JP5442241B2 - 容器のガス置換方法及びその装置 - Google Patents
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Description
(1)ノズルから噴射するガス流が容器開口部に向けて中心部で衝突させることは、置換ガス流を上下方向に偏向させて置換ガス流が液面を叩き液面近傍に存する残存空気を追い出して置換ガスと置換するのに効果的であるが、置換ガスを速い流速でヘッドスペースに吹き込むことで置換ガスが液面を叩く衝撃が強くなり、液こぼれを生じさせている。それを減少させるためには、置換ガスの流速を遅くすることが考えられるが、ノズルの限られた開口面積(範囲)から所定量の置換ガスを所定時間に噴射するためには、所定の流速を確保する必要がある。
(2)アンダーカバーガッシングで、従来図5に示すように、缶ヘッドスペースの缶進行方向両端近傍(ノズルの両端部前方)Sに渦6が発生し、それが淀みとなって置換効率を低下させている。
(3)ヘッドスペースへの置換ガス吹き込み時に、置換ガスが缶ネック部外周面に存在する空気の巻き込みが起きて、ヘッドスペースの置換率向上に弊害となっている。
即ち、上記課題を達成する本発明の容器のガス置換方法は、内容物充填容器のヘッドスペースに置換ガスを吹き込んでヘッドスペース内の残存気体を置換するガス置換方法において、置換ノズルより吹き込む置換ガス流が、容器開口縁部から開口部中心を通って外部に向けて吹き出す主ガス噴射流と、容器開口部中心に対して所定角度を有して前記主ガス噴射流を挟んで対称に吹き出す副ガス噴射流を形成し、前記主ガス噴射流と前記副ガス噴射流を衝突させてガス置換を行うようにしてなり、前記主ガス噴射流に対して所定角度で対称に吹き込まれる副ガス噴射流間の噴射角度が100゜〜130゜であることを特徴とするものである。
そして、ガス置換装置が缶巻締機のアンダーカバーガッシング装置において、前記アンダーカバーガッシング装置のガスターレットのポケットの両側に設けられた一対のフィンガーをノズル体の前記副ガス噴射流路の上面位置に設けるように工夫することによって、ポケットに面するノズル体の噴射開口を広げて、副ガス噴射流路の角度を110゜以上にすることを可能としている。
また、前記主ガス噴射流に対して所定角度で対称に吹き込まれる副ガス噴射流間の噴射角度が100゜〜130゜と大きくすることによって、ヘッドスペース内にガスの淀みが生じることを防止でき、置換率を高めることができる。また、置換ノズル範囲が拡大することによって、その分所定量の置換ガス量をヘッドスペースに吹き込むのに、流速を低くすることが可能であり、液こぼれ抑制に効果がある。
また、請求項5の構成にすることによって、置換ノズルの周方向の開口角度(中心部に対する噴射角度)を従来よりも大きくすることが構造的に可能となった。
図1は、本発明のガス置換装置の実施形態に係るアンダーカバーガッシング装置の要部平面断面図であり、図7に示すガスターレット1の円弧状凹部(ポケット)3に面するように設けられる。図2に示すようにガスターレット1のガスターレット本体10の上面にノズル体11が固定され、該ノズル体の内部に各円弧状凹部3に通じる置換ガス流路12が形成されている。
本実施形態では、置換ガス供給口14に至る置換ガス流路12は、置換ガス量を少なくするため、図3に示すように、略等高さのストレートに形成され、途中でのバッファは設けられていない。該置換ガス流路12は、先端部は複数の風向調整板13によって仕切られて、円弧状凹部3に面して複数の置換ガス噴射流路を形成している。本実施形態の噴射流路は、中央部は置換ガスが直進して缶開口中心を通って反対側に抜けるように置換ガスを噴出する主ガス噴射流路15となっており、該主ガス噴射流路15を挟んで容器開口部中心に対して所定角度を有して対称に形成された副ガス噴射流路16から形成されている。副ガス噴射流路16は、少なくとも円弧凹部の最外側近傍に位置して形成され、本実施形態では該副ガス噴射流路16と中心上の主ガス噴射流路15との間をさらに複数の中間副ガス噴射流路17を形成しているが、中間副ガス噴射流路17は必ずしも形成しなくてもよい。
なお、置換ガスには、通常窒素や炭素ガスなどの不活性ガスが用いられる。
主ガス噴射流路15から噴射された主噴射ガス流は、図4に示すように、高さ方向中心部は略直進しながらヘッドスペース内のガスを缶外に押し出して缶外に抜ける。同時に左右の副ガス噴射流路16から噴射された副ガス噴射流21は缶の略中心部で衝突して下降流となり、液面に広がり液面を叩くが、従来の中心直進流がなく放射流のみの場合と比べて、主ガス噴射流20と衝突することによって副ガス噴射流の衝突衝撃が主ガス噴射流によって緩和され、また、主ガス噴射流が缶蓋のチャックウォールに衝突して下降する置換ガス流を両側から対称に吹き込む副ガス流によって緩和され、その分液面を叩く衝撃が弱く液はねや液こぼれを少なくすることができる。
