以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
図1に示すように、本実施形態のインクジェットプリンタ101は、略直方体形状の筐体101aを有し、筐体101a内には、上方から下方に5つのヘッド1、用紙Pを搬送方向(図1中左から右に向かう方向)に搬送する搬送機構16、用紙Pを給紙する給紙ユニット101b、及びインクを貯留するタンクユニット101cが配設されている。これらの機構部と干渉しない位置には、各機構部の動作を司る制御部100が配置されている。また、筐体101aの天板上部には、用紙Pが排出される排紙部15が設けられている。
5つのヘッド1のうち4つは、ブラック、シアン、マゼンタ、又はイエローのインク(第1液)をそれぞれ吐出する記録ヘッド1aであり、残りの1つは処理液(第2液)を吐出する処理液ヘッド1bである。なお、記録ヘッド1aと処理液ヘッド1bとは、ほぼ同様の構成を有している。ここで、処理液としては、顔料インクに対しては顔料色素を凝集させるものが、染料インクに対しては染料色素を析出させるものがそれぞれ使用される。処理液の材料は、カチオン性化合物、とりわけ、カチオン系高分子やカチオン性界面活性剤、カルシウム塩、マグネシウム塩等の多価金属塩を含有する液体等、インクの性質に応じて適宜選択される。かかる処理液が予め塗布された用紙Pの領域にインクが着弾すると、多価金属塩等がインクの着色剤である染料又は顔料に作用して、不溶性又は難溶性の金属複合体等が凝集又は析出により形成される。その結果、付着したインクの用紙P内への浸透度が低下し、インクを用紙P上に定着しやすくなる。
このプリンタ101はライン式のプリンタであって、5つのヘッド1は、いずれも主走査方向に長尺な略直方体形状を有しており、用紙Pの搬送方向に沿って配列されている。より詳細には、処理液ヘッド1bは、搬送方向に関して4つの記録ヘッド1aよりも上流側に配置されている。4つの記録ヘッド1aは、吐出するインクの明度が小さい順で搬送方向上流側から並ぶように、すなわち、搬送方向上流側からブラック、シアン、マゼンタ、イエローの順で配置されている。本実施形態において、主走査方向とは搬送方向に直交する方向であって水平面に沿った方向である。
各ヘッド1は、複数の吐出口108(図3、図4参照)が形成されたヘッド本体2を有している。吐出口108は、ヘッド本体2の下面である吐出面2aに開口しており、吐出面2aは、搬送される用紙Pと所定間隔を介して対向する。各吐出口108からは、制御部100の制御によってインク又は処理液が吐出される。
処理液ヘッド1bの下方には転写ローラ10(中間転写体)が設けられている。転写ローラ10の周面は、処理液ヘッド1bから吐出された処理液を受け止め、受け止めた処理液を用紙Pへ転写する転写面10aとして機能する。転写ローラ10は、処理液ヘッド1bから下向きに吐出された処理液を転写面10aで受けることが可能であり、且つ、搬送機構16により搬送される用紙Pの上面(印字面)と転写面10aとが接触できるように配置されている。具体的には、転写ローラ10は、搬送機構16により搬送される用紙Pの上面と処理液ヘッド1bの吐出面2aとの間において、ローラの上端が吐出面2aから数mm程度下方へ離れ、且つ、ローラの下端が用紙Pの上面と接触するように配置されている。転写ローラ10は、搬送方向と直交する回転軸を中心として回転可能であって、図示しないモータによって用紙Pを搬送方向へ送り出す向きに回転駆動される。転写ローラ10の下方には、当該転写ローラ10の転写面10aと用紙Pを挟んで対向するように配置された支持ローラ18が設けられている。かかる構成により、用紙Pは回転する転写ローラ10と支持ローラ18とに挟まれて、搬送方向へ送り出される。
給紙ユニット101bは、筐体101aに対して着脱可能に設けられており、給紙トレイ11と、給紙ローラ12とを有している。給紙トレイ11は、上方に向かって開口した箱形状を有しており、複数枚の用紙Pが積層された状態で収納される。給紙ローラ12は、制御部100の制御によって給紙トレイ11の最も上方にある用紙Pを送り出す。
タンクユニット101cは、4つのインクタンク17a及び1つの処理液タンク17bを内部に格納している。インクタンク17a及び処理液タンク17bは、タンクユニット101cに対して着脱可能に装着されている。各インクタンク17aには、ブラック、シアン、マゼンタ、及びイエローのインクがそれぞれ貯留されており、対応する記録ヘッド1aにインクチューブ(不図示)を介してインクが供給される。同様に、処理液タンク17bには処理液が貯留されており、処理液ヘッド1bに処理液が供給される。
