JP5457007B2 - タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤに関する。
タイヤのブレーカーに使用されるゴム組成物には、優れた剛性、破断強度、スチールコード等のコードとの接着性や低燃費性の性能をバランスよく改善することが求められている。例えば、ブレーカートッピング用ゴム組成物には、高い破断強度が必要であるため、ほぼ100%に近い天然ゴム/イソプレンゴムが一般的に使用されているが、低燃費性の点で充分ではない。
一方、カーボンブラック又はシリカと強い結合を形成できる変性ブタジエンや溶液重合変性スチレンブタジエンゴムは、ゴムのtanδを低減し、燃費低減に有効であるが、破断強度が低下したり、コードとの接着性が低下するといった問題がある。また、低燃費性を高める方法として、カーボンブラックやシリカ等のフィラーの含有量を低減する方法、カーボンブラックの一部又は全部をシリカに置換する方法が知られているが、複素弾性率(E)が低下し、剛性が低下する、或いは操縦安定性が低下するという問題がある。
このように、ブレーカートッピングゴムの低燃費化には、耐久性や接着性の低下が伴い、低燃費性、剛性、破断強度、コードとの接着性のすべての特性を同時に満足するゴム組成物は得られていないのが現状である。
例えば、特許文献1には、ブレーカートッピング用ゴム組成物のゴム成分として1,2−シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するブタジエンゴムと変性ブタジエンゴム及び/又は変性スチレンブタジエンゴムとを使用することによって剛性、破断時伸び、剥離強度を維持しつつ、低燃費性を向上することが提案されている。また、特許文献2には、特定量の硫黄にヘキサメチレンビスチオサルフェート2ナトリウム塩2水和物等を配合したスチールコード被覆用ゴム組成物により、引張特性の低下やスチールコードとの剥離を抑制できることが開示されている。
更に、クレゾール樹脂、ヘキサメチロールメラミンペンタメチルエーテル、有機酸コバルト等を使用することにより、破断強度の老化による低下を抑制し、金属材との接着性を向上することが開示されている(特許文献3)。しかしながら、これらのゴム組成物を用いても、低燃費性等、前述の性能をバランス良く得ることはできず、未だ改善の余地があった。
特開2007−277289号公報 特開2006−124474号公報 特開2005−272815号公報
本発明は、前記課題を解決し、低燃費性、剛性、破断強度、コードとの接着性のすべての性能をバランス良く得ることができるタイヤ用ゴム組成物、及びこれをブレーカーコードに被覆して得られるブレーカーを有する空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、スズ変性ポリブタジエンゴム及び/又は下記式(1);
Figure 0005457007
(式中、R、R及びRは、同一若しくは異なって、アルキル基、アルコキシ基、シリルオキシ基、アセタール基、カルボキシル基、メルカプト基又はこれらの誘導体を表す。R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又はアルキル基を表す。nは整数を表す。)で表される化合物により変性されたポリブタジエンゴム5〜50質量部と天然ゴム及び/又はイソプレンゴム50〜95質量部とを含むゴム成分100質量部に対して、ヘキサメチレンビスチオサルフェート2ナトリウム塩2水和物を0.1〜3質量部、硫黄を2.5〜7質量部含有するタイヤ用ゴム組成物に関する。
更に、シリカ及びカーボンブラックを含有し、ゴム成分100質量部に対して、上記シリカの含有量が5〜60質量部、上記シリカ及びカーボンブラックの合計含有量が40〜60質量部であることが好ましい。
上記スズ変性ポリブタジエンゴムが、リチウム開始剤により重合され、スズ原子の含有量が50〜3000ppm、ビニル結合量が5〜50質量%、及び分子量分布(Mw/Mn)が2以下であり、上記変性されたポリブタジエンゴムのビニル結合量が35質量%以下であることが好ましい。
上記ゴム組成物は、ブレーカートッピング、ブレーカーエッジストリップ、又はブレーカー及びプライ間のブレーカー下部ゴムに用いられることが好ましい。
本発明はまた、ブレーカーコードを上記ゴム組成物により被覆して得られるブレーカーを有する空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、特定のゴム成分に所定量のヘキサメチレンビスチオサルフェート2ナトリウム塩2水和物及び硫黄を配合することにより、低燃費性、剛性、破断強度、コードとの接着性がバランス良く得られるタイヤ用ゴム組成物、及びこれをブレーカーコードに被覆して得られるブレーカーを有する空気入りタイヤを提供できる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物には、スズ変性ポリブタジエンゴム(スズ変性BR)及び/又は上記式(1)で表される化合物により変性されたポリブタジエンゴム(S変性BR)と天然ゴム(NR)及び/又はイソプレンゴム(IR)とを所定配合で含むゴム成分に対して、更に所定量のヘキサメチレンビスチオサルフェート2ナトリウム塩2水和物(HTS)及び硫黄が配合されている。このようなスズ変性BRやS変性BRとNRやIRとの混合物を使用することによって燃費低減を実現するとともに、更にHTSを配合することにより合成ゴムによるコード接着性の低下や破断強度の低下を抑制できる。従って、低燃費性、剛性、破断強度、コードとの接着性のすべての性能をバランス良く得ることが可能となる。
