JP5453705B2 - 共振器 - Google Patents

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Description

本発明は、共振器に関するものである。
近年、半導体分野における微細加工技術を利用して、微細な機械構造を電子回路と一体化して形成するMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術が開発されており、フィルタや共振器への応用が検討されている。
なかでもこのようなMEMS技術で作成されたマイクロメカニカル共振器は、リモートキーレスエントリシステム、スペクトラム拡散通信等のRF無線に好適に使用される。このようなMEMS技術で作成されたマイクロメカニカル共振器を利用したMEMSフィルタの一例が特開2006−41911号公報(特許文献1)に開示されている。この文献に記載されたMEMSフィルタ装置は、共振器を備える。この共振器に含まれる振動子は、正方形の板状のものであって、基板表面と平行で、なおかつ基板から離隔するように配置され、基板表面に連結された円柱で支持されている。共振器の各辺に対して所定間隔を隔てて対向するように形成された固定電極に交流電圧を印加することによって、この振動子と固定電極との間に静電気力が発生し、共振器が振動する仕組みとなっている。この場合、振動子の各辺の中心と角とが水平振動する。共振器同士が連結体で連結されている場合は、連結体は縦振動を伝えることとなる。
また、半導体プロセスと親和性が高いシリコンプロセスを用いたRF−MEMSフィルタが、橋村 昭範ら、「ねじり振動を用いたRF−MEMSフィルタの開発」,信学技報,社団法人電子情報通信学会発行,IEICE Technical Report MW2005-185(2006-3),pp.39-42(非特許文献1)で提案されている。この文献では、小型化と高Q値化の両立にねじり振動モードを利用した共振器が有効であることが紹介されている。
特開2006−41911号公報
橋村 昭範ら、「ねじり振動を用いたRF−MEMSフィルタの開発」,信学技報,社団法人電子情報通信学会発行,IEICE Technical Report MW2005-185(2006-3),pp.39-42
ねじり振動モードを利用したMEMS共振器としては、図96に示すように、基板1上に梁状の振動部2を設置したものが考えられる。その場合、基板1の表面に対して、振動部2の下面が離隔して対向するように配置される。
基板1の表面のうち定められた箇所においては振動付与のための電極(以下「振動付与電極」という。)3が配置される。振動付与電極3は、振動部2の下面に対して離隔して対向している。すなわち、振動部2と振動付与電極3との間には間隙60が形成されている。このような状態で、振動付与電極3と振動部2との間に電圧が印加されることによって、振動部2に、基板1表面に垂直な向きの吸引力または反発力が作用する。これをきっかけに振動部2にねじり振動が引き起こされる。
このような構造を作製するためには、まず、振動部2は基板1とは別にSiで適宜形成される。一方、基板1としてはガラス基板が用いられる。別途用意されたガラス基板の表面には金属膜を成膜することによって振動付与電極3、引出配線7、外部接続端子8などが形成される。したがって、振動付与電極3はガラス基板の表面に成膜された薄い膜に過ぎない。このように別々に作製された振動部2とガラス基板とが互いに陽極接合されることとなる。このとき、振動部2の下面が振動付与電極3の表面に対して対向する間隙60は、なるべく狭くすることが望まれるが、従来、その間隙を1μm未満とすることは困難であった。
そこで、本発明は、ねじり振動モードを利用したMEMS共振器において、振動部の下面と振動付与電極とが十分に狭い間隙を介して対向した構造を有する共振器を提供することを第1の目的とする。
ねじり振動モードを利用したMEMS共振器としては、基板上にフレーム状の振動部を設置したものが考えられる。振動部は基板表面から離隔しつつ基板表面と平行に支持される。基板の表面には、振動部にねじり振動を生じさせるための振動付与電極が設けられており、振動付与電極と振動部の下面の少なくとも1ヶ所とは、間隙を介して互いに対向している。基板の周縁部には、振動付与電極に電圧を印加するための外部接続端子が設けられている。振動付与電極と、基板の周縁部に設けられた外部接続端子との間は、配線によって電気的に接続されている。配線は基板の表面に線状に設けられた金属膜である。
基板を垂直上方から見たときにはフレーム状の振動部の隙間から配線が見えることになる。振動部にねじり振動をさせる場合、外部接続端子に一定の電位が印加される。この印加に伴い、振動付与電極は一定の電位となる。これにより、振動付与電極と振動部との間に電位差が生じる。振動部のうち振動付与電極と対向している部位においては、電位差によって吸引力または反発力が生じる。こうして振動部の少なくとも1ヶ所に往復運動が生じ、この往復運動に起因して他の部位にはねじり振動が引き起こされる。
このとき、外部接続端子および振動付与電極に一定の電位が付与されるだけでなく、その両者の間に介在する配線も必然的に一定の電圧となることになる。したがって、配線に付与される電圧に起因して、配線の周囲の空間に電気力線が生じる。配線と振動部とは互いに当接していないが、配線の上方またはその近傍には、振動部のいずれかの部位が存在する場合がある。その場合、配線の周囲の空間に生じる電気力線によって振動部の振動が影響を受けると考えられる。その結果、正確なねじり振動が妨げられ、共振器の信頼性が低下してしまう。
そこで、本発明は、ねじり振動モードを利用したMEMS共振器において、振動部が配線によって影響を受ける度合いを低減した共振器を提供することを第2の目的とする。
ねじり振動モードを利用したMEMS共振器としては、図97に示すように、基材4001上に梁状の振動部4004を設置したものが考えられる。その場合、基材4001の表面に対して、振動部4004の下面4004wが離隔して対向するように配置される。振動部4004はアンカ部4002a,4002bによって支持されている。アンカ部4002a,4002bは基材4001の表面に固定されている。
基材4001の表面のうち定められた箇所においては振動付与のための電極(以下「振動付与電極」という。)4030が配置される。振動付与電極4030は、振動部404の下面4004wに対して離隔して対向している。すなわち、振動部4004と振動付与電極4030との間には間隙4060が形成されている。このような状態で、振動付与電極4030と振動部4004との間に電圧が印加されることによって、振動部4004に、基材1表面に垂直な向きの吸引力または反発力が作用する
。これをきっかけに振動部4004のいずれかの部位にねじり振動が引き起こされる。
振動付与電極4030は、配線4006を介して外部接続電極4007と電気的に接続されている。この場合、配線4006は振動部4004のいずれかの場所の真下を通って配置されることとなる。すなわち、配線4006の一部の領域は振動部4004の下面に対して離隔して対向している。また、配線4006は振動付与電極4030と同様に電位が変動するものである。したがって、振動付与電極4030が振動部4004に対して作用を及ぼすのと同様に、配線4006も振動部4004に対して作用を及ぼし、吸引力または反発力を生じることとなる。配線4006の電位が変動したことによって、振動部4004に対する吸引力または反発力が発生した場合、その力は振動部4004において本来あるべきねじり振動の妨げとなり、MEMS共振器の誤動作の原因となる。
図98に示すように、配線4006の先端に振動付与電極4030に代えてブロック状の振動付与部4003が設けられる構成も考えられる。この場合、振動付与部4003は導電性を有しており、配線4006を通じて振動付与部4003に電圧が印加される。振動付与部4003の上面が振動部4004と対向しており、振動部4004に対する吸引力または反発力を発生させることとなる。この場合、振動付与部4003の高さに起因して、振動部4004を基材4001から遠ざけて配置することができる。図97に示した構成に比べれば、配線4006と振動部4004の下面4004wとの間の距離は長くなっているので、配線4006が振動部4004に及ぼす作用の程度は小さくなる。しかし、この場合であっても、配線4006は振動部4004と離隔対向していることには相違ないので、いくらかの作用は及ぼされており、振動部4004の本来あるべきねじり振動の妨げとなりうる。
そこで、本発明は、共振器において、配線の電位変動に起因して振動部のねじり振動が妨げられる度合いを最小限に抑えることを第3の目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の第1の局面に基づく共振器では、平坦な上面を有する基材と、前記基材の上面から離隔するようにして前記基材に相対的に固定され、側方に延在する振動部と、前記基材の上面に形成され、一部が前記振動部の下側を通過する電極パターンと、前記振動部にねじり振動を発生させるために、前記基材の上面に固定され、平坦な上面を有し、前記電極パターンと電気的に接続されている電極ブロック部とを備え、前記電極ブロック部の上面は、前記振動部から離隔しつつ、前記基材の上面から前記振動部の下面に対して間隙を介して近接する位置までせり上がると同時に、前記電極パターンが前記振動部の下側を通過する領域における前記電極パターンの上面よりも高くなっている
上記目的を達成するため、本発明の第2の局面に基づく共振器は、平坦な主表面を有する基材と、前記基材の主表面から離隔しつつ前記主表面に平行に延在する振動部と、前記振動部との間に電圧を印加することによって前記振動部にねじり振動を発生させるために、前記基材に固定された振動付与電極と、前記振動付与電極と電気的に接続された状態で前記主表面に配置された配線と、前記配線から離隔して前記配線の上側を覆うように前記主表面に配置された被覆部材とを備える。
上記目的を達成するため、本発明の第3の局面に基づく共振器は、平坦な上面を有する基材と、上記基材の上面から離隔して上記基材の上面に対向するように配置された振動部と、上記振動部の下面に対して電位差を生じさせることによって上記振動部の少なくとも一部にねじり振動を発生させることができるように、上記振動部の下面の一部に対して離隔しつつ対向して上記基材の上面に配置された振動付与部と、上記振動付与部から、上記基材の上面に沿うように上記振動部の下側を通過して、上から見て上記振動部の外側となる位置まで引き出されている配線とを備え、上記配線は、上記振動部のうち上記ねじり振動の際に節となる部位の下側において上記振動部と交差するように配置されている。
本発明の第1の局面によれば、たとえ振動部の下面が基材の表面から遠く離れていたとしても、振動付与電極としての電極ブロック部の上面は、振動部下面に十分に接近させて配置することができる。したがって、ねじり振動モードを利用したMEMS共振器において、振動部の下面と振動付与電極とが十分に狭い間隙を介して対向した構造を有する共振器とすることができる。
