテキストボックス156に示すデータファイル名で、記憶部78により記憶される。
このようにして、画像処理装置16にプロファイルを取得・生成させる(ステップS2A)。
図6に戻って、次いで、作業者は、入力装置28を用いた所定の操作指示をすることで、印刷機18に印刷条件を入力させる(ステップS3A)。
作業者は、印刷に用いるプロファイルIPTのファイル名(図4例では「JapanColor2007」)を選択し、マウス32を用いて、図4の設定画面100上のプルダウンメニュー102に入力する。また、作業者は、印刷に用いるプロファイルOPFのファイル名(図4例では「PrinterProfile−1」)を選択し、プルダウンメニュー104に入力する。さらに、作業者は、ラミネート情報の取得方法に応じて、ラジオボタン106a、106bのいずれか1つ(図4例では「手動」のラジオボタン106b)を選択する。
ここで、「手動」とは、設定画面100にラミネート情報を予め入力しておき、印刷物38を印刷する都度そのラミネート情報を参照する方法をいう。一方、「自動」とは、電子原稿に紐付けられたジョブチケットやプロファイル等のタグ情報からラミネート情報を自動的に取得する方法をいう。
さらに、作業者は、印刷物38にラミネートフイルム40を被覆するか否かに応じたラジオボタン108a、108bのいずれか1つ(図4例では「あり」のラジオボタン108a)を選択する。さらに、作業者は、ガマット一致印刷モードの適否に応じたラジオボタン110a、110bのいずれか1つ(図4例では「ON」のラジオボタン110a)を選択する。さらに、作業者は、ラミネートフイルム40の指定方法に応じたラジオボタン112a、112b、又は112cのいずれか1つ(図4例では「出力側プロファイル」のラジオボタン112c)を選択する。
さらに、作業者は、ステップS27A(図7参照)で生成されたプロファイルOPEFのファイル名(図4例では「OutputProfile」)を選択し、プルダウンメニュー118に入力する。なお、プルダウンメニュー104で選択されたプロファイルIPFを基に、図5の設定画面140を介して生成されたプロファイルのみ(例えば、プロファイルOPEF)を、設定画面100のプルダウンメニュー118から選択可能にしてもよい。
そして、作業者による[設定]ボタン120のクリック操作に応じて、設定画面100から入力したラミネート情報は、本体24側に入力され、記憶部78により記憶される。なお、作業者による[中止]ボタン122のクリック操作に応じて、設定画面100上での操作が中止される。
次いで、ラジオボタン108a、108bを介して被覆態様(あり/なし)が本体24側に入力・判別され(ステップS4A)、印刷物38(保護膜付印刷物42又は無被覆印刷物43)の印刷に用いる入力側プロファイル及び出力側プロファイルがそれぞれ選択される(ステップS5A、S6A)。ここで、ガマット一致印刷モードが「ON」(図4のラジオボタン110a)に選択されているので、ラミネートフイルム40の被覆の有無に応じて異なる出力側プロファイルを印刷に用いる点に留意する。
もし、印刷物38にラミネートフイルム40を被覆する場合は、入力側プロファイルをプロファイルIPTとし、出力側プロファイルをプロファイルOPEFとする(ステップS5A)。一方、印刷物38にラミネートフイルム40を被覆しない場合は、入力側プロファイルをプロファイルIPTとし、出力側プロファイルをプロファイルOPFとする(ステップS6A)。このように、ラミネートフイルム40の被覆の有無に関わらず、入力側プロファイルとして同一のプロファイルIPTを用いる。これにより、使用される目標プロファイルの総数を低減でき、データの管理が容易となる。
なお、ガマット一致印刷モードが「OFF」(図4のラジオボタン110b)に選択された場合は、ラミネートフイルム40の被覆の有無に関わらず、ステップS6Aに示す同一のプロファイルを用いる。すなわち、入力側プロファイルをプロファイルIPTとし、出力側プロファイルをプロファイルOPFとする。
次いで、作業者は、入力装置28を用いた所定の操作指示をすることで、印刷機18に印刷物38を印刷させる(ステップS7A)。画像処理装置16による画像処理の流れについて、図3の機能ブロック図を参照しながら説明する。
編集装置14から供給された電子原稿(PDL形式)が、LAN12及びI/F52を介して画像処理装置16に入力されると、前記電子原稿は、RIP54によりそれぞれ8ビットCMYK値のラスタ形式(デバイス依存の画像データ)に展開され、入力側プロファイル処理部80によりL*a*b*値(デバイス非依存の画像データ)に変換され、出力側プロファイル処理部82によりCMYK値(デバイス依存の画像データ)に変換され、印刷機ドライバ58により印刷制御信号(すなわち、インク射出制御データ)に変換され、I/F60を介して印刷機18に供給される。その後、印刷機18により所望の印刷物38が印刷される。
この動作の際、記憶部78に予め記憶された複数の入力側プロファイル及び出力側プロファイルがプロファイル選択部79側に供給され、該プロファイル選択部79によりラミネート情報に応じたプロファイルが選択され、入力側プロファイル処理部80及び出力側プロファイル処理部82に供給される。
印刷しようとする印刷物38に関するラミネート情報は、ラミネート情報取得部68により自動又は手動で取得された後、プロファイル選択部79側に供給される。ラミネート情報は、「自動」(図4のラジオボタン106a)の場合は電子原稿に紐付けられたジョブチケットやプロファイル等のタグ情報から取得され、「手動」(図4のラジオボタン106b)が選択された場合はステップS3Aを経て予め記憶されている記憶部78から取得される。