プリンタ101の内部には、図1に示すように、黒矢印に沿う搬送経路が形成されている。搬送経路は、全体として左右が反転したS字状の経路である。下方の給紙ユニット101bから送り出された用紙Pは、ガイド13a,13bに沿って送りローラ対14により搬送機構16へと送られる。搬送機構16により用紙Pが5つのヘッド1の下方を通過する際に、順に制御部100の制御によって処理液及びインクが吐出され、上面の印字面に所望のカラー画像が形成される。画像が形成された用紙Pは、搬送機構16から送り出され、ガイド29a,29bに沿って送りローラ対28,28より上方に搬送され、筐体101aの上部に形成された排出口22から排紙部15へと排出される。
搬送機構16は、用紙Pの搬送方向に沿って配置された複数の搬送ローラ対8で構成されている。搬送ローラ対8は、用紙Pの下面とその周面とが接触するように配置された搬送ローラ8bと、搬送ローラ8bの周面と用紙Pを挟んで対向するように配置された歯付ローラ8aとで成る。歯付ローラ8aは、搬送方向と略直交する方向に延びる支軸と、支軸上に間隔を開けて設けられた複数の歯付ディスクとで構成されている。歯付ディスクは、周面に複数の歯(突起)が形成された薄い板状のものであって、この歯の先端で用紙Pと接触する。歯付ローラ8aは、搬送ローラ8bに向けて付勢されており、歯付ローラ8aの周面は搬送ローラ8bの周面に圧接している。そして、複数の搬送ローラ8bが、図示しないモータにより同期して回転駆動されることにより、用紙Pが歯付ローラ8aと搬送ローラ8bとの間に挟まれて搬送方向へ搬送される。なお、複数の搬送ローラ8bと転写ローラ10は同期して回転することが望ましいので、これらを1つの駆動源により駆動することができる。この場合、共通駆動源として1つのモータを設け、このモータの出力軸と各搬送ローラ8b及び転写ローラ10の回転軸に無端状ベルトを巻き掛けて、モータの出力により複数の搬送ローラ8bと転写ローラ10を回転駆動するように構成すればよい。
次に、図2〜図4を参照しながら、ヘッド1について詳細に説明する。なお、図3では説明の都合上、アクチュエータユニット21の下方にあって鎖線で示されるべき圧力室110、アパーチャ112及び吐出口108を実線で示している。
ヘッド1は、ヘッド本体2を有している。ヘッド本体2は、図2に示すように、流路ユニット9の上面9aに4つのアクチュエータユニット21が固定された積層体である。なお、図示はしないが、ヘッド1は、ヘッド本体2に加えて、流路ユニット9に供給されるインク(又は処理液)を貯留するリザーバユニット、アクチュエータユニット21に駆動信号を供給するフレキシブルプリント配線基板(Flexible Printed Circuit:FPC)、FPCに実装されたドライバICを制御する制御基板等を含んでいる。
図4に示すように、流路ユニット9は、ステンレス鋼からなる複数の金属製のプレートを互いに位置合わせした積層体である。流路ユニット9内には、マニホールド流路105(図2及び図3参照)から副マニホールド流路105a、そして副マニホールド流路105aの出口からアパーチャ112及び圧力室110を経て吐出口108に至る多数の個別インク流路109が形成されている。アクチュエータユニット21は、各圧力室110に対応した複数のアクチュエータを含んでおり、圧力室110内のインクに選択的に吐出エネルギーを付与する機能を有する。
図2に示すように、流路ユニット9の上面9aには、リザーバユニットのインク流出流路に対応していると共にマニホールド流路105の一端と連通する、計10個のインク供給口105bが開口している。流路ユニット9の下面は下向きで水平な吐出面2aとなっており、多数の吐出口108がマトリクス状に配置されている。図5(a)に示すように、複数の吐出口108は、主走査方向(搬送方向と直交する方向)に一定間隔で並ぶ吐出口列を成している。本実施例においては、複数の吐出口列が副走査方向(搬送方向)に並んでいるが、吐出口列は1以上であればよい。そして、複数の吐出口列のうち少なくとも2つの吐出口列において、これらの吐出口列に属する全ての吐出口が副走査方向に重ならないように配置されている。そして、全ての吐出口において主走査方向に隣接する吐出口同士は、主走査方向解像度である600dpiの間隔で離間している。このように、吐出口同士を副走査方向に重ならないように配置することにより、吐出口列の間隔を短縮できるので、ヘッド1の小型化に寄与することができる。
なお、図5(a)に示す吐出面2aでは、複数の吐出口108が一定の間隔をおいて主走査方向に並んで吐出口列を形成し、この吐出口列が副走査方向に複数並んでいるが、吐出面2aの吐出口の配置はこれに限定されない。例えば、図5(b)に示すように、複数の吐出口108が主走査方向に連続して並ぶ吐出口群を形成し、複数の吐出口群を主走査方向に離れて配置した吐出口列を形成し、この吐出口列が副走査方向に複数並んでいてもよい。このように吐出口を配置する場合も、全ての吐出口は副走査方向に重ならないように配置される。
