以下において、本発明の実施形態に係る投写型映像表示装置について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
[第1実施形態]
(投写型映像表示装置の構成)
以下において、第1実施形態に係る投写型映像表示装置の構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の構成を示す図である。
図1に示すように、投写型映像表示装置100は、投写レンズユニット110と、照明装置120とを有する。
図1では、光源10が発する光を均質化するフライアイレンズ、光源10が発する光の偏光方向を揃えるPBS(Polarized Beam Splitter)などが省略されていることに留意すべきである。
投写レンズユニット110は、照明装置120から出射された映像光をスクリーン(不図示)上などに投写する。
照明装置120は、光源10と、複数の液晶パネル30(液晶パネル30R、液晶パネル30G、液晶パネル30B)と、複数の偏光回旋素子40(偏光回旋素子40R、偏光回旋素子40G、偏光回旋素子40B)と、クロスダイクロイックプリズム50とを有する。
光源10は、白色光を発するUHPランプなどである。すなわち、光源10が発する光は、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bを少なくとも含む。
液晶パネル30Rは、映像入力信号(赤入力信号Rin)に応じて、赤成分光Rを変調する。同様に、液晶パネル30G及び液晶パネル30Bは、映像入力信号(緑入力信号Gin及び青入力信号Bin)に応じて、緑成分光G及び青成分光Bを変調する。
ここで、これらの液晶パネル30は、光入射側及び光出射側に偏光板(不図示)が設けられている。
偏光回旋素子40Rは、液晶パネル30Rの光入射側に設けられている。偏光回旋素子40Rは、液晶パネル30Rに入射する赤成分光Rの一部である回旋対象光(以下、回旋対象光Rr)の偏光方向を回旋する。ここで、回旋対象光Rrは、赤成分光Rの色純度が優先されるモードにおいて、赤単色の色純度が高くなる波長帯域を有する色成分光(以下、赤高色純度成分光Rt)の波長帯域外の波長帯を有する。すなわち、偏光回旋素子40Rは、赤高色純度成分光Rtを回旋せずに回旋対象光Rrを回旋可能に構成されている。
ここで、偏光回旋素子40Rは、回旋対象光Rrの偏光方向を回旋しない状態と回旋対象光Rrの偏光方向を90°回旋する状態とを選択的に切り替え可能に構成された光学素子である。なお、偏光回旋素子40Rは、回旋対象光Rrの偏光方向を0°〜90°の範囲内で回旋する光学素子であってもよい。偏光回旋素子40Rの詳細については後述する(図3を参照)。
同様に、偏光回旋素子40G及び偏光回旋素子40Bは、液晶パネル30G及び液晶パネル30Bの光入射側に設けられている。
偏光回旋素子40Gは、液晶パネル30Gに入射する緑成分光Gの一部である回旋対象光(以下、回旋対象光Gr)の偏光方向を回旋する。ここで、回旋対象光Grは、緑成分光Gの色純度が優先されるモードにおいて、緑単色の色純度が高くなる波長帯域を有する色成分光(以下、緑高色純度成分光Gt)の波長帯域外の波長帯を有する。すなわち、偏光回旋素子40Gは、緑高色純度成分光Gtを回旋せずに回旋対象光Grを回旋可能に構成されている。
偏光回旋素子40Bは、液晶パネル30Bに入射する青成分光Bの一部である回旋対象光(以下、回旋対象光Br)の偏光方向を回旋する。ここで、回旋対象光Brは、青成分光Bの色純度が優先されるモードにおいて、青単色の色純度が高くなる波長帯域を有する色成分光(以下、青高色純度成分光Bt)の波長帯域外の波長帯を有する。すなわち、偏光回旋素子40Bは、青高色純度成分光Btを回旋せずに回旋対象光Brを回旋可能に構成されている。
偏光回旋素子40G(又は、偏光回旋素子40B)は、偏光回旋素子40Rと同様に、回旋対象光Gr(又は、回旋対象光Br)の偏光方向を回旋しない状態と回旋対象光Gr(又は、回旋対象光Br)の偏光方向を90°回旋する状態とを選択的に切り替え可能に構成された光学素子である。なお、偏光回旋素子40G(又は、偏光回旋素子40B)は、回旋対象光Gr(又は、回旋対象光Br)の偏光方向を0°〜90°の範囲内で回旋する光学素子であってもよい。
ここで、偏光回旋素子40によって回旋対象光の偏光方向が回旋されると、液晶パネル30の光入射側に設けられた偏光板(入射側偏光板)は回旋対象光を遮光する。これによって、各色成分光の色純度が高まることに留意すべきである。
なお、入射側偏光板は、高色純度成分光を透過するように設計されていることは勿論である。
クロスダイクロイックプリズム50は、液晶パネル30R、液晶パネル30G及び液晶パネル30Bから出射される光を合成する色合成部である。クロスダイクロイックプリズム50で合成された合成光は、投写レンズユニット110に導かれる。
照明装置120は、複数のレンズ群(レンズ60R、レンズ60G、レンズ60B、レンズ61〜レンズ63)と、複数のダイクロイックミラー群(ダイクロイックミラー71及びダイクロイックミラー72)と、複数の反射ミラー群(反射ミラー81、反射ミラー82及び反射ミラー83)とを有する。