第1実施形態の設定例では、出力側プロファイル名(例えば「OutputProfile」)の指定に応じて、ラミネートフイルム40の光学的特性を加味した色変換テーブルを備えるプロファイルOPEFが選択される。すなわち、ラミネートフイルム40が間接的に指定されている。
次いで、作業者は、必要に応じて印刷物38に対してラミネート処理を施させる(ステップS8A)。これにより、画像の擦過性・堅牢性を向上させることができる。なお、ラミネート処理装置20の動作等はステップS24A(図7参照)と同様であるから、詳細な説明を省略する。
この結果、ステップS5A(図6参照)を経て得られた保護膜付印刷物42と、ステップS6A(同参照)を経て得られた無被覆印刷物43との色の見え方が略一致する。この動作原理について、図8A〜図9Bを参照しながら詳細に説明する。
以下、図9A及び図9Bにおいて、A1は電子原稿を表すデバイス依存データであり、A2は印刷制御信号を表すデバイス依存データである。図8A〜図9Bにおいて、GF、GL、GT、及びGT*L-1は、デバイス依存データ、保護膜付印刷物42又は無被覆印刷物43として色再現可能なガマットを表す。
図9Aは、図6のステップS5Aを経て形成された保護膜付印刷物42の色変換処理を表す概略説明図である。
入力側プロファイル処理部80は、第1変換部200から構成されている。出力側プロファイル処理部82は、拡大処理部202と第2変換部204とから構成されている。なお、出力側プロファイル処理部82では1回のLUT演算処理が行われるが、本発明の技術的理解を容易にするため、拡大処理部202及び第2変換部204の各機能に分けてそれぞれ説明する。
デバイス依存データA1は、第1変換部200により、目標ガマットGTの範囲内の色値を表すデバイス非依存データに変換される。ここで、目標ガマットGTは、プロファイルIPTが備える色変換テーブルに応じて決定されるガマットである。第1実施形態において、説明の便宜のため、目標ガマットGTは、被覆後最大ガマットGLに包含される関係、すなわち、被覆後最大ガマットGLの部分集合であるとする(図8A参照)。
その後、デバイス非依存データ(目標ガマットGT)は、拡大処理部202により、拡大された目標ガマットGT*L-1の範囲内の色値を表すデバイス非依存データに変換される。ここで、拡大された目標ガマットGT*L-1は、ラミネートフイルム40の被覆に伴うガマット縮小効果を見越して、目標ガマットGTの範囲内の色を再現する保護膜付印刷物42を得るための、中間生成物としての印刷物38のガマットである。
なお、「*L-1」は、ラミネートフイルム40の被覆前後によるガマット拡大変化を表す演算子である。同様に、後述する「*L」は、ラミネートフイルム40の被覆前後によるガマット縮小変化を表す演算子である。
その後、デバイス依存データ(拡大された目標ガマットGT*L-1)は、第2変換部204により、デバイス依存データA2に変換される。デバイス依存データA2は、適切な色の印刷物38を印刷機18に印刷させるための印刷データとして用いられる。印刷された印刷物38は、拡大された目標ガマットGT*L-1の範囲内の色を再現する。
そして、ラミネート処理装置20を用いて、印刷物38にラミネートフイルム40を被覆させた保護膜付印刷物42が得られる。このとき、保護膜付印刷物42のガマットは、ラミネートフイルム40の被覆処理により、拡大された目標ガマットGT*L-1(印刷物38のガマット)が所定の量(演算子「*L」に相当する量)だけ縮小される。すなわち、保護膜付印刷物42は、目標ガマットGTの範囲内の色を再現する。
一方、図9Bは、図6のステップS6Aを経て形成された無被覆印刷物43の色変換処理を表す概略説明図である。入力側プロファイル処理部80は第1変換部200から構成され、出力側プロファイル処理部82は第2変換部204から構成されている。
デバイス依存データA1は、第1変換部200により、目標ガマットGTの範囲内の色値を表すデバイス非依存データに変換される。その後、デバイス非依存データ(目標ガマットGT)は、第2変換部204により、デバイス依存データA2に変換される。デバイス依存データA2は、適切な色の印刷物38を印刷機18に印刷させるための印刷データとして用いられる。印刷された印刷物38は、目標ガマットGTの範囲内の色を再現する。
このように、ラミネートフイルム40を被覆しないで得られる無被覆印刷物43のガマットが保護膜付印刷物42のガマット(目標ガマットGT)に一致するように無被覆印刷物43の色変換処理を行うようにしたので、ラミネートフイルム40の被覆態様に関わらず、同一の色の印刷物(無被覆印刷物43及び保護膜付印刷物42)が得られる。
続いて、第2実施形態に係る印刷システム10Bについて、図10〜図19を参照しながら説明する。印刷システム10Bは印刷システム10Aの構成(特に図1〜図5参照)と同様であるから、その説明を省略する。第2実施形態は、印刷システム10A(B)の動作方法が第1実施形態と異なっている。以下、詳細に説明する。
図10は、印刷システム10Bを用いて適切な色の保護膜付印刷物42又は無被覆印刷物43を得るためのフローチャートである。主に図1を参照しながら説明する。
先ず、作業者は、形成しようとする保護膜付印刷物42又は無被覆印刷物43に関する印刷条件やその観察態様を調査する(ステップS1B)。
