JP3874965B2 - 薄膜の形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光をターゲットに照射してターゲットの構成粒子を叩き出し若しくは蒸発させ、長尺の基材上に該構成粒子を連続的に長時間堆積させることにより酸化物超電導体等の薄膜を形成する薄膜の形成方法や、バッチ処理により薄膜を形成する方法であって、レーザ光をターゲットに照射してターゲットの構成粒子を叩き出し若しくは蒸発させ、基材上に該構成粒子を堆積させることによりデバイス用薄膜等の薄膜を形成する薄膜の形成方法に係わり、ターゲットの寿命を延ばすことができ、長時間成膜しても高特性の薄膜を均一に形成できる薄膜の形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
酸化物超電導体を導電体として使用するためには、テープ状などの長尺の基材上に、結晶配向性の良好な酸化物超電導体の薄膜を形成する必要があるが、一般には、金属テープ自体が多結晶体でその結晶構造も酸化物超電導体と大きく異なるために、結晶配向性の良好な酸化物超電導体の薄膜を形成させることはできなかった。
そこで本発明者らは、ハステロイテープなどの金属テープからなる基材1の上に結晶配向性に優れたイットリウム安定化ジルコニア(YSZ)などの多結晶中間薄膜を形成し、この多結晶中間薄膜上に、酸化物超電導体の中でも臨界温度が約90Kであり、液体窒素(77K)中で用いることができる安定性に優れたY1Ba2Cu3x系の酸化物超電導体の薄膜を形成することで超電導特性の優れた酸化物超電導導体を製造する試みが行なわれており、本発明者らは先に、特願平3ー126836号、特願平3ー126837号、特願平3ー205551号、特願平4ー13443号、特願平4ー293464号などにおいて特許出願を行なっている。
【0003】
これらの特許出願に記載された技術おいては、Y1Ba2Cu3x系の酸化物超電導体の薄膜を形成させるために、レーザ蒸着法による薄膜の形成方法が採用されている。
図11は、従来のレーザ蒸着法により酸化物超電導体の薄膜を形成するためのレーザ蒸着装置の一例を示す。
この例のレーザ蒸着装置11は、処理容器12を有し、この処理容器12の内部の蒸着処理室13に、薄膜積層体14と、ターゲット15とを設置できるようになっている。即ち、蒸着処理室13の底部には基台16が設けられ、この基台16の上面に基材上に多結晶中間薄膜を形成してなる薄膜積層体14を設置できるようになっているとともに、基台16の斜め上方に支持ホルダ17によって支持された酸化物超電導体のターゲット15が設けられている。
また、図中符号18は薄膜積層体14の送出装置、19は薄膜積層体14の巻取装置を示す。
【0004】
また、処理容器12は、排気孔20を介して真空排気装置21に接続されて蒸着処理室13を所定の圧力に減圧できるようになっている。
ターゲット15としては、成膜しようとする酸化物超電導体の組成と同等か近似する組成のものであって、酸化物超電導体の焼結体等が用いられている。また、ターゲット15の形状としては、図12に示すような円形状のものが用いられていた。ターゲット15は、後述するレーザ光30が所定の角度で照射されて、このレーザ光30によって叩き出されるターゲット15の構成粒子が薄膜積層体14上に均一に堆積できるように所定の角度で傾斜した状態で設けられている。
基台16は加熱ヒータを内蔵したもので、薄膜積層体14を必要に応じて加熱できるようになっている。
支持ホルダ17には、モータ等の駆動源(図示略)と接続されている。この支持ホルダ17は、上記駆動源の作動により回転し、これに伴って該支持ホルダ17に支持されたターゲット15も中心軸Oを中心に回転するようになっている。
一方、処理容器12の側方には、レーザ発光装置22と第1反射鏡23と集光レンズ24と第2反射鏡25とが設けられ、レーザ発光装置22が発生させた
レーザ光30を処理容器12の側壁に取り付けられた透明窓26を介してターゲット15に集光照射できるようになっている。レーザ光30としては、Ar−F(193nm)、Kr−F(248nm)などのエキシマレーザ等が主に用いられている。
【0005】
上述のような構成のレーザ蒸着装置11を用いて薄膜積層体14上にY1Ba2Cu3Xの酸化物超電導体の薄膜を成膜するには、薄膜積層体14をこの多結晶中間薄膜側を上にして基台16上に設置し、酸化物超電導体のターゲット15としてY1Ba2Cu3Xのターゲットを設置し、蒸着処理室13を真空排気装置21で減圧する。ついで、送出装置18から薄膜積層体14を送り出し、一方、上記駆動源を作動させてターゲット15を中心軸Oを中心に回転させながら該ターゲット15の表面にエキシマレーザ等のレーザ光30を照射することにより、レーザ光30の照射位置をターゲット15の表面上で移動させることで走査しながら、ターゲットの構成粒子を叩き出し若しくは蒸発させて、多結晶中間薄膜上に上記構成粒子を堆積させる。多結晶中間薄膜は、その結晶粒が予めc軸配向し、a軸とb軸でも配向するようにイオンビームアシスト法により形成されているので、酸化物超電導体の薄膜の結晶のc軸とa軸とb軸も多結晶中間薄膜の結晶に整合するようにエピタキシャル成長して結晶化する。これにより結晶配向性を制御したY1Ba2Cu3Xの酸化物超電導体の薄膜が得られる。
