JP5452141B2 - 成膜方法および成膜装置 - Google Patents
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Description
従来、図3に示すように、ハステロイ(登録商標)テープなどの金属基材32の上にイットリア安定化ジルコニア(YSZ)などの多結晶中間薄膜33を形成した帯状の基材34を用い、その多結晶中間薄膜33上にY1Ba2Cu3Ox系の酸化物超電導体の薄膜31を成膜する試みが行なわれている。
酸化物超電導体の薄膜を成膜するため、レーザー蒸着法による薄膜の形成方法が採用されている(例えば特許文献1参照)。
レーザー光La、Lb、Lcによりターゲット57から叩き出され若しくは蒸発されたターゲット57の構成粒子はプルーム58となり、基材60のターゲット57に対向する部分61に堆積して薄膜が形成される。また、ターゲット57に対して複数レーンの基材60が対向しているので、一度に蒸着される面積を広く取ることができ、プルーム58内の構成粒子を有効に利用することができる。
また、特許文献2には、長尺基材を囲んで保温する開口付きヒータボックスと、該ヒータボックスの開口に隣接して設けられたターゲットホルダと、該ターゲットホルダに保持されるターゲットにレーザー光を照射するレーザー光発光手段とを備え、前記レーザー光を前記ターゲットの表面に照射し、該ターゲットから叩き出され若しくは蒸発した蒸着粒子を前記ヒータボックス内の長尺基材表面に堆積させることを特徴とする薄膜形成装置が記載されている。
また、上述したように、基台54に内蔵したヒーターによる接触加熱では基材60の表面温度に幅方向の温度分布が生じやすいので、各レーンの温度ばらつきがあると、一部のレーンに成膜不良が生じるおそれがある。
このため、レーンの数あるいは基材の幅を増やすことが難しいという問題があった。
前記転向部材は、前記帯状の基材の幅に応じた軸方向の長さを有することが好ましい。
前記加熱ボックスは、前記構成粒子の堆積領域と、その領域に位置する転向部材と、その転向部材に巻回された基材とを囲むように設けられていることが好ましい。
前記ターゲットに対向する前記基材の表面温度を、±2.5℃の範囲に制御することが好ましい。
前記成膜装置は、酸化物超電導膜の成膜用であることが好ましい。
さらに、本発明において酸化物超電導膜を成膜する場合には、裏面からの加熱に比べ、中間層と超電導層の界面反応を抑制することができる。また、加熱ボックスを設けることにより、基材の温度を安定して保つことができるので、均一で安定した特性の超電導層を成膜することが可能となる。
加えて本発明の成膜方法は、前記基材の表面上に薄膜を形成し、さらに前記加熱ボックスの外部の転向部材を経由し前記基材の表面温度を低下させた後に、再度前記加熱ボックスの内部において前記基材の表面上に薄膜を形成する。成膜領域を通過する際の基材の表面温度は、成膜に適した温度となっているが、成膜後も高温で加熱を続けると、基材と膜との界面反応が進行してしまい、結果的に特性の低い膜となってしまう虞がある。本発明によれば、成膜時の加熱および成膜後の冷却を繰り返すことにより、界面反応を防ぎながら成膜できる。
図1に、本発明の成膜装置の一形態例を示し、図2に、本形態例の成膜装置を用いた成膜方法を示す。
本実施形態の成膜装置1は、レーザー光Lによってターゲット6から叩き出され若しくは蒸発した構成粒子の噴流(プルーム7)を帯状の基材34上に堆積させ、この構成粒子による薄膜を基材34上に形成する、レーザー蒸着法による成膜装置である。
転向部材11a〜11gは、円柱状もしくは円板状、半円柱状もしくは半円板状、楕円柱状もしくは楕円板状など、基材の移動方向を滑らかに転向させる湾曲した側面(湾曲面)を有するものが好ましい。これにより、転向部材によって移動方向が転向した状態にある基材34は、ターゲット6に対向する部分35において、ターゲット6に向かって凸の形状に湾曲するようになる。なお、「円柱状もしくは円板状」等は、転向部材の径と軸方向の長さとの比を特に限定しない趣旨である。
転向部材11a〜11gは、搬送される基材34とともに回転する構成でも良く、転向部材11a〜11gは動かずに、その側面上で基材34が滑っている構成でも良い。転向部材11a〜11gを回転させる場合には、基材34の移動速度に合わせて転向部材11a〜11gを回転させる駆動手段(図示せず)を設けても良い。
