JP5455852B2 - 化合物系半導体発光素子およびその製造方法 - Google Patents

化合物系半導体発光素子およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、化合物系半導体発光素子に関し、特に、静電破壊対策を備えた構造の化合物系半導体発光素子に関する。
従来から、赤色発光ダイオード(LED:Light emitting diode)や緑色LEDは作製することができていたが、青色LEDの作製が困難であった。このため、発光ダイオードで赤・緑・青の光の3原色を実現することができていなかった。
ところが、1990年代に入り、窒化物系の青色LEDが発明されてから、LED照明の実用化が始まった。現在のところLED照明は、信号だけに留まらず、液晶モニターのバックライト等の多方面の用途で活躍し始めている。
LED照明は、一般的に青色LEDチップと、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)蛍光体とを組み合わせにより白色LEDを実現している。この白色LEDは、従来の照明よりも低消費電力・省スペース・水銀フリーのため環境に良いというメリットがあり、次世代の照明器具として期待が寄せられている。
このような青色LEDは、従来のLEDよりも不均一に電界が印加されやすいことから、静電破壊(ESD:Electronic Static Discharge)に対する耐圧が十分ではないという問題がある。特に窒化物系の青色LEDは、逆方向のサージに対する耐圧に問題があると言われている。
逆方向のサージに対する耐圧を向上させるために、特許文献1では、図27に示される青色LEDの構造をとっている。図27は、特許文献1の窒化物半導体発光素子を示す模式的な断面図である。特許文献1の窒化物半導体発光素子は、図27に示されるように、基板102上に、AlNバッファ層10と、n型コンタクト層11と、iGaNからなる第1のnESD層12と、nGaNからなる第2のnESD層13と、n型超格子層14と、発光層15と、p型超格子層16と、p型GaN層17と、ITO(Indium Tin Oxide)からなる透明電極層18と、パッシベーション層19とをこの順に積層させて構成したものである。また、nコンタクト層11上には、V層20およびAl層21からなるn側電極22を形成する。特許文献1の青色LEDのように絶縁性の基板を用いる場合、基板102の表裏のうちの一方の面に、p側電極(図示せず)およびn側電極22を形成する。
基板102上に、MOVPE法によって半導体層を形成するときの成長温度として、AlNバッファ層10は、400℃の成長温度で形成し、n型コンタクト層11は、1080〜1140℃の成長温度で形成する。これに対し、第1のnESD層12、第2のnESD層13等のようなnESD層は、850℃で形成する。
このように比較的低温で第1のnESD層12を形成することにより、第1のnESD層12の表面にピットが発生する。その上に第2のnESD層13を形成すると、第1のnESD層12の表面にあるピットの周囲にSiが集中し、この部分が過電流を逃がす経路となる。このように形成される経路によって、LED素子にサージが導入されても、耐圧に支障がなく、静電耐圧特性を向上させることができる。
特開2007−180495号公報 特開2007−214548号公報
しかしながら、発明者らの研究によると、特許文献1のLEDには、以下のような課題があることがわかった。
一般に、発光層を構成する井戸層を薄くすると、井戸層内のキャリア濃度が高くなって、オージェ再結合と呼ばれる非発光再結合が増え、発光効率が低下する傾向にある。逆に、井戸層を厚くするとキャリア濃度が低くなり、非発光再結合が減るため、発光効率が向上する傾向にある。
すなわち、発光素子に注入した電流を効率よく光に変換するためには、井戸層の厚みを、たとえば少なくとも3nm〜3.5nm程度以上に厚くすることが必要となる。ところが、特許文献1に示すようにnESD層を形成した状態で、井戸層を厚くすると、発光効率が向上するどころか、却って発光効率が低下することがわかってきた。発光効率の低下の原因は、サージが印加されたときの電流経路として、ESD層に意図的に形成された結晶中の欠陥に起因するものと考えられる。
なぜなら、一般にInGaN層を形成する際、結晶欠陥近辺のIn組成が周囲よりも高くなることが知られており、InGaN井戸層中の転位近辺の高いIn組成のInGaNが、高いp層成長温度で分解することによって、非発光領域が形成されると考えられているからである。また、井戸層の膜厚を大きくすると、LEDの発光スペクトルの半値幅が増加し、Inの不均一性は助長される傾向にあることもわかっている。
すなわち、LEDの外部量子効率低下の原因となる非発光領域は、転位密度が低いほど形成されにくく、井戸層の膜厚が厚いLEDを形成するためには、発光層直下の結晶中の欠陥の少なさが極めて重要である。しかし、上述したように比較的低温で形成したiGaN層中には、表面にピットが存在するとともに、その周りに多くの結晶欠陥を有するため、従来のESD層は、井戸層の厚みが薄いLEDに採用することができない。
本発明は、上記のような現状を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、化合物系半導体発光素子の発光効率を低下させることなく、静電破壊に対する耐圧を付与することである。
本発明の化合物系半導体発光素子は、基板と、該基板上に形成された半導体積層構造とを有する化合物系半導体発光素子であって、半導体積層構造は、基板側から順に、n型層、発光層、およびp型層を含むものであり、p型層に接するp側電極と、n型層に接するn側電極とを有し、n型層は、半導体積層構造を構成する他の層よりも表面粗さが粗いリークパス層を1層以上有し、該化合物系半導体発光素子の上面からの平面視において、リークパス層の面積は、半導体積層構造を構成する他の層の面積よりも小さいことを特徴とする。
基板の表裏のうちのいずれか一方の面にn側電極とp側電極とが載置されており、化合物系半導体発光素子の上面からの平面視において、リークパス層が、n側電極とp側電極の間に位置することが好ましい。
化合物系半導体発光素子の上面からの平面視において、p側電極の配置される領域と、リークパス層の配置される領域とが重ならないようにリークパス層を配置することが好ましい。
基板の表裏のうちのいずれか一方の面にn側電極とp側電極とが載置されており、化合物系半導体発光素子の上面からの平面視において、リークパス層が、p側電極の直下に位置することが好ましい。