上述のようにレーザ光30をターゲット15に走査したときの、レーザ光30の軌跡は図12の一点鎖線で示されるような軌跡31となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来の薄膜の形成方法においては、ターゲット15の構成粒子を薄膜積層体14の多結晶中間薄膜上に堆積させる際に、ターゲット15を中心軸Oを中心に回転させながら該ターゲット15の表面に集光したレーザ光30を照射する方法、すなわち、レーザ光30をターゲット15の表面上の同一の円状の経路に沿って複数回往復移動させることにより走査する方法であるので、長時間成膜を行うと、上記経路の部分が深く削られてしまい、図13の(A)と(B)に示すような底部に凹凸を有する溝33ができてしまう。このように局所的に深く削られた溝33を有するターゲット15にレーザ光30を照射すると、ターゲット15が所定の角度で傾斜して配置されていても、レーザ光30は溝33内の凹凸部分にあたって偏心してしまうため、偏心したレーザ光30により叩き出された構成粒子は薄膜積層体14上に均一に堆積しない。
従って、従来の薄膜の形成方法では、上述のようなレーザ光の偏心が起こることにより、超電導特性が優れた酸化物超電導体の薄膜を長尺にわたり均一に形成できないという問題があった。また、レーザ光の偏心が起こると、殆ど削られないまま残存している部分があっても、ターゲットは寿命となり、ターゲット表面の利用効率が悪いという課題があった。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、レーザ光をターゲットに照射して、ターゲットの構成粒子を叩き出し若しくは蒸発させて、基材上に上記構成粒子を堆積させることにより薄膜を形成する薄膜の形成方法において、ターゲットの偏心を防止して、ターゲットの寿命を延ばすことができ、長時間成膜しても高特性の薄膜を均一に形成できる薄膜の形成方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、以下の構成を採用した。請求項1記載の薄膜の形成方法は、レーザ光をターゲットに照射し、前記ターゲットに沿ってレーザ光を複数回走査して、該ターゲットの構成粒子を叩き出し若しくは蒸発させて、基材上に前記構成粒子を堆積させることにより薄膜を形成する薄膜の形成方法であって、前記レーザ光の照射位置を前記ターゲットの表面上で移動させるレーザ光の走査を行いながらレーザ光をターゲットの表面対して斜め方向から照射してレーザ蒸着する際に、前回のレーザ光の走査と今回のレーザ光の走査において前記レーザ光により前記ターゲットを彫り込む方向を変更するために前記ターゲットをその中心軸を中心に回転させる回転運動と前記ターゲットを前記中心軸と交差する面に沿って移動させる並進運動を併用して異なる場所のターゲットの構成粒子が叩き出されるか蒸発するようにすることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2記載の薄膜の形成方法は、請求項1記載の薄膜の形成方法において、上記ターゲットの並進運動の速度は、下記式(1)で示される速度式を満たすものであることを特徴とする。
dx/dt=a/|x| ・・・式(1)
(式中、xはターゲットの中心軸からの距離、tは時間、aは定数)
また、請求項3記載の薄膜の形成方法は、請求項1または2に記載の薄膜の形成方法において、上記ターゲットを並進運動させる際、上記ターゲットを中心軸の両側に移動させることを特徴とする。
また、請求項4記載の薄膜の形成方法は、請求項2又は3記載の薄膜の形成方法において、上記レーザ光がターゲット中心付近に近づいた際に、レーザ光の発振を一時的に停止することを特徴とする。
また、上記構成の薄膜の形成方法において、上記ターゲットとして円板状のものを用いてもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明を酸化物超電導体の薄膜の形成方法に適用した場合について説明する。
図1は、本実施形態の酸化物超電導体の薄膜の形成方法により得られた酸化物超電導導体を示す斜視断面図である。
この酸化物超電導導体4は、薄膜積層体14上に酸化物超電導体の薄膜3を形成してなるものである。薄膜積層体14は、ハステロイ等の金属テープ状の基材1上にイオンビームアシストスパッタリング法等によってYSZの多結晶中間薄膜2を形成してなるものである。
【0011】
