JP5457228B2 - インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に係り、特に、画像形成後に生じる記録媒体のカックルを目立たなくさせることができるインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に関する。
水性インクを用いるインクジェット記録方法では、記録媒体にインク滴を吐出して着弾させるため、紙などの記録媒体には、インク水分がしみ込むことによりカックル(記録媒体の吸水により、記録媒体が膨張変形する)と呼ばれる現象が生じ、記録品位を低下させていた。インクジェットプリンタの高解像度化、高速記録化に伴い、高速下での乾燥効率化、およびカックルの抑制を図る必要があった。
例えば、下記の特許文献1では、印字後の記録媒体上のインクを短時間で確実に乾燥させるために、回転ドラムに記録媒体を吸着搬送しつつ乾燥する手段を備えた装置が提案されている。しかしながら、カックルを抑制する手段については言及されておらず、そのため、吸着部の設計に関しても記述されていなかった。
吸着部の設計に言及したものとして、下記の特許文献2には、記録媒体の搬送方向の下流側にいくに従い、開口率を小さくする画像形成装置が記載されている。下流側にいくに従い開口率を小さくすることで、記録媒体の先端部近傍が搬送方向の上流に形成された開口部で吸着される場合に、記録媒体によって閉塞される部分の負圧が極端に小さくなることを抑止することができる。しかしながら、吸着面は移動せず、記録媒体は裏面から吸着穴によって吸着されつつ吸着面上を滑らせて搬送される構成であるので、吸着力を強くしすぎると搬送できず、紙が破れたり、ジャムが発生するという問題があった。また。吸着面上を滑らせて搬送可能な程度の吸着力では、記録後のカックルを抑止、矯正することはできていなかった。また、開口率が大きい領域、すなわち、吸着穴径が大きい箇所では、吸引による紙の凹み量が極端に大きくなってしまい、記録物の品質が損なわれていた。特に画像部分が描画される場合、水分浸透により紙のコシが低下した状態になるので、凹みは更に顕著であった。更に、吸着穴部は、吸引により乾燥時の温度が低下しやすいので、穴径が大きいほど乾燥ムラが生じ易く、加圧加熱やUVモノマー硬化によって定着を実施する際に、穴部の残留水分により低下し易くなる懸念があった。
また、特許文献3では、紙端部に相対する位置の吸引穴数を中央部より多くすることによって、高速搬送時の風の流れの変化により、記録媒体の端部が浮き易くなることを防止し、安定搬送できることが記載されている。しかしながら、画像が打滴される頻度の高い紙中央部における吸着力が不足しがちになり、記録後のカックルを十分に抑止できていなかった。また、端部における吸着力が強いので、カックルが紙の中央部に集約され易くなっているという問題があった。
特開2008−179012号公報 特開2003−211749号公報 特開2007−144848号公報
描画後の紙を吸着すると、カックルは主に紙の中央部に集約される傾向がある。そのため、紙の中央部では、大きな吸着力が必要となり、開口率を大きく設定する必要がある。ここで、吸着穴の大径化によってそれを達成しようとすると、薄紙での吸引凹み量が大となり、品質を損なってしまった。また、マット紙や薄紙などカックルの進行の早い紙では、紙全体に渡って穴を密に配置し過ぎると、吸着時に既成カックルが逃げ場を失い、局所的にカックルが異常成長したり、シワが発生する場合があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、紙の中央部では、集約されるカックルの成長を抑止し、かつ、端部に既成カックルを分散させて、吸着時のカックルの異常成長やシワ発生を防ぎ、吸着後においても、カックルを目立たなくすることができるインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1は、前記目的を達成するために、記録媒体上にインクを打滴し、画像を形成するインクジェットヘッドと、前記インク打滴後の記録媒体を搬送する搬送体と、該記録媒体を保持する保持手段と、該記録媒体を負圧吸引するための複数の吸着穴と、該吸着穴から吸引する吸着手段と、を有する搬送手段と、前記搬送体と前記記録媒体を、前記画像が形成された印字面側から加熱する加熱手段と、を有し、前記記録媒体を吸引する吸着面の前記吸着穴のピッチ間隔が、該記録媒体に対応する該吸着面の中央部から端部にいくに従い広くなり、開口率が小さくなり、前記記録媒体の搬送方向後端に対応する前記吸着面の開口率が、該吸着面の中央部の開口率と同じであることを特徴とするインクジェット記録装置を提供する。
請求項1によれば、記録媒体に対応する吸着面の開口率を中央部から端部にいくに従い小さくしている、つまり、中央部の開口率を高くしているので、記録媒体の中央部では集約されるカックルの成長を抑制することができる。また、端部にいくに従い開口率を小さくしているので、記録媒体の端部にすでに形成されているカックルを分散させることができる。したがって、カックルを目立たなくすることができる。
また、開口率の調整を吸着穴の径の大きさではなく、吸着穴のピッチ間隔により行っているので、記録媒体の剛性が低い場合の吸着穴により凹み量を抑えることができる。したがって、画像の品質が低下することを防止することができる。
また、記録媒体の搬送方向後端に対応する吸着面の開口率を中央部の開口率と同じにしているので、搬送体から記録媒体の後端が浮くことを防止することができる。特に、搬送体が曲面搬送体であり、記録媒体の剛性が高い場合に有効である。
なお、本発明において、「ピッチ間隔」とは、隣り合う吸着穴の最端距離の間隔のことをいう。
本発明の請求項2は、前記目的を達成するために、記録媒体上にインクを打滴し、画像を形成するインクジェットヘッドと、前記インク打滴後の記録媒体を搬送する搬送体と、該記録媒体を保持する保持手段と、該記録媒体を負圧吸引するための複数の吸着穴と、該吸着穴から吸引する吸着手段と、を有する搬送手段と、前記搬送体と前記記録媒体を、前記画像が形成された印字面側から加熱する加熱手段と、を有し、前記記録媒体を吸引する吸着面の前記吸着穴のピッチ間隔が、該記録媒体に対応する該吸着面の中央部から端部にいくに従い広くなり、開口率が小さくなり、前記記録媒体の搬送方向先端に対応する前記吸着面の開口率が、該吸着面の中央部の開口率と同じであることを特徴とするインクジェット記録装置を提供する。
請求項2によれば、記録媒体の搬送方向先端に対応する箇所の吸着面の開口率を中央部の開口率と同じにしているので、記録媒体の先端に発生する弛みを防止することができる。特に、搬送体が曲面搬送体であり、記録媒体の剛性が低い場合に有効である。
本発明の請求項3は、記録媒体上にインクを打滴し、画像を形成するインクジェットヘッドと、前記インク打滴後の記録媒体を搬送する搬送体と、該記録媒体を保持する保持手段と、該記録媒体を負圧吸引するための複数の吸着穴と、該吸着穴から吸引する吸着手段と、を有する搬送手段と、前記搬送体と前記記録媒体を、前記画像が形成された印字面側から加熱する加熱手段と、を有し、前記記録媒体の紙目方向が前記記録媒体の搬送方向と垂直な場合には、前記記録媒体を吸引する吸着面の前記吸着穴のピッチ間隔が、前記記録媒体に対応する前記吸着面の中央部から搬送方向端部に向って広くなり、開口率が小さくなることを特徴とするインクジェット記録装置を提供する。
請求項3によれば、吸着穴のピッチ間隔を、記録媒体の搬送方向において中央部から端部に向って広くしているので、カックルを記録媒体の搬送方向に分散させることができる。
請求項は請求項において、前記吸着穴のピッチ間隔が、前記記録媒体に対応する前記吸着面の中央部から幅方向端部に向って広くなっていることを特徴とする。
請求項によれば、吸着穴のピッチ間隔を、記録媒体の幅方向において中央部から端部に向って広くしているので、カックルを記録媒体の幅方向に分散させることができる。
請求項は請求項3または4において、前記吸着穴のピッチ間隔が、前記記録媒体に対応する前記吸着面の中央部が最も開口率が高いことを特徴とする。
請求項によれば、吸着面の中央部の開口率が最も高くなるように吸着穴の配置を行っているので、記録媒体中央部で成長するカックルを抑制し、すでに形成されているカックルを端部に分散させることができる。
請求項は請求項1から5のいずれか1項において、前記吸着穴の配置が六方最密配置であり、所定の間隔を設けて該吸着穴を配置することを特徴とする。
請求項によれば、吸着穴を六方最密配置で配置しているので、吸着穴を密に配置することができ、更に、吸着穴の配置する間隔を制御することで、開口率を細かく制御することができる。
請求項は請求項1から6のいずれか1項において、前記吸着穴の形状が真円または楕円形状であることを特徴とする。
請求項によれば、吸着穴の形状を真円または楕円形状としているので、記録媒体に生じる吸着凹みの視認性を緩和することができる。
請求項は請求項1から7のいずれか1項において、前記吸着穴のエッジ部が曲面であることを特徴とする。
請求項によれば、吸着穴のエッジ部を曲面とすることにより、吸着穴の端部の吸引圧力を抑えることができ、記録媒体に吸着穴による吸引凹みを緩和することができる。
請求項は請求項1から7のいずれか1項において、前記吸着穴のエッジ部に、該吸着穴より大きく相似形の溝を有することを特徴とする。
請求項によれば、吸着穴のエッジ部に溝を設けることで、吸着穴の端部の吸引圧力を抑えることができるので、記録媒体に吸着穴による吸引凹みを緩和することができる。
請求項10は請求項1から9のいずれか1項において、前記記録媒体の種類により吸引手段による吸引圧力を制御する制御手段を備えることを特徴とする。
請求項10によれば、記録媒体の種類により吸引圧力を制御しているので、記録媒体を搬送体に密着させるのに充分な吸引圧設定で吸引することができるので、吸着穴による吸引凹みを緩和することができる。
請求項11は請求項1から10のいずれか1項において、前記吸着面の開口率が、線形に減少するように前記吸着穴を配置することを特徴とする。
請求項11によれば、吸着面の開口率が線形に減少するように吸着穴を配置しているので、搬送体への記録媒体の吸着を安定させることができる。
請求項12は請求項1から10のいずれか1項において、前記吸着面は複数の領域に分割され、前記開口率が領域毎に段階的に減るように配置していることを特徴とする。
請求項12によれば、複数に分割された領域毎に開口率を段階的に減らしているので、搬送体への記録媒体の吸着を安定させることができる。
請求項13は請求項12において、前記吸着面の開口率が一定である領域間は、開口率が線形に減少することを特徴とする。
請求項13によれば、開口率が一定である領域の間に、開口率が線形に減少する領域を設けているので、搬送体への記録媒体の吸着を安定させることができる。