レンズ60Rは、液晶パネル30Rから出射された光が投写レンズユニット110に照射されるように、赤成分光Rを集光するレンズである。同様に、レンズ60Gは、液晶パネル30Gから出射された光が投写レンズユニット110に照射されるように、緑成分光Gを集光するレンズである。レンズ60Bは、液晶パネル30Bから出射された光が投写レンズユニット110に照射されるように、青成分光Bを集光するレンズである。レンズ61〜レンズ63は、赤成分光R及び緑成分光Gの光路長と青成分光Bの光路長との違いを調整するためのリレーレンズである。
ダイクロイックミラー71は、緑成分光G及び青成分光Bを含む合成光と赤成分光Rとを分離する光学素子である。具体的には、ダイクロイックミラー71は、緑成分光G及び青成分光Bを含む合成光を反射して、赤成分光Rを透過する。
ダイクロイックミラー72は、ダイクロイックミラー71で分離された合成光のうち、緑成分光Gと青成分光Bとを分離する光学素子である。具体的には、ダイクロイックミラー72は、緑成分光Gを反射して、青成分光Bを透過する。
反射ミラー81は、ダイクロイックミラー71で分離された赤成分光Rを反射して、赤成分光Rを液晶パネル30R側に導くミラーである。
反射ミラー82及び反射ミラー83は、ダイクロイックミラー72で分離された青成分光Bを反射して、青成分光Bを液晶パネル30B側に導くミラーである。
(各色成分光の波長帯)
以下において、第1実施形態に係る各色成分光の波長帯について、図面を参照しながら説明する。図2は、第1実施形態に係る各色成分光の波長帯を示す図である。
図2に示すように、赤成分光Rは、各色成分光のうち、最も長波長の波長帯を有する。一方で、青成分光Bは、各色成分光のうち、最も短波長の波長帯を有する。緑成分光Gは、青成分光Bの波長帯と赤成分光Rの波長帯とに挟まれる波長帯を有する。
ここで、各色分離部(ダイクロイックミラー71及びダイクロイックミラー72)に入射する色成分光の入射角に応じて、各色分離部のカットオフ波長を変化させているため、各色成分光の波長帯の境界(境界領域(1)及び境界領域(2))は、、各色分離部の中心カットオフ波長の近傍に設けられる。
一方で、図2に示すように、各色成分光の光量は、最大光量を有するピーク波長を境にして、長波長側(又は、短波長側)となるに従って減少する。
従って、色成分光の出射光量を優先するモード(光量優先モード)では、各色分離部によって分離された色成分光の全てを利用することが好ましい。一方で、色成分光の色純度を優先するモード(色純度優先モード)では、各色分離部によって分離された色成分光の全てを利用することは好ましくない。
第1実施形態では、色純度優先モードでは、偏光回旋素子40が回旋対象光の偏光方向のみを回旋することによって、液晶パネル30を透過する色成分光の波長帯を絞る。これによって、色成分光の色純度を高めている。
具体的には、液晶パネル30Rの光入射側に設けられた偏光板は、偏光回旋素子40Rによって偏光方向が回旋された回旋対象光Rrを遮光する。ここで、回旋対象光Rrは、赤高色純度成分光Rtよりも短波長側の波長を有する光である。
また、液晶パネル30Bの光入射側に設けられた偏光板は、偏光回旋素子40Bによって偏光方向が回旋された回旋対象光Brを遮光する。ここで、回旋対象光Brは、青高色純度成分光Btよりも長波長側の波長を有する光である。
さらに、液晶パネル30Gの光入射側に設けられた偏光板は、偏光回旋素子40Gによって偏光方向が回旋された回旋対象光Grを遮光する。ここで、回旋対象光Grは、緑高色純度成分光Gtよりも短波長側の波長を有する光及び緑高色純度成分光Gtよりも長波長側の波長を有する光のいずれか一方又は両方である。
なお、各色分離部のカットオフ波長を調整することによって、特定の色成分光の色純度を高めることは可能であるが、特定の色成分光以外の色純度が低下してしまう。例えば、赤成分光Rの色純度を高めるために、ダイクロイックミラー71のカットオフ波長を長波長側に調整した場合には、緑成分光Gの色純度が低下することに留意すべきである。
(カットオフ波長の一例)
3色の色成分光を利用する従来技術において、赤成分光Rと緑成分光Gとを分離するダイクロイックミラーの中心カットオフ波長が、緑色の色純度を高めるために570nmであると想定する。この場合には、ダイクロイックミラーで分離された赤成分光Rの光路上に、赤色の色純度を高めるために、590nm以下の波長を有する光をカットするカットフィルターが設けられる。すなわち、570nm〜590nmの波長帯を有する色成分光(黄成分光Ye)がカットされる。
これに対して、4色の色成分光(すなわち、黄成分光Ye)を利用するケース(1)では、赤成分光Rと緑成分光Gとを分離するダイクロイックミラーの中心カットオフ波長は、従来技術に係る中心カットオフ波長よりも長波長側に設けられる(例えば、575nm)。一方で、カットフィルターは、従来技術に係るカットフィルターよりも短波長側(例えば、585nm未満)の光をカットする。
すなわち、ケース(1)では、約570nm〜575nmの波長帯を有する黄成分光Yeが緑成分光Gに重畳され、約585nm〜590nmの波長帯を有する黄成分光Yeが赤成分光Rに重畳される。
また、4色の色成分光(すなわち、黄成分光Ye)を利用するケース(2)では、赤成分光Rと緑成分光Gとを分離するダイクロイックミラーの中心カットオフ波長は、ケース(1)に係る中心カットオフ波長よりも長波長側に設けられる(例えば、580nm)。一方で、カットフィルターは設けられていない。
すなわち、ケース(2)では、約570nm〜580nmの波長帯を有する黄成分光Yeが緑成分光Gに重畳され、約580nm〜590nmの波長帯を有する黄成分光Yeが赤成分光Rに重畳される。