基材1の構成材料としては、ステンレス鋼、銅、または、ハステロイなどのニッケル合金などの合金各種金属材料から適宜選択される長尺の金属テープを用いることができる。この基材1の厚みは、0.01〜0.5mm、好ましくは0.02〜0.15mmとされる。基材1の厚みが0.5mm以上では、後述する酸化物超電導体の薄膜3の膜厚に比べて厚く、オーバーオール(酸化物超電導導体全断面積)あたりの臨界電流密度としては低下してしまう。一方、基材1の厚みが0.01mm未満では、著しく基材1の強度が低下し、酸化物超電導導体4の補強効果を消失してしまう。
【0012】
多結晶中間薄膜2は、立方晶系の結晶構造を有する結晶の集合した微細な結晶粒が多数相互に結晶粒界を介して接合一体化されてなるものであり、各結晶粒の結晶軸のc軸は基材1の上面(成膜面)に対してほぼ直角に向けられ、各結晶粒の結晶軸のa軸どうしおよびb軸どうしは、互いに同一方向に向けられて面内配向されている。多結晶中間薄膜2の厚みは、0.1〜1.0μmとされる。多結晶中間薄膜2の厚みを1.0μmを超えて厚くしてももはや効果の増大は期待できず、経済的にも不利となる。一方、多結晶中間薄膜2の厚みが0.1μm未満であると、薄すぎて酸化物超電導体の薄膜3を十分支持できない恐れがある。この多結晶中間薄膜2の構成材料としてはYSZの他に、MgO、SrTiO3等を用いることができる。
【0013】
酸化物超電導体の薄膜3は、Y1Ba2Cu3x、Y2Ba4Cu8x、Y3Ba3Cu6xなる組成、(Bi,Pb)2Ca2Sr2Cu3x、(Bi,Pb)2Ca2Sr3Cu4xなる組成、あるいはTl2Ba2Ca2Cu3x、Tl1Ba2Ca2Cu3x、Tl1Ba2Ca3Cu4xなる組成などに代表される臨界温度の高い酸化物超電導体からなるものである。
この薄膜3の厚みは、0.5〜5μm程度で、かつ均一な厚みとなっている。
また、薄膜3の膜質は均一となっており、薄膜3の結晶のc軸とa軸とb軸も多結晶中間薄膜2の結晶に整合するようにエピタキシャル成長して結晶化しており、結晶配向性が優れたものとなっている。
【0014】
図2は、図1に示した酸化物超電導体の薄膜3を形成するためのレーザ蒸着装置の一例を示す図である。
この例のレーザ蒸着装置41が、図11に示した従来の酸化物超電導体の薄膜3の形成方法に用いられるレーザ蒸着装置11と異なるところは、酸化物超電導体のターゲット15を支持する支持ホルダとして図2に示すような支持ホルダ37が備えられた点である。
【0015】
支持ホルダ37に取り付けられるターゲット15としては、形成しようとする酸化物超電導体の薄膜3と同等または近似した組成、あるいは、成膜中に逃避しやすい成分を多く含有させた複合酸化物の焼結体あるいは酸化物超電導体などの板体からなっている。従って、酸化物超電導体のターゲット15は、
1Ba2Cu3x、Y2Ba4Cu8x、Y3Ba3Cu6xなる組成、
(Bi,Pb)2Ca2Sr2Cu3x、(Bi,Pb)2Ca2Sr3Cu4xなる組成、あるいはTl2Ba2Ca2Cu3x、Tl1Ba2Ca2Cu3x
Tl1Ba2Ca3Cu4xなる組成などに代表される臨界温度の高い酸化物超電 導体の薄膜3を形成するために使用するので、これと同一の組成か近似した組成のものを用いることが好ましい。
また、ターゲット15の形状としては、円板状のものが用いられる。
レーザ発光装置22としては、ターゲット15から構成粒子を叩き出すことができるレーザ光30を発生するものであれば、Ar−F(193nm)、Kr−F(248nm)などのエキシマレーザ、YAGレーザ、CO2レーザなどのいずれのものを用いても良い。
【0016】
レーザの照射出力の調整は、レーザ発光装置22に電力を供給する増幅装置(図示略)の出力を調整することにより行うことができる。
また、レーザの照射周波数は、1秒間当たりに間欠的に発振されるレーザのパルスの数を示すものであり、この調整は、レーザ発光装置22に電力を一定の周波数をもって間欠的に供給するか、レーザ光が通過する経路のどこかに、回転セクタ等の機械的シャッタを設け、この機械的シャッタを一定の周波数をもって作動させることにより、調整することができる。
【0017】
支持ホルダ37は、ターゲット15を支持する支持部38と、該支持部38の底部に取り付けられたホルダ回転用シャフト39と、該ホルダ回転用シャフト39の端部に設けられたシャフト駆動源(図示略)から概略構成されてなるものである。また、この支持ホルダ37には、支持部移動手段としてモータ等の駆動源(図示略)が接続されており、支持部38の位置を移動自在とすることができるように構成されている。
このような構成の支持ホルダ37は、上記シャフト駆動源の作動により、シャフト39が回転して支持部38が回転するようになっているので、この支持部38に支持されたターゲット15も支持部38の回転と共に中心軸Oを中心にして回転するようになっている。このようにターゲット15が中心軸Oを中心にして回転する運動を回転運動という。
【0018】