請求項14は請求項11から13のいずれか1項において、前記吸着面の中央部10〜70%の領域は開口率が一定であることを特徴とする。
請求項14によれば、吸着面の中央部の上記範囲の開口率を一定としているので、吸着面の中央部での吸着力を確保することができ、記録媒体の中央部で生じるカックルを抑止することができる。
なお、本発明において、「吸着面の中央部」とは、吸着面の中心から記録媒体と相似形の領域であり、比率は記録媒体の全面積に対する比のことをいう。
請求項15は請求項1から14のいずれか1項において、前記記録媒体を前記印字面側から前記搬送体表面に押圧するための記録媒体抑え手段を有することを特徴とする。
請求項15によれば、記録媒体を搬送体表面に押圧する記録媒体抑え手段を備えているので、記録媒体を均一に吸着することができる。
本発明の請求項16は、前記目的を達成するために、記録媒体上にインクを打滴し、画像を形成するインク吐出工程と、前記インク打滴後の記録媒体を搬送体に載せ、保持しながら該搬送体から吸着穴を通して吸引し、該記録媒体を搬送する搬送工程と、前記搬送体と前記記録媒体を、前記画像が形成された印字面側から加熱する加熱工程と、を有し、前記記録媒体を吸引する吸着面の前記吸着穴のピッチ間隔が、該記録媒体に対応する該吸着面の中央部から端部にいくに従い広くなり、開口率が小さくなり、前記記録媒体の搬送方向後端に対応する前記吸着面の開口率が、該吸着面の中央部の開口率と同じであることを特徴とするインクジェット記録方法を提供する。
本発明の請求項17は、前記目的を達成するために、記録媒体上にインクを打滴し、画像を形成するインク吐出工程と、前記インク打滴後の記録媒体を搬送体に載せ、保持しながら該搬送体から吸着穴を通して吸引し、該記録媒体を搬送する搬送工程と、前記搬送体と前記記録媒体を、前記画像が形成された印字面側から加熱する加熱工程と、を有し、前記記録媒体を吸引する吸着面の前記吸着穴のピッチ間隔が、該記録媒体に対応する該吸着面の中央部から端部にいくに従い広くなり、開口率が小さくなり、前記記録媒体の搬送方向先端に対応する前記吸着面の開口率が、該吸着面の中央部の開口率と同じであることを特徴とするインクジェット記録方法を提供する。
本発明の請求項18は、前記目的を達成するために、記録媒体上にインクを打滴し、画像を形成するインク吐出工程と、前記インク打滴後の記録媒体を搬送体に載せ、保持しながら該搬送体から吸着穴を通して吸引し、該記録媒体を搬送する搬送工程と、前記搬送体と前記記録媒体を、前記画像が形成された印字面側から加熱する加熱工程と、を有し、前記記録媒体の紙目方向が前記記録媒体の搬送方向と垂直な場合には、前記記録媒体を吸引する吸着面の前記吸着穴のピッチ間隔が、前記記録媒体に対応する前記吸着面の中央部から搬送方向端部に向って広くなり、開口率が小さくなることを特徴とするインクジェット記録方法を提供する。
請求項19は請求項18において、前記吸着穴のピッチ間隔が、前記記録媒体に対応する前記吸着面の中央部から幅方向端部に向って広くなっていることを特徴とする。
請求項20は請求項18または19において、前記記録媒体の種類により、吸引圧力を制御する制御工程を有することを特徴とする。
請求項16から20は、上記記載のインクジェット記録装置をインクジェット記録方法として展開したものであり、請求項16から20によれば、インクジェット記録装置と同様の効果を得ることができる。
本発明のインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法によれば、画像が打滴される可能性の高い記録媒体の中央部に対応する吸着面の吸着力を高くし、端部を低くすることで、カックルを目立たなくすることができる。また、開口率の制御を吸着穴の径ではなく、吸着穴のピッチ間隔で行っているので、吸着穴の凹みによる画像の品質低下を防ぎ、吸着穴部での乾燥ムラを防止することができる。
本発明の記インクジェット記録装置の概略構成図である。 吸着面の吸着穴の配置を示す図および開口率の分布図である。 吸着面の吸着穴の他の実施形態の配置を示す図および開口率の分布図である。 吸着穴径、穴ピッチおよび開口率の関係を示す図である。 更に他の実施形態にかかる搬送方向の開口率の分布図である。 乾燥ドラムの概略構造を示す斜視図である。 図6に示す乾燥ドラムの内部構造を示す分解斜視図である。 図6に示す乾燥ドラムの一部拡大図である。 図8中V−V線に沿う断面図である。 図7に示す中間シートの構造を示す斜視図である。 図7に示す吸着シートの構造を示す斜視図である。 本発明で用いられる吸着シートの吸着穴の配置を示す図である。 六方細密配置による吸着穴の配置を示す図である。 吸着穴のエッジ部の形状を示す図である。 インクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図である。 試験例1の結果を示す表図である。 試験例2の結果を示す表図である。 試験例3の結果を示す表図である。
以下添付図面に従って、本発明に係るインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法の好ましい実施の形態について説明する。
[インクジェット記録装置の全体構成]
まず、本発明のインクジェット記録装置の全体構成を説明する。
図1は、本実施の形態のインクジェット記録装置1を模式的に示す構成図である。同図に示すインクジェット記録装置1は記録媒体22の記録面に画像を形成する装置であり、主として給紙部10、処理液付与部12、描画部14、乾燥部16、露光硬化部18及び排出部20で構成される。給紙部10には記録媒体22(枚葉紙)が積層されており、この記録媒体22が給紙部10から処理液付与部12に送られ、処理液付与部12で記録面に処理液が付与された後、描画部14で記録面に色インクが付与される。インクが付与された記録媒体22は、乾燥部16で水分を乾燥後、露光硬化部18で画像が堅牢化された後、排出部20によって搬送される。
各部の間には中間搬送部(渡し胴)24、26、28が設けられ、この中間搬送部24、26、28によって記録媒体22の受け渡しが行われる。すなわち、処理液付与部12と描画部14との間には、第1の中間搬送部24が設けられ、この第1の中間搬送部24によって処理液付与部12から描画部14への記録媒体22の受け渡しが行われる。同様に、描画部14と乾燥部16との間には、第2の中間搬送部26が設けられ、この第2の中間搬送部26によって描画部14から乾燥部16への記録媒体22の受け渡しが行われる。更に、乾燥部16と露光硬化部18との間には、第3の中間搬送部28が設けられ、この第3の中間搬送部28によって乾燥部16から露光硬化部18への記録媒体22の受け渡しが行われる。
以下、インクジェット記録装置1の各部(給紙部10、処理液付与部12、描画部14、乾燥部16、露光硬化部18、排出部20、第1〜第3の中間搬送部24、26、28)について説明する。
(給紙部)
給紙部10は、記録媒体22を描画部14に供給する機構である。給紙部10には、給紙トレイ50が設けられ、この給紙トレイ50から記録媒体22が一枚ずつ処理液付与部12に給紙される。
(処理液付与部)
処理液付与部12は、記録媒体22の記録面に処理液を付与する機構である。処理液は、描画部14で付与されるインク中の色材(顔料)を凝集または析出させる色材凝集剤を含んでおり、この処理液とインクとが接触することによって、インクは色材と溶媒との分離が促進される。なお、処理液のより詳細な説明については後述する。
図1に示すように、処理液付与部12は、渡し胴52、処理液ドラム54、処理液塗布装置56、IRヒータ58及び温風吹出ノズル60を備えている。渡し胴52は、給紙部10の給紙トレイ50と処理液ドラム54の間に配置され、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパーなど)を備え、この保持手段によって記録媒体22の先端を保持しながら回転駆動される。給紙部10から給紙された記録媒体22は、この渡し胴52によって受け取られ、処理液ドラム54に受け渡される。
処理液ドラム54は、記録媒体22を保持して回転搬送させるドラムであり、回転駆動される。また、処理液ドラム54は、その外周面に爪形状の保持手段55を備え、この保持手段55によって記録媒体22の先端を保持できるようになっている。記録媒体22は、保持手段55によって先端が保持された状態で、処理液ドラム54を回転させることによって回転搬送される。処理液ドラム54の外側には、その周面に対向して処理液塗布装置(塗布装置に相当)56、IRヒータ58及び温風吹出ノズル60が設けられる。処理液塗布装置56、IRヒータ58及び温風吹出ノズル60は、処理液ドラム54の回転方向(図1において反時計回り方向)に上流側から順に配設されており、記録媒体22は、まず処理液塗布装置56によって記録面に処理液が塗布される。処理液の膜厚は、描画部14のインクヘッド72M,72K,72C,72Yから打滴されるインクの液滴径より十分に小さいことが望ましい。例えば、インクの打滴量が2plのときには、液滴の平均直径は15.6μmである。このとき、処理液の膜厚が大きい場合には、インクドットが記録媒体22の表面に接触することなく、処理液内で浮遊する。そこで、インクの打滴量が2plのときに着弾ドット径を30μm以上得るためには、処理液の膜厚を3μm以下にすることが望ましい。
処理液塗布装置56で処理液が塗布された記録媒体22は、IRヒータ58、温風吹出ノズル60の位置に搬送される。IRヒータ58は高温(たとえば180℃)に制御され、温風吹出ノズル60は高温(たとえば70℃)の温風を一定の風量(たとえば9m/分)で記録媒体22に向けて吹き付けるように構成される。このIRヒータ58と温風吹出ノズル60による加熱によって、処理液の溶媒中の水分が蒸発され、処理液の薄膜層が記録面に形成される。このように処理液を薄層化することによって、描画部14で打滴するインクのドットが記録媒体22の記録面と接触し、必要なドット径が得られるとともに、薄層化した処理液成分と反応して色材凝集が起こり、記録媒体22の記録面に固定する作用が得られやすい。なお、処理液ドラム54を所定の温度(たとえば50℃)に制御するようにしてもよい。
(描画部)
図1に示すように、描画部14は、描画ドラム70と、この描画ドラム70の外周面に対向する位置に近接配置されたインクヘッド72M,72K,72C,72Yで構成される。インクヘッド72M,72K,72C,72Yはそれぞれ、マゼンダ(M)、黒(K)、シアン(C)、イエロー(Y)の4色のインクに対応しており、描画ドラム70の回転方向に上流側から順に配置される。
