JP5459261B2 - 内燃機関の排気制御装置 - Google Patents
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Description
このことから、特許文献1のように内燃機関の空燃比を理論空燃比を挟みリッチ側とリーン側とに変調させ、三元触媒に流入する酸素濃度を三元触媒の酸素ストレージ容量の範囲で可及的に大きくして、三元触媒の昇温を促進させる技術が開発されている。また、特許文献2のように内燃機関始動後のフィードバック制御開始前に空燃比を強制的に変調させると共に、このときの空燃比の変調の振幅及び周期をフィードバック制御時に比べて排気の酸素(O2)濃度及びCO濃度が共に高くなるように設定し、三元触媒上に十分な量のCOやO2を供給して三元触媒の昇温を促進させる技術や、特許文献3のように、内燃機関始動後に空燃比の強制変調を実行すると共に、空燃比の中心空燃比を触媒温度の上昇に伴ってリーン空燃比側からリッチ空燃比側にシフトし、三元触媒上に適切な量のCOやO2を供給して三元触媒の昇温を促進させる技術も開発されている。
しかしながら、排気流量の増大等により、排気中の化学物質の更なる低減を行うには、三元触媒の容量の増大が必要となる。三元触媒には白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の高価な貴金属が使用されており、三元触媒の容量の増加は、コストの増大につながり好ましいことではない。
また、請求項3の内燃機関の排気浄化装置では、請求項1或いは2において、前記空燃比変調制御手段は、予め触媒温度を触媒活性前温度領域と、前記触媒活性前温度領域よりも高い触媒暖機後温度領域と、前記触媒活性前温度領域よりも高く前記触媒暖機後温度領域よりも低い触媒活性促進温度領域とに分割された領域設定手段を有し、前記前段排気浄化触媒温度或いは前記後段排気浄化触媒温度と前記領域設定手段とに基づき、前記前段排気浄化触媒温度或いは前記後段排気浄化触媒温度が前記領域設定手段の前記触媒活性前温度領域内である場合に前記変調振幅を小さく設定し、前記前段排気浄化触媒温度或いは前記後段排気浄化触媒温度が前記領域設定手段の前記触媒暖機後温度領域内である場合に前記変調振幅を前記触媒活性前温度領域の変調振幅よりも大きく設定し、更に前記前段排気浄化触媒温度或いは前記後段排気浄化触媒温度が前記領域設定手段の前記触媒活性促進温度領域である場合に前記変調振幅を前記触媒暖機後温度領域の変調振幅よりも大きく設定することを特徴とする。
また、請求項6の内燃機関の排気制御装置では、請求項1乃至5のいずれか1項において、前記空燃比変調制御手段は、前記リーン空燃比とリッチ空燃比との間での変調の1サイクルにおいて、リッチ空燃比での当量比と量論比との差の絶対値であるリッチ化度合いがリーン空燃比での当量比と前記量論比との差の絶対値であるリーン化度合いより大きいことを特徴とする。
このように、吸入空気量によって、前段排気浄化触媒温度と後段排気浄化触媒温度とを使い分け、リーン空燃比とリッチ空燃比との変調の振幅を設定しているので、例えば、吸入空気量が少なく、故に排気流量が少なくなり、前段排気浄化触媒のみで排気中の化学成分を浄化可能な場合には、前段排気浄化触媒温度によって変調の振幅を変えることで、触媒の昇温の促進や触媒で浄化されずに排出されるCO及びHCを抑制することができる。また、吸入空気量が多く、故に排気流量が多くなり、前段排気浄化触媒と後段排気浄化触媒とで排気中の化学成分を浄化する必要がある場合には、後段排気浄化触媒温度によって変調の振幅を変えることで、触媒の昇温の促進や触媒で浄化されずに排出されるCO及びHCを抑制することができる。
また、請求項2の発明によれば、触媒温度と変調振幅とのマップを有し、前段排気浄化触媒温度或いは後段排気浄化触媒温度とマップとに基づき、変調振幅を設定するようにしている。
従って、触媒活性前には触媒をスリップしてCO及びHCが排出されることを抑制し、触媒の昇温が必要な場合には、触媒の昇温を促進し、更に触媒の昇温が完了すると触媒の温度を維持することができるので、前段排気浄化触媒と後段排気浄化触媒とを効率的に使用し排気中の化学物質を浄化することができ、排気浄化触媒に用いる貴金属の使用量を抑え、排気浄化触媒のコストを抑制することができる。また、触媒の暖機完了後の温度領域では、不要な燃料噴射を抑制しているので燃費を向上することができる。また、吸入空気量が所定空気量以下である場合と、吸入空気量が前記所定空気量よりも多い場合との夫々において、触媒温度に基づいて変調振幅を容易に設定することができる。