さらに、支持ホルダ37は、上記支持部移動手段の作動により、ターゲット15の中心軸Oの延長線と直交する面に沿った方向に支持部38が移動できるようになっているので、この支持部38に支持されたターゲット15も支持部38の移動とともに移動し、すなわち、ターゲット15は中心軸Oと直交する面に沿った方向に移動するようになっている。このようにターゲット15が中心軸Oと直交する面に沿った方向に移動する運動を並進運動という。
従って、このような構成の支持ホルダ37によれば、レーザ光30の照射位置をターゲット1の表面上で移動させるレーザ光の走査を行いながらレーザ光をターゲットに照射してレーザ蒸着する際に、ターゲット15を中心軸Oを中心に回転させる回転運動と、ターゲット15を中心軸Oと直交する面に沿った方向に移動させる並進運動を同時に行うことにより、異なる場所のターゲット15の構成粒子が叩き出されるようにすることが可能である。
【0019】
次に、図2に示したレーザ蒸着装置41を用いて薄膜積層体14の上にY1Ba2Cu3Xの酸化物超電導体の薄膜3を形成する方法の第一の実施形態について説明する。
YSZの多結晶中間薄膜2が形成された薄膜積層体14をこの多結晶中間薄膜2側を上にして基台16上に設置し、酸化物超電導体のターゲット15としてY1Ba2Cu3Xからなる円板状のターゲット15を支持ホルダ37の支持部38に取り付け、蒸着処理室13を真空排気装置21で減圧する。ここで必要に応じて蒸着処理室13に酸素ガスを導入して蒸着処理室13を酸素雰囲気としても良い。また、基台16の加熱ヒータを作動させて薄膜積層体14を所望の温度に加熱しても良い。
【0020】
送出装置18から薄膜積層体14を送り出しつつ、レーザ発光装置22からレーザ光30を発生させ、レーザ光30の照射位置をターゲット15の表面上で移動させるレーザ光の走査を行いながらレーザ光をターゲットに照射してレーザ蒸着する際に、上記シャフト駆動源によりホルダ回転用シャフト39を回転させることによりターゲット15をその中心軸Oを中心に回転させる(回転運動させる)とともに上記支持部移動手段によりターゲット15の中心軸Oの延長線と直交する面に沿った方向に支持部38を移動させることによりターゲット15を中心軸Oと交差する面に沿って移動させる(並進運動させる)ことにより、多結晶中間薄膜2の表面にターゲット15の構成粒子を堆積させる。
ここでのターゲット15の回転運動によりレーザ光30は円状の軌跡を描くので、ターゲット15表面は円状に削られ、また、並進運動によりレーザ光30はターゲット15の径方向に動くので、ターゲット15の円周側から中心側にかけても削れられるので、異なる場所のターゲット15の構成粒子が叩き出されるか蒸発する。
【0021】
ここでターゲットを回転運動させる際の回転速度は、1回転/sec〜10回転/sec程度とされる。
また、ここでターゲットの並進運動させる際のターゲットの移動方向の具体例としては、図3の(A)、(B)に示すようにターゲット15の中心軸Oの一方の側で、かつ中心軸Oと直交する面上の+x方向および−x方向である。
ターゲット15を並進運動させる際の並進速度は、下記式(1)で示される速度式を満たすものであることが、ターゲット15の表面にレーザ光30を照射して、ターゲット15の構成粒子を叩き出すか蒸発させたときに、ターゲット15の表面が局所的に深く削られるのを防止し、ターゲット15の表面全体を均一に削ることができ、ターゲット15の表面の利用効率を向上できる点で好ましい。
【0022】
dx/dt=a/|x| ・・・式(1)
(式中、xはターゲットの中心軸Oからの距離(mm)、tは時間(sec)、aは定数)
【0023】
ターゲット15の並進速度が、上記式(1)を満たさない場合、ターゲット15の表面にレーザ光30を照射して、ターゲット15の構成粒子を叩き出すか蒸発させたときに、ターゲット15の表面が局所的に深く削られるのを防止する効果が十分でなく、ターゲット15の表面全体を均一に削るのが困難である。
上記式(1)中のaは、大きくなるほど並進速度が速くなる。aの値の範囲としては、50mm2/sec程度以上とするのが好ましい。aの値が、50mm2/sec未満であると、ターゲット15の表面状態が速く悪くなり、ターゲット15の寿命の延長効果が低下してしまう。
【0024】
ここでターゲット15を並進運動させる際の並進長さ(ターゲット15の中心軸Oが、始めの位置にあるターゲット15の中心軸Oから+x方向に最も離れたときの、始めの位置のターゲット15の中心軸Oから+x方向の位置までの距離)L1がターゲット15の半径未満であるとき、ターゲット15は図4の(A)、(B)で示されるように削られて、中心軸Oの周囲に底面が平滑の円環状の溝63が形成される。
【0025】