次いで、作業者は、入力装置28を用いた所定の操作指示をすることで、画像処理装置16にプロファイルを取得させる(ステップS2B)。印刷機18に適切なプロファイルが登録(記憶部78に記憶)されていない場合は、プロファイルを別途生成することができる。以下、ステップS2Bにおけるプロファイルの生成方法について、図11のフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
作業者は、入力装置28を用いた所定の操作指示をすることで、画像処理装置16にステップS21B〜S26Bを実行させる。
作業者は、図5の設定画面140上で、ラジオボタン142b(入力のみ)を選択する。また、作業者は、プルダウンメニュー144で「JapanColor2007」(プロファイルIPT)を選択する。さらに、作業者は、プルダウンメニュー146で「PrinterProfile−1」(プロファイルOPF)を選択する。さらに、作業者は、ラジオボタン148a(種類)を選択するとともに、プルダウンメニュー150で「マットB」を選択する。さらに、作業者は、保存しようとする出力側プロファイル名(図5例では「InputProfile」)をテキストボックス154に入力する。そして、作業者による[保存]ボタン158のクリック操作に応じて、画像処理装置16の本体24は、後述するステップS21B〜S26Bを実行する。
先ず、制御部96は、プロファイル取得部84にプロファイルIPTを取得させる(ステップS21B)。図5のプルダウンメニュー144で指定された目標プロファイル名は、本体24側に入力され、該目標プロファイル名と対応付けられたプロファイルIPTを読み出すために参照される。そして、プロファイルIPTは、記憶部78から読み出され、プロファイル取得部84側に供給される。
次いで、制御部96は、プロファイル取得部84にプロファイルOPFを取得させる(ステップS22B)。図5のプルダウンメニュー146で指定された印刷プロファイル名は、本体24側に入力され、該印刷プロファイル名と対応付けられたプロファイルOPFを読み出すために参照される。そして、プロファイルOPFは、記憶部78から読み出され、プロファイル取得部84側に供給される。
次いで、制御部96は、変化情報取得部86に変化情報Infoを取得させる(ステップS23B)。第2実施形態では、変化情報Infoとして、拡大変化情報InfoEx及び縮小変化情報InfoShが用いられる。また、拡大変化情報InfoEx(又は縮小変化情報InfoSh)は、ガマット変換を表す変換式や変換パラメータである。以下、拡大変化情報InfoExで表現される関数を「拡大変換関数」といい、縮小変化情報InfoShで表現される関数を「縮小変換関数」という。ここで、拡大変換関数及び縮小変換関数は、線形関数又は非線形関数のいずれであってもよく、種々の数理モデルを適用できる。
図5のプルダウンメニュー150で指定されたラミネートフイルム40の種類は、本体24側に入力され、該種類と対応付けられた変化情報Infoを読み出すために参照される。そして、変化情報Infoは、記憶部78から読み出され、変化情報取得部86側に供給される。
次いで、制御部96は、プロファイルIPTが備える色変換テーブルをLUT補正部94に補正させる(ステップS24B)。
図8Aに示すように、目標ガマットGTが被覆後最大ガマットGLの部分集合である場合、目標ガマットGTの範囲内の任意の色は保護膜付印刷物42上で再現され得る。しかし、図12Aのように、目標ガマットGTがガマット178で表す領域である場合、目標ガマットGTの範囲内の一部の色は保護膜付印刷物42上で再現されない。そこで、被覆後最大ガマットGLの範囲内の色に収まるように、目標ガマットGTを予め補正してもよい。
先ず、ステップS21Bで取得されたプロファイルIPTの色変換テーブルを参照することで、目標ガマットGTが取得される。次いで、ステップS22Bで取得されたプロファイルOPFの色変換テーブルを参照することで、最大ガマットGFが取得される。次いで、最大ガマットGF及び縮小変換関数(縮小変化情報InfoSh)を用いて、被覆時最大ガマットGLが推定される。
そして、ガマットマッピング部88により、目標ガマットGTから被覆時最大ガマットGLへのガマットマッピングが施されることで、図12Bのガマット180(以下、「補正ガマットGC」という。)が得られる。この補正ガマットGCは、ガマット一致印刷モードにおいて、保護膜付印刷物42及び無被覆印刷物43上で色再現しようとするガマットである。なお、ガマットマッピングには、公知のアルゴリズムを種々用いることができる。例えば、ICCプロファイルで定義されている「Perceptual」、「Satulation」、「Absolute Colormetric」又は「Relative Colormetric」に準拠する手法を用いてマッピングを行ってもよい。
次いで、制御部96は、プロファイル生成部62にプロファイルIPTCを生成させる(ステップS25B)。ここで、プロファイルIPTCは、補正ガマットGC(図12B参照)の範囲内の色を適切に入力制御するための目標プロファイルである。
プロファイルIPTは、デバイス依存データAからデバイス非依存データBTに変換する色変換テーブル(A2Bテーブル)を備える。その変換工程を模式的に(A→BT)と表現する。
LUT補正部94により、変換工程(A→BT)を表すA2Bテーブルは、前記ガマットマッピングの結果に応じて、変換工程(A→BC)を表すA2Bテーブルに補正される。そして、プロファイル生成部62により、補正された前記色変換テーブルをデータの一部とするプロファイルIPTCが生成される。そして、新たに生成されたプロファイルIPTCは、図5のテキストボックス154に示すデータファイル名(例えば、「InputProfile(n)」)で、記憶部78により記憶される。
