JP5457580B1 - コーヒークリーマーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】フェザリングに対する安定性及び官能的特性に優れたコーヒークリーマーを提供する。
【解決手段】生乳または脱脂乳を殺菌する殺菌工程(第1工程)と、第1工程で得られた殺菌乳を冷却する冷却工程(第2工程)と、第2工程で得られた冷却乳を予熱して真空濃縮する真空濃縮工程(第3工程)と、第3工程で得られた濃縮乳、コーヒークリーマー原料、濃縮牛乳タンパク粉末及びミルクカルシウムを常圧または真空圧力下で混合及び均質化する混合及び均質化工程(第4工程)と、第4工程で得られた均質混合物を乾燥させる乾燥工程(第5工程)と、を含むことを特徴とするコーヒークリーマーの製造方法、及びその製造方法により製造されたコーヒークリーマー。
【選択図】なし

Description

本発明は、生乳または脱脂乳を含むコーヒークリーマー(クリーミングパウダー、コーヒー用クリームパウダーとも称する)の製造方法及び当該製造方法により得られるコーヒークリーマーに関する。
長い間、コーヒーの風味を柔らかくする目的及びホワイトニングの目的で、牛乳または練乳(加糖または無加糖)がコーヒーに添加されてきたが、液状製品は保存や携帯などに不向きなことから、現在は粉末製品である植物性コーヒークリーマー(non−dairy coffee creamer)が用いられている。
しかしながら、植物性コーヒークリーマーは、植物性硬化油脂30〜35重量%、カゼインナトリウムなどのタンパク質2〜5重量%、炭水化物、乳化剤及び酸度調節剤60重量%前後で構成され、豊かな牛乳の風味を与えられないという短所を有している。
豊かな牛乳の風味を具現するためには、生乳または脱脂乳を使わなければならないが、生乳または脱脂乳は、粉末化する過程で加熱処理されることにより、牛乳タンパク質の構造変化する、あるいは、カゼインミセル(casein micelle)の構成タンパク質の遊離及び解離が水和性及びミセルの安定性を低下させ、カゼインと熱変性乳清タンパク質との複合体形成などを引き起こすことで凝固沈澱する。また、加熱変性及び凝固性は、遊離したカルシウムとタンパク質との反応によって促進され、生乳または脱脂乳を使ったコーヒークリーマーのフェザリング(feathering)現象(コーヒーにクリームなどを入れたときに羽毛のような凝固物を生じる現象)を引き起こす主要原因となる。
植物性コーヒークリーマーのタンパク質として添加されるカゼインまたはカゼインナトリウムは、乳タンパクの一種であって、牛乳の風味を現わし、均質または噴射乾燥過程による微細脂肪球粒子の安定性を維持させる役割を担う。
優れたコーヒークリーマーは、熱いコーヒーとの混合時に安定であり、かつ嗜好食品であるコーヒーの風味を柔らかくする機能も兼ね備える。カゼインまたはカゼインナトリウムを含むコーヒークリーマーは、カゼイン特有の異臭(off−flavor)を有するため、生乳または脱脂乳を用いたコーヒークリーマーよりもコーヒーの風味を柔らかくする官能的特性が劣る。
一方、生乳または脱脂乳は、牧場臭、飼料臭、及び低級脂肪酸などによる異味や異臭を生じうる。異味、異臭の原因となる成分は揮発性低級化合物であるが、これらは、プレートタイプ、管タイプ方式のように密閉空間で殺菌処理を行う間接殺菌方式の殺菌過程では揮発せず、他の成分と化学反応を引き起こして異味、異臭を生じ、牛乳のきれいな味を劣化させる大きな要因として作用する。
したがって、コーヒークリーマーの原料として生乳または脱脂乳を使う場合、熱いコーヒーとの混合時の安定性を向上させ(フェザリング現象が起こりにくくし)、殺菌処理後の異味、異臭を最小化し、様々な官能的な項目(牛乳の風味、甘さ、柔らかさ、香ばしさ、喉越し、あと味など)を理想的に調和させる努力が必要である。