p側電極の直下の発光層のみに電流が注入されにくい構造を有することが好ましい。半導体積層構造のp側電極の直下の領域において、p側電極と、該p側電極の真下の半導体積層構造の表面との間に、電気導電性が低い電流狭窄層を有することが好ましい。
p側電極と、該p側電極の直下に形成するp型層との界面において、p側電極の直下の接触抵抗が、p側電極の直下以外の部分の接触抵抗よりも高く、かつ、0.1Ωcm2以上であることが好ましい。
本発明の化合物系半導体発光素子は、基板と、該基板上に形成された半導体積層構造とを有する化合物系半導体発光素子であって、半導体積層構造は、基板側から順に、p型層、発光層、およびn型層を含むものであり、該基板の表裏のうちの半導体積層構造が形成された側とは反対側の面に接するp側電極と、n型層に接するn側電極とを有し、n型層は、半導体積層構造を構成する他の層よりも表面粗さが粗いリークパス層を1層以上有し、化合物系半導体発光素子の上面からの平面視において、リークパス層の面積は、半導体積層構造を構成する他の層の面積よりも小さく、リークパス層が、n側電極の直下に形成されることを特徴とする。n側電極の直下の発光層のみに電流が注入されにくい構造を有することが好ましい。
半導体積層構造のn側電極の直下の領域において、n側電極と、該n側電極の真下の半導体積層構造の表面との間に、電気導電性が低い電流狭窄層を有することが好ましい。
本発明の化合物系半導体発光素子の製造方法は、基板上に、n型層とリークパス層とをこの順に結晶成長させるステップと、該リークパス層の一部を除去することによりn型層を露出させるステップと、リークパス層および露出したn型層上に、発光層およびp型層をこの順に形成するステップとをこの順に含むことを特徴とする。
上記のn型層を露出させるステップは、リークパス層にフォトリソグラフィーを行なった後に、塩素系のガスを用いてリークパス層の一部をドライエッチングすることにより行なうことが好ましい。
本発明の化合物系半導体発光素子の製造方法は、基板上に、n型層を結晶成長させるステップと、n型層上に誘電体膜を形成するステップと、該誘電体膜をパターニングすることにより、n型層の一部を露出させるステップと、誘電体膜および露出したn型層上にリークパス層を結晶成長させるステップと、誘電体膜および該誘電体膜上に形成されたリークパス層をエッチングで除去することにより、n型層を露出させるステップと、リークパス層および露出したn型層上に、発光層およびp型層をこの順に形成するステップとをこの順に含むことを特徴とする。
本発明は、上記のような構成を有することにより、化合物系半導体発光素子の発光効率を低下させることなく、静電破壊に対する耐圧を付与することができるという優れた効果を示す。
(a)は、実施の形態1の化合物系半導体発光素子の模式的な上面図であり、(b)は、(a)に示される化合物系半導体発光素子のIb−Ibの模式的な断面図である。 実施の形態2の化合物系半導体発光素子の構造を示す模式的な断面図である。 実施の形態3の化合物系半導体発光素子の構造を示す模式的な断面図である。 (a)は、実施の形態4の化合物系半導体発光素子の模式的な上面図であり、(b)は、(a)に示される化合物系半導体発光素子のIIb−IIbの模式的な断面図である。 実施の形態5の化合物系半導体発光素子の構造を示す模式的な断面図である。 実施の形態6の化合物系半導体発光素子の構造を示す模式的な断面図である。 基板上にフォトレジストマスクを形成した後の状態を示す模式的な断面図である。 基板の表面に凹凸形状を形成した後の状態を示す模式的な断面図である。 基板上にバッファ層、リークパス全面層等を形成した後の状態を示す模式的な断面図である。 リークパス全面層の一部をドライエッチングで除去した後の状態を示す模式的な断面図である。 リークパス全面層の一部がSiドープGaN層上に残るときの状態を示す模式的な断面図である。 誘電体膜の一部をウェットエッチングで除去した後の状態を示す模式的な断面図である。 誘電体膜上にリークパス全面層を形成した後の状態を示す模式的な断面図である。 リークパス層上に半導体積層構造を形成した後の状態を示す模式的な断面図である。 p型層上に透明電極層を形成した後の状態を示す模式的な断面図である。 半導体積層構造の側面を除去した後の状態を示す模式的な断面図である。 p側パッド電極およびn側パッド電極を形成した後の状態を示す模式的な断面図である。 基板上に半導体積層構造を形成した後の状態を示す模式的な断面図である。 p型層上にp側コンタクト電極を形成した後の状態を示す模式的な断面図である。 p型層上に誘電体膜を形成した後の状態を示す模式的な断面図である。 p側コンタクト電極および誘電体膜の上面に拡散防止層を形成した後の状態を示す模式的な断面図である。 拡散防止層上に共晶半田層を有するSi基板を貼り合わせた後の状態を示す模式的な断面図である。 基板を分離した後の状態を示す模式的な断面図である。 バッファ層、アンドープGaN層、およびSiドープGaN層の一部を除去した後の状態を示す模式的な断面図である。 半導体積層構造の側面を除去した後の状態を示す模式的な断面図である。 p側パッド電極およびn側パッド電極を形成した後の状態を示す模式的な断面図である。 特許文献1の窒化物半導体発光素子を示す模式的な断面図である。
以下、本発明の化合物系半導体発光素子およびその製造方法を図面を用いて説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものである。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜に変更されており、実際の寸法関係を表わすものではない。
<実施の形態1>
図1(a)は、本実施の形態の化合物系半導体発光素子の上面図であり、図1(b)は、図1(a)に示される化合物系半導体発光素子のIb−Ibの断面図である。
本実施の形態の化合物系半導体発光素子は、図1(a)に示されるように、表面が凹凸形状の基板100の上に、半導体積層構造190を形成したものである。この半導体積層構造190は、バッファ層110、アンドープGaN層120、SiドープGaN層130、リークパス層210、n側超格子層140、発光層150、およびp型層160が順次積層されたものである。ここで、SiドープGaN層130およびn側超格子層140がn型層である。
上記のリークパス層210は、SiドープGaN層130の一部を覆うように形成されている。そして、p型層160の表面には、透明電極層300およびp側パッド電極310が形成されている。以下においては、透明電極層300およびp側パッド電極310を総称して「p側電極390」と記することもある。