描画ドラム70は、その外周面に記録媒体22を保持し、回転搬送させるドラムであり、回転駆動される。また、描画ドラム70は、その外周面に爪形状の保持手段71を備え、この保持手段71によって記録媒体22の先端を保持できるようになっている。記録媒体22は、保持手段71によって先端が保持された状態で、描画ドラム70を回転させることによって回転搬送される。その際、記録媒体22の記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面にインクヘッド72M,72K,72C,72Yからインクが付与される。
インクヘッド72M,72K,72C,72Yはそれぞれ、記録媒体22における画像形成領域の最大幅に対応する長さを有するフルライン型のインクジェット方式の記録ヘッド(インクジェットヘッド)であり、そのインク吐出面には、画像形成領域の全幅に渡ってインク吐出用のノズルが複数配列されたノズル列が形成されている。各インクヘッド72M,72K,72C,72Yは、記録媒体22の搬送方向(描画ドラム70の回転方向)と直交する方向に延在するように固定設置される。
各インクヘッド72M,72K,72C,72Yには、対応する色インクのカセットが取り付けられる。各インクの液滴が、各インクヘッド72M,72K,72C,72Yから、描画ドラム70の外周面に保持された記録媒体22の記録面に向って吐出される。これにより、処理液付与部12で予め記録面に付与された処理液にインクが接触し、インク中に分散する色材(顔料)が凝集され、色材凝集体が形成される。これにより、記録媒体22上での色材流れなどが防止され、記録媒体22の記録面に画像が形成される。その際、描画部14の描画ドラム70は、処理液付与部12の処理液ドラム54に対して構造上分離しているので、インクヘッド72M,72K,72C,72Yに処理液が付着することがなく、インクの不吐出要因を低減することができる。
なお、インクと処理液の反応の一例として、処理液に酸を含有させpHダウンにより顔料分散を破壊し凝集するメカニズムを用い、色材滲み、各色インク間の混色、インク滴の着弾時の液合一による打滴干渉を回避することが考えられる。
また、各インクヘッド72M,72K,72C,72Yの打滴タイミングは、描画ドラム70に配置された回転速度を検出するエンコーダに同期させる。これにより、高精度に着弾位置を決定することができる。また、予め描画ドラム70のフレなどによる速度変動を学習し、エンコーダ91で得られた打滴タイミングを補正して、描画ドラム70のフレ、回転軸の精度、描画ドラム70の外周面の速度に依存せずに打滴ムラを低減させることができる。
更に、各インクヘッド72M,72K,72C,72Yのノズル面の清掃、増粘インク排出などのメンテナンス動作は、ヘッドユニットを描画ドラム70から退避させて実施するとよい。
また、本例では、CMYKの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
(乾燥部)
乾燥部16は、色材凝集作用により分離された溶媒に含まれる水分を乾燥させる工程であり、乾燥ドラム76と、この乾燥ドラム76の外周面に対向する位置に配置された第1のIRヒータ78、温風噴出しノズル80、第2のIRヒータ82で構成される。第1のIRヒータ78は、温風噴出しノズル80に対して、乾燥ドラム76の回転方向(図1において反時計回り方向)の上流側に設けられ、第2のIRヒータ82は温風噴出しノズル80の下流側に設けられる。
乾燥ドラム76は、その外周面に記録媒体22を保持して回転搬送させるドラムであり、モータドライバ(図示せず)によってその回転が駆動制御される。記録媒体22は、保持手段77によって先端が保持された状態で、乾燥ドラム76を回転させることによって回転搬送される。その際、記録媒体22の記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面に対してIRヒータ78、温風噴出しノズル80による乾燥処理が行われる。
温風噴出しノズル80は、所定の温度(たとえば50℃〜70℃)に制御された温風を一定の風量(12m/分)で記録媒体22に向けて吹き付けるように構成され、IRヒータ78はそれぞれ所定の温度(たとえば180℃)に制御される。これらの温風噴出しノズル80、IRヒータ78によって、乾燥ドラム76に保持された記録媒体22の印字面に含まれる水分が蒸発され、乾燥処理が行われる。その際、乾燥部16の乾燥ドラム76は、描画部14の描画ドラム70に対して構造上分離しているので、インクヘッド72M,72K,72C,72Yにおいて、熱乾燥によるヘッドメニスカス部の乾燥によるインクの不吐出を低減することができる。また、乾燥部16の温度設定に自由度があり、最適な乾燥温度を設定することができる。
なお、蒸発した水分は不図示の排出手段によりエアとともに機外に排出するとよい。また、回収されたエアを冷却器(ラジエータ)などで冷却して、液体として回収してもよい。
乾燥ドラム76は、その外周面に吸着穴を設けるとともに、吸着穴から吸引を行う吸着手段を有している。これにより記録媒体22を乾燥ドラム76の周面に密着保持することができる。また、負圧吸引を行うことにより、記録媒体を搬送体に拘束することができるので、記録媒体のカックルを防止することができる。
また、乾燥ドラム76は、その外周面を所定の温度に制御することが好ましい。記録媒体22の裏面から加熱を行うことによって乾燥が促進され、定着時における画像破壊を防止することができる。乾燥ドラム76の表面温度の範囲は、50℃以上が好ましく、より好ましくは60℃以上である。また、上限については、特に限定されるものではないが、乾燥ドラム76の表面に付着したインクをクリーニングするなどのメンテナンス作業の安全性(高温による火傷防止)の観点から75℃以下が好ましい。
搬送体の吸着力は、(開口面積)×(単位面積あたりの圧力)で表すことができる。吸着力は、記録媒体吸着保持領域における吸着穴の占める面積、即ち、開口率を高くすることで、吸着力をより高くすることができる。
図2は吸着面の吸着穴の配置を示す図、および、記録媒体の幅方向(X−X線)と搬送方向(Y−Y線)の開口率の分布図である。図中、Y方向が記録媒体の搬送方向であり、X方向が記録媒体の幅方向である。
図2(a)は、吸着面の中央部から端部に向って、所定の領域を一定のピッチ間隔とし、段階的に開口率を小さくしている図である。同様に、図2(b)は、記録媒体の搬送方向の開口率を一定とし、記録媒体の幅方向に段階的に開口率を小さくしている図である。図2(c)は、記録媒体の幅方向の開口率を一定とし、吸着面の中央部から搬送方向の上流側と下流側に向って段階的に開口率を小さくしている図である。
このように、吸着面の中央部から端部に向うに従って、開口率を小さくすることにより、中央部に形成されたカックルを端部に分散させることができるので、カックルを目立たなくすることができる。
また、吸着面の中央部10〜70%の領域は開口率が最も高く、一定であることが好ましい。中央部を高くすることで、中央部に集約されるカックルの成長を抑制し、端部に分散させることができる。
図3は、吸着面の吸着穴の配置を示す他の実施例を説明する図、および、記録媒体の幅方向(X−X線)と搬送方向(Y−Y線)の開口率の分布図である。
図3(a)は、吸着面の中央部から端部に向って、徐々にピッチ間隔を広げてゆき、開口率の分布が中央部から端部に向って線形に小さくなるように設定している。図3(b)は、搬送方向のピッチ間隔を一定とし、記録媒体の幅方向のピッチ間隔を広くすることで開口率を小さくしている。図3(c)は、図3(b)の配置と逆に、幅方向のピッチ間隔を一定とし、搬送方向の中央部から上流側、下流側に向って徐々にピッチ間隔を広くし、線形に開口率を小さくしている図である。開口率を段階的に小さくする図2と同様に、線形に小さくする図3についても同様の効果を得ることができる。
また、図3(d)は、図3(b)の吸着穴の配置において、記録媒体幅方向の中央部を一定の開口率としたものである。このように、中央部の開口率を一定の開口率とすることで、中央部の吸着力を確保することができ、記録媒体の中央部で生じるカックルを抑制することができる。
吸着面1cmあたりの単位面積に対する開口率は、1%以上75%以下とすることが好ましく、より好ましくは1%以上50%以下である。開口率を上記範囲とすることにより、カックルの抑制防止と乾燥性能の向上を実現することができる。この開口率が1%未満であると、記録後の吸水による記録媒体の膨張変形を充分に抑止することができない。また、75%を越えると、記録媒体裏面と搬送体表面の接触面積が低下するため、吸着保持状態であっても充分な乾燥性能を得ることができない。また、乾燥が促進されなくなるため、カックルも悪化する傾向にある。
さらに好ましくは、吸着面の中央部で10%以上75%以下とすることが好ましく、より好ましくは20%以上75%以下である。また、吸着面の端部で1%以上50%以下とすることが好ましく、より好ましくは1%以上30%以下である。
開口率は、吸着孔の径、孔ピッチ、孔の形状・配置により制御することができる。孔径は、開口率を確保し吸着力をUPさせるために0.4mm以上とすることが好ましく、負圧吸引による記録媒体の凹み痕(吸着痕)がつかないように、1.5mm以下に設計することが好ましい。0.4mm以上とすることで、圧胴への巻きつけ性と剛性(変形に対する耐久性)を確保することができる。また、孔ピッチは、搬送体表面部の熱変形の防止や剛性確保のため、0.1mm以上とすることが好ましく、孔の間が離れすぎると記録媒体変形抑止効果が不足するため、吸着時に皺が発生するので、この皺を防止するため10mm以下に設計することが好ましい。図4に、吸着穴径、穴ピッチおよび開口率の関係を示す。単位面積(1cm)あたりの開口率は、図4に示す枠の範囲(開口率1〜75%)になるように穴径、穴ピッチを設定することが好ましい。
吸着穴の形状は、角(鋭角)形状があると、角部に応力が集中するので、角部を丸めた形状とすることが好ましい。また、回転搬送体では、吸着圧力による記録媒体の変形量は周方向(搬送方向)よりも軸方向(記録媒体幅方向)の方が大きくなる。したがって、吸着穴は、周方向を長軸方向、軸方向を短軸方向とした楕円形状又は長穴形状とすることで、記録媒体の周方向の変形と軸方向の変形を均等にすることもできる。
また、上記記載した数値範囲とは別に、記録媒体の搬送方向後端に対応する吸着面の位置に吸着面の中央部と同等の開口率を有する領域を設けることが好ましい。搬送方向後端に対応する位置に中央部の開口率と同程度の領域を設けることで、剛性の高い記録媒体の後端浮きを防止することができる。記録媒体の後端部に対応する領域としては、幅方向全域を中央部と同じ開口率としても良いし、部分的に中央部と同じ開口率を有する領域を設けてもよい。
また、記録媒体搬送方向先端に対応する吸着面の位置に吸着面の中央部と同等の開口率を有する領域を設けることもできる。搬送方向先端に対応する位置に中央部と同等の開口率を有する領域を設けることで、剛性の低い記録媒体の弛みを防止することができる。