従来、コーヒークリーマーの安定性向上及び官能改善のために、様々な手法が試みられた。特許文献1には、フェザリング現象が起こりにくい安定性に優れたコーヒークリーム組成物が開示されている。より詳しくは、カゼインタンパク質を含み、二リン酸塩1.5〜2.5重量%及び三リン酸塩0.2〜0.6重量%を含む、フェザリング現象が起こりにくい安定性に優れたコーヒークリーム組成物が記載されている。特許文献2には、水性コーヒー香気成分及び可溶性コーヒー固形物をクリーマー粉末に混合することで着香された可溶性クリーマー粉末を提供する技術、より詳しくは、コーヒー香気をコーヒーオイル内に捕獲してコーヒーの風味を増進させる技術が開示されている。特許公報3には、クリーマーが添加された飲料の好ましくない風味特性を低減または遮断させるのに十分な量の苦味除去剤を含む組成物が開示されている。また、特許文献4には、熱履歴指標としてF値が12以上を示し、ラクツロースを0.3%以上含む加熱処理(135℃、30秒以上)脱脂粉乳を配合し、乾燥することで製造される、フェザリングの防止された脱脂粉乳を配合した粉末クリーム及びその製造方法が開示されている。
しかしながら、上記特許文献に記載されたコーヒークリーマーは、フェザリングなどに対する安定性を向上させるまたはコーヒーの風味を増大させる、あるいは味を柔らかくすることはできるが、これらの製造に使われるカゼインナトリウム、リン酸塩、人工着香料及び苦味除去剤は健康に有害であり、コーヒーの風味が生乳または脱脂乳を使うコーヒークリーマーより劣るという問題点がある。また、上記特許文献に記載された植物性コーヒークリーマーにタンパク質として添加されるカゼインまたはカゼインナトリウムは高価な乳タンパクであり、長時間の高温工程にかかる費用などによってコストアップの問題が発生し、コーヒークリーマーの牛乳の風味増進効果に比べて非効率的であるという問題点がある。
さらに、カゼインまたはカゼインナトリウムを含むコーヒークリーマーはカゼイン特有の異臭を持っており、また、長時間高温に曝された牛乳は、加熱臭(heated smell)と呼ばれる硫黄化合物を生成して牛乳の新鮮な味を低下させるという問題点がある。代表的な硫黄化合物としてはジメチルスルフィドが挙げられ、これは殺菌牛乳製品で味と香りを最も大きく低下させる成分であり、殺菌過程で発生するジメチルスルフィドの生成を最大限に抑制させて初めてコーヒーの風味を柔らかくする官能的特性を維持することができる。
韓国登録特許第0133586号公報 韓国登録特許第0647057号公報 韓国公開特許第2007−0069176号公報 特開第2005−73527号公報
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、フェザリングに対する安定性及び官能的特性に優れたコーヒークリーマーを提供することを目的とする。
前記課題を解決するために本発明者らが鋭意研究した結果、植物性油脂、炭水化物、タンパク質及びリン酸塩を含むコーヒークリーマーにおいて、タンパク質として、生乳または脱脂乳に加えて濃縮牛乳タンパク粉末及びミルクカルシウムを使うことにより、生乳または脱脂乳を含んでもフェザリングに対して安定なコーヒークリーマーが得られることを見出した。
すなわち、本発明のコーヒークリーマーの製造方法は、生乳または脱脂乳を殺菌する殺菌工程(第1工程)と、前記第1工程で得られた殺菌乳を冷却する冷却工程(第2工程)と、前記第2工程で得られた冷却乳を予熱して真空濃縮する真空濃縮工程(第3工程)と、前記第3工程で得られた濃縮乳、コーヒークリーマー原料、濃縮牛乳タンパク粉末及びミルクカルシウムを常圧または真空圧力下で混合及び均質化する混合及び均質化工程(第4工程)と、前記第4工程で得られた均質混合物を乾燥させる乾燥工程(第5工程)と、を含むことを特徴とする。