また、SiドープGaN層130、リークパス層210、n側超格子層140、発光層150、およびp型層160の側面の一部が除去されており、露出したSiドープGaN層130の表面には、n側パッド電極320が形成されている。
本発明の化合物系半導体発光素子は、その上面からの平面視において、リークパス層210の面積が、半導体積層構造190を構成する他の層の面積よりも小さいことを特徴とする。このようにリークパス層210を形成することにより、化合物系半導体発光素子に逆方向のサージが印加されても、サージ電流がリークパス層を選択的に通過することになるため、静電破壊に対する耐圧にも優れる。
一方、リークパス層210の直上の発光層150の発光効率は低下することになるが、このようにリークパス層210の面積が小さいことにより、発光層150の直下にリークパス層210が形成されていない領域ができ、この領域では発光層の発光効率は低下しなくすることができる。このようにして本発明の化合物系半導体発光素子は、静電破壊に対する耐圧の性能を保持したまま、発光層の発光を最大限に享受できることを特徴とする。
特に、図1(a)に示されるように、化合物系半導体発光素子の上面からの平面視において、リークパス層210が、n側電極とp側電極390の間に位置することが好ましい。これにより発光層の発光効率の低下をさらに抑制することができる。
また、図1(b)に示されるように、化合物系半導体発光素子の上面からの平面視において、p側電極390の配置される領域と、リークパス層210の配置される領域とが重ならないように配置されることが好ましい。このようにp側電極390およびリークパス層210を配置することにより、図1(b)に示される化合物系半導体発光素子に順方向に電流を流した場合、p型層160のシート抵抗が高いために、p型層160の水平方向(厚み方向に垂直な面方向)に電流が広がりにくいため、透明電極層300の直下の発光層150のみを発光させることができる。
上記のような構造をとることにより、リークパス層の上の相対的に発光効率の悪い発光層にキャリアが注入されにくくなるため、キャリアの無駄な消費を抑制することができ、もって発光効率を高めることができる。以下においては、化合物系半導体発光素子を構成する各部を説明する。
(基板)
本実施の形態において、基板100は、サファイア基板を用いることが好ましい。また、基板100は、その表面が平坦であってもよいし、凹凸が形成されていてもよい。発光素子の光取り出し効率を向上するという観点から、凹凸が形成されていることが好ましい。
ここで、基板100の表面に形成される凹凸としては、たとえば図1(b)に示されるように、凸部の形状が円錐台であるか、頂部に平坦部を有しないドーム形状であることが好ましい。かかる円錐台の上底および底面は、たとえば底面の円の直径が0.2μm以上4μm以下であり、その上底の円の直径が1μm以下であることが好ましい。このような凸部は、0.3μm以上8μm以下のピッチで形成することが好ましい。
(半導体積層構造)
本発明において、半導体積層構造は、図1(b)に示される積層構造のみに限定されるものではなく、一般的な窒化ガリウム系半導体積層構造であって、かつリークパス層が半導体積層構造を構成する他の層の面積よりも面積が小さい限り、本発明の範囲を逸脱するものではない。以下においては、リークパス層およびそれを形成する位置を説明する。
(リークパス層)
本発明において、リークパス層210は、化合物系半導体発光素子の外部からサージが印加されたときの電流経路としての役割をなすものである。このようなリークパス層210を設けることにより、静電耐圧特性を向上させることができる。
リークパス層210が上記の性能を発揮するためには、その表面にピットと呼ばれる微細な凸部が分布している必要がある。具体的には、リークパス層210の表面の二乗平均平方根(RMS:Root Mean Square)が2nm以上20nm以下でピットが分布していることが好ましい。かかるピットの周囲にドーピングしたSiが相対的に高い濃度で分布し、この部分が電流経路となって、静電耐圧特性を向上することができる。なお、本発明において、上記のRMSは、原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)によって測定した値を採用するものとする。
上記のようにリークパス層210にピットを形成するためには、リークパス層の形成温度を780℃以上900℃以下の低温で形成することが好ましい。このような低温で成長させることにより、島状の成長を促進することができるからである。ちなみに、SiドープGaN層130の表面のRMSは、1nm以下である。
図1(b)においては、SiドープGaN層130の表面にリークパス層210を形成する場合を示しているが、必ずしもこの位置にリークパス層210を形成する場合のみに限定されるものではなく、発光層150よりも基板側に近い位置にリークパス層210が形成されていれば、その位置は特に限定されない。また、リークパス層210は、単層構造のみに限られるものではなく、2層以上を積層させた積層構造であってもよい。
また、リークパス層210は、必ずしもSiドープGaNのみで構成する必要はなく、たとえばノンドープGaN層とSiドープGaN層との2層構造としてもよい。このようなリークパス層210は、その厚みが0.015μm以上0.04μm以下であることが好ましい。
(バッファ層)
本実施の形態において、バッファ層110は、半導体積層構造190のうちの基板100に接して形成されるものである。このような位置にバッファ層110を形成することにより、半導体積層構造190を構成する他の層の結晶状態を良好に保つことができる。
(n型層)
本発明において、n型層は、たとえば2nm以上5nm以下の厚みのInxGa1-xN層(0.05≦X≦0.15)と、2nm以上5nm以下の厚みのSiドープGaN層とを交互に各10層ずつ積層して超格子構造としたものを用いることができる。
(発光層)
本発明において、発光層150は、たとえば2.5nmの厚みのアンドープIn0.25Ga0.75N層と、2.5nmの厚みのアンドープGaN層とを交互に各6層ずつ繰り返して積層構造としたものを用いることができる。
(p型層)
本発明において、p型層160は、Mgのドーピング濃度が5×1019/cm3程度のMgドープGaNからなることが好ましい。このようなp型層160は、1100℃程度の温度で形成されるものであり、たとえば80nm程度の厚みである。このようにしてp型層160を形成した後、室温まで冷却してから基板を取り出すことにより半導体積層構造が形成される。