このように、吸入空気量により、前段排気浄化触媒下流の酸素濃度と後段排気浄化触媒下流の酸素濃度とを使い分け、リーン空燃比とリッチ空燃比との空燃比の平均値を設定しているので、例えば、吸入空気量が少なく、そして排気流量が少なく前段排気浄化触媒のみで排気中の化学成分を浄化可能な場合には、前段排気浄化触媒下流の酸素濃度によって空燃比の平均値を変えることで、触媒の昇温の促進や触媒で浄化されずに排出されるCO及びHCを抑制することができる。また、吸入空気量が多く、そして排気流量が多く、前段排気浄化触媒と後段排気浄化触媒とで排気中の化学成分を浄化する必要がある場合には、後段排気浄化触媒下流の酸素濃度によって空燃比の平均値を変えることで、触媒の昇温の促進や触媒で浄化されずに排出されるCO及びHCを抑制することができる。
また、請求項5の発明によれば、リーン空燃比とリッチ空燃比との間での変調の1サイクルにおいて、リーン空燃比である期間をリッチ空燃比である期間よりも長くするようにしているので、触媒でのHC及びNOxの浄化効率を高くすることができる。よって、排気浄化触媒に用いる貴金属の使用量を抑えてコストを抑制することができる。
また、請求項8の発明によれば、前段排気浄化触媒或いは後段排気浄化触媒の下流の空燃比がリーン直後には空燃比の平均値をリッチ側にシフトし、空燃比がリッチ直後には空燃比の平均値をリーン側にシフトし、シフト後に空燃比の平均値をシフト前の空燃比の平均値に復帰するようにしており、請求項3と同様に、排気浄化触媒に用いる貴金属の使用量を抑えて、コストを抑制することができる。
図1は、内燃機関の排気制御装置が適用された吸気ポート燃料噴射エンジン(以下、エンジン1という)(内燃機関)の概略構成図である。
図1に示すように、エンジン1は、吸気マニホールド21に配設された燃料噴射弁22から吸気バルブ14に向け吸気ポート12内へ燃料を噴射する4サイクル直列4気筒型ガソリンエンジンである。図1にはエンジン1の1つの気筒についての縦断面が示されている。なお、他の気筒についても同様の構成をしているものとして図示及び説明を省略する。
シリンダブロック2には、エンジン1を冷却する冷却水の温度を検出する水温センサ4が設けられている。また、シリンダブロック2に形成されているシリンダ5内には上下摺動可能にピストン6が設けられている。当該ピストン6はコンロッド7を介してクランクシャフト8に連結されている。また、シリンダブロック2には、当該エンジン1の回転速度及びクランクシャフト8の位相を検出するクランク角センサ9が設けられている。また、シリンダヘッド3とシリンダ5とピストン6で燃焼室10が形成されている。
一方、シリンダヘッド3の吸気マニホールド21が接続された側面とは反対側の側面には、排気ポート13と連通するように排気マニホールド29が接続されている。排気マニホールド29の排気下流端には、排気管(排気通路)30が連通するように接続されている。また、排気管30の排気下流には、排気中のCO、HC及びNOxを浄化する機能を有する前段三元触媒(前段排気浄化触媒)31が備えられている。そして、前段三元触媒31には、前段三元触媒31の温度を検出するフロント温度センサ(第1の温度検出手段)32が配設されている。また、排気管30の前段三元触媒31の下流には、前段三元触媒31を通過した排気中の酸素濃度を検出するフロントO2センサ(第1の酸素濃度検出手段)33が配設されている。更に、フロントO2センサ33の排気下流の排気管30には、排気中のCO、HC及びNOxを浄化する機能を有する後段三元触媒(後段排気浄化触媒)34が備えられている。そして、後段三元触媒34には、後段三元触媒34の温度を検出するリヤ温度センサ(第2の温度検出手段)35が配設されている。また、排気管30の後段三元触媒34の下流には、後段三元触媒34を通過した排気中の酸素濃度を検出するリヤO2センサ(第2の酸素濃度検出手段)36が配設されている。
そして、エンジン1の運転制御をはじめとして総合的な制御を行うための制御装置であり、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、中央処理装置(CPU)等を含んで構成される電子コントロールユニット(空燃比変調制御手段)(ECU)40を備えている。