図1に示す場合、基材34は、二つの転向部材群11、14間を周回するように配置され、転向部材において基材34の移動方向が変更される転向角度(基材34が当該転向部材に接し始めたときの移動方向と、基材34が当該転向部材から離れ始めるときの移動方向との角度差に相当する角度)は、180°である。この例において、転向部材群11側の転向部材の径を転向部材群14側の転向部材の径より大きくして、転向部材群11における基材34の転向角度が180°を超えるようにしたり、転向部材群11側の転向部材の径を転向部材群14側の転向部材の径より小さくして、転向部材群11における基材34の転向角度が180°未満となるようにしても構わない。
また、三つまたは四つの転向部材群を三角形状または四角形状に配置して、転向角度が120°程度または90°程度とすることもできる。転向角度は、90〜180°が好ましいが、特にこの範囲に限定されるものではない。
また、基材を複数列とする代わりに、図6に示すように、基材34の幅を広くすることもできる。この場合は、ターゲット6に対向して複数の転向部材からなる転向部材群を配する代わりに、基材34の幅に応じた軸方向の長さを有する一つの転向部材11を用いることができる。
さらに、送出リール12と巻取リール13の役割を入れ替え可能にして、リールに巻き取った基材34を再度ターゲットに対向する位置に送出できるように構成した場合、基材34の一端側のリールと、基材34の他端側のリールとの間で、基材34の往復動作を繰り返すことにより、厚い膜を成膜することが可能である。
基材34の移動方向を転向させる転向部材群11、14、送出リール12および巻取リール13は処理容器2内に収容され、処理容器2内が所定の圧力に減圧されている間は、基材34の長手方向の全体が、処理容器2内の減圧下に置かれるようになっている。
加熱ボックス20は箱状であり、図1の場合、紙面の手前側および奥側にも壁面(図示せず)を有する。加熱ボックス20は、直方体状や、両底面にも壁面を有する円筒状など、適宜の形状を有するものが使用可能である。加熱ボックス20を構成するものとしては、例えば金属製のフレームと断熱材とを組み合わせた構造のものを挙げることができるが、加熱ボックス20中の温度を安定に保つことができるものであれば特に限定されない。
ヒーター25は、例えば通電式の加熱ヒーターが挙げられる。
これらのヒーター25は、加熱ボックス20の内部を均等加熱して、加熱ボックス20内の温度を安定に保ち、加熱ボックス20内の基材34を所定の温度に保持するようになっている。これにより、基材34を高速に搬送しても、基材34を十分に加熱することができるので、成膜される材料等のため、より狭い温度範囲内に制御することが必要な場合でも、安定した温度制御が可能になる。したがって、膜い厚や特性が均一な膜を良好な生産性で成膜することができる。
本発明に係る成膜装置および成膜方法によれば、成膜される基材34表面(ターゲット6の構成粒子の堆積領域であるターゲット6に対向する部分35)の温度のバラツキを5度以内に制御して成膜することが好ましく、加熱ボックス20を設けたことにより、このように安定した温度制御か可能となるので、安定した特性の薄膜および厚い膜を成膜することができる。なお、本明細書および特許請求の範囲における「温度のバラツキを5度以内に制御する」とは、所望の温度に対して±2.5度以内の範囲に温度を制御することを意味する。
レーザー光発光手段5は、レーザー光Lの照射位置を振幅させる手段(不図示)として、ミラーやプリズム、光ファイバ等を用い、レーザー光発光手段5からのレーザー光Lの出射方向を変更可能とした構成が挙げられる。なお、「ターゲット6にレーザー光Lを照射する位置」とは、プルーム7の発生する位置を基材34の幅方向に振幅移動させるため、基材34を基準とした相対位置を意味する。
また、ターゲット6の表面がなるべく全面にわたって消費されるように、ターゲット6の表面におけるレーザー光Lの照射位置を連続的に移動させることが好ましい。そのため、ターゲット6を保持する手段(図示せず)が、レーザー光Lに対してターゲット6を任意の方向に並進または回転させる機構を備えることが好ましい。例えば、レーザー光発光手段5によるレーザー光Lの照射位置が基材34の幅方向に振幅移動するのに対して、例えば交互に、ターゲット6が基材34の長手方向に振幅移動することによって、ターゲット6の表面が局所的に消費されることを防ぎ、ターゲットの寿命を延ばすことができる。