(透明電極層)
本発明において、透明電極層300は、透明性を有し、かつ導電性を有する材料からなるものであればいかなるものをも用いることができる。透明電極層300に好適な材料としては、ITOを挙げることができる。また、透明電極層300の厚みは、従来公知の厚みとすることができる。
<実施の形態2>
図2は、本実施の形態の化合物系半導体発光素子の断面図である。本実施の形態の化合物系半導体発光素子は、図2に示されるように、p側パッド電極310の直下にリークパス層210を形成することが異なる他は、実施の形態1と同様のものである。このような位置にリークパス層210を設けることにより、p側パッド電極310の直下の発光層150のみに電流が注入されにくくすることができる。これにより光出力を低下させることなくESD対策を講じることができ、もってさらに発光効率を高めることができる。
なぜなら、リークパス層210を形成した直上の発光層150は、発光効率が低下するが、そもそもp側パッド電極310の直下の発光層150で生じた光は、p側パッド電極310に吸収されやすいため、素子外に光子を取り出しにくい。このようにもともと発光層の発光効率が相対的に低い位置に、リークパス層210を設けても、結果として発光効率の低下に寄与せず、むしろキャリアの無駄な消費を抑制することができるからである。
<実施の形態3>
図3は、本実施の形態の化合物系半導体発光素子の断面図である。本実施の形態の化合物系半導体発光素子は、図3に示されるように、p側パッド電極310の直下にあたる透明電極層300の位置に、電気導電性が低い電流狭窄層800を設けたことが異なる他は、実施の形態2と同様のものである。
このような位置に電流狭窄層800を設けることにより、電流狭窄層800の直下の発光層150には実質的に電流が流れにくくなる。このため、図2に示される構造に比して、相対的に発光効率の悪い発光層150でキャリアが無駄に消費されなくなるため、発光効率をさらに高めることができる。
(電流狭窄層)
本実施の形態において、電流狭窄層800は、単層構造であってもよいし、2層以上を積層した多層構造であってもよい。また、電流狭窄層800を構成する材料は、p側パッド電極310の直下の発光効率が低い領域の発光層150にキャリアが注入されにくくする程度の絶縁性を示すものであればよく、たとえばSiO2、SiN、TiO2等を用いることができる。
電流狭窄層800の厚みに関しても、p側パッド電極310の直下の発光層150にキャリアが注入されにくくできるものであれば、いかなる厚みであってもよい。たとえば150μm程度の厚みとすることが好ましい。
また、電流狭窄層800を形成する位置は、図3に示されるようなp型層160と透明電極層300との間のみに限られるものではなく、たとえば透明電極層300とp側パッド電極310との間に設けてもよいし、透明電極層300の内部に設けてもよい。
また、必ずしも電流狭窄層800を設けなくともよく、たとえばp側パッド電極310の直下にあたるp型層160の表面に対し、プラズマ処理等を行なうことにより、その部分を電気的に不活性にしてもよい。
上記のプラズマ処理は、次のようにして行なわれる。すなわち、p型層160を形成した後であって、かつ透明電極層300を形成する前に、p型層160の表面のうちのリークパス層210の直上以外の部分をフォトレジストで覆う。そして、平行平板型のRIE装置に入れて、Arガスを流しながらプラズマ放電を行なうことにより、p型層160の露出部分を高抵抗化する。プラズマ処理しなかった部分のp型層160と透明電極層300との接触抵抗は、0.02Ω・cm2であるのに対し、プラズマ処理された部分のp型層160と透明電極層300との接触抵抗は、0.1Ω・cm2以上となる。
このように接触抵抗が異なることにより、電流狭窄層を設けなくても、接触抵抗の高い部分にキャリアは注入されず、相対的に発光効率の低いリークパス層210の直上の発光層には実質的に電流が注入されないようにすることができる。
<実施の形態4>
実施の形態1〜3の化合物系半導体発光素子は、基板の表裏のうちの一方の面にp側電極およびn側電極を形成した構造のものであるが、実施の形態4の化合物系半導体発光素子は、基板の表裏のうちの一方の面にp側電極を形成し、他方の面にn側電極を形成したものである。このように化合物系半導体発光素子の上下にそれぞれn側電極およびp側電極を形成する場合であっても、本発明の効果を得ることができる。
以下においては、図4を用いて本実施の形態の化合物系半導体発光素子を説明する。図4(a)は、本実施の形態の化合物系半導体発光素子の上面図であり、図4(b)は、図4(a)に示される化合物系半導体発光素子のIIb−IIb断面図である。
本実施の形態の化合物系半導体発光素子は、図4(b)に示されるように、基板101と、該基板101上に形成された半導体積層構造191とを有する化合物系半導体発光素子であって、半導体積層構造191は、基板101側から順に、p型層161、発光層151、およびn型層141が積層されたものであり、該基板101の表裏のうちの半導体積層構造191が形成された側とは反対側の面に接するp側電極311と、n型層141に接するn側パッド電極321とを有し、該n型層141は、半導体積層構造191を構成する他の層よりも表面粗さが粗いリークパス層211を1層以上有し、化合物系半導体発光素子の上面からの平面視において、リークパス層211の面積は、半導体積層構造191を構成する他の層の面積よりも小さいことを特徴とする。すなわち、本実施の形態では、図4に示されるように、リークパス層211は、n型層141の全面を覆うのではなく、一部を覆うように形成される。
ここで、基板101と半導体積層構造191との間には、共晶半田層501、拡散防止層421、誘電体膜401、およびp側コンタクト電極411がこの順に形成されている。また、n側パッド電極321とn型層141との間には、SiドープGaN層131が形成されている。
本実施の形態の化合物系半導体発光素子は、実施の形態1のそれと同様に、リークパス層211の一部を除去する。このため、発光層151の直下にリークパス層211がない領域が存在することになり、実施の形態1の化合物系半導体発光素子と同様に、光出力が高く、かつ波長の半値幅も狭く、良好な発光特性を得ることができる。
<実施の形態5>