スズ変性BRを使用することにより、低発熱性の効果が得られ、燃費を低減できる。
スズ変性BRとしては、リチウム開始剤により1,3−ブタジエンの重合を行った後、スズ化合物を添加することにより得られ、更に該スズ変性BR分子の末端がスズ−炭素結合で結合されているものが好ましい。
リチウム開始剤としては、アルキルリチウム、アリールリチウム、ビニルリチウム、有機スズリチウム、有機窒素リチウム化合物などのリチウム系化合物や、リチウム金属などが挙げられる。前記リチウム開始剤をスズ変性BRの開始剤とすることで、高ビニル、低シス含有量のスズ変性BRを作製できる。
スズ化合物としては、四塩化スズ、ブチルスズトリクロライド、ジブチルスズジクロライド、ジオクチルスズジクロライド、トリブチルスズクロライド、トリフェニルスズクロライド、ジフェニルジブチルスズ、トリフェニルスズエトキシド、ジフェニルジメチルスズ、ジトリルスズクロライド、ジフェニルスズジオクタノエート、ジビニルジエチルスズ、テトラベンジルスズ、ジブチルスズジステアレート、テトラアリルスズ、p−トリブチルスズスチレンなどが挙げられる。
スズ変性BR中のスズ原子の含有率は50ppm以上が好ましく、60ppm以上がより好ましい。50ppm未満では、スズ変性BR中のカーボンブラックの分散を促進する効果が小さく、tanδが増大してしまう傾向がある。また、スズ原子の含有率は3000ppm以下が好ましく、2500ppm以下がより好ましく、250ppm以下が更に好ましい。3000ppmを超えると、混練り物のまとまりが悪く、エッジが整わないため、混練り物の押出し加工性が悪化する傾向がある。
スズ変性BRの分子量分布(Mw/Mn)は2以下が好ましく、1.5以下がより好ましい。2を超えると、カーボンブラックの分散性が悪化し、tanδが増大してしまう。
スズ変性BRのビニル結合量は5質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましい。5質量%未満のスズ変性BRを重合(製造)することは困難な傾向がある。また、スズ変性BRのビニル結合量は50質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。50質量%を超えると、カーボンブラックの分散性が悪化し、引張強度が低下する傾向がある。
S変性BRはシリカと強固な結合を形成し、また、練り時にシリカの分散を促進し、破断時伸びを向上させることができる。
上記式(1)で表される化合物において、R、R及びRは、同一若しくは異なって、アルキル基、アルコキシ基、シリルオキシ基、アセタール基、カルボキシル基(−COOH)、メルカプト基(−SH)又はこれらの誘導体を表す。上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基等が挙げられる。上記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基等の炭素数1〜8のアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4)等が挙げられる。なお、アルコキシ基には、シクロアルコキシ基(シクロヘキシルオキシ基等の炭素数5〜8のシクロアルコキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基、ベンジルオキシ基等の炭素数6〜8のアリールオキシ基等)も含まれる。
上記シリルオキシ基としては、例えば、炭素数1〜20の脂肪族基、芳香族基が置換したシリルオキシ基(トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、トリイソプロピルシリルオキシ基、ジエチルイソプロピルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基、t−ブチルジフェニルシリルオキシ基、トリベンジルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基、トリ−p−キシリルシリルオキシ基等)等が挙げられる。