本発明の第2の局面によれば、配線の周囲の空間に生じる電気力線を被覆部材によってある程度遮ることができ、その結果、振動部が配線によって影響を受ける度合いを低減することができる。
本発明の第3の局面によれば、配線は、振動部のうちねじり振動の際に節となる部位の下側において振動部と交差するように配置されているので、たとえ配線に電位の変動が生じても、ねじり振動が妨げられる度合いを最小限に抑えることができる。
本発明に基づく実施の形態1における共振器の側面図である。 本発明に基づく実施の形態1における共振器の電極パターンと電極ブロック部との接続部分の平面図である。 図3は図2の中央部の部分斜視図である。 図3は図2の中央部の部分平面図である。 図1におけるV−V線に関する矢視断面図である。 本発明に基づく実施の形態1における共振器の変形例の部分斜視図である。 図6の中央部の部分平面図である。 図7におけるVIII−VIII線に関する矢視断面図である。 本発明に基づく実施の形態2の共振器の斜視図である。 本発明に基づく実施の形態2の共振器の側面図である。 本発明に基づく実施の形態3の共振器の斜視図である。 図11におけるXII−XII線に関する矢視断面図である。 本発明に基づく実施の形態4における共振器の平面図である。 本発明に基づく実施の形態4における共振器の側面図である。 本発明に基づく実施の形態5における共振器の、キャップを外した状態の斜視図である。 本発明に基づく実施の形態5における共振器の、キャップを外した状態の平面図である。 図16におけるXVII−XVII線に関する矢視断面図である。 本発明に基づく実施の形態5における共振器の製造方法のうちSOI基板側で行なう第1の工程の説明図である。 本発明に基づく実施の形態5における共振器の製造方法のうちSOI基板側で行なう第2の工程の説明図である。 図19に示した構造の下面図である。 本発明に基づく実施の形態5における共振器の製造方法のうちSOI基板側で行なう第3の工程の説明図である。 図21に示した構造の下面図である。 本発明に基づく実施の形態5における共振器の製造方法のうちガラス基板側で行なう工程の説明図である。 本発明に基づく実施の形態5における共振器の製造方法のうちガラス基板側で行なう工程の説明図である。 本発明に基づく実施の形態5における共振器の製造方法のうち貼合せ以降の第1の工程の説明図である。 図25のうち梁状部分が電極パターンの端部に重なり合う部分の拡大図である。 本発明に基づく実施の形態5における共振器の製造方法のうち貼合せ以降の第1の工程の説明図である。 図27に示した構造の平面図である。 本発明に基づく実施の形態5における共振器の製造方法のうち貼合せ以降の第2の工程の説明図である。 本発明に基づく実施の形態5における共振器の製造方法のうち貼合せ以降の第3の工程の説明図である。 本発明に基づく実施の形態6における共振器の側面図である。 本発明に基づく実施の形態6における共振器の電極ブロック部の近傍の拡大側面図である。 本発明に基づく実施の形態6における共振器の電極ブロック部の近傍および外部接続端子の近傍の拡大平面図である。 本発明に基づく実施の形態6における共振器に用いられる電極ブロック部を斜め下から見た斜視図である。 本発明に基づく実施の形態6における共振器に用いられる電極パターンが基材表面に形成された様子の平面図である。 本発明に基づく実施の形態6における共振器に用いられる電極パターンの端部近傍の斜視図である。 本発明に基づく実施の形態6における共振器の製造方法の説明図である。 本発明に基づく共振器における振動部と電極ブロック部との位置関係の第1の例を説明するための斜視図である。 本発明に基づく共振器における振動部と電極ブロック部との位置関係の第1の例を説明するための平面図である。 本発明に基づく共振器における振動部と電極ブロック部との位置関係の第1の例において生じる力の説明図である。 本発明に基づく共振器における振動部と電極ブロック部との位置関係の第2の例を説明するための斜視図である。 本発明に基づく共振器における振動部と電極ブロック部との位置関係の第2の例を説明するための平面図である。 本発明に基づく共振器における振動部と電極ブロック部との位置関係の第2の例において生じる力の説明図である。 本発明に基づく共振器における電極パターンの第1の変形例の平面図である。 本発明に基づく共振器における電極パターンの第2の変形例の平面図である。 本発明に基づく実施の形態6における共振器で生じうる接合位置ずれの説明図である。 本発明に基づく実施の形態7における共振器の側面図である。 本発明に基づく実施の形態7における共振器の電極ブロック部の近傍の拡大側面図である。 本発明に基づく実施の形態7における共振器に用いられる電極パターンの端部近傍の斜視図である。 本発明に基づく実施の形態8における共振器の側面図である。 図50における電極ブロック部近傍の断面図である。 本発明に基づく実施の形態9における共振器の平面図である。 図52におけるLIII−LIII線に関する矢視断面図である。 図52におけるLIV−LIV線に関する矢視断面図である。 図52におけるLV−LV線に関する矢視断面図である。 本発明に基づく実施の形態9における共振器に含まれている振動部の平面図である。 図54の中央部を拡大した模式断面図である。 本発明に基づく実施の形態10における共振器の平面図である。 図58におけるVIII−VIII線に関する矢視断面図である。 図58におけるLX−LX線に関する矢視断面図である。 本発明に基づく実施の形態11における共振器の平面図である。 図61におけるLXII−LXII線に関する矢視断面図である。 図61におけるLXIII−LXIII線に関する矢視断面図である。 図61における振動部を単独で取り出したところの平面図である。 図61におけるLXV−LXV線に関する矢視断面図である。 本発明に基づく実施の形態11における共振器の製造方法のうちSOI基板側で行なう第1の工程の説明図である。 本発明に基づく実施の形態11における共振器の製造方法のうちSOI基板側で行なう第2の工程の説明図である。 本発明に基づく実施の形態11における共振器の製造方法のうちSOI基板側で行なう第3の工程の説明図である。 本発明に基づく実施の形態11における共振器の製造方法のうちSOI基板側で行なう第4の工程の説明図である。 本発明に基づく実施の形態11における共振器の製造方法のうちSOI基板側で行なう第5の工程の説明図である。 本発明に基づく実施の形態11における共振器の製造方法のうちSOI基板側で行なう第6の工程の説明図である。 本発明に基づく実施の形態11における共振器の製造方法のうちSOI基板側で行なう第7の工程の説明図である。 本発明に基づく実施の形態11における共振器の製造方法のうちSOI基板側で行なう第8の工程の説明図である。 本発明に基づく実施の形態11における共振器の製造方法のうちSOI基板側で行なう第9の工程の説明図である。 本発明に基づく実施の形態11における共振器の製造方法のうちSOI基板側で行なう第10の工程の説明図である。 本発明に基づく実施の形態11における共振器の製造方法のうちガラス基板側で行なう第1の工程の説明図である。 本発明に基づく実施の形態11における共振器の製造方法のうちガラス基板側で行なう第2の工程の説明図である。 本発明に基づく実施の形態11における共振器の製造方法のうちガラス基板側で行なう第3の工程の説明図である。 本発明に基づく実施の形態11における共振器の製造方法のうちガラス基板側で行なう第4の工程の説明図である。 本発明に基づく実施の形態11における共振器の製造方法のうちガラス基板側で行なう第5の工程の説明図である。 本発明に基づく実施の形態11における共振器の製造方法のうち貼合せ以降の第1の工程の説明図である。 本発明に基づく実施の形態11における共振器の製造方法のうち貼合せ以降の第2の工程の説明図である。 本発明に基づく実施の形態11における共振器の製造方法のうち貼合せ以降の第3の工程の説明図である。 本発明に基づく実施の形態11における共振器の製造方法のうち貼合せ以降の第4の工程の説明図である。 本発明に基づく実施の形態11における共振器の製造方法のうち貼合せ以降の第5の工程の説明図である。 本発明に基づく実施の形態11における共振器の製造方法のうち貼合せ以降の第6の工程の説明図である。 本発明に基づく実施の形態11における共振器の製造方法のうち貼合せ以降の第7の工程の説明図である。 本発明に基づく実施の形態12における共振器の平面図である。 図88におけるLXXXIX−LXXXIX線に関する矢視断面図である。 図88におけるXC−XC線に関する矢視断面図である。 本発明に基づく実施の形態13における共振器の平面図である。 本発明に基づく実施の形態13における共振器の基材側の平面図である。 本発明に基づく実施の形態13における共振器のSiブロック側の平面図である。 図91におけるXCIV−XCIV線に関する矢視断面図である。 図91におけるXCV−XCV線に関する矢視断面図である。 従来技術に基づく共振器の側面図である。 従来技術に基づく共振器の第1の例の側面図である。 従来技術に基づく共振器の第2の例の側面図である。
(実施の形態1)
図1〜図3を参照して、本発明に基づく実施の形態1における共振器について説明する。本実施の形態では、基板の表面に金属膜によって形成された電極パターンと振動部の下面との間で直接狭い間隙を実現するのではなく、図1に示すように、基材10の表面に電極ブロック部5を設け、この電極ブロック部5に電圧を供給可能なように電極パターン4を接続し、電極ブロック部5の上面と振動部2の下面との間で狭い間隙6を実現する。その場合、電極ブロック部5は、基本的にSiからなる部材であってよい。ただし、Siの材料に予め不純物をドープすることによって、電極ブロック部5には導電性がもたせられている。基材10はガラス基板であってよい。電極ブロック部5は陽極接合によって、基材10に接合されている。振動部2はSiからなる部材であってよい。
本実施の形態における共振器101は、平坦な上面を有する基材10と、基材10の上面に形成された電極パターン4と、基材10の上面から離隔するようにして基材10に相対的に固定され、側方に延在する振動部2と、振動部2にねじり振動を発生させるために、基材10の上面に固定され、平坦な上面を有し、電極パターン4と電気的に接続されている電極ブロック部5とを備える。電極パターン4の一端は電極ブロック部5と接続されており、他端は外部接続端子8となっている。電極パターン4は引出配線7と外部接続端子8とを含む。すなわち、外部接続端子8は電極パターン4の一部である。電極パターン4と電極ブロック部5との接続の様子の一例を図2に示す。
本実施の形態では、電極ブロック部5に導電性がもたせられており、かつ、電極パターン4の端に電極ブロック部5が電気的に接続されているので、電極ブロック部は振動付与電極の役割を果たすことができる。特に、電極ブロック部の上面が振動付与電極として働くこととなる。電極ブロック部は、基材の表面に成膜された薄い電極パターンと違って、所望の高さを有する立体的な部材として配置することができるので、電極ブロック部の上面は、基材の表面に比べて高い位置に配置することができる。したがって、たとえ振動部の下面が基材の表面から遠く離れていたとしても、振動付与電極としての電極ブロック部の上面は、振動部下面に十分に接近させて配置することができる。よって、ねじり振動モードを利用したMEMS共振器において、振動部の下面と振動付与電極とが十分に狭い間隙を介して対向した構造を有する共振器とすることができる。