本発明によると、健康に有益な生乳または脱脂乳を使い、かつ、安全な牛乳由来の濃縮牛乳タンパク粉末及びミルクカルシウムを添加することにより、従来のコーヒークリーマーにおいて添加物として使われているカゼインまたはカゼインナトリウムを使用せずとも、フェザリングに対して安定であり、官能的特性にも優れたコーヒークリーマーを得ることができる。
本発明のコーヒークリーマー製造方法を概略的に示すフローチャートである。 処理群1、処理群2及び対照群のコーヒークリーマーについての官能検査の結果を示すグラフである。
以下、添付した図面に基づいて本発明のコーヒークリーマー製造方法を詳細に説明する。
図1は本発明のコーヒークリーマー製造方法を概略的に示すフローチャートである。図1によると、本発明のコーヒークリーマーの製造方法は、殺菌工程(第1工程)、冷却工程(第2工程)、真空濃縮工程(第3工程)、混合及び均質化工程(第4工程)、乾燥工程(第5工程)をこの順に含む。以下、各工程について説明する。
1.殺菌工程(第1工程)
本工程は、生乳または脱脂乳を殺菌する工程であり、生乳または脱脂乳に含まれる人体に有害な微生物等を、殺菌処理することにより死滅させる。使用される殺菌法としては、牛乳に対して用いられる通常の殺菌法を制限なく使うことができ、具体的な例としては、低温長時間殺菌法(63〜65℃で30分間)、高温短時間殺菌法(72〜75℃で15〜20秒間)、及び超高温瞬間処理法(130〜150℃で0.5〜5秒間)が挙げられる。なお、本殺菌工程を経た生乳または脱脂乳を殺菌乳と称する。
2.冷却工程(第2工程)
本工程は、上記殺菌工程(第1工程)で得られた殺菌乳を冷却する工程であり、具体的には、殺菌乳を10℃以下に冷却することが好ましい。殺菌乳を10℃以下に冷却することにより微生物の発育を抑制し、衛生的状態を維持することができる。なお、本冷却工程を経た殺菌乳を冷却乳と称する。
3.真空濃縮工程(第3工程)
本工程は、上記冷却工程(第2工程)で得られた冷却乳を予熱して真空濃縮する工程である。具体的には、冷却乳を80〜90℃の温度に予熱し、真空濃縮器で溶存酸素の濃度が1.0〜1.6ppmになるまで真空濃縮することが好ましい。予熱温度が80℃以上であると、冷却乳の異味、異臭を除去することができ、90℃以下であると、牛乳の固有な風味が損なわれにくい。また、真空濃縮の際の真空圧力は、微細気泡及び残存する異味、異臭成分の除去を達成しつつ牛乳の新鮮な味及び風味を維持することを考慮すると、−0.7〜−0.9barであることが望ましい。なお、本真空濃縮工程を経た冷却乳を濃縮乳と称する。
4.混合及び均質化工程(第4工程)
本工程は、上記真空濃縮工程(第3工程)で得られた濃縮乳と、コーヒークリーマー原料、濃縮牛乳タンパク粉末及びミルクカルシウムとを常圧または真空圧力下で混合及び均質化する工程であり、望ましくは、濃縮乳を40〜70℃に予熱した後、−0.3〜−0.7barの真空圧力でコーヒークリーマー原料と濃縮牛乳タンパク粉末及びミルクカルシウムを混合して均質化する。
本工程で使われるコーヒークリーマー原料は、コーヒークリーマー製造時に通常使用される原料を制限なく使え、その種類及び適正量は当分野で公知である。コーヒークリーマー原料の例としては、糖質(例えば(低糖)水飴)、植物性油脂(例えばヤシ硬化油)、乳化剤(例えばグリセリン脂肪酸エステル)及び酸度調節剤(例えばリン酸塩)が挙げられ、これらからなる群から選択される一つ以上をコーヒークリーマー原料として使用することが望ましいが、これに制限されるものではない。