次にECU40での空燃比制御について説明する。
ステップS12では、フロントO2センサ33及びリヤO2センサ36の出力信号に基づき、当該O2センサ33,36の活性条件を検出する。そして、ステップS14に進む。
ステップS16では、エアフローセンサ27の検出信号より、吸入空気量を検出する。そして、ステップS18に進む。
このように本発明の内燃機関の排気制御装置では、A/F変調制御は、吸入空気量が所定空気量以下である場合には前段三元触媒31を制御対象とし前段三元触媒温度に基づいてA/F変調制御の変調振幅を設定し、吸入空気量が所定空気量より多い場合には後段三元触媒34を制御対象とし後段三元触媒温度に基づいてA/F変調制御の変調振幅を設定している。
また、変調振幅をマップと前段三元触媒温度或いは後段三元触媒温度とに基づいて決定しているので、触媒活性前には触媒をスリップしてCO及びHCが排出されることを抑制し、触媒の昇温が必要な場合には、触媒の昇温を促進し、更に触媒の昇温が完了すると触媒の温度を維持することができるので、前段排気浄化触媒と後段排気浄化触媒とを効率的に使用し排気中の化学物質を浄化することができる。また、触媒の暖機完了後の温度領域では、不要な燃料噴射を抑制しているので燃費を向上することができる。
また、A/F変調制御の1サイクルにおいてリッチ度合がリーン度合いよりも大きくなるように、A/F変調制御の空燃比の波形パターンを決定するようにしているので、内層のパラジウムに排気中のCO及びHCをより多く吸着させることができ、リーン空燃比時にNOx浄化効率を高くすることができる。
以上で本発明の実施形態の説明を終えるが、本発明の実施形態は上記実施形態に限定されるものではない。
また、マップと前段三元触媒温度或いは後段三元触媒温度とに基づいて変調振幅を決定するようにしているが、これに限定されるものではなく、例えば、図4に示すように、触媒温度により触媒の状態を示す領域を設定(ここでは、触媒活性前領域、触媒活性促進領域、触媒暖機後領域)し、領域に応じて、触媒活性前領域内であれば変調振幅を小さく設定し、触媒暖機後領域内であれば変調振幅を触媒活性前領域の変調振幅よりも大きく設定し、更に触媒活性促進領域である場合に変調振幅を触媒暖機後領域の変調振幅よりも大きく、それぞれの領域で一律的に変調振幅を決定しても良い。
27 エアフローセンサ(吸入空気量検出手段)
30 排気管(排気通路)
31 前段三元触媒(前段排気浄化触媒)
32 フロント温度センサ(第1の温度検出手段)
33 フロントO2センサ(第1の酸素濃度検出手段)
34 後段三元触媒(後段排気浄化触媒)
35 リヤ温度センサ(第2の温度検出手段)
36 リヤO2センサ(第2の酸素濃度検出手段)
40 ECU(空燃比変調制御手段)
Claims (8)
- 内燃機関の排気通路に設けられた前段排気浄化触媒と、
前記前段排気浄化触媒の下流に設けられた後段排気浄化触媒と、
前記前段排気浄化触媒の温度を検出する第1の温度検出手段と、
後段排気浄化触媒の温度を検出する第2の温度検出手段と、
前記内燃機関に吸入される吸入空気量を検出する吸入空気量検出手段と、
前記第1の温度検出手段、第2の温度検出手段及び前記吸入空気量検出手段に基づき、前記内燃機関の排気の空燃比をリーン空燃比とリッチ空燃比との間で強制的に変調させる空燃比変調制御手段と、を備え、
前記空燃比変調制御手段は、前記吸入空気量が所定空気量以下である場合に、前記前段排気浄化触媒温度に基づき、リーン空燃比とリッチ空燃比との変調振幅を設定し、前記吸入空気量が前記所定空気量よりも多い場合に、前記後段排気浄化触媒温度に基づき、前記変調振幅を設定することを特徴とする内燃機関の排気制御装置。 - 前記空燃比変調制御手段は、予め触媒温度と前記変調振幅とのマップを有し、
前記前段排気浄化触媒温度或いは前記後段排気浄化触媒温度と前記マップとに基づき、前記変調振幅を設定することを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の排気制御装置。 - 前記空燃比変調制御手段は、予め触媒温度を触媒活性前温度領域と、前記触媒活性前温度領域よりも高い触媒暖機後温度領域と、前記触媒活性前温度領域よりも高く前記触媒暖機後温度領域よりも低い触媒活性促進温度領域とに分割された領域設定手段を有し、