図3〜図5に示すように、電極ブロック部5は、振動部2から離隔しつつ、前記振動部に対して下側から対向していることが好ましい。図3は図1の中央における状況を斜めから見たところである。図4は図1の中央における状況を上から見た様子である。図5は、図1におけるV−V線に関する矢視断面図である。この場合、電極ブロック部5と振動部2との間に電圧を印加することによって、図5に両頭矢印で示すように吸引力または反発力が働き、振動部2にねじり振動が発生する。図3〜図5に示した例では、単に下側から対向しているというだけでなく、電極ブロック部5は振動部2の真下に位置していた。言い換えれば、上から見たときに電極ブロック部5は振動部2の真下に隠れるように配置されていた。実際にはこのように完全に真下に隠れる配置には限定されず多少ずれていてもよい。たとえば、上から見たときに電極ブロック部5の一部が振動部2からはみ出していてもよい。
電極ブロック部5は振動部2に対して必ずしも下側から対向している必要はない。たとえば図6に示すように振動部2の真下ではないところに電極ブロック部5が配置されていてもよい。図7には図6の状況を上から見た様子を示す。この例では、上から見たときに電極ブロック部5の全体が振動部2に隠れることなく見えている。この場合、電極ブロック部5と振動部2との間に電圧を印加することによって、図8に矢印で示すように、振動部2の側面と電極ブロック部5の上面との間に吸引力または反発力が働き、振動部2にねじり振動が発生する。
しかし、図5に示したように、電極ブロック部5の上面と振動部2の下面とが近接して対向している場合が、最も効率良く振動部2に力を作用させることができると考えられるので、電極ブロック部5は、振動部2から離隔しつつ、前記振動部に対して下側から対向していることが好ましい。
なお、電極ブロック部5は、振動部2から離隔しつつ、振動部2のうちねじり振動を発生しない部位に対して下側から対向していることが好ましい。この場合、振動部2のうち電極ブロック部5が対向している部位では、ねじり振動ではなく往復振動が生じ得る。なぜなら、電極ブロック部5の上面と振動部2の下面との間に吸引力または反発力が生じるからである。この往復運動に基づき、振動部2の他の部位においてはねじり振動が生じる。振動部2のうち、電極ブロック部5が下側から対向する部位では、ねじり振動ではなく往復運動のみに特化していた方が効率良く振動を引き起こすことができるので、電極ブロック部5は、振動部2から離隔しつつ、振動部2のうちねじり振動を発生しない部位に対して下側から対向していることが好ましい。
電極ブロック部は、陽極接合によって前記基材に接合されていることが好ましい。この構成であれば、容易に確実に接合することができるからである。この構成であれば、後述する製造方法のように、SOI基板とガラス基板とをそれぞれ加工した後に互いに貼り合わせることによって容易に作製することができる。
振動部の形状のバリエーションおよび振動部を支持するためのアンカ部について詳しく説明する。図1では共振器全体を単純化して説明したが共振器101の振動部2は実際には単純な直線状の梁ではなく、実際には適宜枝分かれした構造やフレーム状となった構造である。振動部としてはさまざまな形状が考えられる。振動部は1または複数の端においてアンカ部と呼ばれる構造によって支持される。アンカ部は独立した部品とは限らず、他の構造物の一部であってもよい。以下の実施の形態では、振動部およびアンカ部の具体的形状の例に触れつつ説明する。
(実施の形態2)
図9、図10を参照して本発明に基づく実施の形態2の共振器111について説明する。この共振器111は振動部2hを備える。振動部2hは、途中から枝分かれする枝部200を有する。振動部2hの両端はアンカ部13a,13bに一体的につながっている。アンカ部13a,13bは基材10に固定されている。振動部2hおよびアンカ部13a,13bはSiによって一体的に形成されたものであってよい。
この共振器111の側面図を図10に示す。電極ブロック部5は振動部2hの途中の1ヶ所に下側から離隔しつつ対向するように設けられている。振動部2hのうちこのように電極ブロック部5が下側から対向している領域を振動入力領域2vと呼ぶことができる。電極ブロック部5と振動部2hとの間には間隙6が形成されている。図9、図10では電極ブロック部5に信号を供給する配線は図示していない。
本実施の形態における共振器111では、電極ブロック部5の作用により、振動入力領域2vが上下に往復するように変位し、その結果、図9において矢印で示すようなねじり振動が枝部200に発生する。本実施の形態では、電極ブロック部5を備えているので、振動部2hが基材10から離れていても振動部2hの下面と振動付与電極としての電極ブロック部5とが十分に狭い間隙6を介して対向した構造を有する共振器とすることができる。
(実施の形態3)
図11、図12を参照して本発明に基づく実施の形態3における共振器112について説明する。この共振器112は振動部2iを備える。振動部2iはフレーム状の部分を有する。振動部2iのフレーム形状の中には枝部201,202,203,204が含まれている。振動部2iの両端はアンカ部14a,14bに一体的につながっている。アンカ部14a,14bは基材10に接合されている。図11におけるXII−XII線に関する矢視断面図を図12に示す。電極ブロック部5と振動部2iとの間には間隙6が形成されている。振動部2iおよびアンカ部14a,14bはSiによって一体的に形成されたものであってよい。
本実施の形態における共振器112では、電極ブロック部5の作用により、振動入力領域2vが上下に往復するように変位し、その結果、枝部201,202,203,204にねじり振動が発生する。本実施の形態では、電極ブロック部5を備えているので、振動部2iが基材10から離れていても振動部2iの下面と振動付与電極としての電極ブロック部5とが十分に狭い間隙6を介して対向した構造を有する共振器とすることができる。
(実施の形態4)
図13、図14を参照して本発明に基づく実施の形態4における共振器113について説明する。この共振器113は振動部2jを備える。振動部2jはフレーム状の部分を有する。振動部2jのフレーム形状の中には枝部201,202,203,204が含まれている。振動部2jの両端はアンカ部15a,15bに接続されている。アンカ部15aはアンカ下部層15a1とアンカ上部層15a2との積層構造となっている。アンカ下部層15a1とアンカ上部層15a2との間には絶縁層19が介在している。同様にアンカ部15bはアンカ下部層15b1とアンカ上部層15b2との積層構造となっている。アンカ下部層15b1とアンカ上部層15b2との間には絶縁層19が介在している。絶縁層19はSiO2層であってもよい。振動部2jの両端はアンカ上部層15a2,15b2と一体的に形成されている。振動部2jおよびアンカ上部層15a2,15b2はSiによって一体的に形成されたものであってよい。振動部2jの中央の下方には電極ブロック部5が離隔しつつ対向している。電極ブロック部5は、引出配線7に電気的に接続されている。引出配線7はアンカ部15aの下部に設けられたトンネルをくぐって外側に引き出されている。引出配線7の端は外部接続端子8に電気的に接続されている。電極ブロック部5と振動部2jとの間には間隙6が形成されている。
本実施の形態における共振器113では、電極ブロック部5の作用により、振動入力領域2vが上下に往復するように変位し、その結果、枝部201,202,203,204にねじり振動が発生する。本実施の形態では、電極ブロック部5を備えているので、振動部2jが基材10から離れていても振動部2jの下面と振動付与電極としての電極ブロック部5とが十分に狭い間隙6を介して対向した構造を有する共振器とすることができる。
実施の形態2〜4における共振器111,112,113においては、振動部の一部である振動入力領域2vの真下に電極ブロック部5が配置されているが、図3〜図8を参照して説明した話は実施の形態2〜4に適用することもできる。すなわち、共振器111,112,113においても電極ブロック部5を振動入力領域2wの真下から側方にずれた位置に設置した構成も考えられる。
実施の形態2としては、振動部2の両端が、基材10から垂直に立ち上がるような柱状の部分としてのアンカ部13a,13bにつながっている例(図9および図10参照)を示した。実施の形態3としては、振動部2の両端が、振動部2よりも幅の広い独立したブロック状の部分としてのアンカ部14a,14bに一体的につながっている例(図11および図12参照)を示した。さらに実施の形態4としては、ブロック状の部分としてのアンカ部15a,15bが積層構造となっている例(図13および図14参照)を示した。しかし、アンカ部はこのような形態のものに限らない。次の実施の形態に示されるようなものであってもよい。
(実施の形態5)
図15〜図17を参照して、本発明に基づく実施の形態5における共振器105について説明する。図15は共振器105の斜視図である。実際には上側の開口部を塞ぐようにガラス製のキャップが配置されることが好ましい。図15は、内部の様子がわかるようにキャップを外した状態を示している。キャップを外した状態の平面図を図16に示す。共振器105は振動部2kを備える。振動部2kを取り囲むように外壁部9が配置されている。図15に示すように、外壁部9は下から順にSi層21、SiO2層22、Si層23の3層の積層構造となっている。図16においてはキャップ35が外壁部9に当接する領域が二点鎖線で示されている。外壁部9は外周の1ヶ所に切欠き部11を有する。振動部2kは外壁部9のSi層23と一体的につながっている。外壁部9の一部をアンカ部16a,16bをみなすことができる。振動部2kはアンカ部16a,16bによって支持されている。
図16に示すように振動部2kの下側には3つの小ブロックが配置されている。これらの3つの小ブロックは、図16において上下方向に並ぶ3つの正方形として破線で表示されている。これらの小ブロックのうちの真ん中の1つが電極ブロック部5として利用されている。電極ブロック部5には引出配線7が接続されている。引出配線7は切欠き部11の中に設けられた外部接続端子8に至っている。電極パターン4は引出配線7と外部接続端子8とを含む。この例では、電極ブロック部5ではない他の2つの小ブロックは利用されていない。ただし、他の2つの小ブロックも引出配線および外部接続端子をそれぞれ設ければ電極ブロック部として利用することができる。図15におけるXVII−XVII線に関する矢視断面図を図17に示す。電極ブロック部5と振動部2kとの間には間隙6が形成されている。引出配線7は外壁部9のSi層21の下部に設けられたトンネル31をくぐって外壁部9の外側に引き出されている。トンネル31の外側にはトンネル31の隙間を塞ぐように窒化膜34が配置されている。