ターゲット15を並進運動させる際、図5に示すようにターゲット15の中心軸Oの両側で、かつ中心軸Oと直交する面上の+x方向および−x方向に移動させることが、ターゲット15の表面の状態を良好に保つことができる点で好ましい。それは、ターゲット15は回転運動とともに並進運動しており、この並進運動の際にターゲット15を中心軸Oの両側に移動させると、レーザ光30の照射角度が周期的に反転するので、異なる方向のターゲット15の構成粒子が叩き出されるか蒸発し、ターゲット15の表面が均一に削られて平滑になるからである。例えば、ターゲット15を 180゜回転させる毎に、レーザ光30の照射角度が図6の(A)に示すような角度から、図6の(B)に示すような角度になる。 ここでターゲット15を中心軸Oの両側に移動させる際の並進長さ(ターゲット15の中心軸Oが始めの位置にあるターゲット15の中心軸Oから最も離れたときの+x方向の位置から−x方向の位置までの距離)L2がターゲット15の半径を超える大きさ、好ましくはターゲット15の直径程度の大きさであるとき、ターゲット15は図7の(A)、(B)で示されるように削られて、中心軸Oの周囲に底面が平滑の円板状の溝63が形成される。
【0026】
また、ターゲット15の並進速度が上記式(1)を満たすとき、レーザ光30がターゲット15の中心軸Oの付近に近づいた際に、リモートコントロールによりレーザ光30の発振を一時的に停止するのが好ましい。それは、ターゲット15の並進速度が上記式(1)を満たすとき、ターゲット15の中心軸O付近(x=0付近)でdx/dtが発散するため制御が困難で、その結果、ターゲット15の中心軸O付近の消耗が速くなってしまうため、レーザ光30がターゲット15の中心軸O付近に近づいた際にレーザ光30の発振を一時的に停止することにより、ターゲット15の中心軸O付近が速く消耗するのを防止できる。
【0027】
ターゲット15にレーザ光を照射する際の走査速度は2mm/秒より速くすることが好ましい。走査速度が2mm/秒以下であると、ターゲットが受けるレーザ光の熱エネルギーが大きくなり、ターゲットの局部的な温度上昇による割れが発生するので好ましくない。
【0028】
また、上述の走査速度の範囲でターゲット15にレーザ光30を照射する場合には、レーザ光の照射エネルギーが200〜400mJの範囲であることが必要である。レーザ光の照射エネルギーが200mJ以下であると、走査速度を2mm/秒としても、ターゲットに与える熱エネルギーが小さすぎて、ターゲットの構成粒子を十分に叩き出し若しくは蒸発させることができないので、酸化物超電導体の薄膜の形成速度が低下してしまい効率的でない。
レーザ光の出力が400mJ以上であると、走査速度を20mm/秒としても、ターゲットに与えるエネルギーが大きすぎて、ターゲットに割れが生じてしまうので好ましくない。
【0029】
更に、レーザ光の照射周波数が10〜200Hzの範囲であることが必要である。
レーザ光の照射周波数が10Hz以下であると、照射出力を400mJとし、走査速度を2mm/秒としても、ターゲットに与えるエネルギーが小さすぎて、ターゲットの構成粒子を十分に叩き出すことができないので、酸化物超電導体の薄膜の形成速度が低下してしまい効率的でない。
レーザ光の照射周波数が200Hzより大きいと、照射出力を200mJとし、走査速度を20mm/秒としても、ターゲットに与えるエネルギーが大きすぎて、ターゲットに割れが生じてしまうので好ましくない。
【0030】
上述のようにレーザ光30の走査を行う際に、ターゲット15をその中心軸Oを中心に回転させる回転運動とターゲット15を中心軸Oと交差する面に沿って移動させる並進運動を併用することにより、ターゲット15の表面が局所的に深く削られるのを防止でき、レーザ光30の偏心を防止でき、ターゲット15から叩き出された構成粒子の飛行する方向が偏ることがなく、上記構成粒子を薄膜積層体14上に均一に堆積させることができる。
【0031】
多結晶中間薄膜2は、その結晶粒が予めc軸配向し、a軸とb軸でも配向するようにイオンビームアシスト法により形成されているので、上記のようにターゲット15から叩き出された構成粒子が飛行方向が偏ることなく飛行して、多結晶中間薄膜2上に均一に堆積すると、酸化物超電導体の薄膜3の結晶のc軸とa軸とb軸も多結晶中間薄膜2の結晶に整合するようにエピタキシャル成長して結晶化する。これにより膜厚が均一で、かつ結晶配向性の優れたY1Ba2Cu3Xの酸化物超電導体の薄膜3が得られる。なお、成膜後に必要に応じて酸化物超電導体の薄膜3の結晶構造を整えるための熱処理を施しても良い。
【0032】