上述のように、本実施例に係る処理液ヘッド1bの吐出面2aには、複数の吐出口108が副走査方向に分かれて配置されている。そこで、図7に示すように、全ての吐出口108が設けられた範囲の副走査方向中央と、転写ローラ10の回転軸とを、副走査方向(搬送方向)に一致させている。つまり、全ての吐出口108が設けられた範囲の副走査方向中央と、転写ローラ10の頂部とが、副走査方向に一致する。このように転写ローラ10を配置することで、全ての吐出口108が設けられた範囲の副走査方向の大きさよりも大きい範囲で、転写ローラ10の径を最小とすることができる。
また、処理液ヘッド1bの吐出面2aは略水平面であって、重力により処理液の着弾位置が影響を受けないように、吐出口108から下向きに処理液を吐出するように構成されている。処理液ヘッド1bの吐出口108から下方へ吐出された処理液は、転写ローラ10の周面である転写面10aへ着弾する。そして、転写ローラ10が回転するうちに転写面10aに着弾した処理液が用紙Pと接触する。この用紙Pと処理液とが接触するときに転写ローラ10と支持ローラ18の間で処理液が押し伸ばされながら、処理液が用紙Pに転写される。図8は、用紙に転写された1滴の処理液の塗布範囲Eを斜線部で示している。同図では、比較のために、1滴の処理液が自然に染み込んだ場合の処理液の塗布範囲Eaを二点鎖線で示している。1滴の処理液の塗布範囲Eは、着弾点Xを中心として四方に広がっているが、用紙Pと相対して転写ローラ10は搬送方向上流側へ移動するので、処理液の液滴は搬送方向上流側に引きずられるように移動する。よって、用紙P上に着弾した1滴の処理液の塗布範囲Eは、搬送方向上流側に尾が伸びた菱形状、言い換えれば、搬送方向上流側から落ちる涙形状をなしている。このように用紙Pに着弾した処理液の液滴が伸ばされるので、液滴が自然に染み込む場合と比較して広い範囲に処理液を塗布することができる。換言すれば、同じ範囲に処理液を塗布するために必要な処理液の量は、液滴が自然に染み込む場合と比較して少なくなる。よって、処理液の消費量を削減することができる。さらに、用紙Pに着弾した処理液の液滴は薄く押し均されるので、第2液が記録媒体上に液体として残存する量を低減でき、処理液の濃度ムラが緩和されるとともに、処理液が用紙Pに十分に浸透するまでの時間を短縮することができる。
上述のような構成のヘッド本体2を有するヘッド1は、後述するヘッド制御部51の制御により、副走査方向に600dpiの間隔で吐出口108からのインク又は処理液が用紙P上に着弾するように、インク又は処理液の吐出間隔が制御される。すなわち、本実施形態においては、主走査方向解像度及び副走査方向解像度はいずれも600dpiであり、用紙P上には、主走査方向と副走査方向とにそれぞれ1/600インチ間隔の格子状に区画された複数の単位領域(画素領域)が規定される。
次に、図6を参照しつつ、制御部100について説明する。制御部100は、CPU(Central Processing Unit)と、CPUが実行する制御プログラム及びこれらプログラムに使用されるデータを書き替え可能に記憶するEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)と、プログラム実行時にデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)とを含んでいる。本発明の制御プログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM、メモリカード等の各種記録媒体に保存されており、これらの記録媒体からEEPROMにインストールされる。そして、この制御プログラムがCPUで実行されることにより、図6に示す制御部100を構成する各機能部が実現される。なお、記録媒体に記録された制御プログラムは、制御部100で直接実行可能なものであってもよいし、EEPROMにインストールすることによって初めて実行可能となるものであってもよい。また、暗号化されていたり、圧縮されていたりしてもよい。
図6に示すように、制御部100は、ヘッド制御部51、画像データ記憶部52、処理液塗布データ作成部53、処理液塗布データ記憶部54、処理液塗布データ変更部55、処理液吐出データ作成部56、処理液吐出データ記憶部57、処理液吐出データ変更部58、及び搬送制御部59を有している。搬送制御部59は、搬送経路に沿って用紙Pが搬送されるように、給紙ユニット101b、各送りローラ対14,28、転写ローラ10、及び搬送機構16を制御する。