本工程で濃縮乳を予熱する際の温度は40〜70℃が望ましい。予熱温度が40℃以上であると、濃縮乳とコーヒークリーマー原料、濃縮牛乳タンパク粉末及びミルクカルシウムとの混合時に微細気泡が発生しにくいため風味が低下しにくい。一方で70℃を超過してもこれ以上の効果向上がないため非経済的である。また、真空圧力は、微細気泡及び残存する異味、異臭成分の除去を達成しつつ牛乳の風味を向上させるために、−0.3〜−0.7barであることが望ましい。
なお、本工程によって、濃縮乳とそれ以外のコーヒークリーマーの各成分とを配合して混合及び均質化した液を均質混合物という。
濃縮牛乳タンパク粉末は、均質混合物の総量に対して1〜6重量%、望ましくは2〜5重量%、最も望ましくは4重量%添加できるが、これらに制限されるものではない。
ミルクカルシウムは、均質混合物の総量に対して0.3〜1.5重量%、望ましくは0.4〜1.2重量%、最も望ましくは0.5〜1.0重量%添加できるが、これらに制限されるものではない。
5.乾燥工程(第5工程)
本工程は、上記混合及び均質化工程(第4工程)で得られた均質混合物を乾燥させる工程であり、具体的には、均質混合物を乾燥器を使って乾燥させる。
乾燥時の送風温度は130〜160℃に設定することが望ましい。送風温度が130℃以上であると、乾燥量の増大により乾燥時間が短縮され経済的であり、160℃以下であると、乾燥量が増大しすぎることによる微粒子発生を抑制することができる。
本発明によると、健康に有益な生乳または脱脂乳を使い、かつ、安全な牛乳由来の食品である濃縮牛乳タンパク粉末及びミルクカルシウムを添加することにより、従来のコーヒークリーマーにおいて添加物として使われているカゼインまたはカゼインナトリウムを使用せずとも、フェザリングに対して安定であり、官能的特性にも優れたコーヒークリーマーを得ることができる。さらに、本発明のコーヒークリーマーは、インスタントコーヒー及び砂糖を添加したコーヒーミックスなどでのコーヒーとの調和度に優れ、コーヒーの酸味を緩和させてコーヒークリーマー本来の機能を提供できるなどの効果を有する。
また、本発明によると、生乳または脱脂乳を殺菌した後、真空濃縮して異味、異臭成分の除去された濃縮乳を原料として使うため、牛乳の柔らかい味が向上したコーヒークリーマーが得られる。特に、真空圧力下で濃縮乳とコーヒークリーマー原料とを混合及び均質化することで、コーヒークリーマーの雑味をなくし、柔らかい味が感じられるコーヒークリーマーが得られる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。しかし、下記の実施例は本発明を具体的に例示するためのものであり、本発明の権利範囲を制限するものではない。すなわち、本発明の単純な変形ないし変更は当業者によって容易に行われ、このような変形や変更はいずれも本発明の範囲に含まれると見なされる。
(1)生乳または脱脂乳を用いたコーヒークリーマーの製造条件の決定
生乳または脱脂乳を用いたコーヒークリーマーの製造条件を最適化するために、真空濃縮工程、混合及び均質化工程の各条件を変化させて検証した。
(1−1)真空濃縮工程の最適条件
真空濃縮工程条件の最適化のために、溶存酸素濃度を5ppm以下に低めた殺菌された生乳または脱脂乳をそれぞれ90℃の温度に予熱した後、真空圧力を−0.09〜−1.0barに調節し、真空濃縮工程を行った。真空圧力条件の違いによる生乳または脱脂乳の溶存酸素濃度、微細気泡(顕微鏡により残存如何を確認)、官能検査(パネリスト50人に対して実施)について評価した。結果を下記表1に示す。
表1から分かるように、生乳または脱脂乳の真空圧力が高いと溶存酸素濃度が低下し、−0.9barの時に溶存酸素濃度は最も低く1.0ppmまで減少した。顕微鏡検査の結果、真空圧力−0.1bar以上の条件で微細気泡が完全に除去されることが分かった。また、官能検査結果、生乳または脱脂乳の真空圧力が−0.7bar〜−0.9barの時に濃縮乳の新鮮な味及び牛乳の風味を十分に味わうことができた。以上の結果から、生乳または脱脂乳の溶存酸素量を最小化、微細気泡を除去するのと同時に濃縮乳の風味を維持することができる最適な真空圧力は−0.7bar〜−0.9barであるということが分かった。