本実施の形態における共振器105では、電極ブロック部5の作用により、振動入力領域2vが上下に往復するように変位し、その結果、振動部2kの一部にねじり振動が発生する。本実施の形態では、電極ブロック部5を備えているので、振動部2kが基材10から離れていても振動部2kの下面と振動付与電極としての電極ブロック部5とが十分に狭い間隙6を介して対向した構造を有する共振器とすることができる。
(製造方法)
図18〜図30を参照して、本実施の形態における共振器105の製造方法について説明する。これらの図では、説明の便宜のために縦横比を誇張している。
この製造方法では、SOI基板とガラス基板との両方においてそれぞれいくつかの工程を行なったのちに両者を貼り合わせる。
(1.SOI基板側で行なう工程)
まずSOI基板側で行なう工程について説明する。
図18に示すようにSOI(Silicon on Insulator)基板51を用意する。このSOI基板51の場合、下から順にSi層21、SiO2層22、Si層23が積層されている。表裏両面に酸化膜(図示せず)が形成されている場合は、予めフッ酸(HF)によって表裏両面の酸化膜を除去する。
Si層21を、誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma)エッチング(以下「ICPエッチング」という。)によってパターニングする。こうして図19に示す状態に至る。図19に示した構造を下側から見たところを図20に示す。Si層21の外周の1ヶ所には切欠き部11に相当する切欠きが設けられている。Si層21の中央部には長方形の開口部が2つ設けられている。この2つの開口部は、のちに外壁部9に囲まれた空間となるものである。2つの開口部を梁状部分32が隔てている。Si層21が除去された部分にはSiO2層22が見えている。フッ酸によって犠牲層としてのSiO2層22を除去することによって図21に示す構造を得る。図21に示した構造を下側から見たところを図22に示す。Si層21に覆われていなかった部分ではSiO2層22が除去されている。また、Si層21に覆われていた部分の中でも梁状部分32によって覆われていた部分は、梁状部分32の両脇からフッ酸が回り込むことによってSiO2層22が除去されている。したがって、図21に示すように梁状部分32はSi層23から分離して浮いた形となっている。梁状部分32の両端は図22に示すように外周を取り囲むSi層21につながっているので、梁状部分32が脱落することはない。
(2.ガラス基板側で行なう工程)
共振器の基材10となるべきガラス基板側で行なう工程について説明する。図23に示すように、基材10としてのガラス基板の表面に電極パターン4を形成する。電極パターン4はたとえば、基材10に近い側から順に、厚さ10nmのTi膜、厚さ25nmのPt膜、厚さ200nmのAu膜を順に積層したものであってよい。その場合、電極パターン4のうち基材10の中央寄りの端部においては、Ti膜およびPt膜がAu膜よりも長く延在するように形成することが好ましい。図23に示した構造を上から見たところを図24に示す。電極パターン4は引出配線7と外部接続端子8とを含むように形成される。
(3.貼合せ以降の工程)
図21、図22に示したようにSOI基板を加工したものと、図23、図24に示したようにガラス基板を加工したものとを陽極接合によって貼り合わせる。こうして図25に示す構造体を得る。ただし、貼り合わせる前にSi層21の一部にトンネル31を形成しておく。電極パターン4はトンネル31を通過するように配置される。梁状部分32は電極パターン4の端部に重なり合う。梁状部分32が電極パターン4の端部に重なり合う部分を拡大したところを図26に示す。この例においては、電極パターン4は、Ti膜41、Pt膜42、Au膜43の3層積層構造となっている。電極パターン4の端部においてTi膜41およびPt膜42がAu膜43に比べて長く延在するように形成されている場合、SOI基板とガラス基板との貼合せの際に、Ti膜41およびPt膜42は梁状部分32と基材10とによって挟み込まれる。
図27に示すように、Si層23を加工して薄くし、さらに、Si層23をパターニングする。図27に示した構造を上からみたところを図28に示す。このパターニングによってSi層23から振動部2kが形成される。Si層23のうち振動部2kを取り囲む部分はその下に隠れるSi層21およびSiO2層22とともに外壁部9を構成する。Si層23に対するこのパターニングの結果、切欠き部11も形成される。振動部2kの隙間からSi層21の梁状部分32が見えている。振動部2kの隙間のうち梁状部分32がない部分では基材10の上面10uが見えている。既に述べたように梁状部分32はSi層23から分離して浮いた形となっているので、振動部2kと梁状部分32とは接していない。
図28に示した構造に対して異方性エッチングを行なうことによって、梁状部分32のうち振動部2kに隠されていない部分を除去する。この結果、図29に示すように3つの小ブロックが残され、そのうち真ん中の1つは電極ブロック部5となる。電極ブロック部5は引出配線7と電気的に接続されている。さらに、トンネル31の外側の端に窒化膜34を形成することによって、図15、図16に示した構造を得る。図30に示すようにSi層23の上側にガラス製のキャップ35を被せる。キャップ35は外壁部9の内側の空間を封止するように被せられる。こうして、本実施の形態における共振器105を得ることができる。
なお、上記各実施の形態では、振動部は、1本の直線が長方形の中央を貫通したような形状である例を示したが、振動部は異なる形状であってもよい。
(実施の形態6)
図31〜図33を参照して、本発明に基づく実施の形態6における共振器について説明する。本発明では、基板の表面に金属膜によって形成された電極パターンと振動部の下面との間で直接狭い間隙を実現するのではなく、図31に示すように、基材10の表面に電極ブロック部5を設け、この電極ブロック部5に電圧を供給可能なように電極パターン4を接続し、電極ブロック部5の上面と振動部2の下面との間で狭い間隙6を実現する。その場合、電極ブロック部5は、基本的にSiからなる部材であってよい。ただし、Siの材料に予め不純物をドープすることによって、電極ブロック部5には導電性がもたせられている。基材10はガラス基板であってよい。電極ブロック部5は陽極接合によって、基材10に接合されている。この電極ブロック部5に対して電極パターン4をどのように接続するかが問題となるが、この部分について詳しくわかるように以下説明する。
図31に示した共振器2101の電極ブロック部5近傍を拡大したところを図32に示す。電極ブロック部5の近傍を上からみたところの拡大を図33に示す。図33では、図32で表示していなかった外部接続端子8も含めて表示している。図33に示すように、電極パターン4は、引出配線7と外部接続端子8と接続端2009とを含む。
本実施の形態における共振器2101は、平坦な上面を有する基材10と、複数の層が積層されることによって構成された電極パターン4と、基材10の上面から離隔するようにして基材10に相対的に固定され、側方に延在する振動部2と、振動部2にねじり振動を発生させるために、基材10の上面に固定され、平坦な上面を有する電極ブロック部5とを備え、電極ブロック部5の下端は略平面であるか、または、電極パターン4のうち前記複数の層のうち少なくとも1層を受け入れるための接続用切欠きを有し、電極パターン4は電極ブロック部5に電気的に接続されている。ここでは、電極パターン4を構成する「複数の層」は3層であり、基材10に近い側から第1層2041、第2層2042、第3層2043となっている。電極ブロック5の下端は略平面であるか、または、所定の接続用切欠きを有してよいと述べたが、本実施の形態では、具体的には第1層2041および第2層2042を受け入れるための接続用切欠き5aを有するものとする。電極パターン4の一端は、第2層42に比べて第3層2043が後退した接続端2009となっている。接続端2009における第1層2041および第2層2042は、接続用切欠き5aに収容されている。
前記複数の層のうち前記基材に最も近い位置にある層は、前記複数の層のうち他の層に比べて前記基材との密着性が最も良い材料で構成されており、前記複数の層のうち最上層は、前記複数の層のうち他の層に比べて最も低抵抗の材料で構成されていることが好ましい。具体的に本実施の形態でいえば、第1層2041の材料には、第2層2042、第3層2043に比べて基材10との密着性が良いことが求められる。第3層2043の材料には、第1層2041、第2層2042に比べて低抵抗であることが求められる。第2層2042の材料には、第1層2041と第3層2043との密着性を良くする働きが求められる。一例としては、前記「複数の層」は、3層で構成され、基材10に最も近い位置にある第1層2041がTi膜であり、第1層2041の上側に位置する第2層2042がPt膜であり、第2層2042の上側に位置する第3層2043がAu膜であることが好ましい。なぜなら、Ti膜は基材10がガラス基板であるときにガラスとの密着性が良く、Au膜は低抵抗であり、Pt膜はTi膜とAu膜との密着性を高める効果があるからである。
電極ブロック部5は、陽極接合によって基材10に接合されていることが好ましい。このようになっていれば、製造が容易だからである。
本実施の形態では、金属膜の積層構造によって電極パターンが形成されており、電極パターンの端に設けられた接続端は段差形状となっていて、この段差形状がかみ合わさるようにして電極ブロック部との接続が行なわれるので、たとえ電極パターンと電極ブロック部とが別材料で形成されていたとしても、電極パターンと電極ブロック部5とを確実に電気的に接続することができる。したがって、電極ブロック部は振動付与電極の役割を果たすことができる。特に、電極ブロック部の上面が振動付与電極として働くこととなる。電極ブロック部は、基材の表面に成膜された薄い電極パターンと違って、所望の高さを有する立体的な部材として配置することができるので、電極ブロック部の上面は、基材の表面に比べて高い位置に配置することができる。したがって、たとえ振動部の下面が基材の表面から遠く離れていたとしても、振動付与電極としての電極ブロック部の上面は、振動部下面に十分に接近させて配置することができる。よって、ねじり振動モードを利用したMEMS共振器において、振動部の下面と振動付与電極とが十分に狭い間隙を介して対向した構造を有する共振器とすることができる。
(製造方法)
このような電極ブロック部5の接続部分の製造方法について説明する。電極ブロック部5となるべきSiのブロック状部材には図34に示すような切欠き5aを、予め公知技術によって形成しておく。基材10の表面には、図35に示すように電極パターン4を予め公知技術によって形成しておく。図35における接続端2009の近傍の斜視図を図36に示す。このように電極パターン4は3層構造となっているが、接続端2009においては第1層2041および第2層2042に比べて第3層2043だけ後退した構造とする。この状態で、図34に示した部材を接続する。すなわち、図37に示すように電極ブロック部5の切欠き部5aが図36に示した接続端2009の段差に嵌合するように、電極ブロック部5を基材10の上面に接合する。この接合は陽極接合によって行なうことができる。こうすることによって図32に示した構造を得ることができる。