ヘッド制御部51は、各ヘッド1に備えられたアクチュエータユニット21に含まれるアクチュエータの駆動を制御するものであって、記録ヘッド1aのアクチュエータを制御する記録ヘッド制御部51a及び処理液ヘッド1bのアクチュエータを制御する処理液ヘッド制御部51bを有している。
記録ヘッド制御部51aは、単位領域にインクが吐出されて画像ドットが形成されるように、後で詳述する画像データ記憶部52に記憶された画像データに基づき、記録ヘッド1aからのインクの吐出を制御する。処理液ヘッド制御部51bは、後で詳述する処理液吐出データ記憶部57に記憶された処理液吐出データに基づき、処理液ヘッド1bからの処理液の吐出を制御する。なお、本実施形態においては、記録ヘッド制御部51a及び処理液ヘッド制御部51bは、ヘッド1から吐出されるインク又は処理液の量をゼロ、小滴、中滴、大滴の4段階で調整する。
画像データ記憶部52は、インクジェットプリンタ101と接続されているPC(Personal Computer)等から転送された用紙P上に記録される画像に係る画像データを記憶する。画像データの値は、各記録ヘッド1aから用紙P上に区画される各単位領域にそれぞれ吐出するインクの量(ゼロ、小滴、中滴、大滴の4段階のいずれか)を示す。例えば、図9(a)に示すように、画像データ記憶部52には、4つの記録ヘッド1aに係る4つの画像データが記憶されている。なお、図9(a)に示す4つの画像データは、用紙P上の同一領域(1〜6までの6行分及びa〜fまでの6列分の計36個分の単位領域)に形成する画像に係る画像データを示している。また、図9(a)の小、中、大との記載は、その単位領域に小滴、中滴、大滴のインクが吐出されることを意味しており、小、中、大のいずれの記載もない領域には、インクが吐出されないことを意味している。
処理液塗布データ記憶部54は、用紙Pに塗布される処理液の塗布データである処理液塗布データを記憶する。具体的には、処理液塗布データの値は、用紙P上に区画される各単位領域に塗布する処理液の量(ゼロ、小滴、中滴、大滴の4段階のいずれか)を示す。処理液塗布データ記憶部54に記憶される処理液塗布データは、処理液塗布データ作成部53で作成される。
制御部100は、用紙Pの画像が形成される単位領域に対して最適な最小量の処理液が塗布されるように、処理液塗布データを作成する。そのために、まず、処理液塗布データ作成部53は、画像データ記憶部52に記憶された4つの画像データから、各単位領域に対してその単位領域に吐出されるインクの量に応じた量の処理液が塗布されるような処理液塗布データを作成する。具体的な処理液塗布データの作成方法は、まず、各単位領域について、最初に吐出されるインクを検出する。そして、検出されたインクを吐出する記録ヘッド1aに係る画像データの値を、その単位領域の処理液塗布データの値とする。
例えば、図9(a)に示すように、第4行のb列に位置する単位領域には、シアン及びイエローのインクが吐出される。シアンのインクを吐出する記録ヘッド1aは、イエローのインクを吐出する記録ヘッド1aよりも搬送方向に関して上流側に位置しているので、この単位領域に最初に吐出されるインクはシアンである。よって、図9(b)に示すように、シアンのインクを吐出する記録ヘッド1aに係る画像データの値(中滴)がこの単位領域の処理液塗布データの値となる。なお、単位領域に吐出されるインクが1つである場合には、そのインクを吐出する記録ヘッド1aに係る画像データの値がその単位領域の処理液塗布データの値となる。このようにして作成された処理液塗布データは、処理液塗布データ記憶部54に記憶される。
処理液塗布データ変更部55は、処理液塗布データ作成部53によって作成され、処理液塗布データ記憶部54に記憶された処理液塗布データを変更する。処理液塗布データ変更部55は、処理液の吐出量を減少させる第1削減部55a,第2削減部55bと、処理液が吐出される単位領域を間引く間引部55cとを有している。
第1削減部55aは、単位領域への処理液の塗布量(液滴量)を、記録ヘッド1aから吐出されるインクの総量と同じかそれよりも小さい量に調整することができる。前述の通り、用紙Pに転写された処理液は転写ローラ10と支持ローラ18に加圧されて伸ばされる(図8参照)。これを考慮して、第1削減部55aは処理液塗布データの処理液の塗布量を削減する。例えば、或単位領域に吐出されるインクの総量が中滴である場合には、その単位領域の処理液吐出データは中滴よりも一段階少ない小滴に変更される。但し、或単位領域に吐出されるインクの総量が小滴である場合には、それ以上少ない塗布量は設定されていないので、その単位領域の処理液塗布データは小滴のままとなる。