なお、レーザー光発光手段5の振幅および入射角度θを調整する機構の他例として、レーザー光発光手段5に、上下又は左右に首振りするためのギアやモーターを備えた旋回機構や駆動機構も例示することができる。
転向部材11a〜11gがその半径方向の内側と外側で、異なる材質から構成される場合は、基材34に接触する外側の部分だけでも、基材34の温度を維持するのに十分な熱容量を有することが好ましい。
成膜条件にも耐える耐熱性を有し、転向部材11a〜11gの構成に適する材料としては、例えばインコネル(INCONEL(登録商標))が挙げられる。
本発明の成膜方法は、レーザー光Lによってターゲット6から叩き出され若しくは蒸発した構成粒子を帯状の基材34の表面上に堆積させ、基材34の表面上に薄膜を形成する成膜方法であって、基材34の移動方向を転向させる転向部材11を囲んで加熱ボックス20を設けるとともに、転向部材11に接した状態にある基材34の表面に対向するようにターゲット6を配し、転向部材11に基材34の裏面が接しつつ、基材34を長手方向に移動させた状態で、加熱ボックス20の中を均等加熱するヒーター25により、基材34を加熱し、ターゲット6にレーザー光Lを照射する位置を、34基材の幅方向と同じ方向(図2の矢印R方向)に振幅させ、基材34を構成粒子の堆積領域内を通過させることにより、基材34の表面上に構成粒子を堆積させて、基材34の表面上に薄膜を形成することを特徴とする。
ハステロイからなる基材32上にGd2Zr2O7 (GZO)からなる多結晶中間薄膜33が形成された基材34(薄膜積層体)を、多結晶中間薄膜33側がターゲット6側になるように転向部材11a〜11gに巻回する。また、酸化物超電導体のターゲットとしてY1Ba2Cu3Oxからなる長方形状のターゲット6をセットする。
次いで、送出リール12、転向部材群11及び巻取リール13を同時に駆動し、基材34を送出リール12から巻取リール13に向けて所定の速度にて移動させる。同時に、ヒーター25を作動させて、加熱ボックス20内を均等加熱して加熱ボックス20内を一定温度に保温しつつ、加熱ボックス20内の基材34を加熱し、基材34の表面温度を所望の温度に制御・保持する。この場合、薄膜が形成される基材34表面の温度のバラツキを5度以内に制御することにより、均一な特性の薄膜を形成することができるので好ましい。加熱ボックス20内の基材34表面の温度制御は、加熱ボックス20内の適所に複数の温度センサを設置しておき、加熱ボックス20内の基材34表面の温度が均一になるように複数のヒーター25を個別にON/OFF制御すること等によって行うことが好ましい。
さらに、図2に示すように、レーザー光Lがターゲット6の表面に照射する位置を、基材34の幅方向と同じ方向(矢印R方向)に振幅させる。これにより幅方向において構成粒子の濃度を均一にすることができる。この時、レーザー光Lをターゲット6の表面に対して照射する入射角度θを調整する手段(不図示)により、レーザー光Lの入射角度θを所望の角度に設定して照射することもできる。これにより、構成粒子を均一な状態・濃度で基材34表面に堆積させることができるため、高特性膜を成膜することが可能となる。
ここでは、基材34が転向部材郡11を周回する間に、基材34の表面上に酸化物超電導体からなる薄膜が成膜される。これにより、基材34の表面上には、幅方向において膜厚や特性が均一となされた酸化物超電導体薄膜31が成膜される。
本発明の成膜方法によれば、基材の表面上に薄膜を形成する際の成膜レートを0.13μm/cm2・s以下とすることにより、膜厚や特性分布が均一な薄膜を、長時間に亘って安定して形成することが可能となる。したがって、本発明によれば、高特性膜を優れた生産性で成膜することが可能となる。
なお、図5においては、水平に設置したターゲット6の上方に転向部材群11があり、ターゲット6と転向部材群11の側方からレーザー光Lを照射する例を示したが、転向部材群11、ターゲット6、レーザー光発光手段5の上下関係は逆でもよく、転向部材群11は水平配置でなくとも縦型配置でもよい。