具体例として、図3(c)に示す記録媒体の搬送方向(Y−Y線)の開口率の分布図に、搬送方向後端に対応する位置に中央部と同等の開口率を有する分布図を図5(a)に、搬送方向先端に対応する位置に中央部と同等の開口率を有する分布図を図5(b)に示す。
次に乾燥ドラム76に図2、図3に示す吸着穴の配置を有する吸着シートを適用した場合について説明する。図6は、乾燥ドラム76の全体構成を示す斜視図である。同図に示すように、乾燥ドラム76は、不図示の回転機構に連結され、軸受け211A,211Bにより支持される回転軸212の周りを、該回転機構の動作によって回転可能に構成される回転体部材である。
また、乾燥ドラム76の記録媒体22が保持(固定)される記録媒体保持面(周面)213には、記録媒体保持領域214(ドットハッチで図示した領域)が設けられて、記録媒体保持領域214には多数の吸着穴(開口)が設けられている。一方、乾燥ドラム76の軸方向(回転軸212と平行方向)の略中央部は、吸着穴が設けられていない非開口部216となっている。
図6に示す乾燥ドラム76の内部には、該吸着穴と連通する真空流路が設けられており、該真空流路は、乾燥ドラム76の側面に設けられた真空配管系218(配管、ジョイント等)及び、乾燥ドラム76の回転軸212の内部に設けられた真空流路を介して乾燥ドラム76の外部に設けられた真空ポンプに接続されている。該真空ポンプを動作させて真空(負圧)を発生させると、吸着穴及び真空流路等を介して記録媒体22に吸着圧力が付与される。即ち、乾燥ドラム76は、エア吸着方式により記録媒体保持面213である周面に記録媒体22が保持されるように構成されている。
次に、乾燥ドラム76内部の真空流路の構造について説明する。
図7は、乾燥ドラム76の内部構造を示す分解斜視図である。同図に示すように、乾燥ドラム76は、多数の吸着穴が設けられている吸着シート220と、各吸着穴と連通する複数の吸着溝222(開口部を有する流路形成部)が所定の配列パターンに従って設けられている中間シート224と、を含み、更に、各吸着溝222に設けられる絞り部(図3中不図示、図10に符号234で図示)と連通するドラム吸着溝226(圧力発生部)を備えたドラム本体230を含んで構成されている。
更にまた、ドラム本体230に設けられたドラム吸着溝226の端部には、ドラム本体230の内部に設けられる不図示の真空流路と連通するドラム吸着穴228が設けられている。
図7に示すように、乾燥ドラム76は、ドラム本体230のドラム吸着溝226と中間シート224の絞り部(流路制御部)の位置合わせがされ、ドラム本体230の周面に中間シート224を巻きつけて密着させて固定するとともに、吸着シート220に設けられる吸着穴が中間シート224のいずれかの吸着溝222と連通するように、中間シート224の吸着溝222と吸着シート220の吸着穴の位置合わせがされ、中間シート224の上に吸着シート220を巻きつけて密着させて固定した構造を有している。
吸着シート220に設けられる吸着穴の配置パターンは、中間シート224の吸着溝222のパターンに対応していることが好ましい。なお、吸着穴のうち、吸着溝222と連通しないものがあってもよい。
図8及び図9には、吸着穴250、吸着溝222及びドラム吸着溝226の配置関係を図示する。図8は平面図であり、図9は図8のV−V線に沿う断面図である。ただし、図9は理解を容易にするため、深さ方向に拡大している。
図8に示すように、吸着溝222の幅(図8における上下方向の長さ)は、複数の吸着穴に対応する長さを有し、図8には、吸着溝222の幅が吸着穴250の直径(長軸方向の長さ)の略4倍となる態様を示す。
また、ドラム吸着溝226の幅(図4における左右方向)は、絞り部234の長さよりも短くなっており、図8には、ドラム吸着溝226の幅が絞り部234の長さの略1/2となる態様を示す。更に、絞り部234は、ドラム吸着溝226を超える位置に達する長さを有している。
図8及び図9に示すように、絞り部234の幅は吸着溝222の幅よりも狭く、また、両者の深さは略同一となっている。即ち、絞り部234の断面積は、吸着溝222の断面積よりも小さくなっており、この絞り部234により吸着溝222に流れる流量が制限される。
なお、図9に示すように、吸着シート220の厚みは中間シート224の厚みよりも厚くなっており、図10には吸着シート220の厚みに対する中間シート224の厚みが略1/2となる態様を図示する。
次に、中間シート224の構造について詳述する。
図10は中間シート224の斜視図である。図8に示すように、中間シート224には、乾燥ドラム76の軸方向に沿い、乾燥ドラム76の軸方向の略中央部から両端部に向う吸着溝222が乾燥ドラム76の周方向に沿って等間隔に複数設けられている。
吸着溝222の中間シート224の中央部側の端部には、他の部分よりも溝幅が1/4以下に絞られた構造(しぼり構造)を有し、中間シート224を貫通する絞り部(流路制御部)234が形成されている。絞り部234は、図7に示すドラム吸着溝226と連通する構造となっており、かつ、吸着シート220の非開口部216によって開口部分がふさがれて、直接的に大気開放されない構造になっている。
また、吸着溝222はできるだけ密に配置することが好ましく、所定サイズの記録媒体に対応する吸着溝が50mm以下のピッチで配置される態様が好ましい。
中間シート224に設けられる吸着溝222は、使用される記録媒体22のサイズに応じた長さを有しており、複数のサイズの記録媒体に対応するために、異なる長さの吸着溝222が設けられている。
次に、吸着シート220について詳述する。
図11は吸着シート220の斜視図である。
吸着シート220の記録媒体保持領域214には多数の吸着穴が所定の配置パターンに従って設けられている。また、吸着シート220の乾燥ドラム76の軸方向の略中央部は、吸着穴250が設けられていない非開口部216となっている。更に、吸着シート220の乾燥ドラム76の周方向の両端は、ドラム本体230に固定するための折り返し構造(L字曲げ構造)となっている。
吸着シート220は、中間シート224の絞り部234(図10参照)に対応する部分を非開口部216として吸着穴を設けないことで、絞り部234の圧力損失を制限する(圧力損失を絞る)機能を確保している。また、吸着シート220の非開口部216以外の部分に多数の吸着穴を設けることで、対応用紙サイズによって吸着穴のパターンを変更する必要がなく、同じ形状の吸着シートパターンにすることができる。
図12に上記乾燥ドラムで用いることができる吸着シートの具体例を示す。
図12(a)は、非開口部216により記録媒体保持領域214を搬送方向と平行に幅方向中心で2分割し、吸着シートの幅方向中心の開口率を高くし、幅方向に徐々にピッチ間隔を広くし、開口率を小さくする吸着シートである。図12(b)については、記録媒体保持領域214の分割方法は同じであるが、各記録媒体保持領域214の開口率の制御を搬送方向の中心から端部に向って小さくしている。図12(c)は、各記録保持領域を幅方向中心から端部に向って段階的に開口率を小さくしている。
図12(d)〜(g)は、更に、非開口部216により記録媒体保持領域214を搬送方向と平行に3分割あるいは4分割した図である。図12(d)は、記録媒体保持領域214内の開口率を一定にし、端部にいくに従い、開口率を小さくしている図であり、図12(e)は、3分割した記録媒体保持領域214の中央を一定の開口率とし、端部の記録媒体保持領域214の開口率を中央部から端部にいくに従い、線形に小さくしている図である。
図12(f)、(g)は、非開口部216により記録媒体保持領域214を搬送方向と平行に4分割した図である図12(f)は、各記録媒体保持領域214内の開口率を一定とし、端部に向い段階的に小さくしている配置であり、図12(g)は、中央部と端部の開口率を一定とし、その間の記録媒体保持領域214の開口率を線形に小さくしている配置である。
図12(h)〜(j)は、乾燥ドラム76の搬送方向と平行に分割するだけでなく、幅方向と平行方向に非開口部216により記録媒体保持領域214を分割した図である。図12(h)は吸着面の中心部から搬送方向および幅方向に線形に開口率が減少している配置であり、図12(i)は、記録媒体保持領域214内の開口率を一定とし、更に、搬送方向を一定とし、幅方向の開口率を段階的に小さくなるように配置した図である。また、図12(j)は、非開口部216による記録媒体保持領域214の分割を細かくし、記録媒体保持領域214内の開口率を一定とし、段階的に中央部から端部に向って開口率を小さくしている図である。
更に、図12(k)は、吸着面を中心部から非開口部216を隔てて、記録媒体保持領域214を周状に分割した図である。分割した記録媒体保持領域214内の開口率を一定にし、段階的に吸着面の中央部から端部に向けて開口率を小さくすることができる。
このように、様々な吸着シート220の構成を取ることで、中央部に形成されるカックルを端部に逃がすことができる。
また、開口率を変化させる方向は、記録媒体の紙目方向に応じて変更することが好ましい。記録媒体の紙目方向が搬送方向に垂直な場合、カックルは搬送方向(周方向)に顕著に発生する。したがって、カックルの発生方向に対応するように、図12()に示すような、周方向に開口率が変化する吸着面とすることが好ましい。記録媒体の紙目方向が、搬送方向と平行な場合には、カックルは幅方向(軸方向)に顕著に発生する。したがって、図12()に示すように、軸方向に開口率が変化する吸着面とすることが好ましい。
なお、中央部から端部に向うに従い吸着穴の開口率が小さくなる構成をとることができれば、吸着シートの構成は図12に示す例に限定されず、様々な態様をとることができる。また、非開口部216は非常に狭い幅で構成されているので、吸着シート220の中心が非開口部となっていても、狭い範囲であるので、その周囲の記録媒体保持領域に充分な吸引圧力があれば、カックルを抑止することができる。
また、上述したように、非開口部216によって開口部分がふさがれていることにより大気解放されないような構成となっているため、図12に示すような吸着シートを用いる場合は、非開口部216の下部にドラム吸着溝226およびドラム吸着穴228、中間シート224の絞り部234が配置されるような構造とし、吸着溝222が吸着シート220の記録媒体保持領域214の下部になるように配置することでより効果的に吸引を行うことができる。
また、吸着穴の配置としては、特に限定されないが、多数の吸着穴を高密度に配置するために、六方最密配置に基づいて配置することが好ましい。六方細密配置で吸着穴を配置する場合は、六方最密配置で配置させた吸着穴間を、所定の間隔を開けて吸着穴を配置する(間引く)ことで、開口率を小さくすることができる。