第1実施形態では、緑色の色純度を高める必要がある場合に、偏光回旋素子40Gが回旋対象光Grを回旋して、液晶パネル30Gを透過する波長帯を絞る。同様に、赤色の色純度を高める必要がある場合に、偏光回旋素子40Rが回旋対象光Rrを回旋して、液晶パネル30Rを透過する波長帯を絞る。
従って、第1実施形態では、赤成分光Rと緑成分光Gとを分離するダイクロイックミラー72の中心カットオフ波長としては、上述したケース(1)及びケース(2)のいずれを採用してもよい。
(偏光回旋素子の構成)
以下において、第1実施形態に係る偏光回旋素子の構成について、図面を参照しながら説明する。図3は、第1実施形態に係る偏光回旋素子40を説明するための図である。なお、偏光回旋素子40R、偏光回旋素子40G及び偏光回旋素子40Bは同様の構成を有することに留意すべきである。
図3では、λ1は、高色純度成分光であり、λ2は、回旋対象光である。図3に示すように、偏光回旋素子40に電圧が印加されていない状態(OFF状態)では、λ1の偏光方向及びλ2の偏光方向は回旋されない。一方で、偏光回旋素子40に電圧が印加された状態(ON状態)では、λ1の偏光方向は回旋されずに、λ2の偏光方向は選択的に90°回旋される。
以下において、偏光回旋素子40Rを例に挙げて、回旋対象光Rrの回旋について説明する。図4は、第1実施形態に係る偏光回旋素子40Rを説明するための図である。図4では、縦軸は、偏光回旋素子40Rに入射した際における赤成分光R(回旋対象光Rr)が回旋されずに偏光回旋素子40Rを透過する比率(透過率)を示している。横軸は、赤成分光Rの波長を示している。従って、図4では、透過率が低ければ低いほど、赤成分光R(回旋対象光Rr)の偏光方向が回旋されていることに留意すべきである。
図4に示すように、偏光回旋素子40Rに印加される電圧が増加するに従って、所定波長(例えば、600nm)以下の赤成分光R(すなわち、回旋対象光Rr)の透過率が低下する。すなわち、偏光回旋素子40Rに印加される電圧が増加するに従って、回旋対象光Rrの偏光方向が回旋される。
次に、偏光回旋素子40Gを例に挙げて、回旋対象光Grの回旋について説明する。図5は、第1実施形態に係る偏光回旋素子40Gを説明するための図である。図5では、縦軸は、偏光回旋素子40Gに入射した際における緑成分光G(回旋対象光Gr)が回旋されずに偏光回旋素子40Gを透過する比率(透過率)を示している。横軸は、緑成分光Gの波長を示している。従って、図5では、透過率が低ければ低いほど、緑成分光G(回旋対象光Gr)の偏光方向が回旋されていることに留意すべきである。
図5に示すように、偏光回旋素子40Gに印加される電圧が増加するに従って、所定波長(例えば、570nm)以上の緑成分光G(すなわち、回旋対象光Gr)の透過率が低下する。同様に、偏光回旋素子40Gに印加される電圧が増加するに従って、所定波長(例えば、520nm)以下の緑成分光G(すなわち、回旋対象光Gr)の透過率が低下する。すなわち、偏光回旋素子40Gに印加される電圧が増加するに従って、回旋対象光Grの偏光方向が回旋される。
(色再現範囲)
以下において、第1実施形態に係る色再現範囲について、図面を参照しながら説明する。図6は、第1実施形態に係る色再現範囲について説明するための図である。
図6に示すように、光量優先モードでは、色分離部によって分離された色成分光のうち、各偏光回旋素子(偏光回旋素子40R、偏光回旋素子40G及び偏光回旋素子40B)に到達した光が利用されるため、各色成分光の色純度が低下する。従って、光量優先モードでは、色再現範囲は、R1、G1及びB1によって示される範囲である。
一方で、色純度優先モードでは、色分離部によって分離された色成分光の一部(高色純度成分光)のみが利用されるため、各色成分光の色純度が向上する。従って、色純度優先モードでは、色再現範囲は、R2、G2及びB2によって示される範囲である。
このように、色純度優先モードにおける色再現範囲(R2、G2及びB2)は、光量優先モードにおける色再現範囲(R1、G1及びB1)よりも広い。
(制御部の構成)
以下において、第1実施形態に係る制御部の構成について、図面を参照しながら説明する。図7は、第1実施形態に係る制御部300の構成を示すブロック図である。
図7に示すように、制御部300は、入力信号受付部310と、色純度算出部320と、変調量制御部330と、回旋量制御部340とを有する。
入力信号受付部310は、赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及び青入力信号Binを含む映像入力信号を受け付ける。具体的には、入力信号受付部310は、DVD再生装置やTVチューナなどの機器から映像入力信号を受け付ける。
色純度算出部320は、映像入力信号に基づいて、赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及び青入力信号Binに対応する色純度を算出する。続いて、色純度算出部320は、各色成分光の光量及び色純度を調整しながら、各液晶パネル30の変調量の制御を変調量制御部330に指示するとともに、各偏光回旋素子40の回旋の制御を回旋量制御部340に指示する。
例えば、色純度優先モードでは、色純度算出部320は、回旋対象光の回旋させることを回旋量制御部340に指示する。また、色純度算出部320は、回旋対象光の回旋に起因する光量の低下を補う補正を映像入力信号に加えた上で変調量を制御することを変調量制御部330に指示する。