また、第2削減部55bは、或単位領域への処理液の塗布量を、その直ぐ搬送方向下流側に隣接する単位領域(以下、単に「下流側単位領域」という)への処理液の塗布量に応じて削減するように、処理液塗布データの値を変更することができる。前述の通り、用紙Pに塗布された処理液は特に搬送方向上流側へ広く伸ばされる。よって、図10に示すように、用紙Pに転写された搬送方向に隣接する2滴の処理液の塗布範囲E,E0が重複することがあり、このような場合は処理液が無駄に消費されることとなる。そこで、第2削減部55bは、或単位領域への処理液の塗布量をその下流側単位領域への処理液の塗布量に応じて調整する。例えば、下流側単位領域の処理液の塗布範囲E0が単位領域のインクの付着範囲Iを全て含む場合には、単位領域の処理液の塗布量をゼロに変更する。また、例えば、下流側単位領域の処理液の塗布範囲E0が単位領域のインクの付着範囲Iの全てを含まないが一部重複するような場合は、単位領域の処理液の塗布量を一段階少なく変更する。このようにして、処理液の塗布範囲の重複を低減することにより、処理液の消費量の削減を図ることができる。
間引部55cは、処理液が塗布される単位領域の数を減らすように、処理液塗布データを変更することができる。例えば、図11(a)に示すように、まとまった領域に含まれる複数の単位領域の全てに処理液を塗布する場合に、転写ローラ10と支持ローラ18の作用により用紙P上で伸ばされた処理液の塗布範囲は隣接する単位領域まで及ぶことから、各単位領域へ処理液を塗布すると処理液の塗布範囲が重複して処理液が無駄に消費されてしまう。そこで、まとまった範囲に含まれる複数の単位領域の全てへ処理液を塗布する場合に、図10(b)に示すように、まとまった範囲に含まれる各単位領域を格子に見立てた格子状の塗布パターンに合致するように処理液を塗布すべく、処理液塗布データが変更される。具体的には、四方を処理液が塗布される単位領域で囲まれた単位領域の塗布量をゼロとすべく、処理液塗布データの値が変更される。このように処理液が塗布される単位領域を間引くことによって、処理液の消費量を削減できるとともに、処理液の厚塗りや塗りムラを低減することができる。さらに、処理液が塗布される単位領域の数が減るので、省エネルギー化に寄与することができる。
上述のように、処理液塗布データ作成部53により作成され、処理液塗布データ変更部55により変更が加えられ、処理液塗布データ記憶部54に記憶された処理液塗布データから、処理液吐出データが作成される。処理液吐出データ作成部56は、処理液塗布データ記憶部54に記憶された処理液塗布データを搬送方向に反転して、例えば図9(c)に示すような、処理液吐出データを作成する。処理液吐出データは、処理液ヘッド1bから吐出される処理液の吐出データである。具体的には、処理液吐出データの値は、各処理液ヘッド1bから転写面10a上に区画される各単位領域にそれぞれ吐出する処理液の量(ゼロ、小滴、中滴、大滴の4段階のいずれか)を示す。処理液吐出データは、処理液吐出データ記憶部57に記憶される。
処理液吐出データ変更部58は、処理液吐出データ作成部56によって作成され、処理液吐出データ記憶部57に記憶された処理液吐出データを変更する。処理液吐出データ変更部58は、処理液の着弾位置を調整する着弾位置調整部58aと、処理液ヘッド1bの吐出タイミングを調整する第1吐出タイミング調整部58b,第2吐出タイミング調整部58cと、処理液の吐出量を増加させる第1増加部58d,第2増加部58eとを有している。
着弾位置調整部58aは、用紙P上のインクが着弾する位置よりも、所定距離(着弾位置調整量)だけ搬送方向下流側を仮想の着弾位置とし、転写面10aの仮想の着弾位置と対応する位置に処理液が着弾するように、処理液吐出データを調整する。前述の通り、1滴の処理液の塗布範囲は搬送方向上流側に伸びる菱形状となる。図12(a)に示すように、着弾点Xに着弾した処理液の塗布範囲Eの搬送方向と直交する方向へ最大幅となる部分Wは、着弾点Xよりも搬送方向上流側に位置する。したがって、処理液とインクとの着弾点とを一致させれば、処理液の塗布範囲Eの搬送方向下流側端とインクの付着範囲Iの搬送方向下流側端との間の余裕代が小さい。個々のヘッド1の吐出精度の差異により着弾点に多少のずれが生じると、処理液の塗布範囲Eからインクの付着範囲Iがはみ出る可能性もある。そこで、着弾位置調整部58aは、図12(b)に示すように、処理液の塗布範囲Eの搬送方向と直交する方向へ最大幅となる部分Wをインクの着弾点Xとすべく、処理液の着弾点を搬送方向下流側へ所定の着弾位置調整量だけ移動させたところを仮想の着弾点Xaとし、転写面10aの仮想の着弾点Xaと対応する位置に処理液が着弾するように、処理液吐出データを調整する。これにより、或単位領域に対して吐出される処理液の吐出タイミングが早まることになる。所定の着弾位置調整量は、搬送機構16による用紙Pの搬送速度と関連付けて制御部100に予め設定される。なお、所定の着弾位置調整量は、通常、単位領域の搬送方向における長さ未満の値となっている。