その後、振動部2などを適宜基材10に接合する。なお、ここでは、電極ブロック部5と振動部2とをそれぞれ別個のSi基板によって形成することを想定しているが、これらを形成するために単なるSi基板の代わりにSOI基板を用いれば、振動部2と電極ブロック部5との両方をまとめて作製することも可能である。その場合は、SOI基板に含まれる絶縁層を犠牲層として利用してエッチング除去することによって振動部2と電極ブロック部5との間の間隙6を形成することができる。
図38、図39に示すように、電極ブロック部5は、振動部2から離隔しつつ、前記振動部に対して下側から対向していることが好ましい。図39は図38の状況を上から見た様子である。この場合、電極ブロック部5と振動部2との間に電圧を印加することによって、図40に矢印で示すように吸引力または反発力が働き、振動部2にねじり振動が発生する。
しかし、必ずしも下側から対向している必要はない。たとえば図41に示すように振動部2の真下ではないところに電極ブロック部5が配置されていてもよい。図42には図41の状況を上から見た様子を示す。この場合、電極ブロック部5と振動部2との間に電圧を印加することによって、図43に矢印で示すように、振動部2の側面と電極ブロック部5の上面との間に吸引力または反発力が働き、振動部2にねじり振動が発生する。
しかし、図40に示したように、電極ブロック部5の上面と振動部2の下面とが近接して対向している場合が、最も効率良く振動部2に力を作用させることができると考えられるので、電極ブロック部5は、振動部2から離隔しつつ、前記振動部に対して下側から対向していることが好ましい。
図33では、引出配線7に対して接続端2009が垂直に延在するように配置され、この部分において電極パターン4がT字状となっている例を示した。この他に、図44に示すように接続端2009hが引出配線7と同じ幅のまま終端となっている構造の電極パターン4hも考えられる。図45に示すように、接続端2009iがパッド状となっている構造の電極パターン4iも考えられる。図44、図45に示すような変形例も本発明の範囲内である。
しかし、図33に示したように、接続端2009は、電極ブロック部5の接続端2009との接続が行なわれる辺に沿って長手形状となっていることが好ましい。このようになっていれば、電極パターン4と電極ブロック部5との接合面積を広くすることができ、電気的接続をより確実にすることができるからである。接続端2009の長手形状の長さは、電極ブロック部5の接続端2009との接続が行なわれる辺の全長より長くなっていることが好ましい。このようになっていれば、電極ブロック部5を基材10に接合する際に、図46に示すように位置ずれが起こったとしても、接続端2009がこのように長手形状となっていれば、一定の接合面積を確実に得ることができる。
(実施の形態7)
電極パターン4については、実施の形態6では3層構造の例を示したが、電極パターン4は「複数の層」であればよいのだから、当然、3層構造には限らない。実施の形態6では、第2層を介在させることによって第1層と第3層との密着性を高めることとしたが、そもそも第1層と第3層との密着性が十分に良い場合には、第2層を省略して電極パターン4を2層構造とすることも考えられる。
図47〜図49を参照して、本発明に基づく実施の形態7における共振器について説明する。図47に示した共振器2102の電極ブロック部5近傍を拡大したところを図48に示す。電極ブロック部5を接合する前の電極パターン4の先端を図49に示す。本実施の形態における共振器2102は、平坦な上面を有する基材10と、前記基材10の上面において基材10に近い側から第1層2041、第2層2042が順に積層された2層構造を含む電極パターン4と、基材10の上面から離隔するようにして基材10に相対的に固定され、側方に延在する振動部2と、振動部2にねじり振動を発生させるために、基材10の上面に固定され、平坦な上面を有する電極ブロック部5とを備え、電極ブロック部5の下端は電極パターン4のうち第1層2041を受け入れるための接続用切欠き5aを有し、電極パターン4の一端は、第1層2041に比べて第2層2042が後退した接続端2009となっており、接続端2009の第1層2041が接続用切欠き5aに収容されるようにして電極パターン4は電極ブロック部5に電気的に接続されている。
本実施の形態では、第1層2041の材料もは基材との密着性が良いことが求められ、第2層2042の材料には低抵抗でありかつ第1層との密着性も良いことが求められる。したがって、たとえば第1層2041はTi膜であり、第2層2042はAu膜またはPt膜であることが好ましい。あるいは、第1層2041はPt膜であり、第2層2042はAu膜であることが好ましい。あるいは、第1層2041はCr膜であり、第2層2042はAl膜であることが好ましい。これらの組合せであれば、第1層は基材10の材料として一般的に用いられるガラスとの密着性が良く、第2層は低抵抗でありかつ第1層との密着性も良いからである。
本発明としては、実施の形態6,7で示したように、電極ブロック部5の下端は接続用切欠き部を有し、電極パターン4の一端は、前記複数の層のうち一部の層を側方に突出させた接続端2009となっており、前記接続用切欠き部に接続端2009を収容することで、電極パターン4と電極ブロック部5との電気的接続がなされていることが好ましい。しかし、本発明の適用形態はこれに限らない。たとえば変形例として、次に述べるような実施の形態であることも好ましい。
(実施の形態8)
図50を参照して、本発明に基づく実施の形態8における共振器2103について説明する。図50における電極ブロック部5近傍の断面を図51に示す。この共振器2103は、基本的には実施の形態6で示した共振器2101と類似しているが、異なる点として、前記電極ブロック部の下端は略平面であり、前記電極パターンのうち前記電極ブロック部の下端に覆われる部分には厚さ50nm以下の部分が含まれている。本実施の形態においては、電極ブロック部の下端には接続用切欠き部はなくてよい。電極ブロック部の下端は単純に平坦な下面をなしている。図51に示されるように、電極ブロック部5と基材10とで電極パターン4の端を挟み込むようにして電気的接続が行なわれている。なお、電極ブロック部の下面の全体が電極パターンを覆っていてもよく、電極ブロック部の下面の一部のみが電極パターンを覆っていてもよい。図51に示した例では、電極ブロック部5の下面の一部のみが電極パターン4を覆っている。
本実施の形態における共振器2103のように、電極パターン4の厚さが50nm以下であれば、たとえ接続用切欠き部を設けていなくても、貼り付ける際の圧力で基材10が変形することによって電極パターン4の端が沈み込むことによって、電極ブロック部5の下面と基材10の上面とを当接させることができる。こうして電極パターン4と電極ブロック部5との間の電気的接続がなされる。
基材10と電極ブロック部5とで電極パターン4を挟み込んだ際に、Siからなる電極ブロック部5も変形するが、その変形量は、ガラスからなる基材10の変形量に比べたらごくわずかである。図51では、電極パターン4の第1層2041および第2層2042が階段のように折れ曲がっているが、図51では説明の便宜のために誇張しているのであって、実際にはこのようにはっきりと折れ曲がるとは限らない。
なお、各実施の形態においては、電極ブロック部を直方体の部材として説明してきたが、電極ブロック部は、このような形状に限らない。基材の表面に安定して設置することができ、平坦な上面を有する部材であれば、直方体以外の形状であってもよい。
(実施の形態9)
図52〜図57を参照して、本発明に基づく実施の形態9における共振器について説明する。本実施の形態における共振器の平面図を図52に示す。図52におけるLIII−LIII線に関する矢視断面図を図53に示す。図52におけるLIV−LIV線に関する矢視断面図を図54に示す。図52におけるLV−LV線に関する矢視断面図を図55に示す。
共振器3101は、平坦な主表面3001uを有する基材3001と、基材3001の主表面3001uから離隔しつつ主表面3001uに平行に延在する振動部3004と、振動部3004との間に電圧を印加することによって振動部3004にねじり振動を発生させるために、基材3001に固定された振動付与電極3003と、振動付与電極3003と電気的に接続された状態で主表面3001uに配置された配線3006と、配線3006から離隔して配線3006の上側を覆うように主表面3001uに配置された被覆部材3045a,3045bとを備える。
図52に示すように配線3006は中央部から2つの側に向かってそれぞれ延在している。配線3006の各終端には外部接続端子3007a,3007bがそれぞれ配置されている。この例のように外部接続端子3007a,3007bは配線3006と同じ材料で一体的に形成されていてもよい。図52に示すように、被覆部材3045a,3045bと振動部3004との間にはそれぞれ間隙があり、互いに直接接していない。
図53の断面図では、被覆部材3045a,3045bは見えていない。図54の断面図では被覆部材3045a,3045bが見えている。配線3006の上方の空間のうち振動部3004に囲まれて開口する領域の中央には被覆部材3045a,3045bがそれぞれ存在することになる。
被覆部材は、配線3006の上方を覆うだけでなく、側方も覆っていることが好ましい。図55に示すように、本実施の形態では、好ましいことに、被覆部材3045aはトンネル状に配線3006を取り囲んでいる。被覆部材3045aは、被覆部材上部3045a1と絶縁層3045a2と被覆部材下部3045a3とを含む。ここでは図示しないが被覆部材3045bも同様の構造となっている。被覆部材の中に絶縁層が含まれることは必須ではないが、被覆部材をSOI基板から形成した場合、このように途中に絶縁層を含んだ構造になり得る。
本実施の形態では、図55に示したように、被覆部材は、一体構造のものではなく複数の異なる種類の材料の層の組合せとなっているが、被覆部材はこのような組合せによる構造であってもよい。あるいは、被覆部材は、1種類の材料から一体的に形成されたものであってもよい。
図52における振動部3004を単独で取り出したところを図56に示す。振動部3004はフレーム形状をしている。振動部3004は、中央の幹状部分から枝分かれする枝状部分を有する。枝状部分はそれぞれ区間3401,3402,3403,3404を含んでいる。振動部3004は幹状部分の両端にブロック状のアンカ上部3004a,3004bを含んでいる。
図54の中央部を拡大したところを図57に示す。配線3006は、基材3001に近い側から順に、Ti膜32、Pt膜33、Au膜34の3層構造となっている。振動付与電極3003は基材3001の表面に金属膜を成膜することによって形成してもよいが、図57に示すようにブロック状のものとして形成してもよい。ブロック状に形成した方が振動部3004の下面に接近させることができるので好ましい。振動付与電極3003は不純物をドープしたSiブロックによって形成してもよい。振動付与電極3003はその他の公知技術で形成される導電体のブロックであってもよい。図57に模式的に示すように、配線3006の一部の層は、振動付与電極3003の下面と基材3001の主表面3001uとの間に挟み込まれている。