一方で、光量優先モードでは、色純度算出部320は、回旋対象光の回旋させないことを回旋量制御部340に指示する。また、色純度算出部320は、光量をさらに増大させる補正を映像入力信号に加えた上で変調量を制御することを変調量制御部330に指示する。
ここで、色純度優先モード及び光量優先モードは、従来技術のように、ユーザによって切り替えられてもよい。
また、色純度優先モード及び光量優先モードは、映像入力信号に対応する各色の色純度に応じて、各色毎に切り替えられてもよい。
例えば、赤入力信号Rinに対応する色純度が所定色純度(TR)以上である場合には、回旋対象光Rrの偏光方向を回旋させてもよい(色純度優先モード)。一方で、赤入力信号Rinに対応する色純度が所定色純度(TR)未満である場合には、回旋対象光Rrの偏光方向を回旋させなくてもよい(光量優先モード)。
同様に、緑入力信号Ginに対応する色純度が所定色純度(TG)以上である場合には、回旋対象光Grの偏光方向を回旋させてもよい(色純度優先モード)。一方で、緑入力信号Ginに対応する色純度が所定色純度(TG)未満である場合には、回旋対象光Grの偏光方向を回旋させなくてもよい(光量優先モード)。
青入力信号Binに対応する色純度が所定色純度(TB)以上である場合には、回旋対象光Brの偏光方向を回旋させてもよい(色純度優先モード)。一方で、青入力信号Binに対応する色純度が所定色純度(TB)未満である場合には、回旋対象光Brの偏光方向を回旋させなくてもよい(光量優先モード)。
なお、所定色純度(TR)、所定色純度(TG)及び所定色純度(TB)は、投写型映像表示装置100に要求される仕様や各色の特性などに応じて定められている。
また、偏光回旋素子40が回旋対象光の偏光方向を0〜90°の範囲内で回旋可能に構成されている場合には、色純度算出部320は、映像入力信号に基づいて算出された色純度に応じた回旋量で回旋対象光を回旋させることを回旋量制御部340に指示する。これに伴って、色純度算出部320は、回旋対象光の回旋量に応じた補正を映像入力信号に加えた上で変調量を制御することを変調量制御部330に指示する。
変調量制御部330は、色純度算出部320の指示に応じて、各液晶パネル30の変調量を液晶パネル30の画素単位で制御する。
回旋量制御部340は、色純度算出部320の指示に基づいて、各偏光回旋素子40の回旋を制御する。
(作用及び効果)
第1実施形態に係る投写型映像表示装置100によれば、偏光回旋素子40は、各液晶パネル30に入射する色成分光の一部である回旋対象光(回旋対象光Rr、回旋対象光Gr及び回旋対象光Br)の偏光方向を回旋する。
従って、偏光回旋素子40が回旋対象光を回旋しない場合には、各液晶パネル30を回旋対象光が透過するため、各液晶パネル30から出射される色成分光の光量が増大する(光量優先モード)。一方で、偏光回旋素子40が回旋対象光を回旋する場合には、回旋対象光は、各液晶パネル30の偏光板(光入射側に設けられた偏光板)で遮光され、各液晶パネル30を透過しないため、各液晶パネル30から出射される色成分光の色純度が高まる(色純度優先モード)。
このように、偏光回旋素子40を電気的に制御することによって、光量優先モードと色純度優先モードとを切り替えるため、ダイクロイックフィルタを機械的に動かす必要があった従来技術に比べて、照明装置120及び投写型映像表示装置100の故障の発生が抑制される。
第1実施形態に係る投写型映像表示装置100によれば、回旋対象光(回旋対象光Rr、回旋対象光Gr及び回旋対象光Br)は、色成分光の色純度を優先するモードにおいて、各液晶パネル30が変調の対象とする高色純度成分光の波長帯外の波長帯を有する。
従って、色純度優先モードにおいて、投写型映像表示装置100に要求される仕様に応じて、色成分光の色純度を高めることができる。
第1実施形態に係る投写型映像表示装置100によれば、制御部300(回旋量制御部340)は、映像入力信号に基づいて算出された色純度に応じて、各偏光回旋素子40の回旋量を制御する。従って、映像の種類に応じて適切なモードに切り替えることができる。
[第2実施形態]
以下において、第2実施形態について図面を参照しながら説明する。以下においては、上述した第1実施形態と第2実施形態との相違点について主として説明する。
具体的には、上述した第1実施形態では、偏光回旋素子40R、偏光回旋素子40G及び偏光回旋素子40Bは、液晶パネル30R、液晶パネル30G及び液晶パネル30Bの光入射側にそれぞれ設けられている。これに対して、第2実施形態では、偏光回旋素子40R及び偏光回旋素子40Gに代えて、偏光回旋素子40Xが設けられている。
ここで、偏光回旋素子40Xは、赤成分光R及び緑成分光Gを含む合成光の光路上に設けられており、赤成分光Rと緑成分光Gとの境界近傍の波長帯を有する回旋対象光の偏光方向を回旋可能に構成されている。
(投写型映像表示装置の構成)
以下において、第2実施形態に係る投写型映像表示装置の構成について、図面を参照しながら説明する。図8は、第2実施形態に係る投写型映像表示装置100の構成を示す図である。
図8に示すように、照明装置120は、偏光回旋素子40R及び偏光回旋素子40Gに代えて、偏光回旋素子40Xを有する。なお、照明装置120は、レンズ61〜レンズ63に代えて、緑成分光G及び青成分光Bの光路長と赤成分光Rの光路長との違いを調整するためのレンズ64〜レンズ66(リレーレンズ)を有する。