記録ヘッド1aから吐出されるインクは、走査方向及び副走査方向に等間隔(600dpiの間隔)で用紙Pに着弾する。処理液は、インクと同様に、走査方向及び副走査方向に等間隔で用紙Pに塗布されることが望ましい。このために、処理液は転写面10aに等間隔で規則的に着弾する必要がある。しかし、処理液ヘッド1bの吐出面2aは下向きの略水平面であり、転写面10aの吐出面2aに対向する部分は上方に凸の曲面であることから、図13(a)に示すように、吐出面2aと転写面10aとの距離、すなわち、液滴の飛翔距離Hは吐出口108の副走査方向の位置により異なる。なお、図13(a)では、副走査方向に並ぶA〜Eの吐出口から吐出された処理液が転写面10aへ着弾する様子が示されている。以下では、副走査方向中央に位置するCの吐出口108から転写面10aまでの距離を「基準飛翔距離H0」とする。
液滴の飛翔距離Hを考慮した吐出が行われない場合には、例えば、図13(b)に示すように、用紙Pの処理液の塗布位置が搬送方向にズレてしまう。なお、図13(b)では、図13(a)のA〜Eの各吐出口108から吐出されて転写面10aに着弾した処理液が、用紙Pに転写されたときの塗布位置A〜Eを示している。塗布位置A〜EはA〜Eの吐出口のそれぞれに対応している。同図では、黒丸でインク吐出位置、すなわち、処理液の目標塗布位置が示されている。この図からわかるように、副走査方向中央部に位置するCの吐出口108を基準とした場合に、AとBの吐出口から吐出されて転写ローラ10の頂部よりも回転方向前側の転写面10aに着弾した処理液の用紙P上の塗布位置は、目標塗布位置から搬送方向上流側にズレている。同様に、DとEの吐出口から吐出されて転写ローラ10の頂部よりも回転方向後側の転写面10aに着弾した処理液の用紙P上の塗布位置は、目標塗布位置から搬送方向上流側にズレている。
第1吐出タイミング調整部58bは、処理液が用紙P上の目標塗布位置に塗布されるように、処理液ヘッド1bの吐出タイミングを調整することができる。前述の通り、吐出口108の副走査方向位置によって、液滴の飛翔距離Hが異なる。具体的には、吐出面2aの副走査方向中央部より上流側又は下流側に位置する吐出口108から吐出される液滴の飛翔距離Hは、基準飛翔距離H0よりも大きい。そこで、第1吐出タイミング調整部58bは、飛翔距離Hの差異により生じる用紙Pの処理液の塗布位置ズレを低減するために、転写ローラ10の頂部よりも回転方向前側の転写面10aに着弾する処理液の吐出タイミングを早め、転写ローラ10の頂部よりも回転方向後側の転写面10aに着弾する処理液の吐出タイミングを早くするように、処理液ヘッド1bの吐出タイミングを調整する。これにより、例えば、図13(c)に示すように、用紙Pの処理液の塗布位置と処理液の目標塗布位置(インクの吐出位置)とを一致させることができる。
また、第2吐出タイミング調整部58cは、転写面10a上での液滴の滑りを考慮して、処理液ヘッド1bの吐出タイミングを調整することができる。処理液ヘッド1bより吐出されて転写面10aに着弾した処理液の液滴は、転写面10aと液滴との相対速度や、転写面10aの撥水性などの性質により、転写面10a上で滑ることがある。この現象は、転写面10aの周速度が大きいほど顕著に表れる。そこで、第2吐出タイミング調整部58cは、転写面10aの処理液が着弾する位置の周速度、すなわち、転写面10aの周速度と吐出口108の副走査方向位置とに応じて、処理液ヘッド1bの吐出タイミングを調整する。
また、第1増加部58dは、転写面10a上での液滴の滑りを考慮して、処理液ヘッド1bから吐出される処理液の量を増加する補正を行うことができる。高速で回転する転写ローラ10の周面には気流が生じ、この気流は、転写面10aの周速度が大きいほど激しくなる。吐出口108から吐出される処理液の液滴はこの気流の影響を受ける程度に十分に小さく、特に、液滴の大きさが小さいほど気流の影響を受けやすくなる。そこで、第1増加部58dは、転写面10aの周速度と吐出口108の副走査方向位置とに応じて、液滴が受ける気流の影響を低減するために、吐出される液滴量を増加させる補正を行う。具体的には、第1増加部58dは、転写面10aの周速度と吐出口108の副走査方向位置とに応じて最小液滴量を定め、吐出量が最小液滴量よりも小さい場合に吐出量を最小液滴量に変更する。周速度の検出は、転写ローラ10を回転するモータ(不図示)の出力を検出するか、転写ローラ10に速度検出手段を設けて周速度(回転速度)を検出することによって行う。また、最小液滴量の設定は、予め転写面10aの周速度及び吐出口108の副走査方向位置と最小液滴量とを関連づけるマップを設け、このマップから転写面10aの周速度及び吐出口108の副走査方向位置に基づいて最小液滴量を読み出し、読み出された最小液滴量を設定する。