上記アセタール基としては、例えば、−C(RR′)−OR″、−O−C(RR′)−OR″で表される基を挙げることができる。前者としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基、イソプロポキシメチル基、t−ブトキシメチル基、ネオペンチルオキシメチル基等が挙げられ、後者としては、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、プロポキシメトキシ基、i−プロポキシメトキシ基、n−ブトキシメトキシ基、t−ブトキシメトキシ基、n−ペンチルオキシメトキシ基、n−ヘキシルオキシメトキシ基、シクロペンチルオキシメトキシ基、シクロヘキシルオキシメトキシ基等を挙げることができる。R、R及びRとしては、アルコキシ基が望ましい。これにより、ゴムの剛性、破断強度やコードとの接着性を維持しつつ、低燃費性を向上できる。
及びRのアルキル基としては、例えば、上記アルキル基と同様の基を挙げることができる。
n(整数)としては、1〜5が好ましい。これにより、剛性、破断強度、コードとの接着性、低燃費性のバランスを良好とできる。更には、nは2〜4がより好ましく、3が最も好ましい。nが0であるとケイ素原子と窒素原子との結合が困難であり、nが6以上であると変性剤としての効果が薄れる。
上記式(1)で表される化合物の具体例としては、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルエチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルブトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジブトキシシラン、ジメチルアミノメチルトリメトキシシラン、2−ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン、3−ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、4−ジメチルアミノブチルトリメトキシシラン、ジメチルアミノメチルジメトキシメチルシラン、2−ジメチルアミノエチルジメトキシメチルシラン、3−ジメチルアミノプロピルジメトキシメチルシラン、4−ジメチルアミノブチルジメトキシメチルシラン、ジメチルアミノメチルトリエトキシシラン、2−ジメチルアミノエチルトリエトキシシラン、3−ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、4−ジメチルアミノブチルトリエトキシシラン、ジメチルアミノメチルジエトキシメチルシラン、2−ジメチルアミノエチルジエトキシメチルシラン、3−ジメチルアミノプロピルジエトキシメチルシラン、4−ジメチルアミノブチルジエトキシメチルシラン、ジエチルアミノメチルトリメトキシシラン、2−ジエチルアミノエチルトリメトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、4−ジエチルアミノブチルトリメトキシシラン、ジエチルアミノメチルジメトキシメチルシラン、2−ジエチルアミノエチルジメトキシメチルシラン、3−ジエチルアミノプロピルジメトキシメチルシラン、4−ジエチルアミノブチルジメトキシメチルシラン、ジエチルアミノメチルトリエトキシシラン、2−ジエチルアミノエチルトリエトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、4−ジエチルアミノブチルトリエトキシシラン、ジエチルアミノメチルジエトキシメチルシラン、2−ジエチルアミノエチルジエトキシメチルシラン、3−ジエチルアミノプロピルジエトキシメチルシラン、4−ジエチルアミノブチルジエトキシメチルシラン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記式(1)で表される化合物(変性剤)によるポリブタジエンゴムの変性方法としては、特公平6−53768号公報、特公平6−57767号公報等に記載されている方法等、従来公知の手法を用いることができる。例えば、ポリブタジエンゴムと変性剤とを接触させればよく、ポリブタジエンゴムを重合し、該重合体ゴム溶液中に変性剤を所定量添加する方法、ポリブタジエンゴム溶液中に変性剤を添加して反応させる方法等が挙げられる。
変性されるポリブタジエンゴム(BR)としては特に限定されず、例えば、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR130B、BR150B等の高シス含有量のBR(ハイシスBR)、宇部興産(株)製のVCR412、VCR617等のシンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR等を使用できる。シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBRは、高Hs(≒E)が得られる反面、tanδが高くなるため、使用しない方が好ましい。
S変性BRのビニル結合量は、好ましくは35質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。ビニル結合量が35質量%を超えると、低発熱性が損なわれる傾向にある。ビニル結合量の下限は特に限定されない。