最後に、制御部96は、プロファイル生成部62にプロファイルIPTCEを生成させる(ステップS26B)。ここで、プロファイルIPTCEは、図12Cのガマット182(以下、「拡大された補正ガマットGC*L-1」という。)の範囲内の色を適切に入力制御するための目標プロファイルである。そして、プロファイルIPTCEは、ガマット一致印刷をさせる保護膜付印刷物42に適切な目標プロファイルである。換言すれば、プロファイルIPTCEは、ラミネートフイルム40の被覆前における中間生成物としての印刷物38に適切な目標プロファイルである。
ステップS25Bで作成された色変換テーブル(A→BC)は、LUT補正部94により、拡大変換関数(拡大変化情報InfoEx)を用いてさらに補正される。これにより、ガマット一致印刷をさせる保護膜付印刷物42に適切な色変換テーブル{変換工程(A→GC→GC*L-1)}が作成される。そして、プロファイル生成部62により、補正された前記色変換テーブルをデータの一部とするプロファイルIPTCEが生成される。そして、新たに生成されたプロファイルIPTCEは、図5のテキストボックス154に示すデータファイル名(例えば、「InputProfile(c)」)で、記憶部78により記憶される。
なお、図5の設定画面140上で、ラジオボタン142a(入力/出力)を選択した状態で[保存]ボタン158をクリックすると、入力側プロファイル及び出力側プロファイルが一時に生成された後、記憶部78にそれぞれ記憶される。このときのデータファイル名には、テキストボックス154、156での入力情報が用いられる。
このようにして、画像処理装置16にプロファイルを取得・生成させる(ステップS2B)。
図10に戻って、次いで、作業者は、入力装置28を用いた所定の操作指示をすることで、印刷機18に印刷条件を入力させる(ステップS3B)。
作業者は、印刷に用いるプロファイルIPTのファイル名(図4例では「JapanColor2007」)を選択し、マウス32を用いて、図4の設定画面100上のプルダウンメニュー102に入力する。また、作業者は、印刷に用いるプロファイルOPFのファイル名(図4例では「PrinterProfile−1」)を選択し、プルダウンメニュー104に入力する。
また、作業者は、ラジオボタン112a〜112cのうちラジオボタン112b(入力側プロファイル)を選択するともに、印刷に用いる入力側プロファイル名(図4例では「InputProfile」)をプルダウンメニュー116に入力する。そして、作業者による[設定]ボタン120のクリック操作に応じて、設定画面100から入力したラミネート情報は、本体24側に入力され、記憶部78により記憶される。
次いで、ラジオボタン108a、108bを介して被覆態様(あり/なし)が本体24側に入力・判別され(ステップS4B)、印刷物38(保護膜付印刷物42又は無被覆印刷物43)の印刷に用いる入力側プロファイル及び出力側プロファイルがそれぞれ選択される(ステップS5B、S6B)。ここで、ガマット一致印刷モードが「ON」(図4のラジオボタン110a)に選択されているので、ラミネートフイルム40の被覆の有無に応じて異なる入力側プロファイルを印刷に用いる点に留意する。
もし、印刷物38にラミネートフイルム40を被覆する場合は、入力側プロファイルをプロファイルIPTCE{データファイル名:InputProfile(c)}とし、出力側プロファイルをプロファイルOPFとする(ステップS5B)。一方、印刷物38にラミネートフイルム40を被覆しない場合は、入力側プロファイルをプロファイルIPTC{データファイル名:InputProfile(n)}とし、出力側プロファイルをプロファイルOPFとする(ステップS6B)。このように、ラミネートフイルム40の被覆の有無に関わらず、出力側プロファイルとして同一のプロファイルOPFを用いる。これにより、使用される印刷プロファイルの総数を低減でき、データの管理が容易となる。
なお、ガマット一致印刷モードが「OFF」(図4のラジオボタン110b)に選択された場合は、ラミネートフイルム40の被覆の有無に関わらず、ステップS6Bに示す同一のプロファイル等を用いる。
次いで、作業者は、入力装置28を用いた所定の操作指示をすることで、印刷機18に印刷物38を印刷させる(ステップS7B)。次いで、作業者は、必要に応じて印刷物38に対してラミネート処理を施させる(ステップS8B)。このときの印刷システム10Bの動作は、第1実施形態(図6のステップS7A及びS8A)と同様であるから、詳細な説明を省略する。
この結果、ステップS5B(図10参照)を経て得られた保護膜付印刷物42と、ステップS6B(同参照)を経て得られた無被覆印刷物43との色の見え方が略一致する。この動作原理について、図12A〜図13Bを参照しながら詳細に説明する。
以下、図13A及び図13Bにおいて、A1は電子原稿を表すデバイス依存データであり、A2は印刷制御信号を表すデバイス依存データである。図12A〜図13Bにおいて、GF、GL、GT、GC、及びGC*L-1は、デバイス依存データ、保護膜付印刷物42又は無被覆印刷物43として色再現可能なガマットを表す。
図13Aは、図10のステップS5Bを経て形成された保護膜付印刷物42の色変換処理を表す概略説明図である。
入力側プロファイル処理部80は、第1変換部200と、調整処理部206と、拡大処理部202とから構成されている。出力側プロファイル処理部82は、第2変換部204から構成されている。なお、入力側プロファイル処理部80では1回のLUT演算処理が行われるが、本発明の技術的理解を容易にするため、第1変換部200と、調整処理部206及び拡大処理部202の各機能に分けてそれぞれ説明する。