(1−2)混合及び均質化工程の最適条件
低温長時間殺菌法(63〜65℃で30分間)で殺菌された生乳または脱脂乳をそれぞれ90℃に予熱した後、真空圧力を−0.9barに調節して真空濃縮工程を行った。次いで、混合及び均質化工程の予熱温度及び真空圧力の最適化のために、濃縮した濃縮乳を40〜70℃に予熱した後、−0.1〜−0.9barの真空圧力で予熱した濃縮乳とコーヒークリーマー原料とを混合及び均質化して均質混合物を製造した。濃縮乳の予熱温度及び真空圧力の違いによる均質混合物の溶存酸素濃度、微細気泡(顕微鏡により残存如何を確認)について評価した。結果を下記表2に示す。
表2から分かるように、濃縮乳の予熱温度、混合及び均質化時の真空圧力がともに高い場合に溶存酸素濃度が低くなり、真空圧力が−0.9barの時に溶存酸素濃度は最も低く1.0ppmまで減少した。顕微鏡検査の結果、予熱温度40℃、50℃で真空圧力−0.3〜−0.7bar、あるいは、予熱温度60℃、70℃で真空圧力−0.1〜−0.7barの条件で微細気泡が完全に除去されることが分かった。
以上の結果から、均質混合物の溶存酸素量を最小化しつつ微細気泡を完全に除去することができる最適な濃縮乳の予熱温度は40〜70℃、真空圧力は−0.3bar〜−0.7barであることが分かった。
(1−3)官能検査及びジメチルスルフィド含量の分析
処理群1:生乳を用いて製造されたコーヒークリーマー
生乳を殺菌(130〜150℃で0.5〜5秒間)した後、10℃以下に冷却した。次いで、冷却した生乳(冷却乳)を90℃に予熱して−0.9barの真空圧力で溶存酸素の濃度が1.0ppmになるまで真空濃縮した。得られた濃縮乳を70℃に予熱し、−0.5barの真空圧力で水飴、植物性硬化油脂、カゼインナトリウム、乳化剤及び酸度調節剤と混合及び均質化して均質混合物を製造した。得られた均質混合物を、送風温度150℃の乾燥器を使って乾燥させ、コーヒークリーマーを製造した。
処理群2:脱脂乳を用いて製造されたコーヒークリーマー
脱脂乳を殺菌(130〜150℃で0.5〜5秒間)した後、10℃以下に冷却した。次いで、冷却した脱脂乳(冷却乳)を90℃に予熱し、−0.9barの真空圧力で溶存酸素の濃度が1.0ppmになるまで真空濃縮した。得られた濃縮乳を70℃に予熱し、−0.5barの真空圧力で水飴、植物性硬化油脂、カゼインナトリウム、乳化剤及び酸度調節剤と混合及び均質化して均質混合物を製造した。得られた均質混合物を、送風温度150℃の乾燥器を使って乾燥させ、コーヒークリーマーを製造した。
対照群:既存のコーヒークリーマー
水飴、植物性硬化油脂、カゼインナトリウム、乳化剤及び酸度調節剤を65℃で混合及び均質化した後、送風温度150℃の乾燥器を使って乾燥させ、コーヒークリーマーを製造した。
得られたコーヒークリーマー(処理群1、2、及び対照群)を85℃の水にそれぞれ5重量%溶解し、官能検査及びジメチルスルフィド含量分析を行った。
味覚に優れたパネリスト15人を選んでコーヒークリーマーの味の描写項目についての定義を認識させ、描写項目についての強度別訓練を行い、最終10人の専門パネリストを選定した。各描写項目についての評価結果は、15cmの線上にその程度を表示させて、その長さの平均で定量的描写分析を行った。また、ヘッドスペース分析法で臭い成分であるジメチルスルフィド含量(ppb)分析を行った。分析結果を表3及び図2に示す。