実施形態の酸化物超電導体の薄膜の形成方法は、レーザ光30の照射位置をターゲット15の表面上で移動させるレーザ光の走査を行いながらレーザ光30をターゲット15に照射してレーザ蒸着する際に、ターゲット15をその中心軸Oを中心に回転させる回転運動とターゲット15を中心軸Oと交差する面に沿って移動させる並進運動を併用することにより、長時間成膜しても、ターゲット15の表面が局所的に深く削られることがなく、レーザ光をターゲットの表面上の同一の円状の経路に沿って往復させる従来の薄膜の形成方法に比べてターゲット15の表面が平滑で、レーザ光30の偏心を防止でき、ターゲット15から叩き出された構成粒子の飛行する方向が偏ることがなく、上記構成粒子を薄膜積層体14上に均一に堆積させることができる。このような実施形態の酸化物超電導体の薄膜の形成方法によれば、ターゲット15の構成粒子を薄膜積層体14上に均一に堆積させることができるので、膜厚および膜質が均一で、結晶配向性が優れた酸化物超電導体の薄膜3を長尺に亘って均一に形成でき、従って、臨界電流密度等の超電導特性にバラツキがない長尺の酸化物超電導導体4を提供できる。
【0033】
また、実施形態の酸化物超電導体の薄膜の形成方法によれば、長時間成膜しても、ターゲット15の表面が局所的に深く削れられることがなく、表面が平滑であるので、レーザ光の偏心を防止できるので、レーザ光をターゲットの表面上の同一の円状の経路に沿って往復させる従来の薄膜の形成方法に比べてターゲット表面の利用効率を向上でき、ターゲット15の寿命を約10倍以上延ばすことができる。また、このようにターゲット15の寿命を延ばすことができるので、薄膜の製造コストを低減できる。
【0034】
なお、上記の実施の形態では、本発明を酸化物超電導体の薄膜の形成方法に適用した場合について説明したが、必ずしもこれに限られず、ターゲットにレーザ光を照射して、ターゲットの構成粒子を叩き出し若しくは蒸発させて、基材上に上記構成粒子を堆積させて薄膜を形成する方法であれば適用可能であり、また、本発明は長尺の基材上に連続的に薄膜を形成する方法だけでなく、バッチ処理によりデバイス用薄膜等の薄膜を形成する方法にも適用可能である。
【0035】
【実施例】
(実施例1)
図2に示すレーザ蒸着装置を用い、ハステロイテープの表面に厚さ0.7μmのYSZ多結晶中間薄膜を形成した薄膜積層体をこの多結晶中間薄膜側を上にして基台上に設置し、ターゲットとしてY1Ba2Cu3X系の長方形板状のターゲットを支持ホルダの支持部に取り付け、蒸着処理室を真空排気装置で減圧した。送出装置から上記薄膜積層体を1.0m/hで送り出しつつ、レーザ発光装置からレーザ光を発生させ、レーザ光の照射位置をターゲットの表面上で移動させるレーザ光の走査を行う際、ターゲットをその中心軸を中心に回転させる(回転運動させる)とともに図3に示すようにターゲットをその中心軸の一方の側で、かつこの中心軸と直交する面上の+x方向および−x方向に移動させ(並進運動させる)て、異なる場所のターゲットの構成粒子が叩き出されるか蒸発されるようにして、上記多結晶中間薄膜の表面にターゲットの構成粒子を堆積させて、厚さ1μmのY1Ba2Cu3Xの薄膜を形成し、酸化物超電導導体を得た。なお、レーザ光をターゲットに照射する際のレーザ光の走査速度を2mm/秒、レーザ光の強度を20W、照射周波数を100Hz、ターゲットの回転速度は2回転/sec、ターゲットの並進運動の速度は、上記式(1)で示される速度式を満たしており、このときのaの値は、50mm2/sec、並進長さはターゲットの半径分(35mm)であった。
【0036】
(実施例2)
レーザ光の照射位置をターゲットの表面上で移動させるレーザ光の走査を行う際、ターゲットをその中心軸を中心に回転させる(回転運動させる)とともに図5に示すようにターゲットをその中心軸の両方の側で、かつこの中心軸と直交する面上の+x方向および−x方向に移動させ(並進運動させる)、かつ並進長さをターゲットの直径分(70mm)とした以外は上記実施例1と同様にして多結晶中間薄膜の表面にターゲットの構成粒子を堆積させて、厚さ1μmのY1Ba2Cu3Xの薄膜を形成し、酸化物超電導導体を得た。
(比較例1)
レーザ光の照射位置をターゲットの表面上で移動させるレーザ光の走査を行う際、ターゲットを並進運動させることなく、ターゲットをその中心軸を中心に回転させた以外は上記実施例1と同様にして多結晶中間薄膜の表面にターゲットの構成粒子を堆積させて、厚さ1μmのY1Ba2Cu3Xの薄膜を形成し、酸化物超電導導体を得た。
【0037】
上記実施例1と実施例2で使用後のターゲットの表面の組織の状態を光学電子顕微鏡により観察した。その結果を図8〜図9に示す。図8は、実施例1で使用後のターゲット材料の表面の組織の状態を示す顕微鏡写真である。図9は、実施例2で使用後のターゲット材料の表面の組織の状態を示す顕微鏡写真である。
上記比較例1で使用後のターゲットの表面の組織の状態を光学電子顕微鏡により観察した。その結果を図14に示す。図14は、比較例1で使用後のターゲット材料の表面の組織の状態を示す顕微鏡写真である。