デバイス依存データA1は、第1変換部200により、目標ガマットGTの範囲内の色値を表すデバイス非依存データに変換される。上述の通り、第2実施形態において、目標ガマットGTは、被覆後最大ガマットGLの部分集合でないものとする(図12A参照)。
その後、デバイス非依存データ(目標ガマットGT)は、調整処理部206により、補正ガマットGCの範囲内の色値を表すデバイス非依存データに変換される。ここで、補正ガマットGCは、目標ガマットGTから被覆後最大ガマットGLに所定のガマットマッピング処理を行うことで得られるガマットである。
その後、デバイス依存データ(補正ガマットGC)は、拡大処理部202により、拡大された補正ガマットGT*L-1の範囲内の色値を表すデバイス非依存データに変換される。ここで、拡大された補正ガマットGC*L-1は、ラミネートフイルム40の被覆に伴うガマット縮小効果を見越して、補正ガマットGCの範囲内の色を再現する保護膜付印刷物42を得るための、中間生成物としての印刷物38のガマットである。
その後、デバイス非依存データ(拡大された補正ガマットGC*L-1)は、第2変換部204により、デバイス依存データA2に変換される。デバイス依存データA2は、適切な色の印刷物38を印刷機18に印刷させるための印刷データとして用いられる。印刷された印刷物38は、拡大された補正ガマットGC*L-1の範囲内の色を再現する。
そして、ラミネート処理装置20を用いて、印刷物38にラミネートフイルム40を被覆させた保護膜付印刷物42が得られる。このとき、保護膜付印刷物42のガマットは、ラミネートフイルム40の被覆処理により、拡大された補正ガマットGC*L-1(印刷物38のガマット)が所定の量(演算子「*L」に相当する量)だけ縮小される。すなわち、保護膜付印刷物42は、補正ガマットGCの範囲内の色を再現する。
一方、図13Bは、図10のステップS6Bを経て形成された無被覆印刷物43の色変換処理を表す概略説明図である。入力側プロファイル処理部80は、第1変換部200と、調整処理部206とから構成されている。出力側プロファイル処理部82は、第2変換部204から構成されている。
デバイス依存データA1は、第1変換部200により、目標ガマットGTの範囲内の色値を表すデバイス非依存データに変換される。その後、デバイス非依存データ(目標ガマットGT)は、調整処理部206により、補正ガマットGCの範囲内の色値を表すデバイス非依存データに変換される。その後、デバイス非依存データ(補正ガマットGC)は、第2変換部204により、デバイス依存データA2に変換される。デバイス依存データA2は、適切な色の印刷物38を印刷機18に印刷させるための印刷データとして用いられる。印刷された印刷物38は、補正ガマットGCの範囲内の色を再現する。
このように、ラミネートフイルム40の被覆態様に応じて選択するプロファイルとして入力側プロファイルを用いてもよい。これにより、出力側プロファイルを用いた第1実施形態(図6参照)と同様の作用効果が得られる。
なお、プロファイルの生成方法はこれらに限られず、種々の組合せを用いることができる。先ず、図14〜図16を参照しながら、保護膜付印刷物42の色変換処理に適切な入力側プロファイル及び出力側プロファイルの選択方法について詳細に説明する。
図14に示すように、第1変換部200、調整処理部206、拡大処理部202及び第2変換部204の順番で色変換処理を行う場合、以下の組合せで入力側プロファイル及び出力側プロファイルを選択することができる。
色変換方法M11では、入力側プロファイルとしてプロファイルIPTを用いるとともに、出力側プロファイルとしてプロファイルOPCEFを用いる。プロファイルIPTは、第1変換部200での色変換処理を実行するための色変換テーブルを備える。出力側プロファイルOPCEFは、調整処理部206、拡大処理部202及び第2変換部204での色変換処理を一度に実行するための色変換テーブルを備える。
色変換方法M12では、入力側プロファイルとしてプロファイルIPTCを用いるとともに、出力側プロファイルとしてプロファイルOPEFを用いる。プロファイルIPTCは、第1変換部200及び調整処理部206での色変換処理を一度に実行するための色変換テーブルを備える。出力側プロファイルOPEFは、拡大処理部202及び第2変換部204での色変換処理を一度に実行するための色変換テーブルを備える。
色変換方法M13では、入力側プロファイルとしてプロファイルIPTCEを用いるとともに、出力側プロファイルとしてプロファイルOPFを用いる。プロファイルIPTCEは、第1変換部200、調整処理部206及び拡大処理部202での色変換処理を一度に実行するための色変換テーブルを備える。出力側プロファイルOPFは、第2変換部204での色変換処理を実行するための色変換テーブルを備える。なお、色変換方法M13は、図13Aに示した色変換方法に対応する。
また、図14に示す各色変換処理の順番を適宜変更してもよい。最大ガマットGF、被覆時最大ガマットGL、及び目標ガマットGTが、図15A(図12Aと同一の図である。)に示す配置関係にあるとする。
拡大変化情報InfoExが既知である場合、目標ガマットGTからその拡大形状(図15Bのガマット184に相当する。以下、「拡大された目標ガマットGT*L-1」という。)が予測される。その後、最大ガマットGFの範囲内の色に収まるように、拡大された目標ガマットGT*L-1を補正してもよい。以下、ここで得られるガマット186(図15Cのハッチング領域)を「補正された拡大ガマットGC’*L-1」という。