外部接続端子3007に信号が入力されると、信号は配線3006を経由して振動付与電極3003に伝達される。すなわち、振動付与電極3003の電位が変動する。これによって、図57に示すように、振動部3004の下面3004wと、振動付与電極3003の上面3003uとの間に電位差が生じ、振動部3004の下面3004wと、振動付与電極3003の上面3003uとの間に吸引力または反発力が生じる。これによって振動部3004のうち振動付与電極3003に対向している部分が上下に往復運動する。この往復運動が振動部3004内で他の部分に伝わり、たとえば区間3401,3402,3403,3404においてはねじり振動となる。ねじり振動が生じるのは、区間3401,3402,3403,3404に限られるわけではない。また、振動部3004の平面的形状として、ここでは、長方形のフレームの中央を1本の直線状の部分が貫通したような形状(中の字形状、Φ字形状)の例を示したが、このような形状に限られるわけではない。振動部は、ねじり振動が生じ得る形状でありさえすれば、他の形状であってもよい。振動部は、図52に示したより複雑な形状であってもよい。
本実施の形態における共振器3101では、配線3006の上側を覆うように被覆部材3045a,3045bが設けられているので、配線の周囲の空間に生じる電気力線を被覆部材によってある程度遮ることができる。その結果、振動部が配線によって影響を受ける度合いを低減することができる。
振動部は通常、基板状の材料から不要な部分をエッチング除去することによって形成されるが、振動部の開口領域の中に被覆部材が設けられた構成の共振器の場合、振動部を形成するためのエッチングにおいて、除去すべき材料の体積を小さくすることができる。したがって、エッチングに要する時間を短縮することができる。また、除去すべき材料の体積が小さくなればエッチングによって生じる廃液の量を低減することができる。
また、振動部の開口領域の中に被覆部材が設けられた構成の共振器の場合、振動部を形成するためのエッチングでは、大きな開口領域を形成することは求められず、細い領域の除去のみで完結させることができるので、エッチング自体を安定させることができる。
本実施の形態では、外部接続端子を2ヶ所に対称に配置したが、必ずしも対称に配置しなければならないわけではない。また、1ヶ所に配置するだけであってもよい。ただし、振動部の中心軸に関して対称となるように配置しておいた方が、ねじり振動の環境をいずれの側でも等しくできるという点で好ましい。
なお、図54、図55に示すように、被覆部材3045a,3045bは振動部3004と同じ材質であって、被覆部材3045a,3045bの上面と振動部3004の上面とは同一平面上にあることが好ましい。このような構成となっていれば、被覆部材と振動部とを同一の基板から形成することができるからである。たとえば、SOI基板を用いてパターニングしたものを、基材3001の平坦な主表面3001uに貼り付けることによって、本実施の形態における共振器3101を得ることができる。この貼り付けは、たとえば陽極接合によって行なうことができる。図53において、アンカ下部3002a,3002bとアンカ上部3004a,3004bとの間に絶縁層3022が介在していることは、本発明において必須ではないが、SOI基板を加工して形成した場合、アンカ部は、このように絶縁層3022を含んだ構造となり得る。
なお、本実施の形態で示したように、被覆部材は、配線をトンネル状に覆う部材であることが好ましい。被覆部材が配線の上側を覆うのみで側方が開口した構造であったとしても一応の効果を奏することはできるが、図55に示した被覆部材3045aの例のように、配線3006をトンネル状に覆う部材であれば、配線3006から生じる電気力線をより確実に遮断することができるので好ましい。
(実施の形態10)
図58〜図60を参照して、本発明に基づく実施の形態10における共振器について説明する。本実施の形態における共振器の平面図を図58に示す。図58におけるVIII−VIII線に関する矢視断面図を図59に示す。図58におけるLX−LX線に関する矢視断面図を図60に示す。共振器3102は、基本的には実施の形態9で示した共振器3101と同様の構成を備えているが、共振器3101と比べたときいくつか異なる点がある。共振器3102は外壁部材3008を備える。外壁部材3008は振動部3004の外周を離隔しつつ取り囲むように配置されている。外壁部材3008は、振動部3004の形状に対応した開口部3008aを有している。この開口部3008aを塞ぐように封止部材3043が被せられている。図58では、封止部材3043を取り去ったところを示している。図58においては、封止部材3043の下面に設けられた凹部3043cを二点鎖線で示している。図59、図60に示すように、封止部材3043は凹部3043cを有しているので、振動部3004に対して接しない。封止部材3043はガラスからなるものであってもよい。
図52に示した共振器3101では、配線3006が中央部から互いに180°をなす2つの向きに延在し、外部接続端子3007a,3007bが2ヶ所に対称に設けられていたが、本実施の形態における共振器3102においては、配線3006は中央部から1つの向きに延在するのみである。配線3006の終端には外部接続端子3007が設けられているが、外部接続端子が設けられているのは1ヶ所のみである。振動部3004の中の2つの開口領域のうち配線3006が通過する1つには被覆部材3045aが配置されている。もう1つの開口領域には配線3006が通過していないが、代わりにダミー部材3046が配置されている。図60に示すようにダミー部材3046の中にはトンネル状の空間はない。ダミー部材3046は、被覆部材3045aと同じようにトンネル状の部分を有する構造のものであってもよい。
本実施の形態においても、実施の形態9と同様の作用効果を奏することができる。
本実施の形態では、配線3006が一方の側にしか延在していないが、実施の形態9のように2つの側にそれぞれ延在してもよい。外部接続端子を2ヶ所以上に設けてもよい。
配線が2つの側に向かって延在するときは、ダミー部材3046に代えて被覆部材3045aが配置されることとなる。
上から見たときに振動部3004の外形線が入江のように奥まった部分がいくつか存在する。本実施の形態では、そのように奥まった部分の各々においては、外壁部材3008の一部が侵入した形となっている。このように侵入する部分を「侵入部」と呼ぶものとする。図58に示した例では4ヶ所の侵入部3047が設けられている。侵入部3047は、振動部3004には当接しない。侵入部3047は、振動部3004からは離隔しつつ、振動部の平面形状の奥まった部分に入り込んでその空間の大部分を占めている。このような侵入部3047を設けることは必須ではないが、設けられていることが好ましい。侵入部3047は、図58に示したように外壁部材3008の続きとして一体的に設けられていてもよいが、外壁部材3008とは別に独立したブロックとして設けられていてもよい。
外壁部材3008は振動部3004と同一の基板からパターニングすることによって同時に形成することができる。このパターニングはエッチングによって行なわれる。ダミー部材や侵入部を設けることは、外壁部材および振動部を形成するためのエッチングによって除去すべき材料の体積を小さくすることにつながる。したがって、エッチングに要する時間を短縮することができる。また、これらの構成により、除去すべき材料の体積が小さくなれば、エッチングによって生じる廃液の量を低減することができる。
実施の形態9,10のいずれにおいても、配線を1つまたは2つの向きに延在させるだけでなく、3以上の向きに延在させることとしてもよい。外部接続端子を3箇所以上に設けてもよい。
(実施の形態11)
図61〜図65を参照して、本発明に基づく実施の形態11における共振器4101について説明する。この共振器4101は、平坦な上面を有する基材4001と、基材4001の上面4001uから離隔して基材4001の上面4001uに対向するように配置された振動部4004と、振動部4004の下面に対して電位差を生じさせることによって振動部4004の少なくとも一部にねじり振動を発生させることができるように、振動部4004の下面の一部に対して離隔しつつ対向して基材4001の上面4001uに配置された振動付与部4003と、振動付与部4003から、基材4001の上面4001uに沿うように振動部4004の下側を通過して、上から見て振動部4004の外側となる位置まで引き出されている配線4006とを備える。配線4006は、振動部4004のうち前記ねじり振動の際に節となる部位4012の下側において振動部4004と交差するように配置されている。振動部4004は外壁部材4008によって取り囲まれている。振動部4004の下側から外側に向けて基材4001の上面4001uに配置されている配線4006は外壁部材4008の1ヶ所をくぐるようにして外壁部材4008の外側に延在している。配線4006は基材4001の外縁にまで至っており、配線4006の終端には外部接続電極4007が配置されている。配線4006が外壁部材4008の下をくぐる部分では、外壁部材4008は基材4001との境目にトンネル4015を有しており、このトンネル4015内を配線4006が通っている。トンネル4015の出口では、隙間を塞ぐように窒化膜4009が形成されている。
外壁部材4008は外周部に切欠き部4010を有している。切欠き部4010においては基材4001の上面4001uが露出しており、外部接続電極4007は、切欠き部4010内に位置するように配置されている。したがって、外部接続電極4007への電気的接続は切欠き部4010を利用して行なうことができる。
図61におけるLXII−LXII線に関する矢視断面図を図62に示す。振動付与部4003の上面4003uは振動部4004の下面4004wに離隔しつつ対向している。アンカ部4002a,4002b、振動部4004、外壁部材4008は、Si層4021、SiO2層4022およびSi層4023の積層体を加工して形成されたものである。外壁部材4008の上側の開口部は封止部材4043によって塞がれている。すなわち、振動部4004の上側は封止部材4043によって離隔しつつ覆われている。封止部材4043の下面には凹部4043cが設けられているので、振動部4004がねじり振動した場合でも振動部4004は封止部材4043に衝突しないようになっている。
図61において2点鎖線で示された横長の長方形は、封止部材4043の裏面に設けられた凹部4043cの輪郭形状を示す。