酸化物超電導膜を成膜する場合のターゲット6は、形成しようとする超電導膜31と同等または近似した組成、あるいは、成膜中に逃避しやすい成分を多く含有させた複合酸化物の焼結体あるいは酸化物超電導体などの板材を用いることができる。酸化物超電導体としては、Y1Ba2Cu3Oxに代表されるRE123系の酸化物超電導体が挙げられる。酸化物超電導膜は、臨界温度が90K以上のものが好ましい。酸化物超電導膜の厚みは、例えば1〜8μmとすることができる。
また、基材34としては、金属基材32の上に、イオンビームアシストデポジション(IBAD)法などによって、1層又は2層以上の多結晶中間薄膜33を形成したものが好ましい。多結晶中間薄膜33の材質としては、Gd2Zr2O7(GZO)、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、酸化マグネシウム(MgO)などが挙げられる。なかでも、立方晶系の結晶構造を有する結晶の集合した微細な結晶粒が多数相互に結晶粒界を介して接合一体化されているものが好ましい。多結晶中間薄膜33の厚さは、例えば1μm程度とされる。多結晶中間薄膜33において、各結晶粒の結晶軸のc軸は基材34の表面(成膜面)に対してほぼ垂直に向けられ、各結晶粒の結晶軸のa軸同士およびb軸同士は、互いに同一方向に向けて面内配向されていると、酸化物超電導膜をエピタキシャル成長させて結晶配向性に優れた薄膜を得ることができるので、好ましい。
また、本発明の成膜方法および成膜装置は、IBAD中間薄膜上に積層されるCeO2中間層の成膜や、そのCeO2中間層の上に積層される酸化物超電導膜の成膜などにも、好適に用いることができる。
実施例では、図1および図2に示す本発明の成膜装置を用い、比較例では、図4に示す成膜装置を用いて、帯状の基材上にY−Ba−Cu−O系の酸化物超電導膜(超電導層)を成膜した。
基材としては、実施例と比較例のいずれも共通に、幅10mm、厚さ0.1mmのハステロイ(登録商標)テープ上に、IBAD法により、Gd2Zr2O7(GZO)からなる厚さ1μmの多結晶中間薄膜(中間層)を形成したものを用いた。
また、実施例1〜3および比較例6〜8について、超電導層の膜厚と臨界電流Icとの関係をプロットした結果を図7に示す。
一方、実施例では膜厚を大きくしてもその超電導特性は低下せず、実施例3では臨界電流Icが820A、臨界電流密度Jcが2.0MA/cm2、実施例8では臨界電流Icが980A、臨界電流密度Jcが2.4MA/cm2の試料が得られた。実施例の成膜装置では、成膜温度(加熱ボックス内部の温度)を800℃とし、加熱ボックスの外部では基材の温度を最も温度の低い部分で約200度まで低下させて、成膜時の加熱と成膜後の冷却を繰り返して積層を行ったことにより、中間層と超電導層との界面反応を抑制しながら膜厚を大きくすることを行った。その結果、実施例8では膜厚4.1μmで、臨界電流密度Jcが2.4MA/cm2、臨界電流Icが980Aの線材作製に成功した。
図1に示すような本発明の成膜装置を用い、レーザー光の照射をターゲット表面に対する入射角度を変化させて、帯状の基材(テープ幅10mm)上にY−Ba−Cu−O系の酸化物超電導体薄膜を形成した。なお、基材として、上記実施例1〜8と同じ構成のものを用いた。
形成した酸化物超電導体薄膜について、レーザー入射角度、レーザー光のスポットサイズ、膜厚、臨界電流(Ic)、臨界電流密度(Jc)を表2に示す。なお、レーン数:7、スキャン幅:75mm、基材の搬送速度(作製速度):20m/h、レーザー出力:180W(1パルスエネルギー約400mJ)として、成膜を行った。
以上により、本発明の成膜方法及び成膜装置を用いることにより、高特性の薄膜を形成することが可能となる。また、帯状で広幅の基材を用いることにより、構成粒子の収率を著しく向上させることもできる。その結果、優れた特性の薄膜を良好な生産性で成膜することが可能となる。
図1に示すような本発明の成膜装置を用い、蒸着エリアにおける単位時間、単位面積当たりの成膜レート(μ/cm2・s)を変化させて、帯状の基材(テープ幅10mm)上にY−Ba−Cu−O系の酸化物超電導体薄膜を形成した。なお、基材として、上記実施例1〜8と同じ構成のものを用いた。