図5は、本実施の形態の化合物系半導体発光素子の断面図である。本実施の形態の化合物系半導体発光素子は、図5に示されるように、n側パッド電極321の直下にリークパス層211を形成することが異なる他は、実施の形態4と同様のものである。このような位置にリークパス層211を配置することにより、光出力を低下させることなくESD対策を講じることができ、もって発光効率を高めることができる。
なぜなら、リークパス層211の直下の発光層151は、相対的に発光効率が低下するが、そもそもn側パッド電極321の直下の発光層151で生じた光は、n側パッド電極321に吸収されやすいため、素子外に光子を取り出しにくい。このようにもともと発光層151の発光効率が相対的に低い位置に、リークパス層211を設けても、結果として発光効率の低下に寄与せず、むしろキャリアの無駄な消費を抑制することができるからである。
<実施の形態6>
図6は、本実施の形態の化合物系半導体発光素子の模式的な断面図である。本実施の形態の化合物系半導体発光素子は、図6に示されるように、n側パッド電極321のSiドープGaN層131に接する位置に、電流狭窄層801を設けたことが異なる他は、実施の形態5と同様のものである。
このような位置に電流狭窄層801を設けることにより、電流狭窄層801の直下の発光層151には実質的に電流が流れなくなる。このため、図5に示される構造に比して、相対的に発光効率の悪い発光層151でキャリアが無駄に消費されなくなり、発光効率をさらに高めることができる。なお、電流狭窄層801は、実施の形態3で説明したものと同様のものを用いることができる。
<実施の形態1の化合物系半導体発光素子の製造方法>
以下においては、図7〜図17を参照して、実施の形態1の化合物系半導体発光素子の製造方法を説明する。図7〜図17は、実施の形態1の化合物系半導体発光素子の製造方法の一工程を示す模式的な断面図である。図7〜図17に示される製造工程は、概ね素子1個分に相当する直径2インチの領域を抜き出して模式的に示しているが、実際は、図17に示される構造が連続的に形成されており、その隣接チップ間を切り離すことによって、図1に示される化合物系半導体発光素子を得ることになる。
図7は、基板上にフォトレジストマスクを形成した後の状態を示す模式的な断面図である。まず、図7に示されるように、基板100に対し、通常のフォトリソグラフィー法を用いることにより、フォトレジストマスク600を形成する。
図8は、基板の表面に凹凸形状を形成した後の状態を示す模式的な断面図である。図7に示されるようにフォトレジストマスク600を形成した後に、基板100を誘導結合プラズマ方式のドライエッチング装置にセットする。そして、SiC4とArとの混合ガスによって、基板100をドライエッチングすることにより、基板100の表面に凹凸形状を形成する。そして、基板上のフォトレジストマスク600を除去することにより、図8に示される、凹凸が表面に形成された基板100を作製する。
(n型層とリークパス層とをこの順に結晶成長させるステップ)
図9は、基板上にバッファ層、n型層、リークパス全面層等を形成した後の状態を示す模式的な断面図である。図9に示される構造は、有機金属気相成長(MOVPE:Metal-Organic Vapor Phase Epitaxy)装置を用いて各層を結晶成長させることにより作製する。まず、図8に示される、凹凸形状を表面に有する基板をMOVPE装置に投入する。そして、基板を550℃に加熱した上で、10nm以上50nm以下の厚みのアンドープGaNからなるバッファ層110を形成する。
次に、基板100の温度を1100℃まで昇温し、2μmの厚みのアンドープGaN層120、1.5μmの厚みのSiドープGaN層130を形成する。なお、SiドープGaN層130におけるSiのドーピング濃度は、5×1018/cm3である。
そして、基板100の温度を下げて、780℃以上900℃以下に設定して、30nmの厚みのSiドープGaNからなるリークパス全面層210aを形成する。リークパス全面層210aにおけるSiのドーピング濃度は、5×1018/cm3である。このようにして、図9に示される構造を形成することができる。
(n型層を露出させるステップ)
図10は、リークパス全面層の一部をドライエッチングで除去した後の状態を示す模式的な断面図である。図9のようにリークパス全面層210aを形成した後に、通常のフォトリソグラフィー法と、ドライエッチング法とを組み合わせて、図10に示されるようにリークパス全面層210aの一部を除去する。ドライエッチング法としては、SiCl4ガスを用いた誘導結合プラズマ方式を用いることが好ましい。
ここで、図10に示されるように、リークパス全面層210aの一部をドライエッチング法により除去するときに、SiドープGaN層130の一部も同時にエッチングされても化合物系半導体発光素子の特性上なんら問題ない。
なお、上記においては、リークパス全面層210aの一部を除去することにより、リークパス層210を形成する場合を説明したが、この場合、リークパス全面層210aの上面に凹凸が形成されていると、エッチングによりリークパス全面層210aを除去すべき部分の一部がSiドープGaN層130上に残留することもある。
図11は、リークパス全面層の一部がSiドープGaN層上に残るときの状態を示す模式的な断面図である。図11に示されるように、リークパス全面層210aの表面粗さがそのままSiドープGaN層130上に残ると、その上面に形成される半導体積層構造の結晶性が劣化する可能性がある。
このようなリークパス全面層の残留を抑制するためのリークパス層の形成方法として、以下の方法を用いてもよい。すなわち、まず、基板上にバッファ層110、アンドープGaN層120、およびSiドープGaN層130を形成する。その後、リークパス全面層を形成する前に、プラズマCVD装置を用いてSiO2からなる誘電体膜401を形成する。
そして、通常のフォトリソグラフィー手法とフッ化水素酸を用いたウェットエッチング方法とを用いて、図12に示されるように、リークパス層を形成する部分の誘電体膜401を除去する。図12は、誘電体膜の一部をウェットエッチングで除去した後の状態を示す模式的な断面図である。図12に示されるように、誘電体膜の一部を除去した後に、基板を再びMOVPE装置にセットする。
図13は、誘電体膜上にリークパス全面層を形成した後の状態を示す模式的な断面図である。上記リークパス全面層を形成したときと同一の条件で、露出したSiドープGaN層130上に、30nmの厚みのSiドープGaNからなるリークパス層210を形成する。このとき、図13に示されるように、誘電体膜401上には、リークパス全面層に相当する組成の膜は形成されず、GaN微小結晶700が離散的に形成される。