吸着穴を間引いて形成された吸着シートの吸着穴の例を図13に示す。図13(a)、(b)は、吸着面の中央部から搬送方向および幅方向端部に向って、徐々に吸着穴を間引く量を増やすことで、開口率が小さくなるように配置した図である。同様に、図13(c)、(d)は、吸着面の中央部から搬送方向端部に向って開口率を減少させる図であり、(e)〜(g)は、吸着面の中央部から幅方向端部に向って開口率を減少させる図である。また、図13(h)は、吸着面の中央部から搬送方向端部および幅方向端部に開口率を減少させる配置図である。
なお、六方最密配置の場合における吸着穴の間引き方についても、中央から少なくともいずれか一方の端部に向って開口率が下がるようにすることができれば、図13に示す例に限定されず用いることができる。
図14に吸着穴の形状を示す。吸着穴の形状としては、図14(a)に示す、吸着シート表面の開口部の径と吸着穴の穴径が同じであり、吸着穴のエッジ部の加工をしていないもの、図14(b)に示す、吸着穴のエッジ部がR形状を示すもの、図14(c)に示すエッジ部が直線のもの、図14(d)に示す、エッジ部が逆Rのもの、図14(e)に示す、エッジ部に溝(段差)を設け、二段加工となっているものである。吸着シート表面の形状は、吸着穴の形状と相似形であることが好ましい。なお、穴の形状としては、特に限定されず、いずれの形状でも用いることができるが、吸着穴による記録媒体の凹みを考慮すると図14の(b)〜(e)の形状とすることが好ましい。このような形状とすることで、吸着シート表面の穴の端部付近の吸引圧力を弱めることができるので、記録媒体に吸着穴の凹みをつきにくくすることができる。なお、本発明において吸着穴の径とは、図14中のD1の長さのことをいう。
吸着穴のエッジ部のサイズは、図14に示すように、D1:最***径(吸着穴の径)、D2:吸着シート表面の穴径、t:吸着シートの厚み、h:径がD2からD1になるまでの深さ、a:(D2−D1)/2、としたときに、
a≦0.25×t であり、
図14(b)の場合、0<h≦0.5×t
図14(c)の場合、0<h≦0.35×t
図14(d)、(e)の場合、0<h≦0.25×t
を満たすように吸着穴のエッジ部を設けることが好ましい。
また、乾燥ドラム76の記録媒体22を挟んだ反対側に、記録媒体22を乾燥ドラム76に押圧する記録媒体抑え手段83を設けることが好ましい。記録媒体抑え手段83を設けることで、記録媒体を乾燥ドラム76にシワなどの発生を抑制して、均一に吸着を行うことができる。
記録媒体抑え手段83としては、図1に示すような送風手段により記録媒体と非接触で押圧することにより行うことができる。また、ローラーなどにより接触して押圧することにより行うことができるが、記録媒体には、未乾燥の画像が形成されているので、非接触式の記録媒体抑え手段を用いることが好ましい。
(露光硬化部)
露光硬化部18は、紫外線光源88及びインラインセンサ90で構成される。紫外線光源88及びインラインセンサ90は、露光硬化ドラム84の周面に対向する位置に配置され、露光硬化ドラム84の回転方向の上流側から順に配置される。
露光硬化ドラム84は、その外周面に記録媒体22を保持して回転搬送させるドラムであり、回転駆動される。また、露光硬化ドラム84は、その外周面に爪形状の保持手段85を備え、この保持手段85によって記録媒体22の先端を保持できるようになっている。記録媒体22は、保持手段85によって先端が保持された状態で露光硬化ドラム84を回転させることによって、回転搬送される。その際、記録媒体22の記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面に対して、紫外線光源88による露光硬化処理と、インラインセンサ90による検査が行われる。
紫外線光源88は乾燥されたインクにUV光を照射することにより、インク中に含まれる活性光線硬化樹脂が硬化し、インクを皮膜化させる。紫外線光源88としては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、ブラックライト、冷陰極管、UV−LED等の種々の紫外線光源を用いることができる。
紫外線光源88の照射する紫外線のピーク波長は、インク組成物の吸収特性にもよるが、200〜600nmが好ましく、より好ましくは、300〜450nmであり、更に好ましくは、350〜450nmである。
紫外線光源88の照射エネルギーとしては、2000mJ/cm以下が好ましく、より好ましくは、10〜2000mJ/cmであり、更に好ましくは、20〜1000mJ/cmであり、特に好ましくは、50〜800mJ/cmである。
また、本発明のインクジェット記録装置では、紫外線は記録媒体の記録面に対して、好ましくは、0.01〜10秒、より好ましくは、0.1〜2秒照射することが適当である。
また、露光硬化ドラム84を所定の温度に制御してもよい。これにより、インクの硬化感度を向上させ、低照射強度で好適にインクを硬化し、皮膜化させることができる。
一方、インラインセンサ90は、記録媒体22に定着された画像について、チェックパターンや水分量、表面温度、光沢度などを計測するための計測手段であり、CCDラインセンサなどが適用される。
(排出部)
図1に示すように、露光硬化部18に続いて排出部20が設けられている。排出部20は、排出トレイ92を備えており、この排出トレイ92と露光硬化部18の露光硬化ドラム84との間に、これらに対接するように渡し胴94、搬送ベルト96、張架ローラー98が設けられている。記録媒体22は、渡し胴94により搬送ベルト96に送られ、排出トレイ92に排出される。
(中間搬送部)
次に、第1の中間搬送部24の構造について説明する。なお、第2の中間搬送部26、第3の中間搬送部28は、第1の中間搬送部24と同様の構成であり、その説明を省略する。
第1の中間搬送部24は、中間搬送体30を有する。中間搬送体30は、前段のドラムから記録媒体22を受け取り、回転搬送させた後、後段のドラムに受け渡すためのドラムであり、回転自在に取り付けられている。また、中間搬送体30は、不図示のモータによって回転するようになっている。
中間搬送体30の外周面には、爪形状の保持手段が90°間隔で設けられている。保持手段は、円軌跡を描きながら回転するようになっており、この保持手段の動作によって記録媒体22の先端が保持される。したがって、保持手段で記録媒体22の先端を保持した状態で中間搬送体30を回転させることによって、記録媒体22を回転搬送させることができる。なお、中間搬送体30の表面に複数の送風口を設け、この送風口からエアを吹き出すことによって、記録媒体の記録面を非接触で搬送するとよい。
第1の中間搬送部24によって搬送された記録媒体22は、後段のドラム(すなわち、描画ドラム70)に受け渡される。その際、中間搬送部24の保持手段と描画部14の保持手段を同期させることによって、記録媒体22の受け渡しが行われる。受け渡された記録媒体22は、描画ドラム70によって保持されて回転搬送される。
(制御系の説明)
図15は、インクジェット記録装置1のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置1は、通信インターフェース120、システムコントローラ122、プリント制御部124、処理液付与制御部126、第1中間搬送制御部128、ヘッドドライバ130、第2中間搬送制御部132、乾燥制御部134、第3中間搬送制御部136、露光硬化制御部138、インラインセンサ90、エンコーダ91、モータドライバ142、メモリ144、ヒータドライバ146、画像バッファメモリ148、吸引制御部149等を備えている。
通信インターフェース120は、ホストコンピュータ150から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース120にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。ホストコンピュータ150から送出された画像データは通信インターフェース120を介してインクジェット記録装置1に取り込まれ、一旦メモリ144に記憶される。
システムコントローラ122は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置1の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。即ち、システムコントローラ122は、通信インターフェース120、処理液付与制御部126、第1中間搬送制御部128、ヘッドドライバ130、第2中間搬送制御部132、乾燥制御部134、第3中間搬送制御部136、露光硬化制御部138、メモリ144、モータドライバ142、ヒータドライバ146、吸引制御部149等の各部を制御し、ホストコンピュータ150との間の通信制御、メモリ144の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ152やヒータ154を制御する制御信号を生成する。
メモリ144は、通信インターフェース120を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ122を通じてデータの読み書きが行われる。メモリ144は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
ROM145には、システムコントローラ122のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。なお、ROM145は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。メモリ144は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
モータドライバ142は、システムコントローラ122からの指示にしたがってモータ152を駆動するドライバである。図15には、装置内の各部に配置されるモータを代表して符号152で図示されている。例えば、図15に示すモータ152には、図1の渡し胴52、処理液ドラム54、描画ドラム70、乾燥ドラム76、露光硬化ドラム84、渡し胴94などの回転を駆動するモータ、描画ドラム70の吸引孔から負圧吸引するためのポンプ75の駆動モータ、インクヘッド72C,72M,72Y,72Kのヘッドユニットの退避機構のモータ、などが含まれている。
ヒータドライバ146は、システムコントローラ122からの指示にしたがって、ヒータ154を駆動するドライバである。図15には、インクジェット記録装置1に備えられる複数のヒータを代表して符号154で図示されている。例えば、図15に示すヒータ154には、給紙部10において記録媒体22を予め適温に加熱しておくための不図示のプレヒータ、などが含まれている。
プリント制御部124は、システムコントローラ122の制御にしたがい、メモリ144内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字データ(ドットデータ)をヘッドドライバ130に供給する制御部である。プリント制御部124において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいて、ヘッドドライバ130を介してインクヘッド100のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