前記前段排気浄化触媒温度或いは前記後段排気浄化触媒温度と前記領域設定手段とに基づき、前記前段排気浄化触媒温度或いは前記後段排気浄化触媒温度が前記領域設定手段の前記触媒活性前温度領域内である場合に前記変調振幅を小さく設定し、前記前段排気浄化触媒温度或いは前記後段排気浄化触媒温度が前記領域設定手段の前記触媒暖機後温度領域内である場合に前記変調振幅を前記触媒活性前温度領域の変調振幅よりも大きく設定し、更に前記前段排気浄化触媒温度或いは前記後段排気浄化触媒温度が前記領域設定手段の前記触媒活性促進温度領域である場合に前記変調振幅を前記触媒暖機後温度領域の変調振幅よりも大きく設定することを特徴とする、請求項1或いは2に記載の内燃機関の排気制御装置。 - 前記前段排気浄化触媒と前記後段排気浄化触媒との間に設けられ、排気の酸素濃度を検出する第1の酸素濃度検出手段と、
前記後段排気浄化触媒の下流に設けられ、排気の酸素濃度を検出する第2の酸素濃度検出手段と、を備え、
前記空燃比変調制御手段は、
前記吸入空気量が前記所定空気量以下であるときには、前記第1の酸素濃度検出手段の検出結果に基づき、リーン空燃比とリッチ空燃比との空燃比の平均値を設定し、
前記吸入空気量が前記所定空気量よりも多いときには、前記第2の酸素濃度検出手段の検出結果に基づき、前記空燃比の平均値を設定することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の内燃機関の排気制御装置。 - 前記空燃比変調制御手段は、前記リーン空燃比とリッチ空燃比との間での変調の1サイクルにおいて、リーン空燃比である期間をリッチ空燃比である期間よりも長くすることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の内燃機関の排気制御装置。
- 前記空燃比変調制御手段は、前記リーン空燃比とリッチ空燃比との間での変調の1サイクルにおいて、リッチ空燃比での当量比と量論比との差の絶対値であるリッチ化度合いがリーン空燃比での当量比と前記量論比との差の絶対値であるリーン化度合いより大きいことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の内燃機関の排気制御装置。
- 前記前段排気浄化触媒の状態を検出する第1の触媒状態検出手段と、
前記後段排気浄化触媒の状態を検出する第2の触媒状態検出手段と、を備え、
前記空燃比変調制御手段は、前記吸入空気量が前記所定空気量以下であるときには、前記第1の触媒状態検出手段の検出結果に基づいて、前記前段排気浄化触媒の状態がリーン雰囲気である場合に前記空燃比の平均値をリッチ側にシフトし、前記前段排気浄化触媒の状態がリッチ雰囲気である場合に前記空燃比の平均値をリーン側にシフトして、当該シフト後に前記空燃比の平均値をシフト前の空燃比の平均値に復帰させるとともに、
前記吸入空気量が前記所定空気量より多いときには、前記第2の触媒状態検出手段の検出結果に基づいて、前記後段排気浄化触媒の状態がリーン雰囲気である場合に前記空燃比の平均値をリッチ側にシフトし、前記後段排気浄化触媒の状態がリッチ雰囲気である場合に前記空燃比の平均値をリーン側にシフトして、当該シフト後に前記空燃比の平均値をシフト前の空燃比の平均値に復帰させることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の内燃機関の排気制御装置。 - 前記空燃比変調制御手段は、前記吸入空気量が前記所定空気量以下であるときには、前記第1の酸素濃度検出手段の検出結果に基づいて、前記前段排気浄化触媒の下流の空燃比がリーンである場合に前記空燃比の平均値をリッチ側にシフトし、前記空燃比がリッチである場合に前記空燃比の平均値をリーン側にシフトして、当該シフト後に前記空燃比の平均値をシフト前の空燃比の平均値に復帰させるとともに、
前記吸入空気量が前記所定空気量より多いときには、前記第2の酸素濃度検出手段の検出結果に基づいて、前記後段排気浄化触媒の下流の空燃比がリーンである場合に前記空燃比の平均値をリッチ側にシフトし、前記空燃比がリッチである場合に前記空燃比の平均値をリーン側にシフトして、当該シフト後に前記空燃比の平均値をシフト前の空燃比の平均値に復帰させることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の内燃機関の排気制御装置。
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