形成した酸化物超電導体薄膜について、レーザー出力、レーザー走査、成膜レート、膜厚、臨界電流(Ic)、臨界電流密度(Jc)を表3に示す。ここで、表3におけるレーザー走査としては、1倍エリアは4cm2を示す。なお、レーン数:7、基材の搬送速度(作製速度):20m/h、レーザーの1パルスエネルギー:約400mJとして、成膜を行った。また、比較例10、11として、図4に示すような成膜装置を用い、レーザー走査を行わない例を示した。
上述した実施例では、酸化物超電導体薄膜を形成する場合について、本発明の成膜方法及び成膜装置を適用した例を詳述したが、例えば、IBAD中間薄膜上にCeO2 中間層を形成し、次いで酸化物超電導体薄膜を形成する場合においては、本発明の成膜方法及び成膜装置をCeO2 中間層の形成にも使用することが可能である。
Claims (6)
- レーザー光を照射してターゲットから叩き出され若しくは蒸発した構成粒子を帯状の基材の表面上に堆積させ、前記基材の表面上に薄膜を形成する成膜方法であって、
ヒーターにより内部を加熱可能であり前記基材を通過させる穴を有する加熱ボックスと、前記加熱ボックスの外部に配置され前記基材が巻回されその移動方向を転向させる転向部材と、前記加熱ボックスの内部に配置され前記基材が巻回されその移動方向を転向させる転向部材を同軸状に配列した一群の転向部材群と、前記加熱ボックス内部の転向部材群の基材が接する部分に対向して配置されたターゲットと、を設け、
前記基材を前記加熱ボックスの穴に通過させ、前記加熱ボックスの外部の転向部材と前記加熱ボックスの内部の転向部材群に交互に前記基材を複数回巻回し、
前記加熱ボックスの内部の転向部材群に前記基材の裏面を接触させつつ、前記基材を長手方向に移動させた状態で、前記ヒーターにより、前記基材を加熱し、前記ターゲットに前記レーザー光を照射する位置を、前記基材の幅方向と同じ方向に振幅させ、前記基材を前記構成粒子の堆積領域内を通過させることにより、前記基材の表面上に前記構成粒子を堆積させて、前記基材の表面上に薄膜を形成し、
さらに、外部の転向部材により前記基材を前記加熱ボックスの外部に案内し前記基材の表面温度を低下させた後に、内部の転向部材により前記基材を前記加熱ボックスの内部に案内し再度前記基材の表面上に薄膜を形成することを特徴とする成膜方法。 - 前記構成粒子の堆積領域内を通過する前記基材の表面温度を、±2.5℃の範囲に制御することを特徴とする請求項1に記載の成膜方法。
- レーザー光を照射してターゲットから叩き出され若しくは蒸発した構成粒子を帯状の基材の表面上に堆積させ、前記基材の表面上に薄膜を形成する成膜装置であって、
ヒーターにより内部を加熱可能であり前記基材を通過させる穴を有する加熱ボックスと、
前記加熱ボックスの外部に配置され前記基材が巻回されその移動方向を転向させる転向部材と、
前記加熱ボックスの内部に配置され前記基材が巻回されその移動方向を転向させる転向部材を同軸状に配列した一群の転向部材群と、
前記加熱ボックス内部の転向部材群の基材が接する部分に対向して配置されたターゲットと、
前記転向部材によって移動方向が転向した状態にある基材を、その長手方向に搬送する搬送手段と、
前記加熱ボックス内部の転向部材群の基材が接する部分に対向して配置されたターゲットと、
前記ターゲットにレーザー光を照射するレーザー光発光手段と、
を少なくとも備え、
前記レーザー光発光手段は、前記ターゲットに前記レーザー光を照射する位置を、前記基材の幅方向と同じ方向に振幅させるものであり、
前記基材が、前記加熱ボックスの穴を通過し前記内外の転向部材により前記加熱ボックスの内部と外部を複数回往復するように構成されていることを特徴とする成膜装置。 - 前記ヒーターにより前記加熱ボックス中の温度を制御して、前記ターゲットに対向する前記基材の表面温度を、±2.5℃の範囲とすることを特徴とする請求項3に記載の成膜装置。
- 前記ヒーターが、前記加熱ボックスに配されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の成膜装置。
- 酸化物超電導膜の成膜用であることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の成膜装置。
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