なお、本明細書において、ビニル結合量(1,2−結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
ゴム成分100質量部中のスズ変性BR及び/又はS変性BRの含有量は、5質量部以上、好ましくは10質量部以上である。5質量部未満であると、低発熱性の効果があまり期待できない。また、上記含有量は、ゴム100質量部中、50質量部以下、好ましくは45質量部以下である。50質量部を超えると、ゴムの破断強度が不十分となる傾向がある。
本発明では、NR及び/又はIRを使用することにより、高い剛性、破断強度を得ることができる。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分として使用されるNR及びIRとしては特に限定されず、ゴム工業において一般的なものを用いることができる。NRには、エポキシ化天然ゴム(ENR)や脱タンパク天然ゴム(DPNR)も含まれる。
ゴム成分100質量部中のNR及び/又はIRの含有量は、50質量部以上、好ましくは55質量部以上である。50質量部未満では、破断強度が低下する。また、上記含有量は、95質量部以下、好ましくは90質量部以下である。95質量部を超えると、tanδ向上の効果が得られない。
ゴム組成物に使用される他のゴム成分として、ジエン系ゴムが挙げられ、例えば、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルニトリル(NBR)、イソモノオレフィンとパラアルキルスチレンとの共重合体のハロゲン化物等を使用できる。
本発明では、硫黄を2.5質量部以上、かつフィラー成分を60質量部以下と少量にすることで、Eの上昇、tanδの低下を図っている。また、変性BRはNRに比べてコードとの接着性が低下するが、HTSによりコードとの接着性を補うことができる。
HTSは硫黄のポリS結合が生成・解離していく過程で、{−Sx−(S−(CH−S)−Sy−}の結合を生成し、熱的に安定化する。安定化の理由としては{−Sx−Sy−}のイオウ間解離エネルギーが、Sx−S、S−CH、S−Sy間解離エネルギーより小さいことによる。この熱的な安定化は、熱老化後の引張強度の向上を伴う。また、HTSは、スチールコードとイオウが接着反応により結合を作る際に、その含水成分を供出して適度なHOを供給し、接着反応を促進する効果を有する。
HTSの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.1質量部以上、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上である。0.1質量部未満では、スチールコードの接着性及び引張特性が充分に得られない。また、上記含有量は、3質量部以下、好ましくは2.5質量部以下、より好ましくは2質量部以下である。3質量部を超えると、ゴム硬度が増大するため伸びが低下し、更に熱酸化劣化による引張特性の低下が増大する。
硫黄としては、ゴム工業において加硫時に一般的に用いられるものを使用できるが、特にゴムシート押出し時又はゴムシート保管時において、ゴム表面に析出し難いという効果が得られることから、不溶性硫黄を用いることが好ましい。ここで、不溶性硫黄とは、硫黄をゴム加硫剤に用いた場合に生じるブルーミングを防止できる高分子硫黄のことをいう。
硫黄の含有量(不溶性硫黄の場合は、純硫黄分の含有量)は、ゴム成分100質量部に対して、2.5質量部以上、好ましくは3質量部以上である。また、上記含有量は、7質量部以下、好ましくは6.5質量部以下である。2.5質量部未満では、スチールコードのメッキ層に充分に硫黄が供給されず、剥離抗力に劣る。7質量部を超えると、加硫後のゴム組成物中において、ゴムやスチールと結合していないフリーな硫黄が多くなり、ゴム組成物の引張特性が低下し、熱酸化による劣化が生じやすい。なお、上記含有量は、破断強度を高めるためには2.5〜4質量部が好ましく、接着性及びtanδを高めるためには4〜7質量部が好ましい。
本発明のゴム組成物は、シリカを含有することが好ましい。スズ変性BRや変性BRとともにシリカを配合することにより、ゴムの耐久性を維持しつつ、低燃費性を向上できる。また、変性BRはNRに比べてコードとの接着性が低下するが、前述のHTSとともにシリカを使用することにより、コードとの接着性を補うことができる。シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(無水ケイ酸)等が挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