以上のように、処理液吐出データ変更部58では、転写面10aの形状、転写面10aの表面に生じる気流の影響、転写面10aに着弾したときの液滴の滑りをそれぞれ考慮して、処理液吐出データ記憶部57に記憶された処理液吐出データの液滴量や吐出タイミングが変更される。これにより、転写面10aから用紙Pに転写された処理液の塗布位置を目標塗布位置へ、より近づけることができる。
さらに、処理液吐出データ変更部58の第2増加部58eは、吐出口からの液滴の飛翔距離Hに応じて、その吐出口から吐出される液滴量を増加させる補正を行うことができる。液滴の飛翔距離Hが基準飛翔距離H0から乖離するほど、用紙Pの処理液の塗布位置と目標塗布位置とのズレ量が大きくなる。そこで、第2増加部58eは、液滴の飛翔距離Hの基準飛翔距離H0からの乖離度に応じて、すなわち、吐出口108の副走査方向位置に応じて、吐出される処理液の液滴量を大きくするように補正を行う。具体的には、第2増加部58eは、予め設定された吐出口108の副走査方向位置に対応する液滴の増加量に基づいて、処理液の吐出量を増加させるように、処理液吐出データの補正を行う。このように、液滴量を増大させることによって、図13(d)に示すように、用紙P上の処理液の塗布位置が目標塗布位置からズレても、液滴量の増加に伴い処理液の塗布範囲が広くなるので、広がった塗布範囲にインクの吐出位置を含めることができる。
以上のように、本実施形態のインクジェットプリンタ101は、インクを吐出する記録ヘッド1aの、用紙Pの搬送方向上流側に処理液を吐出する処理液ヘッド1bを設け、搬送機構16により搬送される用紙Pと処理液ヘッド1bの吐出面2aとの間に中間転写体として転写ローラ10を設けている。転写ローラ10の周面は、処理液ヘッド1bから吐出された処理液が着弾する転写面10aであり、処理液が着弾した転写面10aと用紙Pとを転写ローラ10と支持ローラ18とで加圧しながら接触させることで、用紙Pへ処理液を転写する。転写ローラ10と支持ローラ18とで加圧された処理液は、用紙P上で薄く伸ばされて、用紙Pのより広い範囲に塗布される。このようにして、処理液の消費量を増大させることなく、インクの付着領域よりも処理液の塗布領域を大きくすることができ、処理液の消費量を削減できる。さらに、用紙Pに着弾した処理液は転写ローラ10と支持ローラ18とで薄く伸ばされるので、処理液が用紙Pに十分に浸透するまでに要する時間が短縮される。よって、処理液が用紙Pに塗布されてからインクが着弾するまでの搬送速度をより速くすることが可能となり、高速記録の実現に寄与することができる。
また、本実施形態のインクジェットプリンタ101は、制御部100に、用紙Pに形成される画像に関する画像データを記憶する画像データ記憶部52と、画像データに基づいて記録ヘッド1aの吐出動作を制御する記録ヘッド制御部51aと、用紙P上のインクが着弾する位置と処理液が塗布される位置とが対応するように画像データに基づいて処理液吐出データを作成する処理液吐出データ作成部56と、処理液吐出データを記憶する処理液吐出データ記憶部57と、処理液吐出データに基づいて処理液ヘッド1bを制御する処理液ヘッド制御部51bを備えている。そして、制御部100は、転写ローラ10及び支持ローラ18により加圧されて用紙Pに塗布された処理液が伸ばし広げられることを考慮して、処理液の吐出量を削減したり、吐出量を増加させたり、処理液が吐出される単位領域を間引いたりすることによって、各単位領域に対して最適な最小量の処理液を吐出するように処理液吐出データ(処理液塗布データ)を変更する、処理液吐出データ変更部58(処理液塗布データ変更部55)を有する。さらに、制御部100は、処理液ヘッド1bの吐出口108と用紙Pとの間に中間転写体を介在させることによる用紙P上の処理液の塗布位置ズレを低減するために、処理液ヘッド1bからの吐出タイミングを調整したり、吐出量を増大したりする変更を処理液吐出データ(処理液塗布データ)に加える、処理液吐出データ変更部58(処理液塗布データ変更部55)を有する。このように効率的に処理液が塗布されるように制御部100により処理液ヘッド1bの吐出が制御されるので、処理液の効果を十分に発揮させて高い画質を維持しつつ、処理液の消費量を削減することができる。
以上、本発明の好適な一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて、様々な設計変更を行うことが可能なものである。