そして、MOVPE装置から基板100を取り出し、フッ化水素酸中で誘電体膜をGaN微小結晶700とともに除去することにより、所望の領域にリークパス層210を形成することができる。このようにリークパス層210を形成することにより、リークパス全面層の表面凹凸がSiドープGaN層130上に残ることなく、リークパス層210を形成することができる。
(発光層およびp型層を形成するステップ)
図14は、リークパス層上に半導体積層構造を形成した後の状態を示す模式的な断面図である。上記の方法によりリークパス層210を形成した後に、基板100をMOVPE装置にセットして、図14に示されるように、n側超格子層140、発光層150、p型層160をこの順に形成する。以下においては、n側超格子層140、発光層150、およびp型層160の成膜条件を述べる。
n側超格子層140は、基板100を815℃に加熱した上で、2.5nmの厚みのInxGa1-xN層(0.05≦x≦0.15)と、2.5nmの厚みのSiドープGaN層とを交互に各10層ずつを積層することにより形成する。
発光層150は、MOVPE装置内の温度を815℃に維持し、アンドープIn0.25Ga0.75N層と、アンドープGaN層とを交互に各6層ずつ積層することにより形成する。
p型層は、温度を1100℃まで上げて、Mgのドーピング濃度が5×1019/cm3のMgドープGaNを成長させることにより形成する。
図15は、p型層上に透明電極層を形成した後の状態を示す模式的な断面図である。上記のようにp型層を形成した後に、室温まで冷却してから基板を取り出し、窒素ガス中で800℃、5分間の熱処理を行なう。
次いで、p型層160の表面に、スパッタ装置を用いて透明電極全面層を形成する。そして、通常のフォトリソグラフィー法およびウェットエッチング法を用いることにより、透明電極全面層を所望の形状にパターニングし、図15に示されるような透明電極層300を形成する。
図16は、半導体積層構造の一部を除去した後の状態を示す模式的な断面図である。次に、通常のフォトリソグラフィー法とSiCl4ガスを用いた誘導結合プラズマ方式のドライエッチング法とを組み合わせることにより、図16に示されるように、p型層160、発光層150、n側超格子層140、リークパス層210、SiドープGaN層130の一部を除去し、SiドープGaN層130の一部を露出させる。
図17は、p側パッド電極およびn側パッド電極を形成した後の状態を示す模式的な断面図である。図17に示されるように、透明電極層300の表面にp側パッド電極310を形成し、SiドープGaN層130が露出した表面にn側パッド電極320を形成する。このp側パッド電極310およびn側パッド電極320は、通常のフォトリソグラフィ法と、電子ビーム蒸着法と、リフトオフ法とを組み合わせて形成する。このようにして形成された図17に示される積層体をチップ分割することにより、図1に示される実施の形態1の化合物系半導体発光素子を得る。
<実施の形態4の化合物系半導体発光素子の製造方法>
以下においては、図18〜図26を参照して、実施の形態4の化合物系半導体発光素子の製造方法を説明する。図18〜図26は、実施の形態4の化合物系半導体発光素子の製造方法の一工程を示す模式的な断面図である。
図18は、基板上に半導体積層構造を形成した後の状態を示す模式的な断面図である。実施の形態4の化合物系半導体発光素子の製造方法では、基板100の表面に凹凸を形成することなく、基板100上に半導体積層構造を形成する。まず、基板100をMOVPE装置に投入して、バッファ層110、アンドープGaN層120、SiドープGaN層131、リークパス全面層を形成する。その後、一旦、基板100をMOVPE装置から取り出して、リークパス全面層の一部を除去することにより、リークパス層211を形成する。
次に、再び基板100をMOVPE装置に投入してn型層141、発光層151、およびp型層161をこの順に積層する。
図19は、p型層上にp側コンタクト電極411を形成した後の状態を示す模式的な断面図である。上記でp型層161を形成した後に、MOVPE装置から基板100を取り出し、窒素ガス雰囲気において800℃で5分間の熱処理を行なう。さらに、p型層161の表面に電子ビーム蒸着装置を用いてAgからなる層を形成し、これを通常のフォトリソグラフィー法とウェットエッチング法を用いてパターニングすることにより、図19に示されるようなAgからなるp側コンタクト電極411を形成する。
図20は、p型層上に誘電体膜を形成した後の状態を示す模式的な断面図である。上記のようにp側コンタクト電極を形成した後に、図20に示されるように、通常のフォトリソグラフィー法と、電子ビーム蒸着法と、リフトオフ法とを組み合わせることにより、p型層161の表面に400nmの厚みの誘電体膜401を形成する。なお、誘電体膜401は、p側コンタクト電極411の端部を覆うように形成する。
図21は、p側コンタクト電極および誘電体膜の上面に拡散防止層を形成した後の状態を示す模式的な断面図である。上記で形成したp側コンタクト電極411および誘電体膜401の上面に対し、スパッタ法によって、TiWからなる拡散防止層421を形成する(図21)。
図22は、拡散防止層上に共晶半田層を有するSi基板を貼り合わせた後の状態を示す模式的な断面図である。上記で形成した基板とは別に、450μmの厚みのSi基板101の表面に、AuSnからなる共晶半田層501を蒸着で形成したものを準備し、これを図22に示されるように、拡散防止層421に接するように圧着する。
ここで、共晶半田層501を構成する共晶接合金属としては、AuSnに限られるものではなく、たとえばAu、AuSi、AuGeからなる群より選択される1種以上の金属または該金属の合金を用いることができる。
図23は、基板を分離した後の状態を示す模式的な断面図である。なお、図23においては、分離した基板は図示しておらず、また、図22に対し、Si基板101が下側になるよう、上下を反転させている。上記のようにしてSi基板101を貼り合わせた後に基板100の裏面、すなわち基板100の表裏のうちの半導体積層構造を形成していない側からUVレーザを照射する。
このUVレーザのエネルギーは基板100を実質的に透過して、バッファ層110から始まる半導体積層構造に吸収される。これにより基板100の近傍のバッファ層110に加工歪が印加される。基板100の全面をUVレーザでスキャンすると、この加工歪の作用により、図23に示されるように基板100が分離される。