偏光回旋素子40Xは、ダイクロイックミラー171とダイクロイックミラー172との間において、ダイクロイックミラー171によって分離された合成光(赤成分光R及び緑成分光G)の光路上に設けられている。偏光回旋素子40Xは、ダイクロイックミラー171によって分離された合成光の一部である回旋対象光(以下、回旋対象光Ye)の偏光方向を回旋する。
ここで、回旋対象光Yeは、赤成分光Rと緑成分光Gとの境界近傍の波長帯を有する。すなわち、偏光回旋素子40Xは、赤高色純度成分光Rt及び緑高色純度成分光Gtの偏光方向を回転せずに回旋対象光Yeを回旋可能に構成されている。
ここで、偏光回旋素子40Xは、回旋対象光Yeの偏光方向を回旋しない状態と回旋対象光Yeの偏光方向を90°回旋する状態とを選択的に切り替え可能に構成された光学素子である。なお、偏光回旋素子40Xは、回旋対象光Yeの偏光方向を0°〜90°の範囲内で回旋する光学素子であってもよい。
(偏光回旋素子の構成)
以下において、第2実施形態に係る偏光回旋素子の構成について、図面を参照しながら説明する。図9は、第2実施形態に係る偏光回旋素子40Xを説明するための図である。図9では、縦軸は、偏光回旋素子40Xに入射した際における合成光(回旋対象光Ye)が回旋されずに偏光回旋素子40Xを透過する比率(透過率)を示している。横軸は、合成光の波長を示している。従って、図9では、透過率が低ければ低いほど、合成光(回旋対象光Ye)の偏光方向が回旋されていることに留意すべきである。
図9に示すように、偏光回旋素子40Xに電圧が印加された状態(ON状態)では、所定波長(例えば、600nm)以下の合成光(すなわち、回旋対象光Ye)の透過率が低下する。同様に、偏光回旋素子40Xに電圧が印加された状態(ON状態)では、所定波長(例えば、570nm)以上の合成光(すなわち、回旋対象光Ye)の透過率が低下する。すなわち、偏光回旋素子40Xに電圧が印加された状態(ON状態)では、赤成分光Rと緑成分光Gとの境界近傍の波長帯を有する回旋対象光Ye(すなわち、黄成分光Ye)の偏光方向が回旋される。
また、照明装置120は、ダイクロイックミラー71、ダイクロイックミラー72、反射ミラー81、反射ミラー82及び反射ミラー83に代えて、ダイクロイックミラー171、ダイクロイックミラー172、反射ミラー181、反射ミラー182及び反射ミラー183を有する。
ダイクロイックミラー171は、赤成分光R及び緑成分光Gを含む合成光と青成分光Bとを分離する光学素子である。具体的には、ダイクロイックミラー171は、赤成分光R及び緑成分光Gを含む合成光を反射して、青成分光Bを透過する。
ダイクロイックミラー172は、ダイクロイックミラー171で分離された合成光のうち、赤成分光R及び緑成分光Gとを分離する光学素子である。具体的には、ダイクロイックミラー172は、緑成分光Gを反射して、赤成分光Rを透過する。
反射ミラー181は、ダイクロイックミラー171で分離された青成分光Bを反射して、青成分光Bを液晶パネル30B側に導くミラーである。
反射ミラー182及び反射ミラー183は、ダイクロイックミラー172で分離された赤成分光Rを反射して、赤成分光Rを液晶パネル30R側に導くミラーである。
(作用及び効果)
第2実施形態に係る投写型映像表示装置100によれば、赤成分光R及び緑成分光Gを含む合成光の光路上には、偏光回旋素子40Xが設けられている。偏光回旋素子40Xは、赤成分光Rと緑成分光Gとの境界近傍の波長帯を有する回旋対象光Ye(すなわち、黄成分光Ye)の偏光方向を回旋する。
すなわち、偏光回旋素子40R及び偏光回旋素子40Gが設けられていなくても、赤成分光R及び緑成分光Gについて、光量優先モードと色純度優先モードとを偏光回旋素子40Xによって切り替えることができる。
このように、第1実施形態と同様の効果を得ながら、照明装置120(又は、投写型映像表示装置100)に設けられる光学素子数を第1実施形態よりも削減することができる。
[第3実施形態]
以下において、第3実施形態について、図面を参照しながら説明する。第3実施形態では、第1実施形態と第3実施形態との相違点について主として説明する。
具体的には、第3実施形態では、制御部300は、偏光回旋素子40による回旋対象光の偏光方向の回旋量を制御する。
(回旋量の制御例1)
上述した制御部300に設けられた色純度算出部320は、赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及び青入力信号Binを含む映像入力信号に基づいて、フレーム全体を構成する複数の画素の彩度を算出する。続いて、色純度算出部320は、複数の画素の彩度に基づいて、彩度の平均値(以下、平均彩度(Save))を算出する。
色純度算出部320は、平均彩度(Save)に基づいて、色再現範囲拡大率(r)を決定する。色純度算出部320は、色再現範囲拡大率(r)を回旋量制御部340に通知する。なお、色再現範囲拡大率(r)は、光量優先モードの色再現範囲を基準として、色再現範囲を拡大する率である。
具体的には、図10に示すように、色再現範囲拡大率(r)の範囲は、“1”〜“MAX”である。色純度算出部320は、平均彩度(Save)が0〜閾値Th1の範囲である場合には、色再現範囲拡大率(r)を“1”に決定する。色純度算出部320は、平均彩度(Save)が閾値Th1〜閾値Th2の範囲である場合には、平均彩度(Save)が大きい程、色再現範囲拡大率(r)を“MAX”に近づける。なお、色純度算出部320は、平均彩度(Save)が閾値Th2を超える場合には、色再現範囲拡大率(r)を“MAX”に決定する。