図8〜図9、図14から明らかなように比較例1で使用後のターゲットは、表面が局所的に深く削られていることがわかる。これに対して実施例1と実施例2で使用後のターゲットは、共に縞状の凹凸が見られ、この縞状の凹凸の間に黒い凹みの部分があり、そこは比較的深い穴になっていると考えられるが、比較例1で使用後のターゲットに比べてそのような深い穴の部分が少ないことわかる。また、ターゲットの並進長さをターゲットの直径分の長さとした実施例2で使用後のターゲットは、ターゲットの並進長さをターゲットの半径分の長さとした実施例1で使用後のターゲットに比べて上記縞の間隔が数分の1となっており、均一に削られていることがわかる。
【0038】
また、縞状の凹凸の間に黒い凹みの部分があり、そこは比較的深い穴になっていると考えられるが、実施例1で使用後のターゲットは、実施例1で使用後のターゲットに比べてそのような深い穴の部分が多いことわかる。
従って、ターゲットを回転させるとともに並進長さをターゲットの直径分として並進運動させた実施例2の方法によれば、ターゲットを回転させるとともに並進長さをターゲットの半径分とした実施例1の方法に比べて、ターゲットにできる縞の間隔が狭く、穴の深さも浅く、より平坦な表面が維持されていることがわかる。従って、特に、実施例2の薄膜の形成方法は、ターゲットの表面が局所的に深く削られるのを防止する効果が優れている。
【0039】
また、実施例1〜2と比較例1において長時間成膜したときのY1Ba2Cu3Xの薄膜の膜厚変動について調べた。その結果を図10に示す。図10中、横軸は成膜時間(h)、縦軸は初期膜厚(0時間成膜したときの厚みを100%)に対する各成膜時間で得られた薄膜の膜厚の割合である。また、図10中、破線▲1▼は実施例1で形成したY1Ba2Cu3Xの薄膜の膜厚変動を示すグラフであり、実線▲2▼は実施例2で形成したY1Ba2Cu3Xの薄膜の膜厚変動を示すグラフであり、一点鎖線▲3▼は比較例1で形成したY1Ba2Cu3Xの薄膜の膜厚変動を示すグラフである。
【0040】
図10に示した結果から比較例1の薄膜の形成方法は、成膜時間が長くなると、実施例1や実施例2の薄膜の形成方法に比べて、得られるY1Ba2Cu3Xの膜厚の低下の割合が大きくなっており、また、膜厚の変動も大きいことがわかる。これに対して実施例2の薄膜の形成方法では、成膜時間が長くなっても得られるY1Ba2Cu3Xの薄膜の膜厚さの低下の割合が小さく、しかも膜厚の変動も大幅に改善され、膜厚が均一な酸化物超電導体の薄膜を形成できることがわかる。
従って、実施例1〜2の薄膜の形成方法によれば、ターゲットが局所的に深く削られることに起因してレーザ光が偏心し、ターゲットから叩き出された構成粒子の飛行する方向が偏るのを改善でき、上記構成粒子を基材上に均一に堆積させることができることがわかる。特に、実施例2の薄膜の形成方法によれば、ターゲットが局所的に深く削られることに起因するレーザ光の偏心の防止効果が優れ、膜厚の変動の防止効果が優れている。
【0041】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように本発明の薄膜の形成方法によれば、上記レーザ光の照射位置を上記ターゲットの表面上で移動させるレーザ光の走査を行いながらレーザ光をターゲットの表面に斜め方向に照射してレーザ蒸着する際に、前回のレーザ光の走査と今回のレーザ光の走査において前記レーザ光により前記ターゲットを彫り込む方向を変更するために、異なる場所のターゲットの構成粒子が叩き出されるか蒸発するように上記ターゲットをその中心軸を中心に回転させる回転運動と上記ターゲットを上記中心軸と交差する面に沿って移動させる並進運動を併用することにより、長時間成膜しても、ターゲットの表面が局所的に深く削られることがなく、レーザ光をターゲットの表面上の同一の円状の経路に沿って往復させる従来の薄膜の形成方法に比べてターゲットの表面が平滑で、レーザ光の偏心を防止でき、ターゲットから叩き出された構成粒子の飛行する方向が偏ることがなく、上記構成粒子を基材上に均一に堆積させることができる。
従って、このような本発明の薄膜の形成方法によれば、ターゲットの構成粒子を基材上に均一に堆積させることができるので、膜質および膜厚さが均一で、高特性の薄膜を均一に形成できる。
【0042】
また、本発明の薄膜の形成方法によれば、長時間成膜しても、ターゲットの表面が局所的に深く削れられることがなく、表面が平滑であるので、レーザ光の偏心を防止できるので、レーザ光をターゲットの表面上の同一の円状の経路に沿って往復させる従来の薄膜の形成方法に比べてターゲット表面の利用効率を向上でき、ターゲットの寿命を大幅に延ばすことができる。また、このようにターゲットの寿命を大幅に延ばすことができるので、薄膜の製造コストを低減できる。
【0043】
また、本発明の薄膜の形成方法において、上記ターゲットの並進運動の速度を、上記式(1)で示される速度式を満たすようにすることにより、ターゲットの表面が局所的に深く削られるのを防止する効果が十分で、ターゲットの表面全体を均一に削ることができる。