図24は、バッファ層、アンドープGaN層、およびSiドープGaN層の一部を除去した後の状態を示す模式的な断面図である。次に、SiCl4ガスを用いた誘導結合プラズマ方式のドライエッチング手法を用いることにより、図24に示されるように、バッファ層110、アンドープGaN層120、およびSiドープGaN層130の一部を除去する。
図25は、半導体積層構造の側面を除去した後の状態を示す模式的な断面図である。上記のドライエッチングに加えてさらに、通常のフォトリソグラフィー法とSiCl4ガスを用いた誘導結合プラズマ方式のドライエッチング手法とを組み合わせることにより、図25に示されるように、拡散防止層421の一部が露出するまでSiドープGaN層130、リークパス層211、n型層141、発光層151、p型層161の一部を除去する。
図26は、SiドープGaN層130の表面にn側パッド電極を形成した後の状態を示す模式的な断面図である。次に、図26に示されるように、通常のフォトリソグラフィー法と、電子ビーム蒸着法と、リフトオフ法とを組み合わせることにより、図26に示されるように、SiドープGaN層130の表面にn側パッド電極321を形成する。このようにして形成された図17に示される積層体をチップ分割することにより、図4に示される実施の形態4の化合物系半導体発光素子を得る。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例では、以下の各ステップによって図1に示される化合物系半導体発光素子を作製した。
まず、図7に示されるように、通常のフォトリソグラフィー法を用いて、サファイアからなる基板100上に、フォトレジストマスク600を形成した。その後、誘導結合プラズマ方式のドライエッチング装置を用いて、SiC4とArとの混合ガスによって、基板100の一部をエッチングした。このようにして基板100の表面に、2μmのピッチで凸部が円錐台の凹凸を形成した。かかる円錐台は、その下底の直径が0.5μmであり、上底の直径が0.2μmであった。
そして、フォトレジストマスク600を除去することにより、図8に示すような基板100とした。
次に、凹凸を形成した基板100を有機金属気相成長装置(以下において、「MOVPE装置」とも記す)に投入し、図9に示される半導体積層体構造を成長した。具体的には、まず、基板100を550℃に加熱した上で、アンドープGaNからなるバッファ層220を20nmの厚みで形成した。その後、1100℃まで温度を上げて、アンドープGaN層120を厚さ2μmで形成し、さらにSiのドーピング濃度が5×1018/cm3のSiドープGaN層130を厚さ1.5μmで形成した。
しかる後に、MOVPE装置内の温度を815℃に下げて、Siのドーピング濃度が5×1018/cm3のSiドープGaNからなるリークパス層210を30nmの厚さで形成した。
ここで一旦、MOVPE装置から基板100を取り出し、リークパス層210の表面の粗さを測定した。その結果、リークパス層210の表面のRMSは、10nmでピットが分布していた。このピットの周囲には、ドーピングしたSiが相対的に高い濃度で分布しており、この部分が、素子にサージが導入されたときの過電流を逃がす経路となって、静電耐圧特性を向上させる。
次に、通常のフォトリソグラフィー手法と、SiCl4ガスを用いた誘導結合プラズマ方式のドライエッチング手法とを組み合わせることにより、図10に示されるように、リークパス層210の一部を除去した。
そして、基板100を再びMOVPE装置に投入し、図14に示されるように、まず、基板100を815℃に加熱した上で、2.5nmの厚みのInxGa1-xN層(0.05≦x≦0.15)と、2.5nmの厚みのSiドープGaN層とを交互に各10層ずつを積層した超格子構造のn側超格子層140を形成した。
次に、MOVPE装置内の温度を815℃に維持し、2.5nmの厚みのアンドープIn0.25Ga0.75N層と、2.5nmの厚みのアンドープGaN層とを交互に各6層ずつ積層した構造の発光層150を形成した。
しかる後に、温度を1100℃まで上げて、Mgのドーピング濃度が5×1019/cm3のMgドープGaN層160を80nmの厚みで形成した。その後、室温まで冷却してから基板を取り出し、窒素ガス中で800℃、5分間の熱処理を行なった。
さらに、MgドープGaN層160の表面にスパッタ装置を用いてITOからなる透明電極層300を形成した。そして、通常のフォトリソグラフィー法とウェットエッチング法を用いてパターニングすることにより、図15に示されるように、基板100側からの平面視において、リークパス層210の領域に重ならないように透明電極層300を形成した。
次に、通常のフォトリソグラフィー法とSiCl4ガスを用いた誘導結合プラズマ方式のドライエッチング手法とを組み合わせて行なうことにより、図16に示されるように、MgドープGaN層160、発光層150、n側超格子層140、リークパス層210、SiドープGaN層130の一部を除去し、SiドープGaN層130の一部を露出させた。
しかる後に、通常のフォトリソグラフィー法と、電子ビーム蒸着法と、リフトオフ法とを組み合わせて、透明電極層300の表面にp側パッド電極310を形成した。同様の方法を用いて、SiドープGaN層130の露出した表面にn側パッド電極320を形成した。このようにして図1に示される化合物系半導体発光素子を作製した。
(比較例1)
実施例1の化合物系半導体発光素子の製造方法に対し、リークパス層の一部を除去するステップを行なわなかったことが異なる他は、実施例1と同様の方法により、比較例1の化合物系半導体発光素子を作製した。
<特性評価>
実施例1および比較例1のそれぞれの化合物系半導体発光素子に対し、順方向に60mAの電流を流したところ、実施例1では、75mWの全放射束で発光したのに対し、比較例1では、58mWの全放射束で発光した。なお、全放射束は、TO−18ステムに搭載した素子を積分球により測定した値を採用した。また、実施例1および比較例1の化合物系半導体発光素子が発光する発光波長の半値幅を測定すると、実施例1が18nmであったのに対し、比較例1は23nmであった。
以上のような結果から、実施例1のように半導体積層構造の一部上に形成するリークパス層とする構造のほうが、比較例1のように半導体積層構造の全面を覆うリークパス層とする構造よりも、光出力が高く、波長の半値幅も狭い良好な発光特性が得られることがわかった。
これは、リークパス層に所望のESD対策を発現させるために、815℃という比較的低温でリークパス層を形成していることに起因するものと考えられる。すなわち、低温でリークパス層を形成することによって結晶性が悪化するため、この上にn側超格子層140、および発光層150を形成すると、発光層150の発光効率および発光波長に面内ゆらぎが発生し、光出力、および光波長の半値幅が悪化したものと考えられる。