補正された拡大ガマットGC’*L-1が得られるよう適切に色再現された印刷物38に対して、ラミネートフイルム40を被覆させる。すると、印刷物38のガマットが所定の量(演算子「*L」に相当する量)だけ縮小され、補正ガマットGC’を備える保護膜付印刷物42が形成される。この補正ガマットGC’は、補正ガマットGCに略一致する。
この場合における、保護膜付印刷物42を形成する際の色変換処理について説明する。図16に示すように、第1変換部200、拡大処理部202、調整処理部206及び第2変換部204の順番で色変換処理を行う場合、以下の組合せで入力側プロファイル及び出力側プロファイルを生成することができる。
色変換方法M14では、入力側プロファイルとしてプロファイルIPTを用いるとともに、出力側プロファイルとしてプロファイルOPECFを用いる。プロファイルIPTは、第1変換部200での色変換処理を実行するための色変換テーブルを備える。出力側プロファイルOPECFは、拡大処理部202、調整処理部206及び第2変換部204での色変換処理を一度に実行するための色変換テーブルを備える。
色変換方法M15では、入力側プロファイルとしてプロファイルIPTEを用いるとともに、出力側プロファイルとしてプロファイルOPCFを用いる。プロファイルIPTEは、第1変換部200及び拡大処理部202での色変換処理を一度に実行するための色変換テーブルを備える。出力側プロファイルOPCFは、調整処理部206及び第2変換部204での色変換処理を一度に実行するための色変換テーブルを備える。
色変換方法M16では、入力側プロファイルとしてプロファイルIPTEを用いるとともに、出力側プロファイルとしてプロファイルOPFを用いる。プロファイルIPTEは、第1変換部200及び拡大処理部202での色変換処理を一度に実行するための色変換テーブルを備える。出力側プロファイルOPFは、第2変換部204での色変換処理を実行するための色変換テーブルを備える。本方法において、出力側プロファイル処理部82は、予め指定されたレンダリングインテントに基づいて調整処理部206に相当する色変換処理を行う。なお、レンダリングインテントは、ICCで定義された変数であって、出力装置の色再現目的を決定する。
色変換方法M17では、入力側プロファイルとしてプロファイルIPTECを用いるとともに、出力側プロファイルとしてプロファイルOPFを用いる。プロファイルIPTECは、第1変換部200、拡大処理部202及び調整処理部206での色変換処理を一度に実行するための色変換テーブルを備える。出力側プロファイルOPFは、第2変換部204での色変換処理を実行するための色変換テーブルを備える。
すなわち、プロファイルIPTは、色再現の目標とされる目標ガマットGT(図15A及び図15B参照)の範囲内の色を適切に入力制御するための目標プロファイルである。また、プロファイルIPTEは、拡大された目標ガマットGT*L-1(図15B及び図15C参照)の範囲内の色を適切に入力制御するための目標プロファイルである。さらに、プロファイルIPTECは、補正された拡大ガマットGC’*L-1(図15C参照)の範囲内の色を適切に入力制御するための目標プロファイルである。
続いて、図17〜図19を参照しながら、無被覆印刷物43の色変換処理に適切な入力側プロファイル及び出力側プロファイルの選択方法について詳細に説明する。
図17に示すように、第1変換部200、調整処理部206及び第2変換部204の順番で色変換処理を行う場合、以下の組合せでプロファイルを用いることができる。
色変換方法M21では、入力側プロファイルとしてプロファイルIPTを用いるとともに、出力側プロファイルとしてプロファイルOPCFを用いる。プロファイルIPTは、第1変換部200での色変換処理を実行するための色変換テーブルを備える。出力側プロファイルOPFは、調整処理部206及び第2変換部204での色変換処理を一度に実行するための色変換テーブルを備える。
色変換方法M22では、入力側プロファイルとしてプロファイルIPTCを用いるとともに、出力側プロファイルとしてプロファイルOPFを用いる。プロファイルIPTCは、第1変換部200及び調整処理部206での色変換処理を一度に実行するための色変換テーブルを備える。出力側プロファイルOPFは、第2変換部204での色変換処理を実行するための色変換テーブルを備える。
また、図18に示すように、第1変換部200、調整処理部206、拡大処理部202、縮小処理部208及び第2変換部204の順番で色変換処理を行うようにしてもよい。ここで、縮小処理部208は、ラミネートフイルム40の被覆によるガマット縮小を再現する色変換処理部である。拡大処理部202及び縮小処理部208は相互に逆変換の関係にある。
色変換方法M23では、入力側プロファイルとしてプロファイルIPTCEを用いるとともに、出力側プロファイルとしてプロファイルOPSFを用いる。プロファイルIPTCEは、第1変換部200、調整処理部206及び拡大処理部202での色変換処理を一度に実行するための色変換テーブルを備える。出力側プロファイルOPCFは、縮小処理部208及び第2変換部204での色変換処理を一度に実行するための色変換テーブルを備える。なお、プロファイルOPSFは、プロファイルOPLに一致する。
例えば、保護膜付印刷物42の形成の際に色変換方法M17を用い、無被覆印刷物43の形成の際に色変換方法M23を用いる。この場合、入力側プロファイルとして共通のプロファイルIPTECを用いることができる。