例えば、上述の実施形態では、処理液塗布データを作成し、処理液塗布データを記録し、処理液塗布データの変更を行った後、処理液吐出データを作成し、処理液吐出データを記録し、処理液吐出データの変更を行う場合について説明したが、制御部100で行われる処理手順はこれに限定されるものではない。例えば、処理液塗布データの作成と処理液塗布データの変更を同時に行ったり、処理液吐出データの作成と処理液吐出データの変更を同時に行ったりしてもよい。また、処理液塗布データの作成と処理液吐出データの作成とを同時に行い、作成された処理液吐出データの変更を行ってもよい。また、上述の実施形態では、処理液塗布データを、第1削減部55a、第2削減部55b、及び間引部55cで変更する場合について説明したが、処理液塗布データの変更処理はこれに限定されるものではない。第1削減部55a、第2削減部55b、及び間引部55cの処理のうち少なくとも1つを行ってもよいし、他の処理を加えてもよい。また、上述の実施形態では、処理液吐出データを、着弾位置調整部58a、第1吐出タイミング調整部58b、第2吐出タイミング調整部58c、第1増加部58d、及び第2増加部58eで変更する場合について説明したが、処理液吐出データの変更処理はこれに限定されるものではない。着弾位置調整部58a、第1吐出タイミング調整部58b、第2吐出タイミング調整部58c、第1増加部58d、及び第2増加部58eの処理のうち選択された1以上の処理を行ってもよいし、他の処理を加えてもよい。
また、上述の図5(b)に示す実施形態では、全ての吐出口は副走査方向に重ならないように配置されているが、主走査方向に隣接する吐出口列について、一部の吐出口が副走査方向に重なる配置であってもよい。例えば吐出口列の端部の数個の吐出口が副走査方向に重なるように配置される。この場合、副走査方向に重なる吐出口については、インクの吐出がいずれか一方の吐出口列に属する吐出口からなされる。
また、上述の実施形態では、中間転写体として転写ローラ10を用いる場合について説明したが、中間転写体は転写ローラ10に限定されない。例えば、図14に示すように、中間転写体として無限軌道を有する転写ベルト121を用いてもよい。転写ベルト121は無端状ベルトであって、複数のローラ122,123,124に巻回されている。転写ベルト121のうち少なくとも処理液ヘッド1bの吐出面2aと対向する部分の軌道は、略水平に形成されることが望ましい。これにより、吐出口108より吐出されてから転写ベルト121の転写面121aに着弾するまでの処理液の飛翔距離が各吐出口108で一定となり、処理液ヘッド1bの吐出口108の位置による吐出タイミングの調整が不要となる。そして、複数のローラ122,123,124のうち少なくとも1つは駆動ローラ123であって、当該駆動ローラ123が回転することにより、複数のローラに巻回された転写ベルト121が移動する。複数のローラ122,123,124のうち1つは、用紙Pの下面と接触する支持ローラ18と対を成すように、支持ローラ18と周面が用紙Pを介して対向するように配置される。上記構成の転写ベルト121では、処理液ヘッド1bから吐出された処理液が転写ベルト121の転写面121aに着弾し、転写ベルト121が回転するうちに用紙Pと転写ベルト121とが接触することにより、転写ベルト121に着弾した処理液が用紙Pに転写される。転写と同時に、用紙Pと該用紙Pに付着した処理液がローラ123と支持ローラ18との間で加圧されることにより、用紙P上で処理液が薄く伸ばされて広がる。
なお、本発明は、インク以外の液体を吐出する液体吐出装置にも適用可能である。さらに、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機などにも適用可能である。また、ヘッド制御部が処理液ヘッドのアクチュエータユニットや各記録ヘッドのアクチュエータユニットを駆動するのではなく、処理液ヘッド及び各記録ヘッドの発熱素子を駆動することヘッドから処理液やインクを吐出することとしてもよい。また、インクへの処理液の作用としては、インクと処理液が混ざることで化学反応を起こし、インク中の成分(顔料や染料)を凝集又は析出することも含まれる。また、化学反応することなしにインク中の成分(顔料や染料)を凝集又は析出することも含まれる。また、一般的に顔料インクに対しては顔料色素を凝集させる処理液が使用され、染料インクに対しては染料色素を析出させる処理液が使用されるのは上述の通りであるが、凝集および析出の両方の作用を有してもよい。また、上述の実施形態では、処理液吐出データ作成部で作成される処理液の吐出データが、最初に吐出されるインク量に対応した量となっているが、一定値(例えば中滴)でもよい。