これに対し、実施例1で作製した化合物系半導体発光素子は、リークパス層の一部が除去されており、その直上に形成された発光層の割合が多いため、発光層における発光効率の低下や面内ゆらぎの問題はほとんど生じない。
また、実施例1および比較例1の双方の化合物系半導体発光素子の静電耐圧を測定したところ、人体モデルで1500Vのサージを受けても破壊しない素子の割合は、いずれも96%程度であった。このことから、化合物系半導体発光素子の上面からの平面視において、リークパス層の面積を、半導体積層構造を構成する他の層の面積よりも小さくしても、静電耐圧の特性は低下しないことが明らかである。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 バッファ層、11 コンタクト層、12 第1のnESD層、13 第2のnESD層、14 n型超格子層、15 発光層、16 p型超格子層、17 p型GaN層、18 透明電極層、19 パッシベーション層、20 V層、21 Al層、22 n側電極、100,101,102 基板、110 バッファ層、120 アンドープGaN層、130,131 SiドープGaN層、140 n側超格子層、141 n型層、150,151 発光層、160,161 p型層、190,191 半導体積層構造、210a リークパス全面層、210,211 リークパス層、220 バッファ層、300 透明電極層、310 p側パッド電極、311 p側電極、320,321 n側パッド電極、401 誘電体膜、411 側コンタクト電極、421 拡散防止層、501 共晶半田層、600 フォトレジストマスク、700 微小結晶、800,801 電流狭窄層。

Claims (13)

  1. 基板と、該基板上に形成された半導体積層構造とを有する化合物系半導体発光素子であって、
    前記半導体積層構造は、前記基板側から順に、n型層、発光層、およびp型層を含むものであり、
    前記p型層に接するp側電極と、
    前記n型層に接するn側電極とを有し、
    前記n型層は、前記半導体積層構造を構成する他の層よりも表面粗さが粗い、ピットを有するリークパス層を1層以上有し、
    前記化合物系半導体発光素子の上面からの平面視において、前記リークパス層の面積は、前記半導体積層構造を構成する他の層の面積よりも小さい、化合物系半導体発光素子。
  2. 前記基板の表裏のうちのいずれか一方の面に前記n側電極と前記p側電極とが載置されており、
    前記化合物系半導体発光素子の上面からの平面視において、前記リークパス層が、前記n側電極と前記p側電極の間に位置する、請求項1に記載の化合物系半導体発光素子。
  3. 前記化合物系半導体発光素子の上面からの平面視において、前記p側電極の配置される領域と、前記リークパス層の配置される領域とが重ならないように前記リークパス層を配置する、請求項1または2に記載の化合物系半導体発光素子。
  4. 前記基板の表裏のうちのいずれか一方の面に前記n側電極と前記p側電極とが載置されており、
    前記化合物系半導体発光素子の上面からの平面視において、前記リークパス層が、前記p側電極の直下に位置する、請求項1に記載の化合物系半導体発光素子。
  5. 前記p側電極の直下の前記発光層のみに電流が注入されにくい構造を有する、請求項4に記載の化合物系半導体発光素子。
  6. 前記半導体積層構造の前記p側電極の直下の領域において、前記p側電極と、該p側電極の真下の半導体積層構造の表面との間に、電気導電性が低い電流狭窄層を有する、請求項5に記載の化合物系半導体発光素子。
  7. 前記p側電極と、該p側電極の直下に形成する前記p型層との界面において、前記p側電極の直下の接触抵抗が、前記p側電極の直下以外の部分の接触抵抗よりも高く、かつ、0.1Ωcm2以上である、請求項5に記載の化合物系半導体発光素子。
  8. 基板と、該基板上に形成された半導体積層構造とを有する化合物系半導体発光素子であって、
    前記半導体積層構造は、前記基板側から順に、p型層、発光層、およびn型層を含むものであり、
    前記基板の表裏のうちの半導体積層構造が形成された側とは反対側の面に接するp側電極と、
    前記n型層に接するn側電極とを有し、
    前記n型層は、前記半導体積層構造を構成する他の層よりも表面粗さが粗い、ピットを有するリークパス層を1層以上有し、
    前記化合物系半導体発光素子の上面からの平面視において、前記リークパス層の面積は、前記半導体積層構造を構成する他の層の面積よりも小さく、前記リークパス層が、前記n側電極の直下に形成される、化合物系半導体発光素子。
  9. 前記n側電極の直下の前記発光層のみに電流が注入されにくい構造を有する、請求項8に記載の化合物系半導体発光素子。
  10. 前記半導体積層構造の前記n側電極の直下の領域において、前記n側電極と、該n側電極の真下の半導体積層構造の表面との間に、電気導電性が低い電流狭窄層を有する、請求項9に記載の化合物系半導体発光素子。
  11. 基板上に、n型層と、ピットを有するリークパス層とをこの順に結晶成長させるステップと、
    前記リークパス層の一部を除去することにより前記n型層を露出させるステップと、
    前記リークパス層および露出した前記n型層上に、発光層およびp型層をこの順に形成するステップとをこの順に含む、化合物系半導体発光素子の製造方法。
  12. 前記n型層を露出させるステップは、前記リークパス層にフォトリソグラフィーを行なった後に、塩素系のガスを用いて前記リークパス層の一部をドライエッチングすることにより行なう、請求項11に記載の化合物系半導体発光素子の製造方法。
  13. 基板上に、n型層を結晶成長させるステップと、
    前記n型層上に誘電体膜を形成するステップと、
    前記誘電体膜をパターニングすることにより、前記n型層の一部を露出させるステップと、
    前記誘電体膜および露出した前記n型層上に、ピットを有するリークパス層を結晶成長させるステップと、
    前記誘電体膜および該誘電体膜上に形成された前記リークパス層をエッチングで除去することにより、前記n型層を露出させるステップと、
    前記リークパス層および露出した前記n型層上に、発光層およびp型層をこの順に形成するステップとをこの順に含む、化合物系半導体発光素子の製造方法。
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