表3及び図2から分かるように、処理群1、2は官能検査のすべての項目で対照群よりも高い点数を示した。これは、殺菌された生乳または脱脂乳を真空濃縮した異味、異臭成分の除去された濃縮乳を原料として使うことで、牛乳の風味及び新鮮な味が目立ったこと、さらに、真空圧力下で濃縮乳とコーヒークリーマー原料とを混合及び均質化することで、コーヒークリーマーの雑味がなくなり、喉越しがよく、味が柔らかくなり、全体的な味が向上したことによる。
また、処理群1、2のジメチルスルフィド含量が対照群よりも低いのは、混合及び均質化工程において、上記で最適化した予熱温度及び真空圧力下で濃縮乳とコーヒークリーマー原料とを混合及び均質化したことにより、均質混合物の溶存酸素量を最小化し、微細気泡を完全に除去したからである。
しかしながら、ここで製造されたコーヒークリーマー(処理群1、2、及び対照群)は、タンパク質源としてカゼインナトリウムを含んでいる。カゼインナトリウムは健康に有害であり、カゼイン特有の異臭を有している。そこで、本発明者らはカゼインまたはカゼインナトリウムに代わるタンパク質源の開発が必要であると判断した。そして、上記(1)の実験で最適化した条件において、下記(2)〜(4)の実験を通じて、フェザリングに対して安定なカゼインまたはカゼインナトリウムに代わるタンパク質源として、濃縮牛乳タンパク粉末及びミルクカルシウムが使用可能なことを見出した。
(2)牛乳タンパク質及び乳原料のpH及び緩衝能
コーヒークリーマーに用いられる牛乳タンパク質及び乳原料のpH及び緩衝能は、下記表4の通りである。ここで、緩衝能は、牛乳タンパク質及び乳原料についてそれぞれ5%水溶液を調製し、これに0.1N H2SO4を加えてpHが4.6に変わる時点までに必要な硫酸の容積(ml)で示すものとし、数値が高いほどpHの変化にあまり敏感ではなく、フェザリングが発生しにくいことを意味する。
表4に示すように、噴霧乾燥した全脂粉乳または脱脂粉乳は、含まれるタンパク質が熱によって変性するため、pHの低いコーヒー溶液に添加した場合にフェザリングが激しく発生するという短所を有する。緩衝能の相対的に高い濃縮牛乳タンパク粉末の場合、含有された牛乳タンパク質のうち乳清タンパク質は、高温の水を添加する時に熱安定性がさら
に低くなってフェザリング現象が発生しやすい短所があり、また遊離されたカルシウム及びタンパク質の反応によって促進される。また乳糖は緩衝能が非常に低い。熱安定性に優れたミルクカルシウムがpH及び緩衝能が最も高く、フェザリングの発生が少ないと判断された。
(3)牛乳タンパク質を変化させて製造されたコーヒークリーマーのpH、緩衝能及びフェザリングの発生程度
牛乳タンパク質を変化させて製造されたコーヒークリーマーのpH、緩衝能及びフェザリング発生程度をそれぞれ測定した。なお、pH、緩衝能の測定方法は上記(2)における方法に準じる。製造例1〜4の配合比とその測定結果は下記の通りである(表5参照)。植物性油脂としてはヤシ硬化油、乳化剤としてはグリセリン脂肪酸エステルを使った。
フェザリング発生程度は、85℃以上の温水100mlに得られたコーヒークリーマー5gとインスタントコーヒー1.5gとを添加して測定した。下記表5において、1はフェザリングなし、2は微量のフェザリング、3は普通程度のフェザリング、4は激しくフェザリングが発生したことを示し、本技術分野では、通常、フェザリングが1、2のレベルであれば製品化可能な程度と判断する。
表5に示すように、カゼインナトリウムの場合と同等のタンパク質含量(約3g重量%)で牛乳タンパク質を使ってコーヒークリーマーを製造したところ、製造例1〜4のフェザリング発生程度は同じであった。
(4)ミルクカルシウムの添加量を変化させて製造されたコーヒークリーマーのpH、緩衝能及びフェザリング発生程度
カゼインナトリウム及びカゼインに代わる牛乳タンパク質及び乳原料として、表4でpHと緩衝能の最も高かった濃縮牛乳タンパク粉末及びミルクカルシウムを選択した。