プリント制御部124には画像バッファメモリ148が備えられており、プリント制御部124における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ148に一時的に格納される。なお、図15において画像バッファメモリ148はプリント制御部124に付随する態様で示されているが、メモリ144と兼用することも可能である。また、プリント制御部124とシステムコントローラ122とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
画像入力から印字出力までの処理の流れを概説すると、印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース120を介して外部から入力され、メモリ144に蓄えられる。この段階では、例えば、RGBの画像データがメモリ144に記憶される。
インクジェット記録装置1では、インク(色材)による微細なドットの打滴密度やドットサイズを変えることによって、人の目に疑似的な連続階調の画像を形成するため、入力されたデジタル画像の階調(画像の濃淡)をできるだけ忠実に再現するようなドットパターンに変換する必要がある。そのため、メモリ144に蓄えられた元画像(RGB)のデータは、システムコントローラ122を介してプリント制御部124に送られ、該プリント制御部124において閾値マトリクスや誤差拡散法などを用いたハーフトーニング処理によってインク色毎のドットデータに変換される。
即ち、プリント制御部124は、入力されたRGB画像データをK,C,M,Yの4色のドットデータに変換する処理を行う。こうして、プリント制御部124で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ148に蓄えられる。
ヘッドドライバ130は、プリント制御部124から与えられる印字データ(即ち、画像バッファメモリ148に記憶されたドットデータ)に基づき、インクヘッド100の各ノズル102に対応するアクチュエータ116を駆動するための駆動信号を出力する。ヘッドドライバ130にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
ヘッドドライバ130から出力された駆動信号がインクヘッド100に加えられることによって、該当するノズル102からインクが吐出される。記録媒体22を所定の速度で搬送しながらインクヘッド100からのインク吐出を制御することにより、記録媒体22上に画像が形成される。
また、システムコントローラ122は、処理液付与制御部126、第1中間搬送制御部128、第2中間搬送制御部132、乾燥制御部134、第3中間搬送制御部136、露光硬化制御部138、吸引制御部149を制御する。
処理液付与制御部126は、システムコントローラ122からの指示にしたがい、処理液付与部12の処理液塗布装置56の動作を制御する。
第1中間搬送制御部128は、システムコントローラ122からの指示にしたがい、第1の中間搬送部24の中間搬送体30の動作を制御する。具体的には、中間搬送体30において、中間搬送体30自体の回転駆動、中間搬送体30に備わる保持手段の回動などを制御する。第2中間搬送制御部132、第3中間搬送制御部136も第1中間搬送制御部128と同様の制御を行う。
吸引制御部149は、システムコントローラ122の制御にしたがって、画像形成された記録媒体22を乾燥ドラム76に密着させて搬送するため乾燥ドラム76内に設けられた吸引手段制御を行う。吸引手段は、記録媒体22の剛性により、吸引圧力の制御を行う。記録媒体を密着させて搬送するのに充分な吸引圧力で吸引することで、記録媒体に生じる吸引凹みを制御することができる。記録媒体22の種類による剛性に対応する吸引圧力をROM145に記録させておき、使用する記録媒体22の種類をパソコン(不図示)により直接入力することで、制御を行うことができる。
[インク組成物]
本発明におけるインク組成物は、顔料を含んでなり、必要に応じて、更に分散剤や界面活性剤、その他の成分を用いて構成することができる。
(顔料)
本発明におけるインク組成物は、色材成分として顔料の少なくとも一種を含有する。顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機顔料、無機顔料のいずれであってもよい。顔料は、水に殆ど不溶であるか又は難溶である顔料であることが、インク着色性の点で好ましい。
(分散剤)
本発明のインク組成物は、分散剤の少なくとも1種を含有することができる。前記顔料の分散剤としては、ポリマー分散剤、又は低分子の界面活性剤型分散剤のいずれでもよい。また、ポリマー分散剤は、水溶性の分散剤、又は非水溶性の分散剤のいずれでもよい。
ポリマー分散剤の重量平均分子量は、3,000〜100,000が好ましく、より好ましくは5,000〜50,000であり、更に好ましくは5,000〜40,000であり、特に好ましくは10,000〜40,000である。
ポリマー分散剤の酸価としては、処理液が接触したときの凝集性が良好である観点から、100以下mgKOH/g以下が好ましい。更には、該酸価は、25〜100mgKOH/gがより好ましく、25〜80が更に好ましく、30〜65が特に好ましい。ポリマー分散剤の酸価が25以上であると、自己分散性の安定性が良好になる。
ポリマー分散剤は、自己分散性と処理液が接触したときの凝集速度の観点から、カルボキシル基を有するポリマーを含むことが好ましく、カルボキシル基を有し、酸価が25〜80mgKOH/gのポリマーを含むことがより好ましい。
本発明においては、画像の耐光性や品質などの観点から、顔料と分散剤と含むことが好ましく、有機顔料とポリマー分散剤とを含むことがより好ましく、有機顔料とカルボキシル基を含むポリマー分散剤とを含むことが特に好ましい。また、顔料は、凝集性の観点から、カルボキシル基を有するポリマー分散剤に被覆され、水不溶性であることが好ましい。更に、凝集性の観点からは、後述の自己分散性ポリマーの粒子の酸価の方が、前記ポリマー分散剤の酸価よりも小さいことが好ましい。
顔料の平均粒子径としては、10〜200nmが好ましく、10〜150nmがより好ましく、10〜100nmが更に好ましい。平均粒子径は、200nm以下であると色再現性が良好になり、インクジェット法で打滴する際の打滴特性が良好になり、10nm以上であると耐光性が良好になる。また、色材の粒径分布に関しては、特に制限はなく、広い粒径分布又は単分散性の粒径分布のいずれであってもよい。また、単分散性の粒径分布を持つ色材を2種以上混合して使用してもよい。
なお、顔料粒子の平均粒子径及び粒径分布は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用いて、動的光散乱法により体積平均粒径を測定することにより求められるものである。
顔料は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
顔料のインク組成物中における含有量としては、画像濃度の観点から、インク組成物に対して、1〜25質量%であることが好ましく、2〜20質量%がより好ましく、5〜20質量%がさらに好ましく、5〜15質量%が特に好ましい。
(ポリマー粒子)
本発明におけるインク組成物は、ポリマー粒子の少なくとも一種を含有することができる。このポリマー粒子は、後述の処理液又はこれを乾燥させた領域と接触した際に分散不安定化して凝集しインクを増粘させることによりインク組成物を固定化する機能を有し、インク組成物の記録媒体への定着性及び画像の耐擦過性をより向上させることができる。
凝集剤と反応するために、アニオン性の表面電荷を有するポリマー粒子が用いられ、充分な反応性、吐出安定性が得られる範囲で、広く一般に知られているラテックスが用いられるが、特に自己分散性のポリマー粒子を用いることが好ましい。
<自己分散性ポリマー粒子>
本発明におけるインク組成物は、ポリマー粒子として、自己分散性ポリマー粒子の少なくとも一種を含有することが好ましい。この自己分散性ポリマーは、後述の処理液又はこれを乾燥させた領域と接触した際に分散不安定化して凝集しインクを増粘させることによりインク組成物を固定化する機能を有し、インク組成物の記録媒体への定着性及び画像の耐擦過性をより向上させることができる。また、自己分散性ポリマーは、吐出安定性及び前記顔料を含む系の液安定性(特に分散安定性)の観点からも好ましい樹脂粒子である。
自己分散性ポリマーの粒子とは、他の界面活性剤の不存在下に、ポリマー自身が有する官能基(特に酸性基又はその塩)によって、水性媒体中で分散状態となり得る水不溶性ポリマーであって、遊離の乳化剤を含有しない水不溶性ポリマーの粒子を意味する。
本発明における自己分散性ポリマーの酸価としては、処理液が接触したときの凝集性が良好である観点から、50以下KOHmg/g以下が好ましい。更には、該酸価は、25〜50KOHmg/gがより好ましく、30〜50が更に好ましい。自己分散性ポリマーの酸価が25以上であると、自己分散性の安定性が良好になる。
本発明における自己分散性ポリマーの粒子は、自己分散性と処理液が接触したときの凝集速度の観点から、カルボキシル基を有するポリマーを含むことが好ましく、カルボキシル基を有し、酸価が25〜50KOHmg/gのポリマーを含むことがより好ましく、カルボキシル基を有し、酸価が30〜50KOHmg/gのポリマーを含むことがより好ましい。
自己分散性ポリマーの粒子を構成する水不溶性ポリマーの分子量としては、重量平均分子量で3000〜20万であることが好ましく、5000〜15万であることがより好ましく、10000〜10万であることが更に好ましい。重量平均分子量を3000以上とすることで水溶性成分量を効果的に抑制することができる。また、重量平均分子量を20万以下とすることで、自己分散安定性を高めることができる。
なお、重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)で測定される。GPCは、HLC−8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgeL SuperHZM−H、TSKgeL SuperHZ4000、TSKgeL SuperHZ2000(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を3本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いる。また、条件としては、試料濃度を0.35/min、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、IR検出器を用いて行う。また、検量線は、東ソー(株)製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製する。