以下において、上述した色再現範囲拡大率(r)の定義について、図11を参照しながら説明する。図11では、色再現範囲がx軸及びy軸によって定義される。
R1、G1及びB1によって囲まれる範囲は、光量優先モードの色再現範囲である。R1、G1及びB1の座標は、それぞれ、(R1x,R1y)、(G1x,G1y)及び(B1x,B1y)である。R2、G2及びB2によって囲まれる範囲は、色純度優先モードの色再現範囲である。R2、G2及びB2の座標は、それぞれ、(R2x,R2y)、(G2x,G2y)及び(B2x,B2y)である。なお、Wは、色温度が最も低いホワイトポイントである。Wの座標は、(Wx,Wy)である。
ここで、LR1は、(R1x,R1y)と(Wx,Wy)との間の距離である。LR2は、(R2x,R2y)と(Wx,Wy)との間の距離である。色再現範囲拡大率(r)の最大値“MAX”は、LR2/LR1で定義される。一方で、色再現範囲拡大率(r)の最小値“MIN”は、LR1/LR1=“1”で定義される。すなわち、色再現範囲拡大率(r)の範囲は、“1”〜“MAX”である。
なお、以下の前提に従って、色再現範囲拡大率(r)の最大値“MAX”を定義してもよい。
LG1:(G1x,G1y)と(Wx,Wy)との間の距離
LG2:(G2x,G2y)と(Wx,Wy)との間の距離
LB1:(B1x,B1y)と(Wx,Wy)との間の距離
LB2:(B2x,B2y)と(Wx,Wy)との間の距離
ここで、色再現範囲拡大率(r)の最大値“MAX”は、LR2/LR1、LG2/LG1及びLB2/LB1の平均値で定義されてもよい。
なお、回旋量制御部340は、色再現範囲拡大率(r)に基づいて、偏光回旋素子40による回旋対象光の偏光方向の回旋量を制御する。回旋量制御部340は、色再現範囲拡大率(r)が“MAX”に近い程、回旋対象光の偏光方向を回旋させる。一方で、回旋量制御部340は、色再現範囲拡大率(r)が“1”に近い程、回旋対象光の偏光方向を回旋させない。
回旋量の制御例1では、回旋量制御部340は、偏光回旋素子40R、偏光回旋素子40G及び偏光回旋素子40Bを一律に制御する。すなわち、回旋量制御部340は、回旋対象光Rr、回旋対象光Gr及び回旋対象光Brの偏光方向の回旋量を一律に制御する。
(回旋量の制御例2)
上述した制御部300に設けられた色純度算出部320は、赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及び青入力信号Binを含む映像入力信号に基づいて、フレーム全体を構成する複数の画素の彩度を複数の色範囲毎に算出する。
ここで、液晶パネル30Rに対応する色範囲は赤色範囲である。赤色範囲は、赤近傍の色相を有する範囲である。例えば、赤色範囲は、マゼンタから黄までの色相を有する範囲である。
液晶パネル30Gに対応する色範囲は緑色範囲である。緑色範囲は、緑近傍の色相を有する範囲である。例えば、緑色範囲は、黄からシアンまでの色相を有する範囲である。
液晶パネル30Bに対応する色範囲は青色範囲である。青色範囲は、青近傍の色相を有する範囲である。例えば、青色範囲は、シアンからマゼンタまでの色相を有する範囲である。
以下においては、赤色範囲に含まれる画素の彩度を赤彩度と称する。同様に、緑色範囲及び青色範囲に含まれる画素の彩度を緑彩度及び青彩度と称する。
色純度算出部320は、赤彩度の平均値(以下、平均赤彩度(SRave))を算出する。同様に、色純度算出部320は、緑彩度の平均値(以下、平均緑彩度(SGave))及び青彩度の平均値(以下、平均青彩度(SBave))を算出する。
色純度算出部320は、平均赤彩度(SRave)に基づいて、偏光回旋素子40R用の色再現範囲拡大率(Rr)を決定する。同様に、色純度算出部320は、平均緑彩度(SGave)及び平均青彩度(SBave)に基づいて、偏光回旋素子40G用の色再現範囲拡大率(Gr)及び偏光回旋素子40B用の色再現範囲拡大率(Br)を決定する。色純度算出部320は、色再現範囲拡大率(Rr)、色再現範囲拡大率(Gr)及び色再現範囲拡大率(Br)を回旋量制御部340に通知する。
ここで、色再現範囲拡大率の決定方法は、基本的には、回旋量の制御例1と同様である(図10を参照)。但し、色再現範囲拡大率(Rr)、色再現範囲拡大率(Gr)及び色再現範囲拡大率(Br)の決定方法は互いに異なっていてもよい。
なお、回旋量制御部340は、色再現範囲拡大率(Rr)に基づいて、偏光回旋素子40Rによる回旋対象光の偏光方向の回旋量を制御する。同様に、回旋量制御部340は、色再現範囲拡大率(Gr)及び色再現範囲拡大率(Br)に基づいて、偏光回旋素子40G及び偏光回旋素子40Bによる回旋対象光の偏光方向の回旋量を制御する。すなわち、回旋量制御部340は、回旋対象光Rr、回旋対象光Gr及び回旋対象光Brの偏光方向の回旋量を個別に制御する。
(回旋量の制御例3)
ここで、回旋量の制御例3は、回旋量の制御例2を前提としていることに留意すべきである。
上述した制御部300に設けられた色純度算出部320は、赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及び青入力信号Binを含む映像入力信号に基づいて、フレーム全体を構成する複数の画素の色相を複数の色範囲毎に算出する。