図61におけるLXIII−LXIII線に関する矢視断面図を図63に示す。振動付与部4003は導電性をもたせられており、配線4006の一端が振動付与部4003に電気的に接続されている。この例では配線4006はTi膜4032、Pt膜4033およびAu膜4034の合計3層からなる積層構造となっている。ただし、ここで示す配線4006の詳細な構造は一例に過ぎない。配線4006は、3層構造とする代わりに他の数の積層構造であってもよいし、単層構造であってもよい。配線4006に含まれる金属膜の種類もここで説明した組合せに限らない。配線4006と振動付与部4003との接続位置においては、この例では振動付与部4003の下端は切欠きのない構造としたが、振動付与部4003の下端角部に配線4006の先端の一部を受け入れるための切欠きを適宜設けてもよい。図63では、配線4006の先端の一部が基材4001の中に沈み込んだように描かれているが、これは図面作成上の便宜によるものであって、実際には基材4001の上面4001uは平坦であってよく、配線4006の先端の一部が基材4001の中に沈み込む必要はない。配線4006の先端に延在するTi膜4032およびPt膜4033がきわめて薄く形成されていれば、基材4001の上面4001uと振動付与部4003の下面とのいずれにも切欠きが設けられていなくても基材4001の上面4001uと振動付与部4003の下面との間にTi膜4032およびPt膜4033を挟み込んで電気的接続を達成することができる。
図61における振動部4004を取り出したところを図64に示す。振動部4004には区間4401,4402,4403,4404が含まれている。振動付与部4003の作用によって振動部4004にねじり振動を生じさせたときには、区間4401,4402,4403,4404においてねじり振動が生じる。もっとも、これは、振動部4004の中でねじり振動が生じる部位が区間4401,4402,4403,4404に限られるという趣旨ではない。
図61におけるLXV−LXV線に関する矢視断面図を図65に示す。これは区間4401に相当する。図65に示すように、区間4401におけるねじり振動は、区間4013a,4013bが腹となり、部位4012が節となるように生じる。図65に示すように、配線4006は部位4012の真下を通るように配置されている。すなわち、配線4006は、振動部4004のうちねじり振動の際に節となる部位4012の下側において振動部4004と交差するように配置されている。
ここで説明した部位4012の位置はあくまで例示である。ここでは、節となる部位4012が区間4401の中間に1ヶ所だけある例を示したが、条件によっては、節となる部位4012が区間4401の中間以外の位置に存在することもありうる。また、区間4401がある程度長い場合、1つの区間の中に節となる部位が複数存在することもありうる。それらの場合においても、配線4006は、振動部4004のうちねじり振動の際に節となる部位の下側において振動部4004と交差するように配置されていればよい。
本実施の形態では、配線は、振動部のうちねじり振動の際に節となる部位の下側において振動部と交差するように配置されているので、たとえ配線に電位の変動が生じても、配線がねじり振動に与える影響を小さく抑えることができる。なぜなら振動部の節の部分は変位しにくいからである。こうして、共振器において、配線の電位変動に起因して振動部のねじり振動が妨げられる度合いを最小限に抑えることができる。
なお、本実施の形態では、説明をわかりやすくするために、振動部においてねじり振動が生じる区間を4つ示し、そのうちの1つにのみ配線が交差する構成を示したが、実際には、振動部4004の形状はこれより複雑であってもよい。ねじり振動が生じる区間の数は4つより多くても少なくてもよい。ねじり振動が生じたときに節となる部位が共振器内に複数存在し、これらの複数の部位においてそれぞれ配線が交差する構成となっていてもよい。
(製造方法)
図66〜図87を参照して、本実施の形態における共振器の製造方法について説明する。これらの図では、説明の便宜のために縦横比を誇張している。
この製造方法では、SOI基板とガラス基板との両方においてそれぞれいくつかの工程を行なったのちに両者を貼り合わせる工程を含む。
まずSOI基板側で行なう工程について説明する。
図66に示すようにSOI(Silicon on Insulator)基板4051を用意する。このSOI基板4051の場合、下から順にSi層4021、SiO2層4022、Si層4023が積層されており、表裏両面に酸化膜4020a,4020bが形成されている。酸化膜4020a,4020bはSiO2の膜である。まず、フッ酸(HF)によって表裏両面の酸化膜4020a,4020bを除去し、図67に示す状態に至る。表裏両面の酸化膜が元々形成されていない場合は、フッ酸によるこの工程は不要であり、図67の状態から開始する。
このSi層4021の一部は、のちにアンカ部および振動付与部となる予定のものである。
図68に示すようにSOI基板4051の下面にCr膜4024を形成する。このCr膜4024をパターニングして、図69に示すようにCrパターン4025を形成する。このCrパターン4025はアンカ部、振動付与部などの形状に対応している。
Crパターン4025を覆うようにレジストを塗布し、図70に示すように、レジスト層4026を設ける。フォトリソグラフィを行ない、レジスト層4026をパターニングする。その結果、図71に示すようにレジストパターン4027を得る。このレジストパターン4027をマスクとしてSi層4021に対して誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma)エッチング(以下「ICPエッチング」という。)を行なう。その結果、Si層4021は部分的に除去されて図72に示す構造に至る。図73に示すようにレジストパターン4027を除去する。Crパターン4025をマスクとしてSi層4021をさらにエッチングして図74に示す構造を得る。Si層4021のうちCrパターン4025に覆われていなかった部分は覆われていた部分に比べて除去が進行して低くなっている。Crパターン4025を除去し、図75に示す構造を得る。この構造体を硫酸過水およびフッ酸で洗浄する。なお、「硫酸過水」とは、硫酸と過酸化水素水を、硫酸と過酸化水素水との混合物である。
次に、共振器の基材4001となるべきガラス基板を用いた工程について説明する。
まず、図76に示すようにガラス基板4061を用意する。図76に示した状態ではガラス基板4061はガラス層4031からなる。図77に示すようにガラス基板4061の上面にTi膜4032を形成する。図78に示すようにガラス基板4061の上面にPt膜4033を形成する。図79に示すようにガラス基板4061の上面にAu膜4034を形成する。こうしてガラス基板4061の上面には3種類の金属膜の積層体が出来上がる。図80に示すように、この3種類の金属膜の積層体を、配線の形状となるようにパターニングする。
図75に示したSOI基板4051と図80に示したガラス基板4061とを陽極接合によって貼り合わせる。こうして図81に示す構造体を得る。
図82に示すように、上面にレジストを塗布し、レジスト層4041を形成する。レジスト層4041をパターニングし、図83に示すようにレジストパターン4042を形成する。この構造体の上面に対してレジストパターン4042をマスクとしてICPエッチングを行なう。その結果、Si層4023が部分的に除去されて図84に示す構造に至る。さらにレジストパターン4042を除去して図85に示す構造に至る。Si層4023のうち中央でアイランド状に分離された部分4023iはのちに振動部4004となる予定のものである。必要に応じてSi層4023の全面に対してICPエッチングを行ない、厚みを調整する。
フッ酸(HF)により、SiO2層4022を除去する。これにより、図86に示す構造を得ることができる。振動付与部4003においては、残っていたSiO2層4022の面積が狭かったためSiO2層4022は完全に除去され、振動付与部4003と振動部4004との間に間隙4011が形成されている。他の部分においては、SiO2層4022の面積が元々広かったため、各部分にあったSiO2層4022は外周部からいくらかは除去されて面積が縮小しているが完全に除去されるには至っていない。このように利用されるSiO2層4022は「犠牲層」とも呼ばれる。
図87に示すように、上側に封止部材4043を被せる。封止部材4043は他のガラス基板を用いて別途作製しておいてもよい。また、電子部品などの封止のために「LID」と称して市販されている蓋部材を封止部材4043として適宜利用してもよい。ただし、封止部材4043は、下面すなわちガラス層4031の側を向く面に凹部4043cを有することによって、振動部4004には直接当接しない構造となっている。
このような製造方法により、図61に示した共振器4101を得ることができる。図87まででは、説明の便宜のために、振動部4004の長手方向と配線4006の延在する方向とが平行であるように扱って表示していたが、実際には、配線4006は振動部4004の長手方向と平行になっているとは限らない。配線4006の配置に関しては図61がより正しい。図61では、図87までで作製したものと寸法比、細部構造などが異なっているかもしれないが、技術的思想は共通する。図61では封止部材4043を取り去った状態を示している。図61に示したように外壁部材4008を備えた構造を作製する場合は、SOI基板4051として面積が大きなものを用い、振動部4004、アンカ部4002a,4002b、振動付与部4003などと同様にパターニングすることによって外壁部材4008も作成することとすればよい。そのようにすればSOI基板と基材との貼合せによって、外壁部材4008を備えた構造を得ることができる。
図87における、Ti膜4032、Pt膜4033およびAu膜4034からなる積層体は、図61においては配線4006および外部接続電極4007として表示されている。
図61に示されている窒化膜4009は、所定の加工を済ませたSOI基板と基材としてのガラス基板とを貼り合わせる工程の後で、CVD(Chemical Vapor Deposition)により形成したものである。
(実施の形態12)
(構成)
図88〜図90を参照して、本発明に基づく実施の形態12における共振器4102について説明する。図88に示すように、本実施の形態における共振器4102は、基本的な構成は実施の形態11で説明した共振器4101と類似するが、配線の経路が異なる。図88におけるLXXXIX−LXXXIX線に関する矢視断面図を図89に示す。図88におけるXC−XC線に関する矢視断面図を図90に示す。すなわち、共振器4102は、振動部4004と基材4001とを接続するアンカ部4002bを備え、アンカ部4002bは基材4001に接する側にトンネル4015cを有する。さらに振動部4004の外側をを取り囲む外壁部材4008にはトンネル4015が設けられている。配線4006は、トンネル4015cおよびトンネル4015を通過して引き出されている。
本実施の形態では、配線4006はアンカ部4002bの下側をくぐって外側に引き出されるので、実施の形態11で図61などに示したように配線4006を配置する場合に比べて、配線4006が振動部4004に接近する区間を少なくすることができる。したがって、配線4006が振動部4004に与える影響を低減することができる。