自己分散性ポリマーの粒子の平均粒子径は、体積平均粒子径で10nm〜400nmの範囲が好ましく、10〜200nmの範囲がより好ましく、10〜100nmの範囲が更に好ましい。体積平均粒子径は、10nm以上であると製造適性が向上し、1μm以下であると保存安定性が向上する。
なお、自己分散性ポリマーの粒子の平均粒子径及び粒径分布は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用いて、動的光散乱法により体積平均粒径を測定することにより求められるものである。
自己分散性ポリマーの粒子は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。自己分散性ポリマーの粒子のインク組成物中における含有量としては、凝集速度や画像の光沢性などの観点から、インク組成物に対して、1〜30質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。
また、インク組成物中の顔料と自己分散性ポリマーの粒子との含有比率(例えば、水不溶性顔料粒子/自己分散性ポリマーの粒子)としては、画像の耐擦過性などの観点から、1/0.5〜1/10であることが好ましく、1/1〜1/4であることがより好ましい。
(重合性化合物)
本発明におけるインク組成物は、活性エネルギー線により重合する水溶性の重合性化合物の少なくとも一種を含有することができる。
水溶性とは、水に一定濃度以上溶解できることをいい、水性のインク中に(望ましくは均一に)溶解し得るものであればよい。また、後述する水溶性有機溶剤を添加することにより溶解度が上がってインク中に(望ましくは均一に)溶解するものであってもよい。具体的には、水に対する溶解度が10質量%以上であることが好ましく、15質量以上であることがより好ましい。
重合性化合物としては、凝集剤と顔料、ポリマー粒子との反応を妨げない点で、ノニオン性又はカチオン性の重合性化合物が好ましく、水に対する溶解度が10質量%以上(更には15質量%以上)の重合性化合物が好ましい。
本発明における重合性化合物としては、擦過耐性を高め得る観点から、多官能のモノマーが好ましく、2官能〜6官能のモノマーが好ましく、溶解性と擦過耐性の両立の観点から、2官能〜4官能のモノマーが好ましい。
重合性化合物は、1種単独又は2種以上を組み合わせて含有することができる。
重合性化合物のインク組成物中における含有量としては、顔料及び自己分散性ポリマーの粒子の合計の固形分に対して、30〜300質量%が好ましく、50〜200質量%がより好ましい。重合性化合物の含有量は、30質量%以上であると画像強度がより向上して画像の耐擦過性に優れ、300質量%以下であるとパイルハイトの点で有利である。
(開始剤)
本発明におけるインク組成物は、後述の処理液に含有するとともにあるいは含有せずに、活性エネルギー線により前記重合性化合物の重合を開始する開始剤の少なくとも1種を含有することができる。光重合開始剤は、1種単独で又は2種以上を混合して、あるいは増感剤と併用して使用することができる。
開始剤は、活性エネルギー線により重合反応を開始し得る化合物を適宜選択して含有することができ、例えば、放射線もしくは光、又は電子線により活性種(ラジカル、酸、塩基など)を発生する開始剤(例えば、光重合開始剤等)を用いることができる。
開始剤を含有する場合、インク組成物中における開始剤の含有量としては、重合性化合物に対して、1〜40質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。開始剤の含有量は、1質量%以上であると画像の耐擦過性がより向上し、高速記録に有利であり、40質量%以下であると吐出安定性の点で有利である。
(水溶性有機溶剤)
本発明におけるインク組成物は、水溶性有機溶媒の少なくとも1種を含有することができる。水溶性有機溶媒は、乾燥防止、湿潤あるいは浸透促進の効果を得ることができる。乾燥防止には、噴射ノズルのインク吐出口においてインクが付着乾燥して凝集体ができ、目詰まりするのを防止する乾燥防止剤として用いられ、乾燥防止や湿潤には、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶媒が好ましい。また、浸透促進には、紙へのインク浸透性を高める浸透促進剤として用いることができる。
乾燥防止剤としては、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶媒であることが好ましい。
乾燥防止剤は、1種単独で用いても2種以上併用してもよい。乾燥防止剤の含有量は、インク組成物中に10〜50質量%の範囲とするのが好ましい。
浸透促進剤としては、インク組成物を記録媒体(印刷用紙など)により良く浸透させる目的で好適である。浸透促進剤は、1種単独で用いても2種以上併用してもよい。浸透促進剤の含有量は、インク組成物中に5〜30質量%の範囲であるのが好ましい。また、浸透促進剤は、画像の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こさない量の範囲内で使用することが好ましい。
(水)
インク組成物は、水を含有するものであるが、水の量には特に制限はない。中でも、水の好ましい含有量は、10〜99質量%であり、より好ましくは30〜80質量%であり、更に好ましくは50〜70質量%である。
(その他の添加剤)
本発明におけるインク組成物は、上記成分以外にその他の添加剤を用いて構成することができる。その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。
[処理液]
処理液は、既述のインク組成物中の成分を凝集させる凝集剤を少なくとも含み、必要に応じて、更に他の成分を用いて構成することができる。インク組成物とともに処理液を用いることで、インクジェット記録を高速化でき、高速記録しても濃度、解像度の高い描画性(例えば細線や微細部分の再現性)に優れた画像が得られる。
凝集剤としては、インク組成物のpHを変化させることができる化合物であっても、多価金属塩であっても、ポリアリルアミン類であってもよい。本発明においては、インク組成物の凝集性の観点から、インク組成物のpHを変化させることができる化合物が好ましく、インク組成物のpHを低下させ得る化合物がより好ましい。
中でも、本発明における凝集剤としては、水溶性の高い酸性物質が好ましく、凝集性を高め、インク全体を固定化させる点で、有機酸が好ましく、2価以上の有機酸がより好ましく、2価以上3価以下の酸性物質が特に好ましい。前記2価以上の有機酸としては、その第1pKaが3.5以下の有機酸が好ましく、より好ましくは3.0以下の有機酸である。具体的には、例えば、リン酸、シュウ酸、マロン酸、クエン酸などが好適に挙げられる。
凝集剤は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
インク組成物を凝集させる凝集剤の処理液中における含有量としては、1〜50質量%が好ましく、より好ましくは3〜45質量%であり、更に好ましくは5〜40質量%の範囲である。
処理液は、本発明の効果を損なわない範囲内で、更にその他の成分として他の添加剤を含有することができる。他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。
<記録媒体>
本発明のインクジェット記録方法は、記録媒体に上に画像を記録するものである。
記録媒体には、特に制限はないが、一般のオフセット印刷などに用いられる、いわゆる上質紙、コート紙、アート紙などのセルロースを主体とする一般印刷用紙を用いることができる。セルロースを主体とする一般印刷用紙は、水性インクを用いた一般のインクジェット法による画像記録においては比較的インクの吸収、乾燥が遅く、打滴後に色材移動が起こりやすく、画像品質が低下しやすいが、本発明のインクジェット記録方法によると、色材移動を抑制して色濃度、色相に優れた高品位の画像の記録が可能である。
記録媒体の中でも、一般のオフセット印刷などに用いられるいわゆる塗工紙が好ましい。塗工紙は、セルロースを主体とした一般に表面処理されていない上質紙や中性紙等の表面にコート材を塗布してコート層を設けたものである。塗工紙は、通常の水性インクジェットによる画像形成においては、画像の光沢や擦過耐性など、品質上の問題を生じやすいが、本発明のインクジェット記録方法では、光沢ムラが抑制されて光沢性、耐擦性の良好な画像を得ることができる。特に、原紙と無機顔料を含むコート層とを有する塗工紙を用いるのが好ましく、原紙とカオリン及び/又は重炭酸カルシウムを含むコート層とを有する塗工紙を用いるのがより好ましい。具体的には、アート紙、コート紙、軽量コート紙、又は微塗工紙がより好ましい。
[実施例]
次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[試験例1]乾燥ドラムの吸着面の穴配置による評価
図1に示すインクジェット記録装置によりベタ画像を描画し、形成後のサンプルについて吸着穴の凹み、穴部の画像強度、カックルの発生を確認した。吸着シートは、厚さ:0.4mm、開口率、吸着穴の径、および、穴ピッチは表1に示す条件で試験を行った。なお、開口率を中央部と端部で変更させた例については、平均穴径:0.8mm、平均穴ピッチ0.8mmとなるようにした。また、エッジ部の形状は、図14(a)に示す形状の吸着穴を用いた。吸引圧は40kPaで行った。記録媒体には、OKトップコート104gsm、菊半裁サイズ(636×469mm)を用いた。実施例においては、記録媒体の長辺が幅方向、短辺が搬送方向となるように記録媒体を搬送したため、比較例1〜3は紙目が縦目(紙目が搬送方向に垂直)、横目(紙目が搬送方向と平行)の両方で行った。実施例1、比較例4〜6は紙目が横目、実施例2、比較例7〜9は紙目が縦目の記録媒体を用いて試験を行った。インクの打滴量は5plで行った。
また、各評価は以下の基準で行った。
<吸着穴凹み>
出力された記録媒体のベタ画像部の吸着穴部分の凹みの視認性を目視で評価した。
◎ :視認されない
○ :ほとんど視認されない
○△:一部でわずかに視認されるが許容内
△ :視認される
× :顕著に視認される
<穴部の画像強度>
出力されたサンプルのベタ画像部の吸着穴部分を含む領域に、セロハンテープ(ニチバン製)を貼り付けて吸着穴部の画像の密着性を評価した。
○:剥がしたテープへの画像付着がない
△:剥がしたテープへの吸着穴部分の画像付着が一部ある
×:剥がしたテープへの吸着穴部分の画像付着が顕著にある
<カックル>
出力された記録媒体のベタ画像部分のカックル度合いを目視評価した。