また、本発明の薄膜の形成方法において、ターゲットを並進運動させる際、ターゲットを中心軸の両側に移動させることにより、レーザ光の照射角度を周期的に反転させることができ、異なる方向のターゲットの構成粒子が叩き出されるか蒸発し、ターゲットの表面が均一に削られて平滑とすることができる。
さらに、本発明の形成方法において、上記レーザ光がターゲット中心付近に近づいた際に、レーザ光の発振を一時的に停止することにより、ターゲットの中心軸付近が速く消耗するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態の酸化物超電導体の薄膜の形成方法により得られた酸化物超電導導体を示す斜視断面図である。
【図2】 本発明の薄膜の形成方法の実施に好適に用いられるレーザ蒸着装置の概略構成を示す図である。
【図3】 本発明の実施形態の酸化物超電導体の薄膜の形成方法において、ターゲットを中心軸の一方の側に並進運動させる場合を説明するための図であり、(A)はターゲットを基材側から見たときの並進運動を示す平面図、(B)は(A)に示したターゲットの断面図である。
【図4】 ターゲットの並進長さを半径未満とした実施形態の酸化物超電導体の薄膜の形成方法で使用後のターゲットの状態を説明するための図であり、(A)はターゲットを基材側から見たときの平面図、(B)は(A)に示したターゲットの断面図である。
【図5】 本発明の実施形態の酸化物超電導体の薄膜の形成方法において、ターゲットを中心軸の両側に並進運動させる場合を説明するための図であり、(A)はターゲットを基材側から見たときの並進運動を示す平面図、(B)は(A)に示したターゲットの断面図である。
【図6】 ターゲットを中心軸の両側に並進運動させた場合、レーザ光の照射角度が周期的に反転する理由を説明するための図である。
【図7】 ターゲットの並進長さを直径程度とした実施形態の酸化物超電導体の薄膜の形成方法で使用後のターゲットの状態を説明するための図であり、(A)はターゲットを基材側から見たときの平面図、(B)は(A)に示したターゲットの断面図である。
【図8】 実施例1で使用後のターゲット材料の表面の組織の状態を示す顕微鏡写真である。
【図9】 実施例2で使用後のターゲット材料の表面の組織の状態を示す顕微鏡写真である。
【図10】 実施例1〜2と比較例1の薄膜の形成方法において長時間成膜したときのY1Ba2Cu3Xの薄膜の膜厚変動を示すグラフである。
【図11】 従来の薄膜の形成方法により酸化物超電導体の薄膜を形成するためのレーザ蒸着装置の概略構成を示す図である。
【図12】 図11に示したレーザ蒸着装置に備えられた円形のターゲットと、該ターゲットにレーザ光を照射したときのレーザ光の軌跡を示す平面図である。
【図13】 従来の薄膜の形成方法によりレーザ光をターゲットに繰り返し照射したときのターゲット表面が局所的に深く削られた状態を示す図であり、(A)はターゲットの平面図、(B)はターゲットの縦断面図でる。
【図14】 比較例1で使用後のターゲット材料の表面の組織の状態を示す顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1・・・基材、3・・・薄膜、15・・・ターゲット、30・・・レーザ光、37・・・支持ホルダ、38・・・支持部、39・・・ホルダ回転用シャフト、O・・・中心軸、L1・・・並進長さ、L2・・・並進長さ。

Claims (4)

  1. レーザ光をターゲットに照射し、前記ターゲットに沿ってレーザ光を複数回走査して、該ターゲットの構成粒子を叩き出し若しくは蒸発させて、基材上に前記構成粒子を堆積させることにより薄膜を形成する薄膜の形成方法であって、前記レーザ光の照射位置を前記ターゲットの表面上で移動させるレーザ光の走査を行いながらレーザ光をターゲットの表面対して斜め方向から照射してレーザ蒸着する際に、前回のレーザ光の走査と今回のレーザ光の走査において前記レーザ光により前記ターゲットを彫り込む方向を変更するために前記ターゲットをその中心軸を中心に回転させる回転運動と前記ターゲットを前記中心軸と交差する面に沿って移動させる並進運動を併用して異なる場所のターゲットの構成粒子が叩き出されるか蒸発するようにすることを特徴とする薄膜の形成方法。
  2. 前記ターゲットの並進運動の速度は、下記式(1)で示される速度式を満たすものであることを特徴とする請求項1記載の薄膜の形成方法。
    dx/dt=a/|x| ・・・式(1)(式中、xはターゲットの中心軸からの距離、tは時間、aは定数)
  3. 前記ターゲットを並進運動させる際、ターゲットを中心軸の両側に移動させることを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜の形成方法。
  4. 前記レーザ光がターゲット中心付近に近づいた際に、レーザ光の発振を一時的に停止することを特徴とする請求項2又は3記載の薄膜の形成方法。
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