また、図15A〜図15Cと同様に、調整処理部206の順番を変更してもちよい。第1変換部200、拡大処理部202、調整処理部206、縮小処理部208及び第2変換部204の順番で色変換処理を行う場合、以下の組合せでプロファイルを用いることができる。
図19に示す色変換方法M24では、入力側プロファイルとしてプロファイルIPTを用いるとともに、出力側プロファイルとしてプロファイルOPECSFを用いる。プロファイルIPTは、第1変換部200での色変換処理を実行するための色変換テーブルを備える。出力側プロファイルOPECSFは、拡大処理部202、調整処理部206、縮小処理部208及び第2変換部204での色変換処理を一度に実行するための色変換テーブルを備える。
色変換方法M25では、入力側プロファイルとしてプロファイルIPTEを用いるとともに、出力側プロファイルとしてプロファイルOPCSFを用いる。プロファイルIPTEは、第1変換部200及び拡大処理部202での色変換処理を一度に実行するための色変換テーブルを備える。出力側プロファイルOPCSFは、調整処理部206、縮小処理部208及び第2変換部204での色変換処理を一度に実行するための色変換テーブルを備える。
色変換方法M26では、入力側プロファイルとしてプロファイルIPTEを用いるとともに、出力側プロファイルとしてプロファイルOPSF(プロファイルOPLに相当する。)を用いる。プロファイルIPTEは、第1変換部200及び拡大処理部202での色変換処理を一度に実行するための色変換テーブルを備える。出力側プロファイルOPSFは、縮小処理部208及び第2変換部204での色変換処理を一度に実行するための色変換テーブルを備える。本方法において、出力側プロファイル処理部82は、予め指定されたレンダリングインテントに基づいて調整処理部206に相当する色変換処理を行う。
色変換方法M27では、入力側プロファイルとしてプロファイルIPTECを用いるとともに、出力側プロファイルとしてプロファイルOPSF(プロファイルOPLに相当する。)を用いる。プロファイルIPTECは、第1変換部200、拡大処理部202及び調整処理部206での色変換処理を一度に実行するための色変換テーブルを備える。出力側プロファイルOPCSFは、縮小処理部208及び第2変換部204での色変換処理を一度に実行するための色変換テーブルを備える。
色変換方法M28では、入力側プロファイルとしてプロファイルIPTECSを用いるとともに、出力側プロファイルとしてプロファイルOPFを用いる。プロファイルIPTECSは、第1変換部200、拡大処理部202、調整処理部206及び縮小処理部208での色変換処理を一度に実行するための色変換テーブルを備える。出力側プロファイルOPFは、第2変換部204での色変換処理を実行するための色変換テーブルを備える。
このようにして、上記したいずれかの入力側プロファイル及び出力側プロファイルの組合せを選択し、色変換処理を施すようにしてもよい。
例えば、ラミネートフイルム40の被覆態様に関わらず所定の目標プロファイルを入力側プロファイルとして用いるとともに、ラミネートフイルム40の被覆態様に応じたプロファイルを出力側プロファイルとして用いて色変換処理を行うようにしてもよい。
例えば、色変換方法M11と色変換方法M21(又は色変換方法M24)とを選択すれば、共通するプロファイルIPTを入力側プロファイルとして用いることができる。このとき、出力側プロファイルは、ラミネートフイルム40の被覆態様に応じてプロファイルOPCEFとプロファイルOPCF(又はプロファイルOPECSF)のいずれかが選択される。
また、色変換方法M13と色変換方法M22(又は色変換方法M28)とを選択すれば、共通するプロファイルOPFを出力側プロファイルとして用いることができる。このとき、入力側プロファイルは、ラミネートフイルム40の被覆態様に応じてプロファイルIPTCEとプロファイルIPTC(又はプロファイルIPTECS)のいずれかが選択される。
続いて、第3実施形態に係る印刷システム10Cについて、図20〜図22Bを参照しながら説明する。なお、印刷システム10Cにおいて、第1実施形態に係る印刷システム10A(特に図1〜図5参照)と同じ構成要素については、同じ参照符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下同様とする。
図20は、第3実施形態に係る印刷システム10Cの斜視説明図である。印刷機18等の設置場所220と異なる他サイト222にラミネート処理装置20が設置されている点で、印刷システム10Aの構成と異なっている。このラミネート処理装置20は、印刷機18により印刷された印刷物38に対して、特殊な(例えば入手が困難で、高額な)ラミネートフイルム40を被覆可能である。あるいは、ラミネート処理装置20は、液体ラミネート加工やニス加工等の特殊なラミネート処理を施すことができる。
その他の各構成要素については、第1実施形態の各構成(図2〜図5を参照)と同様であるから、その説明を省略する。第3実施形態に係る印刷システム10Cは、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作について説明する。
図21は、印刷システム10Cを用いて適切な色の保護膜付印刷物42を得るためのフローチャートである。
先ず、作業者は、形成しようとする保護膜付印刷物42に関する印刷条件やその観察態様を調査する(ステップS1C)。なお、第3実施形態では、印刷物38にラミネートフイルム40を被覆することを前提とする。