シリカのチッ素吸着比表面積(NSA)は40m/g以上が好ましく、45m/g以上がより好ましい。40m/g未満では、破断強度が低下する傾向がある。また、シリカのチッ素吸着比表面積は250m/g以下が好ましく、200m/g以下がより好ましい。250m/gを超えると、発熱性が悪化する傾向がある。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上である。5質量部未満では、シリカの配合によるコードとの接着性の向上や破断強度の向上の効果が得られない傾向がある。また、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは60質量部以下、より好ましくは55質量部以下である。60質量部を超えると、発熱性、分散性が悪くなる傾向がある。
本発明のゴム組成物は、シランカップリング剤を含有することが好ましい。シランカップリング剤としては、ゴム工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができ、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリメトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィドなどのスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシランなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどのグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシランなどのクロロ系などが挙げられる。商品名としてはSi69、Si75、Si363(デグッサ社製)やNXT、NXT−LV、NXT−ULV、NXT−Z(GE製)などがある。なかでも、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドが好ましい。
シランカップリング剤の含有量は、シリカの含有量100質量部に対して5質量部以上が好ましく、8質量部以上がより好ましい。5質量部未満では、破壊強度が大きく低下する傾向がある。また、該含有量は、シリカの含有量100質量部に対して、15質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。15質量部を超えると、シランカップリング剤を添加することによる破壊強度の増加や転がり抵抗低減などの効果が得られない傾向がある。
本発明のゴム組成物は、カーボンブラックを含むことが好ましい。これにより、ゴムのHs(≒E)を向上させることができる。カーボンブラックとしては、例えば、GPF、HAF、ISAF、SAFなどを用いることができる。
カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(NSA)は40m/g以上が好ましく、45m/g以上がより好ましい。40m/g未満では、補強性及び耐摩耗性が著しく悪化する傾向がある。また、カーボンブラック(E)のチッ素吸着比表面積は300m/g以下が好ましく、280m/g以下がより好ましい。300m/gを超えると、分散性が悪く、かえって補強性及び耐摩耗性が低下する傾向がある。
ゴム組成物がシリカ及びカーボンブラックを含有する場合、その合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは40質量部以上、より好ましくは45質量部以上である。40質量部未満では、ゴム硬度が低くなり、破断強度が不足する傾向がある。また、該合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは60質量部以下、より好ましくは55質量部以下である。60質量部を超えると、発熱性が高くなり、耐久性が低下する傾向がある。
本発明のゴム組成物は、下記式(2)で表されるベンゾチアゾリルスルフェンアミド又はベンゾチアゾリルスルフェンイミドを含んでもよい。この成分は加硫促進剤として機能するため、初期加硫速度が適度になり、加硫中に、タイヤコードのメッキ表面上の銅、ゴム中の硫黄やコバルトが適度な流動性下に移動し、結合することが可能となる。また、リバージョンも小さいので、形成された銅−硫黄−ゴムの結合が切断することがなく、破断伸びの低下も抑制し、ゴムの耐久性を向上させることができる。
Figure 0005457007
上記式(2)におけるRは炭素数3〜16の分岐構造を有する直鎖のアルキル基であって、Rは炭素数3〜16の分岐構造を有する直鎖のアルキル基又はベンゾチアゾリルスルフィド基である。直鎖のアルキル基は、炭素数3〜16からなるが、4〜16が好ましく、6〜12がより好ましい。2以下では、初期加硫速度が速く、接着性が悪くなり、17以上では、初期加硫速度が遅すぎ、またゴム硬度が低くなる。R及びRにおける好ましいアルキル基としては、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、2−エチルプロピル基、2−エチルブチル基、2−エチルペンチル基、2−エチルヘプチル基、2−エチルオクチル基などが挙げられる。また、製造原料数を減らし、製造収率を高くし、純度を高め、コストを低減できるという理由から、RとRは同じであることが好ましい。