ここでは、2つあるアンカ部4002a,4002bのうちの一方であるアンカ部4002bのみにトンネル4015cが設けられ、配線4006がこのトンネル4015cをくぐる構成の例を示したが、トンネルが設けられて配線が通されるアンカ部は、アンカ部4002bに限らず他方のアンカ部4002aであってもよい。アンカ部4002a,4002bの両方にトンネルが設けられて配線が通されていてもよい。また、1つのアンカ部に複数のトンネルが設けられていてもよい。アンカ部に設けられるトンネルは直線状のものに限らず、折れ曲がった形状のトンネルであってもよい。その場合、配線も同様に折れ曲がった形状であれば、問題なく組み合わせることができる。
図89、図90では、配線4006および外部接続電極4007は3層構造であるものとして図示したが、これはあくまで例示であって3層構造には限らない。配線4006および外部接続電極4007は3以外の数の層による積層構造であってもよい。
なお、実施の形態11,12のいずれにおいても、「アンカ部」は下部のみのブロックを指すものとして、アンカ部の上側に絶縁膜であるSiO2層4022を介して振動部4004が載っている構成を示して説明したが、アンカ部と振動部とを隔てる絶縁膜を無くし、アンカ部が振動部と一体的に形成された構成であってもよい。その場合、アンカ部は、振動部の続きであって基材に接続されたブロック状の部分を指すこととなる。そのようなアンカ部においてもトンネルを設けて実施の形態12で説明した構成を実現することができる。
また、Si層4021、SiO2層4022、Si層4023の合計3層の積層体に基づいて構成されたブロック状の部分全体を「アンカ部」と呼ぶこととしてもよい。この場合も、振動部はアンカ部によって基材の上面から離隔するように支持されているということができる。
(実施の形態13)
図91〜図95を参照して、本発明に基づく実施の形態13における共振器4103について説明する。図91は、本実施の形態における共振器4103の平面図である。振動部4004とアンカ部4002a,4002bとが一体物として形成されている。ここでは振動部4004を取り囲む外壁部材、封止部材を図示していないが、実際には、外周を取り囲む外壁部材、上側を塞ぐ封止部材があってもよい。振動部4004は基材4001から離隔するように配置されており、振動部4004の両端はアンカ部4002a,4002bとなっている。アンカ部4002a,4002bは、基材4001の表面に固定されている。この共振器4103は、図92に示すように基材4001の表面に電極パターンを形成したものと、図93に示すような形状に形成したSiブロックとを静電接合によって貼り合わせたものである。図92に示すように、基材4001の表面の電極パターンは4ヶ所の外部接続電極4007a,4007b,4007c,4007dと1ヶ所の振動付与電極4030とを含んでおり、これらは配線4006によってH字形に接続されている。配線4006には区間4601,4602,4603,4604が含まれる。区間4601〜4604はいずれも同じ長さであり、互いに平行に配置されている。
すなわち、共振器4103においては、配線4006は、互いに平行な線状部分としての区間4601〜4604を対称に含む少なくとも1対の平行線部を含み、振動部4004は上から見て対称な形状を有し、前記平行線部の対称軸と前記振動部の対称軸とが一致している。図91に示した例では、配線4006のうちの区間4601,4602を1対の平行線部とみなしたときの対称軸と、配線4006のうちの区間4603,4604を1対の平行線部とみなしたときの対称軸と、振動部4004の対称軸とがいずれも対称軸4081であって一致している。
図91におけるXCIV−XCIV線に関する矢視断面図を図94に示す。配線4006は振動部4004のうちねじり振動の際に節となる部位4012a,4012bの真下を通るように配置されている。図91におけるXCV−XCV線に関する矢視断面図を図95に示す。配線4006はアンカ部4002bに設けられたトンネル4015c,4015dの中をくぐるように配置されている。
本実施の形態では、配線4006は振動部のうちねじり振動の際に節となる部位4012a,4012bの真下を通るように配置されているので、配線4006がねじり振動に与える影響を低減することができる。さらに、振動部4004が対称形状であるだけでなく配線4006も振動部4004の対称軸と同一の対称軸を中心として対称に展開しているので、配線4006が振動部4004のねじり振動にたとえ何らかの影響を及ぼすとしてもその影響は対称に現れることとなり相殺させることができる。その結果、配線4006の電位の変動が振動部4004のねじり振動に及ぼす影響をきわめて小さく抑えることができる。
本実施の形態における共振器4103としては、アンカ部4002a,4002bと振動部4004とが一体物として形成された例を示したが、実施の形態11,12に示した共振器4101,4102のようにアンカ部4002a,4002bと振動部4004とが別体であってもよい。すなわち、SOI基板に含まれる2つのSi層がそれぞれ加工されてアンカ部4002a,4002bと振動部4004とになったものであってもよく、別々に形成されてから互いに接合されたものであってもよい。そのような構成であっても、本実施の形態で説明した振動体と配線との位置関係に関する考え方は同様に適用できる。
なお、上記各実施の形態では、振動部は、1本の直線が長方形の中央を貫通したような形状である例を示したが、振動部は異なる形状であってもよい。
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
本発明は、共振器に適用することができる。
1 基板、2,2h,2i,2j,2k 振動部、2ja,2jb 部分、2v 振動入力領域、3 振動付与電極、4,4h,4i 電極パターン、5 電極ブロック部、5a 切欠き部、6,60 間隙、7 引出配線、8 外部接続端子、9 外壁部、10 基材、10u (基材の)上面、11 切欠き部、13a,13b,14a,14b,15a,15b,16a,16b アンカ部、15a1,15b1 アンカ下部層、15a2,15b2 アンカ上部層、19 絶縁層、21 Si層、22 SiO2層、23 Si層、31 トンネル、32 梁状部分、34 窒化膜、35 キャップ、41 Ti膜、42 Pt膜、43 Au膜、51 SOI基板、101,105,111,112,113 共振器、200,201,202,203,204 枝部、2009,2009h,2009i 接続端、3001 基材、3001u (基材の)主表面、3002a,3002b アンカ下部、3003 振動付与電極、3003u (振動付与電極の)上面、3004 振動部、3004a,3004b アンカ上部、3004w (振動部の)下面、3006 配線、3007,3007a,3007b 外部接続端子、3008 外壁部材、3008a 開口部、3009 窒化膜、3010 切欠き部、3015 トンネル、3022 絶縁層、3043 封止部材、3043c (封止部材の)凹部、3045a,3045b 被覆部材、3045a1 被覆部材上部、3045a2 絶縁層、3045a3 被覆部材下部、3046 ダミー部材、3047 侵入部、3101,3102 共振器、3401,3402,3403,3404 (振動部における)区間、4001 基材、4001u (基材の)上面、4002a,4002b アンカ部、4003 振動付与部、4003u (振動付与部の)上面、4004 振動部、4004w (振動部の)下面、4006 配線、4007,4007a,4007b,4007c,4007d 外部接続電極、4008 外壁部材、4009 窒化膜、4010 切欠き部、4011,4060 間隙、4012,4012a,4012b (ねじり振動の際に節となる)部位、4013a,4013b (ねじり振動の際に腹となる)区間、4015,4015c,4015d トンネル、4020a,4020b 酸化膜、4021,4023 Si層、4022 SiO2層、4023i 部分、4024 Cr膜、4025 Crパターン、4026,4041 レジスト層、4027 レジストパターン、4030 振動付与電極、4031 ガラス層、4032 Ti膜、4033 Pt膜、4034 Au膜、4042 レジストパターン、4043 封止部材、4043c (封止部材の)凹部、4051 SOI基板、4061 ガラス基板、4081 対称軸、4101,4102,4103 共振器、4401,4402,4403,4404 (振動部における)区間、4601,4602,4603,4604 (配線における)区間。

Claims (9)

  1. 平坦な上面を有する基材(10)と
    記基材の上面から離隔するようにして前記基材に相対的に固定され、側方に延在する振動部と
    前記基材の上面に形成され、一部が前記振動部の下側を通過する電極パターン(4)と、
    前記振動部にねじり振動を発生させるために、前記基材の上面に固定され、平坦な上面を有し、前記電極パターンと電気的に接続されている電極ブロック部(5)とを備え
    前記電極ブロック部の上面は、前記振動部から離隔しつつ、前記基材の上面から前記振動部の下面に対して間隙を介して近接する位置までせり上がることによって、前記電極パターンが前記振動部の下側を通過する領域における前記電極パターンの上面よりも高くなっている、共振器。
  2. 前記電極ブロック部は、前記振動部から離隔しつつ、前記振動部に対して下側から対向している、請求項1に記載の共振器。
  3. 前記電極ブロック部は、前記振動部から離隔しつつ、前記振動部のうちねじれ振動を発生しない部位に対して下側から対向している、請求項1に記載の共振器。
  4. 前記電極ブロック部は、陽極接合によって前記基材に接合されている、請求項1から3のいずれかに記載の共振器。
  5. 前記電極パターンは複数の層が積層されることによって構成されており、
    前記電極ブロック部の下端は略平面であるか、または、前記電極パターンのうち前記複数の層のうちの少なくとも1層を受け入れるための接続用切欠き(5a)を有し、請求項1に記載の共振器。
  6. 電極パターンから離隔して前記電極パターンの上側を覆うように前記主表面に配置された被覆部材(3045a,3045b)とを備える、請求項1から5のいずれかに記載の共振器。
  7. 前記電極パターンは、前記振動部のうち前記ねじり振動の際に節となる部位(4012)の下側において前記振動部と交差するように配置されている、請求項1から5のいずれかに記載の共振器。
  8. 前記振動部と前記基材とを接続するアンカ部(4002b)を備え、前記アンカ部は前記基材に接する側にトンネル(4015c)を有し、前記電極パターンは、前記トンネルを通過して引き出されている、請求項7に記載の共振器。
  9. 前記電極パターンは、互いに平行な線状部分を対称に含む少なくとも1対の平行線部を含み、前記振動部は上から見て対称な形状を有し、前記平行線部の対称軸と前記振動部の対称軸とが一致している、請求項7または8に記載の共振器。
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