○ :カックルが許容内
△ :カックルが許容外になる場合がある
△×:カックルが許容外
× :カックルが顕著で、問題外
図16に示すように、開口率が一定である比較例1〜3は、開口率が低い比較例では、中央部のカックルの成長を抑止できず、開口率の高い比較例では、端部のカックルを分散しきれないので、カックルが確認された。開口率を中央部を低くし、端部を高くした比較例4及び比較例7についても同様にカックルが確認された。また、穴径を変更することで開口率を変更した比較例5、6、8、9では、吸着穴の穴径の大きい部分で記録媒体に凹みが確認された。なお、穴径が0.8mmであったので、エッジ部の形状の影響は見られなかった。
吸着穴の穴径を均一にし、穴ピッチを変更することで開口率を変更した実施例1及び実施例2はカックル、吸着穴による凹みもない良好な画像を形成することができた。
[試験例2]記録媒体の坪量(剛性)による吸着凹み評価
図1に示すインクジェット記録装置により、3種類の記録媒体にベタ画像を描画し、画像部分の吸着凹みの評価を行った。吸着シートは、厚さ:0.4mm、穴ピッチ:0.8mmで一定とし、図2(b)または図2(c)に示すような各領域で段階的に開口率が小さくなるように、穴径を0.2〜2.0mmの範囲で変更した。図17中の開口率は各領域における開口率である。インク打滴量は、5plであり、吸着穴のエッジ部の形状は、図14(a)に示す形状の吸着穴を用いた。吸引圧は40kPaで行った。
図17に示すように、剛性の高い記録媒体の場合は、吸着穴の穴径を大きくしても吸着穴の凹みができにくいので、記録媒体の剛性に対応して吸着穴の径を制御することが好ましい。また、剛性の低い記録媒体に対応するには、穴径を所定値以下にすることが好ましい。図17より、坪量104.7gsmまで対応するならば、穴径を1.4mm以下、さらに、73.3gsm相当まで対応するには、穴径を1.2mm以下に設定することが好ましい。
[試験例3]吸着穴のエッジ加工による吸着凹み評価
図1に示すインクジェット記録装置により、ベタ画像を描画し、吸着凹みの評価を行った。吸着シートは、厚さ:0.4mm、穴ピッチ:0.8mmで一定とし、図2(b)または図2(c)に示すような各領域で段階的に開口率が小さくなるように、穴径を1.2mm、1.6mmで変更した。また、エッジ部の形状が、図14(a)、図14(b)、図14(e)に示す吸着穴を用いて試験を行い、D1:吸着穴の径、h:径がD2からD1になるまでの深さ、a:(D2−D1)/2は、図18に示す条件で行った(図14(a)については、a、hともに0である)。記録媒体として、OKトップコート(坪量:73.3gsm)を用い、インク打滴量は5plで行った。
試験例2では、吸着穴の径が1.6mmのサンプルは吸着凹みが顕著に確認されたが、エッジ部の加工を行うことで、図18、試験番号11、12に示すように吸着凹みの良化が見られ、エッジ部を加工することの効果が確認できた。
1…インクジェット記録装置、10…給紙部、12…処理液付与部、14…描画部、16…乾燥部、18…露光硬化部、20…排出部、22…記録媒体、24…第1の中間搬送部、26…第2の中間搬送部、28…第3の中間搬送部、30…中間搬送体、55、71、77、85…保持手段、70…描画ドラム、72M,72C,72Y,72K…インクヘッド、76…乾燥ドラム、78…第1のIRヒータ、80…温風噴出しノズル、82…第2のIRヒータ、81…補助吸引手段、83…送風ノズル(非接触式記録媒体抑え手段)、84…露光硬化ドラム、88…紫外線光源

Claims (20)

  1. 記録媒体上にインクを打滴し、画像を形成するインクジェットヘッドと、
    前記インク打滴後の記録媒体を搬送する搬送体と、該記録媒体を保持する保持手段と、該記録媒体を負圧吸引するための複数の吸着穴と、該吸着穴から吸引する吸着手段と、を有する搬送手段と、
    前記搬送体と前記記録媒体を、前記画像が形成された印字面側から加熱する加熱手段と、を有し、
    前記記録媒体を吸引する吸着面の前記吸着穴のピッチ間隔が、該記録媒体に対応する該吸着面の中央部から端部にいくに従い広くなり、開口率が小さくなり、
    前記記録媒体の搬送方向後端に対応する前記吸着面の開口率が、該吸着面の中央部の開口率と同じであることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 記録媒体上にインクを打滴し、画像を形成するインクジェットヘッドと、
    前記インク打滴後の記録媒体を搬送する搬送体と、該記録媒体を保持する保持手段と、該記録媒体を負圧吸引するための複数の吸着穴と、該吸着穴から吸引する吸着手段と、を有する搬送手段と、
    前記搬送体と前記記録媒体を、前記画像が形成された印字面側から加熱する加熱手段と、を有し、
    前記記録媒体を吸引する吸着面の前記吸着穴のピッチ間隔が、該記録媒体に対応する該吸着面の中央部から端部にいくに従い広くなり、開口率が小さくなり、
    前記記録媒体の搬送方向先端に対応する前記吸着面の開口率が、該吸着面の中央部の開口率と同じであることを特徴とするインクジェット記録装置。
  3. 記録媒体上にインクを打滴し、画像を形成するインクジェットヘッドと、
    前記インク打滴後の記録媒体を搬送する搬送体と、該記録媒体を保持する保持手段と、該記録媒体を負圧吸引するための複数の吸着穴と、該吸着穴から吸引する吸着手段と、を有する搬送手段と、
    前記搬送体と前記記録媒体を、前記画像が形成された印字面側から加熱する加熱手段と、を有し、
    前記記録媒体の紙目方向が前記記録媒体の搬送方向と垂直な場合には、前記記録媒体を吸引する吸着面の前記吸着穴のピッチ間隔が、前記記録媒体に対応する前記吸着面の中央部から搬送方向端部に向って広くなり、開口率が小さくなることを特徴とするインクジェット記録装置。
  4. 前記吸着穴のピッチ間隔が、前記記録媒体に対応する前記吸着面の中央部から幅方向端部に向って広くなっていることを特徴とする請求項に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記吸着穴のピッチ間隔が、前記記録媒体に対応する前記吸着面の中央部が最も開口率が高いことを特徴とする請求項3または4に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記吸着穴の配置が六方最密配置であり、所定の間隔を設けて該吸着穴を配置することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記吸着穴の形状が真円または楕円形状であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記吸着穴のエッジ部が曲面であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  9. 前記吸着穴のエッジ部に、該吸着穴より大きく相似形の溝を有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  10. 前記記録媒体の種類により吸引手段による吸引圧力を制御する制御手段を備えることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  11. 前記吸着面の開口率が、線形に減少するように前記吸着穴を配置することを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  12. 前記吸着面は複数の領域に分割され、前記開口率が領域毎に段階的に減るように配置していることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  13. 前記吸着面の開口率が一定である領域間は、開口率が線形に減少することを特徴とする請求項12に記載のインクジェット記録装置。
  14. 前記吸着面の中央部10〜70%の領域は開口率が一定であることを特徴とする請求項11から13のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  15. 前記記録媒体を前記印字面側から前記搬送体表面に押圧するための記録媒体抑え手段を有することを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  16. 記録媒体上にインクを打滴し、画像を形成するインク吐出工程と、
    前記インク打滴後の記録媒体を搬送体に載せ、保持しながら該搬送体から吸着穴を通して吸引し、該記録媒体を搬送する搬送工程と、
    前記搬送体と前記記録媒体を、前記画像が形成された印字面側から加熱する加熱工程と、を有し、
    前記記録媒体を吸引する吸着面の前記吸着穴のピッチ間隔が、該記録媒体に対応する該吸着面の中央部から端部にいくに従い広くなり、開口率が小さくなり、
    前記記録媒体の搬送方向後端に対応する前記吸着面の開口率が、該吸着面の中央部の開口率と同じであることを特徴とするインクジェット記録方法。
  17. 記録媒体上にインクを打滴し、画像を形成するインク吐出工程と、
    前記インク打滴後の記録媒体を搬送体に載せ、保持しながら該搬送体から吸着穴を通して吸引し、該記録媒体を搬送する搬送工程と、
    前記搬送体と前記記録媒体を、前記画像が形成された印字面側から加熱する加熱工程と、を有し、
    前記記録媒体を吸引する吸着面の前記吸着穴のピッチ間隔が、該記録媒体に対応する該吸着面の中央部から端部にいくに従い広くなり、開口率が小さくなり、
    前記記録媒体の搬送方向先端に対応する前記吸着面の開口率が、該吸着面の中央部の開口率と同じであることを特徴とするインクジェット記録方法。
  18. 記録媒体上にインクを打滴し、画像を形成するインク吐出工程と、
    前記インク打滴後の記録媒体を搬送体に載せ、保持しながら該搬送体から吸着穴を通して吸引し、該記録媒体を搬送する搬送工程と、
    前記搬送体と前記記録媒体を、前記画像が形成された印字面側から加熱する加熱工程と、を有し、
    前記記録媒体の紙目方向が前記記録媒体の搬送方向と垂直な場合には、前記記録媒体を吸引する吸着面の前記吸着穴のピッチ間隔が、前記記録媒体に対応する前記吸着面の中央部から搬送方向端部に向って広くなり、開口率が小さくなることを特徴とするインクジェット記録方法。
  19. 前記吸着穴のピッチ間隔が、前記記録媒体に対応する前記吸着面の中央部から幅方向端部に向って広くなっていることを特徴とする請求項18に記載のインクジェット記録方法。
  20. 前記記録媒体の種類により、吸引圧力を制御する制御工程を有することを特徴とする請求項18または19に記録のインクジェット記録方法。
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