本発明で使われるミルクカルシウムは、脱脂乳から膜分離法により製造し、無機物は約70重量%以上、カルシウムは約20重量%以上、リンは約10重量%以上で構成される。対照群、比較例1〜2、並びに製造例5〜12の配合比、pH、緩衝能及びフェザリング発生程度、牛乳の風味の評価結果は、下記の通りである(表6及び7参照)。なお、pH、緩衝能の測定方法は上記(2)における方法に準じ、フェザリング発生程度は上記(3)における方法に準じる。また、牛乳の風味の評価方法は、上記(1−3)における方法に準じる。
表6及び表7に示すように、製造例5〜12のコーヒークリーマーは、ミルクカルシウムの含量によってフェザリングの発生程度に差があるが、おおむね濃縮牛乳タンパク粉末を添加したクリーマーはミルクカルシウムを0.5重量%以上添加する場合、フェザリングに対して安定することが分かった。
すなわち、製造例7、製造例8、製造例11及び製造例12のように、生乳または脱脂乳と濃縮牛乳タンパク粉末とを含むコーヒークリーマーは、ミルクカルシウムの含量を0.5重量%以上とすることにより、より好ましいコーヒークリーマーの品質となる。
以上の結果、生乳または脱脂乳を原料として含み、カゼインまたはカゼインナトリウムを要しなくてもフェザリングに対する安定性に優れたコーヒークリーマーの最適な製造方法は、下記の製造例の通りである。
製造例:生乳または脱脂乳を含むフェザリングに安定しているコーヒークリーマーの製造
生乳または脱脂乳を殺菌(130〜150℃で0.5〜5秒間)した後、10℃以下に冷却した。次いで、冷却した生乳または脱脂乳を90℃に予熱して−0.7〜−0.9barの真空圧力で溶存酸素の濃度が1.0ppmになるまで真空濃縮した。得られた濃縮乳を40〜70℃に予熱し、−0.3〜−0.7barの真空圧力で当該濃縮乳4〜5重量%、水飴55〜55.5重量%、植物性油脂31〜32重量%、乳化剤1.5重量%、リン酸塩2.5重量%、濃縮牛乳タンパク粉末4重量%及びミルクカルシウム0.5〜1.0重量%を混合及び均質化した。得られた均質混合物を、送風温度150℃の乾燥器を使って乾燥させて本発明のコーヒークリーマーを製造した。

Claims (4)

  1. 生乳または脱脂乳を殺菌する殺菌工程(第1工程)と、
    前記第1工程で得られた殺菌乳を冷却する冷却工程(第2工程)と、
    前記第2工程で得られた冷却乳を予熱して真空濃縮する真空濃縮工程(第3工程)と、
    前記第3工程で得られた濃縮乳、コーヒークリーマー原料、濃縮牛乳タンパク粉末及びミルクカルシウムを常圧または真空圧力下で混合及び均質化する混合及び均質化工程(第4工程)と、
    前記第4工程で得られた均質混合物を乾燥させる乾燥工程(第5工程)と、
    を含むことを特徴とするコーヒークリーマーの製造方法。
  2. 前記第3工程の真空濃縮工程は、前記冷却乳を80〜90℃に予熱して−0.7〜−0.9barの真空圧力で溶存酸素の濃度が1.0〜1.6ppmになるまで真空濃縮することを特徴とする請求項1に記載のコーヒークリーマーの製造方法。
  3. 前記第4工程の混合及び均質化工程は、前記濃縮乳を40〜70℃に予熱して−0.3〜−0.7barの真空圧力でコーヒークリーマーの原料、濃縮牛乳タンパク粉末及びミルクカルシウムと混合及び均質化することを特徴とする請求項1または2に記載のコーヒークリーマーの製造方法。
  4. 請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の方法で製造されてなるコーヒークリーマー。
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