上記式(2)におけるRとして、下記式;
Figure 0005457007
で表されるベンゾチアゾリルスルフィド基も挙げられる。Rがベンゾチアゾリルスルフィド基の場合、上記式(2)で表される化合物は、ベンゾチアゾリルスルフェンイミドとなる。Rがt−ブチル基の場合、Rはベンゾチアゾリルスルフィド基であることが好ましい。
上記式(2)で表されるベンゾチアゾリルスルフェンアミド又はベンゾチアゾリルスルフェンイミドとしては、川口化学工業(株)製のBEHZ(N,N−ジ(2−エチルヘキシル)−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)、川口化学工業(株)製のBMHZ(N,N−ジ(2−メチルヘキシル)−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)、フレキシス(株)製のサントキュアーTBSI(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンイミド)などが挙げられる。
上記式(2)で表されるベンゾチアゾリルスルフェンアミド又はベンゾチアゾリルスルフェンイミドの配合量は、ゴム成分100質量部に対して、0.7質量部以上、好ましくは0.8質量部以上である。0.7質量部未満では、ゴムの硬度が低く、破断強度が低くなる。また、上記配合量は、3質量部以下、好ましくは2.7質量部以下である。3質量部を超えると、コードとの接着性が低下する。
本発明のゴム組成物は、有機酸コバルトを含んでもよい。有機酸コバルトは、コードとゴムとを架橋する役目を果たすため、この成分を配合することにより、コードとゴムとの接着性を向上させることができる。有機酸コバルトとしては、例えば、ステアリン酸コバルト、ナフテン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、ホウ素3ネオデカン酸コバルトなどが挙げられる。なかでも、加工助剤として機能する(粘度を低下させる)という点で、ステアリン酸コバルトが好ましい。
有機酸コバルトの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、コバルトに換算して0.05質量部以上、好ましくは0.1質量部以上である。0.05質量部未満では、スチールコードのメッキ層とゴムの接着性が充分ではない。また、該含有量は、0.30質量部以下、好ましくは0.25質量部以下である。0.30質量部を超えると、ゴムの酸化劣化が顕著になり、破断特性が悪化する。
本発明のゴム組成物は、変性レゾルシン樹脂(変性レゾルシン縮合物)を含んでもよい。これにより、発熱性、破断時伸びを大きく悪化させることなく、接着性を改善できる。変性レゾルシン樹脂とは、下記式(3)で表される化合物をいう。式中のmは整数である。また、式中において、Rはアルキル基又は水酸基であることが好ましく、Rの結合位置は、メタ又はパラが好ましい。
Figure 0005457007
変性レゾルシン樹脂としては、例えば、レゾルシン・アルキルフェノール・ホルマリン共重合体、レゾルシン・ホルマリン反応物ペナコライト樹脂、RSM(約60質量%のレゾルシンと約40質量%のステアリン酸との混合物)などが挙げられるが、レゾルシン・アルキルフェノール・ホルマリン共重合体及びRSMが好ましい。
変性レゾルシン樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。0.5質量部未満では、複素弾性率が充分に向上しない傾向がある。また、上記含有量は10質量部以下が好ましく、8質量部以下がより好ましい。10質量部を超えると、破断強度が低下する傾向がある。
本発明のゴム組成物では、tanδの特性が悪くなることからクレゾール樹脂を用いないことが好ましく、また、破断強度が低くなることからレゾルシン樹脂を用いないことが好ましい。
本発明のゴム組成物は、更に、メチレン供与体を含有することができる。
メチレン供与体としては、例えば、ヘキサメチレンテトラミン(HMT)、ヘキサメトキシメチロールメラミン(HMMM)やヘキサメチロールメラミンペンタメチルエーテル(HMMPME)、スミカノール507A等が挙げられる。
メチレン供与体の含有量は、ゴム成分100質量部に対して1質量部以上が好ましく、1.5質量部以上がより好ましい。1質量部未満では、充分な複素弾性率が得られない傾向がある。また、上記含有量は5質量部以下が好ましく、4質量部以下がより好ましい。5質量を超えると、ゴムの粘度が増大し、加工性が悪化する傾向がある。