次いで、作業者は、入力装置28を用いた所定の操作指示をすることで、画像処理装置16にプロファイルを取得させる(ステップS2C)。プロファイルの取得方法あるいは生成方法について、第1実施形態(図6のステップS2A参照)又は第2実施形態(図10のステップS2B参照)のどちらの方法を適用してもよい。
次いで、作業者は、入力装置28を用いた所定の操作指示をすることで、印刷機18に印刷物38を模擬印刷させる(ステップS3C)。ここで、「模擬印刷」とは、ラミネートフイルム40の被覆結果を予測した上で、保護膜付印刷物42の色再現状態を模擬して印刷物38を印刷することをいう。なお、印刷システム10Cの設置場所220でこの模擬印刷は行われる。
図22Aは、保護膜付印刷物42の色再現状態を模擬した印刷物38の色変換処理を表す概略説明図である。本図は、図9B(第1実施形態)に示す構成と基本的には同一である。
電子原稿のデータA1は、第1変換部200によりデバイス非依存データ(目標ガマットGT)に変換される。その後、デバイス非依存データ(目標ガマットGT)は、第2変換部204により印刷制御信号のデータA2に変換され、印刷機18に印刷させるための印刷データとして用いられる。印刷された無被覆印刷物43は、目標ガマットGTの範囲内の色を再現する。後述するように、この無被覆印刷物43は、保護膜付印刷物42の色を擬似的に再現している。
なお、色変換方法は上記した方法に限られることなく、図17〜図19に示した色変換方法M21〜M28を用いてもよい。
次いで、図21に戻って、作業者は、印刷物38のカラー画像の色を評価し(ステップS4C)、画像の色が適切か否かを判断する(ステップS5C)。所望の色合いが得られたか否かについての評価方法としては、画像の全体的外観又は部分的外観に着目し、作業者等の目視により良否を判断する方法、あるいは、測色計22を用いて印刷物38の所定の箇所を測色し、その値が所望の範囲内に収まるか否かで判断する方法等が使用される。
この画像評価の結果、印刷物38の画像の色が適切でないと判断された場合は、色の微調整を行う(ステップS6C)。この具体的方法としては、電子原稿の色補正、プロファイルの再選択・再生成や、プロファイルの微調整(現在選択されているプロファイルの補正)等が挙げられる。
以下、印刷と評価を繰り返すことにより(ステップS2C〜S6C)、所望の色の印刷物38が得られる。
次いで、作業者は、入力装置28を用いた所定の操作指示をすることで、印刷機18に印刷物38を本番印刷させる(ステップS7C)。ここで、「本番印刷」とは、ラミネートフイルム40を被覆させるために印刷物38を正式に印刷することをいう。
図22Bは、保護膜付印刷物42を形成するための色変換処理を表す概略説明図である。本図は、図9Aに示す構成と基本的には同一であるが、ラミネート処理装置20の設置位置が他サイト222である点で異なる。
電子原稿のデータA1は、第1変換部200によりデバイス非依存データ(目標ガマットGT)に変換される。その後、デバイス非依存データ(目標ガマットGT)は、拡大処理部202によりデバイス非依存データ(拡大された目標ガマットGT*L-1)に変換される。その後、デバイス非依存データ(拡大された目標ガマットGT*L-1)は、第2変換部204により印刷制御信号のデータA2に変換され、印刷機18に印刷させるための印刷データとして用いられる。印刷された印刷物38は、拡大された目標ガマットGT*L-1の範囲内の色を再現する。
なお、色変換方法は上記した方法に限られることなく、図14及び図16に示した色変換方法M11〜M17を用いてもよい。
次いで、作業者は、ステップS7Cで印刷された印刷物38を印刷システム10Cの設置場所220から搬出する(ステップS8C)。印刷物38は、ラミネート処理装置20が設置された他サイト222に搬送される。
次いで、作業者は、ラミネート処理装置20を操作することで、印刷物38に対してラミネート処理を施させる(ステップS9C)。図22Bの右方部に示すように、保護膜付印刷物42のガマットは、ラミネートフイルム40の被覆処理により、拡大された目標ガマットGT*L-1(印刷物38のガマット)が所定の量(演算子「*L」に相当する量)だけ縮小されて、目標ガマットGTに変化される。すなわち、ステップS5Cで色が適切と判断された印刷物38と略同じ色再現がされた保護膜付印刷物42が得られる。
このように構成したので、印刷物38にラミネートフイルム40を被覆することなく保護膜付印刷物42の色再現を確認することが可能であり、保護膜付印刷物42の色調整作業に要する工数、具体的には、ラミネートフイルム40の被覆処理や印刷物38の搬入・搬出等の工数を大幅に低減できる。
なお、この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
第1〜第3実施形態では、入力側プロファイル又は/及び出力側プロファイルを予め生成・記憶しておき、印刷の都度に記憶部78から読み出す構成を採っている。例えば、図4のラジオボタン112a(種類)の選択に応じて、プロファイルIPT、プロファイルOPF及び変化情報Infoに基づいて、印刷の都度に、プロファイル生成部62に出力側/入力側プロファイルを生成(又は補正)させるようにしてもよい。これにより、プロファイル生成のための作業工数(ラミネートフイルム40の被覆、カラーチャート38cの測色等)を低減することができる。また、記憶部78に記憶するデータファイル数(データ容量)を低減することもできる。
また、第1〜第3実施形態では、印刷機18がインクジェット方式である構成を採っているがこれに限定されることなく、電子写真、感熱方式等であっても本発明の作用効果を得ることができる。