また、本発明では、噴射流路の高さ方向長さhが、缶蓋高さaと缶ネック部の長さbの1/3よりも高く形成されているため、図4に示すように、主ガス噴射流20及び副ガス噴射流21ともそのノズル開口上方部から噴射するガス流は缶蓋33のチャックウォール34にあたってからヘッドスペースに進入して液面を叩くが、本発明の場合は前述のようにノズルの開口面積が大きいため、その分流速が遅いので、それにより液面を叩く衝撃は少なく、液こぼれを生じることなく、液面及び缶内周面近傍のガス置換を効率よく行うことができる。一方、ノズル開口下方部からのガス流は缶のネック部31外周面に当たり、該近傍を置換ガス雰囲気にすることによって、缶内への外気の吸い込みを防ぐことができる。
(1)ガス置換装置
一対の副ガス噴射流路16の角度:120゜
ガス流路の高さ:h=12mm
(2)ガス置換条件
缶形状:胴部直径66mm、開口部直径60mm、缶ショルダー部高さ18mm
缶蓋形状:蓋高さ7mm
内溶液の種類及びその量: 脱気水350g、
ヘッドスペース容積:19.2ml
置換ガス種:炭酸ガス
(3)測定法
残存エアー量:ヘッドスペースの初期設定のエアーとして、ヘッドスペースの単位時間ごとの炭酸ガス濃度から計算
液こぼれ量:缶フランジ部に面を作成して通過する液体の流量を積算した。
比較例として従来の櫛歯型ノズルで行う場合(比較例1)、及び櫛歯型ノズルでバッファが設けられているノズル体で行なう場合(比較例2)について、実施例と同一条件および同一方法で、置換ガス噴射時間に対する残存エアー量、液こぼれ量の変化をそれぞれ数値解析により分析して評価を行った。その結果を実施例と共に、図8、図9のグラフに示す。図8は比較例2のノズル体により、600Nl/min、900Nl/min、1200Nl/minと変化させて行なった場合のヘッドスペースの残存エアー量、液こぼれ量の変化を示している。図9は、比較例1が置換ガス流量900Nl/minで行なった場合、比較例2が置換ガス流量900Nl/minと1200Nl/minの場合の液こぼれ量とヘッドスペース内の残存エアー量(ml)を示す。
図8のグラフより明らかなように、実施例の場合は、流量600Nl/minで比較例2の場合の噴射流量900Nl/minの場合よりも残存エアー及び液こぼれ量とも著しく低減している。同様に、実施例で900Nl/min噴射した場合は、比較例で1200Nl/min噴射した場合よりも残存エアー量及び液こぼれ量とも低減しており、比較例2で実施例と同等の残存エアー量に低減させるためには、実施例より約30%増の置換ガス量を使用しなければならないことが分かる。
3 円弧状凹部(ポケット) 4 フィンガー
5 ノズル体 6 渦
10 ガスターレット本体 11 ノズル体
12 置換ガス流路 13 風向調整板
14 置換ガス供給口 15 主ガス噴射流路
16 副ガス噴射流路 17 中間副ガス噴射流路
20 主ガス噴射流 21 副ガス噴射流
30 缶 31 ネック部
33 缶蓋 34 チャックウォール
Claims (5)
- 内容物充填容器のヘッドスペースに置換ガスを吹き込んでヘッドスペース内の残存気体を置換するガス置換方法において、置換ノズルより吹き込む置換ガス流が、容器開口縁部から開口部中心を通って外部に向けて吹き出す主ガス噴射流と、容器開口部中心に対して所定角度を有して前記主ガス噴射流を挟んで対称に吹き出す副ガス噴射流を形成し、前記主ガス噴射流と前記副ガス噴射流を衝突させてガス置換を行うようにしてなり、
前記主ガス噴射流に対して所定角度で対称に吹き込まれる副ガス噴射流間の噴射角度が100゜〜130゜であることを特徴とする容器のガス置換方法。 - 前記ガス置換方法が缶巻締機のアンダーカバーガッシング方法であり、前記置換ガス流を、缶蓋高さと缶ネック部の長さの1/3との合計より長い高さ方向の開口を有する置換ノズルより吹き出すようにした請求項1に記載のガス置換方法。
- 内容物充填容器のヘッドスペースに置換ガスを吹き込んで残存気体と置換するガス置換装置において、容器開口縁部から開口部中心を通って外部に向けて置換ガスを吹き出す主ガス噴射流路と、容器開口部中心に対し所定角度を有して前記主ガス噴射流路を挟んで主ガス噴射流に対して対称に置換ガスを吹き出す副ガス噴射流路を有し、前記主ガス噴射流路と副ガス噴射流路の開口は容器開口上部と容器上部にガスを噴射するように高さ方向に所定長さを有し、
かつ前記副ガス噴射流路からの対向する置換ガスの吹き出し方向のなす角度が100°〜130゜であることを特徴とする容器のガス置換装置。 - 前記ガス置換装置が缶巻締機のアンダーカバーガッシング装置であり、置換ガス流路の高さ方向の長さが、缶蓋高さと缶ネック部の長さの1/3との合計より長い請求項3に記載のガス置換装置。
- 前記アンダーカバーガッシング装置のガスターレットのポケット両側に設けられた一対のフィンガーがノズル体の前記副ガス噴射流路の上面位置に設けられていることを特徴とする請求項4に記載のガス置換装置。
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