本発明のタイヤ用ゴム組成物には、前記スズ変性BR、S変性BR等のゴム成分、HTS、シリカ、カーボンブラック、シランカップリング剤、硫黄、ベンゾチアゾリルスルフェンアミド又はベンゾチアゾリルスルフェンイミド、有機酸コバルト、変性レゾルシン樹脂、メチレン供与体の他に、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、炭酸カルシウム等の充填剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、各種老化防止剤、アロマオイル等のオイル、ワックス、他の加硫剤や加硫促進剤などを適宜配合することができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、ブレーカートッピングに好適に用いられるが、ブレーカーエッジストリップ、ブレーカー下部ゴム(ブレーカー及びプライ間)にも適用できる。ブレーカーエッジストリップとは、ブレーカーエッジ部に用いられるものであり、例えば、特開2004−217817号公報に示されるものである。ブレーカー下部ゴム(ブレーカー及びプライ間)とは、ブレーカーとプライとの間に挿入し、突起物の衝撃によりブレーカー或いはプライが破壊することを防ぐ目的で用いられるものである。
また、ブレーカー及びケース間ストリップ用にも適用できる。ブレーカー及びケース間ストリップとは、歪みを低減することによりブレーカーエッジのセパレーション、ケース間のセパレーションを防止する目的に用いられるものである。
本発明の空気入りタイヤは、タイヤコードを上記タイヤ用ゴム組成物で被覆してブレーカー等の部材の形状に成形したのち、他のタイヤ部材と貼りあわせて未加硫タイヤを成形し、加硫することによって、空気入りタイヤ(ラジアルタイヤなど)を得ることができる。
本発明で適用できるタイヤコードとしては、カーカスコード、フィラー、バンド、ブレーカー(ベルト)などが挙げられるが、なかでも、ブレーカーコードが好ましい。タイヤコードとしては、タイヤ用スチールコード、2+2/0.23(線経0.23mmの2本と2本のコードを和して撚り合せたタイヤコード)、黄銅メッキ付高張力コードなどが挙げられる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
スズ変性BR:日本ゼオン(株)製のNipol BR1250H(リチウム開始剤:リチウム、スズ原子の含有率:250ppm、Mw/Mn:1.5、ビニル結合量:10〜13質量%)
S変性BR:住友化学(株)製の変性ブタジエンゴム(ビニル結合量15質量%、R、R及びR=−OCH、R及びR=−CHCH、n=3)
ハイシスBR:宇部興産(株)製のBR150B 1,4ハイシスBR
変性スチレンブタジエンゴム(変性S−SBR):JSR(株)製のHPR340(結合スチレン量10質量%、アルコキシシランでカップリングし、末端に導入)
NR:TSR20
カーボンブラックN326:昭和キャボット(株)製のカーボンブラックN326(NSA78m/g)
シリカZ115G:ローディーア社製Z115Gr(NSA112m/g)
シリカVN3:日本シリカ工業(株)ニプシルVN3(NSA175m/g)
不溶性硫黄:フレキシス(株)製のクリステックスHSOT20(硫黄80質量%及びオイル分20質量%含む不溶性硫黄)
HTS:フレキシス(株)製のデュラリンクHTS(ヘキサメチレンビスチオサルフェート2ナトリウム2水和物)
スミカノール620:住友化学(株)製の変性レゾルシン樹脂(レゾルシン・アルキルフェノール・ホルマリン共重合体)
スミカノール507A:メチレン供与体(約65質量%のメチロールメラミン樹脂と約35質量%のシリカ及びオイルとの混合物)
酸化亜鉛:東邦亜鉛(株)製の銀嶺R
ステアリン酸コバルト:大日本インキ化学工業(株)製のcost−F(コバルト含有量:9.5質量%)
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N−フェニル−p−フェニレンジアミン)
アロマオイル:(株)ジャパンエナジー製のプロセスX−140
加硫促進剤DCBS:川口化学工業(株)製のアクセルDZ−G(N,N−ジシクロヘキシルベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤BEHZ:川口化学工業(株)製のBEHZ(N,N−ジ(2−エチルヘキシル)−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
実施例1〜11及び比較例1〜11
表1〜2に示す配合処方にしたがい、バンバリーミキサーを用いて、不溶性硫黄及び加硫促進剤以外の薬品を最高温度が165℃の条件下、5分間混練りし、混練り物を得た。次に、オープンロールを用いて、得られた混練り物に不溶性硫黄及び加硫促進剤を添加し、最高温度が97℃の条件下、3分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。更に、得られた未加硫ゴム組成物をシート状に圧延後、金型で170℃の条件下で12分間プレス加硫し、加硫ゴムシートを得た。
得られた加硫ゴムシートを下記により評価した。結果を表1〜2に示す。
(粘弾性試験)