続いて、色純度算出部320は、赤色範囲に含まれる画素の彩度を調整するための調整係数(SRc)を画素毎に決定する。なお、調整係数(SRc)は、赤色範囲に含まれる画素に対応付けられることは勿論である。同様に、色純度算出部320は、緑色範囲及び青色範囲に含まれる画素の彩度を調整するための調整係数(SGc)及び調整係数(SBc)を画素毎に決定する。
色純度算出部320は、赤色範囲に含まれる画素の彩度に調整係数(SRc)を乗算した上で、乗算結果の平均値を平均赤彩度(SRave)として算出する。同様に、色純度算出部320は、緑色範囲及び青色範囲に含まれる画素の彩度に調整係数(SGc)及び調整係数(SBc)を乗算した上で、乗算結果の平均値を平均緑彩度(SGave)及び平均青彩度(SGave)として算出する。
ここでは、調整係数(SRc)の決定を例に挙げて、図12を参照しながら説明する。図12に示すように、調整係数(SRc)の範囲は、“0.5”〜“1”の範囲である。色純度算出部320は、赤色範囲に含まれる画素の色相が赤の色相(図12では、R)に近い程、調整係数(SRc)を“1”に近ける。一方で、色純度算出部320は、赤色範囲に含まれる画素の色相がマゼンタの色相(図12では、Mg)又は黄の色相(図12では、Ye)に近い程、調整係数(SRc)が“0.5”に近ける。
上述したように、調整係数(SRc)によって調整された彩度によって平均赤彩度(SRave)が算出されるため、赤色範囲において赤の色相に近い画素が多い程、色再現範囲拡大率(Rr)が大きくなる。
なお、色再現範囲拡大率(Gr)及び色再現範囲拡大率(Br)についても、色再現範囲拡大率(Rr)と同様である。すなわち、緑色範囲において緑の色相に近い画素が多い程、色再現範囲拡大率(Gr)が大きくなる。同様に、青色範囲において青の色相に近い画素が多い程、色再現範囲拡大率(Br)が大きくなる。
(回旋量の制御例4)
ここで、回旋量の制御例4は、回旋量の制御例1を前提としていることに留意すべきである。
上述した制御部300に設けられた色純度算出部320は、赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及び青入力信号Binを含む映像入力信号に基づいて、フレーム全体を構成する複数の画素の輝度を算出する。
続いて、色純度算出部320は、フレーム全体を構成する画素の彩度を調整するための調整係数(Sc)を画素毎に決定する。なお、調整係数(Sc)は、フレーム全体を構成する画素に対応付けられることは勿論である。
色純度算出部320は、フレーム全体を構成する画素の彩度に調整係数(Sc)を乗算した上で、乗算結果の平均値を平均彩度(Save)として算出する。
具体的には、色純度算出部320は、図13に示すように、フレーム全体を構成する画素の輝度(L)が0〜閾値Th3の範囲である場合には、調整係数(Sc)を“0”に決定する。色純度算出部320は、フレーム全体を構成する画素の輝度(L)が閾値Th3を超える場合には、調整係数(Sc)を“1”に近づける。なお、調整係数(Sc)の範囲は、“0”〜“1”である。
上述したように、調整係数(Sc)によって調整された彩度によって平均彩度(Save)が算出されるため、輝度(L)が高い画素が多い程、色再現範囲拡大率(r)が大きくなる。
(その他の制御例)
回旋量の制御例2と回旋量の制御例4とを組み合わせてもよい。回旋量の制御例3と回旋量の制御例4とを組み合わせてもよい。
回旋量の制御例1では、平均彩度(Save)によって色再現範囲拡大率(r)が決定されるが、制御例はこれに限定されるものではない。例えば、平均彩度(Save)に代えて、フレームを構成する複数の画素の最高輝度、最低輝度、分散値などの代表値が用いられてもよい。
回旋量の制御例2では、平均赤彩度(SRave)、平均緑彩度(SGave)及び平均青彩度(SBave)によって、色再現範囲拡大率(Rr)、色再現範囲拡大率(Gr)及び色再現範囲拡大率(Br)が決定されるが、制御例はこれに限定されるものではない。平均赤彩度(SRave)、平均緑彩度(SGave)及び平均青彩度(SBave)に代えて、赤色範囲、緑色範囲及び青色範囲に含まれる画素の最高輝度、最低輝度、分散値などの代表値が用いられてもよい。
[第4実施形態]
以下において、第4実施形態について、図面を参照しながら説明する。第3実施形態では、第1実施形態と第4実施形態との相違点について主として説明する。
具体的には、第4実施形態では、偏光回旋素子40は、複数の領域によって構成される。制御部300は、偏光回旋素子40による回旋対象光の偏光方向の回旋量を複数の領域毎に制御する。
例えば、図14に示すように、液晶パネル30は、複数の領域によって構成される。以下においては、液晶パネル30を構成する領域を識別するために、各領域をP(x,y)で表す。同様に、偏光回旋素子40は、複数の領域によって構成される。以下においては、偏光回旋素子40を構成する領域を識別するために、各領域をQ(x,y)で表す。
上述した制御部300に設けられた色純度算出部320は、領域Q(x,y)に対応する映像入力信号に基づいて、領域Q(x,y)に対応する複数の画素の彩度を算出する。ここで、領域Q(x,y)に対応する映像入力信号は、領域P(x,y)に対応する映像入力信号である。
色純度算出部320は、領域Q(x,y)毎に平均彩度(Save)を算出する。続いて、色純度算出部320は、平均彩度(Save)に基づいて、色再現範囲拡大率(r)を決定する。色純度算出部320は、領域Q(x,y)毎に決定された色再現範囲拡大率(r)を回旋量制御部340に通知する。
なお、回旋量制御部340は、領域Q(x,y)毎に決定された色再現範囲拡大率(r)に基づいて、偏光回旋素子40による回旋対象光の偏光方向の回旋量を領域Q(x,y)毎に制御する。
ここで、第4実施形態、すなわち、領域Q(x,y)毎に回旋量を制御する処理は、回旋量の制御例1〜4及びその他の制御例のいずれにも適用することができる。
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
例えば、上述した実施形態では、偏光回旋素子40が解像度を有していないことを前提として説明したが、これに限定されるものではない。偏光回旋素子40は、複数の領域に分割されており、複数の領域毎に回旋対象光の回旋量を制御可能に構成されていてもよい。すなわち、偏光回旋素子40は、解像度を有していてもよい。
このように、偏光回旋素子40が解像度を有している場合には、偏光回旋素子40の解像度は、各液晶パネル30の解像度よりも低いことが好ましい。これによって、偏光回旋素子40に設けられた電極などによって、各色成分光の利用効率の低下を抑制することができる。
複数の領域毎に制御される回旋対象光の回旋量は、複数の領域のそれぞれに対応する映像入力信号に基づいて算出されることは勿論である。
上述した実施形態で示したように、光量優先モードと色純度優先モードとの切り替えをユーザが行ってもよい。この場合には、ユーザがモードを設定するためのモード設定部が設けられていてもよい。
例えば、データ出力の用途で投写型映像表示装置100が用いられる場合には、光量優先モードが選択され、ホームシアターの用途で投写型映像表示装置100が用いられる場合には、色純度優先モードが選択される。
なお、投写型映像表示装置100が用いられる用途に応じて、モードが自動的に切り替えられてもよい。
また、映像入力信号の入力端子の種類に応じて、光量優先モードと色純度優先モードとの切り替えが行われてもよい。例えば、映像入力信号の入力端子がD端子やHDMI端子である場合には、ホームシアターの用途で投写型映像表示装置100が用いられる可能性が高いため、自動的に色純度優先モードが選択されてもよい。一方で、映像入力信号の入力端子がDVI端子やVGA端子である場合には、データ出力の用途で投写型映像表示装置100が用いられる可能性が高いため、自動的に光量優先モードが選択されてもよい。
さらに、光量優先モードと色純度優先モードとの切り替えは、映像入力信号に対応する各色の色純度に応じて行われてもよい。すなわち、各色の色純度が一定期間に亘って所定色純度以上である場合に、モードが色純度優先モードに自動的に切り替えられてもよい。一方で、各色の色純度が一定期間に亘って所定色純度未満である場合に、モードが光量優先モードに自動的に切り替えられてもよい。
上述した第1実施形態では、全ての液晶パネル30の入射側に偏光回旋素子40が設けられているが、これに限定されるものではない。具体的には、投写型映像表示装置100に要求される仕様に応じて、複数の液晶パネル30のうち、いずれかの液晶パネル30の入射側にのみ、偏光回旋素子40が設けられていてもよい。
上述した第2実施形態では、偏光回旋素子40Xは、赤成分光R及び緑成分光Gを含む合成光の光路上に設けられているが、これに限定されるものではない。具体的には、偏光回旋素子40Xは、緑成分光G及び青成分光Bを含む合成光の光路上に設けられていてもよい。この場合には、偏光回旋素子40Xは、緑成分光Gと青成分光Bとの境界近傍の波長帯を有する回旋対象光(すなわち、シアン成分光Cy)の偏光方向を回旋するように構成される。
上述した実施形態では特に触れていないが、投写型映像表示装置100の周辺照度を検出する照度センサを投写型映像表示装置100が有していてもよい。回旋量制御部340は、照度センサによって検出された周辺照度に応じて、各偏光回旋素子40の回旋を制御する。例えば、回旋量制御部340は、照度センサによって検出された周辺照度が所定照度以上である場合に、偏光対象光の偏光方向を回旋しないように各偏光回旋素子40を制御する(光量優先モード)。一方で、回旋量制御部340は、照度センサによって検出された周辺照度が所定照度未満である場合に、偏光対象光の偏光方向を回旋するように各偏光回旋素子40を制御する(色純度優先モード)。
上述した実施形態では特に触れていないが、光源10が発する各色成分光の偏光方向は、S偏光に揃えられてもよく、P偏光に揃えられてもよい。
上述した実施形態では特に触れていないが、照明装置120は、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bに加えて、第4色光(黄成分光Yeやシアン成分光Cy)を利用してもよい。
10・・・光源、30・・・液晶パネル、40・・・偏光回旋素子、50・・・クロスダイクロイックプリズム、60・・・レンズ、61〜66・・・レンズ、71〜72・・・ダイクロイックミラー、81〜83・・・反射ミラー、100・・・投写型映像表示装置、110・・・投写レンズユニット、120・・・照明装置、171〜172・・・ダイクロイックミラー、181〜183・・・反射ミラー、300・・・制御部、310・・・入力信号受付部、320・・・色純度算出部、330・・・変調量制御部、340・・・回旋量制御部