加硫ゴムシートから所定サイズの試験片を作製し、(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメータVESを用いて、周波数10Hz、初期歪10%及び動歪2%条件下で、30℃におけるゴム試験片の複素弾性率(E*)及び損失正接(tanδ)を測定した。なお、E*が大きいほど、剛性に優れ、tanδが小さいほど、低燃費性に優れていることを示す。
(接着試験)
接着試験を実施し、加硫ゴムシートを温度80℃、湿度95%の条件下で150時間、湿熱劣化したのちの加硫ゴムシートのゴム被覆率(%)をそれぞれ測定した。ゴム被覆率は、スチールコードとゴム間を剥離したときの剥離面のゴムの覆われている割合を指数表示した。5は100%全面が覆われ、0は全く覆われていない状態を示す。
(引張試験)
JIS K 6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム―引張特性の求め方」に準じて、3号ダンベルを用いて引張り試験を実施し、加硫ゴム試験片の破断時伸び(EB)を測定した。なお、EBが大きいほど、破壊強度に優れることを示す。
Figure 0005457007
Figure 0005457007
実施例では、剛性、低燃費性、湿熱劣化後の接着性、破断強度がバランス良く優れていた。表1から、ハイシスBRを用いた比較例1では、低燃費性が劣っていた。スズ変性BRやS変性BRの量が多い比較例2〜3では、湿熱劣化後の接着性や破断時伸びが劣っていた。また、HTSを添加していない比較例4や硫黄量が少ない比較例5では、湿熱劣化後の接着性が劣り、比較例5においては剛性にも劣っていた。
表2から、硫黄量が多い比較例6では、破断時伸びが劣っていた。HTS量が少ない比較例7では、湿熱劣化後の接着性が劣っていた。また、変性S−SBRを用いた比較例8〜9では、破断時伸びが劣っていた。スズ変性BR量の少ない比較例10では、好適な量を用いた場合に比べて低燃費性が劣っていた。ゴム成分としてNRのみを使用した比較例11では、低燃費性が劣っていた。

Claims (7)

  1. スズ変性ポリブタジエンゴム及び/又は下記式(1);
    Figure 0005457007
    (式中、R はアルコキシ基を表し、R及びRは、同一若しくは異なって、アルキル基、アルコキシ基、シリルオキシ基、アセタール基、カルボキシル基、メルカプト基又はこれらの誘導体を表す。R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又はアルキル基を表す。nは整数を表す。)
    で表される化合物により変性されたポリブタジエンゴム5〜50質量部と天然ゴム及び/又はイソプレンゴム50〜95質量部とを含むゴム成分100質量部に対して、
    ヘキサメチレンビスチオサルフェート2ナトリウム塩2水和物を0.1〜3質量部、硫黄を2.5〜7質量部含有するタイヤ用ゴム組成物であって、
    ブレーカートッピング、ブレーカーエッジストリップ、又はブレーカー及びプライ間のブレーカー下部ゴムに用いられるタイヤ用ゴム組成物
  2. ム成分100質量部に対して、シリカの含有量が5〜60質量部、シリカ及びカーボンブラックの合計含有量が40〜60質量部である請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. 前記スズ変性ポリブタジエンゴムが、リチウム開始剤により重合され、スズ原子の含有量が50〜3000ppm、ビニル結合量が5〜50質量%、及び分子量分布(Mw/Mn)が2以下であり、
    前記式(1)で表される化合物により変性されたポリブタジエンゴムのビニル結合量が35質量%以下である請求項1又は2記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. チッ素吸着比表面積40〜280m /gのカーボンブラックを含む請求項1又は3記載のタイヤ用ゴム組成物。
  5. 有機酸コバルトを含む請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  6. 下記式(2);
    Figure 0005457007
    (式(2)におけるR は炭素数3〜16の分岐構造を有する直鎖のアルキル基、R は炭素数3〜16の分岐構造を有する直鎖のアルキル基又はベンゾチアゾリルスルフィド基である。)
    で表されるベンゾチアゾリルスルフェンアミド又はベンゾチアゾリルスルフェンイミド、
    下記式(3);
    Figure 0005457007
    (式中のmは整数である。R はアルキル基又は水酸基である。)
    で表される変性レゾルシン樹脂、及び、
    メチレン供与体からなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  7. ブレーカーコードを請求項1〜のいずれかに記載のゴム組成物により被覆して得られるブレーカーを有する空気入りタイヤ。
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